JPH10235802A - 化粧シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 白色系でかつ臭気ガスを満足に吸着し、しか
もその効果が長期間持続する化粧シートを提供する。 【構成】 光触媒酸化チタンの基体粒子に亜鉛酸化物を
担持した光触媒酸化チタン粉体をバインダーに添加して
基体シートの表面に被膜形成したから、酸素の存在下紫
外線を含有する光を照射すると、光触媒反応により悪臭
物質、刺激性物質、人体や生活環境に悪影響を及ぼす物
質等の有害物質を分解し除去することができる。したが
って、従来のように臭気ガスを吸着するのではなく分解
により処理するため飽和せず効果が長期間持続する。し
かも、光触媒酸化チタン粉体は白色系であるから化粧シ
ートの表面は求める色に任意に着色をすることができ、
利用範囲を広めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は脱臭機能を有する化粧シ
ートに関し、詳しくはアンモニア、硫化水素、アルデヒ
ド類等の不快な臭気ガスを脱臭する化粧シートに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】人間の生活環境で生じやすい不快な臭気
ガスとしてアンモニア、硫化水素、硫化メチル、アセト
アルデヒド等があげられる。これらの悪臭ガスを除去し
て生活環境を快適に保全する試みが行なわれており、例
えば活性炭や活性炭に酸やアルカリ等を担持させた添着
炭に悪臭ガスを吸着させて除臭する方法がとられてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この活性炭は
黒色であるため黒色系商品以外には使いにくいし、水分
を先に吸着してしまい本来の臭気ガスを満足に脱臭して
くれない問題があった。本発明の目的は、白色系でかつ
臭気ガスを満足に吸着し、しかもその効果が長期間持続
する化粧シートを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
構成は、光触媒酸化チタンの基体粒子に亜鉛酸化物を担
持した光触媒酸化チタン粉体をバインダーに添加して基
体シートの表面に被膜形成した構成を要件とする。

【０００５】請求項２記載の構成は、光触媒酸化チタン
の基体粒子に亜鉛およびケイ素の酸化物を担持した光触
媒酸化チタン粉体をバインダーに添加して基体シートの
表面に被膜形成した構成を要件とする。

【０００６】本発明でいう光触媒酸化チタンとは通常の
光触媒酸化チタンのほか含水光触媒酸化チタンも包含
し、亜鉛酸化物とは酸化亜鉛、水酸化亜鉛等をいい、ケ
イ素酸化物とは酸化ケイ素、ケイ酸、ケイ酸塩等を意味
する。

【０００７】また、本発明でいう担持とは光触媒酸化チ
タン基体粒子の単一粒子またはその集合体粒子の表面に
亜鉛の酸化物、ケイ素の酸化物が島状に分布または存在
している状態、光触媒酸化チタン基体粒子の表面全面に
連続した被覆層で被覆されている状態、あるいは光触媒
酸化チタン基体粒子間の隙間に取り込まれている状態を
いい、光触媒酸化チタン基体粒子と亜鉛酸化物、ケイ素
酸化物が物理的あるいは化学的に接触している状態であ
ればよい。

【０００８】光触媒酸化チタン基体粒子に担持する亜鉛
酸化物の担持量は、対象とする悪臭ガスの組成により任
意に変更できるが、一般に基体のＴｉに対してＺｎとし
てモル比でＴｉ：Ｚｎ＝９．９：０．１〜５：５、望ま
しくは９．５：０．５〜７：３がよい。

【０００９】担持量が前記の範囲より少ないとメチルメ
ルカプタン、硫化水素等の脱臭性能が低下し、前記範囲
より多いと遊離の亜鉛酸化物が多くなったり、アンモニ
ア、トリメチルアミン等の脱臭性能が低下する。

【００１０】一方、光触媒酸化チタン基体粒子に亜鉛お
よびケイ素酸化物の担持させた光触媒酸化チタン粉体の
場合、担持するケイ素酸化物の量は前記と同様に対象と
する悪臭ガスの組成により任意に変更でき、基体のＴｉ
に対してＺｎとしてモル比でＴｉ：Ｚｎ＝９．９：０．
１〜５：５、望ましくは９．５：０．５〜７：３を、ケ
イ素酸化物を亜鉛酸化物のＺｎに対してＳｉとしてモル
比でＺｎ：Ｓｉ＝９：１〜０．１：９．９、望ましくは
９：１〜４：６の範囲がよい。

【００１１】ケイ素酸化物の担持量が前記の範囲より少
ないと亜鉛酸化物が水溶液、特に酸性水溶液に溶解しや
すく脱臭性能が低下する可能性があり、溶出した亜鉛イ
オンが人体などに悪影響を及ぼす恐れがあり、前記範囲
より多いと亜鉛酸化物の溶解は少なくなるものの、特定
の悪臭ガスに対する脱臭性能が低下するため好ましくな
い。

【００１２】バインダーは従来より常用されているもの
でよく、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリ
ル樹脂、アミノアルキッド樹脂等の塗料組成物のほか印
刷用インキ等も使用することができる。光触媒酸化チタ
ン粉体の添加量としてはバインダーに対して重量比で１
〜２５％の範囲、望ましくは５〜１０％の範囲がよく、
あまり多く添加すると被膜強度が低下する。

【００１３】基体シートとしては２０〜３０ｇ／ｍ２程
度の薄葉紙、クラフト紙、発泡塩化ビニル樹脂シート
等、壁紙に使用されている常用のシート状物が用いら
れ、表面は予め所望の模様に印刷を施しておいてもよい
が、このときの印刷インキに前記の光触媒酸化チタン粉
体を添加したバインダーを混入させてもよいし、印刷後
にトップコートとして光触媒酸化チタン粉体を添加した
バインダーを塗布してもよい。なお、バインダーには必
要に応じて顔料等を添加して着色してもかまわない。塗
布はロールコーターやフローコーター、スプレー等の公
知手段による。

【００１４】以上で得られる化粧シートは家具や建具あ
るいは壁材、天井材等の建築仕上げ材の表面化粧材とし
て好ましく用いることができる。

【００１５】

【実施例】 （実施例１）光触媒酸化チタン基体粒子８０ｇを純水１
リットル中に分散させ、４０℃の温度に加温した後、こ
の分散液に２Ｎの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して分
散液のｐＨを８に調整した。ついで、撹袢下、この分散
液に１ｍｏｌ／ｌの塩化亜鉛水溶液１１０ｍｌと２Ｎの
水酸化ナトリウム水溶液を同時に分散液のｐＨを８に保
持しながら１０分間で滴下して生成物を得た。引き続き
この生成物を濾過し、洗浄して１２０℃の温度で乾燥
し、解砕して光触媒酸化チタン粉体を得た。

【００１６】つづいて、重さ２３ｇ／ｍ２の薄葉紙の表
面にグラビア印刷用インキにて木目模様を印刷形成し
た。ついで、ポリウレタン樹脂１００重量部に対し、前
記の光触媒酸化チタン粉体を５重量％添加してロールコ
ーターで塗布し、熱風ドライヤーで乾燥して求める化粧
シートを得た。

【００１７】（実施例２）１ｍｏｌ／ｌの四塩化チタン
水溶液１５０ｍｌを４０℃の温度に加温し、撹袢下、４
Ｎの水酸化ナトリウム水溶液を１０分間で滴下し、水溶
液のｐＨを３にすることにより光触媒酸化チタンの沈殿
物を得た。この光触媒酸化チタン基体粒子の分散液に撹
袢下、３ｍｏｌ／ｌの塩化亜鉛水溶液５０ｍｌとオルソ
ケイ酸ナトリウム３６．８ｇと４Ｎの水酸化ナトリウム
水溶液を同時に分散液のｐＨを８に保持しながら１０分
間で滴下して生成物を得た。

【００１８】つづいて、この生成物を濾過して洗浄し、
１２０℃の温度で乾燥し、解砕して光触媒酸化チタン粉
体を得た。つづいて、厚さ０．５ｍｍの塩化ビニル樹脂
シートの表面に、ポリウレタン樹脂１００重量部に対
し、前記の光触媒酸化チタン粉体を４重量％添加してロ
ールコーターで塗布し、熱風ドライヤーで乾燥して求め
る化粧シートを得た。

【００１９】そして、２５×３０ｃｍのポリエチレン製
袋中にホルマリン５％水溶液、ＪＩＳ Ｋ ６７７２に
より調製した人工汗液、アンモニア１．２５％水溶液、
クレゾール１％水溶液、硫化水素ガスを５分間通した硫
化水素水溶液の薬品をそれぞれ０．４５ｇ染み込ませた
直径９ｃｍの１／４の濾紙を入れ、袋の底に１０ｃｍ２
の前記２種の化粧シートを入れて、袋中の臭気の強さを
試験した。さらに、その化粧シートを１８０℃で２０秒
間加熱した場合についても同様の試験を行った。結果を
表１に示す。

【００２０】

【表１】

【００２１】上記の試験結果から本発明の化粧シート
は、日常で発生する臭気ガスに対して脱臭効果を示し、
経時変化による影響も比較的少なく相当期間の安定した
効果を示すことがわかった。

【００２２】

【発明の効果】本発明によれば、酸素の存在下紫外線を
含有する光を照射すると、光触媒反応により悪臭物質、
刺激性物質、人体や生活環境に悪影響を及ぼす物質等の
有害物質を分解し除去することができる。したがって、
従来のように臭気ガスを吸着するのではなく分解により
処理するため飽和せず効果が長期間持続する。しかも、
光触媒酸化チタン粉体は白色系であるから化粧シートの
表面は求める色に任意に着色をすることができ、利用範
囲を広めることができる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光触媒酸化チタンの基体粒子に亜鉛酸化
   物を担持した光触媒酸化チタン粉体をバインダーに添加
   して基体シートの表面に被膜形成した化粧シート。
2. 【請求項２】 光触媒酸化チタンの基体粒子に亜鉛およ
   びケイ素の酸化物を担持した光触媒酸化チタン粉体をバ
   インダーに添加して基体シートの表面に被膜形成した化
   粧シート。