JPH10226696A - Ampアルキルエステル誘導体の製造方法 - Google Patents

Ampアルキルエステル誘導体の製造方法

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JPH10226696A
JPH10226696A JP3473897A JP3473897A JPH10226696A JP H10226696 A JPH10226696 A JP H10226696A JP 3473897 A JP3473897 A JP 3473897A JP 3473897 A JP3473897 A JP 3473897A JP H10226696 A JPH10226696 A JP H10226696A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明はAMPアルキルエステル誘導体
の製造方法およびAMPアルキルエステル誘導体を有効
成分とする分化誘導剤を提供する。 【解決手段】 式I: 【化1】 [式中、Rは炭素数4〜20の直鎖または分枝状アルキ
ルである]で示されるAMPアルキルエステル誘導体の
製造方法およびこのAMPアルキルエステル誘導体を有
効成分とする分化誘導剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はAMPアルキルエ
ステル誘導体の製造方法およびAMPアルキルエステル
誘導体を有効成分とする分化誘導剤に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】AM
P(アデノシン一リン酸)がリン酸二つと結合してATP
(アデノシン三リン酸)となり、細胞内情報伝達系の一端
を担う蛋白質リン酸化反応の基質となったり、AMP自
体が3',5'−環状エステルである、cAMP(cyclic
AMP)になり生体内のホルモン作用の仲介に働くこと
が知られていることから、そのAMPアナログを合成し
ようとした。その際、酵母などに外からAMPをあたえ
ても、細胞内に取り込まれないため、長鎖のアルキル基
を結合させることで外から与えても細胞内に取り込まれ
るようなAMPの誘導体の合成を試みた。
【0003】AMPのリン酸基に疎水性の強い長鎖のア
ルキル基を結合させ、細胞膜透過性を向上させたAMP
誘導体(AMPC8、AMPC12、AMPC16)を合
成した。これらのAMP誘導体について、分化誘導活性
を調べたところ、優れた分化誘導活性を有することが判
明した。本発明はこのような知見に基づいて完成された
ものである。
【0004】AMPの誘導体の合成については、TMP
(チミジン一リン酸)のリン酸基にグルコースの六位炭素
の水酸基が結合したリン酸2−エステル化合物と長鎖の
ハロゲン化アルキルの求核置換反応を用いてリン酸3−
エステル化合物を合成する反応が知られているが、本発
明の製造方法は1段階で反応が終了するという非常に簡
便なものである。
【0005】当初AMP誘導体を合成するためにDCC
(dicyclohexylcarbodiimido)を縮合剤として用いて、A
MPと直鎖高級アルコール(オクタノール、ドデカノー
ル、ヘキサデカノール)を反応させていた。この方法で
合成を行うとAMP誘導体も合成されてくるが、同時に
極性の良く似た副生成物も生じることが判明し、合成は
できるが精製に数段階のステップを必要とし手間が掛か
かる。そこでDCCなどの縮合剤を用いずにAMPのリ
ン酸基にアルキル基を結合できる方法を検索し、ハロゲ
ン化アルキルの反応を用いるようになった。この反応の
利点は、極性の良く似た副生成物が生じにくいことであ
る。
【0006】分化誘導活性については、1988年に、
腫瘍細胞が前骨髄球の段階で分化が停止した急性前骨髄
球性白血病に対して、オールトランスレチノイン酸が緩
解をもたらしたと報告され(Huangら、Blood,72, 567-5
72(1988))、またビタミンD3の生理活性代謝物である1
α,25−ジヒドロキシコレカルシフェノールがヒト・
リンパ腫培養細胞系において分化誘導作用を有するとの
報告がある(Olssonら、Cancer Res.,43(12pt1),5862-5
867(1983))。さらに、マウス骨髄球性白血病の培養細胞
系を用いて、ゲラニル・ファルネソール(3,7,11,1
5,19−ペンタメチル−2,6,10,14,18−エイ
コサペンタエン−1−オール)が分化誘導作用を有する
ことが報告された(石倉ら、Leukemia Res.,8(5),843-8
52(1984))。さらに、ブファリン(Bufalin)がヒト白血病
細胞の培養細胞系であるHL60、U937およびML1において
分化誘導作用を示したことが報告された(Zhangら、Bioc
hem.Biopys.Res.Commun.,178(2),686-693(1991)および
Cancer Res.52(17),4634-4641(1992))。なおまた、上
記以外にも分化誘導作用を有する化合物として、シトシ
ン・アラビノシド(Ara-C)(Baccaraniら、Br.J.Haemato
l.,42,485-487(1979))、アクラシノマインA(Morin
ら、Cancer Res.,44,2807-2812(1991))、インターフェ
ロン−α(森屋ら、臨床血液32,170-172(1991))、五環式
トリテルペノイド化合物(特開平4−500209号(19
92))、植物活性配糖体であるコレチニンC(特開平1−
149133(1992))、ブファジェノリド型分化誘導剤
(特開平5−201868号(1993))、26,27−ジメ
チル−△22−1α,25−ジヒドロキシコレカルシフ
ェロール(特開平6−179622号(1994))、ゲラニル
・ゲラニルアセトン(6,10,14,18−テトラメチル
−5,9,13,17−ノナデカテトラエン−2−オン)
(特開平6−192073号(1994))、ビタミンD−22
−フェニルスルホン誘導体(特開平7−48343号(19
95))などが報告された。しかし、AMP誘導体に細胞分
化誘導活性があるとの報告は未だなされていない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様は、
式I:
【化3】 [式中、Rは炭素数4〜20の直鎖または分枝状アルキ
ルである]で示されるAMPアルキルエステル誘導体の
製造方法であって、有機溶媒中1−ブロモアルカンとA
MPを反応させることを特徴とする方法である。好まし
くは、この方法は(C49)4+の存在下で行われる。
【0008】本発明の第2の態様は、式I:
【化4】 [式中、Rは炭素数4〜20の直鎖または分枝状アルキ
ルである]で示されるAMPアルキルエステル誘導体を
有効成分とする分化誘導剤であり、好ましくは、Rが、
オクチル、ドデシルまたはヘキサデシルである。なお、
本発明のAMPアルキルエステル誘導体には一般に生体
内において実質的に同様の生理活性または薬理活性を発
揮するもの、例えば、本発明の化合物の誘導体および医
薬的に許容される塩、付加塩、水和物などは本発明の技
術的範囲に含まれるものである。
【0009】
【発明の実施の形態】炭素数4〜20の直鎖または分枝
状アルキルは、具体的には、ブチル、ペンチル、ヘキシ
ル、ヘプチル、オクチル、デシル、ウンデシル、ドデシ
ル、テトラデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オク
タデシル、エイコシルなどの直鎖またはゲラニル、ファ
ルネシルなどの分枝状のアルキルをいう。好ましくはヘ
キシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、
ヘキサデシル、オクタデシルであり、より好ましくは、
オクチル、ドデシルまたはヘキサデシルであり、最も好
ましくは、それらの直鎖状のものである。
【0010】本発明のAMPアルキルエステル誘導体は
一般にAMP(アデノシン 5'−モノホスフェート)を
(C49)4+溶液(TBA;テトラブチルアンモニウム
ヒドロキシド水溶液)に溶解し、中和、脱水、乾固した
後、有機溶媒中種々のハロゲン化アルキルを反応させて
得られる。
【0011】有機溶媒の例としては、ジメチルホルムア
ルデヒド、ジメチルアセトアミド、などの極性溶媒また
はアセトニトリルなどの透電率の高い不活性溶媒を挙げ
ることができ、好ましくは、ジメチルアセトアミド、ア
セトニトリルであり、最も好ましくは、ジメチルアセト
アミドである。
【0012】上記の反応は、AMPをエチル、プロピ
ル、ブチルなどの低級アルキル第4級アンモニウムヒド
ロキシドの水溶液に溶解し、中和、脱水、乾固してAM
Pとテトラ低級アルキルアンモニウム塩を形成させて行
う。
【0013】また、上記の反応は60℃〜100℃、好
ましくは、70℃〜90℃、最も好ましくは、約80℃
にて行う。
【0014】反応時間は2〜18時間であり、反応時間
が長くなると目的生成物も増加するが副産物も増加して
くる。従って、好ましくは、2〜6時間である。より好
ましくは、約4時間である。
【0015】ハロゲン化アルキルのハロゲンとしては、
ふっ素、塩素、臭素およびよう素が含まれる。好ましく
は臭素またはよう素であり、最も好ましくは、臭素であ
る。
【0016】例えば、AMPC8、AMPC12および
AMPC16はAMP(アデノシン5'−モノホスフェー
ト)をテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に
溶解し、ジメチルアセトアミド中で1−ブロモオクタン
(C8)、1−ブロモドデカン(C12)、1−ブロモヘキ
サデカン(C16)などを反応させて得られる。これらの
化合物の単離精製操作を下記に示す。
【化5】
【0017】単離精製したAMPC8、AMPC12及
びAMPC16について種々の機器分析を用い、その構
造決定を行った。始めに1H、13CNMRにより、AM
Pのリン酸基に長鎖のアルキル基がエステル結合したも
のであることが決定された。次に元素分析を行ったとこ
ろ、それぞれのAMP誘導体について、一水和物の形を
とったときの理論値が非常に実測値と相同性があったた
め先の構造を強く支持するものであると考察された。こ
れらの機器分析により決定されたAMPC8、AMPC
12及びAMPC16についての構造を下記に示す。
【化6】
【0018】
【実施例】
実施例1 AMP誘導体(AMPC8)の合成 AMP(アデノシン 5'−モノホスフェート;800μm
ol:278mg)を(C49)4+溶液(TBA;テトラブチ
ルアンモニウム40%水溶液;1.6mmol:900μl)
に溶解し、中和した。減圧下に脱水し、デシケーター
中、P25存在下で乾固した。生じたAMPテトラブチ
ルアンモニウム塩を1−ブロモオクタン(4.0mmol;8
00μl)とともに溶媒のジメチルアセトアミド(10m
l)に溶解し、80℃で4時間反応させた。反応終了
後、反応液にC614/(CH32CO(1:1、v/v)
の溶液を約60ml加え、アンモニアでpHを8に調節
し、−20℃で一晩放置した。生じた沈澱を遠心分離で
集め、同溶液でさらに2回洗浄することによってジメチ
ルアセトアミドおよび1−ブロモオクタンを可及的に除
去した。沈澱をCHCl3/MeOH(90:10)の溶
液に溶解し、同溶液で十分に平衡化したシリカゲルカラ
ム(Wakogel(登録商標)C200)によるクロマトグ
ラフィーに供した。カラムを同溶液150ml程度で洗浄
し、次いで、溶媒中のMeOH濃度をCHCl3/MeOH
(85:15、80:20、75:25、70:30、
60:40)と段階的に上げていき副生成物と目的物を
分離した。CHCl3/MeOH(70:30)の画分を
集め、ロータリーエバポレーターを用いて減圧乾燥した
結果、白色の粉末が得られた。その粉末を50%MeO
Hに溶解し、その溶液中に陰イオン交換樹脂(Amberli
te(登録商標)IR−120)を加えて脱塩した。この
溶液を減圧下に乾燥した結果、白色の粉末としてAMP
C8が得られた。AMPC8の収率は16.5%であっ
た。
【0019】 元素分析値(1水和物として) 計算値: C;45.28 H;6.70 N;14.67 測定値: C;47.31 H;7.68 N;14.071 H NMR(DMSO−d6,ppm):8.39(s,adenine r
ing 2−H);5.91(d,J=5.5,1'−CH);
4.57(t,J=5.2,2’−CH);4.23(br,
J=4.9,3'−CH);4.03(br,J=3.7,
4'−CH);3.87(m,2H,5'−CH);3.6
4(q,2H,J=6.7,CH2−O−P);1.21−
1.24(CH2);0.83(t,3H,J=6.7,C
313 C NMRの測定値を表1に示す。
【0020】実施例2 AMPC12の合成 1−ブロモオクタン800μlを用いる代わりに、1−
ブロモドデカン1ml(4.0mmol)を用いて、実施例1
と同様にして行った。AMPC12の収率は17.5%
であった。
【0021】 元素分析値(1水和物として) 計算値: C;49.53 H;7.50 N;13.13 測定値: C;50.31 H;7.51 N;11.891 H NMR(DMSO−d6,ppm):8.38(s,adenine r
ing 2−H);5.92(d,J=5.2,1'−CH);
4.57(t,J=5.2,2’−CH);4.23(br
t,J=4.9,3'−CH);4.03(brq,J=3.
7,4'−CH);3.87(m,2H,5'−CH);
3.65(q,2H,J=6.7,CH2−O−P);1.
21−1.24(CH2);0.85(t,3H,J=6.
7,CH313 C NMRの測定値を表1に示す。
【0022】実施例3 AMPC16の合成 1−ブロモオクタン800μlを用いる代わりに、1−
ブロモヘキサデカン1.22ml(4.0mmol)を用いて、
実施例1と同様にして行った。AMPC16の収率は2
0.7%であった。
【0023】 元素分析値(1水和物として) 計算値: C;52.97 H;8.15 N;11.88 測定値: C;52.51 H;8.53 N;12.261 H NMRの測定値を図1に示す。13C NMRのチャ
ートを図2に示す。13C NMRの測定値を表1に示
す。
【0024】
【表1】 AMPC8、AMPC12およびAMPC16の13C NMR値 位置 AMPC8 AMPC12 AMPC16 2 152.23 152.23 152.31 4 155.72 155.72 155.78 5 NDa 119.00 118.77 6 NDa 149.40 149.45 8 139.05 139.04 139.10 1' 87.01 87.01 86.99 2' 73.81 73.77 73.74 3' 70.66 70.62 70.63 4' 83.67 83.59 83.53 5' 64.20b 64.39b 64.33b 1'' 64.05c 64.10c 64.25c 2''-(n-1)'' 21−31 21−31 21−31 n'' 13.49 13.51 13.62 a:検出せず bおよびc:帰属は相互交換の可能性あり
【0025】薬理学的実験 アデノシン一リン酸(AMP)のリン酸基に疎水性の強い
長鎖のアルキル基を結合させることで、細胞膜透過性を
向上させたAMP誘導体(AMPC8、AMPC12、
AMPC16)について、細胞障害性及び分化誘導活性
を調べた。材料 1.細胞 ヒト骨髄性白血病細胞(HL−60) 2.薬剤 AMPC8、AMPC12、AMPC16 3.主な試薬及び機器 1)RPMI1640培地(ギブコ製) 2)牛胎児血清(FCS)(和光純薬製) 3)アラマブルー(岩城硝子製) 4)ニトロブルーテトラゾリウム(NBT)(和光純薬製) 5)ホルボール12−ミリスタート13−アセタート(T
PA)(和光純薬製) 6)ジメチルスルホキシド(DMSO)(和光純薬製) 7)サイトフロー2300(Fluorescence Measurement S
ystem)(ミリポア製)
【0026】測定方法 1.細胞毒性 1)HL−60細胞を10%FCSを含むRPMI16
40培地で培養後、96ウェルマイクロプレートに1×
10細胞/mlの濃度で200μlずつ播種し、CO
インキュベーター(5%CO、37℃)で3日間前培
養した。 2)AMP誘導体は、DMSOにて20mg/mlの濃
度に溶解し、冷蔵保存していたものをメタノールで希釈
し、1ウェルあたり5μl添加した。メタノールのみを
同様に添加したウェルをコントロールとした。 3)COインキュベーターで3日間培養した。 4)アラマブルーを1ウェルあたり20μl添加し、C
インキュベーター内に3時間放置した。 5)サイトフロー2300により、励起波長530n
m、蛍光波長590nmにて蛍光を測定した。コントロ
ールウェルの蛍光強度を100とした時の薬剤を添加し
たウェルの蛍光強度の比を細胞の生存率(%)とした。
【0027】2.分化誘導活性 HL−60細胞の分化誘導の主なマーカーとしては、形
態、貧食能、NBT還元能、エステラーゼ活性などが知
られている。今回の実験では、これらのうち、形態とN
BT還元能を指標とした。NBTは、分化した細胞にお
いて、主としてスーパーオキシド産生オキシダーゼの作
用により、NADPH由来の水素を受容した難溶性青紫
色のホルマザンとなり、酵素活性の発現した細胞の部位
に沈着し、顕微鏡下で観察が可能となる。なお、今回の
実験では、HL−60細胞の分化誘導剤(陽性コントロ
ール)としてDMSOを用いたが、DMSOは、HL−
60細胞を顆粒球様細胞へと分化誘導することが知られ
ている。 1)細胞毒性の測定と同じ条件で、HL−60細胞を9
6ウェルマイクロプレートで3日間前培養した。 2)AMP誘導体をメタノールで希釈し、1ウェルあた
り5μl添加した。陽性コントロールとして、DMSO
を180mMの濃度となるように、また、陰性コントロ
ールとしてメタノールを5μl添加した。 3)COインキュベーターで4〜5日培養後、顕微鏡
で形態の変化を観察した。 4)細胞を懸濁してエッペンドルフチューブに移し、
1,000rpm、2分間の遠心分離を行い、上清を除
去した。RPMI1640培地1mlに再懸濁し、遠心
分離後、上清を除去した。この操作を2回繰り返し、細
胞を洗浄した。 5)1mg/mlNBT、0.1μg/mlTPAを含む
20%FCS添加RPMI1640培地0.5mlに細
胞を懸濁し、37℃で30分間反応させた。 6)遠心分離で細胞を回収し、少量のPBSに懸濁した
ものをスライドガラス上で十分乾燥させた。 7)スライドガラスをメタノールに2〜3分浸して細胞
を固定し、顕微鏡下で青紫色に染まった細胞数を計測し
て、NBT還元能とした。
【0028】結果 1.細胞毒性 結果を図3に示した。これらの化合物のIC50(μg/
ml)は、それぞれ、AMPC8:320.6、AMPC
12:184.3およびAMPC16:58.2であっ
た。AMP誘導体のHL−60細胞に対する毒性は低
く、AMPC8は200μg/ml以下、AMPC12
は150μg/ml以下、AMPC16は25μg/m
l以下の濃度で100%の生存率を示した。アルキル基
の長鎖が長いほど毒性が増大する傾向が見られた。
【0029】2.分化誘導活性 結果を下記の表に示した。DMSOを180mM添加し
た陽性コントロールでは、NBT還元能陽性細胞数は8
4.5%あった。AMPC8を添加した時のNBT還元
能陽性細胞数は、薬物濃度50〜150μg/mlの範
囲において薬物濃度の上昇に伴って増加し、150μg
/mlの濃度では93.5%となり、この付近の濃度に
おいてAMPC8が分化誘導活性を持つことが示され
た。AMPC12では75〜150μg/mlの濃度に
おいて42.5〜81.1%の細胞が、AMPC16では
30〜50μg/mlの濃度において57.4〜71.7
%の細胞がNBT還元活性を有しており、AMPC1
2、AMPC16もHL−60細胞に対する分化誘導活
性を持つことが示された。
【0030】
【表2】 AMP誘導体のHL−60細胞に対する顆粒球様細胞への分化誘導活性 添加物 濃度 NBT還元能陽性細胞数* ED50 (μg/ml) (%) (μg/ml) なし − 10.9±2.69 DMSO 1.14×10 84.5±3.81 AMPC8 50 27.1±4.93 84.7 75 34.5±2.79 100 67.9±1.40 125 81.9±2.99 150 93.5±0.59 AMPC12 50 14.0±1.45 78.1 75 42.5±6.10 100 81.1±2.80 125 77.2±5.03 150 61.0±9.15 AMPC16 25 27.8±3.63 28.8 30 57.4±5.17 40 71.7±4.36 50 64.3±4.64 *;平均±SD
【0031】AMP誘導体がHL−60細胞に対して分
化誘導活性を示す薬物濃度は、アルキル基の長鎖が短い
誘導体、即ち、HL−60細胞に対する毒性が低いもの
ほど高く、活性を示す濃度の範囲も広くなる傾向にあっ
た。また、AMP誘導体のED50値を比較したところ、
AMPC8:84.7μg/ml、AMPC12:78.
1μg/mlおよびAMPC16:28.8μg/ml
であった。AMP誘導体の添加によりNBT還元活性を
示した細胞の形態は、陽性コントロール同様、未処理の
細胞に比較して変化が認められた。
【0032】以上のように、AMPC8、AMPC1
2、AMPC16は、ヒト骨髄性白血病細胞HL−60
を顆粒球様細胞へと分化誘導する活性を有することが判
明した。更に、AMP及びアデノシンについても同様の
方法で分化誘導活性の有無を検討した。その結果、AM
Pでは、50μg/mlの濃度で最大値となり25.8
%の細胞が、アデノシンでは、200μg/mlの濃度
で最大値となり16.7%の細胞がNBT還元活性を示
した。しかし、その値は、AMP誘導体に比較してかな
り低いものであったことから、AMPのリン酸基に長鎖
のアルキル基を導入することで、HL−60細胞に対す
る分化誘導活性が付与されるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 AMPC16の1H NMRの帰属を示す図で
ある。
【図2】 AMPC16の13C NMRのチャートであ
る。
【図3】 HL−60細胞の生存率に対するAMP誘導
体の効果を示す折れ線グラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式I: 【化1】 [式中、Rは炭素数4〜20の直鎖または分枝状アルキ
    ルである]で示されるAMPアルキルエステル誘導体の
    製造方法であって、有機溶媒中1−ブロモアルカンとA
    MPを反応させることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 (C49)4+の存在下で行われる、請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 式I: 【化2】 [式中、Rは炭素数4〜20の直鎖または分枝状アルキ
    ルである]で示されるAMPアルキルエステル誘導体を
    有効成分とする分化誘導剤。
  4. 【請求項4】 Rが、オクチル、ドデシルまたはヘキサ
    デシルである、請求項3記載の分化誘導剤。
JP03473897A 1997-02-19 1997-02-19 Ampアルキルエステル誘導体の製造方法 Expired - Lifetime JP4118357B2 (ja)

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WO2001078749A1 (fr) * 2000-04-17 2001-10-25 Fuso Pharmaceutical Industries, Ltd. Nouveaux agonistes de calcium

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