JPH10235789A - 高耐食性燃料タンク用鋼板 - Google Patents

高耐食性燃料タンク用鋼板

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JPH10235789A
JPH10235789A JP9044336A JP4433697A JPH10235789A JP H10235789 A JPH10235789 A JP H10235789A JP 9044336 A JP9044336 A JP 9044336A JP 4433697 A JP4433697 A JP 4433697A JP H10235789 A JPH10235789 A JP H10235789A
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metal powder
metal
steel plate
film
fuel tank
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JP9044336A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Ogata
浩行 尾形
Sachiko Suzuki
幸子 鈴木
Kazuo Mochizuki
一雄 望月
Hitoshi Takamatsu
均 高松
Hideo Obara
秀雄 小原
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルコール燃料、特にメタノール燃料、ある
いはメタノールなどアルコールが酸化して生成した蟻酸
など有機酸を含有するアルコール混合ガソリンに対して
優れた内面耐食性を発揮し、かつ外環境に対する優れた
外面耐食性を有すると共に、タンク製造工程において優
れたプレス加工性、シーム溶接性を発揮する高耐食性燃
料タンク用鋼板の提供。 【解決手段】 鋼板の両面に最下層としてZnまたはZnを
主成分とする金属めっき層を有し、両方の面の前記金属
めっき層の上層としてクロメート皮膜を有し、さらに、
少なくとも一方の面の該クロメート皮膜の上層として、
アミン変性エポキシ樹脂とAl金属粉末およびNi金属粉末
とを主成分とする金属粉末含有有機樹脂皮膜を有する高
耐食性燃料タンク用鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形性に優れた高耐
食性燃料タンク用鋼板に係り、特にアルコールあるいは
アルコールが混合されたガソリンに耐え得る燃料タンク
用鋼板に関し、さらには、優れた外面耐食性、プレス加
工性、シーム溶接性を有する高耐食性燃料タンク用鋼板
に関する。
【0002】
【従来の技術】北米、中南米、欧州ではエネルギー政策
として石油依存率の低減を国策とする国が多く、自動車
用新燃料としてアルコール(メタノール、エタノール)
そのもの、あるいはこれらをガソリンに5〜20%混合し
たいわゆるガソホールの導入比率が年々拡大の傾向にあ
る。
【0003】しかしながら、これらアルコール系燃料
は、(a) 水を含み易い、(b) 水混入量の増加、温度の低
下により、液が層分離する、(c) アルコールが酸化劣化
して有機酸を生成する可能性があり、例えばメタノール
の場合は蟻酸、エタノールの場合は酢酸へと変化し、燃
料タンクの下層にアルコールおよび/または有機酸と水
を主成分とする分離層を生じる、(d) メタノールを40%
以上含むアルコールとガソリン混合物に対して、現行タ
ンク用材料の主流であるターン(Pb一Sn合金)めっき鋼
板はめっき層が溶解するなど、通常のガソリン燃料に比
べて一段と強い腐食性を有している。
【0004】しかるに、自動車の燃料タンクは安全確保
の点から最重要部品として位置付けられており、この材
料としてはシーム溶接部の欠陥がないこと、タンク内外
面ともに腐食による穴開きが発生しないこと、さらには
燃料循環系統でフィルターの目詰まりを発生するような
浮遊性の腐食生成物が生じないことが要求される。一
方、現在、自動車用燃料タンクの材料としては、例えば
特公昭57−61833 号公報に示されるようなPb一Sn合金溶
融めっき鋼板や、特公昭53−19981 号公報に示されるよ
うなZnめっき鋼板に厚クロメート処理を施したものが通
常使用されている。
【0005】これらの材料のガソリン、アルコールある
いはアルコール混合ガソリンに対する耐食性(以下内面
耐食性と記す)について見ると、Pb−Sn合金がメタノー
ルに非常に溶解し易い欠点を有しており、メタノール混
合ガソリンに対しては実用に供せないと考えられる。一
方、電気Znめっき鋼板に厚クロメート処埋を施した材料
の内面耐食性はZnの犠牲防食作用により、水分混入に対
して赤錆、穴開きの発生が抑制される。
【0006】しかし、この場合もZnの溶出速度が大き
く、浮遊性の白色沈殿物が多量に発生し、燃料循環系統
でフィルタの目詰まりが発生し、Zn溶出後は素地鋼の赤
錆、穴開きが発生し易い欠点を有し、燃料タンク用鋼板
として不充分である。前述の電気Znめっき鋼板の代わり
にZnを主成分とする合金めっき鋼板、例えば特開昭55−
110791号公報に示されるZn−Ni合金めっき鋼板、特公昭
57−33347 号公報に示されるZn−Co合金めっき鋼板、特
公昭57−61831 号公報に示されるZn−Fe合金めっき鋼
板、特公昭54−33222 号公報に示されるZn−Al合金めっ
き鋼板、特開昭57−70288 号公報に示されるZn−Ni−Cr
合金めっき鋼板、特公昭57−33347 号公報に示されるZn
−Co−Ni合金めっき鋼板を用いた場合、前記各合金めっ
き層の溶出が純Znめっき層に比べてかなり抑制され、タ
ンクの内外面ともに腐食が抑制される。
【0007】しかし、この場合も依然としてタンク外面
側の穴開き腐食やタンク内面側の浮遊性の白色沈殿物の
発生によるフィルターの目詰りや穴開き腐食を解決する
には至らない。上記問題点を解決すべく、アルコールあ
るいはアルコール混合ガソリン、とりわけ腐食性の強い
アルコールと蟻酸など有機酸を含有するガソリンに対し
て内面耐食性を有し、かつタンク外面が外環境に対して
耐食性(以下、外環境に対する耐食性を外面耐食性と記
す)を有し、さらにタンク製造工程において良好なプレ
ス加工性、抵抗溶接性を有する高耐食性燃料タンク用鋼
板が、特公平2-18981 号、特公平2-18982 号、特公平3-
25349 号公報に開示されている。
【0008】特公平2-18981 号公報には、Pb-Sn 合金ま
たはSnを主成分とする金属めっき層の上層として、金属
粉末を含む有機樹脂皮膜を有する鋼板が開示されてい
る。特公平2-18982 号公報、特公平3-25349 号公報に
は、ZnまたはZnを主成分とする金属めっき層の上層とし
て金属粉末を含む有機樹脂皮膜を有する鋼板が開示され
ている。
【0009】上記3つの公報に開示されている金属粉末
含有有機樹脂皮膜は、その有機樹脂中の40〜90%がフェ
ノキシ樹脂で占められている。このため、これらの鋼板
を燃料タンク用の鋼板として用いた場合の外面側の特性
としては、フェノキシ樹脂が有する水酸基と金属粉末と
の親和性が不足するため、プレス加工時に金属粉末が皮
膜から脱離し、このため外面側はめっきの剥離が生じ、
プレス成形性が悪い。
【0010】また、これらの鋼板を燃料タンク用の鋼板
として用いた場合の内面側の特性としては、上記の金属
粉末の脱離やめっき層の剥離によって損傷を受けた部分
の内面耐食性が劣化する。また、損傷を受けていない平
面部分も、皮膜中の樹脂/金属粉末間に腐食液が滞留し
易くなり、内面耐食性が劣り、未だ実用化は困難であ
る。
【0011】またいずれの鋼板も、タンク内外面の樹脂
皮膜が必須成分として硬化剤を含むため、硬化度が高い
場合には熱分解し難く、溶接時のナゲット生成過程にお
ける皮膜排除が困難になり、シーム溶接性が低下する。
すなわち、金属粉末により通電点を確保しても、残存す
る皮膜周辺の母材が溶接不良を起こすため、充分なナゲ
ット間のラップが得られず燃料漏れが生じ、また、場合
により充分な溶接強度が得られず鋼板間で剥離が生じ
る。
【0012】また、硬化度が低く未反応硬化剤を含む場
合には、その部分の凝集度が低く腐食因子(酸、塩素イ
オンなど)が侵入し易く、内、外面の耐食性が低下す
る。以上述べたように、従来の鋼板は燃料タンク用の鋼
板に用いる場合、種々の面で改善が必要であり、未だ実
用化に至らない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した現
行の燃料タンク用鋼板の問題点を解決し、アルコール燃
料、特にメタノール燃料、あるいはメタノールなどアル
コールが酸化して生成した蟻酸など有機酸を含有するア
ルコール混合ガソリンに対して優れた内面耐食性を発揮
し、かつ外環境に対する優れた外面耐食性を有すると共
に、タンク製造工程において優れたプレス加工性、シー
ム溶接性を発揮する高耐食性燃料タンク用鋼板を提供す
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記従来技
術の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、鋼板の両面
に最下層としてZnまたはZnを主成分とする金属めっき層
を有し、一方の面の前記金属めっき層の上層としてクロ
メート皮膜を有し、さらに、該クロメート皮膜の上層と
して、アミン変性エポキシ樹脂とAl金属粉末およびNi金
属粉末とを主成分とする金属粉末含有有機樹脂皮膜、ま
たは、アミン変性エポキシ樹脂と硬化剤とAl金属粉末お
よびNi金属粉末とを主成分とする金属粉末含有有機樹脂
皮膜を設け(以下この面を内面と記す)、他方の面をク
ロメート処理面(以下この面を外面と記す)とすること
によって、これらの問題を一挙に解決し得るという全く
新たな知見を得て本発明を完成したものである。
【0015】すなわち、第1の発明は、鋼板の両面に最
下層としてZnまたはZnを主成分とする金属めっき層を有
し、両方の面の前記金属めっき層の上層としてクロメー
ト皮膜を有し、さらに、少なくとも一方の面の該クロメ
ート皮膜の上層として、アミン変性エポキシ樹脂とAl金
属粉末およびNi金属粉末とを主成分とする金属粉末含有
有機樹脂皮膜を有することを特徴とする高耐食性燃料タ
ンク用鋼板である。
【0016】また、第2の発明は、鋼板の両面に最下層
としてZnまたはZnを主成分とする金属めっき層を有し、
両方の面の前記金属めっき層の上層としてクロメート皮
膜を有し、さらに、少なくとも一方の面の該クロメート
皮膜の上層として、アミン変性エポキシ樹脂と硬化剤と
Al金属粉末およびNi金属粉末とを主成分とする金属粉末
含有有機樹脂皮膜を有することを特徴とする高耐食性燃
料タンク用鋼板である。
【0017】前記第1の発明または第2の発明において
は、前記金属粉末含有有機樹脂皮膜が、前記アミン変性
エポキシ樹脂(:固形分)100 重量部に対して、前記2
種類の金属粉末を合計量で30〜110 重量部含有する膜厚
が2〜10μmの皮膜であり、前記アミン変性エポキシ樹
脂は重量平均分子量が5000〜50000 で、該アミン変性エ
ポキシ樹脂中にはエポキシ基1当量に対し、0.2 〜1.0
モルのアルカノールアミンが付加され、前記2種類の金
属粉末の比率はNi/Al(重量比) で30/70 〜80/20 である
ことが好ましい。
【0018】また、前記第1の発明または第2の発明に
おいては、前記金属粉末の粒子が下記粒径および形状を
有することが好ましい。 Al金属粉末粒子の粒径および形状:長径=8〜18μm、
短径=1〜10μm、厚み:1〜5μm、形状=鱗片状 Ni金属粉末粒子の粒径および形状:粒径=1〜9μm、
形状=球状 また、前記第2の発明においては、前記硬化剤が、アミ
ン変性エポキシ樹脂と硬化反応し、該硬化剤の含有量
が、アミン変性エポキシ樹脂(:固形分)100 重量部に
対して2〜20重量部であり、かつ、前記金属粉末含有有
機樹脂皮膜が、該金属粉末含有有機樹脂皮膜の皮膜上に
メチルエチルケトンを浸透せしめた10mm×5mmのフェル
トを載置後、該フェルトを、その上側全面に10g/mm2
圧力を負荷した状態で往復動せしめ、金属めっき層が露
出するまでの往復回数から求められる下記式で定義され
る硬化度が80%以上の金属粉末含有有機樹脂皮膜である
ことが好ましい。
【0019】硬化度=(金属めっき層が露出するまでの
往復回数/100)×100 % また、前記第1の発明または第2の発明においては、前
記ZnまたはZnを主成分とする金属めっき層におけるZnを
主成分とする金属めっき層が、Zn−Ni合金めっき、Zn−
Co合金めっき、Zn−Fe合金めっき、Zn−Ni−Cr合金めっ
き、Zn−Ni−Co合金めっき、Zn−Al合金めっきの内いず
れかで形成された金属めっき層であり、前記ZnまたはZn
を主成分とする金属めっき層のめっき付着量が10〜200g
/m2 であることが好ましい。
【0020】さらに、前記第1の発明または第2の発明
においては、前記クロメート皮膜のクロム付着量が、ク
ロメート付着面積当たり金属クロム換算で5〜200mg/m2
であることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。 〔金属めっき層:〕本発明の高耐食性燃料タンク用鋼板
は、鋼板表面に最下層としてZnまたはZnを主成分とする
金属めっき層を有する。
【0022】該金属めっき層は、アルコールまたはアル
コール混合燃料中において鉄地より卑な電位を示す金属
層であるから、めっき層が損傷したプレス加工部におい
てもZnの犠牲防食作用により赤錆、穴開きの発生を抑制
し、燃料タンクの外面耐食性を向上させる。一方、内面
は有機皮膜のバリヤー効果により蟻酸など有機酸を含有
する水溶液の浸透を防ぎ、酸に対して弱いZnの溶出およ
びこれに伴う浮遊性の白色沈殿物の生成を抑制する。
【0023】なお、該金属めっき層をZnを主成分とする
合金めっき層とすると、犠牲防食作用時におけるめっき
層の溶出速度が遅くなり、Zn単独のめっき層とした場合
に比べて少ないめっき付着量で燃料タンクの穴開き寿命
を延長させることが出来る。また、めっき層の上層であ
る後述するクロメート層や金属粉末含有有機樹脂皮膜と
複合化した場合の耐食性もさらに一層向上する。
【0024】このようなZnを主成分とする金属めっき層
としては、Zn−Ni合金めっき、Zn−Co合金めっき、Zn−
Fe合金めっき、Zn−Al合金めっき、Zn−Ni−Cr合金めっ
き、Zn−Ni−Co合金めっきの内いずれかで形成された金
属めっき層が好適である。また、本発明におけるZnを主
成分とする金属めっき層中のZn含有率は、40wt%以上で
あることが好ましい。これは、下層として必要とされる
耐食性の向上のためである。
【0025】このようなZnまたはZnを主成分とする金属
めっき層のめっき付着量は10〜200g/m2 が好ましく、さ
らには20〜100g/m2 であることがより好ましい。めっき
付着量が10g/m2未満では鋼板表面の隠蔽効果が不充分と
なり、下層として必要とされる耐食性が不足し、逆に20
0g/m2 を超えると耐食性の向上効果が飽和し、経済的で
ない。
【0026】以上述べたようなZnまたはZnを主成分とす
る金属めっき層は電気めっき法、溶融めっき法などによ
り形成出来る。すなわち、Znめっき層は、例えば、めっ
き液中の濃度が、ZnSO4 ・7H2O:410g/l、AlCl3 : 20g
/l、Na2SO4: 75g/lの混合溶液を用い、めっき液のPH:
3〜5、めっき液の温度:20〜30℃、電流密度1〜10A
/dm2の条件下で電気めっきすることで形成できる。
【0027】また、Znを主成分とする金属めっき層は、
めっき液として、例えば、下記濃度の混合溶液を用い、
混合溶液のPHを2.0 〜4.5 に調整し、電流密度=5〜50
A/dm 2 、混合溶液の温度=室温〜60℃の条件下で電気め
っきすることで形成できる。 (混合溶液の濃度の例:) Zn−Ni合金めっき:ZnSO4 ・7H2O;300g/l、NiSO4 ・6H
2O;200g/l Zn−Co合金めっき:ZnSO4 ・7H2O;200g/l、CoSO4 ・7H
20;200g/l、Na2SO4;45g/l Zn−Fe合金めっき:ZnSO4 ・7H2O;110g/l、FeSO4 ・7H
2O;100g/l、(NH4)2SO 4 :20g/l 、KCl ;20g/l 、クエ
ン酸第2アンチモン; 60g/l Zn-Ni-Cr合金めっき:ZnSO4 ・7H2O;160g/l、NiSO4
6H2O;240g/l、CrO3;2g/l Zn-Ni-Co合金めっき:ZnSO4 ・7H2O;100g/l、NiSO4
6H2O; 60g/l、CoSO4・7H20; 60g/l、(NH4)2SO4 ;5g/
l、H2SO4 ;10g/l Zn−Al合金めっきの場合は、濃度が、Al;4〜5wt%、
Zn;95〜96wt%である溶融めっき浴、あるいは、濃度
が、Al;50〜60wt%、Zn;40〜50wt%である溶融めっき
浴により形成できる。
【0028】〔クロメート層:〕次に本発明において
は、両方の面の金属めっき層の上層としてクロメート皮
膜を形成させる。すなわち、クロメート皮膜の形成は鋼
板の両面に施す。クロムの付着量はクロメート付着面積
当たり金属クロム換算で5〜200mg/m2であることが好ま
しく、さらには10〜100mg/m2がより好ましい。
【0029】付着量が5mg/m2 未満の場合、その上層で
ある有機皮膜との密着性が不足し、プレス加工時に、摺
動部の皮膜が剥離し、場合によってはめっき層の剥離ま
で発生する。また、付着量が5mg/m2 未満の場合、自己
修復に用いられるべき6価クロム成分が不足し、かつ前
記めっき層の剥離と相まって内外面の加工部耐食性が不
足する。
【0030】逆に、付着量が200mg/m2超えの場合、クロ
メート皮膜自体が非常に脆くなり、加工時の加工摺動部
でクロメート皮膜の剥離が発生し、これに伴いその上層
である有機皮膜の剥離も生じ、内外面の加工部耐食性が
不足する。本発明の鋼板は、少なくとも燃料タンクの内
面側に対応する鋼板面は、前記クロメート皮膜の表面に
最上層として、末端基を好ましくはアルカノールアミ
ンなどのアミンと反応せしめたアミン変性エポキシ樹
脂、金属粉末からなり、必要に応じて硬化剤を含有
する金属粉末含有有機樹脂皮膜を有する。
【0031】すなわち、本発明の鋼板は、上記した金属
めっき層、クロメート皮膜、金属粉末含有有機樹脂皮膜
の3層からなる複合層を、鋼板の少なくとも一方の表面
に有し、当該複合層を有する鋼板面は燃料タンクの内面
側となるように用いる。上記した本発明に係わる3層か
らなる複合層は、アルコールまたはアルコール混合ガソ
リンなどの燃料に対する耐久性に優れ、また、プレス加
工時の潤滑性および溶接性などに優れているため、燃料
タンクの内面側(すなわち燃料と接する側)として用い
るのが好ましい。
【0032】燃料タンクの外面側となる鋼板面は、Znま
たはZnを主成分とする金属めっき層の上層としてクロメ
ート皮膜を有している。この結果、クロメート皮膜自身
の作用により、上塗り塗料との密着性が優れ、高耐食性
を有する鋼板面が得られる。また、燃料タンクの外面側
となる鋼板面は、さらには、クロメート皮膜の上層とし
て前記金属粉末含有有機樹脂皮膜を有しても良い。
【0033】〔金属粉末含有有機樹脂皮膜:〕燃料タン
クの内面側に配置される本発明に係わる金属粉末含有有
機樹脂皮膜は、アルコール、特にメタノールそのもの、
あるいは、メタノールが酸化して生成した蟻酸など有機
酸を含有するメタノール混合ガソリンに対して優れた耐
食性、耐久性を有する金属粉末と樹脂成分との組成物か
らなり、前記金属めっき層およびクロメート層とアルコ
ール系燃料との直接接触を阻止するための防食層の役目
を果たす。
【0034】また、本発明に係わる金属粉末含有有機樹
脂皮膜は、潤滑性を有し、プレス成形性を向上させる。
以下、本発明に係わる金属粉末含有有機樹脂皮膜の構成
成分について述べる。 (金属粉末;)金属粉末添加の目的は、抵抗溶接性の確
保である。
【0035】すなわち、有機樹脂皮膜は一般に高い電気
絶縁性を有し、しかも本発明に係わる樹脂皮膜の膜厚
は、耐食性などの面から2μm以上であることが好まし
いため、鋼板の凸部の露出を全く期待できず、抵抗溶接
が困難である。このため、本発明においては、燃料タン
ク内面側の有機樹脂皮膜中に、金属粉末を必要量分散さ
せ、皮膜の電導性を高める。
【0036】金属粉末は、固有抵抗値が高いものの方が
溶接時の発熱量が大きく有用であり、具体的にはNi、A
l、Fe、Cuなどが想定される。この内、Niはメタノール
に対して耐食性が優れかつ固有抵抗値が高いため最も有
用である。また、AlはNiに比較して固有抵抗値や融点が
低く、必ずしも溶接には最適ではないが、蟻酸など有機
酸を含有する水溶液の有機皮膜中の透過を抑制するため
有用である。
【0037】上記した蟻酸など有機酸を含有する水溶液
の有機皮膜中の透過は、粒子の形状が鱗片状のAl金属粉
末を用いることにより、より効果的に抑制することがで
きる。すなわち、Al金属粉末とNi金属粉末を組み合わ
せ、適正比率で有機樹脂皮膜中に含有せしめることで前
記した目的は達成される。
【0038】金属粉末粒子の形状、粒径は内面耐食性や
抵抗溶接性に影響を及ぼす。Ni金属粉末粒子の形状は、
粒状、フレーク状、球状いずれも適用出来るが、球状の
ものが好ましく、粒径は、平均粒径が1〜9μmの範囲
が好ましい。Ni金属粉末粒子の平均粒径は、より好まし
くは2〜7μmである。平均粒径が1μm未満の場合、
通電点が不足する。
【0039】平均粒径が9μm超えの場合、通電点を充
分に有するため、少量の添加で抵抗溶接性は向上する
が、皮膜が多孔質になるため、内面耐食性が劣化し、さ
らにはプレス加工時における皮膜のパウダリングも問題
になる。Al金属粉末粒子の形状は鱗片状であることが好
ましく、粒径は粒子の長径=8〜18μm、粒子の短径=
1〜10μm、粒子の厚み=1〜5μmであることが好ま
しい。
【0040】Al金属粉末粒子の粒径は、さらに好ましく
は長径=10〜15μm、短径=5〜8μm、厚み=2〜4
μmである。長径、短径が各々8μm、1μm未満の場
合、鱗片の面積が小さすぎ、蟻酸など有機酸を含有する
水溶液の透過抑制能が低くなり、内面耐食性が低下す
る。この問題は長径のみまたは短径のみが短い場合にも
同様の現象が起こる。
【0041】一方、長径、短径が各々18μm、10μm超
えの場合、皮膜が多孔質になりすぎ、皮膜の強度が不足
し、皮膜が脆くなる。このため、プレス加工時にパウダ
リングが生じたり、プレス加工部の内面耐食性が低下す
る。また、Al金属粉末粒子の厚みが1μm未満の場合、
内面耐食性の寿命が短くなり、逆に厚みが5μm超えの
場合、塗膜表面に露出するAl粉末の割合が多くなりす
ぎ、抵抗溶接性が低下する。
【0042】なお、上記したAl金属粉末粒子の長径、短
径、厚みは、各粒子の長径の平均値、各粒子の短径の平
均値、各粒子の厚みの平均値を示す。金属粉末の添加量
は、有機樹脂皮膜中のアミン変性エポキシ樹脂(固形
分)100 重量部に対して、Al金属粉末とNi金属粉末の合
計量で30〜110 重量部であることが好ましく、より好ま
しくは45〜100 重量部である。
【0043】30重量部未満の場合、通電点が不足し導電
性に劣り、抵抗溶接性が低下する。110 重量部超えの場
合、有機皮膜自体が脆弱になり、プレス時の耐パウダリ
ング性が低下し内面耐食性が低下する。添加する金属粉
末は、前記した適正な添加量を満足し、さらには前記し
た2種類の金属粉末の比率であるNi/Al(重量比)が30/7
0 〜80/20 であることが好ましい。
【0044】上記した金属粉末の比率は、さらに好まし
くは40/60 〜70/30 である。Ni/Al(重量比)が30/70 未
満の場合は、固有抵抗値が高いNi量の不足により、得ら
れる鋼板の抵抗溶接性が劣る。逆に、Ni/Al(重量比)が
80/20 超えの場合、燃料の浸透を抑制する働きを有する
Al量の不足により、得られる鋼板の内面耐食性が低下す
る。
【0045】(アミン変性エポキシ樹脂;)本発明で用
いられる樹脂成分は、アルコール、アルコール混合ガソ
リン、および蟻酸など有機酸を含有するこれらの燃料に
対して優れた耐食性、耐久性を有し、かつ素地鋼板に対
する塗膜密着性、得られる鋼板のプレス成形性において
優れた特性を発揮する。
【0046】すなわち、アミン変性エポキシ樹脂によ
り、優れたプレス成形性とアルコール系燃料に対する耐
食性および素地鋼板に対する塗膜密着性が確保される。
アミン変性エポキシ樹脂としては、優れたプレス成形性
を確保するため、5000〜50000 、より好ましくは10000
〜40000 の重量平均分子量を有するアミン変性エポキシ
樹脂が好ましい。
【0047】また、アミン変性エポキシ樹脂の基剤樹脂
であるエポキシ樹脂としては、ビスフエノールA型エポ
キシ樹脂、ビスフエノールF型エポキシ樹脂、環状脂肪
族エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、ノボラ
ック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹
脂などを挙げることができる。これらのうち、塗料とし
ての安定性や優れたプレス成形性、内面耐食性を安定し
て得るための製造条件の範囲の広さからビスフエノール
A型エポキシ樹脂、ビスフエノールF型エポキシ樹脂が
好ましい。
【0048】この具体例としては、エピコート1001、10
04、1007、1009、1010(:商品名、油化シェルエポキシ
(株)社製)、またはこれらのエポキシ樹脂を高分子化
させたフェノキシ樹脂(UCC 社製)などが挙げられる。
また、アミン変性エポキシ樹脂の基剤樹脂であるエポキ
シ樹脂は、上記したエポキシ樹脂を単独で、あるいは、
上記したエポキシ樹脂にアジピン酸、アゼライン酸、セ
バシン酸、フタル酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボ
ン酸、芳香族ジカルボン酸を反応させたエポキシエステ
ル樹脂とを併用してもよい。
【0049】また、ポリアルキレングリコールジグリシ
ジルエーテルとの併用でもよい。アミン変性エポキシ樹
脂の重量平均分子量は、5000〜50000 の範囲であること
が好ましい。重量平均分子量が5000未満の場合、分子間
力の不足により、得られる有機樹脂皮膜の強靱性が不足
する。
【0050】このため、プレス加工時に皮膜が削られ、
プレス成形性が不足する。逆に、重量平均分子量が5000
0 超えの場合、本発明においてエポキシ基に付加するア
ルカノールアミンなどのアミンの量が少なくなるため、
樹脂と金属粉末との親和性が不足し、プレス加工時に皮
膜からの金属粉の脱離が発生したり、内面耐食性が不足
する。
【0051】前記エポキシ樹脂のエポキシ基に付加する
アミンとしては、好ましくは、エチルエタノールアミ
ン、エタノールアミンなどのモノアルカノールアミンお
よびジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブ
タノールアミンなどのジアルカノールアミンなどから選
ばれる一種以上が挙げられる。後述する硬化剤との低温
反応性をより高めるには、一級水酸基をより多く導入可
能なジアルカノールアミンが好ましい。
【0052】エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に付加す
るアルカノールアミンのモル数は0.2 〜1.0 モルである
ことが好ましい。エポキシ当量が500 〜1000の場合、ア
ルカノールアミンのモル数は0.2 〜0.6モル、エポキシ
当量が1000〜5000の場合、アルカノールアミンのモル数
は0.6 〜1.0 モルが特に好ましい。
【0053】アルカノールアミンのモル数が0.2 モル未
満の場合、アミン変性度が不足するため、金属粉末とエ
ポキシ樹脂との親和性が低下し、プレス加工時に金属粉
末が皮膜から脱離し、その程度が激しい場合には、めっ
き層の剥離が生じるため、プレス成形性が劣る。また、
同様の理由から皮膜中の樹脂/金属粉末間に腐食液が滞
留し易くなり、充分な疎水性が得られず蟻酸など有機酸
を含有する水溶液を皮膜中に呼び込み易いことも要因と
なって、腐食性の強いメタノール系燃料に対する内面耐
食性が不足する。
【0054】逆に、アルカノールアミンのモル数が1.0
モルを超えると、その過剰分はエポキシ基に付加せず経
済的でなく、余剰アミンが有機樹脂皮膜の吸水性を高め
内面耐食性が低下する。 (硬化剤;)本発明では溶接性よりも内面耐食性を重視
した場合には、硬化剤を金属粉末含有有機樹脂皮膜中に
配合する。
【0055】硬化剤としては、前記アミン変性エポキシ
樹脂と硬化反応し得る硬化剤を配合する。このような硬
化剤としては、好ましくは、イソシアネート系硬化剤、
アミン系硬化剤、メラミン系硬化剤、ジシアンジアミド
系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、フェノール系硬化剤、
ホウ素系硬化剤、イミダゾール系硬化剤などが例示され
る。
【0056】硬化剤は、アミン変性エポキシ樹脂(固形
分)100 重量部に対して好ましくは2〜20重量部、より
好ましくは4〜10重量部の割合で配合する。硬化剤の配
合割合が2重量部未満の場合、硬化度が低過ぎ、得られ
る有機樹脂皮膜の蟻酸など有機酸を含有する水溶液に対
する透過の抑制能が不足し、内面耐食性が低下する。
【0057】また、この場合皮膜の強靭性が不足するた
め、プレス成形性が低下する。逆に、20重量部超えの場
合、未反応硬化剤が樹脂皮膜を脆弱にし、プレス成形性
が低下する。また未反応硬化剤が腐食因子を誘導し、内
面耐食性が低下する。本発明においては、皮膜の硬化度
も重要である。硬化度は、具体的には、鋼板の金属粉末
含有有機樹脂皮膜上にメチルエチルケトンを浸透せしめ
た10mm×5mmのフェルトを載置後、該フェルトを、その
上側全面に10g/mm2 の圧力を負荷した状態で往復動せし
め、金属めっき層が露出するまでの往復回数を測定し、
下記式で定義する。
【0058】硬化度=(金属めっき層が露出するまでの
往復回数/100)×100 % 本発明においては、上記した式で定義される硬化度が80
%以上であることが好ましく、硬化度が80%未満の場
合、得られる有機樹脂皮膜の蟻酸など有機酸を含有する
水溶液に対する透過の抑制能が不足し、内面耐食性が低
下する。また、皮膜の強靭性が不足し、プレス成形性が
低下する。
【0059】本発明において、硬化度が高い方が内面耐
食性には有利であるが、その場合シーム溶接の適正溶接
電流範囲が狭くなる。以上述べたように、本発明の燃料
タンク用鋼板は、少なくとも燃料タンク内面側の鋼板面
として、金属粉末、アミン変性エポキシ樹脂と、必要に
応じて硬化剤を含む有機樹脂皮膜を鋼板表面の皮膜とし
て設けたものである。
【0060】本発明に係わる金属粉末含有有機樹脂皮膜
の膜厚は、2〜10μmが好ましい。膜厚が2μm未満の
場合、外層として要求される内面耐食性が不充分とな
り、逆に10μmを超えると、耐食性が飽和し、プレス加
工性、シーム溶接性が低下する。なお、本発明における
上記した金属粉末含有有機樹脂皮膜の膜厚は、塗装など
による皮膜形成、乾燥後、または皮膜形成、乾燥・焼付
け後の膜厚、すなわち最終製品の状態における膜厚を示
す。
【0061】以上本発明に係わる金属粉末含有有機樹脂
皮膜について述べたが、本発明においては該樹脂皮膜
は、金属粉末とアミン変性エポキシ樹脂と、必要に応じ
て硬化剤を含有する樹脂皮膜であればよい。すなわち、
本発明に係わる金属粉末含有有機樹脂皮膜中に、潤滑
剤、カップリング剤、顔料、チクソトロピック剤、分散
剤、界面活性剤などの添加剤を添加することも出来る。
【0062】以上述べた本発明の高耐食性燃料タンク用
鋼板は、プレスの難易度に応じて潤滑油を塗布しても全
く問題はなく、むしろ皮膜の損傷防止の観点からは有効
である。上記した少なくとも燃料タンクの内面側の鋼板
面に配置される金属粉末含有有機樹脂皮膜は、下記の実
施例に示されるように、前記のアミン変性エポキシ樹脂
を主体とし、これに金属粉末、適量の有機溶剤、さらに
は必要に応じて硬化剤やその他一般的に使用される添加
成分を配合した塗料組成物を調製し、得られた塗料組成
物を鋼板表面に塗布、乾燥して形成せしめることが出来
る。
【0063】
【実施例】以上本発明の構成について説明したが、さら
に実施例により、本発明および本発明により得られる効
果を具体的に説明する。 〔金属めっき層およびクロメート皮膜の形成:〕板厚0.
8mm の冷延鋼板(SPCC)を原板として、下記方法によ
り、本発明の高耐食性燃料タンク用鋼板および各種比較
材を得た。
【0064】最下層のZnまたはZnを主成分とする金属め
っき層は、上記原板に前処理(電解脱脂、電解酸洗)を
施した後、両面に金属めっきを施すことにより形成し
た。本実施例で用いた各種金属めっき鋼板の内容を表1
に示す。次に、表1に示す各種金属めっき鋼板の表面に
ロールコートにより、両面にクロメート皮膜を形成し
た。
【0065】〔金属粉末含有有機樹脂皮膜の形成:〕 (本発明に係わる塗料の調製および本発明に係わる金属
粉末含有有機樹脂皮膜の形成;)環流冷却器、撹拌装
置、温度計および窒素ガス吹き込み装置を有する反応装
置に、下記に示すエポキシ樹脂2000g(:エポキシ基1
当量)およびトルエン1000gを仕込み、窒素置換した
後、80℃まで昇温し、均一溶液とした。
【0066】エポキシ樹脂:エピコート1007(;商品
名、油化シェルエポキシ(株)社製、エポキシ樹脂エポ
キシ当量=2000) 次に、この溶液にアルカノールアミン(:ジエタノール
アミン、エチルエタノールアミンまたはジプロパノール
アミン)を30分かけて滴下した後、1時間反応させた。
【0067】このようにして得られた樹脂液に、Al金属
粉末(:鱗片状)、Ni金属粉末(:球状)、有機溶
剤(:シクロヘキサノン、ソルベット150 など)を加え
て混合し懸濁液Aを得た。(本発明例1〜54) 一方、上記樹脂液にAl金属粉末(:鱗片状)、Ni金属粉
末(:球状)、硬化剤、有機溶剤(:シクロヘキサノ
ン、ソルベット150 など)を加えて混合し懸濁液Bを得
た。(本発明例55〜119 ) なお、硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、完全アルキル型メチル化メラミン、ジメチレン尿
素、レゾール型フェノールまたはノナメチレンジアミン
を用いた。
【0068】また、用いた有機溶剤の量は、懸濁液全体
に対して60〜85重量%とした。次に、金属めっき層およ
びクロメート皮膜を有する前記鋼板のクロメート皮膜表
面に、上記で得られた懸濁液AまたはBを、所要の樹脂
膜厚(乾燥、焼付け後の樹脂膜厚)となるようにロール
塗装により塗装し、板温が150 〜300 ℃の範囲で焼付
け、本発明の燃料タンク用鋼板を試作した(本発明例1
〜本発明例119 )。
【0069】(比較材;)従来技術の特公平2−18981
号公報、特公平2−18982 号公報、特公平3−25349 号
公報に記載されている塗料を試作し、各種金属めっき鋼
板上に塗布、乾燥、焼付けた鋼板を作成し、比較材とし
た(比較例1〜9)。また、亜鉛系めっき鋼板、ターン
めっき鋼板、溶融アルミめっき鋼板そのものも、比較材
として用いた(比較例10〜比較例13)。
【0070】以上述べた方法で試作した各種鋼板の皮膜
組成、皮膜の付着量、膜厚を、表3に示す。なお、表3
に示す金属めっきの種類、硬化剤の種類の欄の符号、内
面皮膜、外面皮膜、アルカノールアミン付加量、金属粉
末の粒径は下記内容を示す。 金属めっきの種類の欄の符号:表1に記載した内容を示
す。
【0071】硬化剤の種類の欄の符号 :表1に記載
した内容を示す。 内面皮膜:燃料タンク内面側に対応する鋼板面の金属め
っき層の上層としてのクロメート皮膜のさらに上層とし
て形成した有機樹脂皮膜を示す。 外面皮膜:上記した燃料タンク内面側に対応する鋼板面
の反対側の鋼板面の有機樹脂皮膜を示し、該鋼板面は、
燃料タンク外面側に対応する。
【0072】比較例1〜9の外面皮膜、内面皮膜の欄の
符号:表2に記載した樹脂組成を示す。 アルカノールアミン付加量:エポキシ樹脂中のエポキシ
基1当量に対する量を示す。 金属粉末の粒径:金属粉末粒子を電子顕微鏡で観察(10
00倍)し、金属粉末粒子を無作為に10個選び、平均値を
求めた。
【0073】以上の本発明の高耐食性燃料タンク用鋼板
および比較材について、以下に示す評価法により、プレ
ス加工性、抵抗溶接性、外面耐食性、内面耐食性、ろう
付け性の評価を行なった。得られた試験結果を、表4に
示す。表4に示されるように、本発明の燃料タンク用鋼
板は、優れた耐食性、プレス加工性、抵抗溶接性、ろう
付け性を有することが分かる。
【0074】〔評価方法:〕 (A)プレス加工性評価方法: (1) 円筒成形試験による潤滑性評価; プレス条件:防錆油(防錆油Z5、出光石油(株)社製)
を1g/m2塗油して、下記条件下で評価した。
【0075】ポンチ径と形状;33mmφ平底円筒 クリアランス ;1mm ブランク径 ;58〜80mmφ しわ押え荷重 ;2t 絞り速度 ;60mm/sec 上記条件で、鋼板の外側面をダイス側に、内側面をポン
チ側にセットして、円筒成形し、各サンプルの限界絞り
比(絞り抜けた試料のダイス径/ポンチ径の内、最大の
値)を求め、この値で潤滑性を評価した。
【0076】限界絞り比の値が大きなものほど成形性が
良いことを示す。 (2) 円筒成形試験による皮膜の耐パウダリング性評価; プレス条件:防錆油(防錆油Z5、出光石油(株)社製)
を1g/m2塗油して、下記条件下で評価した。 ポンチ径と形状;33mmφ平底円筒 クリアランス ;1mm ブランク径 ;66mm しわ押え荷重 ;2t 絞り速度 ;60mm/sec カップ成形後の外側面の皮膜のパウダリングの程度を目
視観察し、下記基準で評価した。
【0077】 ○…皮膜のパウダリングが目視で観察されない。 △…皮膜のパウダリングが目視で観察される。 ×…非常にパウダリング量が多い。 (B)抵抗溶接性評価方法: シーム溶接条件; 電極 ;クロム−銅合金、台形電極(先端R:
15mmφ) 溶接方法 ;二重かさね、ラップシーム溶接 加圧力 ;400kg 通電時間 ;2サイクルon、1サイクルoff 冷却 ;内部、外部水冷 溶接スピード;2.5m/min 溶接電流 ;水準を変更 上記の条件下で内面同士の溶接を行い、Tピール引っ張
り試験による母材破断の有無およびナゲットラップ(:
隣り合うナゲットの重なり代)の程度から、適正な溶接
電流(kA)の範囲を求め、シーム溶接性を評価した。
【0078】(C)外面耐食性評価方法:外面側に、塗
料(上塗り塗料、エマロン;商品名、大日本塗料(株)
社製)を、乾燥膜厚が10μmとなるように塗布し、120
℃の炉内で20分間焼き付けた。得られた試料について、
下記条件下で、平面部は300 サイクル、その他は100サ
イクルの塩水噴霧サイクル試験(CCT試験)を行い、平面
部、平面部クロスカットおよび(A)(2)の条件で成形した
プレス加工品側壁部の残留板厚(mm)で評価した。
【0079】なお、試験前の板厚は、1.0mm である。 塩水噴霧サイクル試験;JASO 塩水噴霧2時間←→60℃、20〜30RH%乾燥4時間←→50
℃、98RH%湿潤雰囲気下2時間 (D)内面耐食性評価方法:平面部および (A)(2) の条
件で成形した平底円筒カップ内面を評価した。
【0080】平面部を調査する場合は,20mm×100mm の
試験片を準備し、無鉛ガソリン/500ppm蟻酸水溶液=1
/1(重量比)の燃料中に前記試験片を80mm浸漬し、常
温で1ケ月の浸漬試験を行った後、発錆度を赤錆と白錆
を合わせた面積率(%)で評価した。平底円筒カップ内
面を評価する際には、カップの径:33mmφ、高さ:30mm
に成形して試験片とし、前記の燃料をカップ内容積の80
%まで満たし、常温で1ヶ月の浸漬試験を行った後、カ
ップ内面の発錆度を赤錆と白錆を合わせた面積率(%)
で評価した。
【0081】前記燃料は、カップ内で、比重の順列から
下層に蟻酸水溶液、上層に無鉛ガソリンと分離するた
め、それぞれの部位における(赤錆+白錆)発生面積率
で評価した。 (E)ろう付け性:寸法が幅15mm×長さ200mm の試料を
2枚準備し、外面同士を15mm×15mmでラップし、ラップ
部分の試料の間に、ろう材としてIS-344(JIS 規格名)
であるキングソルダー#101 (商品名、石福金属興業
(株)社製)およびイシフクフラックス#6(商品名、
石福金属興業(株)社製)を充填し、加熱時間を一定
(=10秒)としてガス加熱した。
【0082】ガス加熱後、剪断引っ張り試験を行い、下
記基準でろう付け性を評価した。 ○…母材が破断する。 △…ろうが破壊しつつ母材が変形または破断する。 ×…母材/ろう間で剥離が生じる。 (F)硬化度の測定:幅50mm×長さ100 mmの金属粉末含
有有機樹脂皮膜塗装板(タンク内面に対応)の上に、メ
チルエチルケトンを浸透せしめた10mm×5mmのフェルト
を載置後、該フェルトを、その上側全面に10g/mm2 の圧
力を負荷した状態で往復動せしめ、金属めっき層が露出
するまでの往復回数を測定し、下記式で定義した硬化度
を求めた。
【0083】硬化度(%)=(金属めっき層が露出する
までの往復回数/100)×100 %
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
【表8】
【0092】
【表9】
【0093】
【表10】
【0094】
【表11】
【0095】
【表12】
【0096】
【表13】
【0097】
【表14】
【0098】
【表15】
【0099】
【表16】
【0100】
【表17】
【0101】
【表18】
【0102】
【表19】
【0103】
【表20】
【0104】
【表21】
【0105】
【表22】
【0106】
【表23】
【0107】
【表24】
【0108】
【発明の効果】本発明の高耐食性燃料タンク用鋼板は、
優れた耐食性、プレス加工性、抵抗溶接性、ろう付け性
を有するものであり、アルコールおよびアルコール混合
ガソリンを収納する燃料タンク用鋼板として特に有用で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23C 28/00 C23C 28/00 C (72)発明者 望月 一雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 高松 均 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 小原 秀雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の両面に最下層としてZnまたはZnを
    主成分とする金属めっき層を有し、両方の面の前記金属
    めっき層の上層としてクロメート皮膜を有し、さらに、
    少なくとも一方の面の該クロメート皮膜の上層として、
    アミン変性エポキシ樹脂とAl金属粉末およびNi金属粉末
    とを主成分とする金属粉末含有有機樹脂皮膜を有するこ
    とを特徴とする高耐食性燃料タンク用鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板の両面に最下層としてZnまたはZnを
    主成分とする金属めっき層を有し、両方の面の前記金属
    めっき層の上層としてクロメート皮膜を有し、さらに、
    少なくとも一方の面の該クロメート皮膜の上層として、
    アミン変性エポキシ樹脂と硬化剤とAl金属粉末およびNi
    金属粉末とを主成分とする金属粉末含有有機樹脂皮膜を
    有することを特徴とする高耐食性燃料タンク用鋼板。
  3. 【請求項3】 前記金属粉末含有有機樹脂皮膜が、前記
    アミン変性エポキシ樹脂100 重量部に対して、前記2種
    類の金属粉末を合計量で30〜110 重量部含有する膜厚が
    2〜10μmの皮膜であり、前記アミン変性エポキシ樹脂
    は重量平均分子量が5000〜50000 で、該アミン変性エポ
    キシ樹脂中にはエポキシ基1当量に対し、0.2 〜1.0 モ
    ルのアルカノールアミンが付加され、前記2種類の金属
    粉末の比率はNi/Al(重量比) で30/70 〜80/20 であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の高耐食性燃料タ
    ンク用鋼板。
  4. 【請求項4】 前記金属粉末の粒子が下記粒径および形
    状を有することを特徴とする請求項1〜3いずれかに記
    載の高耐食性燃料タンク用鋼板。 記 Al金属粉末粒子の粒径および形状:長径=8〜18μm、
    短径=1〜10μm、厚み:1〜5μm、形状=鱗片状 Ni金属粉末粒子の粒径および形状:粒径=1〜9μm、
    形状=球状
  5. 【請求項5】 前記硬化剤が、アミン変性エポキシ樹脂
    と硬化反応し、該硬化剤の含有量が、アミン変性エポキ
    シ樹脂100 重量部に対して2〜20重量部であり、前記金
    属粉末含有有機樹脂皮膜が、該金属粉末含有有機樹脂皮
    膜の皮膜上にメチルエチルケトンを浸透せしめた10mm×
    5mmのフェルトを載置後、該フェルトを、その上側全面
    に10g/mm2 の圧力を負荷した状態で往復動せしめ、金属
    めっき層が露出するまでの往復回数から求められる下記
    式で定義される硬化度が80%以上の金属粉末含有有機樹
    脂皮膜であることを特徴とする請求項2〜4いずれかに
    記載の高耐食性燃料タンク用鋼板。 記 硬化度=(金属めっき層が露出するまでの往復回数/10
    0)×100 %
  6. 【請求項6】 前記ZnまたはZnを主成分とする金属めっ
    き層におけるZnを主成分とする金属めっき層が、Zn−Ni
    合金めっき、Zn−Co合金めっき、Zn−Fe合金めっき、Zn
    −Ni−Cr合金めっき、Zn−Ni−Co合金めっき、Zn−Al合
    金めっきの内いずれかで形成された金属めっき層であ
    り、前記ZnまたはZnを主成分とする金属めっき層のめっ
    き付着量が10〜200g/m2 であることを特徴とする請求項
    1〜5いずれかに記載の高耐食性燃料タンク用鋼板。
  7. 【請求項7】 前記クロメート皮膜のクロム付着量が、
    クロメート付着面積当たり金属クロム換算で5〜200mg/
    m2であることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載
    の高耐食性燃料タンク用鋼板。
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