JP2007025143A - 液晶光学素子および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザ光源から出射される位相の揃った発散光あるいは収束光の光路中に、液晶光学素子を配置して用いる場合、透過光の光路長差が生じ、リタデーション値の面内分布も不均一であった。そのため、透過波面収差や偏光状態の不均一が発生し、液晶光学装置の光学性能を低下させ、小型化を阻害していた。
【解決手段】対向する一対の透明基板付近のプレチルトが略平行なダイレクタを有し、電極間に印加される電圧の大きさに応じて透過光のリタデーション値を変化させる液晶層を2層積層し、電圧印加時に第一の液晶層と第二の液晶層の液晶分子の配向方向が前記透明基板面に対して逆向きに傾斜配向し、傾斜角の絶対値がほぼ等しくなるように液晶層を配設した液晶光学素子、および、これを備える光学部材あるいは光学装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ光用の液晶光学素子に関し、より詳しくは、一対の透明基板と透明基板上に形成される一対の透明電極と透明基板間に挟持された液晶層と液晶分子の配向制御手段とを備え、前記電極間に印加される電圧の大きさに応じて透過光のリタデーション値を変化させる液晶層を用いた液晶光学素子に関する。
従来の液晶光学素子100の断面を模式的に図13に示す。
透明基板111、112の対向する面に透明電極113、114が形成され、透明電極113、114の表面には液晶層117の液晶分子の長軸の配向ベクトル120(以下ダイレクタともいう)が一定方向に揃うように処理された配向膜115、116が形成される。透明電極113、114には外部の交流電源(図示せず)が接続され、液晶層117に透明電極113、114を介して電圧が印加される。
図13の例では、配向膜115および116がアンチパラレル方式でX軸方向にラビングされ、液晶分子はホモジニアス配向となっている。よって、液晶分子配向時には、図面に示された平面上(以下紙面内とも言う)においてダイレクタが揃うとともに、対向する両透明基板付近のプレチルトが略平行となる。誘電異方性が正の液晶を用いる場合、透明電極間に印加される電圧に応じて配向膜で規定されたプレチルト方向を基準に、液晶層117内の液晶分子のダイレクタ120が図示したように傾斜配向する。
特開2002−288866号公報
図13に例を示した従来の単層の液晶光学素子100に、光軸に対して対称な入射角を有する発散光が入射した場合について、光線Aおよび光線Bを例に説明する。
図に示すように、レーザ光源から出射される発散光が、紙面内でX軸の振動方向を有する直線偏光である場合、液晶層117の液晶分子のダイレクタ120が傾斜配向しているため、光軸に対称な入射角を有する光線Aおよび光線Bとダイレクタの成す角度y1およびy2は異なる。このような発散光が液晶層117内を通過する際に、透過光の光路長に差異が生じ、透過波面に差異が生じる。その結果、印加される電圧にかかわらず従来の構成の液晶光学素子100では、波面収差、特に非点収差が発生する。また、印加電圧に応じてダイレクタ120が変化するため、発生する波面収差も変化するという問題があった。
このため、前述の液晶光学素子100を光学装置に用いた場合、液晶光学素子100の透過光をレンズなどの集光手段を用いて集光しても、波面収差が大きくレーザ光の集光スポットを回折限界まで絞ることができないという問題があった。
このため例えば、少なくともレーザ光源と対物レンズと光検出器とからなり、光記録媒体への情報の記録および/または再生(以下、「記録・再生」と呼ぶ)を行う光ヘッド装置において、液晶光学素子100を発散光あるいは収束光の光路中に配置して用いた場合、レーザ光源から出射されるレーザ光が位相の揃ったレーザ光であっても、対物レンズにより光記録媒体に回折限界まで集光できない。よって、光記録媒体の安定した記録・再生ができないという問題が発生していた。
また、レーザ光源から出射される位相の揃った非並行光を集光レンズを用いて光伝送用の光ファイバのコア部に集光する光伝送装置においては、前述の液晶光学素子100を発散光あるいは収束光の光路中に配置すると、コア部への集光性が劣化し光利用効率が低下するといった問題があった。
また、従来の液晶光学素子100を平行光中の光路に配置して用いた場合、上記の問題は発生しないが、液晶光学素子100を大形化する必要が生じ、光ヘッド装置あるいは光伝送装置の大形化を招くと行った問題があった。
一方、図13の構成で、レーザ光源から出射される発散光がXY面内でX軸およびY軸に対して45°の角度を成す振動方向の直線偏光である場合、前述の角度y1とy2の違いにより、光線Aと光線Bに対する液晶層内のリタデーション値(X軸とY軸の振動方向を有する直線偏光の光路長差)に差が生じる。その結果、光線Aと光線Bでは透過光の偏光状態が異なり、位相差が生じてしまうという問題もあった。
この位相差も透過波面収差の原因となり、前述と同様に液晶光学素子100を光学装置に用いた場合、レーザ光の集光スポットを回折限界まで絞ることができなくなる。また、例えば、液晶光学素子100の光透過側に偏光子や偏光ビームスプリッタなどを配置し、印加電圧の大きさに応じて透過光の光強度変調を行う場合、液晶光学素子面内で透過光量分布が発生するといった問題があった。
またここでは、従来の液晶光学素子100の問題点について、電圧非印加時に液晶分子のダイレクタ120が透明基板面に略平行なホモジニアス配向の場合を例として説明したが、電圧非印加時に液晶分子のダイレクタ100が透明基板面に略垂直なホメオトロピック配向となる場合も同様の問題が生じる。この場合、負の誘電異方性の液晶が用いられ、電圧の印加に伴い、液晶層117内の液晶分子のダイレクタ120が水平方向に傾斜配向する。
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レーザ光源から出射される位相の揃った発散光あるいは収束光の光路中に液晶光学素子を配置して用いる場合に、透過光のリタデーション値の面内分布が良好で、透過波面収差が小さく、偏光状態が均一な液晶光学素子を実現するとともに、これを用いた小型で高性能な光学部品および光学装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、レーザ光用の液晶光学素子であって、前記透明基板上に形成される一対の透明電極と前記透明基板間に挟持された液晶層と液晶分子の配向制御手段とを備え、前記透明電極間に印加される電圧の大きさに応じて透過光のリタデーション値を変化させる前記液晶層を用いた液晶光学素子において、
前記液晶層が二層積層され、各液晶層の同一層内の液晶分子は、同一平面状にダイレクタを有し、かつ、対向する両透明基板付近のプレチルトが略平行なダイレクタを有し、電圧印加時に第一の液晶層と第二の液晶層の隣接する配向制御手段表面の液晶分子の配向方向が前記透明基板面に対して逆向きに傾斜配向し、傾斜角の絶対値がほぼ等しくなるように前記液晶層を配設したことを特徴とする液晶光学素子を提供する。
本発明の第2の態様は、前記配向制御手段は配向膜であり、前記配向膜がアンチパラレル方式でラビングされ、液晶分子はパラレル配向である態様1に記載の液晶光学素子を提供する。
本発明の第3の態様は、前記配向手段により配列される液晶分子はホモジニアス配向である態様1または2に記載の液晶光学素子を提供する。
本発明の第4の態様は、第一の液晶層の透明基板面における液晶分子のプレチルト角が1〜10°または、170〜179°第二の液晶層の透明基板面における液晶分子のプレチルト角が170〜179°または1〜10°である態様1、2または3に記載の液晶光学素子を提供する。
本発明の第5の態様は、前記配向膜により配列される液晶分子はホメオトロッピック配向である態様1または2に記載の液晶光学素子を提供する。
本発明の第6の態様は、第一の液晶層の透明基板面における液晶分子のプレチルト角が80〜89°または、91〜100°第二の液晶層の透明基板面における液晶分子のプレチルト角が91〜100°または80〜89°である態様1、2または5に記載の液晶光学素子を提供する。
本発明の第7の態様は、焦点距離を電気的に可変する液晶光学部品であって、態様1〜6に記載の液晶光学素子を備える液晶レンズを提供する。
本発明の第8の態様は、光回路内で光の偏光状態を能動的に可変する液晶光学部品であって、光路中に態様1〜6に記載の液晶光学素子を備える液晶波長板を提供する。
本発明の第9の態様は、光回路内で光の強度を能動的に可変する液晶光学部品であって、光路中に態様1〜6に記載の液晶光学素子と偏光手段を備える光減衰器を提供する。
本発明の第10の態様は、前記偏光手段が回折格子である態様9に記載の光減衰器を提供する。
本発明の第11の態様は、光記録媒体に情報の記録・再生を行う光ヘッド装置であって、光源と対物レンズの光路中に態様1〜6に記載の液晶光学素子が設置されている光ヘッド装置を提供する。
本発明の第12の態様は、入射光の強度を変化させて伝達する光伝送装置であって、光路中に態様9または10に記載の光減衰器が設置され、前記液晶光学素子に印加される電圧の大きさに応じて透過光の強度が変化する光伝送装置を提供する。
本発明によれば、2層の液晶層を備える液晶光学素子の同一電圧が印加された液晶層において、光軸に対して入射角度が対称の光線に対する液晶層のリタデーション値が等しくなる。また、光軸に対して入射角が対称の光線のリダデーション値は、液晶層に印加される電圧の大きさに応じて液晶分子のダイレクタが変化しても一定に維持される。よって、位相の揃ったレーザ光が液晶光学素子に発散光または収束光として入射する場合に、同一電圧が印加された液晶層においては、発散光または収束光の光路長はほぼ等しく、光軸に非対称な透過波面収差を抑制するとともに、透過光の均一な偏光状態を実現できる。
また、本発明に係る液晶光学素子は、ホモジニアス配向、ホメオトロピック配向のいずれにも適応が可能である。このため光学装置の設計の自由度を高めることができる。液晶分子の誘電率異方性が正でホモジニアス配向の場合、印加電圧の増加に伴い液晶層のリタデーション値が減少する。また、液晶分子の誘電率異方性が負でホメオトロピック配向の場合、印加電圧の増加に伴い液晶層のリタデーション値が増加する。誘電率異方性が正の液晶は材料種類が豊富で、大きな複屈折性および大きな誘電率異方性を有する液晶材料が多いため、高速応答性や低電圧駆動に有利な液晶光学素子が実現できる。
すなわち、大きな複屈折性の液晶材料を用いる場合、同じリタデーション値の変化を液晶層層厚の薄い構成で得ることができ、一般に応答速度は液晶層厚の二乗に反比例するため、高速応答となる。また、大きな誘電率異方性の液晶材料を用いる場合、低電圧で液晶分子が電圧応答するため、低電圧で大きなリタデーション値の変化が得られる。
一方、誘電率異方性が負でホメオトロピック配向の液晶の場合、電圧非印加時リタデーション値が略ゼロとなる。よって、入射光の波長および偏光状態に依存することなく、出射光は入射光と同じ偏光状態を維持する。すなわち、液晶光学素子が無い状態と同じ作用が安定して実現する。例えば、光入射側と光出射側に偏光子と検光子をクロスニコル(透過偏光の方向が直交する)配置とした場合、電圧非印加時に入射光をその波長に関わらず遮断する機能が実現できる。
また、本発明に係る液晶光学素子は2層の液晶層を備え、第一の液晶層と第二の液晶層が積層されている。この2層構造により、従来の単層の液晶層を有する液晶光学素子と比較して、以下の優れた電気光学特性が実現する。すなわち、第一の液晶層と第二の液晶層を従来の単層の液晶層と同じ層厚にした場合は、第一の液晶層と第二の液晶層に同一交流電源を用いて同じ電圧を印加することにより、従来の単層の液晶層を有する液晶光学素子と比較して2倍の光路長変化およびリタデーション値の変化が得られる。
一方、第一の液晶層と第二の液晶層の層厚を従来の単層の液晶層層厚の半分とし、第一の液晶層と第二の液晶層の層厚の和を従来の単層の液晶層の層厚と同一とした場合、第一の液晶層と第二の液晶層に同一交流電源を用いて同じ電圧を印加する条件で、従来の単層の液晶光学素子に比べて、応答速度を約4倍程度まで高速化することが可能になる。このときの光路長変化およびリタデーション値の変化は、従来の単層の液晶層を有する液晶光学素子と同等である。
本発明に係る液晶光学素子を光学部品に用いた場合、透過したレーザ光は、レンズなどの集光手段を用いて回折限界まで集光スポットを絞ることができる。このため、不要な収差成分の発生を抑制し、液晶光学素子が所望の光変調機能を発現することができる。具体的には、焦点距離を電気的に可変する液晶レンズに適応できる。液晶レンズは、入射光が発散光や収束光の場合でも、光の偏光方向および強度に影響を与えず焦点距離(透過波面)を変更する機能が求められるが、本発明に係る液晶光学素子を用いると透過波面収差が小さい等の特性により、高性能な液晶レンズを提供できる。
また、透過光の偏光状態を電気的に制御する液晶波長板にも適応できる。液晶波長板は、入射光が発散光や収束光の場合でも、出射光の強度に影響を与えず偏光状態を変更させる機能が求められるが、本発明に係る液晶光学素子を用いると透過光の偏光状態の空間分布の均一性が高い等の特性により、高性能な液晶波長板を提供できる。
また、入射光量を電気的に減衰させる可変光減衰器にも適応できる。可変光減衰器は、入射光が発散光や収束光の場合でも、透過光の偏光方向を一定に保ったまま焦点距離に影響を与えず、光の強度を変更する機能が求められるが、本発明に係る液晶光学素子と偏光子を組み合わせることにより、透過光の偏光状態の空間分布の均一性が高い等の特性により、高性能な可変光減衰器を提供できる。
このように本発明に係る液晶光学素子を用いた光学部品は、入射光が発散光や収束光の場合でも、透過光の波面収差が小さい、透過光の偏光状態の空間分布の均一性が高い等の電気光学特性により高い光学性能が期待できる。よって、本発明に係る光学部品を用いて高性能な光学装置を提供できる。
具体的には、本発明に係る光学部品と他の光学部品によって構成される光ヘッド装置や光伝送装置等に適応できる。発散光または収束光の光路中に配置して使用が可能である等の特性から、光変調機能、応答性などに優れた光学装置を提供することが可能である。
以上のように本発明に係る液晶光学素子を用いることで、小型で高性能な液晶光学部品および液晶光学装置を実現できる。なお、本発明は前述の例に限定されるものではなく、発明の効果を損なわない範囲で適応が可能である。
以下、本発明について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する図において、実質的に同等な部分には同一の参照符号を付している。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液晶光学素子の構成の一例を示す縦断面模式図である。図に示すように、液晶光学素子10は、透明基板11A、12、11Bが間隙を持って配置され、その間隙に第一の液晶層17と第二の液晶層18が挟持される。透明基板の対向した面には透明電極13A、13Bと14A、14Bが形成され、透明電極には配向膜15A、15Bと16A、16Bが積層して形成され、シール19を用いてセル化される。ここで、透明基板11A、11B、12は可視光透過率の高い板状体であれば使用可能であるが、ガラスまたはポリカーボネートなどの透明樹脂が好ましい。
また、図1では液晶光学素子の透明基板12を2つの液晶層で共用する構成を例に示したが、透明基板12は液晶層それぞれに個別に設けてもよく、また、別々に作成された単層の液晶素子を積層して2層の液晶光学素子を構成してもよい。透明電極は、公知のものが利用可能であるが、ITOを用いることが好ましい。液晶分子の配向制御手段である配向膜は、公知のものが利用可能であるが、ポリイミド等の有機材料やSiO等の無機微結晶膜が好ましく、セル内に封入される液晶は、ネマティック液晶が使用できる。
配向膜15A、15Bおよび16A、16Bは、アンチパラレル方式でラビンクを行うことにより、第一の液晶層17および第二の液晶層18の液晶分子は、同一平面状にダイレクタを有し、かつ、対向する両透明基板付近のプレチルトが略平行なダイレクタを有する。
図3に本発明に係る液晶光学素子10の構成の一例における液晶層内の液晶分子のダイレクタと入射光の関係を示す縦断面模式図を示す。図3は、正の誘電率異方性を有する液晶を用い、液晶分子をホモジニアス配向とした構成において、液晶層に電圧を印加した場合の液晶分子のダイレクタの分布例である。
配向膜15A、15Bおよび16A、16Bは、紙面内に液晶分子のダイレクタが揃うとともに、プレチルト角x1を成すように形成される。配向膜15A、15Bのプレチルト角はX軸に対して時計回りに、配向膜16A、16Bのプレチルト角はX軸に対して反時計回りになるように形成される。これにより図3に示すように、第一の液晶層17のダイレクタは、印加電圧の大きさに応じて時計回りに傾斜角度x1から約90°まで、変化し、第二の液晶層18のダイレクタは、印加電圧の大きさに応じて反時計回りに傾斜角度xから90°まで変化する。その結果、第一の液晶層17と第二の液晶層18の液晶分子のダイレクタが透明基板面に対して逆向きに傾斜配向し、傾斜角の絶対値がほぼ等しくなる。ここで、プレチルト角x1は1〜10°あるいは170°〜179°とすることが好ましい。
このようにして得られた液晶光学素子10に、X軸の振動方向の直線偏光で位相の揃ったレーザ光が出射されるレーザ光源1を用いて、発散光を入射させる。光軸に対称な入射角の透過光線である光線Aと光線Bに対する液晶層内の光路長LAおよびLBは、第一の液晶層17ではLA>LBだが、第二の液晶層18ではLA<LBであり、液晶光学素子10を透過後の光路長はLA=LBとなる。つまり、単層の液晶層からなる従来の液晶光学素子100では、発散光に対する光路長LAとLBの相違に起因して透過波面が非軸対称に変化し、非点収差が発生したが、本発明に係る液晶光学素子10の構成とすることにより、非軸対称な透過波面変化は生じることなく、非点収差は発生しない。また、この効果は、印加電圧の大きさに応じて液晶層内の液晶分子のダイレクタが変化しても維持される。
図4は、負の誘電率異方性を有する液晶を用い、液晶分子をホメオトロピック配向とした構成において、液晶層に電圧を印加した場合の液晶分子のダイレクタの分布例である。液晶光学素子20のプレチルト角x2は、80〜89°あるいは91°〜100°が好ましく、透明基板面における液晶配向が垂直(90°)に近い角度となる。このとき、第一の液晶層17の液晶分子のダイレクタは、印加電圧の大きさに応じて時計回りに傾斜角度x2から0°または180°まで変化し、第二の液晶層18のダイレクタは、印加電圧の大きさに応じて反時計回りに傾斜角度x2から0°または180°まで変化する。その結果、第一の液晶層17と第二の液晶層18の液晶分子の配向方向が、透明基板面に対して逆向きに傾斜配向し、傾斜角の絶対値がほぼ等しくなる。
このようにして得られた液晶光学素子20に、X軸の振動方向の直線偏光で位相の揃ったレーザ光が出射されるレーザ光源1を用いて発散光を入射させる。この場合、液晶光学素子10と同様に、光軸に対称な入射角の透過光線である光線Aと光線Bに対する液晶層内の光路長はLA=LBとなる。したがって、本発明に係る液晶光学素子20の構成も液晶光学素子10の場合と同様に、非軸対称な透過波面変化は生じることなく非点収差は発生しない。また、印加電圧の変化に対しても同様の効果が維持される。
つまり、本発明に係る液晶光学素子は、光軸に対称な入射角を持つ透過光線の入射角に関わらず、液晶光学素子中の光路長を一定に制御する手段を備える液晶光学素子であるといえる。
一方、液晶光学素子10または液晶光学素子20に、レーザ光源1から出射されるXY面内でX軸およびY軸に対して任意の角度を成す振動方向を有する直線偏光の発散光が入射した場合、第一の液晶層17と第二の液晶層18それぞれの液晶層単独では、光線Aと光線Bのリタデーション値は異なる。しかし、第一の液晶層17と第二の液晶層18の液晶層の2つの液晶層を通過後のリタデーション値は等しく、かつ、ダイレクタが逆向きに傾斜配向しているため、光線Aと光線Bの透過光の偏光状態は等しくなる。その結果、本発明に係る液晶光学素子の構成とすることにより、印加電圧の大きさが同じ場合、非軸対称な透過偏光状態は均一に保たれる。この効果は、印加電圧の大きさに応じて液晶層内の液晶分子のダイレクタが変化しても維持される。
また、電圧非印加状態(V)に対する印加電圧状態(V)の液晶層の屈折率変化量を△nとすると、単層の液晶層ではリタデーション値の変化は、△n×dとなる。そこで、単層の液晶層からなる従来の液晶光学素子と同じ液晶層層厚dを有する第一の液晶層17および第二の液晶層18を積層した場合、リタデーション値の変化は2×△n×dとなり、2倍のリタデーション値の変化量が得られ、容易に大きなリダデーション値を得ることができる。
また、第一の液晶層17および第二の液晶層18の各液晶層層厚をd/2とした場合、電圧非印加状態(V)に対する印加電圧状態(V)で、積層された2つの液晶層合計のリタデーション値変化は、単層の液晶層の場合と同じ△n×dとなる。また、液晶光学素子の応答速度は、一般に液晶層層厚の二乗に反比例する。このため、それぞれの液晶層層厚を、従来の単層の液晶層層厚の1/2とした構成においては、液晶層厚さdの液晶光学素子に比べて、約4倍の高速応答が実現できる。
また、液晶光学素子10は、液晶層を狭持する2つの透明基板面の液晶分子の配向が透明基板と平行にホモジニアス配向であり、液晶光学素子20では、液晶層を狭持する2つの透明基板面の液晶分子配向が、透明基板と垂直に近いホメオトロピック配向である。
次に、この液晶光学素子10の作製手順について、図1を例に以下に説明する。
はじめに、透明基板11Aおよび11Bの一方の平坦面に透明電極13Aおよび14Aを形成し、透明基板12の両面に透明電極13Bおよび14Bを形成する。さらに、透明電極13A、13Bおよび14A、14B上に配向膜15A、15Bおよび16A、16B積層して形成する。配向膜15A、15Bおよび16A、16Bは、例えば、ポリイミドなどの有機材料を数nmから数10nm程度の膜厚で塗布し、後に熱硬化させ、その表面を一方向にラビング処理することにより作製することができる。配向膜は、アンチパラレル方式で配向処理される。アンチパラレル方式の配向処理は、対向する配向膜を布等を用いて同一直線方向で180°異なる一方向にこすり、筋を付けることにより処理できる。
機材料以外の配向制御手段として、例えば、SiO膜などの無機膜を透明基板面に対して斜方蒸着してもよい。一方向に微細結晶方位の揃った構造が得られ、液晶分子の配向を制御する配向膜となる。
さらに、透明基板11Aおよび11Bの透明基板面に、接着材を印刷パターニングしてシール19を形成し、前述の透明基板12と重ね合わせ、圧着して空セルを作製する。このとき接着剤にギャップ制御材を混入することが好ましい。
次に、シール19の一部に設けられた注入口(図示せず)から常光屈折率noおよび異常光屈折率ne(但し、no≠ne)を有するネマティック液晶を注入する。その後、この注入口を封止して液晶をセル内に密封し、第一の液晶層17および第二の液晶層18を形成し、本発明に係る液晶光学素子10とする。透明基板11Aおよび11Bの空気と接する表面には、入射光の波長に対して反射率が0.5%以下となる反射防止膜を形成することが好ましい。
なお、配向膜界面近傍において、ポリイミドのラビング方向あるいはSiO膜の微細構造の方向に液晶分子のダイレクタが揃う。また、配向膜材料およびラビング処理や微細結晶方位の調整により配向膜界面近傍の液晶分子には、一定のプレチルト角が生成される。透明基板面近傍の液晶分子のダイレクタおよびプレチルト角は、配向膜により規定される。液晶層内の液晶分子は、第一の液晶層17および第二の液晶層18に印加される電圧の大きさに応じてダイレクタ分布が変化する。
図2は、図1に示す液晶光学素子の構成を示す横断面模式図である。図に示すように、透明基板12の透明基板表面に形成された電極13C(透明電極13Bと同じ透明基板面)、電極14C(透明電極14Bと同じ透明基板面)を通して透明電極13Aおよび14Aに電圧が印加される。これはあらかじめシール19に導電性金属粒子等を混入してシール圧着することによりシール厚方向に導電性を発現させ、透明電極13Aと電極13C、透明電極14Aと電極14Cを導通させることができるためである。
なお、透明電極13A、13B、14A、14Bおよび電極13C、14Cは上記導通が成り立つようにあらかじめパターニングすることができる。電極13Bと電極13C、電極14Bと電極14Cに外部の交流電源(図示せず)を接続して、第一の液晶層17および第二の液晶層18に交流電圧が印加される。
液晶光学素子20の本実施形態における詳細な条件は以下のようにすることができる。ガラスなどの透明基板11A、11B、12の表面に、ITOからなる透明電極膜13A、13B、14A、14Bが形成され、X軸およびY軸と45°の角度を成す方向にラビング処理されたポリイミドからなる配向膜15A、15B、16A、16Bを備える。ここで、図4に示す各透明基板面の配向膜表面における液晶分子のプレチルト角x2が略88°となるようにポリイミド材料およびラビング処理条件を選択する。
液晶光学素子20は、前述の液晶光学素子10の作製方法と同様の手順で、第一の液晶層17および第二の液晶層18のセルギャップが2.7μmの空セルを作製する。さらに、波長1.55μmで常光屈折率no=1.48および異常光屈折率ne=1.68で、負の誘電率異方性を有するネマティック液晶を注入・封止して第一の液晶層17および第二の液晶層18を形成する。電極などの他の構成は前述と同様に取り付ける。
光通信に用いられる波長λ=1.50μm〜1.60nmのレーザ光は、レーザ光源1からX軸の振動方向の直線偏光が発散光となって出射され、例えば集光レンズにより光軸に対して約±6°以内の収束光となり液晶光学素子20に入射する。
液晶光学素子20には、外部の交流電源(図示せず)を用いて交流電圧が印加されるが、電圧非印加(V)のとき、第一の液晶層17および第二の液晶層18の合計のリタデーション値Rdはほぼゼロとなり、入射光はX軸の振動方向の直線偏光状態を維持したまま液晶光学素子20を透過する。この結果、入射光に対して約96%の光が直進透過する。
一方、液晶光学素子20に交流実効値で電圧V=5Vrmsが印加されると、第一の液晶層17および第二の液晶層18の合計のリタデーション値が約λ/2となり、入射光はY軸の振動方向の直線偏光状態に変化して液晶光学素子20を透過し、直進透過する光は0.01%以下となる。
また、光伝送状態である印加電圧Vと光遮断状態である印加電圧Vとの状態遷移の応答速度は25℃で20m秒以下、液晶光学素子20の温度を40℃程度に調整すれば10m秒以下となる。
ここで、本実施の形態と異なる構成の例として、セルギャップが5.4μmの単層の液晶層からなる従来の液晶光学素子の場合と比較すると、印加電圧V=5Vrmsにおける液晶光学素子の液晶層のリタデーション値が入射角に依存して異なり、素子面内でリタデーション値がλ/2からずれて分布する。また、印加電圧VとVmとの状態遷移の応答速度は25℃で約80m秒程度と遅い。
次に、本発明に係る液晶光学素子を用いた光学部品および光学装置の実施形態について、その具体的な例を示しながら説明する。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズの構成例について、図5、図6および図7を参照しながら、詳細に説明する。
図5は、液晶レンズの構成の一例を示す縦断面である。液晶レンズ30は、図1に示した液晶光学素子10における透明電極13Bおよび14Bの代わりに複合電極21および22を備える。その結果、複合電極21および22に印加される電圧分布に応じて、透過光の波面に連続的に変化するパワー成分を付与する機能が発現する。他の構成要素は液晶光学素子10と同じ構成である。複合電極21、22の構成および作用について以下に詳述する。
図5、図6に示すように複合電極21および22はいずれも、高抵抗電極35と、目的とするパワー成分に対応した電圧分布を高抵抗電極35に発生するための低抵抗電極31、32、33、34からなる。
低抵抗電極31、32、33、34に各々異なる電圧が印加されると、それぞれに接続された高抵抗電極35には、低抵抗電極間の電圧差に応じて連続的に変化する電圧分布が形成される。第一の液晶層17は透明電極13Aと複合電極21に印加される電圧分布に応じて、第二の液晶層18は透明電極14Aと複合電極22に印加される電圧分布に応じて、液晶層内の液晶分子の配向が変化するため、液晶層のXY面内で実効的な屈折率分布が形成され、空間的な光路長差分布が発生する。
図7はX−X‘断面における液晶レンズ30が発生する光路長差分布を示すグラフである。αは目的とする光路長差を示し、βは液晶レンズが発生する光路長差を示す。
図7のA、B、C、Dは、各々低抵抗電極の31、32、33、34の位置に対応し、目的とする光路長差αに略一致した発生する光路長差βが示されている。ここで、略一致するとは、目的とする光路長差αと発生する光路長差βの差の標準偏差が、入射する光の波長λの20分の1以下であることである。これを満足するよう、低抵抗電極31、32、33、34の形状や印加する電圧の大きさを設定することが、十分な液晶レンズの性能を得るために好ましい。
高抵抗電極35は、低抵抗電極31、32、33、34に比べシート抵抗値が十分高く、透明な材料であればいずれでもよい。例えば、Zn、Pb、Sn、Inなどの酸化物を含む組成物が好ましい。低抵抗電極31、32、33、34は、Zn、Pb、Sn、Inなどの酸化物を含む透明な組成物で形成することができるが、所望の条件を満たせば、Al、Au、Ag、Crなどの金属膜であってもよい。
また、図6に示す構成例では、低抵抗電極31、32、33、34はそれぞれ電極取出部41、42、43、44に接続され、外部の交流電源(図示せず)に接続される。液晶レンズ30の内部で低抵抗電極31、32、33、34同士は適当な薄膜抵抗体で接続されてもよい。この場合、印加電圧は、外部の交流電源により電極取出部41、44を通して分圧して低抵抗電極31、32、33、34に配分される。外部の交流電源の信号数を減らすことができるため好ましい。
また、本実施形態では、図5および図6に示される液晶レンズについて、同心輪帯形状の低抵抗電極31、32、33、34を有する複合電極21、22により、透過波面にパワー成分を生成する構成を例に、その動作原理を説明した。しかし、複合電極21、22の構造はこれに限定されるものではなく、複合電極21、22の構造を変更すれば、パワー成分以外に軸対称な球面収差も同様な原理で生成することができる。さらに、パワーと球面収差の両成分からなる光路長差分布を得ることもできる。
以上のように、本発明に係る液晶レンズ30を用いれば、第一の液晶層17および第二の液晶層18の液晶分子のパラレル配向面に一致する振動方向の直線偏光(すなわち、X軸の振動方向)に対して、連続的に焦点距離が変化するパワー成分を得ることができる。特に、本実施形態の液晶レンズ30に位相の揃ったレーザ光の発散光や収束光が入射する場合、光軸に対して同じ傾斜角をもつ軸対称の光線は光路長が等しい。このため、軸非対称な透過波面変化に起因する収差成分が発生することなく、印加電圧の大きさに応じた連続的に変化する所望のパワー成分あるいはパワーと球面収差の両成分からなる光路長差分布を得ることができる。
なお、透明基板12の透明基板厚と屈折率をDおよびNとすると、液晶レンズ30へ入射角γで斜入射する入射光線に対して、第一の液晶層17と第二の液晶層18におけるXY面内の光線位置は、W=D×sinγ/Nに相当する長さWだけずれることになる。本実施形態のように、素子面(XY面)内における液晶層への印加電圧分布に起因して液晶分子のダイレクタが素子面内で空間的に分布する場合、このずれ量Wをできるだけ小さな値とすることが好ましい。具体的には、透明基板12の基板厚Dを1mm以下、さらには0.5mm以下とすることが好ましい。
また、本実施形態では正の誘電率異方性を有する液晶を用いてホモジニアス配向とする例を示したが、別の液晶材料あるいは液晶配向でもよい。例えば、負の誘電率異方性を有する液晶を用いて、ホメオトロピック配向としてもよい。
また、図5に示す本実施形態ではX軸の振動方向の直線偏光に対してのみ電圧可変焦点距離のレンズ作用を示す液晶レンズとなっている。Y軸の振動方向の直線偏光に対しても電圧可変焦点距離のレンズ作用を示す液晶レンズとするためには、図5に示す液晶レンズ30をXY面内で90°回転し、元の液晶レンズ素子30に積層すればよい。
また、本発明に係る液晶レンズ30と他の光学部品を組み合わせて光学装置に用いる場合、液晶レンズ30に、波長板や、回折格子、複屈折性ホログラム素子、波長依存性回折格子などの光部品を適宜積層して一体化してもよい。また、上記光部品は、透明基板11Aあるいは11Bの表面に直接形成してもよいし、接着して一体化してもよい。これにより、本発明に係る液晶レンズを用いた光学装置を構成する光部品数が減り、組み立てが簡易になる。
例えば、本発明に係る液晶レンズ30を用いた光学装置の構成例を、光ヘッド装置を例にとり以下に説明する。図8は、液晶レンズ30を用いた光ヘッド装置の構成の一例を示す模式図である。図に示すように、光ヘッド装置40は、第1記録層D1および第2記録層D2を有するDVDや高密度光ディスクなどの光ディスクDを光記録媒体として用い、光記録媒体への情報の記録・再生を行う。レーザ光源1から紙面内に振動方向を有する直線偏光が出射されると、出射されたレーザ光は、順に偏光ビームスプリッタ2、液晶レンズ30、1/4波長板3、集光レンズ4を透過した後、円偏光に変換されて、アクチュエータ7に搭載された対物レンズ5により、光ディスクD上の第1記録層D1または第2記録層D2に集光される。光ディスクDから反射されたレーザ光は、対物レンズ5、集光レンズ4、1/4波長板3を通過した後、Y方向に振動方向を有する直線偏光に変換され、液晶レンズ30を通過し、偏光ビームスプリッタ2で反射される。反射されたレーザ光は、シリンドリカルレンズ8によって非点収差を与えられ、光検出器6に入射する。
レーザ光源1から出射されるレーザ光は発散光であり、波長は、光ディスクDの種類に応じた780nm帯、660nm帯、405nm帯のいずれか一つであってもよく、いずれかを含む複数の異なる波長のレーザ光でもよい。この場合、複数のレーザ光源から出射されてもよい。
次に、本発明に係る液晶レンズ30を搭載した光ヘッド装置40を用いて、記録層までの保護層の厚み(以下カバー厚ともいう)の異なる第1記録層D1および第2記録層D2に情報を記録・再生する動作を以下に説明する。
対物レンズ5は、第1記録層D1と第2記録層D2の中間のカバー厚において、収差が最小となるように設計されているとする。設計と異なるカバー厚の記録層に集光する場合、カバー厚の記録層厚みから設計厚みを差し引いた、カバー厚差に比例した球面収差が発生し、情報の記録・再生が困難になる。この球面収差は、対物レンズ5に入射する平面波のレーザ光にパワー成分を付加し、発散光または収束光にすることで補正できる。
以下に、[1]カバー厚差が負である第1記録層D1で、正のパワー成分を付加することで収束光に変換する場合と、[2]カバー厚差が正である第2記録層D2では、負のパワー成分を付加することで発散光に変換する場合の、球面収差の補正方法についてそれぞれ説明する。
[1]第1記録層D1(カバー厚差が負)の場合:
第1記録層D1への記録・再生においては、液晶レンズ30の透過波面が収束する球面波となるよう焦点距離を変更するため、透明電極13Aと複合電極21間および、透明電極14Aと複合電極22間に所定の交流電圧が印加する。具体的には、低抵抗電極31、21、33、34の内で半径の小さな低抵抗電極ほど小さな交流電圧を印加する。すると、第一の液晶層17および第二の液晶層18の液晶分子のダイレクタが変化に伴い焦点距離が変化し、正のパワー成分すなわち凸レンズ相当の透過波面となる。したがって、第1記録層D1へ集光するレーザ光の球面収差を補正することができる。
[2]第2記録層D2(カバー厚差が正)の場合:
第2記録層D2への記録・再生においては、液晶レンズ30の透過波面が発散する球面波となるよう焦点距離を変更するため、透明電極13Aと複合電極21間および、透明電極14Aと複合電極22間に所定の交流電圧が印加する。具体的には、低抵抗電極31、21、33、34の内で半径の小さな低抵抗電極ほど大きな交流電圧を印加する。すると、第一の液晶層17および第二の液晶層18の液晶分子のダイレクタが変化に伴い焦点距離が変化し、負のパワー成分すなわち凹レンズ相当の透過波面となる。したがって、第2記録層D2へ集光するレーザ光の球面収差を補正することができる。
以上のように、液晶層に印加する電圧を変化させることで、異なるカバー厚を持つ2つの記録層へ集光するレーザ光の球面収差を補正することができる。液晶レンズ30の生成するパワー成分は印加電圧に応じて連続的に変化するため、第1および第2記録層D1およびD2のカバー厚が光ディスク毎に異なる場合や、同一光ディスク内でカバー厚が分布する場合でも最適な収差補正性能が発現する印加電圧に調整できる。
また、本発明に係る液晶レンズ30は、発散光および収束光中に配置できるため、平行光中に配置する場合に比べ小型化が容易であり、光ヘッド装置40の小型化することが可能である。
また、液晶レンズ30の各液晶層層厚を、従来の単層の液晶層からなる液晶レンズの液晶層層厚dと同じとした場合、2層合計の液晶層層厚は2dとなり、従来の液晶レンズ100に比べて、印加電圧に応じて連続的に変化するパワー量の可変範囲を約2倍に拡大できる。また、各液晶層層厚を従来の単層の液晶層からなる液晶レンズの半分の2/dとした場合、パワー量を切り替える応答速度を、従来の単層の液晶層を備える液晶光学素子の約4倍に高速化できる。
また、本実施形態では、印加電圧に応じて透過波面のパワー成分が変化する液晶レンズ30の例について説明したが、パワー成分以外の透過波面変化、例えば球面収差成分や非点収差成分やコマ収差、あるいはそれらが複合化された収差成分に相当する透過波面変化を変化させる液晶レンズを構成することも可能である。
また、本発明に係る液晶レンズ30を用いた光ヘッド装置は、前述の構成に限定されるものではなく、図8に図示した光部品以外に、回折格子、ホログラム素子、偏光依存性選択素子、波長選択性素子、波面変換手段などの異なる光部品または機構部品を適宜組み合わせて適用することができる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る液晶波長板の構成例について、図1、および図2を参照しながら説明する。液晶波長板の構成は、液晶光学素子10と同じであるため、詳細な説明は省略する。
液晶光学素子10を液晶波長板として用いる例として、入射光の振動方向が第一の液晶層17および第二の液晶層18の液晶分子のダイレクタが揃った面(図1ではXZ面)に対して、一定の角度Z1を成す直線偏光として入射する場合を考える。
図2に示すように、入射光は、X軸に対して反時計回りにZの角度を成す振動方向の直線偏光として入射する。この入射光が、ZX断面で図3に示すように発散光として入射する場合、透過光の偏光状態は、第一の液晶層17の層厚および第二の液晶層18の各液晶層厚dに応じて生成されるリタデーション値に依存して変化する。
液晶層のX軸の振動方向の直線偏光に対する液晶層の屈折率をne(異常光屈折率)、Y軸の振動方向の直線偏光に対する液晶層の屈折率をno(常光屈折率)とすると、その屈折率差である複屈折率△nは最大で|ne−no|となり、△nは、液晶層に印加される電圧の大きさに応じて変化する。ここで、第一の液晶層17および第二の液晶層18の液晶層層厚dと液晶層に用いる液晶材料を同一とした場合、第一の液晶層17の層厚および第二の液晶層18の合計のリタデーション値Rdは2×△n×dとなり、印加電圧に応じてリタデーション値が可変できる波長板として機能する。
本実施形態の液晶波長板は、リタデーション値の入射角に対する依存性が少ないため、
発散光中に配置しても透過光の偏光状態の空間分布の均一性が高い。よって、液晶波長板を発散光中に配置することが可能になり、光学部品の小型化および光ヘッド装置の小型化が実現できる。
また、本実施形態の液晶波長板は、印加電圧に応じて偏光状態を制御することが可能である。電圧非印加時のリタデーション値Rdを、入射光の波長に対してλ/2となるように液晶層厚dを調整した場合に、前述の角度Z1を45°に設定した入射光は、液晶光学素子10を透過後Y軸の振動方向の直線偏光となって出射される。次に、液晶光学素子10のリタデーション値Rdがλ/4となるまでに電圧が印加されると、液晶光学素子10の透過光は円偏光となる。さらに、第一の液晶層17の層厚および第二の液晶層18の液晶分子のダイレクタがほぼZ軸方向に揃うように電圧が印加されると、リタデーション値Rdがほぼゼロとなる。このとき、液晶光学素子10の透過光は入射光と同じX軸の振動方向の直線偏光のままである。
また、本発明に係る液晶波長板は、他の光学部品を組み合わせて光学装置に用いることができ、この際に光学装置の小型化、部品点数の削減、組み立ての容易化等、前述の液晶レンズとほぼ同様の効果を呈する。
例えば、本発明に係る液晶波長板を用いた光学装置の構成例を、光ヘッド装置を例にとり以下に説明する。図9は、液晶波長板を用いた光ヘッド装置の構成の一例を示す模式図である。
図に示すように、液晶光学素子10を液晶波長板として用い、レーザ光源1と偏光ビームスプリッタ2の間に配置する。レーザ光源1から出射される発散光は、X軸の振動方向の直線偏光とし、第一の液晶層17および第二の液晶層18のダイレクタが揃った面(図9ではXZ面)をX軸に対してZ1=22.5°の角度を成すようにする。
レーザ光源1から出射される波長λの発散光が、電圧非印加時(印加電圧V)の液晶光学素子10に入射する場合、リタデーション値Rd=λ/2の波長板として機能し、透過光はX軸に対して45°の振動方向の直線偏光となって透過する。その結果、偏光ビームスプリッタ2により、入射光の半分の強度に相当するX軸の振動方向の偏光成分のみが直進透過し、1/4波長板3、集光レンズ4および対物レンズ5により光ディスクDの情報記録面に集光される。しかし、入射光の半分の強度のY軸の振動方向の偏光成分は偏光ビームスプリッタ2により反射されて光ディスクDには集光されない。
一方、液晶光学素子10のリタデーション値Rdがほぼゼロとなるように電圧Vを印加した場合、透過光は入射光と同じX軸の振動方向の直線偏光のままで、偏光ビームスプリッタ2により反射されることなく全て直進透過する。したがって、液晶光学素子10の印加電圧をVからVに切り替えることにより、光ディスクDに集光される光量を半分に調整できる。この調整機能は、光ディスクDの記録と再生、あるいは2層光ディスクと単層光ディスクの記録における光量切替などに有効である。
また、本発明に係る液晶波長板を用いた光学装置のその他の構成例として、図10に偏光回転切替装置の例を示す。
ここでは、入射光の偏光方向の角度Z1=45°の角度に設定することにより、印加電圧Vでは入射光と振動方向が直交する直線偏光に変化し、印加電圧Vで入射光と同じ振動方向の直線偏光のままとなり、印加電圧VとVで90°偏光回転切替機能が得られる。偏光ビームスプリッタ2と組み合わせて透過と反射の光路を切り替える装置となる。この偏光回転切替装置は、小型で優れた光学特性を示し、開口数や光ディスクのカバー厚等の規格の異なる高密度光ディスクの記録・再生において、同一青色半導体レーザ光源を用光ヘッド装置において、光路切り替え装置として利用できるため、光源と光部材の組み合わせ設計の自由度を高めることができる。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る可変光減衰器70の構成例について、図11を参照しながら説明する。可変光減衰器70は、第1の実施形態で説明した液晶光学素子20と偏光子80が一体化された構成である。液晶光学素子20は第1の実施形態と同様の構成および機能であるため詳細な説明は省略する。
電圧非印加時の液晶光学素子20の第一の液晶層17および第二の液晶層18の液晶分子のダイレクタは、X軸およびY軸に対して45°の角度(すなわち、図2においてZ1=45°)を成しXY面に垂直な平面内に揃っており、透明基板面における液晶分子のダイレクタが垂直(90°)に近い角度とする。このとき、電圧非印加時(V)の第一の液晶層17および第二の液晶層18の合計のリタデーション値Rdはほぼゼロとなる。また、特定の電圧V印加時のリタデーション値Rdが入射光の波長λに対してλ/2となるように、各液晶層層厚dを調整する。
このとき、印加電圧をVからVまで変化させることにより、リタデーション値がゼロからλ/2まで増加する。したがって、X軸の振動方向の直線偏光の発散光が、液晶光学素子20に入射すると、X軸の振動方向の偏光成分の透過光の強度は100%からゼロ%まで変化する。
X軸の振動方向の偏光成分を遮断し、Y軸の振動方向の偏光成分を直進透過する偏光子80を液晶光学素子20の光透過側に配置し、偏光子80を直進透過する光を受光する光学系とすることにより、印加電圧の大きさに応じて受光光量が調整できる可変光減衰器70となる。
偏光子80としては、X軸の振動方向の偏光成分を吸収してY軸の振動方向の偏光成分を透過する光吸収型偏光子や、X軸の振動方向の偏光成分を回折してY軸の振動方向の偏光成分を直進透過する光回折型偏光子などがある。光吸収に伴う発熱に起因した液晶光学素子20の特性変化を回避し安定した可変光減衰器70の機能を得るためには、光回折型偏光子を用いることが好ましい。
図11の偏光子80は、透明基板51および52の片面に複屈折材料からなる回折格子53および54を有し、その回折格子の少なくとも凹部に等方性均一屈折率を有する透明接着材55を充填されるとともに透明基板11Bおよび51に接着固定される。ここで、複屈折材料の進相軸(常光屈折率の方向)をY軸、遅相軸(異常光屈折率の方向)をX軸とし、複屈折材料の常光屈折率を透明接着材55の屈折率に一致させる。また、複屈折材料の異常光屈折率と透明接着材55の屈折率との屈折率差△Nと、回折格子53および54の厚さtの積△N×tが、入射光の波長λに対してλ/2となるように回折格子53および54を加工する。このとき回折格子の断面は矩形形状で、凸部と凹部の幅は等しく、一方向に直線状となっていることが好適である。
前述の構成の光回折型の偏光子80に、X軸の振動方向の直線偏光が入射すると、直進透過光はほぼゼロとなる。これは、回折格子53および54と透明接着材55の屈折率差に起因し、光学的に発現する回折格子により回折されるためである。一方、Y軸の振動方向の直線偏光が入射すると、回折光は発生せず入射光は直進透過する。これは、回折格子53および54と透明接着材55の間に屈折率差は生じないため、回折格子として機能しないためである。
図11に示した可変光減衰器70の構成例では、偏光子80は回折格子53および54の2層の回折格子を備える。よって、X軸の振動方向の直線偏光の入射光が、一方の回折格子で完全に回折されずその一部が直進透過したとしても、他方の回折格子で回折され、高い消光比が得られる。また、積層される回折格子53と回折格子54は、直線状の格子の方向をずらす、あるいは、格子ピッチが異なるように加工することが好ましい。このようにすることで、回折格子53で回折された光が、回折格子54で再度回折されて直進透過光に重畳することを防止し、消光比を向上できるためである。
次に、可変光減衰器70の製造方法について説明する。可変光減衰器70は第1の実施形態に係る液晶光学素子20に偏光子80を一体化して構成される。偏光子80は、透明基板51、52の片面に、複屈折性材料層として常光屈折率no=1.55および異常光屈折率ne=1.70の高分子液晶層を備え、フォトリソグラフィーとエッチング等により直線状の回折格子53、54を形成する。回折格子53の格子長手方向をX軸、回折格子54の格子長手方向をY軸、格子ピッチはいずれも20μm、回折格子の高分子液晶層層厚はいずれも5.2μmとする。
また、高分子液晶層からなる回折格子53、54の少なくとも凹部に、屈折率ns=1.55の等方性均一屈折率を有する透明接着材55を充填する。前述の液晶光学素子20の透明基板11Bと光回折型の偏光子80を固着する。ここで高分子液晶層は、配向膜が形成された透明基板上に液晶モノマーの溶液を塗布し、紫外線を照射して液晶モノマーを重合固化することにより作製する。また、透明基板11Aおよび52と空気の界面には反射防止膜が形成されてもよい。
本発明に係る可変光減衰器は、他の光学部品を組み合わせて光学装置に用いることができ、この際に光学装置の小型化、部品点数の削減、組み立ての容易化等の効果を呈する。
例えば、本発明に係る可変光減衰器を用いた光学装置の構成例を、光伝送装置を例にとり以下に説明する。図12は、可変光減衰器を用いた光伝送装置の構成の一例を示す模式図である。レーザ光源1から出射されるX軸の振動方向の直線偏光を有し位相の揃った発散光を集光レンズ4を用いて光ファイバ9の光伝送コア部に集光する。可変光減衰器70は集光レンズ4と光ファイバ9の間の光路中に配置される。可変光減衰器70の電圧非印加(V)の場合、レーザ光源1の出射光は、可変光減衰器70中の光回折型の偏光子80で回折され(図12の点線で表示)、光ファイバ9の光伝送コア部に集光されないため、光ファイバ9中を伝搬する光は生じない。
一方、可変光減衰器70に電圧Vを印加した場合、レーザ光源1から出射される発散光は可変光減衰器70を直進透過(図12の実線で表示)するため、光ファイバ9の光伝送コア部に集光されて光ファイバ9中を伝搬する。また、可変光減衰器70の印加電圧をVからVまで変化させることにより、光ファイバ9中を伝搬する光量(透過光の強度)を約ゼロから100%(可変光減衰器70無しの状態)まで可変することができる。
本実施形態の可変光減衰器70は、発散光および収束光中に配置されても消光比の劣化が少ないため、透過光の強度可変ダイナミックレンジの広い光伝送装置70を提供できる。また、可変光減衰器の液晶層を2層化することにより、単層の液晶層からなる従来の可変光減衰器70に比べ、各液晶層の層厚が約半分にすることができ、約4倍の高速応答化が実現できる。
図12に示すように、可変光減衰器を設けた光伝送装置を作成する。可変光減衰器70は、集光レンズ4と光ファイバ9の間の光路中で、集光レンズ4近傍に偏光子80が光透過側になるように配置する。波長λ=1.50μm〜1.60nmのレーザ光源1からX軸の振動方向の直線偏光の発散光が出射され、集光レンズ4により光ファイバ9の光伝送用コア部に集光された。光ファイバ9の光取り込み開口数NAは約0.1で、光軸に対して約±6°以内の収束光が集光される。したがって、可変光減衰器70には光軸に対して対称な最大入射角約±6°の収束光が入射することになる。
可変光減衰器70の液晶光学素子20に印加される電圧が電圧非印加(V)から交流実効値で電圧V=5Vrmsが変化すると、リタデーション値Rdはほぼゼロから約λ/2まで変化し、入射光の透過率が変化する。入射光は、0Vで約96%が可変光減衰器70を直進透過し、光ファイバ9のコア部に集光する。しかし、V(rms)では、大半の光が偏光子80で回折され、可変光減衰器70を直進透過する光は0.01%以下となり、光ファイバ9のコア部に集光されない。
したがって、可変光減衰器70の印加電圧をVからVまで変化させることにより、光ファイバ9を伝送する光相対強度が約−0.2dBから約−40dBまで変化する光伝送装置70が実現できる。ここでの光相対強度は可変光減衰器70を用いない場合の光強度0dBを基準とした減衰比率である。
第1の実施形態で用いた従来の単層構成の液晶光学素子と比較すると、セルギャップが5.4μmの単層の液晶層からなる従来の液晶光学素子を用いた可変光減衰器の場合、
素子面内でリタデーション値がλ/2からずれて分布する。よって、光ファイバ9を伝送する光相対強度を−25dB以下までしか減光することができないため、伝送光量の可変範囲が減少する。また、状態遷移の応答速度は液晶光学素子に依存し、25℃で約80m秒程度となる。
したがって、本発明の第4の実施形態で説明した可変光減衰器70およびそれを用いた光伝送装置90を用いることにより、高消光比かつ広い光量可変範囲で高速応答動作の光伝送装置を実現することができる。また、例えば、レーザ光源1として外部信号に応じて1.50μm〜1.60nm波長帯中の特定波長のみを発振させる波長可変レーザを用いる場合、波長切替時に光ファイバ9への伝送光を−40dB以下の光相対強度に遮断する、あるいは、発振波長毎の伝送光量のバラツキを低減するように減光する可変光減衰機能を実現することができる。
本発明に係る液晶光学素子は、印加電圧の大きさに応じて液晶層内の光路長やリタデーション値を変化させることにより、入射光に対する透過光の透過波面変化や偏光状態の変化を発現する空間光変調素子として用いることができる。特に、本発明に係る液晶光学素子は、発散光や収束光の光路中に配置して用いた場合にも、平行光中で使用する場合と比較して、電気光学特性の劣化がほとんどない。
よって、透過波面変化を生成する液晶光学素子として、印加電圧の大きさに応じて焦点距離(すなわちパワー成分)を可変とできる液晶レンズや、光学装置内で生成される球面収差、コマ収差、非点印加電圧に応じて液晶層のリタデーション値が可変となる液晶波長板や、特に、液晶レンズは光ヘッド装置に搭載して光ディスクのカバー厚の相違に起因して発生する球面収差を補正する光学部品として利用できる。また、カメラなど撮像用の組レンズの一部に使用して、焦点距離可変レンズとして利用できる。また、液晶収差補正光学部品は光ヘッド装置に搭載し、装置毎に残留する収差や光ディスクの傾斜により発生する収差などを補正する光学部品として利用できる。収差やそれらの複合した収差などを補正する液晶収差補正光学部品として利用できる。
透過光の偏光状態を変化させる液晶光学素子としては、印加電圧に応じて液晶層のリタデーション値が可変となる液晶波長板として利用できる。
透過光の強度状態を変化させる液晶光学素子としては、光出射側に偏光子を配置して、印加電圧に応じた可変光減衰器などに利用できる。また、可変光減衰器は光通信用の波長可変レーザ光源が用いられる光伝送装置に搭載し、波長可変レーザ光源の発振波長切替時の光シャッタや発振波長毎の発振光強度を平坦化する可変光量等価器などに利用できる。
本発明に係る液晶光学素子は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の機能性光学部品および光ヘッド装置、可変光減衰器、光伝送装置等以外の種々の用途にも適用できる。
本発明に係る液晶光学素子の構成の一例を示す縦断面模式図である。 図1に示す液晶光学素子の構成を示す横断面模式図である。 本発明に係る液晶光学素子の構成の一例における液晶層内の液晶分子のダイレクタと入射光の関係を示す縦断面模式図である。 本発明に係る液晶光学素子の構成の他の例における液晶層内の液晶分子のダイレクタと入射光の関係を示す縦断面模式図である。 本発明に係る液晶レンズの構成の一例を示す縦断面模式図である。 図5に示す液晶レンズの構成を示す横断面図である。 図5に示すX−X‘断面における光路長差分布を示すグラフである。 液晶レンズを用いた光ヘッド装置の構成の一例を示す模式図である。 液晶波長板を用いた光ヘッド装置の構成の一例を示す模式図である。 液晶波長板を用いた偏光回転切替装置の構成の一例を示す模式図である。 可変光減衰器の構成の一例を示す縦断面模式図である。 可変光減衰器を用いた光伝送装置の構成の一例を示す模式図である。 従来の液晶光学素子の構成の一例および液晶層内の液晶分子のダイレクタと入射光の関係を示す縦断面模式図である。
符号の説明
1:レーザ光源
2:偏光ビームスプリッタ
3:1/4波長板
4:集光レンズ
5:対物レンズ
6:光検出器
7:アクチュエータ
8:シリンドリカルレンズ
9:光ファイバ
10、20、100:液晶光学素子
11A、11B、12、51、52:透明基板
13A、13B、14A、14B:透明電極
13C、14C:電極
15A、15B、16A、16B:配向膜
17:第一の液晶層
18:第二の液晶層
19:シール
21、22:複合電極
30:液晶レンズ
31、32、33、34:低抵抗電極
35:高抵抗平面電極
40、50:光ヘッド装置
41、42、43、44:電極取出部
53、54:回折格子(複屈折材料層)
55:接着材
70:可変光減衰器
80:偏光子
90:光伝送装置
120:ダイレクタ
D 光ディスク
D1、D2:記録層

Claims (12)

  1. レーザ光用の液晶光学素子であって、
    前記透明基板上に形成される一対の透明電極と
    前記透明基板間に挟持された液晶層と
    液晶分子の配向制御手段とを備え、
    前記透明電極間に印加される電圧の大きさに応じて透過光のリタデーション値を変化させる前記液晶層を用いた液晶光学素子において、
    前記液晶層が二層積層され、
    各液晶層の同一層内の液晶分子は、同一平面状にダイレクタを有し、かつ、対向する両透明基板付近のプレチルトが略平行なダイレクタを有し、
    電圧印加時に第一の液晶層と第二の液晶層の隣接する配向制御手段表面の液晶分子の配向方向が前記透明基板面に対して逆向きに傾斜配向し、傾斜角の絶対値がほぼ等しくなるように前記液晶層を配設したことを
    特徴とする液晶光学素子。
  2. 前記配向制御手段は配向膜であり、前記配向膜がアンチパラレル方式でラビングされ、液晶分子はパラレル配向である請求項1に記載の液晶光学素子。
  3. 前記配向手段により配列される液晶分子はホモジニアス配向である請求項1または2に記載の液晶光学素子。
  4. 第一の液晶層の透明基板面における液晶分子のプレチルト角が1〜10°または、170〜179°第二の液晶層の透明基板面における液晶分子のプレチルト角が170〜179°または1〜10°である請求項1、2または3に記載の液晶光学素子。
  5. 前記配向膜により配列される液晶分子はホメオトロッピック配向である請求項1または2に記載の液晶光学素子。
  6. 第一の液晶層の透明基板面における液晶分子のプレチルト角が80〜89°または、91〜100°第二の液晶層の透明基板面における液晶分子のプレチルト角が91〜100°または80〜89°である請求項1、2または5に記載の液晶光学素子。
  7. 焦点距離を電気的に可変する液晶光学部品であって、
    請求項1〜6に記載の液晶光学素子を備える液晶レンズ。
  8. 光回路内で光の偏光状態を能動的に可変する液晶光学部品であって、
    光路中に請求項1〜6に記載の液晶光学素子を備える液晶波長板。
  9. 光回路内で光の強度を能動的に可変する液晶光学部品であって、
    光路中に請求項1〜6に記載の液晶光学素子と偏光手段を備える光減衰器。
  10. 前記偏光手段が回折格子である請求項9に記載の光減衰器。
  11. 光記録媒体に情報の記録・再生を行う光ヘッド装置であって、
    光源と対物レンズの光路中に請求項1〜6に記載の液晶光学素子が設置されている光ヘッド装置。
  12. 入射光の強度を変化させて伝達する光伝送装置であって、
    光路中に請求項9または10に記載の光減衰器が設置され、前記液晶光学素子に印加される電圧の大きさに応じて透過光の強度が変化する光伝送装置。
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