JPH10233027A - 光ヘッド装置 - Google Patents

光ヘッド装置

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Publication number
JPH10233027A
JPH10233027A JP8346290A JP34629096A JPH10233027A JP H10233027 A JPH10233027 A JP H10233027A JP 8346290 A JP8346290 A JP 8346290A JP 34629096 A JP34629096 A JP 34629096A JP H10233027 A JPH10233027 A JP H10233027A
Authority
JP
Japan
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liquid crystal
lens
light
refractive index
head device
Prior art date
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Application number
JP8346290A
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English (en)
Inventor
Takuji Nomura
琢治 野村
Yuzuru Tanabe
譲 田辺
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光の集光性能の温度特性が良く、小型化が容易
で安価に生産性良く製造できる光ヘッド装置を得る。 【解決手段】光源1、ビームスプリッタ2、位相差板
3、液晶レンズ5、プラスチックレンズ6及び光検出器
8を有する光ヘッド装置であって、液晶レンズ5とし
て、液晶セルの基板の少なくとも一方が凹部又は凸部を
有し、内部に液晶が充填しているものを用いて、波面収
差を補償する。電圧印加により焦点距離の切り替えもで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CD(コンパクト
ディスク)、CD−ROM、ビデオディスク等の光ディ
スク、光磁気ディスク等の光記録媒体に情報を書き込ん
だり読み取るための光ヘッド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスク、光磁気ディスク等の光記録
媒体に情報を書き込んだり読み取るための光ヘッド装置
では、レーザダイオード等の光源から出射した光を光記
録媒体に照射し、その反射光をビームスプリッタで光源
とは異なる方向に導き、光検出器でその光強度を検出し
て、信号を読み取っている。この光ヘッド装置において
は、光記録媒体に正確に焦点を結ばせるために、集光レ
ンズ(対物レンズ)を用いて光を集光させている。
【0003】通常、光ヘッド装置に用いられる集光レン
ズは、経済性、量産性、軽量化に優れたプラスチック材
料を用いる方が有利である。しかし、材料によっては、
温度特性や耐熱性、吸湿性等の信頼性で課題が残るた
め、光学的により高い性能を要求される高密度記録用途
等の光ヘッド装置には、ガラス製のレンズが使用される
ことが一般的である。
【0004】このプラスチック材料の温度特性、信頼性
を向上させるため、新しい材料の開発が行われている
が、依然としてガラスレンズと比較すると温度特性等の
性能で劣っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このため、光ヘッド装
置の集光レンズに、プラスチックレンズを用いても、広
い温度範囲で使用可能な光ヘッド装置が望まれていた。
この場合、プラスチックレンズ自体で優れた温度特性を
有する材料が見いだせれば問題はないが、これは容易で
はない。
【0006】すなわち、プラスチック材料を用いた集光
レンズはガラスレンズに比べ、屈折率の温度依存性や熱
膨張による形状変化が大きい。このために、高温状態、
低温状態で収差の発生、集光性能の劣化が生じ、光記録
媒体への情報の読み書きが困難となることがある。
【0007】特に、最近の光記録媒体では高密度化が望
まれ、光記録媒体上でのスポットサイズが小径化され、
環境変化に対し光学的精度が保持されるよう、温度特性
や信頼性に優れた性能が要求されている。
【0008】上記したようにプラスチックレンズは種々
の特性上の問題があるが、ガラスレンズと比べ、生産
性、経済性、軽量化等の長所があり、その使用の希望は
多い。このため、プラスチックレンズ自体は従来の温度
特性のあまり良くないものを使用しても、何らかの補償
手段を用いて、光ヘッド装置として広い温度範囲で充分
な特性を有する光ヘッド装置が望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を解決すべくなされたものであり、光源、ビームスプリ
ッタ、集光レンズ及び光検出器を有し、光源から出射し
た光がビームスプリッタ及び集光レンズを順次通過して
光記録媒体に到達し、光記録媒体で反射した光が集光レ
ンズを通過して、ビームスプリッタで光源とは異なる方
向に光を導き光検出器で検出する光ヘッド装置におい
て、集光レンズとして、液晶レンズとプラスチックレン
ズとを組合せて用いたことを特徴とする光ヘッド装置を
提供する。
【0010】また、そのプラスチックレンズがアクリル
樹脂又はポリオレフィン樹脂のレンズである光ヘッド装
置、及び、それらの液晶レンズとして、液晶セルの基板
の少なくとも一方が凹部又は凸部を有しており、内部に
充填された液晶が平行配向又はツイスト配向しており、
液晶セルの基板と液晶の屈折率差の温度変化により焦点
距離又は光の位相分布を温度変化させるものを使用する
光ヘッド装置を提供する。
【0011】また、それらの液晶レンズが電極を有し、
電界印加の有無によりレンズ特性を切り替える光ヘッド
装置、及び、液晶の常光屈折率をno 、異常光屈折率を
e、ツイストピッチをP、真空中の波長をλとしたと
きに、(ne −no2 P/(8λ)≦0.05を満足
するようにした光ヘッド装置を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明では、光ヘッド装置に用い
る集光レンズとして、液晶レンズとプラスチックレンズ
とを組合せて用いることにより、プラスチックレンズの
有する温度特性を液晶レンズで打ち消して、広い温度範
囲で安定した特性を持たせうる。さらに、液晶レンズへ
の電圧印加状態により、焦点距離を変えたり、位相分布
を変えたりすることにより、効率良く2種類の光記録媒
体の信号を読み出すこともできる。
【0013】図1は、本発明の光ヘッド装置の基本的な
構成を示す模式図である。図1において、1は半導体レ
ーザ等の光源、2はビームスプリッタ、3は位相差板、
4はコリメートレンズ、5は液晶レンズ、6はプラスチ
ックレンズ、7は液晶レンズ5とプラスチックレンズ6
とを組合せた集光レンズ、8は光記録媒体、9は光検出
器を示す。
【0014】図2は、一方の基板を凸型に成形した液晶
レンズの例を示す断面図である。図2において、11、
12は基板、13はその基板に設けられた凹凸部、1
4、15は電極、16は周辺のシール材、17は基板間
に充填された液晶を示す。
【0015】この基板11、12は、ガラス等の透明基
板が使用できるが、屈折率温度変化の小さい材質が望ま
しい。この基板の少なくとも一方の内面側(液晶側)に
凹部又は凸部を形成する。この図では基板12側に凸部
を形成している。この凹部又は凸部は基板自体に形成し
てもよく、表面に有機又は無機の透明膜を所定の形状に
形成してもよい。
【0016】この加工は、基板自体に形成する場合に
は、機械的に削ったり、プレス成形したり、エッチング
したりして形成すればよい。表面に有機又は無機の透明
膜を形成する場合には、透明膜を全面に形成後、基板自
体の場合と同様に削ったり、エッチングしたりして形成
してもよく、直接所定のパターンに堆積させたり、印刷
したりして形成してもよい。
【0017】このプラスチックレンズは、透明な材料が
使用できるが、入手が容易で生産性が良く、温度による
膨張係数が小さく、温度による屈折率変化の小さい材料
が好ましい。このため、種々の材質のものが使用できる
が、入手しやすさと液晶による補償のしやすさの点から
みて、アクリル樹脂又はポリオレフィン樹脂製のプラス
チックレンズが好ましい。これらの屈折率は通常負の温
度係数を有する。
【0018】液晶レンズの凸部又は凹部は、球面又は非
球面にされ、組合せるプラスチックレンズに合わせて、
焦点が光記録媒体に合い、かつ温度補償ができるように
設計されればよい。
【0019】図3は、図2の液晶レンズの凹凸部を有す
る基板の好ましい形状を説明する正面図である。図3に
おいて、凹凸部はその中心部18がほぼ平面状に形成さ
れ、その周囲19A、19Bが曲面でレンズ形状に形成
されている。W0 は中心部の平面状の部分の幅(直径)
を示し、W1 とW2 とはその周囲の曲面でレンズ形状に
形成されている部分の幅を示す。
【0020】図4は、基板をフレネルレンズ構造にした
液晶レンズの例を示す断面図である。図4において、2
1、22は基板、23はその基板に設けられたフレネル
レンズ構造の凹凸部、24、25は電極、26は周辺の
シール材、27は基板間に充填された液晶を示す。
【0021】これらのレンズの凹凸部は、完全に所定の
形状としてもよく、図3に示すように、加工が容易にな
るように中心部のみは平坦な形状にして用いてもあまり
問題はない。特に、フレネルレンズ構造とする場合に
は、中心部を平坦にしておくことにより、加工が容易に
なり好ましい。この中心部の幅W0 は、レンズの外径
(W1 +W0 +W2 )に対して、20〜60%程度とす
ればよい。
【0022】また、電極を形成し、焦点距離や位相分布
を切り替えるために電圧を印加する場合等では、電圧印
加状態によって利用する光の半径を変えるために、中心
部と周辺部の曲面の状態を変えることもできる。フレネ
ルレンズとする場合も、このフレネルレンズ構造の凹凸
部も前記した基板に凹部又は凸部を形成する方法と同様
の方法で形成できる。
【0023】充填した液晶の配向を外部電場で制御する
場合、基板面に電極14、15、24、25を設置す
る。電極は通常のITO等の透明電極が使用できる。通
常は全面ベタ電極とすることでよいが、例えばリング状
にパターニングして部分的にレンズ作用を変えさせるよ
うにもできる。また、一部に金属線等を設けて低抵抗化
することもできる。
【0024】また、図示していないが、この基板、電極
上にポリイミド、ポリアミド、SiO等の配向膜を形成
して用いる。代表的な例では、ポリイミド膜を形成し、
表面をラビングして配向膜を形成する。この配向膜のラ
ビング方向は、液晶が2枚の基板間でツイストしたり、
しなかったりして使用できる。
【0025】このようにして形成された2枚の基板を電
極側が対向するように配置し、周辺でシール材16、2
6で接着して、内部に液晶17、27を充填する。この
液晶としては、通常のネマチック液晶が使用される。
【0026】温度補償のみを目的とする場合には、液晶
レンズは電極を設けずにオフ状態で使用するか、常にオ
ン状態で垂直配向にして使用する。プラスチックレンズ
として、通常の単体で使用するプラスチックレンズを用
いる場合には、液晶レンズは常温でレンズとして機能し
ない状態になるようにして使用する。この場合、通常の
プラスチックレンズが使用できるので、レンズの入手が
容易である。
【0027】本発明では、無偏光系では、液晶はツイス
トせずに基板に平行な方向に水平配列されて用いられ
る。具体的には、図2の液晶レンズで、紙面に平行な方
向の偏光をP偏光とした場合、液晶分子は図の奥行方向
に水平配向していることになり、P偏光に対して液晶分
子は常光屈折率を示すことになる。この場合には、基板
の屈折率は、液晶の常光屈折率に一致させればよい。
【0028】同様に、S偏光(図の紙面に垂直な方向の
偏光)では、液晶分子は図の奥行方向に水平配向してい
ることになり、S偏光に対して液晶分子は異常光屈折率
を示すことになる。この場合には、基板の屈折率は、液
晶の異常光屈折率に一致させればよい。
【0029】偏光系では、液晶がツイストして基板に水
平配向しているときには、基板の屈折率は、液晶の常光
屈折率no と異常光屈折率ne との間である(ne +n
o )/2にすればよい。また、常時電圧オン等で垂直配
向しているときには、基板の屈折率は、液晶の常光屈折
率に一致させればよい。
【0030】電圧の印加状態を変える場合には、DVD
再生時に基板と液晶の屈折率が一致するようにし、CD
再生時に基板と液晶の屈折率が一致しないようにすれば
よい。このため、上記の電圧オフ時に平行配向で常光屈
折率を示す配置は、電圧オン時にも常光屈折率になるの
で使用できない。
【0031】なお、プラスチックレンズを新たに設計し
て用いる場合には、液晶レンズと組合せて特定の焦点距
離を持つように設計すればよい。この場合には、必ずし
も基板の屈折率を、液晶の常光屈折率又は異常光屈折率
又はそれらの中間の値に一致するようにしなくてもよ
い。ただし、それらに合わせる方が、設計しやすい。ま
た、電圧の印加状態により、焦点距離や位相分布を変え
る場合には、電圧オン又はオフのいずれかで基板の屈折
率と一致するようにされることが好ましい。
【0032】次いで光ヘッド装置の動作を説明する。光
源1から出た光は直線に偏光されたレーザ光でありP偏
光とする。この場合、S偏光で回折しP偏光では回折し
ない特徴を持ったビームスプリッタ2では、このP偏光
の光線は回折せずに通過する。この光は次いで位相差板
3である1/4波長板を通過した後、右回り円偏光にな
り、コリメートレンズ4により平行光束にコリメートさ
れる。
【0033】この平行光束にされた光は、集光レンズ7
に入射する。本発明では、この集光レンズ7は液晶レン
ズ5とプラスチックレンズ6とを組合せている。このた
め、光は液晶レンズ5を通過した後、プラスチックレン
ズ6により、光記録媒体8上において回折限界まで集光
される。
【0034】光記録媒体8で反射した光は、左回り円偏
光となって、プラスチックレンズ6、液晶レンズ5、コ
リメートレンズ4を順次通過する。次いで、位相差板3
である1/4波長板でS偏光になり、ビームスプリッタ
2で回折され光検出器8に到達する。なお、本発明でビ
ームスプリッタは、プリズム状のもの、液晶ホログラム
等の偏光ビームスプリッタが使用できる。
【0035】通常、プラスチックレンズ6は非球面形状
を有しており、その形状は室温状態のもとで光記録媒体
8において回折限界まで集光されるように設計されてい
る。しかし、プラスチックレンズの屈折率、形状は温度
による変化が大きいため、室温より高温状態又は低温状
態において集光性能が劣化し、光記録媒体上に適切なス
ポット形状を結ぶことは困難になりやすい。このため、
情報の記録・再生が不安定になりやすく、場合によって
は不可能になる場合も生じる。
【0036】本発明は、このプラスチックレンズの温度
特性により発生する収差を、液晶レンズを用いて補正す
ることで、温度特性の優れた光ヘッド装置を提供するも
のである。
【0037】室温において、図2の液晶レンズで、正の
誘電異方性のネマチック液晶を用い、基板12の屈折率
を液晶17の常光屈折率no に一致させた場合について
説明する。基板11、12に施された電極間に電圧が印
加された状態又は基板11、12に垂直配向処理を施し
た状態等では、液晶分子は電界方向又は垂直配向処理方
向に整列し、基板にほぼ垂直に(紙面の上下方向)に配
向する。
【0038】この状態では、液晶レンズの液晶部分を通
過する光の実効屈折率は常光屈折率no になり、基板の
屈折率と一致する。このため、液晶レンズ5において、
光は屈折せずほぼ直進する。この場合、液晶レンズ5は
レンズ作用を及ぼさないため、光記録媒体8上に到達す
る光はプラスチックレンズ6により、回折限界まで集光
される。
【0039】一方、室温より高温状態においては、プラ
スチックレンズの屈折率は負の温度係数のため、温度上
昇とともに低下する。このため、プラスチックレンズの
焦点距離は大きくなるとともに、レンズの収差が発生
し、光記録媒体上のスポット形状は大きくなる。
【0040】ところが、液晶レンズ5に充填された液晶
の屈折率も負の温度係数のため、温度上昇とともに低下
する。このため、液晶レンズ5の液晶部分を通過する光
の実効屈折率は常光屈折率no より低下する。一方、基
板12はガラス等の屈折率温度依存性の小さい材質であ
るため、基板12と液晶17の間に屈折率差が生じ、液
晶レンズのレンズ特性が変化させられる。具体的には、
基板に設けられた凹凸部13で光は屈折するようにな
る。なお、本発明でいう液晶レンズのレンズ特性とは、
焦点距離又は位相分布を意味する。
【0041】この際、凹凸部の形状を、液晶レンズの作
用によりプラスチックレンズの収差を補正しうるよう形
成すれば、光源1より出た光は、液晶レンズによりプラ
スチックレンズの収差が補償され、光記録媒体8上での
収差が小さくなり、室温時と同程度に集光させうる。
【0042】本発明では、この液晶レンズによるプラス
チックレンズ6の収差の温度補償が、最適になるよう
に、プラスチックレンズ6の温度特性に合わせて、液晶
レンズ5の液晶の材料、基板の凹凸の形状等を決める。
【0043】また、温度が室温より低下した場合、逆に
レンズの屈折率は大きくなる。このため、高温時とは逆
転した収差を発生するが、液晶レンズ5の液晶部分の実
効屈折率もno より大きくなるため、液晶レンズ5も高
温時と逆転した作用を与える。この結果、高温状態と同
様に、プラスチックレンズ6及び液晶レンズ5の各々の
変化は互いに補償するようになり、光源1より出た光は
光記録媒体上で収差が小さくなり、室温時と同程度に集
光させうる。
【0044】上記例では液晶分子の配向方向が基板に垂
直な場合を述べたが、同様な構成で基板面にツイストし
て水平配向した場合でも同様の効果を得ることもでき
る。その場合、液晶レンズに入射する円偏光に対する液
晶の実効屈折率は、液晶の常光屈折率no と異常光屈折
率ne の平均値(ne +no )/2にほぼ等しくなる。
【0045】このため、室温下では基板の屈折率を(n
e +no )/2にほぼ等しくなるようにすればよい。液
晶の実効屈折率(ne +no )/2の温度係数も負であ
るため、上記の垂直配向の例と同様に、温度により液晶
レンズ5のレンズ特性が変化しプラスチックレンズ6の
温度特性を補償できる。
【0046】無偏光系でツイストせずに平行に水平配向
した場合には、入射光の偏光方向によって液晶の屈折率
は常光屈折率no 又は異常光屈折率ne になるので、基
板の屈折率もそれに合わせることになる。
【0047】電圧印加状態により、焦点距離又は位相分
布を変化させる場合について、説明する。図2の液晶レ
ンズで、正の誘電異方性のネマチック液晶を用い、基板
12の屈折率を液晶の常光屈折率no と異常光屈折率n
e との中間の値(ne +no )/2に一致するようにし
たものを用い、その配向膜の光源側のラビング方向は紙
面に平行な方向にする。
【0048】この場合、液晶が右ねじれでツイストピッ
チP(360°ツイストするピッチ)でツイストしてい
るとすると、右回り円偏光の光に対する液晶の実効的な
屈折率は近似的に(ne +no )/2+(ne −no
2 P/(8λ)と表される。また、左回り円偏光の光に
対する液晶の実効的な屈折率は近似的に(ne +no
/2−(ne −no2 P/(8λ)と表される。
【0049】液晶レンズ5に印加する電圧がオフ状態の
場合、光源側の基板では液晶は基板にほぼ水平にかつ紙
面に平行な方向に配向している。反対側(光記録媒体
側)の基板では、例えば90°ねじれた状態等の光源側
の基板の配向角度と異なる角度で水平配向しているとす
る。
【0050】光源1から出た光はビームスプリッタ2、
位相差板3、コリメートレンズ4を通過し右回り円偏光
になり液晶レンズ5に入射する。このとき、(ne +n
o )/2に比して(ne −no2 P/(8λ)が小さ
いとすると、右回り円偏光の光に対して液晶の実効的な
屈折率は近似的に(ne +no )/2にほぼ等しくな
る。
【0051】このため、往路では光源1から出た光は、
基板の屈折率(液晶の常光屈折率と異常光屈折率との中
間)とツイストした液晶の屈折率とは、ほぼ一致するこ
とになり、屈折率が等しいので光は屈折せずにほぼ直進
する。そして、プラスチックレンズ6で集光されて第1
の光記録媒体に焦点を結ぶ。
【0052】また、本発明では、右回り円偏光に対する
液晶部の実効屈折率と、左回り円偏光に対する液晶部の
実効屈折率とが、実用上許容されるされる範囲内でほぼ
等しいことが重要になる。そのためには、ピッチPはあ
まり大きくないことが好ましい。
【0053】具体的には、ピッチPは5μm以下にされ
ることが好ましく、特に3μm以下にすることが好まし
い。また、液晶のピッチPと液晶層の厚みdの比d/P
が1.0を超える場合、電圧オフ時に液晶ツイスト軸の
乱れたフォーカルコニック状態による光散乱のため、実
質的ターンオフ時間が増大する問題が生じる。このこと
から、液晶の粘性を低くすること、基板界面付近の液晶
配向ベクトルと基板面との成す角度プレチルト角を大き
くすることが好ましい。
【0054】液晶レンズ5に電圧が印加されてオン状態
になると、液晶は電界方向に整列し、基板にほぼ垂直に
(紙面の上下方向)に配向する。このため、液晶の実効
屈折率は常光屈折率no にほぼ等しくなる。ここで基板
の屈折率(液晶の常光屈折率と異常光屈折率との中間)
と液晶の屈折率(常光屈折率)は一致しないことにな
り、液晶レンズ5はレンズとして機能することになり光
は屈折する。このため、プラスチックレンズ6で集光さ
れた際に焦点距離が変化し、第2の光記録媒体に焦点を
結ぶ。
【0055】上記例では基板12が凸部を有する基板を
用いたが、同じ構成で凹部を有する基板を用いれば、凹
レンズとして機能する。また、基板12の屈折率を液晶
の常光屈折率no と一致するようにしたものを用いれ
ば、電圧オフ時に基板12が凹部を有する基板を用いた
場合には凸レンズとして機能し、凸部を有する基板を用
いた場合には凹レンズとして機能する。
【0056】この場合、2種類の光記録媒体としては、
DVD再生時に基板と液晶の屈折率が一致するように
し、CD再生時に基板と液晶の屈折率が一致しないよう
にすることが好ましい。
【0057】以上、プラスチックレンズの温度特性を補
償をすること、さらに必要に応じて電圧印加により焦点
距離又は位相分布を変化させることについて説明した。
本発明では、温度補償をすることが主目的であるが、1
つの液晶レンズで、焦点距離又は位相分布の変化も可能
にできる点が重要である。
【0058】具体的には、図3に示すレンズ中心部18
のレンズ形状は電圧印加により焦点距離又は位相分布を
変化させて異なる位置にある2種類の光記録媒体に集光
できるように設計すればよい。また、レンズの周囲19
A、19Bのレンズ形状はプラスチックレンズ6の温度
特性を補償しうるように設計すればよい。
【0059】このように、レンズ形状を内側と外側で分
けることにより、上記2つの機能を有する液晶レンズが
得られるが、2つの機能の性能を高めるためには、レン
ズ中心部と周辺で同様なレンズ形状になる方が好まし
い。
【0060】液晶の配向処理法としては、水平配向処理
の場合では電極、基板又はその有機、無機の材を布等で
一方向にこする法や、等の斜方蒸着法等があり、垂直配
向処理法としては有機シラン、レシチン、界面活性剤等
で電極又は基板表面を処理する方法で行えばよい。
【0061】液晶レンズに充填する液晶材料は、通常の
ネマチック液晶が用いられる。この液晶は上下基板間で
平行に水平配向(ツイストせず)していてもよいし、ツ
イストして水平配向していてもよい。なお、基板として
屈折率が(ne +no )/2にほぼ等しい材料を選ぶ場
合では、液晶による偏光状態の変化を低減するために、
ネマチック液晶にカイラル材を添加したような液晶分子
がねじれて配列した液晶を用いることが好ましい。
【0062】また、上記の説明では、液晶レンズ5の基
板に施されたレンズ形状として凸形を示したが、収差と
屈折率の温度係数によっては、レンズ形状を凹形とする
こともある。いずれにしても、液晶レンズによりプラス
チックレンズの収差が補償されるようにされていればよ
い。特に、凹凸部の深さ又は高さが小さくなるよう設計
する方が望ましい。
【0063】なお、本発明で使用する光源1は、通常の
光ヘッド装置に使用される光源が使用できる。具体的に
は、半導体レーザによる光源が最も一般的であるが、他
のレーザや波長変換素子を組み合わせたような光源も使
用できる。
【0064】ビームスプリッタ2は、特定の偏光方向の
光のみ回折させるものであり、往路の光源からの光はそ
のまま通過し、復路の光は回折又は反射する等して、光
検出器に光を到達させうるものであればよい。具体的に
は、回折格子、液晶を用いた回折格子、複合プリズム等
が使用できる。特に、特定の偏光方向の光のみ回折させ
る液晶を用いた回折格子が好適である。
【0065】位相差板3は、直線偏光で入射した光を円
偏光に変換する1/4波長板等の公知の位相差板が使用
できる。コリメートレンズ4はなくてもよいが、コリメ
ートレンズを用いて液晶レンズ5に入射する光を平行光
束にする方が温度補償をしやすくなるので、好ましい。
【0066】
【実施例】
「例1(実施例)、例2(比較例)」図2に示すよう
に、基板11、12として厚さ0.5mmで、大きさが
10×10mmで、屈折率が1.55のガラス基板を用
い、下面のガラス基板の中心はプレスにより非球面凸レ
ンズ状に凹凸部13を形成した。この非球面レンズは、
直径4. 0mm、中心部の高さは20μm、中心部の直
径2.0mmの部分は平面とした。これら2枚の基板表
面にポリイミドの膜を塗布し、ラビングして水平配向処
理を行った。
【0067】この2枚の基板11、12をそれぞれの配
向方向が平行になるように対向させ、周辺でシールし
て、レンズ中心部で間隙が5μm、周辺部で間隙が25
μmの空セルを形成した。なお、基板11、12の外面
には夫々反射防止膜を形成した。
【0068】この空セルに、液晶17として常光屈折率
が1.49、屈折率異方性Δnが0.12の正の誘電異
方性のネマチック液晶組成物を注入し、注入口を封止し
て液晶レンズを製造した。
【0069】プラスチックレンズとしては、日本ゼオン
社製の材料「ZEONEX280」(材質:ポリオレフ
ィン)を用いて作られた焦点距離3.38mm、開口数
0.6の光ディスク用非球面レンズを用いた。
【0070】図1に示すように、この液晶レンズ5とプ
ラスチックレンズ6とを配置して、波長650nmのレ
ーザ光源を用い、光記録媒体8の位置での波面収差の温
度依存性を観測した(例1)。なお、比較例として、液
晶レンズ5のない配置(プラスチックレンズ6のみ)で
も同様の観測を行った(例2)。
【0071】この測定した波面収差の温度依存性のグラ
フを図5に示す。実線31は液晶レンズ5とプラスチッ
クレンズ6とを併用(例1)した場合の波面収差の温度
依存性を示す。破線32は液晶レンズ5がない(プラス
チックレンズ6のみ、例2)場合の波面収差の温度特性
を示す。
【0072】この結果からも明らかなように、液晶レン
ズ5を用いたことで、高温状態、低温状態における、光
記録媒体上での波面収差は著しく減少し、ビームスポッ
ト径も小さくなった。
【0073】「例3(実施例)」図2に示すように、基
板11、12として厚さ0.5mmで、大きさが10×
10mmで、屈折率が1.49のガラス基板を用い、下
面のガラス基板の中心はプレスにより非球面凸レンズ状
に凹凸部13を形成した。この非球面レンズは、直径
4. 0mm、中心部の高さは20μm、中心部の直径
2.0mmの部分は平面とした。上面、下面の基板1
1、12とも電極14、15としてITO電極を形成し
た後、ポリイミドの膜を塗布し、ラビングして水平配向
処理を行った。
【0074】この2枚の基板11、12を夫々の配向方
向が平行になるように対向させ、周辺でシールして、レ
ンズ中心部で間隙が5μm、周辺部で間隙が25μmの
空セルを形成した。なお、基板11、12の外面には夫
々反射防止膜を形成した。
【0075】この空セルに、液晶17として常光屈折率
が1.49、Δnが0.12の正の誘電異方性のネマチ
ック液晶組成物を注入し、注入口を封止して液晶レンズ
を製造した。
【0076】プラスチックレンズとしては、例1と同じ
ものを用いた。図1に示すように、この液晶レンズ5と
プラスチックレンズ6とを配置して、液晶レンズの上下
の基板11、12の電極14、15間に100Hz、1
0Vの電圧を印加した。
【0077】波長650nmのレーザ光源を用い光記録
媒体8の位置での波面収差の温度依存性を観測した。8
0℃での波面収差値は10mλrms となり、例1の場合
と同様に液晶レンズを用いたことで、高温状態、低温状
態における光記録媒体上での波面収差は減少し、ビーム
スポット径も小さくなった。
【0078】「例4(実施例)」例1の液晶レンズの代
わりに、同じガラス基板を使用し、図4に示すようにフ
レネルレンズ構造の凹凸部23をプレスにより形成し
た。フレネルレンズ構造の凹凸部23は、直径4. 0m
m、中心の深さは2μmとした。周辺部での間隙が4μ
mとする他は実施例2と同様にして空セルを形成した。
【0079】この空セルに、液晶27として常光屈折率
が1.49、Δnが0.12の正の誘電異方性のネマチ
ック液晶組成物を注入し、注入口を封止して液晶レンズ
を製造した。
【0080】この液晶レンズ5と例1と同じプラスチッ
クレンズ6とを用い、図1のような構成の光ヘッド装置
に組み込んだ。波長650nmのレーザ光源を用い、光
記録媒体8の位置での波面収差の温度特性を観測した。
例1の場合と同様に液晶レンズを用いたことで、高温状
態、低温状態における光記録媒体の位置での波面収差は
減少し、ビームスポット径も小さくなった。
【0081】「例5(実施例)、例6(比較例)」例3
と同じガラス基板を用い、下面のガラス基板の中心はプ
レスにより非球面凸レンズ状に凸部13を形成した。こ
の非球面レンズは、図4に示す形状で直径4. 0mm、
中心の高さは44μmとし、中心より半径1.25mm
の内と外で形状が異なるように形成した。上面、下面の
基板11、12とも電極14、15としてITO電極を
形成した後、表面にポリイミドの膜を塗布し、ラビング
して水平配向処理を行った。
【0082】この2枚の基板11、12を夫々の配向方
向が平行になるように対向させ、周辺でシールして、レ
ンズ中心部で間隙が3μm、周辺部で間隙が47μmの
空セルを形成した。なお、基板11、12の外面には夫
々反射防止膜を形成した。
【0083】この空セルに、液晶17として常光屈折率
が1.49、Δnが0.12、ツイストピッチPが3μ
mの正の誘電異方性のネマチック液晶組成物を注入し、
注入口を封止して液晶レンズを製造した。
【0084】図1に示すように、この液晶レンズ5を配
置して、波長650nmの右回り及び左回りの円偏光の
透過率を測定したところ、右回りの円偏光(光ヘッド装
置での往路)では95%、左回りの円偏光(光ヘッド装
置での復路)でも95%の効率であり、往復で90%の
効率が得られた。
【0085】まず、液晶レンズ5の上下の基板11、1
2の電極14、15間に電圧を印加しない場合について
説明する。光源1から出たP偏光(紙面に平行な偏光方
向)の光は、偏光系のビームスプリッタ2を通過し、位
相差板3で右回りの円偏光になった光は、液晶レンズ5
とプラスチックレンズ6とで屈折され、第2の光記録媒
体(第1の記録媒体よりも遠い位置)に焦点が合った。
【0086】この第2の光記録媒体で反射した光は左回
りの円偏光になり、再度プラスチックレンズ6と液晶レ
ンズ5とで屈折され、位相差板3で直線偏光に戻され、
S偏光(紙面に垂直な偏光方向)の光になって、偏光系
のビームスプリッタ2に入射し、S偏光の光はビームス
プリッタ2で回折されて、光検出器9に到達した。
【0087】一方、液晶レンズ5の上下の基板11、1
2の電極14、15間に100Hz、5Vの電圧を印加
した場合について説明する。光源1から出たP偏光(紙
面に平行な偏光方向)の光は、偏光系のビームスプリッ
タ2を通過し、位相差板3で右回りの円偏光になった光
は、液晶レンズ5でほとんど屈折されなく通過し、プラ
スチックレンズ6のみで屈折し、第1の光記録媒体(第
2の記録媒体よりも近い位置)に焦点が合った。
【0088】この第1の光記録媒体で反射した光は左回
りの円偏光になり、再度プラスチックレンズ6で屈折さ
れ、液晶レンズ5をほぼそのまま通過し、位相差板3で
直線偏光に戻され、S偏光(紙面に垂直な偏光方向)の
光になって、偏光系のビームスプリッタ2に入射し、S
偏光の光はビームスプリッタ2で回折されて、光検出器
9に到達した。
【0089】また、プラスチックレンズ6としては、日
本ゼオン社製の材料「ZEONEX480」(材質:ポ
リオレフィン)を用いて作られた焦点距離3.88m
m、開口数0.6の光ディスク用非球面レンズを用い
た。
【0090】この液晶レンズ5を配置して、上下の基板
11、12の電極14、15間に100Hz、5Vの電
圧を印加した場合における第1の光記録媒体での波面収
差の温度依存性を測定した。また、例6(比較例)とし
て、液晶レンズ5のない配置でも同様の測定を行ったと
ころ、例1と例2の例(図5)とほぼ同じ波面収差の温
度特性が得られた。
【0091】「例7(実施例)」例5の液晶レンズの代
わりに、同じガラス基板を使用し、図3に示すようにフ
レネルレンズ構造の凹凸部23をプレスにより形成し
た。フレネルレンズ構造の凹凸部23は、直径4mm、
中心の高さは5μmとした。周辺部での間隙が8μmと
する他は例5と同様にして空セルを形成した。この空セ
ルに、例5と同じ液晶組成物を注入し、注入口を封止し
て液晶レンズを製造した。
【0092】この液晶レンズを例5と同様に図1のよう
な構成の光ヘッド装置に組み込んだ。波長650nmの
右回り及び左回りの円偏光の透過率を測定したところ、
右回りの円偏光(光ヘッド装置での往路)では95%、
左回りの円偏光(光ヘッド装置での復路)でも95%の
効率であり、往復で90%の効率が得られた。
【0093】例5と同様に100Hz、5Vの電圧のオ
ン、オフにより、焦点を切り替えることができた。ま
た、例5と同様にプラスチックレンズ6を配置し、液晶
レンズ5に100Hz、5Vの電圧を印加して、光記録
媒体での波面収差の温度依存性を観測したところ、例5
の場合と同様に液晶レンズを用いたことで、高温状態、
低温状態における波面収差は減少し、ビームスポット径
も小さくなった。
【0094】「例8(実施例)」例5のガラス基板の代
わりに屈折率1.55のガラスを用い、例5と同様に下
面のガラス基板の中心はプレスにより,非球面凸レンズ
状に凸部13を形成した。ただし、この非球面レンズ
は、直径4. 0mm、中心の高さは20μmとし、図6
の例(高さは異なる)のように、中心より半径1.25
の内と外で形状が異なるように形成した。
【0095】この2枚の基板11、12をそれぞれの配
向方向が平行になるように対向させ、周辺でシールし
て、レンズ中心部で間隙が3μm、周辺部で間隙が23
μmの空セルを形成した。他の構成は例5と同様にセル
を作製した。この液晶レンズを例5と同様に図1のよう
な構成の光ヘッド装置に組み込んだ。
【0096】波長650nmの右回り及び左回りの円偏
光の透過率を測定したところ、右回りの円偏光(光ヘッ
ド装置での往路)では95%、左回りの円偏光(光ヘッ
ド装置での復路)でも95%の効率であり、往復で90
%の効率が得られた。
【0097】液晶レンズ5の上下の基板11、12の電
極14、15間に電圧を印加しない場合、例5とは異な
り光源1より出た光は液晶レンズ5ではほとんど屈折せ
ず、第1の光記録媒体(第2の記録媒体よりも近い位
置)に焦点が合った。また、電極14、15間に100
Hz、5Vの電圧を印加した場合、例5とは異なり光源
1より出た光は液晶レンズ5で屈折し、第2の光記録媒
体に焦点が合った。
【0098】また、例5と同様にプラスチックレンズ6
を配置し、液晶レンズ5に電圧を印加しない状態におい
て、第1の光記録媒体での波面収差の温度依存性を観測
したところ、例5の場合と同様に液晶レンズを用いたこ
とで、高温状態、低温状態における波面収差は減少し、
ビームスポット径も小さくなった。
【0099】「例9(実施例)」例5の液晶レンズにお
いて、上面のガラス基板に対してはポリイミドの膜を塗
布した後ラビングして水平配向処理を行い、下面のガラ
ス基板に対しては有機シラン系の溶剤を塗布し垂直配向
処理を施して例5と同様のセルを作製した。ガラス基板
材質、充填された液晶、レンズ形状、セルギャップ等は
すべて例5と同様にして液晶レンズを作製した。
【0100】この液晶レンズを例5と同様に図1のよう
な構成の光ヘッド装置に組み込んだ。波長650nmの
右回り及び左回りの円偏光の透過率を測定したところ、
右回りの円偏光(光ヘッド装置での往路)では95%、
左回りの円偏光(光ヘッド装置での復路)でも95%の
効率であり、往復で90%の効率が得られた。
【0101】例5と同様に100Hz、5Vの電圧のオ
ン、オフにより、焦点を切り替えることができた。ま
た、例5と同様にプラスチックレンズ6を配置し、液晶
レンズ5に100Hz、5Vの電圧を印加して、第1の
光記録媒体での波面収差の温度依存性を観測したとこ
ろ、例5の場合と同様に液晶レンズを用いたことで、高
温状態、低温状態における波面収差は減少し、ビームス
ポット径も小さくなった。
【0102】
【発明の効果】本発明の光ヘッド装置では、プラスチッ
クレンズの温度特性を液晶レンズの温度特性で補償する
ことで、広い温度範囲内で良好な集光特性を得ることが
でき、安定した光情報の読み取り書き込みを行うことが
できる。
【0103】また、本発明の光ヘッド装置では、上記の
特性を生かしたまま、電極への電圧印加状態を変えるこ
とにより、焦点距離又は位相分布を切り替え可能であ
り、CDとDVDを1つの光ヘッド装置で利用できる。
また、本発明は、その効果を損しない範囲内で、種々の
応用ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ヘッド装置の基本的な例を示す模式
図。
【図2】本発明における基板を凸にした液晶レンズの例
を示す断面図。
【図3】本発明における液晶レンズの基板の好ましい例
の正面図。
【図4】本発明における基板をフレネルレンズ構造にし
た液晶レンズの例を示す断面図。
【図5】実施例及び比較例の波面収差と温度との関係を
示すグラフ。
【図6】本発明における基板の凹凸部の形状を示すグラ
フ。
【符号の説明】
1:光源 2:ビームスプリッタ 3:位相差板 4:コリメートレンズ 5:液晶レンズ 6:プラスチックレンズ 7:集光レンズ 8:光記録媒体 9:光検出器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光源、ビームスプリッタ、集光レンズ及び
    光検出器を有し、光源から出射した光がビームスプリッ
    タ及び集光レンズを順次通過して光記録媒体に到達し、
    光記録媒体で反射した光が集光レンズを通過して、ビー
    ムスプリッタで光源とは異なる方向に光を導き光検出器
    で検出する光ヘッド装置において、集光レンズとして、
    液晶レンズとプラスチックレンズとを組合せて用いたこ
    とを特徴とする光ヘッド装置。
  2. 【請求項2】プラスチックレンズがアクリル樹脂又はポ
    リオレフィン樹脂のレンズである請求項1記載の光ヘッ
    ド装置。
  3. 【請求項3】液晶レンズとして、液晶セルの基板の少な
    くとも一方が凹部又は凸部を有しており、内部に充填さ
    れた液晶が平行配向又はツイスト配向しており、液晶セ
    ルの基板と液晶の屈折率差の温度変化により焦点距離又
    は光の位相分布を温度変化させるものを使用する請求項
    1又は2記載の光ヘッド装置。
  4. 【請求項4】液晶レンズが電極を有し、電界印加の有無
    によりレンズ特性を切り替えることを特徴とする請求項
    1、2又は3記載の光ヘッド装置。
  5. 【請求項5】液晶の常光屈折率をno 、異常光屈折率を
    e 、ツイストピッチをP、真空中の波長をλとしたと
    きに、(ne −no2 P/(8λ)≦0.05を満足
    するようにしたことを特徴とする請求項4記載の光ヘッ
    ド装置。
JP8346290A 1996-12-17 1996-12-25 光ヘッド装置 Pending JPH10233027A (ja)

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JP33726596 1996-12-17
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000267010A (ja) * 1999-03-17 2000-09-29 Olympus Optical Co Ltd 光学装置
CN100401167C (zh) * 2005-01-10 2008-07-09 三星电子株式会社 液晶装置、光学拾取器和光学记录和/或再现设备
JP2011118168A (ja) * 2009-12-03 2011-06-16 Casio Computer Co Ltd 液晶レンズと、それを用いた焦点距離可変眼鏡、光ピックアップ装置、光スイッチ、液晶レンズアレイ、3次元表示装置、及び指向性制御表示装置

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CN100401167C (zh) * 2005-01-10 2008-07-09 三星电子株式会社 液晶装置、光学拾取器和光学记录和/或再现设备
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