JP2007111333A - 消臭性、抗菌性を有する履物。 - Google Patents

消臭性、抗菌性を有する履物。 Download PDF

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Abstract

【課題】
靴やスリッパ等の履物において、使用を重ねる程に人体の汗や油、あるいは埃等の汚れが雑菌とともに酸化して発せられる不快な臭いの発生を防止することのできる消臭性、抗菌性を有する履物を提供することを目的とする。
【解決手段】
人が使用した履物等に発現する独特な足の不快な臭いは、主に酸性ガスと、アルデヒドガスであることから、それぞれのガスの消臭に特に効果のある酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤と、吸着剤を選択し、さらに光触媒を担持させ、紫外線を照射することにより、雑菌等を殺菌し、臭いのしない清潔な履物が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【選択図】図4

Description

本発明は、使用した靴やスリッパ等の履物から発せられる臭い、或いは使用後の靴下やストッキング等から臭ういやな臭いといった、人体から発せられる汗等が雑菌とともに酸化して発せられる不快な臭いを消臭し、臭いの原因となる白癬菌等のカビや細菌を殺菌する技術である。
靴やスリッパ等の履物のいやな臭いを消臭する方法には、様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1においては、病院や診療所のような多くの人に使われるスリッパの消毒方法で、下駄箱タイプのスリッパ消毒殺菌器とし、紫外線ランプを全てのスリッパに均等に照射するようにし、スリッパに付いた雑菌を効率的に消毒する方法が開示されている。
また、特許文献2においては、靴下において、爪先部と足裏部と足甲部に消臭繊維を用いて、足から発生する悪臭を直接防止する方法が開示されている。
また、特許文献3においては、靴等の履物のアッパー裏面及び中底上面又は中敷上面に光触媒層を形成し、使用後、紫外線照射室内に収納して紫外線照射することによって、光触媒が化学反応をおこし、活性酸素の生成によって履物に付着している雑菌や臭いの元を死滅する技術を開示している。
特開2000−189498号公報 特開平8−158104号公報 特開2004−49888号公報
しかしながら、上記特許文献1、3に記載の方法では、履物の殺菌は行われるものの、悪臭が完全に分解されずに残った中間生成物質の悪臭やオゾン臭が紫外線照射室内に残り、蓋をあけた時に不快臭が一気に周辺に広がり満足のいくものとはなっていなかった。また、消臭繊維を用いる特許文献2の方法では、長期にわたり使用を繰り返すうちに消臭効果が弱くなり、耐久性に問題があり、また履物に付着した悪臭までも消臭殺菌するものではなかった。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、靴やスリッパ等の履物において、使用を重ねる程に人体の汗や油、あるいは埃等の汚れが雑菌とともに酸化して発せられる不快な臭いの発生を防止することのできる消臭性、抗菌性を有する履物を提供することを目的とする。
本発明は、人体の汗や油、あるいは埃等の汚れが雑菌とともに酸化して発せられる足の不快な臭いは、主に酸性ガス(イソ吉草酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸等)と、アルデヒドガス(イソバレルアルデヒド、プロパナール、ブタナール、イソブチルアルデヒド、ペンタナール等)であることから、それぞれのガスの消臭に特に効果のある消臭剤と吸着剤を選択し、さらに加えて光触媒を担持させることにより、雑菌等を殺菌し、いやな臭いを発生しない清潔な履物が得られることを見出し、本発明に至ったものである。上記課題を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質と、酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤とが、履物の少なくとも一部にバインダー樹脂によって固定されていることを特徴とする消臭性、抗菌性を有する履物。
[2]前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質が、光触媒を細孔内に固着した疎水性ゼオライトである前項1に記載の消臭性、抗菌性を有する履物。
[3]前記酸性ガス消臭剤が水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、水酸化鉄、塩化鉄、塩基添着炭の群から選ばれる少なくとも一種以上の消臭剤である前項1または2に記載の消臭性、抗菌性を有する履物。
[4]前記アルデヒドガス消臭剤がヒドラジン誘導体、水加ヒドラジンを担持した多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウム、アミノ基を担持した多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウムの群から選ばれる少なくとも一種以上の消臭剤である前項1乃至3のいずれか1項に記載の消臭性、抗菌性を有する履物。
[5]前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質の平均粒径が20nm〜30μm、前記酸性ガス消臭剤の平均粒径が10nm〜100μm、前記アルデヒドガス消臭剤の平均粒径が10nm〜100μm、である前項1乃至4のいずれか1項に記載の消臭性、抗菌性を有する履物。
[1]の発明では、履物の少なくとも一部に、光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質と、酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤とが、バインダー樹脂によって固定されているので、湿気の多い環境下でも悪臭を吸着捕捉することができ、吸着捕捉された悪臭は、酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤と光触媒の働きによって分解され、中間成生物を放出することなく最終的に炭酸ガスと水に分解され、完全な分解除去が達成されるので、臭いの発生しない清潔な履物が得られる。また、強い酸化作用のある光触媒が疎水性無機多孔質物質の細孔内に固着されて表面に露出していないので、バインダー樹脂や履物に光触媒が直接接触することがなく、バインダー樹脂や履物が変色したり劣化するのを防ぐことができるとともに、優れた抗菌効果(殺菌効果)のある履物とすることができる。
[2]の発明では、光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質が、光触媒を細孔内に固着した疎水性ゼオライトであるので、光触媒の分解作用によって中間生成物をさらに効率よく吸着捕捉することができる。特に、疎水性ゼオライトは水分の吸着が少ないため、湿度の高い雰囲気においても、光触媒反応の過程で生成される中間成生物を効率的に吸着することができ、中間成生物による二次汚染を抑制することができ、いやな臭いが新たに発生しない清潔な履物が得られる。
[3]の発明では、酸性ガス消臭剤が水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、水酸化鉄、塩化鉄、塩基添着炭の群から選ばれる少なくとも一種以上の消臭剤であるのでイソ吉草酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸等の酸性ガスを分解消臭する履物を得ることができる。
[4]の発明では、アルデヒドガス消臭剤がヒドラジン誘導体、水加ヒドラジンを担持した多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウム、アミノ基を担持した多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウムの群から選ばれる少なくとも一種以上の消臭剤であるのでイソバレルアルデヒド、プロパナール、ブタナール、イソブチルアルデヒド、ペンタナール等のアルデヒドガスを分解消臭する履物を得ることができる。
[5]の発明では、光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質の平均粒径が20nm〜30μm、前記酸性ガス消臭剤の平均粒径が10nm〜100μm、前記アルデヒドガス消臭剤の平均粒径が10nm〜100μmであるので、履物の風合いが硬くなったり、表面にざらつき感を発現することなく履物にバインダー樹脂によって固定することができる。
本発明の履物の形態としては、靴、スリッパ、草履等人が足に履くものをいい、その材料は繊維や、皮革、樹脂あるいはゴム、木製等であってもよい。人が使用した履物等には、人体の汗や油、あるいは埃等の汚れが付着し、高温多湿の環境で雑菌とともに酸化して足の不快な臭いが発生する。その悪臭をガス分析器で分析すると、主に酸性ガス(イソ吉草酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸等)と、アルデヒドガス(イソバレルアルデヒド、プロパナール、ブタナール、イソブチルアルデヒド、ペンタナール等)であることから、それぞれのガスの消臭に特に効果のある消臭剤と吸着剤を選択し、さらに光触媒を担持させ、紫外線を照射することにより、雑菌等を殺菌し、臭いの発生しない清潔な履物が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
一般に消臭、抗菌、防汚、VOC除去等の機能を付与する光触媒としては、例えば酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化第二鉄等を挙げることができる。これら光触媒は、紫外線や可視光により励起されて水や酸素がOHラジカルや・O となり、その強い酸化作用で有機物を、水とニ酸化炭素に分解することができものである。また、光触媒の触媒活性を高めるため、白金、パラジウム、ロジウムなどの白金族金属を固着させた構成のものや、銀、銅、亜鉛等の殺菌性のある金属を固着させたものを使用することもできる。
本発明における、光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質は、疎水性無機多孔質物質の細孔内に、光触媒溶液を含浸させ、焼成させることで得られる。疎水性無機多孔質物質の細孔内に担持された光触媒は、非常に高度に分散された光触媒であり、微弱な光の下でも悪臭ガスに対して効率のよい活性を示す。更に、タバコ臭、汗臭等も簡単に消臭することができると共に、優れた抗菌効果(殺菌効果)も得られる。
前記光触媒を疎水性無機多孔質物質の細孔内に固着する方法としては、例えばチタン溶液を疎水性ゼオライトに含浸させ、乾燥、500℃6時間程度焼成することで作成できる。含浸させるチタン溶液としてはシュウ酸チタニル溶液、四塩化チタン、硫酸チタニル、アルコキシチタンが挙げられる。中でもシュウ酸チタニルは、熱分解で容易に酸化チタンに変化することから扱いやすく、またより安定し安全なことから好ましい。細孔内への酸化チタンの固着の判断は、紫外線吸収スペクトル、X線回析測定、電子顕微鏡にて確認できる。疎水性ゼオライトの細孔内に固着された酸化チタンは、非常に高度に分散された酸化チタンで、微弱な光の下でも悪臭ガスに対して除去効率のよい活性を示すものである。
細孔内への酸化チタンの固着量は、疎水性ゼオライト100質量部に対し3〜50質量部がよい。3質量部より少ないと光触媒能力が低下し好ましくない。50質量部を超えて多い場合、ゼオライト細孔内だけでなく、表面に出たように酸化チタンが固着され、バインダー樹脂や履物素材と直接接触することになり好ましくない。
前記疎水性無機多孔質物質としては、特に限定されるものではないが、例えば疎水性の、ゼオライト、活性炭、シリカゲル、酸化珪素等を挙げることができる。これらの中でも、疎水性ゼオライトを用いるのが好ましく、この場合には光触媒の分解作用によって生成した中間生成物をこの疎水性ゼオライトで一層効率よく吸着捕捉することができる。また、疎水性ゼオライトは白色であるので、色彩やデザイン性を重要視する用途には好ましい。なお、前記「疎水性無機多孔質物質」には、吸水性無機多孔質物質は含まない。一般的にゼオライトは親水性であるが、本発明では疎水性ゼオライトが好ましい。疎水性ゼオライトは、水分の吸着が少ないため、湿度の高い雰囲気においても悪臭や光触媒反応の過程で生成される中間体等も素早く効果的に吸着することができる。
前記疎水性ゼオライトとしては、SiO/Alモル比が30以上のものを用いるのが好ましく、特に好適なのはSiO/Alモル比が60以上の疎水性ゼオライトである。
前記疎水性ゼオライトを得るには、例えばシリカライトのように高Si/Al比ゼオライトを直接合成する方法、ゼオライトの骨格内Alを後処理により除去する方法、ゼオライトの表面シラノール基を修飾する方法等が挙げられる。ゼオライトの骨格内Alを後処理により除去する方法としては、NH 型またはH型ゼオライトを高温で水中処理した後酸処理を行う方法、酸処理により直接に脱Alする方法、EDTA水溶液で処理する方法等が挙げられる。また、ゼオライトの表面シラノール基を修飾する方法としては、アルキルシランやアルコールとの反応によりアルキル基(疎水基)を導入する手法等が挙げられる。
前記疎水性無機多孔質物質の表面は、孔径0.2〜100nmの細かな孔が表面から内部にかけ無数に空いており、比表面積が5.0〜1500m/gと大きな値を示す。中でも、平均細孔径0.5〜10nmであるものが光触媒を細孔内に固着する上で好ましい。平均細孔径が小さ過ぎると比表面積は増加するが、光触媒が細孔内に入りにくく、消臭能力は低下することになる。また、平均細孔径が10nmよりも大きくなると比表面積は減少し、消臭能力は低下する。なお、比表面積は、窒素吸着量から算出するBET法により測定することができる。
前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質の平均粒径は20nm〜30μmであることが好ましい。疎水性ゼオライトの粒径が30μmを越えるとざらついたり、表面の風合が硬くなり好ましくない。また、20nmを下回る粒径とすると細孔内に光触媒を固着する量が少なくなり、悪臭ガスに対する除去能力が低下し好ましくない。中でも、前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質の平均粒径は100nm〜10μmであるのがより好ましく、例えば履物素材として繊維布帛を使用した場合、繊維布帛を構成する繊維径の10分の1以下であれば、繊維と疎水性無機多孔質物質の固着が強固となり、摩擦などによって疎水性無機多孔質物質が脱落するのが効果的に防止される。また酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤の粒径も、同様に10nm〜100μmであることが好ましい。
前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質と、酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤およびバインダー樹脂の配合割合は、前記バインダー樹脂100質量部に対して、前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質50〜500質量部、酸性ガス消臭剤30〜200質量部、アルデヒドガス消臭剤50〜500質量部が好ましい。
前記酸性ガス消臭剤としては、水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、水酸化鉄、塩化鉄、塩基添着炭を挙げることができる。中でも水和酸化ジルコニウムまたは酸化ジルコニウムが好ましい。水和酸化ジルコニウムは、公知の化合物で、オキシ塩化ジルコニウム水溶液等のジルコニウム含有水溶液を水やアルカリ水溶液で加水分解することによって、容易に水和酸化ジルコニウムを得ることができる。また、酸化ジルコニウムは結晶質及び非晶質のいずれであっても良く、市販品をそのまま使用しても良いし、水和酸化ジルコニウムを焼成して非晶質の酸化ジルコニウムを得て使用しても良い。
前記アルデヒドガス消臭剤としては、ヒドラジン誘導体、水加ヒドラジンを担持した多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウム、アミノ基を担持した多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウムを挙げることができる。前記ヒドラジン誘導体としては、例えば、ヒドラジン系化合物と長鎖の脂肪族系化合物とを反応させたもの、あるいはヒドラジン系化合物と芳香族系化合物とを反応させたもの等が挙げられる。中でも、ヒドラジンおよびセミカルバジドからなる群より選ばれる1種または2種の化合物と、炭素数8〜16のモノカルボン酸、ジカルボン酸、芳香族モノカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物との反応生成物や、ヒドラジンおよびセミカルバジドからなる群より選ばれる1種または2種の化合物と、炭素数8〜16のモノグリシジル誘導体およびジグリシジル誘導体からなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物との反応生成物が好適である。このようなヒドラジン誘導体を用いれば、一層優れた悪臭の除去機能を確保することができる。前記反応生成物としては、セバシン酸ジヒドラジド、ドテカンニ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどが挙げられるが、特にこれら例示の化合物に限定されるものではない。
また、前記水加ヒドラジンを担持した多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウムは、水加ヒドラジンの水溶液または水加ヒドラジン100%品を多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウムと攪拌混合した後60〜120℃で乾燥することによって得られる。
また、前記アミノ基を担持した多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウムは、分子内にアミノ基を有する化合物を水等で希釈した液を多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウムの担体と混合し乾燥することによって得られる。分子内にアミノ基を有する化合物としては、分子内にアミノ基を1個以上有していれば、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミンのいずれも使用でき、担体表面の水酸基と化学結合しうる水酸基やアルコキシ基等の官能基を持つものが好ましい。具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ジメチルトリメチル−シリアルアミンを例示できる。
前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質と、酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤の履物への付着量は、例えば繊維布帛の場合、繊維布帛100質量部に対して0.5〜15質量部であるのが好ましい。15質量部を超えると布帛の風合が硬くなり、又繊維布帛が白化するので好ましくない。0.5質量部未満では、悪臭の分解除去能力が低下し好ましくない。中でも、繊維布帛100質量部に対して0.5〜10質量部であるのがより好ましい。また、繊維素材以外の材料においても、その素材や使用環境に合わせて適宜決めればよい。
前記バインダー樹脂の履物への付着量は、例えば繊維布帛の場合、繊維布帛100質量部に対して0.05〜30質量部であるのが好ましい。0.05質量部を下回ると固着力が低下し、光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質や消臭剤の脱落が生じやすくなるので好ましくない。30質量部を超えると繊維布帛の風合が硬くなるので好ましくない。
次に、前記バインダ−樹脂としては、どのような樹脂でも使用することができる。例えば、自己架橋型アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、グリオキザ−ル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル−シリコン共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、イソブチレン無水マレイン酸共重合体樹脂、エチレン−スチレン−アクリレ−トメタアクリレ−ト共重合体樹脂などが挙げられる。これらの樹脂を2種類以上混合してバインダ−樹脂としてもよい。
この発明の消臭性、抗菌性を有する履物は、例えば次のようにして製造される。即ち、前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質と、酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤と、バインダ−樹脂を水に分散させた処理液を、履物の少なくとも一部に付着せしめた後、乾燥することによって製造できる。この時、処理液は、前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質と、酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤と、バインダ−樹脂を可能な限り分散させることが好ましく、バインダ−樹脂については、水との間でエマルジョン状態を形成することがより好ましい。また、調合の際予め先に光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質と、酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤を水に分散させておいてから、バインダ−樹脂を分散するほうが、より均一に分散させるのに好ましい。
前記処理液を履物に固着させる方法は、浸漬法とコーティング法を例示できる。浸漬法は、前記処理液に、履物を浸漬した後絞り、これを乾燥させる方法を例示できる。この浸漬法で製造すれば、光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質と、酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤とバインダ−樹脂を履物全体に均一に固着することができる。
前記コーティング法としては、履物の形態に加工される前の生地の工程で、前記処理液を履物材料の少なくとも一部に塗布コーティングした後乾燥させる方法を例示できる。コーティング法で製造すれば、生産性を顕著に向上でき、固着量も精度高く制御できる利点がある。前記コーティング方法の具体的手法としては、特に限定されるものではないが、例えばグラビアロール加工、スプレー加工、ロールコーター加工、転写プリント加工、スクリーンプリント加工等を例示することができる。
次ぎに実施例により、本発明を具体的に説明する。なお実施例におけるスリッパ用繊維布帛の消臭性能の測定は次のように行った。
(イソ吉草酸消臭性能)
消臭加工を施したスリッパ用繊維布帛(25.6cm×10cm)を内容量10リットルの袋内に入れた後、袋内において濃度が5ppmとなるようにイソ吉草酸水溶液50μLを注入し、この袋を紫外線殺菌ランプ(波長253.7nm、殺菌線出力2.7W)の直下10cmに設置し、一定時間経過後にイソ吉草酸ガスの残存濃度を測定し、図1に示すように効果を確認した。
(ガスクロマトグラフ質量分析)
実際に使用した靴下より靴下臭を内容量10リットルの袋に採取し、ガスクロマトグラフ質量分析装置にて分析した。図2上のようにbutandionと3−methyl butanalにピークが現れていた。次にこのガスの袋を紫外線殺菌ランプ(波長253.7nm、殺菌線出力2.7W)の直下10cmに設置し、12時間経過後に再びガスクロマトグラフ質量分析装置にて分析した。図2下のようにbutandionと3−methyl butanalのピークは低くなり、他のガスが現れていた。
次に、実際に使用した靴下より靴下臭を内容量10リットルの袋に採取し、その袋内に未加工のスリッパを入れ、紫外線殺菌ランプ(波長253.7nm、殺菌線出力2.7W)の直下10cmに設置し、12時間経過後にガスクロマトグラフ質量分析装置にて分析した。図3上のように紫外線照射前に現れていたピークは、図3下のように12時間紫外線照射後かなり少なくなっていた。
次に、実際に使用した靴下より靴下臭を内容量10リットルの袋に採取し、その袋内に実施例1で加工したスリッパを入れ、紫外線殺菌ランプ(波長253.7nm、殺菌線出力2.7W)の直下10cmに設置し、12時間経過後にガスクロマトグラフ質量分析装置にて分析した。図4上のように紫外線照射前に現れていたピークは、図4下のように12時間紫外線照射後ほとんどなくなっていた。
(抗菌性能)
繊維製品の抗菌試験方法JIS L1902統一法に準拠して抗菌性能を評価した。試験菌体としては黄色ブドウ状球菌臨床分離株を用いた。減菌試験布に前記試験菌体を注加し、暗所と蛍光灯下で18時間培養した後の生菌数を計測し、殖菌数に対する生菌数を求め、次ぎの基準に従った。即ちlog(B/A)>1.5の条件下log(B/C)を菌数増減値差とし、これが2.2以上である場合を合格とした。但し、Aは無加工品の接種直後分散回収した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した菌数、Cは加工品の18時間培養後分散回収した菌数をそれぞれ表す。
<実施例1>
細孔内に酸化チタン光触媒0.4質量部を固着した、平均粒径5μmの疎水性ゼオライトを4質量部(酸化チタン0.4質量部を含む。)と、平均粒径15μm水和酸化ジルコニウムを4質量部と、平均粒径15μm水加ヒドラジンを担持した多孔質二酸化ケイ素を8質量部とを80質量部の水に加えた後、攪拌機により攪拌を行ない、分散液を得た。この分散液にさらに4質量部のアクリルシリコン系バインダー樹脂(固形分50%)を加え、良く攪拌して均一な処理液を得た。この処理液を、ポリエステル製の布帛を縫製して作られたスリッパにスプレー塗布し、60度のオーブンで30分乾燥させることによって、消臭スリッパを得た。細孔内に酸化チタン光触媒を固着した疎水性ゼオライトと水和酸化ジルコニウムと水加ヒドラジンを担持した多孔質二酸化ケイ素からなる消臭剤のスリッパへの付着量は、8g/mであった。こうして作られたスリッパを一日(8時間)素足で使用し、その後片側は紫外線照射し、片側は紫外線照射しないで10時間後に複数の人間で臭いを確認したところ共に臭いは消え、何も臭わなかった。
<実施例2>
実施例1において、スリッパの替わりに一ヶ月間使用した牛皮製の靴とした以外は実施例1と同様にして、消臭靴を得た。紫外線照射した片側と、紫外線照射しないで10時間放置しておいた片側の靴の臭いを複数の人間で臭いを確認したところ共に臭いは消えていた。
<実施例3>
実施例1において、水和酸化ジルコニウム4質量部に替えて水酸化鉄を4質量部とした以外は実施例1と同様にして、消臭スリッパを得た。実施例1のように複数の人間で臭いを確認したところ共に臭いは消え、何も臭わなかった。
<実施例4>
実施例1において、水加ヒドラジンを担持した多孔質二酸化ケイ素を8質量部に替えてセバシン酸ジヒドラジドを8質量部とした以外は実施例1と同様にして、消臭スリッパを得た。実施例1のように複数の人間で臭いを確認したところ共に臭いは消え、何も臭わなかった。
<実施例5>
次に、実施例1において、平均粒径20μmの疎水性ゼオライトとした以外は実施例1と同様にして、消臭スリッパを得た。実施例1のように複数の人間で臭いを確認したところ共に臭いは消え、何も臭わなかった。またざらつき感もなかった。
<比較例1>
実施例1において、未加工のスリッパを一日(8時間)素足で使用し、その後片側は紫外線照射し、片側は紫外線照射しないで10時間後に複数の人間で臭いを確認したところ紫外線照射しなかった方はかなり強い不快臭が感じられたが、紫外線照射した方はかなりの臭いは消え、僅かに臭う程度であった。
<比較例2>
実施例1において、細孔内に酸化チタン光触媒を固着した疎水性ゼオライトを含まないようにした以外は、実施例1と同様にして、消臭スリッパを得た。実施例1のように複数の人間で臭いを確認したところ共に臭いは消え、何も臭わなかったが抗菌試験で問題となった。
抗菌試験は実施例1と比較例2で行なったが、表1のように暗所においてはそれ程差はなかったが、蛍光灯の光の下では大きな差になって評価された。
イソ吉草酸消臭結果。 ガスクロマトグラフ質量分析(靴下臭分析) ガスクロマトグラフ質量分析(未加工スリッパの靴下臭分析) ガスクロマトグラフ質量分析(加工スリッパの靴下臭分析)

Claims (5)

  1. 光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質と、酸性ガス消臭剤と、アルデヒドガス消臭剤とが、履物の少なくとも一部にバインダー樹脂によって固定されていることを特徴とする消臭性、抗菌性を有する履物。
  2. 前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質が、光触媒を細孔内に固着した疎水性ゼオライトである請求項1に記載の消臭性、抗菌性を有する履物。
  3. 前記酸性ガス消臭剤が水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、水酸化鉄、塩化鉄、塩基添着炭の群から選ばれる少なくとも一種以上の消臭剤である請求項1または2に記載の消臭性、抗菌性を有する履物。
  4. 前記アルデヒドガス消臭剤がヒドラジン誘導体、水加ヒドラジンを担持した多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウム、アミノ基を担持した多孔質二酸化ケイ素またはケイ酸アルミニウムの群から選ばれる少なくとも一種以上の消臭剤である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の消臭性、抗菌性を有する履物。
  5. 前記光触媒を細孔内に固着した疎水性無機多孔質物質の平均粒径が20nm〜30μm、前記酸性ガス消臭剤の平均粒径が10nm〜100μm、前記アルデヒドガス消臭剤の平均粒径が10nm〜100μm、である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の消臭性、抗菌性を有する履物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016183908A (ja) * 2015-03-26 2016-10-20 ロート製薬株式会社 足臭判定用指標剤、当該指標剤を用いる足臭判定方法、当該指標剤を用いるデオドラント剤の評価方法、およびスクリーニング方法
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