JPH10230832A - 制動力制御装置 - Google Patents

制動力制御装置

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JPH10230832A
JPH10230832A JP9054063A JP5406397A JPH10230832A JP H10230832 A JPH10230832 A JP H10230832A JP 9054063 A JP9054063 A JP 9054063A JP 5406397 A JP5406397 A JP 5406397A JP H10230832 A JPH10230832 A JP H10230832A
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pressure
braking force
brake
opening
control device
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JP9054063A
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Yoshiro Nakano
芳郎 中野
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車輪のスリップ率を適正に制御して制動力と
操舵性とを両立させるアンチロックブレーキシステムに
おいて、ブレーキ液圧の増圧用のポンプを用いることな
く、システムを構成する。 【解決手段】 制動力制御中に増圧を行なうためのポン
プを用いる代わりに、ブレーキペダルによりブレーキ液
圧を発生する一体型倍力装置13の倍力機構を用いて、
ブレーキ液圧の増圧を行なう。スリップ制御中に減圧ソ
レノイドバルブを開いてブレーキ液圧を低下させた後、
次の増圧に備えて、液圧装置16の第1電磁弁121を
閉じ、第2電磁弁122を開き、バルブプランジャ20
3を初期位置に戻す。次に、第3電磁弁243を閉じ、
第4電磁弁244を開いて、バルブプランジャ203を
パワーピストン210側に移動し、エアバルブを開いて
変圧室222に大気圧を導入する。この結果、定圧室2
21と変圧室222との差圧により、パワーピストン2
10は、マスタシリンダ14側に押圧され、ブレーキ液
圧は上昇する。このブレーキ液圧を、次の制動力の増加
制御に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制動力制御装置に
関し、詳しくはブレーキ液圧を調整して制動力を制御す
る装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両制動時にホイールシリンダの
液圧を増減して車両の制動力を、車両の走行状態に応じ
て制御しようとする制動力制御装置が知られている。こ
うした制動力制御装置は、例えば車輪がロックしてスリ
ップ率が大きくなり、車両の操舵性が失われたとき、自
動的にホイールシリンダの液圧を低減し、車輪のロック
を解消して操舵性能を回復する制御、いわゆるアンチス
キッド制御を行なっている。ブレーキ液圧を低減した結
果、車輪のロック状態が解消して、スリップ率が適正な
値になると、ブレーキ液圧を増加し、フリップ率を適正
な範囲に制御している。
【0003】この際、スリップ率は次のように制御され
る。スリップ率は、車体速度に対する車体速度と車輪速
度との差の比率として定義されており、このスリップ率
が所定値で車輪と路面間の摩擦力が極大となり、その摩
擦力の極大点で最大の制動力が得られる。また、走行中
の操舵により発生する車両の進行方向を保とうとする力
(コーナリングフォース)は、スリップ率が0%のとき
最大でスリップ率100%(ロック状態)のとき値0と
なる関係を示す。このコーナリングフォースが小さくな
ると車両の操舵性が低下する。そこで、摩擦力による制
動力とコーナリングフォースによる操舵性とが両立する
スリップ率の範囲内になるよう各車輪のブレーキ液の圧
力を制御するのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうし
た制動力制御装置では、一旦低減したブレーキ液圧を増
加するのに、増圧用のポンプを必要とするという問題が
あった。スリップ率が所定値を越えると、ブレーキペダ
ルの踏み込みによりマスタシリンダに発生したブレーキ
液圧を低減するため、リザーバ側に接続された電磁弁を
開いて、ブレーキ液を排出する。スリップ率が下がった
後、低減されたブレーキ液圧を回復しようとすると、運
転者による踏み増しがなければ、ブレーキ液圧を高める
ためには、ポンプを用意し、これを駆動する必要があっ
た。
【0005】所定時間内にブレーキ液圧を所定値まで高
めることが可能なポンプは、それなりの大きさを要する
から、ポンプの設置スペースとしてかなりの大きさが必
要となり、またポンプが故障した場合の対策なども採ら
ねばならない。更に、ポンプを使用した場合には、ポン
プおよびこれを駆動するモータの作動音や振動が発声す
るため、作動音や振動を防止もしくは低減するための対
策も必要となる。
【0006】本発明の制動力制御装置は、こうした問題
を解決し、アンチスキッド制御における増圧用のポンプ
を特別に用意することなく、制動力の増加を含む制御を
実現することを目的とし、次の構成を採った。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明の制動力制御装置は、ブレーキペダルの操作状態に
基づいてブレーキ液圧を発生し、該ブレーキ液圧をホイ
ールシリンダに導いて、車両の制動力を発生すると共
に、車両の走行状態に基づいて、該ブレーキ液圧を調整
して、車両の制動力を制御する制動力制御装置であっ
て、ブレーキペダルの踏力を受け、他の圧力源を利用し
て該踏力より高い圧力のブレーキ液圧を発生するブレー
キ踏力倍力手段と、車輌の走行状態に基づいて制動力を
増加する際、前記ブレーキ踏力倍力手段を用いて前記ブ
レーキ液圧を発生し、該ブレーキ液圧を、該増加する制
動力発生用の圧力源とする増圧制御手段とを備えたこと
を要旨とする。
【0008】この制動力制御装置は、ブレーキペダルの
踏力より高い圧力のブレーキ液圧を発生するブレーキ踏
力倍力手段を有し、このブレーキ踏力倍力手段により発
生するブレーキ液圧を、車輌の走行状態に基づいて行な
われる制動力の制御における増圧用の圧力源として利用
する。したがって、増圧用のポンプなどを別体に設ける
必要がない。
【0009】この制動力制御装置におけるブレーキ踏力
倍力手段は、移動によってブレーキ液圧を発生する加圧
部材と、前記ブレーキペダルの操作により移動する操作
部材と、該操作部材の移動により、前記加圧部材の両側
に圧力差を生じさせ該加圧部材を移動する差圧発生手段
とを備えるものとし、増圧制御手段は、車輌の走行状態
に基づいて制動力を増加する際、前記操作部材をブレー
キペダルの操作とは別個に移動する手段とすることがで
きる。これにより、ブレーキペダルの操作とは独立に操
作部材を移動し、ブレーキ踏力倍力手段によりブレーキ
液圧を増圧して、制動力の増加に供することができる。
【0010】更に、この制動力制御装置を具体化した構
成としては、ブレーキペダルの踏力により発生した作動
圧を前記操作部材をピストンとするシリンダに導く第1
の管路と、前記第1の管路に設けられ、該管路を開閉す
る第1の開閉手段と、該第1の管路と前記ブレーキ液圧
を発生する手段の低圧側とをつなぐ第2の管路に介装さ
れ該管路を開閉する第2の開閉手段と、車両の走行状態
を検出し、制動時にあってかつ制動力を低減すべき条件
が成立したと判断したとき、前記第1の開閉手段を閉じ
ると共に前記第2の開閉手段を開いて前記作動圧を低減
し、前記操作部材を前記ブレーキ液圧を発生する方向と
は逆方向に移動する操作部材後退手段とを備えたものを
考えることができる。
【0011】この制動力制御装置では、第1の開閉手段
を開いて作動圧を低減することにより、操作部材をブレ
ーキ液圧を発生する方向とは逆方向に移動することによ
り、制動に供されるブレーキ液圧を低減する。制動に供
されるブレーキ液圧の増大は、上述したように、増圧制
御手段により行なわれる。
【0012】ここで、制動力の制御時に、前記ブレーキ
ペダルが更に踏み込まれた場合には、前記操作部材後退
手段の動作を停止して前記第2の開閉手段を閉じると共
に前記第1の開閉手段を開き、前記ブレーキペダルの踏
力に基づく前記作動圧により前記操作部材を前記ブレー
キ液圧を発生する方向に移動する操作部材前進手段を備
えるものとしても良い。この場合には、制動力の制御を
行なっている際に、更にブレーキ液圧を増加することが
できる。
【0013】また、本発明の制動力制御装置において、
前記ブレーキ踏力倍力手段は、移動によってブレーキ液
圧を発生する加圧部材と、前記ブレーキペダルの操作に
より移動する操作部材と、該操作部材の移動により、前
記加圧部材の両側に圧力差を生じさせる差圧発生手段と
を備えるものとし、前記増圧制御手段は、車両の走行状
態に基づいて、制動時にあってかつ制動力を上昇すべき
条件が成立したと判断したとき、前記操作部材の動きに
よらず前記差圧発生手段を動作させ、該圧力差を前記加
圧部材の両側に発生させる差圧発生制御手段を備えるも
のとすることができる。この制動力制御装置は、増圧制
御手段により、制動力の制御を行なう際、加圧部材の両
側に差圧を発生させて加圧部材を移動し、加圧部材の移
動により、ブレーキ液圧を発生する。この構成によれ
ば、増圧制御手段による増圧時に、操作部材を移動する
必要がない。
【0014】この制動力制御装置をより具体化した構成
としては、ブレーキペダルの踏力により発生した作動圧
を前記操作部材をピストンとするシリンダに導く第1の
管路と、前記第1の管路に設けられ、該管路を開閉する
第1の開閉手段と、該第1の管路と前記ブレーキ液圧を
発生する手段の低圧側とをつなぐ第2の管路に介装され
該管路を開閉する第2の開閉手段と、前記第1の管路か
ら前記ブレーキ踏力倍力手段に至る管路に設けられ、該
管路を開閉する第3の開閉手段と、車両の走行状態を検
出し、制動時にあってかつ制動力を低減すべき条件が成
立したと判断したとき、前記第1の開閉手段を閉じると
共に前記第2の開閉手段を開いて前記作動圧を低減し、
前記操作部材を前記ブレーキ液圧を発生する方向とは逆
方向に移動する操作部材後退手段とを備えると共に、前
記ブレーキ踏力倍力手段には、該第3の開閉手段が開い
て前記第1の管路の作動圧が導かれたとき、該作動圧に
より開閉し、前記圧力差を前記加圧部材の両側に生じさ
せる弁体を有し、前記差圧制御手段は、前記操作部材後
退手段の動作を停止して前記第2の開閉手段を閉じ、前
記第1の開閉手段を開き、かつ前記第3の開閉手段を開
く手段であるものを考えることができる。
【0015】この制動力制御装置は、第3の開閉手段
と、この第3の開閉手段が開いた時に第1の管路の作動
圧が導かれて開閉するブレーキ踏力倍力手段の弁体とを
備え、圧力制御手段が、制動時にあってかつ制動力を上
昇すべき条件が成立したと判断したとき、差圧制御手段
が、第2の開閉手段を閉じ、第1の開閉手段を開き、か
つ第3の開閉手段を開いて、ブレーキ踏力倍力手段の弁
体を開く。この結果、前記加圧部材の両側に圧力差が生
じ、ブレーキ踏力倍力手段によりブレーキ液圧を増大す
ることができる。
【0016】ここで、前記第3の開閉手段を介して前記
ブレーキ踏力倍力手段に至る管路の少なくとも一部を、
前記操作部材と前記シリンダとの間に形成することがで
きる。この場合には、通常のブレーキ踏力倍力手段の構
成をそのまま利用して、第3の開閉手段の開閉により開
閉する弁体に前記作動圧を作用させる管路を、形成する
ことができる。
【0017】更に、上記の各構成において、制動力制御
装置は、前記ブレーキ踏力倍力手段から前記ホイールシ
リンダに至る管路に設けられ、該管路を開閉する第1の
電磁弁と、前記ホイールシリンダのブレーキ液を前記ブ
レーキ踏力倍力手段の低圧側に返戻する管路に設けら
れ、該管路を開閉する第2の電磁弁と、車輌の走行状態
に基づいて、制動時にあって前記制動力の増減制御が必
要と判断したとき、前記第1および第2の電磁弁を閉じ
る電磁弁制御手段とを備えた構成とすることができる。
【0018】かかる構成によれば、ブレーキ踏力倍力手
段からホイールシリンダまでの管路を電磁弁により開閉
して、ブレーキペダルの操作により制動の初期において
ホイールシリンダに送り込まれたブレーキ液圧を一旦低
減したり、ホイールシリンダの圧力を保持したりするこ
とができる。
【0019】なお、かかる制動力制御装置であって、ブ
レーキ踏力倍力手段から各車輪のホイールシリンダに至
る経路は、種々の構成を採ることができる。例えば、第
1,第2の電磁弁を、ブレーキ踏力倍力手段から左右の
前輪に独立設けられたホイールシリンダおよび後輪に設
けられたホイールシリンダに至る独立の3つの管路の各
々に設ける構成も、更には第1,第2の電磁弁を、ブレ
ーキ踏力倍力手段から左右の前輪に独立に設けられたホ
イールシリンダおよび左右の後輪に独立に設けられたホ
イールシリンダに至る独立の4つの管路の各々に設ける
構成も可能である。なお、制御上許容できる範囲で、更
にブレーキ液圧の経路を共通化することも差し支えな
い。
【0020】更に、上記の制動力制御装置において、前
記ブレーキ踏力倍力手段から前記ホイールシリンダに至
る管路に設けられ、該管路を開閉する電磁弁のみを設
け、車輌の走行状態に基づいて、制動時にあって前記制
動力の増減制御が必要と判断したとき、前記電磁弁を開
き、制動力の保持が必要と判断したとき、該電磁弁を閉
じる構成とすることも可能である。本発明の制動力制御
装置では、ブレーキ踏力倍力手段の出力するブレーキ液
圧自体を制御しているので、ホイールシリンダのブレー
キ液を、ブレーキ踏力倍力手段の低圧側に返戻する管路
を設けたり、この管路の開閉を制御することでホイール
シリンダのブレーキ液圧を低減する処理を行なう代わり
に、ブレーキ踏力倍力手段自体を制御することで、ホイ
ールシリンダのブレーキ液圧を低減することができるか
らである。
【0021】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用
を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例
について説明する。図1は、本発明の制動力制御装置に
相当するアンチロックブレーキシステム10の概略構成
を例示するブロック図である。
【0022】図示するように、アンチロックブレーキシ
ステム10は、ブレーキペダル12に加えられた踏込力
を増圧して高圧のブレーキ液圧に変換する一体型倍力装
置13が組み込まれたブレーキマスタシリンダ14と、
各車輪72〜78に設置されたホイールシリンダ92〜
98へのブレーキ液圧を調整するABSアクチュエータ
20と、各車輪72〜78の車輪速度を検出するスピー
ドセンサ82〜88と、ABSアクチュエータ20の動
作を制御するABSコンピュータ300とを備える。以
下、各装置の構成と働き、および全体の動作について順
次説明する。
【0023】<ブレーキ液の経路>一体型倍力装置13
により増圧されたブレーキ液圧を出力するブレーキマス
タシリンダ14は、ブレーキ液の管路であるパイプ18
によって、ABSアクチュエータ20に接続されてい
る。ABSアクチュエータ20は、パイプ62〜68に
より各ホイールシリンダ92〜98に接続されている。
ABSアクチュエータ20と後輪76,78のホイール
シリンダ96,98とを接続するパイプ66,68に
は、ホイールシリンダ96,98側のブレーキ液の圧力
をブレーキマスタシリンダ14側より小さくするプロポ
ーショニングバルブ69が設置されている。後輪側のパ
イプのみにプロポーショニングバルブを設置するのは、
前輪に比して後輪の方が制動時にロックしやすいからで
ある。ABSアクチュエータ20および各スピードセン
サ82〜88は、ABSコンピュータ300に接続され
ている。なお、説明の簡略化を図って、図示では、マス
タシリンダ14は1系統の出力のみを有し、このブレー
キ液出力をパイプ18で、ABSアクチュエータ20に
供給するものとしたが、実際には、マスタシリンダ14
は4系統のブレーキ液圧出力を有し、各車輪のホイール
シリンダ92〜98に独立にブレーキ液を供給している
(後述する図4参照)。
【0024】車輌を制動するブレーキ液圧は、基本的に
はブレーキペダル12の踏力により発生されるが、本実
施例では、ブレーキペダル12の踏力に基づいて、ブレ
ーキペダル12の踏力以上のブレーキ液圧を発生する一
体型倍力装置13が用いられている。一体型倍力装置1
3は、ブレーキペダル12を操作したとき、その踏力以
上の力で、ブレーキマスタシリンダ14のプッシュロッ
ドを押圧するものである。ブレーキマスタシリンダ14
により発生したブレーキ液圧は、パイプ18を介してA
BSアクチュエータ20に伝達され、更に各輪ホイール
シリンダ92ないし98に伝達されて制動力の発生に用
いられる。ABSアクチュエータ20が制動力の制御を
行なって、ブレーキ液圧を低減する場合には、ブレーキ
液は、返戻路19を介して、ブレーキマスタシリンダ1
4に設けられたリザーバ15に戻される。
【0025】<液圧装置の構造と働き>次に、一体型倍
力装置13の構造と働きおよびブレーキペダル12と一
体型倍力装置13との間に介装された液圧装置16の構
造と働きについて説明する。図2は、公知の一体型倍力
装置13の構造と本実施例に特徴的な液圧装置16の構
造を示す説明図である。ブレーキペダル12の動きは液
圧装置16を介して一体型倍力装置13に伝達される。
【0026】液圧装置16は、図示するように、作動油
が満たされた管路を有する装置本体100、この装置本
体100に形成された第1,第2シリンダ101,10
2に嵌入されブレーキペダル12の動きを伝える第1,
第2入力ロッド111,112、この2つの入力ロッド
111,112の動きを検出するストロークセンサ11
5、後述する第1,第2電磁弁121,122、作動油
を貯留するリザーバ118などから構成されている。な
お、この第2シリンダ102は、装置本体100を貫通
するものであり、その中央にはピストン125が挿入さ
れている。更に、第2入力ロッド112が嵌入されてい
る側とは反対の側には、後述する一体型倍力装置13の
入力ロッドであるオペレーティングロッド201が嵌入
されている。即ち、第2シリンダ102に対して、第2
入力ロッド112,ピストン125,オペレーティング
ロッド201は、それぞれ第1シリンダ室127,第2
シリンダ室128を挟んで、同軸に嵌入されている。
【0027】装置本体100に形成された第1,第2シ
リンダ101,102以外の管路について説明する。第
1シリンダ101,第2シリンダ102およぴリザーバ
118は、2系統の管路により連結されている。一系統
の管路は、第1入力ロッド111が、図示右側に移動し
た初期位置において、第1シリンダ101と第2シリン
ダ102の第1シリンダ室127とを連通する管路13
1およびこの管路131に対応して第1シリンダ室12
7とリザーバ118とを連通する管路132である。も
う一系統の管路は、第1シリンダ101の先端から第2
シリンダ室128に至る第1管路141および第2シリ
ンダ室128からリザーバ118に至る第2管路142
である。第1管路141は、途中で二つの管路に分岐
し、それぞれ第1電磁弁121および第1チェック弁1
51を介して合流している。同様に、第2管路142
も、途中で二つの管路に分岐し、それぞれ第2電磁弁1
22および第2チェック弁152を介して合流してい
る。第1チェック弁151は、第1シリンダ101側か
ら第2シリンダ室128方向への作動油の流れを防止
し、その反対側にのみ作動油を流す。第2チェック弁1
52は、第2シリンダ室128側からリザーバ118方
向への作動油の流れを防止し、その反対側にのみ作動油
を流す。なお、ストロークセンサ115は、装置本体1
00に埋め込まれたピックアップコイル161と、この
コイル161の内部を、第1,第2入力ロッド111,
112の動きに合わせて移動する磁性体162とから構
成されている。
【0028】この液圧装置16は、制動力の制御が特に
行なわれていない状態(初期状態)では、第1電磁弁1
21は、オープンポジションとされ、第2電磁弁122
は、クローズポジションとされている。この状態でブレ
ーキペダル12が踏み込まれて、第1入力ロッド111
が、一体型倍力装置13側(図示左方向)に移動する
と、第1シリンダ101内の作動油は圧送され、第1電
磁弁121を介して第2シリンダ室128に至る。第2
電磁弁122はこのとき閉じており、第2チェック弁1
52を介しても作動油はリザーバ118側に流れること
はできないから、第2シリンダ室128内に流れ込んだ
作動油は、オペレーティングロッド201を、図示左側
に押し込むことになる。このオペレーティングロッド2
01の動きにより、一体型倍力装置13が動作するが、
その動きについては、後述する。なお、ストロークセン
サ115により、第1,第2入力ロッド111,112
の動きは検出される。
【0029】ブレーキペダル12の踏み込みを戻した場
合には、第2シリンダ室128内の作動油は、第1電磁
弁121もしくは第1チェック弁151を介して第1シ
リンダ101側に戻り、オペレーティングロッド201
も、図示右側の初期位置に戻る。第1,第2電磁弁12
1,122の開閉を伴う制動力制御の様子については、
後で詳しく説明する。なお、第2入力ロッド112とオ
ペレーティングロッド201との間にピストン125が
介装されているのは、液圧装置16の故障時、例えば第
2電磁弁122が開状態のまま動作しなくなると言った
故障を起こしたとき(いわゆる失陥時)に、ブレーキペ
ダル12を最大限踏み込むことで、その動作を直接オペ
レーティングロッド201に伝達して、制動力を得よう
とするためである。
【0030】<一体型倍力装置13の構造と働き>次
に、一体型倍力装置13について説明する。図示するよ
うに、この一体型倍力装置13は、液圧装置16にリン
クされたオペレーティングロッド201により動作する
ものであり、加圧部材としてのパワーピストン210お
よびダイアフラム212、およびこのオペレーティング
ロッド201とパワーピストン210の動きにより開閉
する弁機構202を中心として構成されている。ダイア
フラム212は、パワーピストン210の両側を気密に
分かち、ダイアフラム212の両側には、定圧室221
と変圧室222とが形成される。外ケース213とパワ
ーピストン210とにより形成された定圧室221に
は、図示しないエンジンの吸気管に設けられたサージタ
ンク11の負圧が、外ケース213に設けられた負圧導
入口224から導入されている。また、定圧室221に
は、パワーピストン210を、オペレーティングロッド
201側に付勢するスプリング214が配設されてい
る。従って、パワーピストン210は、ダイアフラム2
12両側の圧力差およびスプリング214の付勢力のバ
ランスにより動作し、定圧室221と変圧室222の圧
力差が大きい場合には、オペレーティングロッド201
に対する踏力より強い力を受け、これをマスタシリンダ
14の作動用ロッドであるプッシュロッド216に伝達
する。
【0031】パワーピストン210の定圧室221側中
心部には、ゴム製のリアクションディスク217が配設
されており、緩制動時に、ブレーキマスタシリンダ14
側からプッシュロッド216を介して受ける反力を、パ
ワーピストン210および弁機構202に分散して伝達
する働きをなしている。緩制動時にこの反力が分散され
ることなく伝達されると、弁機構202が開閉を繰り返
すという現象を生じるが、リアクションディスク217
が反力を分散することにより、弁機構の開閉の繰り返し
が防止され、弁機構202の開閉状態は安定される。な
お、パワーピストン210には、このリアクションディ
スク217の内側に圧力室223や、弁機構202の開
閉により定圧室221と変圧室222とを連通する通気
孔226が形成されている。これらの機能については、
後述する
【0032】パワーピストン210の変圧室222側の
中心部は、円筒状に延出されて、その内部に弁機構20
2を収納する弁機構収納部206を形成している。弁機
構収納部206の内部における弁機構202の収納の様
子については後述するが、弁機構202が収納されたの
ち、エアフィルタ208が収納され、弁機構202に対
して、エアフィルタ208を介して大気を導入可能とし
ている。なお、弁機構収納部206の外周は、変圧室2
22を形成する外ケース209に対して気密かつ摺動可
能とされている。従って、ダイアフラム212両側の圧
力差によりパワーピストン210が、弁機構収納部20
6ごと移動しても、変圧室222の気密は保持される。
【0033】変圧室222の圧力は、弁機構202によ
り制御される。この弁機構202は、オペレーティング
ロッド201の先端に嵌合したバルブプランジャ20
3、このバルブプランジャ203の動きをパワーピスト
ン210に対して規制するストップキー205、バルブ
プランジャ203の端面と共に弁を形成するポペット2
30、このポペット230をバルブプランジャ203側
に付勢するポペットリターンスプリング232、オペレ
ーティングロッド201をブレーキペダル12側に付勢
するバルブリターンスプリング234から構成されてい
る。
【0034】この弁機構202の動作について簡単に説
明する。図3(A)に示すように、ブレーキペダル12
が踏み込まれておらずオペレーティングロッド201
に、作動油を介した踏力が加わっていない状態では、バ
ルブプランジャ203およびオペレーティングロッド2
01は、バルブリターンスプリング234により、図示
右側に押圧され、ポペット230とバルブプランジャ2
03とは当接した状態となっており、かつポペット23
0はパワーピストン210の座面からは離間している。
このオペレーティングロッド201およびバルブプラン
ジャ203の位置を、初期位置と呼ぶ。
【0035】ポペット230がパワーピストン210の
座面に対して離間・着座することにより開状態または閉
状態となる弁を、バキュームバルブと呼ぶ。ポペット2
30がパワーピストン210の座面から離間すると、通
気孔226を介して、定圧室221の負圧が変圧室22
2にも導かれるからである。このとき、定圧室221と
変圧室222の圧力は、共に負圧となり、パワーピスト
ン210の両側に圧力差はなく、パワーピストン210
は、スプリング214により、図示右側(初期位置)に
押された状態となっている。また、ポペット230とバ
ルブプランジャ203とが、離間・着座することにより
開または閉状態となる弁を、エアバルブと呼ぶ。ポペッ
ト230とバルブプランジャ203とが離間すると、エ
アフィルタ208を介して大気が変圧室222側に導か
れるからである。
【0036】この状態から、ブレーキペダル12が徐々
に踏み込まれると、オペレーティングロッド201は、
初期位置から図示左側に移動し、これに連れてポペット
230とバルブプランジャ203は当接したまま移動す
る。この結果、ポペット230はパワーピストン210
の座面に着座し、バキュームバルブが閉じる。この状態
を図3(B)に示す。更にブレーキペダル12を踏み込
むと、オペレーティングロッド201は、更に図示左側
に移動し、これに連れてバルブプランジャ203のみが
左側に移動し、ポペット230から離間する。即ち、エ
アバルブが開状態となり、大気が変圧室222に導かれ
るのである。この状態を図3(C)に示す。この結果、
ダイアフラム212を挟んで、定圧室221は負圧に、
変圧室222は大気圧が導かれることにより、パワーピ
ストン210は大きな差圧を受けて、プッシュロッド2
16を強い力で押し込むことになる。ブレーキペダル1
2が一杯に踏み込まれたときは、エアバルブは開いた状
態のままとなるため、この差圧による力とブレーキペダ
ル12の踏み込みに基づくオペレーティングロッド20
1の押圧力とが、プッシュロッド216に加わり、ブレ
ーキマスタシリンダ14では、最大のブレーキ液圧が発
生する。なお、このとき、ブレーキペダル12の踏み込
みに起因して作動油により押圧されているオペレーティ
ングロッド201の押圧力は、ストップキー205を介
してパワーピストン210に伝達されている。
【0037】ブレーキペダル12が一杯まで踏み込まれ
ず途中で止められた場合には、エアバルブは、図3
(C)に示したように一旦開き、変圧室222に大気圧
が導かれることにより、パワーピストン210は、図示
左側に移動する。この結果、オペレーティングロッド2
01およびバルブプランジャ203に対してポペット2
30も、図示左側に移動し、ポペット230がバルブプ
ランジャ203に当接して、エアバルブを閉じる。変圧
室222の圧力が高くなりすぎて、バルブプランジャ2
03に対してパワーピストン210が左に動きすぎれ
ば、ポペット230はパワーピストン210の座面から
離間してバキュームバルブが開き、変圧室222の圧力
を低下させる。他方バルブプランジャ203に対してパ
ワーピストン210が右に動き過ぎれば、ポペット23
0はバルブプランジャ203から離間してエアバルブが
開き、変圧室222の圧力を上昇させる。即ち、変圧室
222の圧力がブレーキペダル12の踏み方に対応した
ちょうど良い圧力となったところで、バキュームバルブ
およびエアバルブが共に閉じた状態となり、変圧室22
2の圧力は保持される。この結果、パワーピストン21
0は、ブレーキペダル12の踏み込み量に対応した力
で、プッシュロッド216を押圧することになり、ブレ
ーキマスタシリンダ14が発生するブレーキ液圧は、ブ
レーキペダル12の踏力より強く、かつブレーキペダル
12の踏み込み量に対応した圧力となる。
【0038】一体型倍力装置13の通常の動作は以上の
通りであるが、この一体型倍力装置13は、上述したよ
うに、リアクションディスク217とバルブプランジャ
203との間に、圧力室223が設けられている。この
圧力室223は、ダイアフラム225により定圧室22
1と区画されており、圧力室223の圧力を制御するた
めに次の構成を備える。圧力室223は、変圧室222
の外ケース209に設けられた圧力導入口246と、通
路245により接続されている。この圧力導入口246
には、管路247を介して、第3電磁弁243および第
4電磁弁244が連結されている。この第3電磁弁24
3は、サージタンク11と管路247との間の連通を開
閉する位置に設けられている。また、第4電磁弁244
は、この圧力導入口246に大気を導入可能に配設され
ている。制動力の制御を特に行なわない状態(初期状
態)では、第3電磁弁243は開状態、第4電磁弁24
4は閉状態とされている。従って、初期状態では、圧力
室223は負圧になっており、圧力室223内のダイア
フラム225の両側に圧力差のない状態となっている。
この状態では、ダイアフラム225は、図示右側に押圧
された位置に存在する。
【0039】<ABSアクチュエータの構成と働き>次
に、ABSアクチュエータ20の構成とこれを中心とし
たブレーキ液圧の伝達の仕組みについて説明する。図4
は、ABSアクチュエータ20を中心としてアンチロッ
クブレーキシステム10の概略を例示したブロック図で
ある。図示するように、ABSアクチュエータ20は、
各車輪72〜78に設置された各ホイールシリンダ92
〜98用の4つの保持ソレノイドバルブ22〜28と、
同じく4つの減圧ソレノイドバルブ32〜38とを備え
る。
【0040】各保持ソレノイドバルブ22〜28は、パ
イプ18によりブレーキマスタシリンダ14に接続され
ている。また、各保持ソレノイドバルブ22〜28は、
パイプ62〜68によりホイールシリンダ92〜98に
接続されている。各減圧ソレノイドバルブ32〜38
は、パイプ62〜68の分岐管62A〜68Aとパイプ
62〜68とによりホイールシリンダ92〜98に接続
されている。また、各減圧ソレノイドバルブ32〜38
は、分岐管43A,43B,53A,53Bを介して、
最終的には一つの返戻管19に接続されている。返戻管
19は、ブレーキ液をブレーキマスタシリンダ14のリ
ザーバ15に返戻する管路である。即ち、このアンチロ
ックブレーキシステム10では、加圧用のポンプは一切
設置されていない。なお、各保持ソレノイドバルブ22
〜28、各減圧ソレノイドバルブ32〜38は、ABS
コンピュータ300に接続されている。
【0041】図5は保持ソレノイドバルブ22のオフ時
の状態を示す説明図、図6は保持ソレノイドバルブ22
のオン時の状態を示す説明図である。保持ソレノイドバ
ルブ22は、パイプ18とパイプ62との間に介装され
た開閉弁であって、図5および図6に示すように、パイ
プ18へのポート22Eの開閉を行なうプランジャ22
Aと、プランジャ22Aを開方向に付勢するスプリング
22Bと、プランジャ22Aの開閉方向を軸としてプラ
ンジャ22Aを芯とするよう形成されたコイル22Cを
備える。また、ポート22Eのパイプ18側には、ポー
ト22Eにおけるブレーキ液の流量を調節するオリフィ
ス22Fが形成されている。保持ソレノイドバルブ22
は、ABSコンピュータ300に接続されており(図4
参照)、ABSコンピュータ300からの駆動信号に基
づいてコイル22Cへの通電がオン・オフされる。
【0042】保持ソレノイドバルブ22は、コイル22
Cに通電していないとき(オフ時)には、図5に示すよ
うに、プランジャ22Aがスプリング22Bによりポー
ト22Eと反対側に付勢され、ポート22Eが開いた状
態となる。この状態でブレーキペダル12を踏み込む
と、ブレーキマスタシリンダ14のブレーキ液は、パイ
プ18,保持ソレノイドバルブ22,パイプ62,ホイ
ールシリンダ92の経路でホイールシリンダ92に導か
れ、ブレーキマスタシリンダ14のブレーキ液圧がその
ままホイールシリンダ92に伝わる。コイル22Cに通
電しているとき(オン時)には、保持ソレノイドバルブ
22は、図6に示すように、プランジャ22Aがコイル
22Cによる電磁誘導によりスプリング22Bに抗して
ポート22E側に吸引され、ポート22Eが閉じた状態
となる。この状態では、ブレーキペダル12を踏み込ん
でも、ブレーキマスタシリンダ14のブレーキ液圧はホ
イールシリンダ92に伝わらない。しかし、ブレーキペ
ダル12が解放されたことをストロークセンサ115が
検出すると、保持ソレノイドバルブ22をオフするか
ら、ブレーキマスタシリンダ14側のブレーキ液圧より
ホイールシリンダ92側の方が高い場合には、ホイール
シリンダ92のブレーキ液圧は減圧される。なお、保持
ソレノイドバルブ24〜28も保持ソレノイドバルブ2
2と同一の構造をしており、同様に動作する。
【0043】図7は減圧ソレノイドバルブ32のオフ時
の状態を示す説明図、図8は減圧ソレノイドバルブ32
のオン時の状態を示す説明図である。減圧ソレノイドバ
ルブ32は、パイプ62の分岐管62Aと返戻管19と
の間に介装された開閉弁であって、図7および図8に示
すように、分岐管43Aへのポート32Eの開閉を行な
うプランジャ32Aと、プランジャ32Aを閉方向に付
勢するスプリング32Bと、プランジャ32Aの開閉方
向を軸としプランジャ32Aを芯とするよう形成された
コイル32Cとを備える。また、ポート32Eの分岐管
43A側には、ポート32Eにおけるブレーキ液の流量
を調節するオリフィス32Fが形成されている。減圧ソ
レノイドバルブ32は、ABSコンピュータ300に接
続されており(図4参照)、ABSコンピュータ300
からの信号に基づいてコイル32Cへの通電がオン・オ
フされる。
【0044】減圧ソレノイドバルブ32は、コイル32
Cに通電していないとき(オフ時)には、図7に示すよ
うに、プランジャ32Aがスプリング32Bによりポー
ト32E側に付勢され、ポート32Eが閉じた状態とな
る。コイル32Cに通電しているとき(オン時)には、
減圧ソレノイドバルブ32は、図8に示すように、プラ
ンジャ32Aがコイル32Cによる電磁誘導によってス
プリング32Bに抗してポート32Eと反対側に吸引さ
れ、ポート32Eが開いた状態となる。この状態では、
ホイールシリンダ92のブレーキ液が、パイプ62,分
岐管62A,減圧ソレノイドバルブ32,分岐管43
A,チェックバルブ46,返戻管19の経路でリザーバ
15に導かれ、ホイールシリンダ92のブレーキ液が減
圧される。なお、減圧ソレノイドバルブ34〜38も減
圧ソレノイドバルブ32と同一の構造をしており、同様
に動作する。
【0045】<ABSコンピュータの構成と処理>AB
Sコンピュータ300は、図9に示すように、マイクロ
コンピュータを中心とする論理演算回路として構成さ
れ、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って
ABSアクチュエータ20を制御するための各種演算処
理を実行するCPU302、CPU302で各種演算処
理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等
が予め格納されたROM304、同じくCPU302で
各種演算処理を実行するのに必要な各種データが一時的
に読み書きされるRAM306、各車輪72〜78に設
置された各スピードセンサ82〜88からの検出信号お
よびストロークセンサ115からの検出信号を入力する
入力インタフェース回路308、CPU302での演算
結果に応じて各保持ソレノイドバルブ22〜28,各減
圧ソレノイドバルブ32〜38,第1ないし第3電磁弁
121,122,243,244等に駆動信号を出力す
る出力インタフェース回路310を備える。また、AB
Sコンピュータ300は、図示しないバッテリに接続さ
れた電源回路312を備え、各部に必要な電圧を供給す
る構成となっている。
【0046】このABSコンピュータ300が実行する
アンチロックブレーキ制御処理について説明する。図1
0はアンチロックブレーキシステム10の動作を示すフ
ローチャートである。ABSコンピュータ300は、ス
トロークセンサ115により、ブレーキペダル12が踏
み込まれたことを検出すると、図10に示すアンチロッ
クブレーキ処理ルーチンを起動する。このルーチンを起
動すると、ABSコンピュータ300は、まず各車輪に
設けられたスピードセンサ82〜88からの検出信号を
読み込み(ステップS400)、この検出信号に基づい
て車体速度を推定し、車体速度に対する車体速度と車輪
速度との差の比率(スリップ率)を演算する(ステップ
S410)。次に、このスリップ率に基づいて、制動力
の制御をどのように行なうかを判断する。スリップ率が
所定の範囲内(例えば5〜20%)となっていれば、車
輪はロックしていないと判断してブレーキ液圧をそのま
ま保持し(ステップS430)、他方スリップ率が所定
範囲の上限値を越えていれば、スリップ率を低減するよ
うブレーキ液圧を低減し車輪のロックを解除して操舵性
を回復する処理を行なう(ステップS440)。また、
車輪のスリップ率が所定範囲の下限値を下回るようにな
ると、ブレーキ液圧を増加して制動力を高める処理を行
なう(ステップS450)。ABSコンピュータ300
は、ストロークセンサ115がブレーキペダル12が踏
み込まれていることを検出している限り、上記の処理を
繰り返す。
【0047】なお、以上の説明では、各車輪の区別をつ
けず一括して扱ったが、実際には、ABSアクチュエー
タ20の各保持ソレノイドバルブ22〜28,各減圧ソ
レノイドバルブ32〜38および第1ないし第4電磁弁
121,122,243,244を開閉して、各ホイー
ルシリンダ92〜98のブレーキ液の圧力を個別に制御
する。上記処理の結果、アンチロックブレーキシステム
10は、急ブレーキが踏まれ、例えば、車輪加速度が所
定値以下(車輪減速度の絶対値が所定値以上)でスリッ
プ率の変化が所定値以上変化したとき、車輪と路面との
摩擦力による制動力とコーナリングフォースによる操舵
性とが両立するスリップ率の範囲内となるよう各ホイー
ルシリンダ92〜98のブレーキ液圧を増減または保持
する制御を行なうのである。
【0048】アンチロックブレーキシステム10が行な
うブレーキ液圧の増減および保持の実際について、各装
置の動作に即して詳しく説明する。各車輪のブレーキ液
圧は独立に制御されるので、ここでは右前輪72につい
てのブレーキ液圧を例にとって説明する。他の車輪のブ
レーキ液圧の制御も原則として同じである。
【0049】(1)制動開始時の動作 ブレーキペダル12が踏み込まれる以前の状態では、保
持ソレノイドバルブ22と減圧ソレノイドバルブ32は
共にオフとされている。すなわち保持ソレノイドバルブ
22のポート22Eは開き、減圧ソレノイドバルブ32
のポート32Eは閉じた状態となっている。また、液圧
装置16の第1電磁弁121は開状態に、第2電磁弁1
22は閉状態に、一体型倍力装置13の第3電磁弁24
3は開状態に、第4電磁弁244は閉状態に、それぞれ
制御されている。したがって、ブレーキペダル12が踏
み込まれると、液圧装置16の第1入力ロッド111の
動きにより作動油が第2シリンダ室128に送り込ま
れ、オペレーティングロッド201は、図2左側に移動
する。この結果、図3(C)に示したように、エアバル
ブが開き、大気が変圧室222に流れ込むことによりパ
ワーピストン210の両側には大きな圧力差を生じる。
この圧力差により、プッシュロッド216が強い力で押
圧され、ブレーキマスタシリンダ14はブレーキ液を昇
圧する。このブレーキ液圧は、パイプ18,保持ソレノ
イドバルブ22,パイプ62,ホイールシリンダ92の
経路でホイールシリンダ92に伝えられる。このとき、
減圧ソレノイドバルブ32のポート32Eが閉じている
から、ブレーキ液が、リザーバ15に排出されることは
ない。従って、一体型倍力装置13によりブレーキマス
タシリンダ14が発生した高いブレーキ液圧によりホイ
ールシリンダ92は動作し、車輪72に強くブレーキを
かけることになる。
【0050】(2)最初の減圧 上述した制動が過剰にかけられた場合、車輪72の回転
数は急激に低下する。その結果、車輪72のスリップ率
が所定範囲の上限値を超えると、ABSコンピュータ3
00は、車輪のロックを解除すべく、まず保持ソレノイ
ドバルブ22のポート22Eを閉じ、減圧ソレノイドバ
ルブ32のポート32Eを開く制御を行なう。この結
果、ホイールシリンダ92のブレーキ液は、減圧ソレノ
イドバルブ32および返戻管19を介して、リザーバ1
5に戻され、ホイールシリンダ92内のブレーキ液圧は
低下し、車輪のロックも解除される。ブレーキ液圧が低
下することにより、車輪のスリップ率が所定範囲に入る
と、減圧ソレノイドバルブ32を閉じ、ブレーキ液圧を
保持する処理を行なう。なお、この状態で更にブレーキ
ペダル12の踏み増しが行なわれれば、保持ソレノイド
バルブ22を開いて、ブレーキマスタシリンダ14によ
り加圧されたブレーキ液圧をホイールシリンダ92に伝
達する処理が行なわれる。
【0051】(3)増圧の準備 ABS制御に入り、減圧あるいは保持の状態のとき、即
ち、保持ソレノイドバルブ22が閉じられた状態となる
と、ブレーキ液圧の増圧に備えて、ABSコンピュータ
300は、次の処理を行なう。まず、ABSコンピュー
タ300は、液圧装置16の第1電磁弁121を閉じ、
第2電磁弁122を開く処理を行なう。第1電磁弁12
1が閉じ、第2電磁弁122が開くことにより、第2シ
リンダ室128内の作動油はリザーバ118側に排出さ
れ、オペレーティングロッド201は初期位置に戻る。
この状態で、次に第3電磁弁243を閉じ、第4電磁弁
244を開く。この結果、大気圧がパワーピストン21
0の圧力室223に導かれ、圧力室223内のダイアフ
ラム225が圧力を受けてプッシュロッド216側に移
動する。ダイアフラム225の動きに連動してバルブプ
ランジャ203とポペット230とが、図2左側に移動
し、バキュームバルブを閉じ、エアバルブを開く。この
結果、変圧室222には大気圧が導入され、パワーピス
トン210の両側には大きな圧力差が発生し、パワーピ
ストン210は、プッシュロッド216を強い力で押圧
する。この状態では、ブレーキペダル12の踏力は伝達
されておらず、圧力差の力のみでパワーピストン210
は押圧されている。更に高い増圧が必要な場合のみ、第
2電磁弁122を閉じ、第1電磁弁121を開いて、ブ
レーキペダル12の踏力を、パワーピストン210に加
える。これらの結果、ブレーキマスタシリンダ14は高
いブレーキ液圧を発生する。このブレーキ液圧は、保持
ソレノイドバルブ22が閉じられていることから、その
まま保持される。
【0052】(4)制動力の増減 以上の処理により増圧の準備がされた後、車輪72のス
リップ率が低下し所定の範囲の下限値を下回るようにな
ると、ABSコンピュータ300は、保持ソレノイドバ
ルブ22を開く。この結果、ブレーキマスタシリンダ1
4内の高いブレーキ液圧によりホイールシリンダ92内
の圧力も増加し、車輪72に対する制動力も増加する。
他方、スリップ率が所定範囲の上限値以上となれば、A
BSコンピュータ300は、保持ソレノイドバルブ22
を閉じ、減圧ソレノイドバルブ32を開く。この結果、
ホイールシリンダ92内のブレーキ液は、リザーバ15
に返戻され、制動力は低減する。なお、制動力の低減を
行なった後は、保持ソレノイドバルブ22,減圧ソレノ
イドバルブ32を共に閉じ、その制動力を維持したま
ま、上述した増圧の準備を再度行なう。この結果、ブレ
ーキ液圧の増加・低減を繰り返すことが可能となり、必
要な限り、制動力の制御を継続することができる。
【0053】(5)制動の終了 ブレーキペダル12を緩めると、ABSコンピュータ3
00は、これをストロークセンサ115により検出し、
直ちに第4電磁弁244を閉状態に、第3電磁弁243
を開状態に切り替える。同時に保持ソレノイドバルブ2
2をオフ(開状態)にする。電磁弁の開閉を切り替える
と、パワーピストン210内の圧力室223の圧力は負
圧となり、ダイアフラム225の両側の圧力差はなくな
り、バルブプランジャ203は初期位置に戻される。こ
の結果、図3(A)に示したように、弁機構202のバ
キュームバルブが開き、エアバルブが閉じ、通気孔22
6を介して、変圧室222に負圧が導入される。従っ
て、パワーピストン210の両側の圧力差は失われ、パ
ワーピストン210も初期位置に戻り、ブレーキマスタ
シリンダ14のブレーキ液圧も、非制動時の低い圧力に
戻る。従って、ホイールシリンダ92側の圧力よりブレ
ーキマスタシリンダ14側の圧力の方が低くなり、ホイ
ールシリンダ92のブレーキ液は、パイプ62,保持ソ
レノイドバルブ22,パイプ18,ブレーキマスタシリ
ンダ14の経路でブレーキマスタシリンダ14に戻され
る。こうしてホイールシリンダ92での制動力は消失
し、制動は終了する。
【0054】以上説明した本実施例によれば、車輌の制
動時に、スリップ率を適正に保つためにブレーキ液圧を
増減するにもかかわらず、一旦低減したブレーキ液圧を
増加するのに一体型倍力装置13を利用しており、増圧
のためのポンプを設ける必要がない。従って、増圧用の
ポンプ、これを駆動するモータ、モータ駆動用リレーな
どの部品を省略することができ、アンチロックブレーキ
システムの小型化、部品点数の低減、組み付け工数の低
減などを図ることができる。更に、増圧用のポンプやモ
ータからの振動・騒音の発生もない。
【0055】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。第2実施例のアンチブレーキシステム510は、
第1実施例と比べると、主要部は同一なので、同一の部
材には同一の符号を付し、異なる部品にのみ新たな番号
を付して説明する。第2実施例のアンチロックブレーキ
システム510は、図11に示すように、一体型倍力装
置513に関しては第1実施例の第3,第4電磁弁24
3,244およびこれらの電磁弁により圧力が制御され
ていた圧力室223がなく、更にオペレーティングロッ
ド601の形状および弁機構602との関係が異なって
いる。
【0056】この実施例では、第1実施例と比べると、
オペレーティングロッド201が、補助ロッド601A
とオペレーティングロッド601Bとに分割されてい
る。補助ロッド601Aは、液圧装置516の装置本体
700の第2シリンダ702に摺動自在に嵌入されてい
る。補助ロッド601Aには、その側面から先端に至る
貫通孔610が設けられている。装置本体700の第2
シリンダ702は、一部に大径部703が形成されてお
り、この大径部703と補助ロッド601Aとがなす連
通路705は第3管路743を介して、第1シリンダ7
01に連結されている。この第3管路743には、加圧
電磁弁710が介装されている。加圧電磁弁710は、
第1実施例の第3電磁弁243に代えて、ABSコンピ
ュータ300に接続され、その制御を受ける。
【0057】補助ロッド601Aの先端は、オペレーテ
ィングロッド601Bの端部に形成された嵌合孔に摺動
自在に嵌入されている。オペレーティングロッド601
Bの嵌合孔の内周には、シール用のOリングが配置され
ており、補助ロッド601Aとオペレーティングロッド
601Bの嵌合孔とは、補助ロッド601Aの先端に開
いた貫通孔610から作動油を、液密に保持する。初期
状態では、補助ロッド601Aの先端はオペレーティン
グロッド601Bの嵌合孔の底部に密着しているから、
補助ロッド601Aが前進・後退すると、これに連動し
て、オペレーティングロッド601Bも前進・後退す
る。この場合の弁機構602の動作は、第1実施例の弁
機構202と何等変わるところはない。他方、補助ロッ
ド601Aが停止していても、加圧電磁弁710が開
き、かつ第1シリンダ701内の作動油が所定圧力以上
に加圧されていると、この作動油の圧力は、シリンダ6
09に伝えられ、オペレーティングロッド601Bをパ
ワーピストン210側に押圧・移動する。従って、加圧
電磁弁710を開くことで、あたかもブレーキペダル1
2の踏み込みにより、オペレーティングロッド601B
がパワーピストン210側に押圧されたのと同じように
プッシュロッド216が押圧され、ブレーキマスタシリ
ンダ14が高いブレーキ液圧を発生するのである。ブレ
ーキペダル12が踏み込まれた場合には、第1入力ロッ
ド111が第1シリンダ701内に押し込まれて作動油
が加圧され、これが第1電磁弁121を介して第2シリ
ンダ室128に流れ込み、補助ロッド601Aを、図示
左側に移動する。第1電磁弁121を閉じて加圧電磁弁
710を開いた場合には、補助ロッド601Aは何等移
動しないが、オペレーティングロッド601Bは、補助
ロッド601Aにより押圧されたのと同様に移動する。
【0058】次に、第2実施例における制動力制御の仕
組みについて説明する。制動力の制御は第1実施例と同
様、 (1)制動開始時の動作 (2)最初の減圧 (3)増圧の準備 (4)制動力の増減 (5)制動の終了 の態様をとるが、第2実施例が第1実施例と異なるの
は、主に(3)増圧の準備および(4)制動力の増減の
処理である。そこで、この点を中心に、制動力の制御に
ついて説明する。なお、(1)制動開始時の動作では、
上述したように、加圧電磁弁710は閉じており、第1
実施例と同様、ブレーキペダル12の踏み込みによりブ
レーキ液圧が発生し、制動が開始される。
【0059】(3)第2実施例における増圧の準備 第1実施例と同様、ABS制御に入り、減圧あるいは保
持状態のとき、すなわち保持ソレノイドバルブ22が閉
じられた状態となると、ブレーキ液圧の増圧に備えて、
ABSコンピュータ300は、次の処理を行なう。ま
ず、ABSコンピュータ300は、液圧装置16の第1
電磁弁121を閉じ、第2電磁弁122を開く処理を行
なう。このとき、加圧電磁弁710も閉じられている。
第1電磁弁121が閉じ、第2電磁弁122が開くこと
により、第2シリンダ室128内の作動油はリザーバ1
18側に排出され、補助ロッド601Aおよびオペレー
ティングロッド601Bは初期位置に戻る。この状態
で、次に加圧電磁弁710を開く。このとき、第1シリ
ンダ701には、ブレーキペダル12の踏み込みによる
圧力が残っているから、第1シリンダ701内の作動油
は、加圧電磁弁710を介して補助ロッド601A外周
の連通路705に流れ込み、更に補助ロッド601Aの
貫通孔610を介して、補助ロッド601Aの先端に至
り、オペレーティングロッド601Bの嵌合孔に流れ出
る。作動油は、その圧力でオペレーティングロッド60
1Bをパワーピストン620側(図示左側)に押圧す
る。この結果、バルブプランジャ203とポペット23
0とが、パワーピストン620側に移動し、バキューム
バルブを閉じ、エアバルブを開く。この結果、変圧室2
22には大気圧が導入され、パワーピストン620の両
側には大きな圧力差が発生し、パワーピストン620
は、プッシュロッド216を強い力で押圧する。この状
態では、ブレーキペダル12の踏力は伝達されておら
ず、圧力差の力のみでパワーピストン210は押圧され
ている。更に高い増圧が必要な場合のみ、第2電磁弁1
22を閉じ、第1電磁弁121を開いて、ブレーキペダ
ル12の踏力を、パワーピストン210に加える。これ
らの結果、ブレーキマスタシリンダ14は高いブレーキ
液圧を発生する。このブレーキ液圧は、保持ソレノイド
バルブ22が閉じられていることから、そのまま保持さ
れる。
【0060】(4)制動力の増減 以上の処理により増圧の準備がされた後、車輪72のス
リップ率が低下し所定の範囲の下限値を下回るようにな
ると、ABSコンピュータ300は、第1実施例同様、
保持ソレノイドバルブ22を開く。この結果、ブレーキ
マスタシリンダ14内の高いブレーキ液圧によりホイー
ルシリンダ92内の圧力も増加し、車輪72に対する制
動力も増加する。他方、スリップ率が所定範囲の上限値
以上となれば、ABSコンピュータ300は、保持ソレ
ノイドバルブ22を閉じ、減圧ソレノイドバルブ32を
開く。この結果、ホイールシリンダ92内のブレーキ液
は、リザーバ15に返戻され、制動力は低減する。な
お、制動力の低減を行なった後は、保持ソレノイドバル
ブ22,減圧ソレノイドバルブ32を共に閉じ、その制
動力を維持したまま、上述した増圧の準備を再度行な
う。この場合には、加圧電磁弁710を閉じ、一旦第3
電磁弁123を開き、オペレーティングロッド601B
の嵌合孔に充満した作動油を、リザーバ118側に排出
する。この結果、オペレーティングロッド601Bが初
期位置に戻るので、その後、加圧電磁弁710を開くこ
とにより、補助ロッド601Aの貫通孔610を介して
作動油を送り出し、オペレーティングロッド601Bを
押圧して、上述した加圧動作を再度行なう。こうした処
理により、ブレーキ液圧の増加・低減を繰り返すことが
可能となり、必要な限り、制動力の制御を継続すること
ができる。
【0061】(5)制動の終了 ブレーキペダル12の踏み込みをやめると、ABSコン
ピュータ300は、これをストロークセンサ115によ
り検出し、直ちに加圧電磁弁710を開状態に切り替え
る。同時に、保持ソレノイド弁ROM22を開き、かつ
第1電磁弁121を開く。この結果、作動油は排出さ
れ、オペレーティングロッド601Bと共にバルブプラ
ンジャ203は初期位置に戻される。従って、図3
(A)に示したように、弁機構202のバキュームバル
ブが開き、エアバルブが閉じ、通気孔226を介して、
変圧室222に負圧が導入される。こうしてパワーピス
トン620の両側の圧力差は失われ、パワーピストン6
20も初期位置に戻り、ブレーキマスタシリンダ14の
ブレーキ液圧も、非制動時の低い圧力に戻る。従って、
ホイールシリンダ92側の圧力よりブレーキマスタシリ
ンダ14側の圧力の方が低くなり、ホイールシリンダ9
2のブレーキ液は、ブレーキマスタシリンダ14に戻
る。こうしてホイールシリンダ92での制動力は消失
し、制動は終了する。
【0062】以上説明した第2実施例のアンチロックブ
レーキシステム510によれば、車輌の制動時に、スリ
ップ率を適正に保つためにブレーキ液圧を増減するにも
かかわらず、一旦低減したブレーキ液圧を増加するのに
一体型倍力装置513を利用しており、増圧のためのポ
ンプを設ける必要がない。従って、増圧用のポンプ、こ
れを駆動するモータ、モータ駆動用リレーなどの部品を
省略することができ、アンチロックブレーキシステムの
小型化、部品点数の低減、組み付け工数の低減などを図
ることができる。更に、増圧用のポンプやモータからの
振動・騒音の発生もない。また、第1実施例と比べて、
パワーピストン620の構成を簡略化できるという利点
がある。
【0063】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明はこうした実施例に何等限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々な
る態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記実
施例では、マスタシリンダ14から4系統のブレーキ液
圧が出力できるものとし、各系統のブレーキ液圧を独立
としたが、ブレーキ液圧系を2系統とすることも可能で
ある。この場合には、前輪後輪についてそれぞれ左右の
ホイールシリンダへのブレーキ液圧を共通化することも
可能である。また、前輪右車輪のホイールシリンダへの
管路と後輪左車輪のホイールシリンダへの管路を共通化
し、同時に前輪左車輪のホイールシリンダへの管路と後
輪右車輪のホイールシリンダへの管路を共通化し、いわ
ゆるクロス配管により、ブレーキ液圧系を2系統とする
構成も可能である。また、図12に示すように、マスタ
シリンダMCを3系統とし、後輪左右のホイールシリン
ダに至る管路を共通化して、保持ソレノイドバルブPK
1〜3および減圧ソレノイドバルブPR1〜3の数を計
6個とすることも可能である。この場合には、ソレノイ
ド数を低減できるほか、後輪左右のホイールシリンダに
至る管路が簡略化でき、更にいずれか1系統に液漏れな
どの不具合が生じても、従来より大きな制動力を確保す
ることができるといった利点が得られる。
【0064】また、図13に示すように、ブレーキ液圧
の各系統において、減圧ソレノイドを省略した構成も採
用可能である。第1,第2実施例で説明したように、本
願実施例では、一体型倍力装置を制御してマスタシリン
ダMCが発生するブレーキ液圧自体を減圧可能であるた
め、減圧ソレノイドバルブ自体を省略しても、ホイール
シリンダのブレーキ液圧を減圧することが可能だからで
ある。保持ソレノイドPKのみを備えたこの構成によれ
ば、必要なソレノイドバルブの数を極めて少なくするこ
とができ、加圧用ポンプおよびモータの削減と相俟っ
て、制動力制御装置の構成を極めて簡略化することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例であるアンチロックブレー
キシステム10の概略を例示するブロック図である。
【図2】第1実施例における液圧装置16と一体型倍力
装置13の構造を示す説明図である。
【図3】一体型倍力装置13の動作を説明する説明図で
ある。
【図4】ABSアクチュエータ20を中心にアンチロッ
クブレーキシステム10の概略を例示したブロック図で
ある。
【図5】保持ソレノイドバルブ22のオフ時の状態を示
す説明図である。
【図6】保持ソレノイドバルブ22のオン時の状態を示
す説明図である。
【図7】減圧ソレノイドバルブ32のオフ時の状態を示
す説明図である。
【図8】減圧ソレノイドバルブ32のオン時の状態を示
す説明図である。
【図9】ABSコンピュータ300を中心とした制御系
の電気的な構成を示すブロック図である。
【図10】ABSコンピュータ300が実行するアンチ
ックブレーキ処理ルーチンを示すフローチャートであ
る。
【図11】第2実施例における液圧装置16と一体型倍
力装置13の構造を示す説明図である。
【図12】本発明の他の実施の態様である3系統6ソレ
ノイドバルブの構成を示す説明図である。
【図13】本発明の他の実施の態様である減圧ソレノイ
ドバルブを省略した構成を示す説明図である。
【符号の説明】 10…アンチロックブレーキシステム 11…サージタンク 12…ブレーキペダル 13…一体型倍力装置 14…ブレーキマスタシリンダ 15…リザーバ 16…液圧装置 18…パイプ 19…返戻管 20…ABSアクチュエータ 22〜28…保持ソレノイドバルブ 22A…プランジャ 22B…スプリング 22C…コイル 22E…ポート 22F…オリフィス 32〜38…減圧ソレノイドバルブ 32A…プランジャ 32B…スプリング 32C…コイル 32E…ポート 32F…オリフィス 43A,43B,53A,53B…分岐管 46…チェックバルブ 62〜68…パイプ 62…パイプ 62A〜68A…分岐管 66,68…パイプ 69…プロポーショニングバルブ 72〜78…車輪 82〜88…スピードセンサ 92〜98…ホイールシリンダ 100…装置本体 101…第1シリンダ 102…第2シリンダ 111…第1入力ロッド 112…第2入力ロッド 115…ストロークセンサ 118…リザーバ 121…第1電磁弁 122…第2電磁弁 123…第3電磁弁 125…ピストン 127…第1シリンダ室 128…第2シリンダ室 131,132…管路 141…第1管路 142…第2管路 151…第1チェック弁 152…第2チェック弁 161…ピックアップコイル 162…磁性体 201…オペレーティングロッド 202…弁機構 203…バルブプランジャ 205…ストップキー 206…弁機構収納部 208…エアフィルタ 209…外ケース 210…パワーピストン 212…ダイアフラム 213…外ケース 214…スプリング 216…プッシュロッド 217…リアクションディスク 221…定圧室 222…変圧室 223…圧力室 224…負圧導入口 225…ダイアフラム 226…通気孔 230…ポペット 232…ポペットリターンスプリング 234…バルブリターンスプリング 243…第3電磁弁 244…第4電磁弁 245…通路 246…圧力導入口 247…管路 300…ABSコンピュータ 302…CPU 304…ROM 306…RAM 308…入力インタフェース回路 310…出力インタフェース回路 312…電源回路 510…アンチロックブレーキシステム 513…一体型倍力装置 516…液圧装置 601…オペレーティングロッド 601A…補助ロッド 601B…オペレーティングロッド 602…弁機構 609…シリンダ 610…貫通孔 620…パワーピストン 700…装置本体 701…第1シリンダ 702…第2シリンダ 703…大径部 705…連通路 710…加圧電磁弁 743…第3管路 MC…マスタシリンダ PK1〜3…保持ソレノイドバルブ PR1〜3…減圧ソレノイドバルブ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブレーキペダルの操作状態に基づいてブ
    レーキ液圧を発生し、該ブレーキ液圧をホイールシリン
    ダに導いて、車両の制動力を発生すると共に、車両の走
    行状態に基づいて、該ブレーキ液圧を調整して、車両の
    制動力を制御する制動力制御装置であって、 ブレーキペダルの踏力を受け、他の圧力源を利用して該
    踏力より高い圧力のブレーキ液圧を発生するブレーキ踏
    力倍力手段と、 車輌の走行状態に基づいて制動力を増加する際、前記ブ
    レーキ踏力倍力手段を用いて前記ブレーキ液圧を発生
    し、該ブレーキ液圧を、該増加する制動力発生用の圧力
    源とする増圧制御手段とを備えた制動力制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制動力制御装置であっ
    て、 前記ブレーキ踏力倍力手段は、 移動によってブレーキ液圧を発生する加圧部材と、 前記ブレーキペダルの操作により移動する操作部材と、 該操作部材の移動により、前記加圧部材の両側に圧力差
    を生じさせ該加圧部材を移動する差圧発生手段とを備
    え、 前記増圧制御手段は、 圧力差がある二つの圧力を発生する圧力発生手段と、 前記車輌の走行状態に基づいて制動力を発生する際、前
    記加圧部材をブレーキ液圧発生方向に移動するよう、該
    二つの圧力を前記加圧部材の両側に導く圧力制御手段と
    を備える制動力制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の制動力制御装置であっ
    て、 ブレーキペダルの踏力により発生した作動圧を前記操作
    部材をピストンとするシリンダに導く第1の管路と、 前記第1の管路に設けられ、該管路を開閉する第1の開
    閉手段と、 該第1の管路と前記ブレーキ液圧を発生する手段の低圧
    側とをつなぐ第2の管路に介装され該管路を開閉する第
    2の開閉手段と、 車両の走行状態を検出し、制動時にあってかつ制動力を
    低減すべき条件が成立したと判断したとき、前記第1の
    開閉手段を閉じると共に前記第2の開閉手段を開いて前
    記作動圧を低減し、前記操作部材を前記ブレーキ液圧を
    発生する方向とは逆方向に移動する操作部材後退手段と
    を備えた制動力制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の制動力制御装置であっ
    て、 前記制動力の制御時に、前記ブレーキペダルが更に踏み
    込まれた場合には、前記操作部材後退手段の動作を停止
    して前記第2の開閉手段を閉じると共に前記第1の開閉
    手段を開き、前記ブレーキペダルの踏力に基づく前記作
    動圧により前記操作部材を前記ブレーキ液圧を発生する
    方向に移動する操作部材前進手段を備えた制動力制御装
    置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の制動力制御装置であっ
    て、 前記ブレーキ踏力倍力手段は、 移動によってブレーキ液圧を発生する加圧部材と、 前記ブレーキペダルの操作により移動する操作部材と、 該操作部材の移動により、前記加圧部材の両側に圧力差
    を生じさせ該加圧部材を移動する差圧発生手段とを備
    え、 前記増圧制御手段は、 車両の走行状態に基づいて、制動時にあってかつ制動力
    を上昇すべき条件が成立したと判断したとき、前記操作
    部材の動きによらず前記差圧発生手段を動作させ、該圧
    力差を前記加圧部材の両側に発生させる差圧発生制御手
    段を備えた制動力制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の制動力制御装置であっ
    て、 ブレーキペダルの踏力により発生した作動圧を前記操作
    部材をピストンとするシリンダに導く第1の管路と、 前記第1の管路に設けられ、該管路を開閉する第1の開
    閉手段と、 該第1の管路と前記ブレーキ液圧を発生する手段の低圧
    側とをつなぐ第2の管路に介装され該管路を開閉する第
    2の開閉手段と、 前記第1の管路から前記ブレーキ踏力倍力手段に至る管
    路に設けられ、該管路を開閉する第3の開閉手段と、 車両の走行状態を検出し、制動時にあってかつ制動力を
    低減すべき条件が成立したと判断したとき、前記第1の
    開閉手段を閉じると共に前記第2の開閉手段を開いて前
    記作動圧を低減し、前記操作部材を前記ブレーキ液圧を
    発生する方向とは逆方向に移動する操作部材後退手段と
    を備えると共に、 前記ブレーキ踏力倍力手段には、該第3の開閉手段が開
    いて前記第1の管路の作動圧が導かれたとき、該作動圧
    により開閉し、前記圧力差を前記加圧部材の両側に生じ
    させる弁体を有し、 前記差圧制御手段は、前記操作部材後退手段の動作を停
    止して前記第2の開閉手段を閉じ、前記第1の開閉手段
    を開き、かつ前記第3の開閉手段を開く手段である制動
    力制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の制動力制御装置であっ
    て、 前記第3の開閉手段を介して前記ブレーキ踏力倍力手段
    に至る管路の少なくとも一部は、前記操作部材と前記シ
    リンダとの間に形成された制動力制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれか記載の制動
    力制御装置であって、 前記ブレーキ踏力倍力手段から前記ホイールシリンダに
    至る管路に設けられ、該管路を開閉する第1の電磁弁
    と、 前記ホイールシリンダのブレーキ液を前記ブレーキ踏力
    倍力手段の低圧側に返戻する管路に設けられ、該管路を
    開閉する第2の電磁弁と、 車輌の走行状態に基づいて、制動時にあって前記制動力
    の増減制御が必要と判断したとき、前記第1および第2
    の電磁弁を開閉制御する電磁弁制御手段とを備えた制動
    力制御装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の制動力制御装置であっ
    て、 前記第1,第2の電磁弁は、前記ブレーキ踏力倍力手段
    から左右の前輪に独立設けられたホイールシリンダおよ
    び後輪に設けられたホイールシリンダに至る独立の3つ
    の管路の各々に設けられた制動力制御装置。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の制動力制御装置であ
    って、 前記第1,第2の電磁弁は、前記ブレーキ踏力倍力手段
    から左右の前輪に独立に設けられたホイールシリンダお
    よび左右の後輪に独立に設けられたホイールシリンダに
    至る独立の4つの管路の各々に設けられた制動力制御装
    置。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし7のいずれか記載の制
    動力制御装置であって、 前記ブレーキ踏力倍力手段から前記ホイールシリンダに
    至る管路に設けられ、該管路を開閉する電磁弁と、 車輌の走行状態に基づいて、制動時にあって前記制動力
    の増減制御が必要と判断したとき、前記電磁弁を開き、
    制動力の保持が必要と判断したとき、該電磁弁を閉じる
    電磁弁制御手段とを備えた制動力制御装置。
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