JPH10225814A - 切削加工方法 - Google Patents

切削加工方法

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JPH10225814A
JPH10225814A JP2354098A JP2354098A JPH10225814A JP H10225814 A JPH10225814 A JP H10225814A JP 2354098 A JP2354098 A JP 2354098A JP 2354098 A JP2354098 A JP 2354098A JP H10225814 A JPH10225814 A JP H10225814A
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JP
Japan
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cutting
coolant
tool
end mill
cutting edge
Prior art date
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Application number
JP2354098A
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English (en)
Inventor
Makoto Nakamura
誠 中村
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Makino Milling Machine Co Ltd
Original Assignee
Makino Milling Machine Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切削工具先端の切刃部のすくい面へ、加工
中、常に充分な圧力、流量の高圧クーラントが直接的に
噴出されるようにして、切削加工部の切削熱の奪熱およ
び切屑の排出を迅速、確実に行う。 【解決手段】 切削工具12の工具本体外周に工具先端
の切刃部に向けて軸線と平行に凹形状のクーラント供給
溝13を形成し、工具ホルダ5に装着した切削工具12
の後端部に高圧のクーラントを導入し、該クーラントが
クーラント供給溝13内を流通して工具先端の切刃部の
すくい面に直接当たるように噴出させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンドミル、ボー
ルエンドミル、ドリル、フライスカッタ等の切削工具を
用いてワークを加工する切削加工方法およびその加工装
置に関するものである。なお、本発明ではクーラントと
は、切削液、加圧エアー等の冷却作用および切屑排出作
用を行う流体のことを言う。
【0002】
【従来の技術】切削加工は、ワークより硬くて強い工具
に回転力を与えながらワークに押し付けて相対運動を行
わせ、剪断作用により切屑を発生させワークを所望形状
に仕上げるものである。このとき、主に剪断仕事および
切屑と工具との摩擦仕事により切削熱が発生する。この
切削熱は、工具の主切刃部に伝達され工具の寿命を短く
し、また、構成刃先を生成して加工面粗さを悪化させる
等の悪影響を引き起こす。よって、発生した切削熱をい
ち早く確実にクーラントで冷却し、これらの悪影響をな
くす必要がある。
【0003】これらの問題は、加工するワークが難切削
性の材料(以下、単に難削材と記載する)、つまり高硬
度または高靱性、若くは両方の性質を有する材料、例え
ばチタンやAlloy 600 (所謂インコネル(登録商標))
や焼き入れ鋼等の場合に大きくなる。従来技術では、研
削加工や放電加工でないと、これらの材料を加工するこ
とはできなかった。
【0004】これらの問題を克服するためには、切屑の
発生するワークの剪断部および切屑と工具のすくい面と
の間の摩擦部に高圧クーラントを噴射し、発生した切削
熱が工具やワークに伝達される前にクーラントで冷却し
て奪取すると共に、切削熱を保有している切屑もクーラ
ントと一緒に吹き飛ばさなければならない。言い換えれ
ば、切削加工部およびその近傍に充分な圧力と流量を有
した高圧クーラントを常時噴射しなければならない。
【0005】クーラントを切刃部に供給する方法とし
て、次の2つの方法が周知となっている。第1は、所謂
スルースピンドルクーラントである。この方法では、ク
ーラントが、クーラント供給源から工具主軸の後端に供
給される。このクーラントは、次いで、上記工具主軸
と、工具ホルダと、装着された工具とに設けられたクー
ラント通路を順次流通して工具先端から噴出される。他
の方法は、スルーツールクーラントである。この方法で
は、クーラントは、クーラント供給源から工具主軸の後
端からではなく回転継手を介して工具ホルダ内に供給さ
れる。このクーラントは、次いで、工具ホルダおよび該
工具ホルダに装着された切削工具に設けられたクーラン
ト通路を順次流通して工具先端から噴出される。
【0006】一方切削工具には、工具後端から先端に向
けて軸線に沿って貫通孔を形成したエンドミル、ボール
エンドミル、ドリル等がある。第1の従来技術として、
この貫通孔を有した切削工具を工具ホルダで把持し、ス
ルースピンドルクーラントまたはスルーツールクーラン
ト手段を用いて切削工具先端部からクーラントを噴出さ
せながら加工を行う切削加工方法および装置がある。
【0007】第2の従来技術として、実開平1−132
327号公報に記載の鋳抜き孔用タップがある。これは
タップの内部軸方向に油孔を貫通すると共に、シャンク
外周にタップ溝に連通する油溝を形成した鋳抜き孔用タ
ップで、止まり穴のタッピングの場合は、油孔および油
溝から供給する両方のクーラントが潤滑、冷却、切屑排
出の作用をする。貫通孔のタッピングの場合は、油孔か
ら供給するクーラントは、そのままワーク外部へ流出し
てしまうが、シャンク外周に設けた油溝からクーラント
が供給されるので潤滑、冷却、切屑排出の作用が効果的
に行われる。
【0008】第3の従来技術として、実公平4−274
3号公報に記載のエンドミルがある。これは当該公報の
第1図に示す如く、エンドミル本体20の外周後端部
に、エンドミル本体の長手方向に沿って、エンドミル本
体の後端側から切屑排出溝22まで延びるクーラント供
給溝25を形成し、エアーや油等をこの溝25に向けて
噴出させるようにしたものである。これによって切屑が
円滑に排出可能になる。更に、該エンドミルは、工具先
端部に穴がないので再研磨も行える。
【0009】第4の従来技術として、特開平4−253
09号公報に記載の切削方法およびそれに用いる装置が
ある。これは工具の切刃として超微粒子超硬合金製のも
のを用い、高圧水吐出ノズルから切削点に向って吐出圧
10kg/cm2 以上の高圧流体を投射するようにしたもの
である。これにより、切削点が高圧液体によって瞬時に
冷され、切削点での発熱が殆んど工作物および切削工具
切刃内部に伝導しないため、工作物も切刃も熱的ダメー
ジを受けることがないというものである。
【0010】第5の従来技術として、実開平4−734
40号公報に記載の工作機械における回転工具の給油装
置がある。ただし、該公報は本願の国内優先権主張の基
礎出願日以降に公開されたので公知資料ではないが、本
願の先願に当たるので参考に述べる。この公報の技術
は、工具と共に回転する回転部材内にクーラントの給油
路を形成し、該給油路の出口側先端を工具の外周に向け
て構成したものである。供給されるクーラントと工具と
は同一回転数で回転するので、クーラントが回転する工
具にはじき飛ばされることなく充分に注油される。ま
た、クーラントと工具との位置関係は、X、Y、Zの送
り運動を行っても変わることがなく、常に工具の設定し
た位置にクーラントが供給されるというものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】第1の従来技術は、こ
の切削加工部のできるだけ近くにクーラントを供給しよ
うとしたものである。そのとき切削工具内部にクーラン
トが流通する貫通孔を形成しなければならないが、超硬
工具などの場合、この貫通孔の形成が難しい。また、工
具先端中心に切刃があるボールエンドミルやドリルなど
の場合は、その切刃部をよけた逃げ面に貫通孔を開口さ
せる必要から、屈曲したり二股に分岐した貫通孔を形成
する必要があり更に難しい。
【0012】さらに小径工具の場合は、貫通孔を形成し
たため工具の強度が下がり、軸部の切損や刃先の欠けが
生じ易くなる。そして、貫通孔の内径自体も大きくでき
ず、充分なクーラント流量が確保されないという問題点
がある。第2の従来技術は、比較的低速切削を行なうね
じ切り作業の工具としてのタップの構成を開示したもの
であり、油溝から供給するクーラントは低圧、少量で、
タップの回転に伴なって油溝からはみ出して、むしろ加
工すべき、ねじ部に浸み込んで行く程度が好ましい。
【0013】これに対しエンドミル、フライスカッタ、
ドリルなどの切削工具は、比較的高速切削を行う必要か
ら、この従来技術を適用することができない。つまり、
高速で回転するエンドミル等の切削工具の場合は、充分
な圧力、流量の高圧クーラントが切削加工部へ直接的に
噴射されなければならない。よって、この第2の従来技
術をエンドミル、ボールエンドミル、ドリル、フライス
カッタ等の切削工具による加工部へのクーラント供給技
術に適用するには問題がある。
【0014】第3の従来技術は、凹形状のクーラント供
給溝がシャンク部に最も近い切屑排出溝までしか形成さ
れていないため、クーラントをクーラント供給溝に沿っ
て高圧で噴出させた場合、シャンク部に近い切刃部分で
クーラントがはじかれて工具主切刃部までクーラントが
充分に到達しない不都合がある。
【0015】エンドミル先端部のみを使う比較的浅い溝
切り加工、ボールエンドミルやドリルの先端部の切刃を
使う加工などの通常よく行われる加工の場合には、特に
この不都合が顕著となり、切削加工部の充分な冷却や迅
速な切屑排出が行われないという問題点がある。
【0016】第4の従来技術は、クーラント吐出ノズル
を用いているので、工具の径、長さに応じて切削加工部
へクーラントが噴射されるように手動または自動でノズ
ルの方向を変える必要がある。また、ノズルとワークと
が干渉したり、段取り作業の障害になったりする不都合
がある。さらに、ワーク形状や加工部位によっては、そ
のワーク形状に妨げられ切削加工部へクーラントが直接
的に噴射されない問題点がある。
【0017】第5の従来技術は、回転部材内の給油路出
口を工具の外周に向けて形成しなければならず、工具
長、工具径に応じて給油路出口の噴射角度を変えなけれ
ばならないという不都合がある。
【0018】次に、金型等の三次元形状ワークの切削加
工方法について考える。例えば、むく材からポケット加
工を行う場合、先ずドリルで穴加工を行い、その穴をエ
ンドミルでくり広げて所望のポケット形状に仕上げる。
するとドリル加工用およびエンドミル加工用の2種類の
工具やNCプログラムを用意しなければならなかった
り、加工途中において工具交換を行わなければならず、
加工能率が悪かった。また、エンドミルだけでポケット
加工等三次元形状ワークの荒加工から仕上げ加工までを
一貫して行う切削加工方法は確立していないのが現状で
ある。
【0019】従って本発明の主たる目的は、上述の問題
を解決し、すなわち、工具長、工具径によらず、常に充
分な圧力および流量の高圧クーラントが切削加工部へ直
接的に噴出されるようにし、切削熱の迅速な奪取と、切
屑の確実な除去を達成する更に改善された切削加工方法
および装置を提供することである。他の目的は、従来は
研削加工や放電加工でしか加工できなかった高硬度材や
高靱性材でなる難削材のワークを能率よく加工する切削
加工方法および装置を提供することである。
【0020】更に他の目的は、金型等の三次元形状ワー
クを面粗度良好に、加工能率を上げて加工する切削加工
方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、工具本体外周
にシャンク部の後端から先端の切刃部のすくい面に向け
て軸線と平行に少なくとも1本の直線状で凹形状のクー
ラント供給溝を刻設したエンドミルを工具ホルダに装着
し、前記工具ホルダの切削工具装着孔に高圧クーラント
を導入し、前記エンドミルのクーラント供給溝内に前記
高圧クーラントを流通させ、前記エンドミル先端の切刃
部のすくい面にクーラントが直接当たるように前記高圧
クーラントを噴出し、前記エンドミルを拘束回転させな
がら所定の浅切込みでかつ工具とワークとを高速相対移
動させて切削加工を行い、切削加工によって発生する切
削熱が前記エンドミルに伝達される前に切削屑を前記ク
ーラントで吹き飛ばし、前記エンドミルの切刃部の温度
上昇を極力押さえてワークをフライス加工する切削加工
方法を要旨とする。
【0022】
【作用】スルースピンドルクーラント装置またはスルー
ツールクーラント装置によって工具ホルダのクーラント
供給孔へ導入された高圧クーラントは、工具ホルダに装
着した切削工具のクーラント供給溝を流通して、工具先
端の切刃部のすくい面へ噴出する。このとき、クーラン
ト供給溝は切削工具主切刃部のすくい面に向けて軸線と
平行に形成し開口しているので、クーラントは必ずすく
い面へ直接的に当たるように噴出される。
【0023】クーラントは、工具ホルダおよび切削工具
と同一速度で回転しながら、しかも遠心力で外周方面へ
飛ばされない充分な圧力、流量を持って噴出されるの
で、切削加工中、常に切削加工部、特にすくい面を冷却
し、切屑を加工領域から迅速に排出する働きをする。
【0024】また、このときクーラントは切削工具に設
けたクーラント供給溝内を通るので、クーラントがワー
クに妨げられることなく確実に切削加工部に噴出され
る。更に、クーラントは切削工具の外周に沿って平行に
噴出するので、工具長や工具径によって噴出角度を変え
る必要がない。
【0025】
【実施例】本発明の切削加工装置の構成図である図1を
参照すると、工具主軸1は、主軸ハウジング2にベアリ
ング3によって回転自在に支承され、図示しない駆動装
置によって回転される。ハウジング2はベアリング押え
4により閉鎖される。工具ホルダ5は、その後端部に螺
着されたプルスタッド6をドローバー7で引き上げるこ
とにより、工具主軸1の先端テーパ孔に装着される。
【0026】工具ホルダ5はキー8により回転方向に位
置決めされる。ドローバー7は、工具主軸1の軸線に沿
って延設されたクーラント通路を具備している。該クー
ラント通路は、ドローバー7内にパイプ9を挿嵌して構
成してもよい。ドローバー7の先端はプルスタッド6に
当接して工具主軸1と一体的に回転する。パイプ9の後
端には流体回転継手10が設けられ、クーラント供給源
11から吐出されたクーラントは、パイプ9内に送り込
まれるようになっている。
【0027】一方、工具ホルダ5の先端部にはエンドミ
ル12が着脱自在に装着される。エンドミル12の工具
本体外周には、後述の凹形状をしたクーラント供給溝1
3が主切刃部直前まで形成されている。プルスタッド
6、工具ホルダ5にはパイプ9と連通する貫通孔が穿設
されており、クーラント供給源11から吐出されたクー
ラントは、パイプ9、プルスタッド6、工具ホルダ5を
通過し、エンドミル12のクーラント供給溝13を流通
して、最終的にエンドミル12の主切刃部に向けて噴出
されるように構成されている。
【0028】エンドミル12を回転させながら、図示し
ないワークとの間でX、Y、Zの各軸方向の相対移動を
行い、クーラントを供給してワークを切削加工する。こ
こで、工具主軸1の回転軸の方向にZ軸を定義し、該Z
軸に垂直な方向にX軸を、そしてXおよびZ軸に対して
垂直な方向にY軸を定義する。
【0029】図2は、本発明に用いるエンドミルの一例
を図示しており、図2(a)はエンドミル12の正面図
であり、図2(b)は図2(a)において矢視線A−A
に沿う断面図である。図2のエンドミル12は、4枚刃
のエンドミルであり、切刃部の外周につる巻き状に延設
された切刃14a、14b、14c、14dと逃げ溝1
5とを有している。シャンク16の外周には、凹形状の
クーラント供給溝13がエンドミル12の後端面17か
ら軸線と平行に、第2の切刃部を貫通して切刃14a、
14cの最先端部に向けて2本刻設してある。
【0030】クーラント供給溝13は、シャンク部に刻
設された部分13a、切刃14cを貫通する部分13
b、切刃14bを貫通する部分13cとに分かれている
が直線状に連なっており、一本の溝とみなすことができ
る。このクーラント供給溝13の断面形状は、図示のよ
うに角形状ばかりでなく、半円形状、半楕円形状等、そ
の他の形状でも良い。
【0031】そして二本のクーラント供給溝13の深さ
部の径dは、切刃14の外径Dより小さい。つまり、ク
ーラント供給溝13は切刃部外周面より、より奥に切込
んである。これは、クーラント供給溝13が最先端の主
切刃に向かって開口する、すなわちクーラント供給溝1
3の延長線が、必ず工具主切刃部14にぶつかるように
構成するためである。よって、シャンク部の外径が切刃
部の外径より大きく形成されているエンドミルについて
は、深いクーラント供給溝を刻設する必要がある。な
お、クーラント供給溝13bと切刃14cとの交差部、
13cと14bとの交差部などの鋭利な部分は、面取り
を施して切刃の欠けを防止している。
【0032】次に、図3を参照して、本発明のボールエ
ンドミルについて説明する。図3において図3(a)は
ボールエンドミル12の正面図であり、図3(b)は図
3(a)において矢視線B−Bに沿う断面図である。図
3のボールエンドミルは、4枚刃のボールエンドミルで
あり、一例としてクーラント供給溝13が4本刻設され
ている。クーラント供給溝13は、シャンク部16にシ
ャンク後端面17からシャンク16の軸線と平行にかつ
直線状に刻設されており、それぞれの切刃部14a、1
4b、14c、14dのすくい面に向って開口されてい
る。
【0033】このボールエンドミル12においても、図
1のエンドミルで説明したように、高圧クーラントがク
ーラント供給溝13を通り、工具切刃部14a、14
b、14c、14dのすくい面に向って噴射される。こ
の高圧クーラントは切刃部の切削による発熱を奪取する
と共に、切刃部に付着しようとする切屑を直撃して飛散
させるのである。従って、クーラント溝13は前述のエ
ンドミルで説明したことと同様の作用、効果を有してお
り、ここでは重複するので説明を省略する。
【0034】図4は、本発明のドリルの一例を示してお
り、図4(a)はドリル12の正面図であり、図4
(b)は図4(a)の矢視線C−Cに沿う断面図であ
る。既述の工具と同様に、クーラント供給溝13が、シ
ャンクの後端面17から軸線と平行でかつ直線状に、途
中で切刃部を貫通してドリル主切刃部14のすくい面に
向けて開口するように二本刻設されている。なお、図
中、20の一点鎖線は、ドリルが回転したときの軌跡を
示したものである。
【0035】図5は、本発明のフライスカッタの一例を
示しており、図5(a)はフライスカッタ12の正面図
であり、図5(b)は図5(a)の矢視線D−Dに沿う
断面図である。図5にはフライスカッタの代表例とし
て、あり溝フライスを示す。シャンク16には後端面1
7から軸線と平行にかつ直線状に、工具主切刃部14の
すくい面に向かって五本のクーラント供給溝13が刻設
されている。この様に構成することにより、クーラント
は必ず切刃部のすくい面に供給される。
【0036】図6は、本発明のクーラントの作用を示す
説明図であり、エンドミル12を工具ホルダ5に装着し
た図である。エンドミル12のシャンク16が、工具ホ
ルダ5の工具装着孔18に装着される。クーラント供給
源(図1参照)により加圧されたクーラントが、クーラ
ント供給孔19を通って工具装着孔18に流入する。次
いで、該クーラントは、前記二つの凹溝13を流通して
エンドミル12先端方向に噴出する。
【0037】エンドミル12による加工中は、工具主軸
1、工具ホルダ5、エンドミル12は共に回転し、内部
のクーラントも同じ速さで回転する。主軸1を高速回転
させた場合においても、クーラント供給溝13から噴出
したクーラントが、工具主切刃部に確実に高圧で噴射さ
れる程度の高い圧力(例えば70Kg/cm2 )でクーラン
トを供給する。これにより、クーラント供給溝13から
噴出したクーラントは、直接的に工具切刃のすくい面に
当たるようにしてある。高圧クーラントを供給すること
により、その圧力で切屑を吹き飛し、工具切刃への伝熱
を防止するのである。更に、図4、5、6から理解され
るように、高圧クーラントはすくい面に衝突するので、
衝突噴流熱伝達作用により、非常に高い熱伝達率を以て
切刃を冷却する。
【0038】クーラント供給溝13の断面積は、エンド
ミル内部に孔をあけるよりも大きくでき、それだけ流量
もかせげる。従って、如何なる場合でも常にクーラント
が充分な圧力、流量で工具主切刃、つまり切削加工部に
供給され、迅速に切削熱を奪熱し切屑を排出できる。エ
ンドミル12のシャンク部より先端方向の切刃部全域を
使用するような深溝加工や側面加工の場合は、クーラン
ト供給溝13aと13bとの間、13bと13cとの間
の開放部からクーラントが漏れ出しており、工具先端部
ばかりでなく切刃全域にわたってクーラントが供給され
ることになり、あらゆる加工に対して切削熱の奪熱およ
び切屑排出作用を行えるのである。
【0039】図7(a)は、本発明の他の実施例を示す
要部構成図であり、図7(b)は、図7(a)の矢視線
E−Eに沿う断面図である。図8(a)は、本発明の更
に別の実施例を示す要部構成図であり、図8(b)は、
矢視線F−Fに沿う断面図である。図7、8では、図1
の切削加工装置のクーラント供給溝13を刻設したエン
ドミルの代わりに、テーパチャック式(図7)と、コレ
ットチャック式(図8)の工具ホルダを用いて、クーラ
ント供給溝のない通常のエンドミルが装着される。高圧
クーラント(例えば70Kg/cm2 )はエンドミル外周に
沿って工具先端方向に噴出させる。
【0040】図7を参照すると、工具ホルダ5は、テー
パ外面26とネジ部27とを有する装着部25を具備し
ており、前記工具装着孔18が装着部25を貫通して外
部に開口している。エンドミル12が、工具装着孔18
に挿入され、リング23で緊締することにより固着され
る。リング23は、テーパ外面と係合するテーパ内面2
8と、装着部のネジ部27と係合可能なネジ部29とを
具備している。ネジ部27、29を係合させて、リング
23を装着部25に締結するとテーパ面26、28が係
合し、これによりエンドミル12が工具装着孔18内に
固定される。装着部25に、工具ホルダ5の中心軸と平
行にすり割りを形成して、工具装着孔内の工具を良好に
固定できるようにしてもよい。
【0041】工具装着孔18は、プルスタッド6の貫通
孔19を介してパイプ9と連通されており、クーラント
供給源11からクーラントを導入可能になっている。工
具装着孔18の内周面には、該内周面の直径上180°
の位置に対向して2本の凹溝24が設けられており、該
凹溝24は、工具主軸1および装着されたエンドミル1
2の中心軸と平行に工具ホルダ5の先端面まで延設され
ている。工具装着孔18にエンドミル12を挿着する
と、この凹溝24はエンドミル12の外周面とによりク
ーラント流通路となり、工具装着孔18に導入されたク
ーラントは、凹溝24の出口から、エンドミル12の外
周に沿ってエンドミル12の先端方向に噴出する。
【0042】次に図8を参照すると、エンドミル12
は、コレットチャックにより、工具ホルダ5に装着され
ている。コレットチャックは、コレット21とコレット
リング23とを具備している。コレット21には、軸線
方向に延設された4つのすり割り22が、円周方向に等
角度間隔で配設されている。該すり割り22により、コ
レット21は4つの部分に分割されるが、それぞれの部
分は連結リング32により相互に連結されている。コレ
ット21は、また、コレットリング23の係合面31と
係合する係合面30が形成されている。
【0043】コレットリング23は、コレット21の係
合面30と係合する係合面31と、工具ホルダ5のネジ
部27と係合するネジ部29とを具備している。ネジ部
27、29によりコレットリング23を工具ホルダ5に
螺着すると、係合面30、31が互いに係合して、コレ
ット21が工具装着孔18内に押し込まれ、これにより
エンドミル12が装着されるようになっている。
【0044】工具装着孔18は、プルスタッド6の貫通
孔19を介してパイプ9のクーラント通路(図1参照)
と連通している。クーラント供給源11からのクーラン
トは、クーラント通路および貫通孔19を流通して工具
装着孔18内に導入される。前記すり割り22は、連結
リング32の中央開口部33を介して工具装着孔18と
連通している。工具装着孔18に導入されたクーラント
は、連結リング32の中央開口部33を介して、すり割
り22に流入し、該すり割り22の出口からエンドミル
12の外周面に沿って主切刃部に向けて噴射される。噴
出されたクーラントの作用は、図7の場合と同様なので
説明は省く。
【0045】従来のクーラント吐出ノズルを高速回転す
るエンドミルの外部に設け、該ノズルからクーラントを
エンドミルに向けて噴射する方法があるが、高速で回転
するエンドミルの周囲には、ほぼ等速で回転する空気層
があり、その空気層を打ち破ってエンドミルの切刃部の
すくい面に直接的にクーラントを当てるのは困難であっ
た。つまり、クーラントは、ほとんど空気層ではじき飛
ばされていた。
【0046】本発明は、エンドミルに形成したクーラン
ト供給溝内にクーラントを流通させた状態で、または工
具ホルダ内部の凹溝やコレットのすり割り部を介してエ
ンドミル外周に沿ってクーラントを噴出した状態でエン
ドミルを高速で回転させるので、エンドミル外周を取り
巻く空気層の内部にクーラントがすでに存在することに
なり、空気層を打ち破ることなくエンドミル主切刃部の
すくい面に直接的にクーラントを噴出することができる
のである。
【0047】また、クーラントとして切削液などの液体
ばかりでなく、加圧エアーを用い、このエアーを噴出
し、切刃部の冷却および切屑の排出を行わせても良い。
本発明による切削加工方法および装置は、このように構
成したことにより、従来技術の問題点である切削工具に
貫通孔を形成する困難さがなく、しかも小径工具の場合
に貫通孔を設けて工具の強度が不足したり、貫通孔が小
径のため充分なクーラント流量が確保されないというこ
とがなくなった。また、クーラント供給溝または切削工
具外周を流通したクーラントは、必ず切刃部を直撃する
ように噴出される。
【0048】更に、外部に設けたクーラント吐出ノズル
によるクーラント供給のように、手動または自動による
ノズル角度の調節の必要がなく、しかもワーク形状や加
工部位によっては切削加工部へ直接的にクーラントが投
射されない、あるいは切削工具外周を、ほぼ等速で周回
する空気層にクーラントがはじき飛ばされるという不都
合が解消された。
【0049】本実施例では、クーラント供給溝または凹
溝を二本形成した場合について述べたが、少なくとも一
本あれば、それなりの効果を発揮する。しかし、クーラ
ント供給溝は工具主切刃の数だけ、それぞれの切刃部に
向けて設けることが最も望ましい。また、他の形式の工
具ホルダを用いても、装着した切削工具外周に沿ってク
ーラントが工具先端方向に噴出される構成ならば良い。
更に、既述の実施例は、スルースピンドルクーラント方
式の場合について説明したが、工具ホルダにクーラント
を導入するスルーツールクーラント方式であっても良い
ことは言うまでもない。
【0050】次に、図1の切削加工装置の工具ホルダ5
にエンドミルやボールエンドミルを装着して、むく材で
なるワークを加工する場合を考える。Z軸方向にだけ切
込んで行く加工方法は、工具先端の軸心付近に切刃が存
在しなかったり、たとえ切刃が存在していても切削が連
続的に行われるため発熱が大きくなったり、工具摩耗が
早くなったり、切削振動が大きくなる等の異常切削状態
となる。このため通常は、ドリルで下穴をあけてからこ
の下穴をエンドミルやボールエンドミルで繰り広げ、穴
あけ加工やポケット加工を行っている。するとドリルと
エンドミルといった2種類の工具用のNCプログラムを
作成しなければならなかったり、加工過程で工具交換を
しなければならなかったり作業能率が悪かった。本発明
では、エンドミルまたはボールエンドミルをX軸または
Y軸方向に移動させながらZ軸方向に切込み、通常の溝
切削と同じ方法で穴あけ加工やポケット加工を行う切削
加工方法も開示している。もちろんこのとき高圧クーラ
ントは前述の方法で切削点に高圧で噴出させている。こ
の切削加工方法によって1種類の工具でむく材のワーク
に穴あけ加工やポケット加工を一気に施すことができ、
加工能率の向上を図ることができる。
【0051】先ず、図9および図10を参照して、3次
元形状の切削加工を等高線輪郭加工で行うのと、往復加
工で行うのとどちらが有利かを考える。図9はポケット
加工を等高線輪郭加工で加工する場合の工具経路を図示
しており、Z軸方向の高さが等しい輪郭に沿って工具1
2をX−Y平面内で送り、1周回したらZ軸方向にX
軸、Y軸と同時に所定量切込み、つまり傾斜した経路3
6に沿って所定量切込み、その高さの輪郭に沿って工具
12を再び周回させる切削加工方法である。これに対し
て図10は、同じ形状のポケット加工を往復加工する場
合の工具経路を図示しており、工具12のY軸方向位置
を固定しておき、X−Z平面内で工具12を一端から他
端まで送り、所定量のピックフィード37をY軸方向に
与え、逆方向にX−Z平面内で工具を送り切削加工する
方法である。
【0052】往復加工は、ポケットPの側面と底面との
コーナ部において工具12に作用する負荷の大きさと方
向が変化し易く加工が不安定である。また往路または復
路の一つの工具経路において、工具の側面切刃で加工し
たり、底面切刃で加工したりして、加工箇所により切削
速度が変化して面粗度がばらつく。等高線輪郭加工は一
つの周回の工具経路における加工中の負荷の大きさと方
向の変動が小さく比較的安定した加工が行える。また同
一箇所の切刃で加工しており切削速度が一定となり面粗
度が均一である。特に面粗度が要求される仕上げ加工の
場合は、等高線輪郭加工が好ましい。
【0053】図11は切削加工中の状態を工具12の軸
線方向から見た図で、図11(a)はダウンカットを図
11(b)はアップカットをそれぞれ示している。ダウ
ンカットは工具12の切刃がワークWを押し付けながら
切削し進行するのに対し、アップカットは工具12の切
刃がワークWをすくい上げながら切削し進行する。ダウ
ンカットは、切刃がワークWにくい込まず、切込み量相
当が確実に切削でき、面粗度も良好であるのに対し、ア
ップカットは、切刃とワークWとの間にすべりやくい込
みが生じ易く、加工精度、面粗度が劣ることが知られて
いる。またすべりがあるためダウンカットより発熱が大
きいという欠点もある。このようにダウンカットの方が
優れている点が多く、切削加工はなるべくダウンカット
を維持するのが良い。前述の等高線輪郭加工でもダウン
カットで行うのが良い。
【0054】ダウンカットまたはアップカットは、ワー
クの側面や、ポケットの内周面加工のように、回転工具
の一方側だけで加工する場合の現象である。溝加工のよ
うに回転工具の二つの側で同時に加工する場合は、ダウ
ンカットとアップカットとが併存しており、通常、仕上
げるべき側がダウンカットになるように工具とワークと
の相対移動を行わせる。後述の工具経路を平面上でうず
巻き状にしてポケット加工を行う場合においても、ポケ
ットの内周面がダウンカットになるように工具とワーク
との相対移動を行うのである。
【0055】図12はボールエンドミルによる穴あけ加
工の説明図である。ボールエンドミル12を回転しなが
らZ軸方向に切込み、同時にX−Y平面内において公転
運動を与える、つまり、回転するボールエンドミルを螺
旋状の経路でむく材のワークWに切込ませ、ストレート
またはテーパ状の穴40を加工するものである。ボール
エンドミルはほぼ半球形状の切刃部があり、シャンク部
は切刃部の径より若干細く形成しておき、一旦加工した
面をシャンク部がこすらないようにして穴加工を行う
と、非常に面粗度が良好な加工が行える。通常のスクエ
アエンドミルを用いると、一旦加工した面を上部の切刃
がこすり、面荒れを招く。また熱が工具先端のコーナエ
ッジに集中し加工面粗度が悪くなる。この穴あけ加工
は、ダウンカットとアップカットとが混在する溝加工に
なるが、切刃が加工すべき穴の内周面と接触する部分に
おいてはダウンカットになるようにボールエンドミルと
ワークWとを相対移動させるのが良い。
【0056】図13はボールエンドミル12を用いたポ
ケット加工の説明図である。むく材のワークWにポケッ
トPを加工するのに、ボールエンドミル12を前述のよ
うにXまたはY軸方向に移動させながらZ軸方向に切込
み、所定量の切込みに達したらX−Y平面内においてう
ず巻き状の工具経路に従ってボールエンドミル12とワ
ークWとを相対移動させ、加工すべきポケットPの寸法
まで加工したらうず巻きの拡大を止め、X軸、Y軸と同
時にZ軸方向の切込みを再度与えてうず巻き状工具経路
に沿った相対移動を行わせる。うず巻きを外側から縮小
させる方向に工具経路を形成させても同じである。ポケ
ットPの内周面と接触する部分においては、ダウンカッ
トになるようにボールエンドミル12とワークWとを相
対移動させるのが良いことは言うまでもない。
【0057】このときボールエンドミル12の直径をD
とすると、1回のZ軸方向の切込み量は0.1D以下の
比較的浅い量に抑え、1刃当りの加工体積を少なくして
発熱量を小さく、すなわち確実に冷却できるようにし、
加工能率はボールエンドミルの回転数と送り速度を大き
くしてカバーするような加工方法が好しい。また面粗度
がさほど悪化しないZ軸方向切込み量とXまたはY軸方
向のピックフィード量(うず巻きのピッチ)との限界の
組み合せが、切込み量0.1D以下でピックフィード量
D/2以下である。
【0058】従来は、Z軸方向の切込み量を0.2〜
0.4Dと比較的大きくし、ピックフィード量を0.1
Dと比較的小さくする加工方法が主流であった。1刃当
りの加工体積が大きいので発熱量が大きく、工具寿命が
短かくなり、特に高硬度材の加工には不向きである。
【0059】上記Z軸方向切込み量0.1D以下、Xま
たはY軸方向のピックフィード量D/2以下のボールエ
ンドミル加工は、高圧クーラントを切削点に噴出させて
行う前述の往復加工にも有効である。また高圧クーラン
トを切削点に噴出させながら前述のボールエンドミルに
よる穴あけ加工や、Z軸方向切込み量0.1D以下、ピ
ックフィード量D/2以下の加工等を金型鋼や焼入れ鋼
のような高硬度材や高靱性材でなる難削材ワークに施こ
すことができる。従来研削加工や放電加工でしか加工す
ることのできなかったことが、切削加工によって気軽に
達成できるのである。
【0060】次に、NCプログラムに従って前述の各種
の加工を行うことを考える。穴あけ加工、ポケット加
工、溝加工等比較的単純形状をしており、また繰り返し
使用実行されるので、これに対応するNCプログラム
は、前述の加工方法を網羅した形で予め標準化してサブ
プログラム化しておくと良い。図14を参照して、本発
明のNC制御装置について説明する。NC制御装置10
0は、主(メイン)プログラム部110と副(サブ)プ
ログラム部120と、プログラム実行部130と、X−
Yテーブル42のためのサーボ制御部140と、工具主
軸のZ軸のためのサーボ制御部150と、クーラント制
御部160とを具備して構成されている。
【0061】副プログラム部120は、穴あけ加工、ポ
ケット加工、溝加工等の標準的な切削加工に対応する複
数の標準プログラム121、122、123、..、1
2Nを具備している。プログラム実行部130において
主プログラム部110のプログラムが実行される。そし
て、実施すべき加工に対する標準プログラム121、1
22、123、または12Nが適宜に選択される。こう
して主プログラムおよび標準プログラムがプログラム実
行部130において実行される。プログラム実行部13
0から、X−Yテーブル42のためのサーボ制御部14
0と、Z軸のためのサーボ制御部150と、クーラント
制御部160へ、各々の制御対象のための信号が送信さ
れる。
【0062】X−Yテーブル42のためのサーボ制御部
140は、切削工具12をX−Yテーブル42に固定さ
れたワーク(図14には図示されていない)に対して送
るための送り手段41に制御信号を送信する。送り装置
41は、サーボモータとボールネジ(図示せず)とを有
する通常の送り装置により構成される。送り装置41に
よりX−Yテーブル42は、XまたはY軸の方向に送ら
れ、これにより切削工具12がワークに対して所定経路
に沿って送られる。
【0063】Z軸のためのサーボ制御部150は、切削
工具12をZ軸方向に送るための手段43に制御信号を
送信する。送り装置43は、サーボモータとボールネジ
(図示せず)とを有する通常の送り装置により構成され
る。また、クーラント制御部160からクーラント供給
源11に制御信号が送信され、これによりクーラント供
給源11が供給するクーラントの圧力と流量とを制御す
る。
【0064】例えばボールエンドミルによる穴あけ加工
の場合、最初に使用工具径、加工すべき穴の内径および
深さを指定しさえすれば、NCプログラムの途中におい
て、穴あけ加工のサブプログラムを呼び出し、工具経路
や切込み量等をいちいち指定しなくても自動的に所望の
穴あけ加工が完了する。すなわち、高圧クーラントが噴
射され、穴あけ加工はボールエンドミルを用い、ワーク
との間で螺旋状にかつダウンカットになるように相対移
動が自動的に行われるのである。同様にポケット加工な
らば、使用工具径、加工すべきポケットの大きさと深さ
を指定しさえすれば、ボールエンドミルとワークとをう
ず巻き状にかつダウンカットになるように相対移動を自
動的に行う。溝加工の場合は、使用工具径、加工すべき
溝幅と溝長さ、溝深さ等を指定しさえすれば、直径Dの
ボールエンドミルのZ軸方向の切込み量0.1D以下、
必要であればピックフィード量D/2以下にしてダウン
カットする等の加工条件の設定が自動的に行われる。こ
のサブプログラム化は、NC装置のマクロプログラム機
能を用いて行うとより好都合である。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の切削加工
方法および装置によれば、切削工具のシャンク外周に形
成したクーラント供給溝に流通させた高圧クーラントは
切刃部のすくい面に直接的に当たるように噴出されるの
で、切削加工中、常に充分な圧力、流量の高圧クーラン
トが途中の切刃部やワークの形状に妨げられることなく
確実に切刃のすくい面に供給される。したがって、切削
加工部における切削熱を保有する切屑を迅速かつ確実に
排出され、切削工具が効果的に冷却される。
【0066】また、奪熱効果が大きいので切削工具の寿
命が伸び、経済的である。また本発明によれば、切削工
具の長さや工具径によりクーラントの噴出位置や角度を
変える必要がないので自動化が達成し易くなった。更に
本発明によれば、回転する切削工具をX軸またはY軸方
向に移動させながらZ軸方向の切込みを与える方法や、
等高線輪郭加工の採用、ボールエンドミルとワークとを
螺旋状に、かつ、ダウンカットになるように送る穴あけ
加工方法の採用、ボールエンドミルのZ軸方向切込み量
は0.1D以下、ピックフィード量はD/2以下となる
加工方法の採用等により、加工能率と面粗度の向上を達
成できた。また金型鋼や焼入れ鋼のような高硬度材また
は高靱性材でなる難削材ワークの切削加工も達成でき
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の切削加工装置の構成図である。
【図2】本発明によるエンドミルの一例を示す図であ
る。(a)は正面図である。(b)は図2(a)のA−
Aに沿う断面図である。
【図3】本発明によるボールエンドミルの一例を示す図
である。(a)は正面図である。(b)は図3(a)の
B−Bに沿う断面図である。
【図4】本発明によるドリルの一例を示す図である。
(a)は正面図である。(b)は図4(a)のC−Cに
沿う断面図である。
【図5】本発明によるフライスカッタの一例を示す図で
ある。(a)は正面図ある。(b)は図5(a)のD−
Dに沿う断面図である。
【図6】本発明のクーラントの作用を示す説明図であ
る。
【図7】本発明の他の実施例を示す図である。(a)は
工具ホルダの中心軸に沿う断面図である。(b)は図7
(a)のE−Eに沿う断面図である。
【図8】本発明の別の実施例を示す図である。(a)は
工具ホルダの中心軸に沿う断面図である。(b)は図8
(a)のF−Fに沿う断面図である。
【図9】等高線輪郭加工による切削加工方法の説明図で
ある。
【図10】往復加工による切削加工方法の説明図であ
る。
【図11】2種類の切削加工方法を対比して示す図であ
る。(a)はダウンカットの説明図である。(b)はア
ップカットの説明図である。
【図12】ボールエンドミルによる穴あけ加工の説明図
である。
【図13】ボールエンドミルによるポケット加工の説明
図である。
【図14】本発明のNC制御装置の概略ブロック線図で
ある。
【符号の説明】
1…工具主軸 5…工具ホルダ 9…パイプ 10…流体回転継手 11…クーラント供給源 12…エンドミル 13…クーラント供給溝 14…切刃 16…シャンク 18…工具装着孔 21…コレット 22…すり割り 23…リング 24…凹溝 W…ワーク

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 工具本体外周にシャンク部の後端から先
    端の切刃部のすくい面に向けて軸線と平行に少なくとも
    1本の直線状で凹形状のクーラント供給溝を刻設したエ
    ンドミルを工具ホルダに装着し、 前記工具ホルダの切削工具装着孔に高圧クーラントを導
    入し、 前記エンドミルのクーラント供給溝内に前記高圧クーラ
    ントを流通させ、 前記エンドミル先端の切刃部のすくい面にクーラントが
    直接当たるように前記高圧クーラントを噴出し、 前記エンドミルを高速回転させながら所定の浅切込みで
    かつ工具とワークとを高速相対移動させて切削加工を行
    い、 切削加工によって発生する切削熱が前記エンドミルに伝
    達される前に切削屑を前記クーラントで吹き飛ばし、 前記エンドミルの切刃部の温度上昇を極力押さえてワー
    クをフライス加工する切削加工方法。
  2. 【請求項2】 前記切削加工のZ軸方向の切込みは、X
    軸またはY軸を移動させながら前記所定の浅切込みで等
    高線輪郭または螺旋状加工になるように行う請求項1に
    記載の切削加工方法。
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