JPH10278172A - 高耐食性燃料タンク用鋼板 - Google Patents

高耐食性燃料タンク用鋼板

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JPH10278172A
JPH10278172A JP8909497A JP8909497A JPH10278172A JP H10278172 A JPH10278172 A JP H10278172A JP 8909497 A JP8909497 A JP 8909497A JP 8909497 A JP8909497 A JP 8909497A JP H10278172 A JPH10278172 A JP H10278172A
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epoxy resin
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modified epoxy
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JP8909497A
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Sachiko Suzuki
木 幸 子 鈴
Hiroyuki Ogata
形 浩 行 尾
Kazuo Mochizuki
月 一 雄 望
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐食性、プレス加工性およびシーム溶接性に優
れ、アルコールまたはアルコールと蟻酸が混合されたガ
ソリン用のタンク材料として好適な高耐食性燃料タンク
用鋼板の提供。 【解決手段】鋼板の両表面に、最下層としてZnまたは
Znを主成分とする金属めっき層を有し、その両面の金
属めっき層の上層にクロメート皮膜を有し、一方の面の
クロメート皮膜の上層に、Ni金属粉末およびAl金属
粉末と、アミン変性エポキシ樹脂と、ポリオレフィンワ
ックスとを主成分とする金属粉末含有有機樹脂皮膜を有
し、または、さらに硬化剤を含む金属粉末含有有機樹脂
皮膜を有し、他方の面のクロメート皮膜の上層に、変性
エポキシ樹脂とシリカを主成分とするシリカ含有有機樹
脂皮膜を有する高耐食性燃料タンク用鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高耐食性燃料タンク
用鋼板に関し、特に、耐食性、プレス加工性およびシー
ム溶接性に優れ、アルコールまたはアルコールと蟻酸が
混合されたガソリン用のタンク材料として好適な高耐食
性燃料タンク用鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料タンク用鋼板は、燃料および外環境
に対する耐食性、プレス加工性、溶接性等の多くの性能
が要求される。まず、始めに燃料に対する耐食性につい
て述べる。北米、中南米および欧州では、エネルギー政
策として石油依存率の低減を国策とする国が多く、自動
車用新燃料としてアルコール(メタノール、エタノー
ル)そのもの、あるいはアルコールをガソリンに5〜2
0%混合した、いわゆるガソホールの導入比率が年々拡
大の傾向にある。
【0003】しかしながら、これらアルコールまたはガ
ソホール(以下、「アルコール系燃料」という)は、
(a)水を含みやすい、(b)水混入量の増加、温度の
低下により層分離する、(c)アルコールが酸化劣化し
て有機酸を生成する可能性があり(例えば、メタノール
の場合は蟻酸、エタノールの場合は酢酸へと変化す
る)、下層にアルコール、有機酸等と水を主成分とする
分離層を生じる、(d)現行タンク材料の主流であるタ
ーン(Pb/Sn合金)めっき鋼板は、メタノールを4
0%以上含むアルコールとガソリンの混合物によって、
めっき層が溶解するなど、通常のガソリン燃料に対する
よりも一段と強く腐食されてしまう。
【0004】しかるに、自動車の燃料タンクは、自動車
を構成する各種の部品の中でも、安全確保の点から最重
要部品として位置付けられており、シーム溶接部に欠陥
がないこと、タンク内外面ともに腐食による穴あきが発
生しないこと、さらには燃料循環系統でフィルターの目
詰まりを発生するような浮遊性の腐食生成物が生じない
ことが要求される。
【0005】ところで、現在、通常の自動車用燃料タン
ク材料は、例えば、特公昭57−61833号公報に示
されるようなPb−Sn合金溶融めっき鋼板や、特公昭
53−19981号公報に示されるようなZnめっき鋼
板に厚クロメート処理を施したものが使用されている。
【0006】これら従来の材料のガソリン、アルコール
系燃料に対する耐食性(以下、「内面耐食性」という)
について見ると、Pb−Sn合金は、メタノールに非常
に溶解しやすい欠点を有しており、メタノール混合ガソ
リンに対しては実用が困難と考えられる。一方、電気Z
nめっき鋼板に厚クロメート処埋を施した材料の内面耐
食性は、Znの犠牲防食作用により、若干の赤錆、穴あ
きの発生が抑制される。しかしZnの溶出速度が大き
く、浮遊性の白色沈殿物が多量に発生し、燃料循環系統
でフィルターの目詰まりが発生する。さらに、Zn溶出
後は、素地鋼の赤錆、穴あきが発生しやすい欠点を有
し、燃料タンク用鋼板として不充分である。
【0007】前述の電気Znめっき鋼板の代わりにZn
を主成分とする合金めっき鋼板、例えば、特開昭55−
110791号公報に示されるZn−Ni合金めっき鋼
板、特公昭57−33347号公報に示されるZn−C
o合金めっき鋼板、特公昭57−61831号公報に示
されるZn−Fe合金めっき鋼板、特公昭54−332
22号公報に示されるZn−Al合金めっき鋼板、特開
昭57−70288号公報に示されるZn−Ni−Cr
合金めっき鋼板、特公昭57−33347号公報に示さ
れるZn−Co−Ni合金めっき鋼板等を用いた場合、
前記各合金めっき層の溶出速度がZnめっき層に比べて
かなり抑制されるため、内外面ともに腐食が抑制され
る。しかし、依然としてタンク外面側の穴あき腐食やタ
ンク内面側の浮遊性の白色沈殿物の発生によるフィルタ
ーの目詰りや穴あき腐食を解決するには至らない。
【0008】そこで、上記欠点を解決すべく、アルコー
ル単独あるいはアルコール混合ガソリン、特に腐食性が
強いアルコールと蟻酸が混合されたガソリンに対して優
れた内面耐食性を発揮し、かつタンク外面が外環境に対
して優れた耐食性(以下、外環境に対する耐食性を「外
面耐食性」という)を発揮し、さらにタンク製造工程に
おいて優れたプレス加工性、抵抗溶接性を発揮する高耐
食性燃料タンク用鋼板が、特公平2−18981号公
報、特公平2−18982号公報および特公平3−25
349号公報に記載されている。特公平2−18981
号公報には、Pb/Sn合金またはSnを主成分とする
金属めっき層、上層として金属粉末を含む有機樹脂皮膜
を有する鋼板が記載されている。特公平2−18982
号公報および特公平3−25349号公報には、Znま
たはZnを主成分とする金属めっき層、上層として金属
粉末を含む有機樹脂皮膜を有する鋼板が記載されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記3つの公
報に記載されている金属粉末を含有する有機樹脂皮膜
は、その有機樹脂中の40〜90%がフェノキシ樹脂で
占められている。このためガソリンタンクとして用いる
ときの外面側の特性は、フェノキシ樹脂が有する水酸基
と金属粉末の親和性が不足するため、プレス加工時に金
属粉末が皮膜から脱離するおそれがある。そのため、外
面側はめっきの剥離が生じ、プレス成形性が悪くなる。
【0010】また、ガソリンタンクとして用いるときの
内面側は、上記の金属粉末の脱離やめっき層の剥離によ
ってダメージを受けた部分の内面耐食性が悪くなる。ダ
メージを受けていない平面部分も、皮膜中の樹脂/金属
粉末間に腐食液が滞留しやすくなり、内面耐食性が劣
り、いまだ実用化には無理がある。
【0011】さらに、いずれの鋼板も、タンク内外面の
樹脂皮膜が必須成分として硬化剤を含むため、硬化度が
高い場合には、熱分解しづらく、ナゲット生成過程にお
ける皮膜排除が困難になり、シーム溶接性が低下する。
すなわち、金属粉末の含有により通電点を確保しても、
残存する皮膜周辺の母材が溶接不良を起こすため、充分
なナゲット間のラップが得られず、燃料もれが生じる。
場合によっては、充分な溶接強度が得られず剥離が生じ
る。また、硬化度が低く、未反応硬化剤を含む場合に
は、その部分の凝集力が低く、腐食因子(酸、塩素イオ
ン等)が侵入し易く、内外面の耐食性が低下する。以上
のように、従来提案されている材料は、タンク材料とし
て要求される種々の性能において問題があり、いまだ実
用化に至っていない。
【0012】そこで、本発明の目的は、従来使用され、
または提案されているタンク材料の欠点を解消し、アル
コール、特にメタノールそのものあるいはメタノールが
酸化して生成した蟻酸の混合されたガソリンに対して優
れた内面耐食性を発揮し、かつタンク製造工程において
優れたプレス加工性、シーム溶接性および外面耐食性を
発揮する高耐食性燃料タンク用鋼板を提供することにあ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために、鋭意研究の結果、鋼板の表面に、Z
nまたはZnを主成分とする金属めっき層を設け、その
金属めっき層の上層にクロメート皮膜を設け、さらに、
その一方の面のクロメート皮膜の上層にポリエチレンワ
ックスを含む金属粉末含有有機樹脂皮膜を設け(以下、
この面を内面と称す)、他方の面のクロメート皮膜の上
層に、変性エポキシ樹脂およびシリカを含有したシリカ
含有有機皮膜(以下、この面を外面と称す)を設けるこ
とによって、これらの問題を一挙に解決しうるという全
く新しい知見を得て、本発明を完成したものである。
【0014】すなわち、本発明は、鋼板の両表面に、最
下層としてZnまたはZnを主成分とする金属めっき層
を有し、その両面の金属めっき層の上層にクロメート皮
膜を有し、一方の面のクロメート皮膜の上層に、Ni金
属粉末およびAl金属粉末と、アミン変性エポキシ樹脂
と、ポリオレフィンワックスとを主成分とする金属粉末
含有有機樹脂皮膜を有し、他方の面のクロメート皮膜の
上層に、変性エポキシ樹脂とシリカを主成分とするシリ
カ含有有機樹脂皮膜を有する高耐食性燃料タンク用鋼板
を提供するものである。
【0015】また、本発明は、鋼板の両表面に、最下層
としてZnまたはZnを主成分とする金属めっき層を有
し、その両面の金属めっき層の上層にクロメート皮膜を
有し、一方の面のクロメート皮膜の上層に、Ni金属粉
末およびAl金属粉末と、アミン変性エポキシ樹脂と、
ポリオレフィンワックスと、硬化剤とを主成分とする金
属粉末含有有機樹脂皮膜を有し、他方の面のクロメート
皮膜の上層に、変性エポキシ樹脂とシリカを主成分とす
るシリカ含有有機樹脂皮膜を有する高耐食性燃料タンク
用鋼板を提供するものである。
【0016】また、前記金属粉末含有有機樹脂皮膜が、
アミン変性エポキシ樹脂100重量部に対して、Ni金
属粉末とAl金属粉末の合計30〜110重量部および
ポリオレフィンワックス5〜20重量部からなり、Ni
金属粉末/Al金属粉末の含有割合が30/70〜80
/20(重量比)であり、Al金属粉末が長径8〜18
μm、短径1〜10μm、厚さ1〜5μmの鱗片状であ
り、Ni金属粉末が粒径1〜9μmの粒状であり、前記
アミン変性エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂中のエポキシ
基1当量に対し、0. 2〜1. 0モルのアルカノールア
ミンを付加してなる複合体樹脂であり、かつ重量平均分
子量が5000〜50000の範囲であり、前記金属粉
末含有有機樹脂皮膜中のポリオレフィンワックスが、軟
化点が70〜150℃、平均粒径が1〜7μmであるも
のであり、金属粉末含有有機樹脂皮膜の厚さが2〜10
μmであると、好ましい。
【0017】前記硬化剤が、アミン変性エポキシ樹脂と
硬化反応し、アミン変性エポキシ樹脂100重量部に対
して、2〜20重量部の割合であり、かつメチルエチル
ケトンを含浸させ、かつ10g/mm2 の荷重をかけた
フェルト(10mm×5mm)で金属粉末含有有機樹脂
皮膜の表面をこすり、下地が露出するまでの往復回数を
測定し、下記の式で定義される硬化度が80%以上で 硬化度=(下地が露出するまでの往復回数/100)×
100% あるものが好ましい。
【0018】さらに、前記シリカ含有有機樹脂皮膜が、
変性エポキシ樹脂100重量部と、シリカを固形分で1
0〜150重量部とを含み、膜厚が0.2〜3.0μm
の皮膜であり、前記変性エポキシ樹脂が、エピクロルヒ
ドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部
に対してイソシアネート化合物10〜100重量部を反
応させてなる、エポキシ当量1000〜5000のウレ
タン変性エポキシ樹脂に、さら該ウレタン変性エポキシ
樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.0モルの
ジアルカノールアミンを付加させてなるものが好まし
い。
【0019】また、前記Znを主成分とする金属めっき
層が、Zn−Ni合金めっき、Zn−Co合金めっき、
Zn−Fe合金めっき、Zn−Ni一Cr合金めっき、
Zn一Ni一Co合金めっき、またはZn−Al合金で
あり、ZnまたはZnを主成分とする金属めっき層の目
付量が、10〜200g/m 2 であるものが好ましい。
【0020】前記クロメート皮膜のクロム付着量が、金
属クロム換算で片面あたり5〜200mg/m2 である
ものが好ましい。
【0021】以下、本発明の高耐食性燃料タンク用鋼板
(以下、「本発明の燃料タンク用鋼板」という)につい
て詳細に説明する。
【0022】まず、本発明の燃料タンク用鋼板は、鋼板
の両表面に最下層としてZnまたはZnを主成分とする
金属めっき層を有するものである。該金属めっき層は、
アルコールおよびアルコール混合燃料中において鉄地よ
り卑な電位を示す金属層であるから、めっき層が損傷し
たプレス加工部においてもZnの犠牲防食作用により赤
錆、穴あきの発生を抑制し、燃料タンクの外面耐食性を
向上させることができる。一方、内面は有機皮膜のバリ
ヤー効果により蟻酸水溶液の浸透を防ぎ、酸に対して弱
いZnの溶出とこれにともなう浮遊性の白色沈殿物の生
成を抑制することができる。
【0023】また、この金属めっき層をZnを主成分と
する合金めっき層とすると、犠牲防食作用時におけるめ
っき層の溶出速度が遅くなるので、Zn単独のめっき層
とした場合に比べて低目付量で燃料タンクの穴あき寿命
を延長させることができる。かつ後述する上層のクロメ
ート層や金属粉末含有有機樹脂皮膜と複合した場合の耐
食性もより向上する。本発明において、Znを主成分と
する金属めっき層としては、Zn−Ni合金めっき、Z
n一Co合金めっき、Zn−Fe合金めっき、Zn−A
l合金めっき、Zn−Ni一Cr合金めっき、Zn−N
i−Co合金めっき等からなるものが挙げられ、これら
の内、いずれもが好適である。
【0024】本発明の燃料タンク用鋼板において、Zn
またはZnを主成分とする金属めっき層の目付量は、1
0〜200g/m2 が好ましく、さらに好ましくは20
〜100g/m2 である。めっき目付量が10g/m2
未満では鋼板表面の隠蔽効果が不充分となり、下層に必
要とされる耐食性が不足する。また200g/m2 を超
えると下層の耐食性が飽和する。
【0025】本発明において、このZnまたはZnを主
成分とする金属めっき層は、特に制限されず、公知の電
気めっき法、溶融めっき法により形成することができ
る。例えば、Znめっき層は、ZnSO4 ・7H2
410g/l、AlCl3 20g/l、およびNa2
SO4 75g/lの混合溶液を用い、pH3〜5、温度
20〜30℃、電流密度1〜10A/dm2 で電気めっ
きする方法によって形成することができる。また、Zn
を主成分とする金属めっき層は、Zn一Ni合金めっき
の場合、ZnSO4 ・7H2 O 300g/l、および
NiSO2 ・6H 2 O 200g/lの混合溶液を用
い、Zn−Co合金めっきの場合は、ZnSO4 ・7H
2 O 200g/l、CoSO4 ・7H2 O 200g
/l、およびNa2 SO4 45g/lの混合溶液を用
い、Zn一Fe合金めっきの場合は、ZnSO4 ・7H
2 O 110g/l、FeSO4 ・7H2 O 100g
/l、(NH4 2 SO4 20g/l、KCl20g
/l、およびクエン酸第2アンチモン60g/lの混合
溶液を用い、Zn−Ni−Cr合金めっきの場合は、Z
nSO4 ・7H2 O 160g/l、NiSO4 ・6H
2 O 240g/l、およびCrO32g/lの混合溶
液を用い、Zn−Ni−Co合金めっきの場合は、Zn
SO4 ・7H2 O 100g/l、NiSO4 ・6H2
O 60g/l、CoSO4 ・7H2 O 60g/l、
(NH4 2 SO4 5g/l、およびH2SO4 10
g/lの混合溶液を用いて形成することができる。この
とき、めっき浴は、それぞれpH2. 0〜4. 5に調整
し、電流密度5〜50A/dm2 、および室温〜60℃
の条件で行うことができる。さらに、Zn−Al合金め
っきの場合は、Al 4〜5wt%、Zn 95〜96
wt%からなる溶融めっき浴、あるいはAl 50〜6
0wt%、Zn 50〜40wt%からなる溶融めっき
浴により形成することができる。
【0026】次に、本発明の燃料タンク用鋼板は、両表
面の金属めっき層の上層にクロメート皮膜を有するもの
である。クロメート皮膜のクロム付着量は金属クロム換
算で片面あたり5〜200mg/m2 、さらに好ましく
は10〜100mg/m2 である。5mg/m2 未満の
場合、その上層の有機皮膜との密着性が不足するため、
プレス加工時に摺動部の皮膜が剥離し、場合によっては
めっき層の剥離まで発生する。また、付着量が少ないた
めに自己修復に用いられるべき6価クロム成分が不足
し、かつ前記めっき層の剥離と相まって内外面の加工部
耐食性が不足するおそれがある。200mg/m2 を超
える場合、クロメート皮膜自体が非常に脆くなり加工摺
動部でクロメート皮膜の剥離が発生し、これに伴うその
上層の有機樹脂皮膜または層の剥離も生じ、内外面の加
工部耐食性が不足するおそれがある。
【0027】本発明において、このクロメート皮膜の形
成は、通常の処理方法にしたがって行うことができ、特
に制限されない。例えば、無水クロム酸、クロム酸塩、
重クロム酸等を主剤とした水溶液中で浸漬クロメート処
理、電解クロメート処理等を行えばよく、あるいは上記
水溶液にコロイダルシリカ等を混合した処理液をめっき
鋼板上に塗布する塗布型クロメート処理を行って、クロ
ム水和物を主体とする皮膜を形成させてもよい。なお、
めっき鋼板をクロメート処理液で処理した後、フラット
ゴムロール等で絞る工程や、熱風乾燥等の乾燥工程を経
て、クロメート皮膜が鋼板の両面に形成される。
【0028】本発明の燃料タンク用鋼板は、クロメート
皮膜の上層に、最上層として、内面側には、金属粉末、
アミン変性エポキシ樹脂およびポリオレフィンワックス
を主成分とし、必要に応じて硬化剤をむ金属粉末含有有
機樹脂皮膜を有し、また、外面側には、変性エポキシ樹
脂およびシリカを含むシリカ含有有機樹脂皮膜を有する
ものである。また、本発明の燃料タンク用鋼板の内面側
は、溶接性、耐ガソリン性等に優れるため、ガソリンタ
ンクの内面側(すなわちガソリンと接する側)として用
いるのが好ましい。外面側は、耐食性に優れるため、ガ
ソリンタンクの外面側として用いるのが好ましい。
【0029】本発明の燃料タンク用鋼板の内面側の最上
層に設けられる金属粉末含有有機樹脂皮膜は、アルコー
ル、特にメタノールそのものあるいはメタノールが酸化
して生成した蟻酸を含むガソリンに対して優れた耐食性
および耐久性を有する金属粉末と樹脂成分からなり、下
層の金属めっき層およびクロメート層とアルコール系燃
料との直接接触を阻止するための防食層の役割を果たす
層である。
【0030】本発明の燃料タンク用鋼板において、金属
粉末含有有機樹脂皮膜に配合される金属粉末は、抵抗溶
接性を確保するために添加されるものである。すなわ
ち、有機樹脂皮膜は、一般に高い電気絶縁性を有し、し
かも樹脂皮膜の膜厚は2〜10μmの薄膜であるため、
鋼板の凸部の露出を全く期待できず、抵抗溶接が困難で
ある。そこで、本発明はガソリンタンク内面側の有機樹
脂皮膜中に、金属粉末を必要量分散させ、皮膜の電導性
を高めるものである。
【0031】用いられる金属粉末は、固有抵抗が高いも
のの方が発熱量が大きく有用であり、具体的にはNi、
Al、Fe、Cu等の金属粉末が挙げられる。これらの
中でも、Niはメタノールに対して耐食性が優れかつ固
有抵抗が高いため最も有用である。また、AlはNiに
比較して固有抵抗や融点が低く、必ずしも溶接には最適
ではないが、鱗片状の形状が、有機皮膜中で蟻酸水溶液
の透過を抑制するため有用である。そこで、本発明にお
いては、Al金属粉末とNi金属粉末とを組み合わせ、
適正比率で有機樹脂皮膜中に添加することが、有効であ
る。
【0032】また、金属粉末の形状は、粒状、フレーク
状いずれも適用できるが、所要の内面耐食性または抵抗
溶接性が得られるように適宜選択される。例えば、Ni
粉末は、粒径1〜9μmの粒状のものが好ましく、さら
に好ましくは2〜7μmである。粒径が1μm未満の場
合、通電点が不足し、粒径が9μmを超える場合、通電
点を充分に有するため、少量の添加で抵抗溶接性が向上
する。一方、皮膜が多孔質になるため、内面耐食性が劣
化し、さらにはプレス加工時における皮膜のパウダリン
グも問題になる。
【0033】Al金属粉末は、長径が8〜18μm、短
径が1〜10μm、厚さが1〜5μmの鱗片状であり、
さらに好ましくはAl粉末の長径は10〜15μm、短
径は5〜8μm、厚さは2〜4μmである。Al金属粉
末の長径および短径がそれぞれ8μm未満および1μm
未満の場合、燐片の面積が小さくなるため、蟻酸等の水
溶液の透過抑制能が低くなり、内面耐食性が低下する。
長径のみまたは短径のみが短い場合も同様である。ま
た、長径および短径がそれぞれ18μmおよび10μm
を超える場合、有機樹脂皮膜が多孔質になり過ぎるた
め、皮膜の強度が不足し、脆いものとなる。そのため、
パウダリングが生じたり、プレス加工部の内面耐食性が
低下するおそれがある。また、厚さが1μm未満の場
合、内面耐食性の寿命が短くなる。一方、厚さが5μm
を超える場合、皮膜の表面に露出するAl粉末の割合が
多くなりすぎるため、抵抗溶接性が低下する。
【0034】金属粉末含有有機樹脂皮膜中のNi金属粉
末およびAl金属粉末の合計の配合量は、アミン変性エ
ポキシ樹脂100重量部に対して30〜110重量部、
好ましくは45〜100重量部の割合となる量である。
30重量部未満の場合、通電点が不足し電導性に劣るた
め抵抗溶接性が低下するおそれがある。110重量部を
超える場合、有機樹脂皮膜自体が脆弱になり、プレス時
の耐パウダリング性が低下し内面耐食性が低下するおそ
れがある。
【0035】また、金属粉末含有有機樹脂皮膜中のNi
金属粉末/Al金属粉末の含有割合は30/70〜80
/20(重量比)が好ましく、さらに好ましくは40/
60〜70/30である。Ni金属粉末/Al金属粉末
の含有割合が、30/70未満の場合には、高い固有抵
抗を有するNiの量が不足するため、抵抗溶接性が低下
するおそれがある。また、80/20を超える場合、ア
ルコール系燃料の浸透を抑制する働きを有するAlの量
が不足するため、内面耐食性が低下するおそれがある。
【0036】本発明の燃料タンク用鋼板において、金属
粉末含有有機樹脂皮膜に配合されるアミン変性エポキシ
樹脂は、ガソリン、アルコール、または蟻酸を含む燃料
に対して優れた耐食性および耐久性を有し、かつ素地原
板(鋼板+金属めっき層+クロメート層)に対する塗膜
密着性、また、プレス成形性において優れた特性を発揮
するものである。このアミン変性エポキシ樹脂は、主骨
格を形成するエポキシ樹脂のエポキシ基にアミンが付加
してなるものである。
【0037】このアミン変性エポキシ樹脂の主骨格を形
成するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフエノール
A型エポキシ樹脂、ビスフエノールF型エポキシ樹脂、
環状脂肪族エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹
脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型
エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの中で
も、金属粉末含有有機樹脂皮膜の形成に際して、塗料と
しての安定性に優れ、また、プレス成形性および内面耐
食性に優れる皮膜を安定して得ることができる製造条件
の範囲が広い点で、ビスフエノールA型エポキシ樹脂、
ビスフエノールF型エポキシ樹脂が好ましい。このエポ
キシ樹脂の具体例として、商品名:エピコート101
0、1009、1007、1004、1001(いづれ
も油化シェルエポキシ(株)製)で市販されているも
の、あるいはこれらのエポキシ樹脂を高分子化させたフ
ェノキシ樹脂(UCC社製)等が挙げられる。また、こ
れらのエポキシ樹脂を、単独、あるいはアジピン酸、ア
ゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、ダイマー酸等のジ
カルボン酸と反応させてなるエポキシエステル樹脂を用
いてもよい。また、ポリアルキレングリコールジグリシ
ジルエーテルを併用しても良い。
【0038】このアミン変性エポキシ樹脂において、エ
ポキシ樹脂のエポキシ基に付加するアミンとしては、エ
チルエタノールアミン、エタノールアミン等のモノアル
カノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノール
アミン、ジブタノールアミン等のジアルカノールアミン
などのアルカノールアミンが挙げられる。後記の硬化剤
との低温反応性をより高めるには、一級水酸基をより多
く導入可能なジアルカノールアミンが好ましい。
【0039】アミン変性エポキシ樹脂において、主骨格
であるエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に付加するアル
カノールアミンのモル数は0. 2〜1. 0モルである。
エポキシ当量が500〜1000のエポキシ樹脂の場
合、付加するアルカノールアミンのモル数は0. 2〜
0. 6モル、エポキシ当量が1000〜5000のエポ
キシ樹脂の場合、付加するアルカノールアミンのモル数
は0. 6〜1. 0モルであるのが特に好ましい。付加し
ているアルカノールアミンのモル数が0. 2未満の場
合、アミン変性度が不足するため、金属粉末とアミン変
性エポキシ樹脂の親和性が低下し、プレス加工時に金属
粉末が皮膜から脱離する。その程度が激しい場合には、
めっき層の剥離が生じるため、プレス成形性が悪化する
おそれがある。また、同様の理由から、皮膜中の樹脂/
金属粉末間に腐食液が滞留しやすくなり、充分な疎水性
が得られず、蟻酸水溶液を皮膜中に呼び込み易いことも
要因となって、腐食性の強いメタノール系燃料に対する
内面耐食性が不足するおそれがある。付加するアルカノ
ールアミンのモル数が1. 0モルを超えると、その超過
分はエポキシ基に付加せず経済的ではなく、余剰アミン
が吸水性を高め内面耐食性が低下するおそれがある。
【0040】本発明において、このアミン変性エポキシ
樹脂は、優れたプレス成形性を確保するため、5000
〜50000、好ましくは10000〜40000の重
量平均分子量を有するものが好ましい。重量平均分子量
が5000未満の場合、低分子量であるため、分子間力
が不足し、得られる金属粉末含有有機樹脂皮膜の強靱性
が不足する。そのため、プレス加工時に皮膜が削られ、
所期のプレス成形性を得ることができないおそれがあ
る。また、分子量が50000を超える場合、エポキシ
基に付加されているアルカノールアミンの量が少なくな
るため、樹脂と金属粉末との親和性が不足し、プレス加
工時に皮膜からの金属粉の脱離が発生したり、所期の内
面耐食性を得ることができないおそれがある。
【0041】本発明の燃料タンク用鋼板において、内面
側に形成される金属粉末含有有機樹脂皮膜に潤滑性を付
与するため、ポリオレフィンワックスが配合される。一
般に、高速プレス成形等の摺動部の発熱を伴う過酷なプ
レス成形条件下でも皮膜の剥離が生じない、連続成形可
能な高度の潤滑性を有する皮膜を得るために、70℃程
度以上の高いガラス転移温度を有するベース樹脂成分か
らなるポリオレフィワックスを用いることが望ましい。
ここで、摩擦係数が小さく、樹脂皮膜表面に突出する潤
滑剤を用いると、プレス加工時における金型との摩擦衝
撃を潤滑剤が吸収し、低いガラス転移温度を有するベー
ス樹脂成分を用いる場合と同程度の潤滑性を得ることが
できるため、有効である。すなわち、樹脂皮膜の表面に
突出する潤滑剤を用いることにより、40℃程度まで低
いガラス転移温度を有するベース樹脂からなるポリオレ
フィンワックスを用いても、所要の潤滑性を得ることが
できるため、有効である。この金属粉末含有有機樹脂皮
膜を有する鋼板は、プレス成形時に樹脂皮膜表面に突出
した潤滑剤が金型との摩擦を低減し、樹脂皮膜の損傷を
防止し、工業生産時の連続生産性の向上を図ることがで
きる。
【0042】このポリオレフィンワックスは、平均粒径
が1〜7μmのものが好ましく、さらに好ましくは平均
粒径が2〜6μmのものである。平均粒径が1μm未満
の場合、金属粉末含有有機樹脂皮膜から突出する潤滑剤
の量が少なく、十分なプレス加工性を得ることができな
い。また、平均粒径が7μmを超える場合、金属粉末含
有有機樹脂皮膜が脆弱になりすぎ、皮膜の耐パウダリン
グ性が低下するため、プレス成形性が劣る。
【0043】用いられるポリオレフィンワックスは、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィ
ン系炭化水素の重合体からなるワックスであれば、いず
れのものでもよいし、これらを組み合わせて用いても良
い。
【0044】このポリオレフィンワックスは、融点が7
0〜150℃の範囲であれば、いずれのものを用いても
良い。また、低融点と高融点のものを組み合わせて用い
てもよく、こうすることにより、一層良好なプレス加工
性を得ることができる。融点が70℃未満のポリオレフ
ィンワックスを使用する場合、発熱を伴う過酷なプレス
条件下では、ワックス層の弾性率が著しく低下するた
め、潤滑性が低下し、プレス成形性が劣る。融点が15
0℃を超えるポリオレフィンワックスを使用する場合、
ワックスの軟化が不足し、ワックス層が強靭すぎるた
め、潤滑性が低下し、プレス成形性が劣る。
【0045】金属粉末含有有機樹脂皮膜において、ポリ
オレフィンワックスの配合量は、アミン変性エポキシ樹
脂100重量部に対して、5〜20重量部の割合となる
量が好ましく、さらに好ましくは10〜15重量部の割
合となる量である。5重量部未満では、金属粉末含有有
機樹脂皮膜の表面に突出するワックス粒子量が不十分で
あり、潤滑性が不足する。20重量部を超えると、脆い
ポリオレフィンワックス成分が不必要に多くなり、皮膜
強度が低下し、その結果、潤滑性が低下する。
【0046】また、本発明において、金属粉末含有有機
樹脂皮膜は、硬化剤を含有することもできる。硬化剤を
添加することにより、さらに内面耐食性を向上させるこ
とができる。用いられる硬化剤としては、例えば、イソ
シアネート系硬化剤、アミン系硬化剤、メラミン系硬化
剤、ジシアンジアミド系硬化剤、ヒドラジド系硬化剤、
フェノール系硬化剤、ホウ素系硬化剤、イミダゾール系
硬化剤等を挙げることができる。このような硬化剤は樹
脂成分と反応するものとして配合される。
【0047】金属粉末含有有機樹脂皮膜中の硬化剤の配
合割合は、アミン変性エポキシ樹脂(固形分)100重
量部に対して2〜20重量部、好ましくは4〜10重量
部の割合である。硬化剤の配合割合が2重量部未満の場
合は、硬化度が低過ぎるため、蟻酸透過の抑制能が不足
し、内面耐食性が低下する。また皮膜の強靭性が不足す
るため、プレス成形性が低下する。一方、20重量部超
えの場合、未反応硬化剤が樹脂皮膜を脆弱にするため、
プレス成形性が低下する。また、未反応硬化剤が腐食因
子(酸、塩素イオン等)を誘動し、内面耐食性が低下す
る。
【0048】本発明の燃料タンク用鋼板において、金属
粉末含有有機樹脂皮膜に硬化剤を添加する場合、皮膜の
硬化度が内面耐食性および強靱性に優れる皮膜を得る上
で重要である。この硬化度は、メチルエチルケトンを含
浸させ、かつ10g/mm2の荷重をかけたフェルト
(10mm×5mm)で金属粉末含有有機樹脂皮膜の表
面をこすり、下地が露出するまでの往復回数を測定し、
下記の式で定義されるものである。 硬化度=(下地が露出するまでの往復回数/100)×
100% 硬化度は内面耐食性の観点からは、80%以上が好まし
く、硬化度が80%未満の場合、硬化度が低過ぎるた
め、蟻酸透過の抑制能が不足し、内面耐食性が低下する
おそれがある。また皮膜の強靭性が不足するため、プレ
ス成形性が低下するおそれがある。本発明において、硬
化度が高い方が、内面耐食性には有利であるが、その場
合、シーム溶接の際の適正溶接範囲が狭くなる。
【0049】本発明の燃料タンク用鋼板において、金属
粉末含有有機樹脂皮膜の厚さは2〜10μmが好まし
い。2μm未満では外層として要求される内面耐食性が
不充分である。また、10μmを超えると、耐食性が飽
和し、プレス加工性およびシーム溶接性が低下する。
【0050】また、金属粉末含有有機樹脂皮膜には、必
要に応じて、潤滑剤、カップリング剤、顔料、チクソト
ロピック剤、分散剤等の添加剤を添加することもでき
る。
【0051】金属粉末含有有機樹脂皮膜の形成におい
て、例えば、アミン変性エポキシ樹脂は、500〜50
00のエポキシ当量を有するエポキシ樹脂にアルカノー
ルアミンを添加し、常温〜100℃で4〜5時間反応さ
せることにより得ることができる。次に、サンドミルや
アトライターで、アミン変性エポキシ樹脂中に、金属粉
末およびポリオレフィンワックス、または金属粉末、ポ
リオレフィンワックスおよび硬化剤、ならびに必要に応
じて添加される添加剤を添加、分散させ、所定比率の金
属粉末を含む有機樹脂塗料を調製し、これをクロメート
皮膜の上に塗布して皮膜を形成する方法にしたがって行
うことができる。
【0052】本発明の燃料タンク用鋼板において、外面
側に形成されるシリカ含有有機樹脂皮膜は、変性エポキ
シ樹脂およびシリカを含むものである。この変性エポキ
シ樹脂として、エポキシ樹脂にイソシアネート化合物を
反応させてなるウレタン変性エポキシ樹脂に、さらにジ
アルカノールアミンを付加させてなるものが好ましい。
【0053】用いられるエポキシ樹脂としては、エピク
ロルヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪
族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂のみからなるも
の、あるいは上記エポキシ樹脂と、ビスフェノールA型
エポキシ樹脂を共重合したもの、さらに、ジカルボン
酸、モノカルボン酸との反応によるエポキシエステル等
が挙げられる。これらの中でも、加工部耐食性を考慮し
た場合、エピクロルヒドリン−ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂を用いるのが好ましい。このエピクロルヒドリ
ン−ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ビスフェノー
ルAとエピクロルヒドリンのみを縮合反応させた縮合物
である。このエピクロルヒドリン−ビスフェノールA型
エポキシ樹脂の具体例としては、エピコート1001、
1004、1007、1009(いずれもシエル化学社
製)等の市販品が挙げられ、これらを単独あるいは2種
以上を組み合わせた混合物として用いてもよい。
【0054】このエピクロルヒドリン−ビスフェノール
A型エポキシ樹脂に、イソシアネート化合物を反応させ
ることにより、ウレタン変性エポキシ樹脂を得ることが
できる。使用されるイソシアネート化合物は、1分子中
に少なくとも2個のイソシアネート基を有する脂肪族、
脂環族、または芳香族化合物、もしくは、それらの化合
物を多価アルコールで部分反応せしめてなる化合物であ
る。例えば、m−またはp−フェニレンジイソシアネー
ト、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート
またはp−キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの単独
または混合物、あるいは、多価アルコール(エチレング
リコール、プロピレングリコール等の2価アルコール
類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリ
スリトール、ソルビトール、ジペンタエリスリトール等
の多価アルコール)との反応生成物で、1分子中に少な
くとも2個のイソシアネート基が残存する化合物が挙げ
られる。
【0055】ウレタン変性エポキシ樹脂の調製におい
て、エピクロルヒドリン−ビスフェノールA型エポキシ
樹脂とイソシアネート化合物は、エピクロルヒドリン−
ビスフェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対し、
イソシアネート化合物10〜100重量部の割合で反応
させるのが好ましい。エピクロルヒドリン−ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂100重量部に対し、イソシアネ
ート化合物が10重量部未満では、十分な加工性を有す
るシリカ含有有機樹脂皮膜を得ることかできず、また、
高分子化が不十分なため、強靱性に優れるシリカ含有有
機樹脂皮膜が得られず、加工時にプレス性が低下し、さ
らに、本発明の燃料タンク用鋼板を燃料タンクに成形時
に、シリカ含有有機樹脂皮膜の上層に塗装する塗膜との
密着性が低下する。また、イソシアネート化合物が10
0重量部を超えると、得られる樹脂の高分子化が進みす
ぎるため、粘度上昇を招き、皮膜形成時の塗装性を低下
させるためやはり好ましくない。
【0056】エピクロルヒドリン−ビスフェノールA型
エポキシ樹脂とイソシアネート化合物との反応は、無触
媒でも十分可能であるが、必要に応じて、公知の触媒、
例えば、第3級アミン、有機化合物等を添加することも
できる。
【0057】また、得られたウレタン変性エポキシ樹脂
のエポキシ当量は、1000〜5000の範囲である。
エポキシ当量が1000未満の場合、樹脂の分子量が小
さいため、十分な強靱性を有する皮膜を形成することが
できず、加工性や後塗装密着性が低下する。また、前記
エポキシ当量が5000を超える場合は、エポキシ基の
濃度が低過ぎて、付加するジアルカノールアミンの量が
少なくなり、シリカによる十分な補強効果を有するシリ
カ含有有機樹脂皮膜が得られない。
【0058】このようにして得られたウレタン変性エポ
キシ樹脂のエポキシ基に、さらにジアルカノールアミン
を付加して、シリカ含有有機樹脂皮膜の主成分である変
性エポキシ樹脂を得ることができる。用いられるジアル
カノールアミンとしては、例えば、使用されるジアルカ
ノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジプロパ
ノールアミン、ジブタノールアミン等が挙げられる。
【0059】ウレタン変性エポキシ樹脂のエポキシ基に
付加するジアルカノールアミンの付加量は、エポキシ基
1モルに対し0.5〜1.0モルが好ましい。ジアルカ
ノールアミンをエポキシ基1モルに対し0.5モル以上
付加することにより、シリカによる十分な補強効果を有
するシリカ含有有機樹脂皮膜が得られ、外面耐食性が向
上する。ジアルカノールアミンの付加量がエポキシ基1
モルに対し1.0モルを超えると、その超えた分はエポ
キシ基に付加せず、経済的でないばかりでなく、未反応
分として皮膜中に残存し、吸水性を高め、耐食性、後塗
装密着性を低下させる。
【0060】本発明の燃料タンク用鋼板の外面側に配設
されるシリカ含有有機樹脂皮膜は、前記のようにして得
られる変性エポキシ樹脂に、さらにシリカを配合して、
防食効果を向上させるものである。用いられるシリカ
は、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等が挙げられ
る。これらはいずれを使用してもよい。
【0061】シリカ含有有機樹脂皮膜において、シリカ
は、変性エポキシ樹脂100重量部(固形分)に対し、
固形分で10〜150重量部の割合で配合される。シリ
カの配合割合が10重量部未満であると、皮膜の防食性
の向上が期待できず、また、150重量部を超えると、
皮膜が脆弱になり、加工時に型かじりが生じてプレス性
が低下する。また、シリカは、熱分解性が劣るため抵抗
溶接性が低下する。
【0062】また、シリカ含有有機樹脂皮膜には、前記
の変性エポキシ樹脂およびシリカ以外に、必要に応じ
て、潤滑剤、カップリング剤、顔料、チクソトロピック
剤、分散剤等の添加剤を配合してもよい。
【0063】本発明の燃料タンク用鋼板において、シリ
カ含有有機樹脂皮膜の厚さは、0.2μm〜3. 0μm
であることが好ましい。厚さが0. 2μm未満では外面
耐食性が不充分である。また3. 0μmを超えると耐食
性か飽和し、プレス加工性および抵抗溶接性が低下す
る。
【0064】本発明の燃料タンク用鋼板は、内面に前記
の金属粉末含有有機樹脂皮膜を有し、外面にシリカ含有
有機樹脂皮膜を有するものである。また、本発明の燃料
タンク用鋼板は、プレス加工に際して、加工の難易度に
応じて、潤滑剤を塗布してもよく、むしろ皮膜の損傷防
止の観点から有効である。
【0065】本発明の燃料タンク用鋼板において、内面
側の金属粉末含有有機樹脂皮膜は、前記のアミン変性エ
ポキシ樹脂を主体として、これに適量の有機溶剤あるい
は硬化剤、金属粉末さらにはその他一般的に使用される
添加成分を配合した塗料組成物を、塗布、乾燥して形成
せしめることができる。より具体的には、まず、環流冷
却器、撹拌装置、温度計および窒素ガス吹き込み装置を
付した反応装置に、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ
(株)製、エピコート1007、エポキシ当量:200
0)2000g(エポキシ基1当量)、およびトルエン
1000gを加え、窒素置換の後に80℃まで昇温し、
均一溶液とする。次に、この溶液にジエタノールアミン
52.5gを30分かけて滴下後、1時間反応させた。
得られた複合体に、金属粉末、ポリオレフィンワック
ス、硬化剤、界面活性剤、有機溶剤、その他必要に応じ
て添加される添加剤を加えて混練し懸濁液を作る。用い
る有機溶剤の量は、懸濁液全体に対して60〜85重量
%が好ましい。次に、得られる懸濁液を、内面側のクロ
メート皮膜の上層にロール塗装により必要な厚さに塗装
し、乾燥後、板温150〜300℃の範囲で焼付ければ
良い。
【0066】また、外面側のシリカ含有有機樹脂皮膜の
形成は、例えば、下記の方法にしたがって行うことがで
きる。 (A)イソシアネート化合物の製造 環流冷却器、撹拌装置、温度計および窒素ガス吹き込み
装置を付した反応装置に、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート528重量、メチルイソブチルケトン620重量部
を入れ、均一に溶解させた後、80℃に昇温させる。次
に、グリセリン92重量部を1時間かけて徐々に滴下
し、さらに100℃で4時間反応させ、不揮発分50%
のイソシアネート化合物Aを得る。このイソシアネート
化合物Aのイソシアネート当量は固型分値で207であ
る。 (B)基体樹脂の製造 還流冷却器、攪拌装置、温度計および窒素ガス吹き込み
装置を付した反応装置に、エピコート1007(シェル
化学社製、エポキシ樹脂:エポキシ当量:2000)2
000重量部と、トルエン1000重量部とを加え、8
0℃まで昇温し、均一溶液とする。次に、前記に得られ
たイソシアネート化合物Aを徐々に滴下し、さらに、8
0℃で3時間反応させた。反応の終点は、赤外分光光度
計によりイソシアネート基の吸収(2270cm-1)が
消滅する点とする。このようにして、エポキシ当量が2
600のウレタン変性エポキシ樹脂が得られる。続い
て、このウレタン変性エポキシ樹脂に、ジエタノールア
ミン105gを添加し、80℃で2時間反応させた。こ
のようにして得られたウレタン化エポキシ樹脂に有機溶
剤分散コロイド状シリカを、基体樹脂/シリカ=70/
30重量比で混合し、シリカ含有有機樹脂皮膜を形成す
るための塗料を調製することができる。次に、この塗料
を、ロール塗装により、所要の厚さに塗装し、乾燥後、
板温が150〜300℃の範囲で焼付ければよい。
【0067】以上のようにして得られる本発明の燃料タ
ンク用鋼板は、図1に一例を示すとおり、鋼板1の両表
面に最下層としてZnまたはZnを主成分とする金属め
っき層2aおよび2bを有し、さらに両表面の金属めっ
き層2aおよび2bの上層に、それぞれクロメート皮膜
3aおよび3bを有するものである。また、一方の燃料
タンク内側のクロメート皮膜3aの上層に金属粉末含有
有機樹脂皮膜4を有し、他方の燃料タンク外側のクロメ
ート皮膜3bの上層にシリカ含有有機樹脂皮膜5を有す
るものである。
【0068】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をよ
り具体的に説明する。
【0069】(実施例1〜202、比較例1〜13)各
例において、板厚0. 8mmの冷廷鋼板(SPCC)を原板
として、本発明の高耐食性燃料タンク用鋼板および各種
比較材を得た。製造に際して、表1〜3に示すとおり、
下層のZnまたはZnを主成分とする金属めっき層は前
処理(電解脱脂、電解酸洗)を行った後、数種のめっき
を適用した。なお使用しためっき鋼板の略称は以下に示
した。 GA・・・・・合金化溶融亜鉛めっき鋼板(めっき中Fe10wt%) Zn−Ni・・・・電気亜鉛ニッケルめっき鋼板(ニッケル量は12wt%) GI・・・・・溶融亜鉛めっき鋼板 GF・・・・・5wt%アルミ−95wt%亜鉛めっき鋼板 GL・・・・・55wt%アルミ−45wt%亜鉛めっき鋼板 Zn−Co・・・13wt%コバルト含有亜鉛コバルト合金めっき鋼板 Zn−Ni−Co・・12wt%ニッケル5wt%コバルト含有亜鉛ニッケル コバルト合金めっき鋼板 Zn−Ni−Cr・・12wt%ニッケル5wt%クロム含有亜鉛ニッケルク ロム合金めっき鋼板 EG・・・・・電気亜鉛めっき鋼板
【0070】上記の各種めっき鋼板上に表1〜3に示す
組成のクロメート皮膜、さらに内面側および外面側にそ
れぞれ樹脂皮膜を、ロールコート、乾燥、および焼付に
よって形成し、燃料タンク用鋼板を得た。なお比較材と
して、特公平3−25349号公報に記載の樹脂皮膜を
各種めっき鋼板上に塗布したもの、各種亜鉛系めっき鋼
板、ターンめっき鋼板、溶融アルミニウムめっき鋼板を
用いた。表1〜3に示すシリカ含有有機樹脂皮膜に用い
た(イ)、(ロ)、(ハ)ならびに*1、*2および*
3は、下記に示すとおりである。また、めっき付着量、
クロメート付着量は、片面あたりの量である。クロメー
ト付着量は、金属クロムに換算した値である。また、ポ
リオレフィンワックスとして、ポリエチレンワックスを
用いた。
【0071】(イ)エピクロルヒドリン−ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂の種類 1.エピコート1004;シエル化学(株) 2.エピコート1007;シエル化学(株) 3.エピコート1009;シエル化学(株) (ロ)イソシアネート化合物の種類 1.ヘキサメチレンジイソシアネートのグリセリン付加
体 2.2,6−トリレンジイソシアネートのトリメチロー
ルプロパン付加体 3.m−フェニレンジイソシアネートのポリプロピレン
グリコール付加体 4.p−フェニレンジイソシアネートのポリエチレング
リコール付加体 (ハ)ジアルカノールアミンの種類 1.ジエタノールアミン 2.ジプロパノールアミン 3.ジブタノールアミン
【0072】(*a)ウレタン変性エポキシ樹脂のエポ
キシ当量 (*b)ウレタン変性エポキシ樹脂のエポキシ1当量に
対するジアルカノールアミンの付加モル数 (*c)エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対するア
ルカノールアミンの付加モル数
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【表6】
【0079】
【表7】
【0080】
【表8】
【0081】
【表9】
【0082】
【表10】
【0083】
【表11】
【0084】
【表12】
【0085】
【表13】
【0086】
【表14】
【0087】
【表15】
【0088】
【表16】
【0089】
【表17】
【0090】
【表18】
【0091】
【表19】
【0092】
【表20】
【0093】
【表21】
【0094】
【表22】
【0095】
【表23】
【0096】
【表24】
【0097】
【表25】
【0098】
【表26】
【0099】
【表27】
【0100】
【表28】
【0101】
【表29】
【0102】
【表30】
【0103】
【表31】
【0104】
【表32】
【0105】
【表33】
【0106】
【表34】
【0107】
【表35】
【0108】注*1 DEA:ジエタノールアミン *2 EEA:エチルエタノールアミン *3 DPA:ジプロパノールアミン *4 HD:ヘキサメチレンジイソシアネート *4 KA:完全アルキルメチル化メラミン *6 DN:ジンメチレン尿素 *7 RP:レゾール型フェノール *8 ND:ノナメチレンジイソシアネート
【0109】以上の実施例および比較例で得られたガソ
リンタンク用鋼板について、以下に示す評価法にしたが
って、プレス加工性、抵抗溶接性、外面耐食性、内面耐
食性、およびろう付け性の評価を行なつた。結果を表4
〜6に示す。 (A)プレス加工性評価法 (1)円筒成形試験による潤滑性評価 プレス条件:出光石油(株)製防錆油Z5を1g/m2
塗油して評価 ポンチ径と形状・・・33mmφ平底円筒 クリアランス・・・1mm プランクサイズ・・・種々変化 しわ押え荷重・・・2t 絞り速度・・・60mm/sec 上記のプレス条件で、鋼板の外側面をダイス側に内側面
をポンチ側にセットして、円筒成形し、各サンプルの限
界絞り比(絞り抜けたサンプルのダイス径/ポンチ径の
うち、最大の値)を求め、この値で潤滑性を評価した。
この値が大きなものほど成形性が良いことを示す。
【0110】(2)円筒成形試験による皮膜の耐パウダ
リング性評価 プレス条件:出光石油(株)製防錆油Z5を1g/m2
塗油して評価 ポンチ径と形状・・・33mmφ平底円筒 クリアランス・・・1mm プランクサイズ・・・66mm しわ押え荷重・・・2t 絞り速度・・・6 0mm/sec 上記のプレス条件で、円筒成形し、成形後の鋼板の外側
面の皮膜のパウダリングの程度を目視観察して評価し
た。評価基準は皮膜のパウダリングが目視で観察できな
いレベルを○、非常にパウダリング量が多い場合を×、
両者の中間を△とした。
【0111】(B)抵抗溶接性の評価 シーム溶接条件 電極・・・クロム−銅合金、台形電極(先端R:15m
mφ) 溶接方法・・・二重かさね、ラップシーム溶接 加圧力・・・400kg 通電時間・・・2サイクルon1サイクルoff 冷却・・・内部、外部水冷 溶接スピード・・・2. 5m/min 溶接電流・・・種々変化 上記の溶接条件下で、2枚の鋼板の内面同士を溶接して
試験片を作成した。この試験片を、Tピール引っ張り試
験にかけて母材破断の有無を調べ、またナゲットラップ
の程度から適正な溶接電流(kA)の範囲を求め、シー
ム溶接性を評価した。
【0112】(C)外面耐食性評価法 鋼板の外側面に、上塗り塗料(大日本塗料(株)製、エ
マロン)を乾燥膜厚10μmとなるように塗布し、12
0℃の炉中で20分間焼き付けた。その後、JASO
(塩水噴霧2時間→60℃、20〜30RH%乾燥4時
間→50℃、98RH%2時間)条件で、平面部は30
0サイクル、その他は100サイクルのCCT試験に供
し、平面部および平面部クロスカットの残留板厚(m
m)を測定し、さらに、上記の(A)(2)の条件でプ
レス成形した成形品の側壁部の残留板厚(mm)を測定
して、評価の指標とした。なお、試験前板厚は1.0m
mであった。
【0113】(D)内面耐食性評価法 平面部および(A)(2)の条件で成形した平底円筒カ
ップ内面について耐食性を評価した。平面部の耐食性の
評価は、無鉛ガソリン/500ppm蟻酸水溶液を1/
1(重量)の割合で混合して調製した燃料中に、20m
m×100mmの試験片を80mmの長さだけ浸漬し、
常温で1ケ月の浸漬試験を行つた後、発錆度を面積率
(%)で評価した。平底円筒カップ内面の耐食性の評価
は、底面半径33mmφ、高さ30mmの円筒カップの
試験体を成形した。次に、前記の燃料を試験体の内容積
の80%まで投入し、常温で1ヶ月の浸漬を行った後、
カップ内面の発錆度を赤錆と白錆の合計面積率(%)で
求めた。前記燃料は、静置すると、比重の順列から下層
に蟻酸水溶液、上層に無鉛ガソリンが分離するので、そ
れぞれの部位における赤錆および白錆発生面積率で評価
した。
【0114】(E)ろう付け性 寸法が15mm×200mmの試験片を2枚準備し、外
面同士を15mm×15mmで重ね合わせ、その間にろ
う(石福金属興業(株)製IS−344(JIS規格
名:キングソルダー#101))およびフラックス(石
福金属興業(株)製イシフクフラックス#6)を使用
し、加熱時間を10秒一定としてガス加熱してろう付け
した。その後、剪断引っ張り試験を行い、母材破断する
場合を○、母材/ろう間で剥離する場合を×、両者の中
間を△とした。
【0115】(F)硬化度の測定 メチルエチルケトンを含浸させ、かつ500g(10g
/mm2 の荷重をかけたフェルト(10mm×5mm)
で金属粉末含有有機樹脂皮膜の表面をこすり、下地が露
出するまでの往復回数を測定し、下記の式で定義した硬
化度を計算した。 硬化度(%)=(下地が露出するまでの往復回数/10
0)×100
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【発明の効果】本発明の高耐食性燃料タンク用鋼板は、
優れた耐食性、プレス加工性、抵抗溶接性、およびろう
付け性を有するものであり、アルコールおよびアルコー
ル混合ガソリン用鋼板として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の燃料タンク用鋼板の構造を説明する
模式断面図。
【符号の説明】
1 鋼板 2a,2b ZnまたはZnを主成分とする金属めっき
層 3a,3b クロメート皮膜 4 シリカ含有有機樹脂皮膜 5 金属粉末含有有機樹脂皮膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板の両表面に、最下層としてZnまたは
    Znを主成分とする金属めっき層を有し、その両面の金
    属めっき層の上層にクロメート皮膜を有し、一方の面の
    クロメート皮膜の上層に、Ni金属粉末およびAl金属
    粉末と、アミン変性エポキシ樹脂と、ポリオレフィンワ
    ックスとを主成分とする金属粉末含有有機樹脂皮膜を有
    し、他方の面のクロメート皮膜の上層に、変性エポキシ
    樹脂とシリカを主成分とするシリカ含有有機樹脂皮膜を
    有する高耐食性燃料タンク用鋼板。
  2. 【請求項2】鋼板の両表面に、最下層としてZnまたは
    Znを主成分とする金属めっき層を有し、その両面の金
    属めっき層の上層にクロメート皮膜を有し、一方の面の
    クロメート皮膜の上層に、Ni金属粉末およびAl金属
    粉末と、アミン変性エポキシ樹脂と、ポリオレフィンワ
    ックスと、硬化剤とを主成分とする金属粉末含有有機樹
    脂皮膜を有し、他方の面のクロメート皮膜の上層に、変
    性エポキシ樹脂とシリカを主成分とするシリカ含有有機
    樹脂皮膜を有する高耐食性燃料タンク用鋼板。
  3. 【請求項3】前記金属粉末含有有機樹脂皮膜が、アミン
    変性エポキシ樹脂100重量部に対して、Ni金属粉末
    とAl金属粉末の合計30〜110重量部およびポリオ
    レフィンワックス5〜20重量部からなり、 Ni金属粉末/Al金属粉末の含有割合が30/70〜
    80/20(重量比)であり、Al金属粉末が長径8〜
    18μm、短径1〜10μm、厚さ1〜5μmの鱗片状
    であり、Ni金属粉末が粒径1〜9μmの粒状であり、 前記アミン変性エポキシ樹脂が、エポキシ樹脂中のエポ
    キシ基1当量に対し、0. 2〜1. 0モルのアルカノー
    ルアミンを付加してなる複合体樹脂であり、かつ重量平
    均分子量が5000〜50000の範囲であり、 前記金属粉末含有有機樹脂皮膜中のポリオレフィンワッ
    クスが、軟化点が70〜150℃、平均粒径が1〜7μ
    mであるものであり、金属粉末含有有機樹脂皮膜の厚さ
    が2〜10μmである請求項1または2に記載の高耐食
    性燃料タンク用鋼板。
  4. 【請求項4】前記硬化剤が、アミン変性エポキシ樹脂と
    硬化反応し、アミン変性エポキシ樹脂100重量部に対
    して、2〜20重量部の割合であり、かつメチルエチル
    ケトンを含浸させ、かつ10g/mm2 の荷重をかけた
    フェルト(10mm×5mm)で金属粉末含有有機樹脂
    皮膜の表面をこすり、下地が露出するまでの往復回数を
    測定し、下記の式で定義される硬化度が80%以上で 硬化度=(下地が露出するまでの往復回数/100)×
    100% ある請求項2または3に記載の高耐食性燃料タンク用鋼
    板。
  5. 【請求項5】前記シリカ含有有機樹脂皮膜が、変性エポ
    キシ樹脂100重量部と、シリカを固形分で10〜15
    0重量部とを含み、膜厚が0.2〜3.0μmの皮膜で
    あり、 前記変性エポキシ樹脂が、エピクロルヒドリン−ビスフ
    ェノールA型エポキシ樹脂100重量部に対してイソシ
    アネート化合物10〜100重量部を反応させてなる、
    エポキシ当量1000〜5000のウレタン変性エポキ
    シ樹脂に、さら該ウレタン変性エポキシ樹脂のエポキシ
    基1当量に対して0.5〜1.0モルのジアルカノール
    アミンを付加させてなる請求項1〜4のいずれかに記載
    の高耐食性燃料タンク用鋼板。
  6. 【請求項6】前記Znを主成分とする金属めっき層が、
    Zn−Ni合金めっき、Zn−Co合金めっき、Zn−
    Fe合金めっき、Zn−Ni一Cr合金めっき、Zn一
    Ni一Co合金めっき、またはZn−Al合金であり、 ZnまたはZnを主成分とする金属めっき層の目付量
    が、10〜200g/m 2 である請求項1〜5のいずれ
    かに記載の高耐食性燃料タンク用鋼板。
  7. 【請求項7】前記クロメート皮膜のクロム付着量が、金
    属クロム換算で片面あたり5〜200mg/m2 である
    請求項1〜6のいずれかに記載の高耐食性燃料タンク用
    鋼板。
JP8909497A 1997-04-08 1997-04-08 高耐食性燃料タンク用鋼板 Withdrawn JPH10278172A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7557175B2 (en) 2007-05-03 2009-07-07 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Poly(carbonate-co-urea) copolymers and melt transesterification method of preparing these copolymers
US7666977B2 (en) 2007-05-03 2010-02-23 Sabic Innovative Plastics Ip B.V. Poly(carbonate-co-urea) copolymers and melt transesterification method of preparing these copolymers

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