JPH10237525A - 溶銑の脱りん方法および製鋼方法 - Google Patents

溶銑の脱りん方法および製鋼方法

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JPH10237525A
JPH10237525A JP3744297A JP3744297A JPH10237525A JP H10237525 A JPH10237525 A JP H10237525A JP 3744297 A JP3744297 A JP 3744297A JP 3744297 A JP3744297 A JP 3744297A JP H10237525 A JPH10237525 A JP H10237525A
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JP
Japan
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slag
furnace
dephosphorizing
iron
dephosphorization
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JP3744297A
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English (en)
Inventor
Masaki Miyata
政樹 宮田
Toru Matsuo
亨 松尾
Yoshihiko Higuchi
善彦 樋口
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】脱りん処理工程で系外に排出されるスラグ量を
減らすとともに、排出されたスラグの路盤材等への有効
利用を可能にし、鉄歩留まりの低下を防止することがで
きる溶銑の脱りん方法、およびこの脱りん方法を適用し
た低りん鋼および普通りん鋼の製鋼方法を提供する。 【解決手段】(1)脱りん用フラックスを用いて溶銑の
脱りん処理を行い、低りん銑を製造した後、生成した低
りん銑スラグを脱りん用フラックスとして再利用し、ス
ラグの塩基度が2以下の条件で他の溶銑の脱りん処理を
行い普通りん銑を得る溶銑の脱りん方法。 (2)一方を脱りん炉、他方を脱炭炉とする炉2基を用
いて、上記低りん銑により低りん鋼を、上記普通りん銑
により普通りん鋼を製造する製鋼方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スラグの排出量を
減らすことが可能で、排出されたスラグを有効利用する
ことができる溶銑の脱りん方法および脱りんされた溶銑
を用いる製鋼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼生産における製銑、製鋼工程では、
多量のスラグが発生する。もっとも多いのは、製銑工程
で発生する高炉スラグであり、転炉等の炉を用いる製鋼
工程で発生する製鋼スラグも少なくない。このほかに、
溶銑のSi、P、Sなどを除く溶銑予備処理で発生する
溶銑予備処理スラグもある。
【0003】これらのスラグのうち、高炉スラグは品質
および化学的性質が安定していること、水砕処理された
スラグは水硬性を持っていることなどの特長があるた
め、道路用の路盤材、セメント原料などとしてほぼ全量
有効利用されている。しかし、高炉スラグ以外の製鋼ス
ラグおよび溶銑予備処理スラグは、品質のばらつきが大
きく、化学的にも不安定なため、有効利用されている割
合が低い。
【0004】特に、スラグの塩基度(CaO/SiO
2 )が2を超えるような場合には、問題が大きい。この
ような塩基度が高い溶融スラグが凝固する際には、スラ
グ中の珪酸カルシウム(3CaO・SiO2)が、下記
のような反応を起こし遊離石灰(F.CaO)を晶出す
る。
【0005】 3CaO・SiO2→2CaO・SiO2+F.CaO この他、塩基度が高い場合には、未滓化のCaO(未滓
化石灰)が残っていることが多い。これらの遊離石灰お
よび未滓化石灰は、スラグが路盤材等として使用された
場合に、水和反応を起こして水酸化カルシウム{Ca
(OH)2} に変わる。この水和反応の際には、CaO
の体積が約2倍に膨張するので、路盤の隆起、アスファ
ルト舗装面の割れ等のトラブルを引き起こす。したがっ
て、遊離石灰、未滓化石灰を含むスラグは、スラグの主
要な用途である路盤材へ適用することができない。
【0006】このようなスラグは、廃棄処分せざるを得
ないので、スラグの処理に多くの費用を費やしているの
が実状である。
【0007】スラグ中の遊離石灰、未滓化石灰を強制的
に水和反応させて、その後路盤材等へ適用する方法もあ
る。例えば、破砕し山積みしたスラグ粒の中に水蒸気を
吹き込むことによって、温度の高い、水蒸気雰囲気下で
水和反応を促進させる蒸気エージングと呼ばれる処理方
法がある。この方法によれば、ある程度遊離石灰および
未滓化石灰を水和反応させることができるが、完全に水
和させることはできない。そのために、品質の信頼性が
十分とはいえない。また、処理費用が高い。
【0008】特開平6−200311号公報には、溶銑
予備処理段階で発生スラグを繰り返し利用し、能率的か
つ安価に溶銑の脱りん処理を行う方法が開示されてい
る。この方法は、脱りん処理後のスラグを処理炉内に残
しておき、次の溶銑の脱りん処理に利用することを繰り
返して、スラグの脱りん能力がなくなるまで再利用する
ことを特徴としている。ただし、この方法では、スラグ
の発生量をある程度減らせるものの、系外に排出される
スラグの有効利用は考慮されていないので、スラグの塩
基度の低下、遊離石灰の晶出防止対策等のアクションが
採られていない。したがって、路盤材等としてのスラグ
の有効利用は困難である。
【0009】製鋼工程および溶銑予備処理工程で発生す
るスラグ問題の解決策のひとつとして、これらの工程で
発生するスラグの量をできるだけ少なくするとともに、
路盤材等に適用した場合に化学的に安定なスラグを発生
させる方法も提案されている。特公平3−77246号
公報には、通常のりん含有率の溶銑に対しては十分な脱
りん能力を持っている上底吹き転炉スラグ(脱炭炉スラ
グ)を、溶銑の脱りんに利用する方法が開示されてい
る。
【0010】この方法は、精錬用の反応容器として、脱
りん炉、脱炭炉と呼ばれる2基の上底吹き転炉形式の炉
を利用することにより、溶銑の脱りんに脱炭炉で発生し
たスラグ(転炉スラグ)を用いることを可能にした2段
の回分式向流精錬法に相当する。この方法には、脱炭炉
スラグを溶銑の脱りんに使用するので脱炭炉スラグ(転
炉スラグ)の系外への排出量が少なくなること、低りん
鋼を製造することが可能なこと、通常のP含有率の鋼の
製造では製造コストの削減が可能なことなどの利点があ
るとされている。
【0011】溶銑の脱りんには、上記の例にも示されて
いるように、転炉スラグがしばしば利用される。脱りん
用のフラックスとして転炉スラグを用いる場合、フラッ
クスの滓化が促進されるので、効率的な脱りんが可能と
なるとともに、脱りんに必要な媒溶剤量を約半減するこ
とができる。
【0012】しかし、上記の方法でも、転炉スラグの系
外への排出量は減らせるものの、脱りんスラグの排出量
とその中の遊離石灰および未滓化石灰を減らすことは難
しい。すなわち、低りん鋼を溶製する際には、スラグの
脱りん能を高めるために、脱りんスラグの塩基度(Ca
O/SiO2) を2以上とする必要があるので、転炉ス
ラグまたは生石灰の使用量を増やさなければならない。
その結果、脱りんスラグ量の発生量が増加すること、生
石灰が滓化しにくいのでスラグ中に未滓化石灰が残りや
すいことという問題が生じる。さらに、生石灰の滓化を
促進するために、蛍石(CaF2 )、アルミナ、塩化カ
ルシウムなどを添加すると、スラグの発生量がいっそう
増加するので、スラグの発生量を減らすという課題の解
決を、ますます困難にしている。
【0013】この他、塩基度の高いスラグで溶銑の脱り
ん処理を行うような場合には、スラグの粘度が高いた
め、スラグ中に多量の粒鉄が残存し、鉄歩留まりが下が
るという問題もある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、脱りん処理
工程で系外に排出されるスラグ量を減らすとともに、排
出されたスラグの路盤材等への有効利用を可能にし、鉄
歩留まりの低下を防止することができる溶銑の脱りん方
法、ならびにこの脱りん方法を適用した低りん鋼および
普通りん鋼の製鋼方法を提供することを目的としてい
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)の溶銑の脱りん方法および下記(2)の製鋼方法
にある。
【0016】(1)脱りん用フラックスを用いて溶銑の
脱りん処理を行い、低りん銑を製造した後、生成した低
りん銑スラグを脱りん用フラックスとして再利用し、ス
ラグの塩基度が2以下の条件で他の溶銑の脱りん処理を
行う溶銑の脱りん方法。
【0017】(2)一方を脱りん炉、他方を脱炭炉とす
る炉2基を用いて、下記の第1および第2工程により低
りん鋼を製造し、下記の第3および第4工程により普通
りん鋼を製造する製鋼方法。
【0018】溶銑を脱りん炉に装入し、生石灰と脱炭
炉で生成した脱炭炉スラグのうちの両者またはいずれか
一方および酸化鉄を主成分とする脱りん用フラックスを
用いて、酸素を上吹きしながらP含有率0.02重量%
以下まで脱りん処理を行い、低りん銑を得る第1工程、 第1工程で得られた低りん銑を脱炭炉に移し、生石灰
系造滓剤を用いて脱炭し、低りん鋼を製造する第2工
程、 新たな溶銑を脱りん炉に装入し、第1工程で生成した
低りん銑スラグおよび生石灰系の脱りん剤を主成分とす
る脱りん用フラックスを用いて、スラグの塩基度が2以
下の条件で酸素を上吹きしながら脱りん処理を行い、普
通りん銑を得る第3工程、 第3工程で得られた脱りん溶銑を脱炭炉に移して精錬
し、普通りん鋼を製造する第4工程。
【0019】本発明者らは、前述の課題を解決する手段
について検討し、次の点に着目して本発明を完成させ
た。
【0020】(a) 溶銑の脱りんには、P含有率が0.0
2重量%(以下、化学組成の%表示は重量%を意味す
る)程度以下の低りん銑を得るための脱りん処理と、P
含有率が低くても0.02%を超える程度までの溶銑
(以下、普通りん銑と記す)を得るための脱りん処理が
ある。
【0021】(b) 低りん銑を得る処理によって発生する
スラグ(以下、単に低りん銑スラグと記す)は、まだ十
分な脱りん能を持っており、通常のP含有率(0.04
%程度以下)の鋼の製造に用いる普通りん銑を得るため
の脱りん用フラックスとして再利用可能である。低りん
銑スラグをフラックスとして利用して脱りん処理した結
果発生するスラグ(以下、単に普通りん銑スラグと記
す)は、塩基度が低く、遊離石灰および未滓化石灰の量
も少ないので、エージング処理なしで路盤材として利用
できる。
【0022】(c) 上記の低りん銑スラグは、遊離石灰お
よび未滓化石灰が比較的少ない。したがって、脱りん用
フラックスとして再利用されない残りのスラグも、エー
ジング処理を施せば路盤材として有効利用できる。
【0023】(d) 上記の低りん銑からは低りん鋼を、普
通りん銑からは普通りん鋼を容易に製造することができ
る。また、これらの製鋼工程で発生するスラグ(脱炭炉
スラグ)は、低りん銑および普通りん銑を得るための、
脱りん用フラックスとして、再利用することができる。
【0024】(e) 低りん銑スラグおよび脱炭炉スラグの
再利用により、系外へのスラグの排出量を大幅に減らす
ことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1によって、本発明の溶銑の脱
りん方法および製鋼方法を説明する。図1は、脱りん炉
1および脱炭炉2の2基の上底吹き転炉を利用し、溶銑
の脱りん処理と脱りんされた溶銑をもとに転炉精錬を行
う一連のプロセスを説明する図である。図1のプロセス
は、下記の4つの工程で構成されている。
【0026】(第1工程:低りん銑の溶製)脱りん炉1
に溶銑を注入し、脱りん剤として、生石灰と第2工程ま
たは第4工程の脱炭炉精錬で生成した脱炭炉スラグのう
ちのいずれか一方または両者と、酸化鉄を主成分とする
フラックスを投入する。その後、底吹きノズル4から撹
拌用のガスを吹き込みながら、ランス3から酸素を吹き
付けることによって、脱りんを行う。この工程では、低
りん銑を得ることを狙っているので、P含有率0.02
重量%以下まで脱りん処理する。なお、脱りん処理前の
溶銑のP含有率は、通常の場合、0.12〜0.09%
程度である。
【0027】フラックス中の成分としては、酸化鉄に代
えてMn鉱石を用いてもよい。また、フラックスの滓化
を促進するために、スラグの融点を下げる作用のある蛍
石、アルミナ、塩化カルシウムなどを併用してもよい。
なお、第1工程のスラグは、低りん銑を得る必要がある
ので、通常は塩基度(CaO/SiO2) が2以上にな
るように、フラックスの配合条件を決定するのが好まし
い。
【0028】この工程で発生する低りん銑スラグは、ス
ラグの塩基度が高いので、遊離石灰および未滓化石灰が
多く、路盤材としての利用は難しい。また、粒鉄を多く
含んでいるので、そのまま廃棄すると鉄分のロスを招
く。
【0029】(第2工程:低りん鋼の溶製)第1工程で
得られた低りん銑を脱炭炉2に移し、生石灰系フラック
スを投入した後、ランス5から酸素を上吹きし、主に脱
炭を行うことによって、P含有率が0.015%以下程
度の低りん鋼を製造する。この工程で使用するフラック
スとしては、生石灰のほか、ドロマイトなども利用でき
る。また、脱炭処理中に底吹きノズル6から不活性ガス
を吹き込み、鋼浴を撹拌することによって、脱炭反応を
促進するのも効果的である。
【0030】この工程で発生する脱炭スラグは、フラッ
クスとして投入された生石灰等のほかは酸化鉄が主体で
あり、酸化りんをほとんど含まないので、脱りん用フラ
ックスとして利用することができる。
【0031】(第3工程:普通りん銑の溶製)脱りん炉
1に新たに溶銑を注入し、第1工程で生成した低りん銑
スラグおよび生石灰系の脱りん剤を主成分とする脱りん
用フラックスを投入した後、ランス3から酸素を吹き付
けることによって、塩基度が2以下の条件で脱りん処理
を行う。脱りん処理の間、底吹きノズル4から不活性ガ
スを吹き込み、溶銑を撹拌することによって脱りん反応
を促進するのが好ましい。
【0032】この工程では、低りん銑スラグを再利用す
るので、スラグの滓化が極めてよい。石灰系の脱りん剤
として第2または第4工程で発生する脱炭スラグを用い
ることも可能であり、この場合には、スラグの滓化がさ
らによくなる。したがって、滓化促進剤を使用する必要
がほとんどないという利点がある。
【0033】第3工程では、溶銑のP含有率の目標値は
低くても0.02%を超える程度までであるので、スラ
グの塩基度は2以下でよい。スラグの塩基度が低いの
で、この工程で発生するスラグは溶融時の流動性がよ
く、滓化性もよい。したがって、スラグ中には粒鉄がほ
とんど存在しない。また、遊離石灰および未滓化石灰の
量も少ない。第3工程では、第1工程で発生した低りん
スラグ中の鉄分を回収することができるので、鉄歩留ま
りが向上する。さらに、第3工程で発生するスラグは、
水和反応に対しては化学的に安定であるので、スラグの
エージング処理なしでも、路盤材等として利用すること
ができる。
【0034】(第4工程:普通りん鋼の溶製)第3工程
で得られた普通りん銑を脱炭炉2に移し、生石灰系フラ
ックスを投入した後、ランス5から酸素を上吹きし、主
に脱炭を行うことによって、P含有率が0.03%前後
の普通りん鋼を製造する。この工程で使用するフラック
スとしては、生石灰のほか、ドロマイトなども利用でき
る。また、脱炭処理中に底吹きノズル6から不活性ガス
を吹き込み、鋼浴を撹拌することによって、脱炭反応を
促進するのも効果的である。
【0035】この工程で発生する脱炭スラグは、フラッ
クスとして投入された生石灰のほかは酸化鉄が主体であ
り、酸化りんの含有率が低いので、脱りん用フラックス
として再利用することができる。
【0036】以上、脱りん炉の例として上底吹転炉形式
の炉を示したが、溶銑脱りんが可能な反応容器であれば
どのような形式のものでもよい。例えば、生石灰、転炉
スラグのような石灰源、鉄鉱石のような酸化剤をインジ
ェクションして脱りんする取鍋形式の容器、トーピード
形式の容器でもよい。
【0037】また、脱りんを行う溶銑としては、予め脱
硫処理された溶銑でも、特に処理されていない溶銑でも
よい。
【0038】
【実施例】
(本発明例)250トン(以下、単にtとも記す)規模
の上底吹き転炉を用いて、本発明例の第1工程から第4
工程までの操業を行った。表1に、第1工程および第3
工程における溶銑の重量と温度条件および脱りんフラッ
クスの配合条件、表2に第1工程の処理前後の溶銑の化
学組成、表3に第1工程の処理後のスラグ組成、表4に
第3工程の処理前後の溶銑の化学組成、表5に第3工程
の処理後のスラグ組成をそれぞれ示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】 第1工程 表1の「第1工程」および表2の「処理前」として示し
た脱硫溶銑250tを上底吹き転炉(脱りん炉)に装入
し、表1の第1工程に示す脱りんフラックスの配合条件
で、脱りん処理を行った。この時、上吹きランスから吹
き込んだ酸素ガスの流量は、溶銑1t当たり1.2Nm
3 /minであり、約7分間吹錬した。なお、炉低から
吹き込んだ撹拌用CO2 ガス流量は0.13Nm3 /m
in・tとした。
【0045】表2から明らかなように、溶銑中のPは、
0.10%から0.01%まで低下しており、十分に低
りん化された溶銑が得られた。また、表3に示されてい
るように、処理後のスラグは、P254.8%、F.C
aO2.5%(遊離石灰および未滓化石灰)を含み、塩
基度が2.4、推定重量が12.2tであった。なお、
この時のスラグ中への鉄分ロス(推定値)は約0.7t
であった。
【0046】 第2工程 取鍋を用いて、第1工程で得られた低りん銑約225t
を他の上底吹き転炉(脱炭炉)に移し、通常の転炉操業
条件で低りん鋼を溶製した。フラックスとして、生石灰
2.5t、ドロマイト1.5tおよび蛍石0.2tを投
入し、溶銑1t当たり、上吹き酸素流量3Nm3 /mi
n、撹拌用の底吹きCO2 ガス流量0.13Nm3 /m
inの条件で脱炭精錬を実施した。なお、この際、終点
温度が1635℃となるように冷却剤として鉄鉱石を適
宜添加した。脱炭処理後の溶鋼の化学組成はC:0.0
8%、P:0.006%で、低りん鋼を得ることができ
た。なお、この時発生した脱炭炉スラグは7.5tで、
スラグ中のF.CaOは5%であった。
【0047】 第3工程 表1の「第3工程」および表4の「処理前」に示す新た
な脱硫溶銑250tを上底吹き転炉(脱りん炉)に注入
し、表1に示す脱りん用フラックスの配合条件で脱りん
処理を行った。フラックスとして、第1工程で発生した
スラグ12.2tのうち、5tを第3工程で使用した。
その他、第2工程で発生した転炉スラグ約2.5t、生
石灰約1.7t、鉄鉱石約4.3tを配合し、スラグの
計算塩基度(CaO/SiO2 )1.8の条件で脱りん
処理を行った。この時、上吹きランスから吹き込んだ酸
素ガスの流量は、溶銑1t当たり1.2Nm3 /min
で、約7分間吹錬した。なお、炉底部から吹き込んだ撹
拌用CO2 ガス流量は、溶銑1t当たり0.13Nm3
/minである。
【0048】表4から明らかなように、溶銑中のPは、
0.10%から0.029%まで低下した。また、表5
に示されているように、処理後のスラグは、P256.
5%、F.CaO0.5%を含み、塩基度が1.8で、
推定重量が12.2tであった。なお、この時のスラグ
中への鉄分ロスは約0.3tであった。
【0049】 第4工程 取鍋を用いて、第3工程で得られた脱りん銑約225t
を他の上底吹き転炉(脱炭炉)に移し、通常の転炉操業
条件で普通りん鋼を溶製した。フラックスとしては、生
石灰2.5t、ドロマイト1.5tおよび蛍石0.2t
を投入し、溶銑1t当たり、上吹き酸素流量3Nm3
min、撹拌用底吹きCO2 ガス流量0.13Nm3
minの条件で脱炭精錬を実施した。なお、この際、終
点温度が1640℃となるように冷却剤として鉄鉱石を
適宜添加した。脱炭処理後の溶鋼の化学組成はC:0.
08%、P:0.016%で普通りん鋼を得ることがで
きた。
【0050】なお、この時発生した脱炭炉スラグは7.
5tで、スラグ中のF.CaOは5%であった。
【0051】上記実施例では、第1〜第4工程で発生
し、フラックスとして利用されたものを除く系外に排出
されたスラグは、第1工程の7.2t、第2工程の5
t、第3工程の12.2t、第4工程の12.2tであ
る。このうち、第2および第4工程の脱炭炉スラグは、
F.CaOが低いことからも明らかなように、従来から
十分路盤材として利用可能であったスラグである。
【0052】第3工程の脱りんスラグは、上記のように
F.CaOおよび塩基度の値が低いことからも分かるよ
うに、スラグに対して特別な処理を施さなくても路盤材
として十分利用可能であった。
【0053】第1工程で発生するスラグについては、塩
基度がやや高く、F.CaOも高めなため、蒸気エージ
ング処理を施した後に路盤材に適用した。その結果、十
分に利用可能であることを確認した。
【0054】上記のように、本発明の方法によれば、溶
銑の脱りん処理で発生するスラグの系外への排出量が少
なく、また、系外へ排出されたスラグについても、一部
のスラグをエージング処理することにより全量有効利用
できることが分かった。
【0055】さらに、本発明の方法の場合には、スラグ
中への鉄分ロスの多い第1工程で発生するスラグの系外
への排出量が少ないので、鉄ロスを減らすことができ
る。したがって、鉄歩留まりが高いという長所もある。
【0056】なお、上記実施例では、第1工程から第4
工程まですべてを含むプロセスを示した。ただし、溶銑
の脱りんのみを対象とする場合には、第1工程および第
3工程を繰り返せばよい。
【0057】
【発明の効果】本発明の方法によれば、再利用するスラ
グを除く脱りん用フラックスの総使用量を節減すること
ができる。また、系外に排出されるスラグ量が減るとと
もに、系外に排出されるスラグも、ほとんどのスラグが
路盤材として利用可能で、路盤材として利用するための
エージング処理を要するスラグ量が少ない。さらに、鉄
歩留まりが向上するので、経済的効果が極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶銑脱りん方法および製鋼方法の1例
を説明する図である。
【符号の簡単な説明】
1:脱りん炉 2:脱炭炉 3、5:ランス 4、6:底吹きノズル

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】脱りん用フラックスを用いて溶銑の脱りん
    処理を行い、低りん銑を製造した後、生成した低りん銑
    スラグを脱りん用フラックスとして再利用し、スラグの
    塩基度が2以下の条件で他の溶銑の脱りん処理を行うこ
    とを特徴とする溶銑の脱りん方法。
  2. 【請求項2】一方を脱りん炉、他方を脱炭炉とする炉2
    基を用いて、下記の第1および第2工程により低りん鋼
    を製造し、下記の第3および第4工程により普通りん鋼
    を製造することを特徴とする製鋼方法。 溶銑を脱りん炉に装入し、生石灰と脱炭炉で生成した
    脱炭炉スラグのうちの両者またはいずれか一方および酸
    化鉄を主成分とする脱りん用フラックスを用いて、酸素
    を上吹きしながらP含有率0.02重量%以下まで脱り
    ん処理を行い、低りん銑を得る第1工程、 第1工程で得られた低りん銑を脱炭炉に移し、生石灰
    系造滓剤を用いて脱炭し、低りん鋼を製造する第2工
    程、 新たな溶銑を脱りん炉に装入し、第1工程で生成した
    低りん銑スラグおよび生石灰系の脱りん剤を主成分とす
    る脱りん用フラックスを用いて、スラグの塩基度が2以
    下の条件で酸素を上吹きしながら脱りん処理を行い、普
    通りん銑を得る第3工程、 第3工程で得られた脱りん溶銑を脱炭炉に移して精錬
    し、普通りん鋼を製造する第4工程。
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JP3744297A Pending JPH10237525A (ja) 1997-02-21 1997-02-21 溶銑の脱りん方法および製鋼方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI495730B (zh) * 2008-12-26 2015-08-11 Jfe Steel Corp The method of recovering slag from iron and steel phosphorus

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