JPH10237337A - シリコンフタロシアニン化合物を用いた電子写真感光体 - Google Patents
シリコンフタロシアニン化合物を用いた電子写真感光体Info
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- JPH10237337A JPH10237337A JP4597397A JP4597397A JPH10237337A JP H10237337 A JPH10237337 A JP H10237337A JP 4597397 A JP4597397 A JP 4597397A JP 4597397 A JP4597397 A JP 4597397A JP H10237337 A JPH10237337 A JP H10237337A
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Abstract
写真感光体 【解決手段】 シリコンフタロシアニン化合物を含有す
る高感度な電子写真感光体を提供する。
Description
コンフタロシアニン化合物とジアルコキシシリコンフタ
ロシアニン化合物の組成物に関するものである。さら
に、このシリコンフタロシアニン組成物を感光層に含有
する電子写真感光体、特にプリンター、ファクシミリ、
複写機に有効に用いることができる電子写真感光体に関
するものである。
な光導電性を示し、例えば電子写真感光体等に使用され
ている。また、近年、従来の白色光のかわりにレーザー
光を光源とし、高速化、高画質、ノンインパクト化をメ
リットとしたレーザープリンターが広く普及するに至
り、その要求に耐えうる感光体の開発が盛んである。特
にレーザー光の中でも近年進展が著しい半導体レーザー
を光源とする方式が主流であり、その光源波長である7
80nm前後の長波長光に対して高感度な特性を有する
感光体が強く望まれている。このような状況の中、フタ
ロシアニン化合物は比較的容易に合成できること、
600nm以上の長波長域に吸収ピークを有すること、
中心金属や結晶形により分光感度が変化し、半導体レ
ーザーの波長域で高感度を示すものがいくつか発表され
ていること等から、精力的に研究開発が行われてきてい
る。
により吸収スペクトルや光導電性が異なるだけでなく、
結晶形によってもこれらの物性には差があり、同じ中心
金属を持つフタロシアニンでも結晶形の違いで光導電性
に大きな影響を及ぼすことが知られている。例えば、銅
フタロシアニンについてみると、安定系のβ形以外に
α、γ、ε、π、χ、τ、ρ、δ等の結晶形が知られて
おり、これらの結晶形は、機械的歪力、硫酸処理、有機
溶剤処理、加熱処理等により相互に転移可能であること
が知られている(有機エレクトロニクス材料シリーズ6
フタロシアニン参照)。また、特開昭50−3854
3号公報には、銅フタロシアニンの結晶形と電子写真特
性について、α、β、γ、ε形の比較では、ε形が最も
高い感度を示すことが記載されている。
は、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンを用いた電子
写真感光体が、米国特許第4,557,989号明細書
に記載され、特開平3−73961号公報にはハロゲン
化シリコンフタロシアニン、ジヒドロキシシリコンフタ
ロシアニンを用いた電子写真感光体の記載が、また、特
開平6−214415号公報にもヒドロキシメタルフタ
ロシアニン(Al、Ga、In、Si、Ge、Sn)を
用いた電子写真感光体についての報告があり、ジヒドロ
キシシリコンフタロシアニンに関しては一つの結晶形を
提示している。
載のシリコンフタロシアニンは、それらの分散性、分散
液の塗布性、保存性に関して問題があり、また、電子写
真特性においても十分な帯電性が得られない。また、従
来提案されているフタロシアニン化合物であっても、光
導電材料として使用した場合の光感度と耐久性の点で、
いまだ十分満足のいくものではなく、新たなフタロシア
ニン化合物の開発が強く望まれている。そこで、本発明
は、従来の技術における上述のような実情に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、光電材料として光感度、
耐久性、環境特性に優れたフタロシアニン化合物および
高感度かつ高耐久性、高安定性の電子写真感光体を提供
することにある。
ン化合物と電子写真特性との関係について十分な検討を
重ねた結果、ジヒドロキシシリコンフタロシアニン化合
物とジアルコキシシリコンフタロシアニン化合物の組成
物を含有してなる電子写真感光体が、光電材料として光
感度、耐久性が優れ、更に環境特性の向上に著しい効果
があることを見い出した。すなわち、本発明は、ジヒド
ロキシシリコンフタロシアニン化合物とジアルコキシシ
リコンフタロシアニン化合物の組成物を含有する電子写
真感光体に係わるものである。以下、本発明を詳細に説
明する。本発明のジヒドロキシシリコンフタロシアニン
化合物とジアルコキシシリコンフタロシアニン化合物は
下記一般式(I)、(II)で示される。
ッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子を表し、a、b、c、d
はそれぞれ独立して0〜4の整数を表す)
素数1〜8までのアルキル基、ハロゲン化アルキル基を
表す。X5 、X6 、X7 、X8 はそれぞれ独立してフッ
素、塩素、臭素、ヨウ素原子を表し、e、f、g、hは
それぞれ独立して0〜4の整数を表す)
ニン化合物は上記一般式(I)に示した構造であれば特
に制限はないが、X線回折スペクトルにおいて、ブラッ
グ角2θ(±0.3°)9.2、14.1、15.3、
19.7、27.1°にピークを有するジヒドロキシシ
リコンフタロシアニン化合物が好ましい。図1にX線回
折スペクトルを示すが、ブラッグ角2θ(±0.3°)
9.2、14.1、15.3、19.7、27.1°に
ピークを有し、その他のピーク、例えば、12.2、2
3.1、23.4°にもピークを有す。尚、製造条件の
微妙な違い、X線回折スペクトルの測定手法等で強度の
割合、位置等が多少変動することもある。
ニン化合物のアルコキシ基としては、炭素数1〜8まで
のアルコキシ基、またはハロゲン化アルコキシ基が挙げ
られる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ
基、ter−ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ
基、シクロヘキソキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基
およびこれらがハロゲン原子で置換されたアルコキシ基
が挙げられる。これらアルコキシ基のなかで、炭素数1
〜6までのアルコキシ基がより好ましく、更に炭素数1
〜3までのアルコキシ基が好ましい。
ニン化合物は、例えば次のようにして製造することがで
きるが、これに限定されるものではない。例えば、1,
3−ジイミノイソインドリンと四塩化ケイ素を溶媒中で
加熱した後、反応生成物をろ過、洗浄、精製し、ジクロ
ロシリコンフタロシアニン化合物を得る。これを水の存
在下、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホキシド、スルホラン等の極性溶剤で加熱することによ
り、加水分解が起き、ジヒドロキシシリコンフタロシア
ニン化合物が生成する。
ニン化合物は、次のようにして製造することができる
が、これに限定されるものではない。例えば、上記方法
で得たジクロロシリコンフタロシアニン化合物をアルコ
ール溶剤中ナトリウムアルコキサイドで処理することに
よってジアルコキシシリコンフタロシアニン化合物を生
成する。
リコンフタロシアニン化合物およびジアルコキシシリコ
ンフタロシアニン化合物は、処理溶剤から単離、洗浄、
乾燥することにより得られる。ジヒドロキシシリコンフ
タロシアニン化合物とジアルコキシシリコンフタロシア
ニン化合物の混合割合としては、ジヒドロキシシリコン
フタロシアニン化合物:ジアルコキシシリコンフタロシ
アニン化合物で10:90〜95:5の範囲が好まし
く、更に30:70〜90:10の範囲が好ましい。ジ
ヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物が10以下で
は感度がやや低下し、また、95以上では環境特性がや
や劣る。
アニン化合物とジアルコキシシリコンフタロシアニン化
合物の組成物を感光層における光導電材料として使用し
た電子写真感光体について説明する。本発明の電子写真
感光体において、導電性支持体上に被覆される感光層
は、単層型構造からなるものであっても、あるいは電荷
発生層および電荷輸送層からなる積層型構造であっても
良い。また、導電性支持体と感光層との間に下引き層を
形成してもよく、単層型構造では感光層上に、積層型構
造では電荷輸送層上に表面保護層を設けていても良い。
して使用することができるものならばいかなるものでも
良い。具体的には例えば、アルミニウム、銅、ニッケル
等の金属ドラム、シートあるいはこれら金属箔のラミネ
ート物、蒸着物が挙げられる。さらに、金属粉末、カー
ボンブラック、ヨウ化銅、高分子電解質等の導電物質を
適当なバインダーとともに塗布して導電処理したプラス
ティックフィルム、プラスティックドラム、紙等が挙げ
られる。また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維
等の導電性物質を含有し、導電性となったプラスティッ
クシートやドラムあるいは酸化スズ、酸化インジウム等
の導電性金属酸化物層を表面に有するプラスティックフ
ィルム等が挙げられる。
電荷の注入を阻止するために有効であり、感光層の帯電
を高める作用がある。さらに、感光層と導電性支持体と
の密着性を高める作用もある。下引き層を構成する材料
としては、アルミニウム陽極酸化皮膜、酸化アルミニウ
ム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、表面処理酸化チ
タン等の無機物、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポ
リビニルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、
ゼラチン、デンプン類、ポリウレタン、ポリイミド、ポ
リアミド等の有機層、その他、有機ジルコニウム化合
物、チタニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシ
ド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング
剤等が挙げられる。下引き層の膜厚は0.1〜20μm
の範囲が好ましく、0.1〜10μmの範囲で使用する
のが最も効果的である。
合、電荷発生層は前記ジアルコキシシリコンフタロシア
ニン化合物および結着樹脂から構成される。本発明では
前記ジアルコキシシリコンフタロシアニン化合物の他に
さらに他の電荷発生物質を併用しても良い。併用できる
電荷発生物質は、チタニルフタロシアニン、ガリウムフ
タロシアニン、インジウムフタロシアニン、シリコンフ
タロシアニン、無金属フタロシアニン等が挙げられる。
また、上記以外のフタロシアニン系化合物、アゾ系化合
物、アントラキノン系化合物、ペリレン系化合物、多環
キノン系化合物、スクアリック酸メチン系化合物等が挙
げられるが、これらに制限されるものではない。結着樹
脂は広範な絶縁性樹脂から選択することができる。好ま
しい結着樹脂としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル、メタクリ
ル酸エステル、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビ
ニルアルコール、エチルビニルエーテル、ビニルピリジ
ン等のビニル化合物の重合体および共重合体、フェノキ
シ樹脂、ポリスルホン、ポリビニルアセタール、ポリビ
ニルブチラール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロ
ースエーテル、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、アルキッド
樹脂、ポリアリレート等が挙げられるが、これらに制限
されるものではない。
溶解した溶液に前記ジヒドロキシシリコンフタロシアニ
ン化合物とジアルコキシシリコンフタロシアニン化合物
の組成物を分散(一部溶解しても良い)させて塗布液を
調整し、それを導電性支持体上に塗布し、乾燥すること
によって形成することができる。分散処理する方法とし
ては、公知の方法、例えば、ボールミル、サンドグライ
ンドミル、遊星ミル、ロールミル、ペイントシェーカー
等の方法を用いることができる。その場合、前記ジヒド
ロキシシリコンフタロシアニン化合物とジアルコキシシ
リコンフタロシアニン化合物の組成物と結着樹脂との割
合は、特に制限されないが、前記ジヒドロキシシリコン
フタロシアニン化合物とジアルコキシシリコンフタロシ
アニン化合物の組成物100重量部に対して結着樹脂1
〜1000重量部、好ましくは10〜400重量部の範
囲である。ジヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物
とジアルコキシシリコンフタロシアニン化合物の組成物
の比率が高すぎる場合には、塗布液の安定性が低下し、
低すぎる場合は、残留電位が高くなるので、組成比は上
記範囲が適当である。使用する有機溶剤としては、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノ
メチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチエチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素、モノクロロベンゼン、ジク
ロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素、塩化メチ
レン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、ト
リクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール
類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド
等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド
類等が挙げられる。塗布液は、ディップコーティング
法、スプレーコーティング法、スピナーコーティング
法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング
法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング
法、カーテンコーティング法、リングコーティング法等
のコーティング法により塗布することができる。塗布後
の乾燥は、25〜250℃の温度で5分〜3時間の範囲
で静止または送風下で行うことができる。また、形成さ
れる電荷発生層の膜厚は、通常0.1〜5μmの範囲が
適当である。
脂、場合によって酸化防止剤等の添加物より構成され
る。電荷輸送材料は一般に電子輸送材料とホール輸送材
料の2種に分類されるが、本発明の電子写真感光体はい
ずれも使用することができ、また、その混合物も使用で
きる。電子輸送材料としては、ニトロ基、シアノ基、エ
ステル基等の電子吸引性基を有する電子吸引性化合物、
例えば、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,
4,5,7−テトラニトロフルオレノン等のニトロ化フ
ルオレノン、テトラシアノキノジメタン、あるいはジフ
ェノキノン等のキノン類が挙げられる。また、ホール輸
送材料としては、電子供与性の有機光電性化合物、例え
ば、カルバゾール系、インドール系、イミダゾール系、
オキサゾール系、チアゾール系、オキサジアゾール系、
ピラゾール系、ピラゾリン系、チアジアゾール系、ベン
ゾオキサゾール系、ベンゾチアゾール系、ナフトチアゾ
ール系等の複素環化合物、ジフェニルメタン等のジアリ
ールアルカン誘導体、トリフェニルメタン等のトリアリ
ールアルカン誘導体、トリフェニルアミン等のトリアリ
ールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フ
ェニルカルバゾール誘導体、スチルベン等のジアリール
エチレン誘導体、ヒドラゾン系誘導体、ジアルキルアミ
ノ基、ジフェニルアミノ基のような置換アミノ基、ある
いはアルコキシ基、アルキル基のような電子供与基、あ
るいはこれらの電子供与基が置換した芳香族環基が置換
した電子供与性の大きな化合物が挙げられる。また、ポ
リビニルカルバゾール、ポリグリシジルカルバゾール、
ポリビニルピレン、ポリビニルフェニルアントラセン、
ポリビニルアクリジン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂
等、上記化合物からなる基を主鎖もしくは側鎖に有する
重合体も挙げられる。更に代表的には次の化合物が挙げ
られる。
生層に使用されるものと同様の絶縁性樹脂が使用でき
る。電荷輸送材料と結着樹脂との割合は、特に制限され
ないが、前記電荷輸送材料100重量部に対して結着樹
脂20〜3000重量部、好ましくは50〜1000重
量部の範囲である。電荷輸送層は、上記電荷輸送材料お
よび結着樹脂を前記した電荷発生層に使用されるものと
同様の有機溶剤を用いて塗布液を調整した後、前記と同
様の方法により塗布し、乾燥することによって形成する
ことができる。また、電荷輸送層の膜厚は、通常5〜5
0μmの範囲が適当である。
は、感光層は前記ジヒドロキシシリコンフタロシアニン
化合物とジアルコキシシリコンフタロシアニン化合物の
組成物、電荷輸送材料、結着樹脂から構成され、電荷輸
送材料および結着樹脂は、前期と同様なものが使用され
る。感光層には必要に応じて酸化防止剤、増感剤等の各
種添加物を含んでいても良い。ジヒドロキシシリコンフ
タロシアニン化合物とジアルコキシシリコンフタロシア
ニン化合物の組成物および電荷輸送材料と結着樹脂との
割合は、ジヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物と
ジアルコキシシリコンフタロシアニン化合物の組成物お
よび電荷輸送材料10重量部に対して結着樹脂2〜30
0重量部、ジヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物
とジアルコキシシリコンフタロシアニン化合物の組成物
と電荷輸送材料との割合は、ジヒドロキシシリコンフタ
ロシアニン化合物とジアルコキシシリコンフタロシアニ
ン化合物の組成物1重量部に対して電荷輸送材料0.0
1〜100重量部の範囲が適当である。そして、前期と
同様に塗布液を調整した後、塗布、乾燥することによっ
て感光層が得られる。以下、実施例によって、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越え
ない限り以下の実施例によって制限されるものではな
い。
イミノイソインドリン43.5gおよび四塩化ケイ素7
3.5gをキノリン500ml中に添加し、窒素雰囲気
下、210〜220℃で1時間反応させた。生成物を1
80℃で熱ろ過し、キノリン、アセトンの順で洗浄し
た。次いで、アセトン300ml中で加熱還流した後、
結晶をろ別し、乾燥してジクロロシリコンフタロシアニ
ン38.7gを得た。構造解析はマススペクトル(ネガ
ティブ測定)、IR(KBr法)元素分析で行った。図
2にジクロロシリコンフタロシアニンのマススペクトル
を、図3にIRスペクトルを示す。マススペクトルでは
m/z:610にジクロロシリコンフタロシアニンのピ
ークが確認された。m/z:575は塩素原子が一つは
ずれたフラグメントピークである。IRスペクトルでは
1533、1079、1060cm-1にジクロロシリコ
ンフタロシアニン特有の吸収が見られた(E.Cili
berto et al.,J.Am.Chem.So
c.,106,7748(1984)参照)。元素分析
の結果も以下に示すが、計算値とほぼ一致している。こ
れにより合成物はジクロロシリコンフタロシアニンと確
認された。
折スペクトルを図4に示す。2θが10.7、12.
3、15.5、17.6、19.9、24.6、26.
8、27.6°にそれぞれピークを有す。
1で合成したジクロロシリコンフタロシアニン10gを
水5gとN−メチルピロリドン95g(95%NMP水
溶液)に添加し、130℃で8時間反応させた。生成物
を熱ろ過し、NMP、アセトンの順で洗浄した。次い
で、アセトン50ml中で室温攪拌した後、結晶をろ別
し、乾燥してジヒドロキシシリコンフタロシアニン8.
4gを得た。構造解析はマススペクトル(ネガティブ測
定)、IR(KBr法)、元素分析で行った。図5にジ
ヒドロキシシリコンフタロシアニンのマススペクトル
を、図6にIRスペクトルを示す。マススペクトルでは
m/z:574にジヒドロキシシリコンフタロシアニン
のピークが確認された。m/z:557は水酸基が一つ
はずれたフラグメントピークである。IRスペクトルで
は1519、1066、839cm-1にジヒドロキシシ
リコンフタロシアニン特有の吸収が見られた(上記論文
参照)。元素分析の結果も以下に示すが、計算値とほぼ
一致している。これにより合成物はジヒドロキシシリコ
ンフタロシアニンと確認された。
折スペクトルを図1に示す。2θに主たるピーク9.2
°を有し、その他12.2、14.0、15.3、1
9.7、23.4、27.1°にそれぞれピークを有
す。
1で合成したジクロロシリコンフタロシアニン4.4g
をNaOH 1.1g、水100ml、ピリジン26m
lの混合液に添加し、還流加熱で1時間反応させた。生
成物を熱ろ過し、ピリジン、アセトン、水の順で洗浄し
た。次いで、水50ml中で室温撹拌を数回繰り返した
後、中性を確認し、結晶をろ別、乾燥してジヒドロキシ
シリコンフタロシアニン3.2gを得た。構造解析をマ
ススペクトル(ネガティブ測定)、IR(KBr法)で
行った結果、合成例2のジヒドロキシシリコンフタロシ
アニンと同様のスペクトルが得られジヒドロキシシリコ
ンフタロシアニンと確認された。得られたジヒドロキシ
シリコンフタロシアニンのX線回折スペクトルを図7に
示す。2θが7.1、9.3、12.8、15.8、1
7.2、25.6、26.9°にそれぞれピークを有
す。
で合成したジクロロシリコンフタロシアニン10gをナ
トリウムメトキシド1.86g、メタノール100m
l、ピリジン100mlの混合液に添加し、還流下で3
時間反応させた。生成物を熱ろ過し、メタノール、水、
アセトンの順で洗浄した。次いで、水100ml中で洗
浄を数回繰り返した後、中性を確認し、結晶をろ別、乾
燥してジメトキシシリコンフタロシアニン9.7gを得
た。構造解析はマススペクトル(ネガティブ測定)、I
R(KBr法)、元素分析で行った。図8にジメトキシ
シリコンフタロシアニンのマススペクトルを示す。マス
スペクトルではm/z:602にジメトキシシリコンフ
タロシアニンのピークが確認された。m/z:571は
メトキシ基が一つはずれたフラグメントピークである。
元素分析の結果も以下に示すが、計算値とほぼ一致して
いる。これにより合成物はジメトキシシリコンフタロシ
アニンと確認された。
スペクトルを図9に示す。2θが8.1、12.2、1
3.0、17.0、18.7、23.3、26.0、2
7.8、30.4°にそれぞれピークを有す。
で合成したジクロロシリコンフタロシアニン3gをナト
リウムエトキシド0.68g、メタノール50ml、ピ
リジン50mlの混合液に添加し、還流下で3時間反応
させた。生成物を熱ろ過し、エタノール、水、アセトン
の順で洗浄した。次いで、水50ml中で洗浄を数回繰
り返した後、中性を確認し、結晶をろ別、乾燥してジエ
トキシシリコンフタロシアニン2.7gを得た。構造解
析はマススペクトル(ネガティブ測定)、IR(KBr
法)で行った。図10にジエトキシシリコンフタロシア
ニンのマススペクトルを示す。マススペクトルではm/
z:630にジエトキシシリコンフタロシアニンのピー
クが確認された。m/z:585はエトキシ基が一つは
ずれたフラグメントピークである。得られたジエトキシ
シリコンフタロシアニンのX線回折スペクトルを図11
に示す。2θが8.4、10.9、11.7、14.
6、16.7、17.2、24.6、26.8°にそれ
ぞれピークを有す。
ン0.2gと合成例4で製造したジメトキシシリコンフ
タロシアニン0.2g(組成比50:50)を4−メト
キシ−4−メチルペンタノン−2、30gとともに、サ
ンドグラインドミルで6時間粉砕、微粒子化分散処理を
行った。次に、ポリビニルブチラール(電気化学工業
(株)製、デンカブチラール#6000C)0.1gと
フェノキシ樹脂(ユニオンカーバイド(株)製、UCA
R)0.1gの10% 4−メトキシ−4−メチルペン
タノン−2溶液と混合して分散液を調整した。この分散
液をアルミニウム蒸着されたポリエステルフィルム上に
バーコータにより乾燥後の膜厚が0.4となるように電
荷発生層を設けた。次にこの電荷発生層の上に、下記に
示すヒドラゾン化合物5.6gと
(株)、ノバレックス7030A)10gをTHF62
gに溶解させた溶液をアプリケーターにより塗布し、乾
燥後の膜厚が20μmとなるように電荷輸送層を設け
た。
リコンフタロシアニンの組成割合を合成例2で製造した
ジヒドロキシシリコンフタロシアニン0.26gと合成
例4で製造したジメトキシシリコンフタロシアニン0.
14g(組成比65:35)に代えた他は実施例1と同
様にして電子写真感光体を作成した。
リコンフタロシアニンの組成割合を合成例2で製造した
ジヒドロキシシリコンフタロシアニン0.3gと合成例
4で製造したジメトロキシシリコンフタロシアニン0.
1g(組成比75:25)に代えた他は実施例1と同様
にして電子写真感光体を作成した。
リコンフタロシアニンの組成割合を合成例2で製造した
ジヒドロキシシリコンフタロシアニン0.36gと合成
例4で製造したジメトキシシリコンフタロシアニン0.
04g(組成比90:10)に代えた他は実施例1と同
様にして電子写真感光体を作成した。
リコンフタロシアニンの組成割合を合成例2で製造した
ジヒドロキシシリコンフタロシアニン0.12gと合成
例4で製造したジメトキシシリコンフタロシアニン0.
28g(組成比30:70)に代えた他は実施例1と同
様にして電子写真感光体を作成した。
リコンフタロシアニンの組成割合を合成例3で製造した
ジヒドロキシシリコンフタロシアニン0.12gと合成
例4で製造したジメトキシシリコンフタロシアニン0.
28g(組成比30:70)に代えた他は実施例1と同
様にして電子写真感光体を作成した。
リコンフタロシアニンの組成割合を合成例2で製造した
ジヒドロキシシリコンフタロシアニン0.2gと合成例
5で製造したジエトキシシリコンフタロシアニン0.2
g(組成比50:50)に代えた他は実施例1と同様に
して電子写真感光体を作成した。
シアニン0.4gを単独で用いた他は実施例3と同様に
して電子写真感光体を作成した。 比較例2 合成例3において製造したジヒドロキシシリコンフタロ
シアニン0.4gを単独で用いた他は実施例3と同様に
して電子写真感光体を作成した。 比較例3 合成例4において製造したジメトキシシリコンフタロシ
アニン0.4gを単独で用いた他は実施例3と同様にし
て電子写真感光体を作成した。
装置(川口電気製作所製、モデルEPA−8100)を
用いて初期電気特性(帯電電位、暗減衰、半減露光量感
度、残留電位)を評価した。評価法としては、暗所でコ
ロナ電流が22μAになるように設定した印加電圧でコ
ロナ放電により感光体を負帯電させ(この時の表面電位
を帯電電位とする)、2.4秒後に780nmの単色光
(1.0μW/cm2 )を10秒間連続的に露光し表面
電位の減衰を測定した(露光10秒後の表面電位を残留
電位とする)。暗減衰は帯電1秒後に低下した電位と
し、半減露光量感度は表面電位が−450Vから−22
5Vに減少するのに要した露光量(E1/2)で求めた。結
果を表1に示す。
比較例1、3の感光体を用いて測定した。環境特性は温
度25℃、湿度50%の条件下、および温度5℃、湿度
10%条件下で行い、感度の変化率、残留電位の差で評
価した。結果を表2に示す。
用いて測定した。比較としてβ型チタニルフタロシアニ
ンを用いた。結果を図12に示す。表1より本発明のジ
ヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物とジアルコキ
シシリコンフタロシアニン化合物の組成物は帯電性、暗
減衰、感度、残留電位ともに優れた特性を示す。比較例
1のジヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物、比較
例3のジメトキシシリコンフタロシアニン化合物も帯電
性、暗減衰、感度、残留電位ともに優れた特性を示す
が、表2より環境特性においては感度変化、残留電位変
化が大きい。それに対し本発明のジヒドロキシシリコン
フタロシアニン化合物とジアルコキシシリコンフタロシ
アニン化合物の組成物は環境特性においても優れた特性
を示す。また、図12の分光感度特性をみても、550
nmから900nmまでの広範囲で高感度特性を示し、
780nmのレーザーのみならず、今後展開される短波
長レーザー(630nm、650nm、680nm等)
対応のプリンター用の材料としても有用である。
ジヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物とジアルコ
キシシリコンフタロシアニン化合物の組成物を感光層と
して用いた電子写真感光体は、表1、2からも明らかな
ように、感度特性、電荷保持性、環境特性に優れてお
り、プリンター、ファクシミリ、複写機に有効に用いる
ことができるものである。また近い将来展開される短波
長レーザー対応の材料、感光体としても極めて有益であ
る。
ロシアニン化合物のX線回折図を示す。
アニン化合物のマススペクトル図を示す。
アニン化合物のIRスペクトル図を示す。
アニン化合物のX線回折図を示す。
ロシアニン化合物のマススペクトル図を示す。
ロシアニン化合物のIRスペクトル図を示す。
ロシアニン化合物のX線回折図を示す。
シアニン化合物のマススペクトル図を示す。
シアニン化合物のX線回折図を示す。
ロシアニン化合物のマススペクトル図を示す。
ロシアニン化合物のX線回折図を示す。
シアニンを用いて測定した分光感度を示す。
Claims (3)
- 【請求項1】 導電性支持体上に有機光導電性物質を含
有する光導電層を有する電子写真感光体において、下記
一般式(I)で示されるジヒドロキシシリコンフタロシ
アニン化合物および下記一般式(II)で示されるジアル
コキシシリコンフタロシアニン化合物を含有してなる電
子写真感光体 【化1】 (式中、X1 、X2 、X3 、X4 はそれぞれ独立してハ
ロゲン原子を表し、a、b、c、dはそれぞれ独立して
0〜4の整数を表す) 【化2】 (式中、R1 、R2 は同一でも異なっていてもよく、炭
素数1〜8までのアルキル基、ハロゲン化アルキル基を
表す。X5 、X6 、X7 、X8 はそれぞれ独立してハロ
ゲン原子を表し、e、f、g、hはそれぞれ独立して0
〜4の整数を表す) - 【請求項2】 ジヒドロキシシリコンフタロシアニン化
合物がX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ
(±0.3°)9.2、14.1、15.3、19.
7、27.1°にピークを有するジヒドロキシシリコン
フタロシアニン化合物であることを特徴とする請求項1
記載の電子写真感光体 - 【請求項3】 ジアルコキシシリコンフタロシアニン化
合物がジメトキシシリコンフタロシアニン化合物である
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子写
真感光体
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-
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- 1997-02-28 JP JP04597397A patent/JP3827034B2/ja not_active Expired - Fee Related
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