JPH10225126A - 電源装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スイッチング電源の並列運転時に、負荷へ供
給する出力電流を各スイッチング電源に均等に分担させ
ることによって、電源装置全体の寿命および信頼性を向
上させることを目的とする。 【解決手段】 複数のスイッチング電源のそれぞれは、
出力電流信号を検出する電流検出回路５と、検出した出
力電流信号を基準電流信号と比較する電流比較回路７
と、電流検出回路の出力および電流比較回路の出力から
出力電流信号が基準電流信号より大きいことを検出する
過電流検出回路１０と、過電流検出回路によって出力電
流信号が基準電流信号より大きいことを検出した場合は
スイッチング時間を制御して出力電圧および出力電流信
号を低下させる制御回路１１とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、互いに並列接続さ
れた複数のスイッチング電源を用いて負荷を駆動する電
源装置に関し、特に各スイッチング電源が出力電流を均
等に分担するように制御する制御機能を備えた電源装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４は、並列接続された３台のスイッチ
ング電源ＤＣ１，ＤＣ２，ＤＣ３を用いて負荷ＲＤに電
力を供給する電源装置のブロック図である。同図におい
て、スイッチング電源ＤＣ１〜ＤＣ３は、ともに同一定
格を有し、交流電源ＡＣからの交流電圧を直流電圧Ｖ
１，Ｖ２，Ｖ３（Ｖ１＝Ｖ２＝Ｖ３）に変換し、負荷Ｒ
Ｄに電力を供給している。

【０００３】このような複数の電源を用いた並列運転
は、後発的な理由による電源の容量アップや、実装スペ
ースの制約などで小型の電源を使用せざるを得ない場合
や、コスト的に小容量の電源を複数台並列に用いた方が
有利な場合などに行われる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、３台のスイ
ッチング電源ＤＣ１〜ＤＣ３が同一仕様で製造された電
源であっても、部品のバラツキや内部損失の違いなどに
よって出力電圧に数ｍボルト程度の格差が生じる。する
と、少しでも出力電圧の高いスイッチング電源から優先
的に負荷へ電流が供給されることになり、特定の電源の
稼働率のみが高くなる。

【０００５】図５は、スイッチング電源ＤＣ１〜ＤＣ３
の出力分担特性図で、各スイッチング電源ＤＣ１〜ＤＣ
３の定格電流値が１０Ａ、出力電圧の格差が、Ｖ１＞Ｖ
２＞Ｖ３になっているとすると、全出力電流信号が１０
Ａ未満のときはスイッチング電源ＤＣ１のみが作動し、
負荷ＲＤに電力を供給する。

【０００６】各スイッチング電源ＤＣ１〜ＤＣ３には、
それぞれ過電流保護回路が内臓されており、スイッチン
グ電源ＤＣ１の出力電流が、例えば１１Ａに達するとス
イッチング電源ＤＣ１の過電流保護回路が作動して出力
電圧を低下させる。

【０００７】スイッチング電源ＤＣ１の出力電圧Ｖ１が
スイッチング電源ＤＣ２の出力電圧Ｖ２まで低下する
と、スイッチング電源ＤＣ２が作動する。この結果、２
台のスイッチング電源ＤＣ１，ＤＣ２によって負荷ＲＤ
に供給する電流を均等に分担することになる。スイッチ
ング電源ＤＣ１，ＤＣ２の全出力電流が、例えば２２Ａ
に達するとスイッチング電源ＤＣ１，ＤＣ２の各過電流
保護回路が作動して出力電圧を低下させる。

【０００８】スイッチング電源ＤＣ１，ＤＣ２の出力電
圧Ｖ１，Ｖ２がスイッチング電源ＤＣ３の出力電圧Ｖ３
まで低下すると、スイッチング電源ＤＣ３が作動する。
この結果、３台のスイッチング電源ＤＣ１〜ＤＣ３によ
って負荷ＲＤに供給する電流を均等に分担することにな
る。スイッチング電源ＤＣ１〜ＤＣ３の全出力電流が、
例えば３３Ａに達するとスイッチング電源ＤＣ１〜ＤＣ
３の各過電流保護回路が作動して出力電圧を低下させ
る。

【０００９】このように、複数の電源を用いて並列運転
を行っても、特定の電源（この場合はスイッチング電源
ＤＣ１）の稼働率のみが高くなるため、特定の電源を頂
点として電源間に熱傾斜が生じる。電源の寿命は電解コ
ンデンサの寿命によるが、電解コンデンサは熱によって
寿命が短くなるため、発熱の多い特定の電源の寿命が他
の電源の寿命に比べて格段に短くなる。

【００１０】従って、電源装置全体の寿命は、この特定
の電源の寿命に依存し、他の電源は寿命が尽きていない
にも拘わらず電源装置の信頼性を低下させることにな
る。この場合、特定の電源のみを交換すればよいが、使
用者の中には特定の電源を識別することができないた
め、電源装置全体を替えてしまうので、コスト高になる
という不都合が生じる。

【００１１】本発明は、このような従来の課題を解決す
るためになされたもので、スイッチング電源の並列運転
時に負荷へ供給する出力電流を、各スイッチング電源に
均等に分担させることによって、電源装置全体の寿命お
よび信頼性を向上させることを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１記載の
発明は、負荷に対して複数のスイッチング電源が並列に
接続された電源装置において、スイッチング電源のそれ
ぞれは、出力電流信号を検出する電流検出回路と、検出
した出力電流信号を基準電流信号と比較する電流比較回
路と、電流検出回路の出力および電流比較回路の出力か
ら出力電流信号が基準電流信号より大きいことを検出す
る過電流検出回路と、過電流検出回路によって出力電流
信号が基準電流信号より大きいことを検出した場合はス
イッチング時間を制御して出力電圧および出力電流を低
下させる制御回路とを備える。

【００１３】本発明の請求項２記載の発明は、請求項１
記載の発明において、電流検出回路は、スイッチング電
源を構成するメイントランスの１次側もしくは２次側の
巻線間またはメイントランスに新たに設置した巻線間に
設けた平滑回路からなり、平滑回路の発生電圧がメイン
トランスの伝達エネルギー量に比例することを利用して
出力電流信号を検出するようにする。

【００１４】本発明によれば、全出力電流の平均値また
は最大値等を基準電流信号とし、基準電流信号より大き
な出力電流信号を負荷に供給しているスイッチング電源
に対しては、過電流動作をさせることによって出力電流
信号を低下させ、一方基準電流信号より小さな出力電流
信号を負荷に供給しているスイッチング電源に対して
は、過電流動作をさせないことによって出力電流信号を
上昇させ、これによって各スイッチング電源の出力電流
信号を基準電流信号に統一するようにしている。また、
出力電流信号の検出に平滑回路を用いることによって、
電源本体を小型に保ったまま、低損失で線形性のよい出
力電流の検出を行うようにしている。

【００１５】

【発明の実施の形態】図１は、本発明による電源装置の
一実施の形態を示すブロック図である。本実施の形態に
よる電源装置は、複数のスイッチング電源ＤＣ１，ＤＣ
２を有し、負荷ＲＤに電力を供給する並列運転を行って
いる。

【００１６】スイッチング電源ＤＣ１，ＤＣ２は、メイ
ントランス１の１次側に交流電源ＡＣからの交流電圧を
平滑する１次側平滑回路２、この平滑回路２の出力電圧
をオン／オフするスイッチング素子３が接続され、メイ
ントランス１の２次側には２次側平滑回路４、電流検出
抵抗器５、電圧検出抵抗器６が接続され、さらに負荷Ｒ
Ｄが接続されている。

【００１７】また、電流検出抵抗器５で検出した出力電
流信号と基準電流信号とを比較する電流比較回路７、電
圧検出抵抗器６で検出した出力電圧信号と基準電圧信号
とを比較する電圧比較回路８、電流検出抵抗器５で検出
した出力電流信号と電流比較回路７の比較出力とを加算
する加算回路９、加算回路９の出力から出力電流信号が
過電流であることを検出する過電流検出回路１０、電圧
比較回路８および過電流検出回路１０の出力に基づいて
スイッチング素子３のオン／オフ時間を制御して出力電
圧を調整するパルス幅制御回路１１を備える。

【００１８】基準電流信号としては、各スイッチング電
源ＤＣ１，ＤＣ２の出力電流信号の平均値または最大値
が基準電流信号ライン１２を介して供給される。この例
では各出力電流信号の平均値を基準電流信号とする。

【００１９】図２は、本発明の要部である電流フィード
バック系の詳細を示す構成図で、スイッチング電源ＤＣ
１のみを代表して示し、同一構成のスイッチング電源Ｄ
Ｃ２は省略している。同図において、電流比較回路７は
演算増幅器７ａを有し、その反転入力端子には電流検出
抵抗器５で検出した出力電流信号が入力されており、非
反転入力端子には基準電流信号ライン１２を介して基準
電流信号が入力されている。

【００２０】また、演算増幅器７ａの両入力端子間に
は、トランジスタ７ｂが接続されており、このトランジ
スタ７ｂは出力電圧を抵抗器７ｃ，７ｄで分圧した電圧
でオンする。ただし、抵抗器７ｄはスイッチング電源Ｄ
Ｃ１，ＤＣ２に共通に設けられたスイッチ１３がオンし
たときには短絡される。このスイッチ１３は１台のスイ
ッチング電源による単独運転時にはオフ（開）となり、
並列運転時にはオン（閉）となる。

【００２１】また、演算増幅器７ａの両入力端子間には
抵抗器７ｅが接続されている。この抵抗器７ｅは、スイ
ッチング電源ＤＣ１，ＤＣ２の出力電流信号の平均値を
取るための抵抗器で、これにより非反転入力端子に接続
されている基準電流信号ライン１２には、各スイッチン
グ電源ＤＣ１，ＤＣ２の出力電流信号の平均値となる信
号が流れることになる。

【００２２】加算回路９は、電流検出抵抗器５で検出し
た出力電流信号と電流比較回路７で得られた比較出力信
号とを加算し、過電流検出回路１０に出力する。過電流
検出回路１０は、加算回路９の出力によって駆動される
トランジスタ１０ａおよびフォトカプラ１０ｂを有し、
出力はパルス幅制御回路１１のＯＣＰ端子に接続されて
いる。なお、過電流検出回路１０の構成は図示の構成に
限定されるものではなく、出力電流信号が基準電流信号
を超えた場合に、出力がＯＰＣ端子の閾値電位を超える
構成であればよい。

【００２３】この構成において、スイッチ１３をオンし
て２台のスイッチング電源ＤＣ１，ＤＣ２で並列運転を
した場合、スイッチング電源ＤＣ１の出力電流が１０
Ａ、スイッチング電源ＤＣ２の出力電流が８Ａと仮定す
ると、基準電流信号ライン１２上には９Ａの平均電流信
号が流れることになる。

【００２４】このため、スイッチング電源ＤＣ１の電流
比較回路７の出力には、１０Ａの出力電流信号と９Ａの
平均電流信号の差分を反転増幅した−１Ａ分の信号を得
る。次に、加算回路９で１０Ａの出力電流信号と−１Ａ
の信号とを加算し、９Ａ分の出力信号を得る。

【００２５】この結果、過電流検出回路１０の入力信号
は１０Ａから９Ａに低下するので、トランジスタ１０ａ
に流れる電流が減り、それによってフォトカプラ伝達電
流量が減るので、フォトカプラ１０ｂの受光側が開放状
態へ向かい、過電流検出回路１０の出力電位が上昇して
パルス幅制御回路１１のＯＰＣ端子の閾値電位を超える
ことになる。このため、パルス幅制御回路１１は出力電
圧を低下させるようにスイッチング素子３のオン／オフ
時間を制御する。

【００２６】スイッチング電源ＤＣ１の出力電流信号が
平均電流信号である９Ａになると、過電流検出回路１０
の出力電位がパルス幅制御回路１１のＯＰＣ端子の閾値
電位を下回り、安定する。

【００２７】これに対し、スイッチング電源ＤＣ２で
は、電流比較回路７の出力に８Ａの出力電流信号と９Ａ
の平均電流信号との差分を反転増幅した＋１Ａ分の信号
を得るので、加算回路９で８Ａの出力電流信号と＋１Ａ
の信号とを加算し、９Ａ分の出力信号を得る。

【００２８】この結果、過電流検出回路１０の入力信号
は、８Ａから９Ａに上昇することになるので、トランジ
スタ１０ａに流れる電流が増え、それによってフォトカ
プラ伝達電流量が増加するので、フォトカプラ１０ｂの
受光側が短絡状態に向かい、過電流検出回路１０の出力
電位が下降してパルス幅制御回路１１のＯＰＣ端子の閾
値電位を下回ることになる。この結果、過電流動作から
外れ、出力電流信号が増えて９Ａまで上昇し安定する。

【００２９】図３は、本発明の他の実施の形態を示すブ
ロック図で、スイッチング電源ＤＣ１のみを代表して示
し、同一構成のスイッチング電源ＤＣ２は省略してい
る。本実施の形態は、出力電流信号の検出を、電流検出
抵抗器５に代えて平滑回路構成の電流検出回路１５によ
って行うように構成している。その他の構成は、前述の
実施の形態と同様である。

【００３０】本実施の形態における電流検出回路１５
は、メイントランス１に新たな巻線を追加し、その巻線
間に平滑回路構成の電流検出回路１５を設け、平滑回路
の発生電圧がトランスの伝達エネルギー量に比例するこ
とを利用して電源の出力電流信号を検出するようにして
いる。

【００３１】この電流検出回路１５を用いると、電流検
出抵抗器５に比べて損失が少なく、またカレントトラン
スに比べて線形性がよいので、電源本体を小型に保った
まま低損失で線形性のよい検出が行える。なお、メイン
トランス１に新たな巻線を追加せずに、メイントランス
１の１次側または２次側の巻線間に電流検出回路１５を
設けるようにしてもよい。

【００３２】また、電流検出回路１５をメイントランス
１の１次側に設けてもよい。この場合は、電流比較回路
７、加算回路９、過電流検出回路１０は全て１次側回路
となり、過電流検出回路１０内のフォトカプラ１０ｂに
よる絶縁は不要となり、フォトカプラ１０ｂの代わりに
トランジスタを設けて加算回路９の出力をそのトランジ
スタのベースに接続するだけでよい。

【００３３】

【発明の効果】本発明によれば、出力電流信号が基準電
流信号より大きい場合は、過電流保護機能を動作させて
出力電圧を低下させる。出力電圧が低下すると、出力電
流信号も低下するので、各電源間の出力電流信号が均等
に分担されることになる。これにより、各電源間の出力
電流信号がバランスされ、発熱も均等になり、複数の電
源が並列接続された電源装置全体としての寿命および信
頼性を向上させることができる。また、出力電流信号の
検出に平滑回路を用いることによって、電源本体を小型
に保ったまま、低損失で線形性のよい出力電流信号の検
出が行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態を示すブロック図であ
る。

【図２】図１の電流フィードバック系の詳細を示す構成
図である。

【図３】本発明の他の実施の形態を示すブロック図であ
る。

【図４】電源の並列運転の状況を示すブロック図であ
る。

【図５】従来の並列運転時の電源の出力分担特性図であ
る。

【符号の説明】

１ メイントランス ２ １次側平滑回路 ３ スイッチング素子 ４ ２次側平滑回路 ５ 電流検出抵抗器 ６ 電圧検出抵抗器 ７ 電流比較回路 ８ 電圧比較回路 ９ 加算回路 １０ 過電流検出回路 １１ パルス幅制御回路 １２ 基準電流信号ライン １５ 電流検出回路 ＡＣ 交流電源 ＤＣ１〜ＤＣ３ スイッチング電源 ＲＤ 負荷

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 負荷に対して複数のスイッチング電源が
   並列に接続された電源装置において、前記スイッチング
   電源のそれぞれは、 出力電流信号を検出する電流検出回路と、 検出した出力電流信号を基準電流信号と比較する電流比
   較回路と、 前記電流検出回路の出力および前記電流比較回路の出力
   から前記出力電流信号が前記基準電流信号より大きいこ
   とを検出する過電流検出回路と、 前記過電流検出回路によって前記出力電流信号が前記基
   準電流信号より大きいことを検出した場合はスイッチン
   グ時間を制御して出力電圧および出力電流を低下させる
   制御回路と、を備えることを特徴とする電源装置。
2. 【請求項２】 前記電流検出回路は、スイッチング電源
   を構成するメイントランスの１次側もしくは２次側の巻
   線間またはメイントランスに新たに設置した巻線間に設
   けた平滑回路からなり、前記平滑回路の発生電圧が前記
   メイントランスの伝達エネルギー量に比例することを利
   用して出力電流信号を検出することを特徴とする請求項
   １記載の電源装置。