JPH10235725A - 熱可塑性樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形品の製造方法

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JPH10235725A
JPH10235725A JP4361597A JP4361597A JPH10235725A JP H10235725 A JPH10235725 A JP H10235725A JP 4361597 A JP4361597 A JP 4361597A JP 4361597 A JP4361597 A JP 4361597A JP H10235725 A JPH10235725 A JP H10235725A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
molded article
molding
sheet
average thickness
Prior art date
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JP4361597A
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English (en)
Inventor
Satoyuki Kotani
智行 小谷
Toshiaki Kawasumi
俊明 川澄
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性及び外観に優れ、且つ、対衝撃性等の
機械的強度を満足した熱可塑性樹脂製成形品を製造す
る。 【解決手段】 熱可塑性樹脂製シートを熱成形して第一
成形品とし、第一成形品を熱処理して第二成形品を得る
方法であって、熱処理の温度が(樹脂の融点+10)℃
乃至(樹脂の融点−140)℃の範囲から選ばれ、且
つ、熱可塑性樹脂製シートの平均厚みt0 、第一成形品
の平均厚みt1 、第二成形品の平均厚みt2とする時、
その厚み比t0 /t1 が3〜15、t1 /t2 が0.9
1〜2となる様にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性樹脂成形品
の製造方法に関する。特に、耐熱性及び成形品外観に優
れ、機械的強度等にも優れた成形品の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂シートからなる成形品は、
様々な形状に加工可能であることから多種の用途に用い
られている。例えばポリエステルシートからなる成形品
は、熱成形性、ガスバリア性、機械的強度等に優れてお
り、カップやトレイ等の包装容器等に広く用いられてい
る。しかしながら、ポリエステルは二次転移点が低いた
めに、かかる成形品は高温での形態安定性が悪く、例え
ば60〜100℃程度の温度に晒された場合、変形して
しまう欠点がある。
【0003】このような問題点を解決するために従来よ
り様々な成形、加工方法が試みられている。しかしそれ
らの結果は必ずしも満足のいくものではなかった。例え
ば、特公昭44−5108号公報にはポリエチレンテレ
フタレートフィルムを成形後、成形型内において140
〜220℃の温度で成形品を熱処理して結晶化させるこ
とにより、耐熱性を向上させる方法が開示されている。
しかしこの方法では、熱処理時に成形品が変形したり、
得られる成形品の耐衝撃性が低下してしまうという欠点
がある。なお、ここでいう耐衝撃性の低下は、この方法
での熱処理ではポリエチレンテレフタレートの結晶が球
晶になりやすく、そのため成形品が脆くなることに起因
していると推察される。
【0004】また、未延伸のポリエステルシートの熱成
形した後に成形型内において60〜140℃のような低
い温度範囲にて成形品を熱処理して成形品を結晶化させ
ずに、歪みを除去する方法も考えられるが、この方法で
は、耐熱性の改良効果が小さいため満足のいく方法では
ない。特開昭54−43971号、特開昭54−439
72号、特開昭55−17516号等の公報には、ポリ
エステルシートを二軸延伸して配向させた後、熱成形
し、得られた成形品を熱処理する方法が開示されてい
る。これらの方法のうち、配向度の低いシートを成形し
た場合ではその効果が小さいし、一方配向度の高いシー
トを成形する場合では深絞り成形性が劣るために成形品
の外観が不良となる。このように、これらの方法による
試みによっても必ずしも満足のいく結果を得ることはで
きていない。
【0005】特開昭50−21051号公報には、未延
伸のポリエステルシートを70〜100℃の温度範囲に
て1軸方向に1.5〜3.0倍延伸した後に90あるい
は95℃の熱水中にて熱収縮せしめた後に熱成形し、次
いで型内で130℃あるいは150℃の温度にて熱固定
する方法が開示されている。また、特開昭61−254
326号公報には、未延伸のポリエステルシートを同時
二軸延伸機を用いて70〜100℃の温度範囲において
二軸方向にそれぞれ1.5〜3.0倍延伸した後に70
〜120℃の温度範囲にて熱収縮せしめた後に80〜1
00℃で圧空成形し、次いで型内で180〜250℃の
温度にて熱固定する方法が開示されている。
【0006】しかしながらこれらの方法では、シートの
深絞り成形性が劣るために成形品の外観が不良となる
か、又は耐熱変形の改良効果が小さかったり、成形品の
耐衝撃性が低下している等の問題点があり、これらの方
法による試みによっても必ずしも満足のいく結果を得る
ことはできていない。かかる問題を解決するため、本発
明者等は先に、シートを熱成形して目的形状より大きい
成形品を得た後、熱収縮する方法を提案した。しかしな
がら、この方法は、耐熱性や機械的特性は改良されるも
のの、成形品外観は必ずしも十分満足しうるものではな
かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐熱性及び
成形品外観に優れ、且つ対衝撃性や機械的強度等の諸物
性を満足した熱可塑性樹脂成形品を得るための製造方法
を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等はシートを熱
成形した後、熱収縮させて成形する方法につき更に検討
を重ねた結果、成形品の外観を悪くする熱収縮の割合を
小さくしても、予期に反し耐熱性の低下を来さない範囲
があることを知り本発明を達成した。即ち本発明の要旨
は、熱可塑性樹脂製シートを熱成形して第一成形品と
し、第一成形品を熱処理して第二成形品を得る方法であ
って、熱処理の温度が(樹脂の融点+10)℃乃至(樹
脂の融点−140)℃の範囲から選ばれ、且つ、熱可塑
性樹脂製シートの平均厚みt0 、第一成形品の平均厚み
1 、第二成形品の平均厚みt2 が下式(1)及び
(2)の関係となる様に、成形或いは熱処理することを
特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法に存する。
【0009】
【数2】3≦t0 /t1 ≦15 (1) 0.91≦t1 /t2 ≦2 (2)
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明方
法に使用される熱可塑性樹脂は、そのシートが熱成形に
使用可能であれば特に限定されるものではないが、配向
結晶性の熱可塑性樹脂であるポリエステル、ポリプロピ
レン、ポリアミドが好ましい。特に好ましくは、ポリエ
ステル樹脂である。
【0011】本発明で使用されるポリエステルとは芳香
族ジカルボン酸又はそのエステルとグリコールとを主た
る出発原料として得られるポリエステルである。芳香族
ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸がその代表例
として挙げられ、テレフタル酸以外に、2,6−ナフタ
レンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、オキシカ
ルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸等)等
が挙げられ、用いる酸成分としては、好ましくはテレフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が挙げられ
る。エステルとしてはジメチルエステル、ジエチルエス
テル等の低級アルキルエステルが例示される。
【0012】一方、グリコール成分においては、エチレ
ングリコールがその代表例として挙げられ、エチレング
リコール以外に、ジエチレングリコール、1,4−また
は1,3−シクロヘキサンジメタノール、プロピレング
リコール、,1,4−または1,3−ブタンジオール、
ネオペンチルグリコール、さらにはビスフェノールAや
ビスフェノールS等の一種又は二種以上を用いることが
可能であり、用いるグリコール成分としては、好ましく
はエチレングリコール、ジエチレングリコール、及び
1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。
【0013】本発明においては、本発明の改良効果が大
きく発現できる点だけでなく、原料が安価であること、
及び乾燥条件や成形条件における取扱いの容易さ、及び
最終的に得られる成形品の物性が優れている点より、好
ましくは、かかるポリエステルの繰り返し構造単位の8
0モル%以上、更に好ましくは80〜99モル%、特に
好ましくは85〜97モル%がエチレンテレフタレート
単位であるポリエステル樹脂が好ましい。
【0014】エチレンテレフタレート単位が80モル%
未満では、乾燥時における融着等が生じるために取扱い
が困難となったり、得られる成形品の耐衝撃性や剛性が
劣るようになるだけでなく、本発明の最たる改良効果で
ある耐熱性の改良効果が小さすぎるので好ましくない。
一方、エチレンテレフタレート単位が99モル%を越え
る場合では、本発明の成形方法を用いた場合、結晶化速
度が速いため球晶が出来やすくなるため脆くなり耐衝撃
性が低下しやすくなるために好ましくない。
【0015】更に、本発明の目的を達成する好ましい組
成としては、グリコール成分に、エチレングリコール以
外にジエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサン
ジメタノールを配合することが挙げられる。そのそれぞ
れの含有量としては、好ましくは0.5〜10モル%の
範囲、更に好ましくは1.0〜5.0モル%の範囲がそ
れぞれ推奨される。かかる共重合成分を配合し、ポリエ
ステル中のエチレンテレフタレート単位の量を特定値に
することにより、成形品の物性を損なわずに、飛躍的に
深絞り成形加工性を向上させ、本発明の改良効果を大き
く発揮できる。
【0016】かかる組成のポリエステルは公知の方法に
準じて溶融重合及び/または固相重合により製造され
る。ポリエステルの製造時のエステル化またはエステル
交換の触媒、重合触媒或いは安定剤等は公知のものを公
知の方法により使用することが出来る。また、粒子、滑
剤、帯電防止剤その他公知の添加剤を重合時に添加する
こともできる。
【0017】ポリエステルの重合度は、本発明方法に使
用されるシート及び得られる成形品に、後述する所望の
範囲の極限粘度を与えるような重合度を選択する。本発
明に使用されるポリエステルシート及びそれから得られ
る成形品の極限粘度は0.5〜1.3dl/gの範囲で
あることが望ましく、0.6〜1.1dl/gの範囲が
更に好ましい。なお、極限粘度はフェノール/テトラク
ロロエタン=50/50(重量)の混合溶媒中、30℃
で測定した値である。
【0018】かかる極限粘度が0.5dl/g未満で
は、本発明において得られる成形品の機械的性質、特に
耐衝撃性等が劣るだけでなく深絞り成形性が劣るため好
ましくない。一方、極限粘度が1.3dl/gを越える
場合は、溶融流動性が劣るために成形品の材料となるシ
ートの加工が困難となったり、深絞り成形性が劣るよう
になる弊害が生じるため好ましくない。
【0019】本発明方法は、ポリエステルの他、ポリプ
ロピレン、ポリアミドにも好ましく適用される。本発明
において用いられるポリプロピレンとしては、プロピレ
ン単独重合体、主成分のプロピレンと従成分のエチレ
ン、ブテン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン
等の他のα−オレフィンとの共重合体を挙げることがで
きる。プロピレン単独重合体が最も好ましいが、重合体
の中ではプロピレンと40重量%以下の他のα−オレフ
ィンとの共重合体が好ましく、更には30重量%以下、
特に20重量%以下のエチレンまたはブテンとの共重合
体が好ましい。該共重合体はランダム共重合体でもブロ
ック共重合体でも良い。これらポリプロピレンは単独ま
たは混合物として使用することができる。
【0020】ポリアミドとしては、3員環以上のラクタ
ム類の開環重合物、ω−アミノ酸の重縮合物、ジアミン
と二塩基酸よりなるナイロン塩の重縮合物等を用いるこ
とができる。上記ラクタム類の例としては、ε−カプロ
ラクタム、ω−カプリルラクタム、ω−エナントラクタ
ム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリ
ドン等が挙げられ、ω−アミノ酸の例としては、ω−ア
ミノヘプタン酸、ω−アミノウンデカン酸等が挙げら
れ、また上記ナイロン塩を構成するジアミンの例として
は、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、
ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、
メタキシリレンジアミン等が挙げられ、二塩基酸の例と
しては、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレ
フタル酸、イソフタル酸、グルタール酸等が挙げられ
る。
【0021】上記ポリアミドは、単独重合体、共重合体
の何れであってもよく、代表的にはナイロン4、6、
7、8、11、12、66、69、610、612、6
T、6I、6/66、6/12、6/6T、6I/6T
等を挙げることができる。また、本発明においては、シ
ート原料を白色等の着色化を行うためにシートに白色化
粒子を0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜7
重量%配合してもよい。かかる粒子としては、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム及び硫酸バリウムが好ましい。かか
る粒子を配合すれば、成形品の物性をほとんど悪化させ
ず、かつ美麗な白色化や隠蔽度を満足する熱可塑性樹脂
製成形品を得ることが可能となるので好ましい。該粒子
の平均粒径は特に限定されるものではないが成形品の外
観を考慮すれば好ましくは100μm以下、更に好まし
くは10μm以下である。また該粒子の配合量が0.1
重量%未満では、最終的に得られる成形品の白色度や隠
蔽度が不十分であり、かかる配合量が10重量%を越え
る場合では深絞り成形性や、成形品の物性の耐衝撃性や
剛性が劣るようになり好ましくない。
【0022】また、成形品の用途によっては、様々な色
彩に着色することも好ましい形態である。かかる方法と
しては特に限定されるものではないが、染料又は顔料等
の色材を固体分散材を用いて樹脂中に分散させたドライ
カラー、色材を液体分散材を用いて樹脂中に分散させた
ペーストカラー、色材を高沸点液状分散剤を用いて樹脂
中に分散させたリキッドカラー、及び色材を樹脂中に最
終濃度の数10倍の高濃度に分散させたマスターバッチ
が知られている。これらの中では、樹脂中への分散性が
良好であり、また配合時の取り扱いが容易であることか
ら、マスターバッチを用いる着色化が好ましい。色材に
ついては特に限定はなく、各種の染料、有機顔料又は無
機顔料等の中から任意に選択でき、樹脂中の分散性、着
色剤自身の分配性、耐候性、熱安定性、衛生性及びコス
ト等を勘案して選択すればよい。
【0023】なお、白色化材、隠蔽材及び色材以外に
も、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃化剤
及び易滑剤剤の各種の添加剤が適宜配合される。さらに
は、表面の傷入り防止や帯電防止等を目的とした各種の
表面処理や保護シートの被覆等を施しても良い。尚、本
発明の構成要件を満足する範囲内では、他の第三成分と
して、本発明で用いる熱可塑性樹脂以外のポリマー、例
えば、ポリカーボネート、ポリオレフィン等を配合して
も構わない。その配合量としては全体の30重量%以下
が好ましく、20重量%以下が更に好ましく、10重量
%以下が特に好ましい。かかる配合量が30重量%を越
える場合では、本発明の用途に対して、ポリエステルが
本来有している優れた物性の発現が困難となるために好
ましくない。
【0024】更に、かかるポリエステル等の熱可塑性樹
脂原料に、工程内等で生じた再生品を配合することは、
コスト面だけでなく、廃棄物の減量化という点からも好
ましいことである。本発明においては、本発明の要旨を
超えない範囲であれば、かかる再生品を配合しても構わ
ない。かかる熱可塑性樹脂からシートを製造する方法は
特に限定されるものではない。例えば、ポリエステル等
の原料を常法により乾燥した後、押出機により、好まし
くは200〜320℃の範囲の樹脂温度で押し出して、
キャスティングドラム上で冷却固化し、シートを形成す
る。なお、該押出機にベントを具備し、乾燥工程を省い
たり、乾燥時間を短縮化することも好ましい製造工程の
ひとつである。また、キャスティングドラムの付近に、
1個以上のタッチロールを装備し、シートの加工製造時
に、該タッチロールを押さえロールとして用いることも
好ましい製造方法である。
【0025】尚、当然のことながら本発明の要旨を越え
ない限り、本発明において用いるシートは、2層あるい
は3層以上の積層体であってもよく、表面の傷入り防止
や、帯電防止等を目的とした各種の表面処理、及び保護
シートの被覆、及び内層に再生品を導入しても構わな
い。本発明における熱可塑性樹脂原料、シート及び成形
品は以下の熱的性質を有することが好ましい。すなわ
ち、熱可塑性樹脂の、溶融急冷後、昇温速度20℃/分
で測定した昇温結晶化温度(Tcc)は樹脂の融点をT
mとすると、(Tm−140)〜(Tm−20)℃の範
囲であることが好ましく、(Tm−120)〜(Tm−
30)℃の範囲であることが更に好ましい。Tccが
(Tm−140)℃未満の場合では、結晶化速度が速す
ぎるために本発明の新規な成形方法で製造した場合、耐
衝撃性が低下するようになり好ましくない。一方、Tc
cが(Tm−20)℃を越える場合では結晶化速度が遅
すぎるため、本発明の最たる目的である耐熱性の改良効
果が小さすぎるために好ましくない。
【0026】本発明に用いる熱可塑性樹脂シートの平均
厚みt0 は、0.1〜10mmの範囲であることが好ま
しく、0.2〜10mmの範囲が特に好ましい。かかる
シートの平均厚みt0 が0.1mm未満の場合、最終的
に得られる成形品の耐衝撃性や剛性が劣ったり、耐熱性
の改良効果が小さすぎるために好ましくない。逆に平均
厚みt0 が10mmを越える場合、コスト的に不利であ
るばかりでなく、例えば深絞り成形加工性や軽量性が劣
るようになるために好ましくない。かかる熱可塑性樹脂
製シートを用いて、本発明方法により成形体を製造する
には、まず第一段階として、シートから第一成形品を熱
成形する。その際、第一成形品は、熱可塑性樹脂シート
の平均厚みt0 、第一成形品の平均厚みt1 とすると
き、その厚み比(t0 /t1 )が3〜15の範囲にある
ように熱成形することが必要である。
【0027】厚み比t0 /t1 が3未満の場合では、延
伸による分子配向が小さすぎるために、本発明の効果と
なる耐熱性と耐衝撃性の改良効果が小さすぎたり、成形
品の厚さ斑が不良となるために不適である。一方、t0
/t1 が15を越える場合では、延伸による分子配向が
大きすぎるために、最終的に得られる成形品の形状外観
が劣るために不適である。好ましい厚み比t0 /t1
5〜15の範囲である。
【0028】なお、第一成形品を熱成形する方法には、
公知の方法を採用することができ、圧空成形、真空成
形、あるいはプラグにて成形する方法が例示できる。な
お、「プラグにて成形」あるいは「プラグ成形」はプラ
グを用いて成形することを意味する。本発明において
は、最終的に得られる成形品の外観特性が良好となると
いう点で、かかる第一成形品をプラグを用いて成形する
ことが望ましい。ここで、プラグとしては、均一に延伸
できる形状のものが好ましく、例えば、先端部分が丸く
なった円錐形状のプラグが推奨される。なお、プラグに
て成形した後にフリーブロー、すなわち型を用いずに圧
空成形しても構わない。
【0029】本発明においては、更に好ましい第一成形
品の製造方法として、プラグとして雄型を使用する方法
が推奨される。また、かかる第一段目の成形温度は、熱
可塑性樹脂のガラス転移点Tgに対し、(Tg−10)
℃〜(Tg+80)℃の範囲が好ましく、Tg〜(Tg
+60)℃の範囲が更に好ましく、Tg〜(Tg+1
5)℃の範囲が特に好ましい。なお、この延伸温度は放
射温度計等により確認されるシートや成形品の表面温度
を意味する。
【0030】本発明の成形方法における次の工程は、上
記の成形品を熱処理することにより目的形状の第二成形
品とすることである。この工程における熱処理の温度
は、(Tm+10)℃以下で、(Tm−140)℃以上
の範囲であることが必要である。好ましくは、(Tm−
100)℃〜(Tm+5)℃の範囲であり、特に好まし
くは(Tm−80)℃〜Tmの範囲である。熱処理温度
が(Tm−140)℃未満では、本発明の目的とする耐
熱性の改良効果が小さすぎ、一方、熱処理温度が(Tm
+10)℃を越える場合は、最終的に得られる成形品の
対衝撃性が十分でない。なお、この熱処理温度は放射温
度計等により確認される成形品の表面温度を意味する。
【0031】また、目的とする成形品の外観を損なわな
いためには、この熱処理により、第一成形品の形状を大
きく収縮させることなく、熱固定乃至は僅かに収縮又は
拡張する程度に止めることである。即ち第二成形品の平
均厚みをt2 とするとき、第一成形品の平均厚みt1
の比t1 /t2 が0.91〜2の範囲となる様にするこ
とが必要である。t1 /t2 が0.91未満の場合は、
収縮量が大きすぎ、得られる第二成形品の形状外観が劣
るため好ましくない。一方、t1 /t2 が2を越えると
耐熱性の改良効果が小さすぎ好ましくない。t1 /t2
が上記範囲、より好ましくは0.95〜1.5の範囲の
場合は、予想に反し、耐熱性を必要以上に低下させるこ
となく良好な外観形状の成形品が得られる。
【0032】本発明の新規な成形方法の特徴は、第一段
の成形後に高温で熱処理することにより、配向結晶化を
行ない、耐熱性と耐衝撃性の改良を具現化するものであ
る。かかる熱処理時に最終形状の熱成形を行っても良い
し、第二成形品を更に熱成形し、最終形状の熱成形を行
っても良い。しかしながら、本発明においては、第一成
形品を得た後に、雄型を挿入してから、熱処理を行い、
所望の形状にする方法が、成形品の外観特性の向上の点
で好ましい。更に本発明において、特に好ましくは、雄
型にて第一成形品を熱成形し、そのままの固定した状態
で、前記条件にて熱処理する方法を用いることができ
る。上記の本発明の製造方法を適用することにより、優
れた物性、特に飛躍的に改良された耐熱性を有する熱可
塑性樹脂成形品が得られる。本発明の方法は、あらゆる
成形品の製造方法に適用可能である。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて、更に具体的
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下
の実施例に限定されるものではない。尚、実施例におけ
る種々の物性及び特性の測定方法、定義は下記の通りで
ある。又、実施例及び比較例中「部」とあるのは「重量
部」を示す。
【0034】(1)極限粘度 熱可塑性樹脂シート及び成形品より任意に1.00g採
取して、フェノール/テトラクロロエタン=50/50
(重量比)の混合溶媒100ml中に溶解して、30℃
で測定した。
【0035】(2)共重合成分:ジエチレングリコール
(DEG)及びシクロヘキサンジメタノール(CHD
M)の定量 熱可塑性樹脂シート及び成形品より任意に採取し、常法
により加水分解し、生成したジオール成分をガスクロマ
トグラフで定量した。
【0036】(3)融点(Tm) 熱可塑性樹脂シート及び成形品より任意に10mg採取
して、それを窒素中にて、300℃で3分間溶融後、ド
ライアイスにて急冷した。かかる急冷物を、セイコー電
子製のDSC20型にて、昇温速度20℃/分の条件下
で20℃から測定し、Tm[ピーク温度]を求めた。
【0037】(4)ガラス転移点(Tg) 熱可塑性樹脂シート及び成形品より任意に10mg採取
して、それを窒素中にて、300℃で3分間溶融後、ド
ライアイスにて急冷した。かかる急冷物を、セイコー電
子製のDSC20型にて、昇温速度20℃/minの条
件下で20℃から測定し、二次転移点(Tg)を求め
た。
【0038】(5)昇温結晶化温度(Tcc) 熱可塑性樹脂シート及び成形品より任意に10mg採取
して、それを窒素中にて、300℃で3分間溶融後、ド
ライアイスにて急冷した。かかる急冷物を、セイコー電
子製のDSC20型にて、昇温速度20℃/minの条
件下で20℃から測定し、Tcc[ピーク温度]を求め
た。
【0039】(6)平均厚み(t0 、t1 、t2 ) 熱可塑性樹脂シート及び成形品につき、5mm毎に厚み
を測定し、その平均値を本評価の平均厚みとした。な
お、成形品の平均厚みの測定においては、成形品の未延
伸部分である耳部は平均厚みとして含めていない。
【0040】(7)成形品の評価 ・深絞り成形性 得られた評価用の成形品20個の外観を目視にて、下記
の判断基準にて深絞り成形性の評価を行った。 ○:製品として問題無し。 ×:絞りの一部が不十分、及び/またはシワや破れ等が
ある等の外観不良のために製品として使用に耐えない。 △:上記○と×の中間的状況。 ・耐熱性;耐熱変形テスト 得られた評価用の成形品を90℃に設定した熱風オーブ
ン中に3分間入れ、加熱処理をした。23℃、65%R
H雰囲気に1時間放置した後に下記の判断基準にて成形
品の外観を目視で判定した。この操作を20回繰り返す
ることにより耐熱性の評価とした。 ○:熱処理前の形状と有意差無し。 ×:熱処理前の形状と明らかに異なり外観が不良となっ
ており、製品として使用に耐えないと判断される。 △:上記○と×の中間的状況。
【0041】実施例1 エステル化反応槽で、ビス(β−ヒドロキシエチル)テ
レフタレートオリゴマー100部の存在下、テレフタル
酸87部とエチレングリコール65部とを常圧、250
℃で反応させてエステル化反応を行った。反応開始5時
間後、エステル化率96%のポリエステルオリゴマーを
得た。この反応系にエチルアシッドフォスフェート0.
012部を加え、更に酢酸マグネシウム4水塩0.08
部と三酸化アンチモン0.04部を添加し、220℃か
ら285℃まで漸次昇温するとともに、常圧から漸次減
圧し、1mmHgまで減圧し、引き続き285℃、1m
mHgの条件下で4時間30分重縮合反応を行いポリエ
ステルシートの原料を得た。このポリエステルを真空下
160℃で4時間乾燥し、樹脂温度290℃にて溶融押
し出しを行い、厚み1.0mmのポリエステルシートを
得た。この樹脂の熱的性質は表−1の通りであった。
【0042】かかるシートを200mm×200mmの
大きさに切断し、以下の方法で容器を成形した。なお、
各工程のシート及び成形品の加熱には、主として赤外線
ヒーターを用いた。先ず、底部の円の直径が46mm、
口部の円の直径が64mm、深さ143mmの円筒状
で、角部にはRがとられた形状の容器を製造するため、
容器と実質的に同じ形状の雄型を用い、延伸、成形する
シートの形状が約64mmの円となる様にシートを熱成
形して第一成形品とした。次に、この第一成形品に雄型
を挿入したままで、固定して250℃で加熱処理を行
い、更に、雄型の形状に合わせて、余分なシート切断し
最終製品である第二成形品を得た。得られた成形品の外
観並びに耐熱性テスト結果を表−1に示すが、成形品の
形状は非常に良好であり、耐熱性テストの結果から物性
の向上が確認された。
【0043】実施例2 実施例1における加熱処理の温度を230℃とする以外
は実施例1と全く同様にして熱成形を行った。成形条
件、結果及び評価結果を表−1に示す。
【0044】比較例1 実施例1で用いたポリエステルシートの厚みを0.55
mmにする以外は実施例1と同様なシートを用い、1段
で容器を成形した。まず、実施例1と同形状の雌型を用
い、1段で、プラグアシスト法で真空成形を行った。な
お金型の表面温度は水冷却で40℃にした。他の成形条
件及び結果を表−1に示す。なお、実施例1と同様の成
形温度にした場合、成形品の外観が不良のものしか得ら
れなかったので、更に高温、すなわち120℃にて真空
成形した。得られた成形品の形状は問題なかったが、耐
熱性テストの評価結果は表1に示すように実用に耐えな
いレベルであった。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明の成形品の製造方法は、熱可塑性
樹脂シート本来の特性を損なうことなく、成形品の耐熱
性の改良を実現する画期的な方法である。更に、熱可塑
性樹脂性シートを延伸、熱処理して配向結晶化するた
め、耐熱性のみならず、耐衝撃性等の機械的強度も優れ
た成形品が得られる。本発明方法は熱可塑性樹脂シート
を用いる成形品の製造に適用可能である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29K 67:00 77:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂製シートを熱成形して第一
    成形品とし、第一成形品を熱処理して第二成形品を得る
    方法であって、熱処理の温度が(樹脂の融点+10)℃
    乃至(樹脂の融点−140)℃の範囲から選ばれ、且
    つ、熱可塑性樹脂製シートの平均厚みt0 、第一成形品
    の平均厚みt1 、第二成形品の平均厚みt2 が下式
    (1)及び(2)の関係となる様に、成形或いは熱処理
    することを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の製造方法 【数1】3≦t0 /t1 ≦15 (1) 0.91≦t1 /t2 ≦2 (2)
  2. 【請求項2】 第一成形品の平均厚みt1 と第二成形品
    の平均厚みt2 の比(t1 /t2 )が0.95〜1.5
    であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂成
    形品の製造方法
  3. 【請求項3】 熱成形の方法が、圧空成形、真空成形又
    はプラグ成形から選ばれることを特徴とする請求項1又
    は2記載の熱可塑性樹脂成形品の製造方法
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂製シートをプラグ成形して
    第一成形品を得ることを特徴とする請求項3記載の熱可
    塑性樹脂成形品の製造方法
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂製シートを雄型を用いて成
    形して第一成形品を得、次いで雄型を挿入した状態で熱
    処理することを特徴とする請求項3記載の熱可塑性樹脂
    成形品の製造方法
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂製シートを、(樹脂のガラ
    ス転移点−10)℃乃至(樹脂のガラス転移点+80)
    ℃の温度で第一成形品に成形することを特徴とする請求
    項1乃至5のいずれかに記載の熱可塑性樹脂成形品の製
    造方法
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂がポリエステル、ポリプロ
    ピレン及びポリアミドからなる群より選ばれることを特
    徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の熱可塑性樹
    脂成形品の製造方法
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂が、繰り返し単位としてエ
    チレンテレフタレート単位を80モル%以上有するポリ
    エステルであることを特徴とする請求項7記載の熱可塑
    性樹脂成形品の製造方法
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003080521A (ja) * 2001-09-07 2003-03-19 Idemitsu Petrochem Co Ltd 結晶性樹脂の成形方法およびその成形体
WO2004041514A1 (ja) * 2002-11-06 2004-05-21 Nagoya Oilchemical Co., Ltd. マスキング材の製造方法

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