JPH10222813A - 薄膜磁気ヘッド - Google Patents

薄膜磁気ヘッド

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Publication number
JPH10222813A
JPH10222813A JP9019264A JP1926497A JPH10222813A JP H10222813 A JPH10222813 A JP H10222813A JP 9019264 A JP9019264 A JP 9019264A JP 1926497 A JP1926497 A JP 1926497A JP H10222813 A JPH10222813 A JP H10222813A
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JP
Japan
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layer
core layer
alloy
composition ratio
lower core
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Application number
JP9019264A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshinori Watanabe
利徳 渡辺
Akira Takahashi
高橋  彰
Fumito Koike
文人 小池
Nobuhiro Hayashi
信宏 林
Yoshihiro Kaneda
吉弘 金田
Kiyoshi Sato
清 佐藤
Eiji Umetsu
英治 梅津
Takashi Hatauchi
隆史 畑内
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH10222813A publication Critical patent/JPH10222813A/ja
Priority to FR9813597A priority patent/FR2767600B1/fr
Priority to FR9813596A priority patent/FR2767599B1/fr
Priority to US09/429,129 priority patent/US6210543B1/en
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下部コア層および上部コア層を形成していた
パーマロイは、飽和磁束密度が比較的高く、また保磁力
が小さいものの比抵抗が小さいために、記録周波数を高
くすると渦電流損失が増大するといった問題点があっ
た。また前記下部コア層が読み取りヘッドの上部シール
ド層を兼用する場合、シールド機能を向上させるには、
特に保磁力および磁歪定数を低くする必要がある。 【解決手段】 上部コア層10および下部コア層7がF
e―M―O系合金、Fe―M―T―O系合金、またはN
i―Fe―X系合金で形成されることにより、上部コア
層10が高飽和磁束密度、低保磁力および高比抵抗の性
質を有し、また下部コア層7が上部コア層7よりも低い
飽和磁束密度、低保磁力、高比抵抗および低磁歪定数の
性質を有するようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばハードディ
スク装置などに搭載されるMR/インダクティブ複合型
の薄膜磁気ヘッドに係り、特に上部コア層及び下部コア
層の材質を改良して磁気特性を向上させた薄膜磁気ヘッ
ドに関する。
【0002】
【従来の技術】図12は、従来の薄膜磁気ヘッドを記録
媒体の対向側から示した拡大断面図である。この薄膜磁
気ヘッドは、例えば浮上式ヘッドを構成するスライダの
トレーリング側端面に磁気抵抗効果を利用した読み出し
ヘッドh1と、書き込み用のインダクティブヘッドh2と
が積層されている。
【0003】読み出しヘッドh1では、センダストやN
i―Fe系合金(パーマロイ)などにより形成された下
部シールド層1上に、Al23(アルミナ)などの非磁
性材料による下部ギャップ層2が形成され、その上に磁
気抵抗効果素子層3が成膜されている。前記磁気抵抗効
果素子層3は、三層で構成されており、下から軟磁性層
(SAL層)、非磁性層(SHUNT層)、磁気抵抗効
果層(MR層)の順に積層されている。通常、前記磁気
抵抗効果層はNi―Fe系合金(パーマロイ)の層、前
記非磁性層はTa(タンタル)の層であり、前記軟磁性
層はNi―Fe―Nb系合金により形成されている。前
記磁気抵抗効果素子層3の両側には、縦バイアス層とし
てハードバイアス層4が形成されている。また、前記ハ
ードバイアス層4の上にCu(銅)、W(タングステ
ン)などの電気抵抗の小さい非磁性導電性材料の主電極
層5が形成されている。さらにその上に、アルミナなど
の非磁性材料による上部ギャップ層6が形成される。
【0004】前記上部ギャップ層6の上には下部コア層
20がパーマロイなどのメッキにより形成されている。
インダクティブヘッドh2ではこの下部コア層20が記
録媒体に記録磁界を与えるリーディング側コア部として
機能し、読み出しヘッドh1では上部シールド層として
機能している。また読み出しヘッドh1では、下部シー
ルド層1と下部コア層20との間隔によりギャップ長G
l1が決定される。前記下部コア層20の上には、アル
ミナなどによるギャップ層(非磁性材料層)8とポリイ
ミドまたはレジスト材料により形成された絶縁層(図示
しない)が積層され、前記絶縁層の上には螺旋状となる
ようにパターン形成されたコイル層9が設けられてい
る。前記コイル層9はCu(銅)などの電気抵抗の小さ
い非磁性導電材料で形成されている。そして前記コイル
層9はポリイミドまたはレジスト材料で形成された絶縁
層(図示しない)に囲まれ、前記絶縁層の上にパーマロ
イなどの磁性材料で形成された上部コア層21がメッキ
形成されている。なお、前記上部コア層21は記録媒体
に記録磁界を与えるインダクティブヘッドh2のトレー
リング側コア部として機能している。
【0005】前記上部コア層21は、図に示すように記
録媒体の対向側で下部コア層20の上に前記ギャップ層
8を介して対向し、記録媒体に記録磁界を与える磁気ギ
ャップ長Gl2の磁気ギャップが形成されている。そし
て、前記上部コア層21の上にアルミナなどの保護層1
1が設けられている。インダクティブヘッドh2では、
コイル層9に記録電流が与えられて、コイル層9から上
部コア層及び下部コア層20に記録磁界が与えられる。
そして、磁気ギャップの部分における、下部コア層20
と上部コア層21との間での洩れ磁界により、ハードデ
ィスクなどの記録媒体に磁気信号が記録される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】記録媒体への信号の書
き込み密度を高くし、磁気書き込み周波数を高くするた
めには、まず、下部コア層20および上部コア層21の
軟磁性特性を向上させ、低い保磁力及び高い比抵抗の性
質を有するようにすることが必要である。また飽和磁束
密度に関しては高いことが好ましいが、特に下部コア層
20の飽和磁束密度を上部コア層21の飽和磁束密度よ
りも低くして、下部コア層20と上部コア層21との間
における洩れ磁界が磁化反転しやすくなると、より記録
媒体への信号の書き込み密度を高くできるものと考えら
れる。
【0007】また、図12に示す薄膜磁気ヘッドでは、
下部コア層20がインダクティブヘッドh2のリーディ
ング側コア部として機能しているだけでなく、読み出し
ヘッドh1の上部シールド層としても機能しているた
め、前記下部コア層20はコアとしての性質及びシール
ドとしての性質の双方を兼ね備えたものでなければなら
ない。下部コア層20のシールド機能を向上させるため
には、記録媒体からの外部磁界方向(図12における紙
面に対して垂直方向)を磁化困難軸方向として、さらに
飽和磁束密度をあまり高くないようにし、低保磁力およ
び低磁歪定数の性質を有するようにすることが好まし
い。
【0008】また記録媒体への信号の書き込み密度をさ
らに高くするには、下部コア層20及び上部コア層21
の軟磁性特性を向上させると同時にインダクティブヘッ
ドh2において、磁気ギャップのギャップ長Gl2を短く
する必要があり、そのために非磁性材料層8ができるだ
け薄く形成される。さらに、読み出しヘッドh1におい
て、高密度記録された記録媒体からの洩れ磁界の分解能
を高くするためには、磁気ギャップのギャップ長Gl1
を短くすることが必要であり、そのために下部ギャップ
層2及び上部ギャップ層6ができるだけ薄く形成され
る。
【0009】ただし、このように磁気ギャップが狭小化
されても、下部コア層20のシールド機能が低下してい
ると、磁気抵抗効果素子層3のMR層を記録媒体の記録
ノイズから遮断できず、前記MR層が余分な信号までも
引き込んでしまい、バルクハウゼンノイズが発生しやす
くなるという問題が生じる。以上により、インダクティ
ブヘッドh2のリーディング側コア機能と読み出しヘッ
ドh1の上部シールド機能とを兼用する下部コア層20
は、上部コア層21よりも飽和磁束密度が低く、保磁力
が低く、比抵抗が高くさらに磁歪定数が低い軟磁性材料
で形成されることが好ましい。
【0010】ところが、従来の下部コア層20及び上部
コア層21を形成していたパーマロイは、飽和磁束密度
が1.0T(テスラ)程度と比較的高く、また、困難軸
方向の保磁力も0.5Oe(エルステッド)以下と小さ
いものの、比抵抗が30(μΩ・cm)以下と小さくな
っている。このため記録周波数をさらに高くした場合、
下部コア層20及び上部コア層21に渦電流が発生し、
渦電流による熱損失が増大しやすくなっていた。また高
周波領域における初透磁率も低下しており、従ってシー
ルド機能が低下し、MR層にバルクハウゼンノイズが発
生しやすくなっていた。
【0011】本発明は上記従来の課題を解決するための
ものであり、例えば特開平6―316748号公報に記
載されている軟磁性材料の組成比を下部コア層及び上部
コア層に必要な性質に合うように適正に調節して、上部
コア層及び下部コア層の軟磁性特性を向上させた薄膜磁
気ヘッドを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁気抵抗効果
素子層と、この磁気抵抗効果素子層に検出電流を与える
主電極層と、前記主電極層上に絶縁層を介して形成され
たインダクティブヘッドのリーディング側コア機能と、
読み出しヘッドの上部シールド機能とを兼ね備えた下部
コア層と、記録媒体との対向部で前記下部コア層と磁気
ギャップを介して対向する上部コア層と、両コア層に磁
界を与えるコイル層とを有する薄膜磁気ヘッドにおい
て、前記上部コア層は、組成式がFeaMbOcで示さ
れ、MはAl,Si,Hf,Zr,Ti,V,Nb,T
a,W,Mgまたは希土類元素のいずれかから選択され
る1種類または2種類以上の元素を表し、飽和磁束密度
が1.3T(テスラ)以上及び困難軸方向の保磁力が
1.0Oe(エルステッド)以下となるように組成比
a,b,c(原子%)を調節して成る軟磁性材料で形成
されることを特徴とするものである。
【0013】例えば、前記上部コア層が、FeaMbOc
合金の一例としてFeaHfbOc合金で形成されると
き、前記FeaHfbOc合金の三元図の各辺を元素Fe
の組成比、元素Hfの組成比、元素Oの組成比とする
と、組成比a,b,c(原子%)が以下の10点により
囲まれることが好ましい。 A(Fe:Hf:O)=(52.5:12.5:35.
0) B(Fe:Hf:O)=(53.3:11.1:35.
6) C(Fe:Hf:O)=(57.5:9.0:33.
5) D(Fe:Hf:O)=(63.3:4.8:31.
9) E(Fe:Hf:O)=(75.3:4.0:20.
7) F(Fe:Hf:O)=(76.3:5.0:18.
7) G(Fe:Hf:O)=(75.0:6.7:18.
3) H(Fe:Hf:O)=(70.0:9.0:21.
0) I(Fe:Hf:O)=(57.4:13.0:29.
6) J(Fe:Hf:O)=(53.5:13.0:33.
5)
【0014】また前記上部コア層は、組成式がFeaMb
(T+O)cで示され、MはAl,Si,Hf,Zr,
Ti,V,Nb,Ta,W,Mgまたは希土類元素のい
ずれかから選択される1種類または2種類以上の元素、
TはB,Cうちいずれか一方の元素を表し、飽和磁束密
度が1.3T(テスラ)以上及び困難軸方向の保磁力が
1.0Oe(エルステッド)以下となるように組成比
a,b,c(原子%)を調節して成る軟磁性材料で形成
されていてもよい。
【0015】例えば、前記上部コア層が、FeaMb(T
+O)c合金の一例としてFeaHfb(B+O)c合金で
形成されるとき、前記FeaHfb(B+O)c合金の三
元図の各辺を元素Feの組成比、元素Hfの組成比、元
素(B+O)の組成比とすると、組成比a,b,c(原
子%)が以下の8点により囲まれる範囲内であることが
好ましい。 A(Fe:Hf:B+O)=(60.0:9.5:3
0.5) B(Fe:Hf:B+O)=(62.5:6.0:3
1.5) C(Fe:Hf:B+O)=(66.8:4.0:2
9.2) D(Fe:Hf:B+O)=(74.0:5.0:2
1.0) E(Fe:Hf:B+O)=(75.0:7.5:1
7.5) F(Fe:Hf:B+O)=(72.3:10.5:1
7.2) G(Fe:Hf:B+O)=(62.6:13.7:2
3.7) H(Fe:Hf:B+O)=(60.8:12.3:2
6.9)
【0016】次に、本発明は、磁気抵抗効果素子層と、
この磁気抵抗効果素子層に検出電流を与える主電極層
と、前記主電極層上に絶縁層を介して形成されたインダ
クティブヘッドのリーディング側コア機能と、読み出し
ヘッドの上部シールド機能とを兼ね備えた下部コア層
と、記録媒体との対向部で前記下部コア層と磁気ギャッ
プを介して対向する上部コア層と、両コア層に磁界を与
えるコイル層とを有する薄膜磁気ヘッドにおいて、前記
下部コア層は、組成式がFeaMbOcで示され、MはA
l,Si,Hf,Zr,Ti,V,Nb,Ta,W,M
gまたは希土類元素のいずれかから選択される1種類ま
たは2種類以上の元素を表し、磁歪定数が1.0×10
-6以下及び困難軸方向の保磁力が1.0Oe以下となる
ように組成比a,b,c(原子%)を調節して成る軟磁
性材料で形成されることを特徴とするものである。
【0017】例えば、前記下部コア層が、FeaMbOc
合金の一例としてFeaHfbOc合金で形成されると
き、前記FeaHfbOc合金の三元図の各辺を元素Fe
の組成比、元素Hfの組成比、元素Oの組成比とする
と、組成比a,b,c(原子%)が以下の8点により囲
まれる範囲内であることが好ましい。 C(Fe:Hf:O)=(57.5:9.0:33.
5) D(Fe:Hf:O)=(63.3:4.8:31.
9) E(Fe:Hf:O)=(75.3:4.0:20.
7) F(Fe:Hf:O)=(76.3:5.0:18.
7) G(Fe:Hf:O)=(75.0:6.7:18.
3) H(Fe:Hf:O)=(70.0:9.0:21.
0) I(Fe:Hf:O)=(57.4:13.0:29.
6) K(Fe:Hf:O)=(67.5:6.7:25.
8)
【0018】また前記下部コア層は、組成式がFeaMb
(T+O)cで示され、MはAl,Si,Hf,Zr,
Ti,V,Nb,Ta,W,Mgまたは希土類元素のい
ずれかから選択される1種類または2種類以上の元素、
TはB,Cうちいずれか一方の元素を表し、磁歪定数が
1.0×10-6以下及び困難軸方向の保磁力が1.0O
e以下となるように組成比a,b,c(原子%)を調節
して成る軟磁性材料で形成されることを特徴とするもの
である。
【0019】例えば、前記下部コア層が、FeaMb(T
+O)c合金の一例としてFeaHfbBOc合金で形成さ
れるとき、前記FeaHfb(B+O)c合金の三元図の
各辺を元素Feの組成比、元素Hfの組成比、元素(B
+O)の組成比とすると、組成比a,b,c(原子%)
が以下の8点により囲まれる範囲内であることが好まし
い。 C(Fe:Hf:B+O)=(66.8:4.0:2
9.2) D(Fe:Hf:B+O)=(74.0:5.0:2
1.0) E(Fe:Hf:B+O)=(75.0:7.5:1
7.5) F(Fe:Hf:B+O)=(72.3:10.5:1
7.2) G(Fe:Hf:B+O)=(62.6:13.7:2
3.7) I(Fe:Hf:B+O)=(57.5:14.5:2
8.0) J(Fe:Hf:B+O)=(57.8:10.2:3
2.0) K(Fe:Hf:B+O)=(58.7:4.4:3
6.9)
【0020】また、上部コア層および下部コア層は、共
に、組成式がNiaFebXcで示され、XはMo,Sの
うちいずれか一方の元素を表しており、組成比a,b,
cは原子%で、44≦a≦54、42.5≦b≦54、
0≦c≦4、a+b+c=100なる関係を満足する軟
磁性合金によって形成されていてもよい。
【0021】前述したFe―M―O系合金及びFe―M
―(T+O)系合金はいずれもFeの微結晶相と元素M
およびOをFeの結晶相より高濃度に含む非晶質相とが
混在された軟磁性材料であり、スパッタ法または蒸着法
などの気相成長法で成膜され、またNi―Fe―X系合
金はメッキにより形成される。
【0022】本発明では、1.3T(テスラ)以上の飽
和磁束密度及び1.0Oe(エルステッド)以下の困難
軸方向の保磁力となるように組成比が適正に調節された
Fe―M―O系合金またはFe―M―(T+O)系合金
を上部コア層に使用している。なお、1.3T以上の飽
和磁束密度及び1.0Oe以下の困難軸方向の保磁力を
有するFe―M―O系合金及びFe―M―(T+O)系
合金は、比抵抗が100μΩ・cm以上となっている。
【0023】また、上部コア層はNi―Fe―X系合金
で形成されてもよく、Ni―Fe―X系合金は組成比を
適正に調節することにより、1.3T以上の飽和磁束密
度及び1.0Oe以下の困難軸方向の保磁力を得ること
が可能である。ただし比抵抗は、Fe―M―O系合金及
びFe―M―(T+O)系合金に比べて低く、45〜7
5μΩ・cm程度となる。
【0024】また本発明では、1.0×10-6以下の磁
歪定数及び1.0Oe以下の困難軸方向の保磁力となる
ように組成比が適正に調節されたFe―M―O系合金ま
たはFe―M―(T+O)系合金がコア機能とシールド
機能とを兼用する下部コア層に使用されている。なお、
1.0×10-6以下の磁歪定数及び1.0Oe以下の保
磁力を有するFe―M―O系合金またはFe―M―(T
+O)系合金は、飽和磁束密度が0.7T以上、比抵抗
が100μΩ・cm以上となっている。
【0025】また下部コア層はNi―Fe―X系合金で
形成されてもよく、Ni―Fe―X系合金は組成比を適
正に調節することにより、0.7T以上の飽和磁束密
度、1.0Oe以下の困難軸方向の保磁力、及び1.0
×10-6以下の磁歪定数を得ることが可能である。ただ
し比抵抗は、Fe―M―O系合金及びFe―M―(T+
O)系合金に比べて低く、45〜75μΩ・cm程度と
なる。
【0026】このように、Fe―M―O系合金、Fe―
M―(T+O)系合金およびNi―Fe―X系合金は、
比抵抗値が高いため記録周波数を高くしても渦電流が発
生しにくく、また高周波数における初透磁率が高くなっ
ている。
【0027】以上により、Fe―M―O系合金、Fe―
M―(T+O)系合金またはNi―Fe―X系合金はい
ずれも、下部コア層及び上部コア層に必要な性質を満た
すことのできる軟磁性材料であるため、これら3種類の
軟磁性材料のうちいずれかの軟磁性材料の組成比を適正
に調節して下部コア層及び上部コア層に使用すれば、高
密度記録化及び高周波数記録化に対応可能な薄膜磁気ヘ
ッドを製造することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施形態の
薄膜磁気ヘッドを示すものであり、記録媒体の対向側か
ら示した拡大断面図である。また、図2はスライダ12
上に形成された本発明の薄膜磁気ヘッドの全体構造の概
略を示す斜視図である。図1及び図2に示す薄膜磁気ヘ
ッドは、浮上式ヘッドを構成するスライダ12のトレー
リング側端面に形成されたものであり、読み出しヘッド
h1と、記録用のインダクティブヘッドh2とが積層され
たものとなっている。読み出しヘッドh1は、磁気抵抗
効果を利用してハードディスクなどの記録媒体からの洩
れ磁界を検出し、記録信号を読み取るものである。図に
示すようにスライダ12のトレーリング側端面12aに
は軟磁性材料製の下部シールド層1が形成されている。
【0029】本発明においては下部シールド層1とし
て、以下の3種類のいずれかの軟磁性材料を使用するこ
とが好ましい。 (1)Ni―Fe―X(ニッケル―鉄―X)系合金 組成式がNiaFebXcで示され、XはNb,Mo,S
のうち1種類または2種類以上の元素を示しており、組
成比a,b,cは原子%で、 78.8≦a≦82.4、11≦b≦13.8、5.5
≦c≦8.8 a+b+c=100 なる関係を満足する軟磁性材料
【0030】(2)Co―Zr―Nb(コバルト―ジル
コニウム―ニオブ)系アモルファス合金 組成式がCoaZrbNbcで示され、組成比a,b,cは原子
%で、 78≦a≦80、6≦b≦7、12≦c≦14、 0.4<(c/c+b)<0.8、a+b+c=100 なる関係を満足する軟磁性材料
【0031】(3)Co―Hf―Ta(コバルト―ハフ
ニウム―タンタル)系アモルファス合金 組成式がCoaHfbTacで示され、組成比a,b,cは原子
%で、 79≦a≦81、7.6≦b≦17.6、3.8≦c≦
13.2 0.4<(c/b+c)<0.6、a+b+c=100 なる関係を満足する軟磁性材料
【0032】なお、Co―Zr―Nbアモルファス合
金、及びCo―Hf―Taアモルファス合金はいずれも
スパッタ法や蒸着法などの気相成長法で成膜され、また
Ni―Fe―X系合金は気相成長法またはメッキにより
形成される。また、Co―Zr―Nbアモルファス合
金、及びCo―Hf―Taアモルファス合金は、成膜後
では結晶磁気異方性がなく、且つ非常に高い透磁率を有
している。
【0033】前述のNi―Fe―X系合金、Co―Zr
―Nbアモルファス合金、及びCo―Hf―Taアモル
ファス合金は、いずれも飽和磁束密度Bsが0.7T
(テスラ)以下と低くなっており、また磁歪定数(|λ
s|)がいずれも1×10-6以下と低くなっている。さ
らに磁化困難軸方向(記録媒体の外部磁界方向)の保磁
力Hcは、Ni―Fe―X系合金が0.5Oe(エルス
テッド)以下、Co―Zr―Nbアモルファス系合金が
0.1Oe以下、Co―Hf―Taアモルファス系合金
が0.2Oe以下といずれも低くなっている。
【0034】前記下部シールド層1が、Co―Zr―N
bアモルファス系合金またはCo―Hf―Taアモルフ
ァス系合金により成膜されると、図1に示すように、前
記下部シールド層1の両側側端部の上面1a,1aは、
曲面状に変化し、両縁部に向かうにしたがって徐々に薄
くなるように形成される。そのため、前記下部シールド
層1の上に形成される下部ギャップ層2はほぼ均一な膜
厚を保ちながらなだらかに形成される。
【0035】前記下部シールド層1上にAl23(アル
ミナ)などの非磁性材料により形成された下部ギャップ
層2が設けられている。下部ギャップ層2の上には磁気
抵抗効果素子層3が積層されている。磁気抵抗効果素子
層3は三層構造であり、下から軟磁性材料(Co―Zr
―Mo系合金またはNi―Fe―Nb系合金)によるS
AL層、非磁性材料製のSHUNT(例えばTa(タン
タル))、磁気抵抗効果を有するMR層(Fe―Ni系
合金)により形成されている。磁気抵抗効果素子層3の
両側には、MR層にバイアス磁界を与えるハードバイア
ス層4とMR層に検出電流を与える主電極層5(W(タ
ングステン)またはCu(銅))が形成されている。さ
らにその上にアルミナなどによる上部ギャップ層6が形
成されている。読み出しヘッドh1では、下部シールド
層1と後述する下部コア層(上部シールド層)7との間
隔によりギャップ長Gl1が決められるため、記録媒体
からの洩れ磁界の分解能を高めるために、下部ギャップ
層2及び上部ギャップ層6ができる限り薄く形成される
ことが好ましい。
【0036】下部ギャップ層2が薄く形成されると、下
部シールド層1と磁気抵抗効果素子層3との間隔は狭く
なり、特に前記磁気抵抗効果素子層3の最下層であるS
AL層から発生する磁界が下部シールド層1に影響を与
えやすくなる。このため下部シールド層1がSAL層か
ら発生する磁界を受けても前記下部シールド層1のシー
ルド機能が低下しないようにすることが必要である。
【0037】本発明では、下部シールド層が前述した3
種類の軟磁性材料のいずれかで形成されているため、前
記下部シールド層は、低飽和磁束密度、低保磁力及び低
磁歪の性質を有している。よって前記下部シールド層1
は、SAL層からの磁界により磁化されにくくなってお
り、従って前記下部シールド層1のシールド機能が極端
に低下することはない。また、下部シールド層1は、S
AL層またはハードバイアス層の磁界を引き込みにくく
なり、MR層へのSAL層による横バイアス及びMR層
へのハードバイアス層による縦バイアスを安定化するこ
とができる。その結果磁気抵抗効果素子の出力の線型応
答性を向上でき、バルクハウゼンノイズの発生を抑制す
ることができる。
【0038】前記上部ギャップ層6の上には、インダク
ティブヘッドh2のリーディング側コア部となる軟磁性
材料製の下部コア層7が形成されている。この下部コア
層7は、読み出しヘッドh1の上部シールド層として兼
用されている。下部コア層7の上にアルミナなどによる
ギャップ層(非磁性材料層)8が形成され、その上にポ
リイミドまたはレジスト材料製の絶縁層(図示しない)
を介して平面的に螺旋状となるようにパターン形成され
たコイル層9が設けられている。なお、前記コイル層9
はCu(銅)などの電気抵抗の小さい非磁性導電性材料
で形成されている。
【0039】さらに、前記コイル層9はポリイミドまた
はレジスト材料で形成された絶縁層(図示しない)に囲
まれ、前記絶縁層の上にインダクティブヘッドh2のト
レーリング側コア部となる軟磁性材料製の上部コア層1
0が形成されている。図1に示すように前記上部コア層
10の先端部10aは下部コア層7の上に前記非磁性材
料層8を介して対向し、記録媒体に記録磁界を与える磁
気ギャップ長Gl2の磁気ギャップが形成されており、
上部コア層10の基端部は図2に示すように、下部コア
層7と磁気的に接続されている。また、上部コア層10
の上には、アルミナなどの保護層11が設けられてい
る。
【0040】インダクティブヘッドh2では、コイル層
9に記録電流が与えられ、コイル層9から下部コア層7
及び上部コア層10に記録磁界が誘導される。そして、
磁気ギャップ長Gl2の部分で下部コア層と上部コア層
10の先端部10aとの間の洩れ磁界により、ハードデ
ィスクなどの記録媒体に磁気信号が記録される。また、
インダクティブヘッドh2においてハードディスクなど
の記録媒体に対して高密度に磁気信号を記録できるよう
にするために、インダクティブヘッドh2のギャップ長
Gl2はできる限り短く形成される。
【0041】ところで、インダクティブヘッドh2のト
レーリング側コア部となる上部コア層10は高飽和磁束
密度、低保磁力、高比抵抗の性質を有する軟磁性材料で
形成される必要がある。またインダクティブヘッドh2
のリーディング側コア部としての機能及び読み出しヘッ
ドh1の上部シールド機能を兼用する下部コア層7は、
上部コア層10よりも低い飽和磁束密度、低保磁力、高
比抵抗及び低磁歪定数の性質を有する軟磁性材料で形成
される必要がある。また記録媒体からの外部磁界方向
(図1に対して紙面に垂直方向)を磁化困難軸とするこ
とが好ましい。
【0042】本発明では下部コア層7及び上部コア層1
0として以下の3種類の軟磁性材料を例示できる。 (1)組成比がFeaMbOcで示され、Mは、Al,S
i,Hf,Zr,Ti,V,Nb,Ta,W,Mgまた
は希土類元素のうち一種類の元素または2種類以上の元
素で構成されることを特徴とする軟磁性材料。
【0043】Feは主成分であり、磁性を担う元素であ
る。Feの組成比(原子%)を大きくすると低磁歪定数
を得られるがFeの組成比(原子%)が大きすぎると比
抵抗が小さくなってしまう。また元素Mは、非晶質相を
形成し、また軟磁性特性を得るために必要なものであ
る。これらは酸素と結合することで酸化物的な高抵抗な
非晶質相を形成する。また、bcc構造のFeの微結晶
相と、元素MとOを結晶質相よりも高濃度に含む非晶質
とが混在したもので、微結晶相の比率が70%以下であ
ることがより好ましい。
【0044】FeaMbOc系合金が上部コア層10に使
用される場合、飽和磁束密度が1.3T(テスラ)以上
でしかも困難軸方向の保磁力が1.0Oe(エルステッ
ド)以下となるように組成比a,b,cを適正に調節し
なければならない。1.3T以上の飽和磁束密度及び
1.0Oe以下の困難軸方向の保磁力を有するFe―M
―O系合金は、比抵抗が100(μΩ・cm)以上とな
っている。また、さらに飽和磁束密度を高めるために、
FeにCo(コバルト)を適量添加してもよい。
【0045】また、FeaMbOc系合金が下部コア層7
に使用される場合、困難軸方向の保磁力が1.0Oe以
下及び磁歪定数が1.0×10-6以下となるように組成
比a,b,cを適正に調節しなければならない。1.0
Oe以下の保磁力及び1.0×10-6以下の磁歪定数を
有するFe―M―O系合金は、飽和磁束密度が0.7T
以上、比抵抗が100μΩ・cm以上となっている。
【0046】次に、本発明ではFe―M―O系合金の一
例としてFe―Hf―O(鉄―ハフニウム―酸素)合金
の組成比を変化させて、それぞれの組成比における軟磁
性特性を測定し、この軟磁性特性の測定値から下部コア
層7及び上部コア層10に必要な性質に合う組成範囲を
求めた。表1の測定点a〜lに示す数値にFe―M―O
系合金の組成比を変化させて、それぞれの測定点におけ
る飽和磁束密度、困難軸方向の保磁力、比抵抗及び磁歪
定数を測定した。なお、熱処理温度を200℃以下とし
た。その測定結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】次に表1に示す測定点を図4に示す三元図
上にプロットし、それぞれの測定点の飽和磁束密度、困
難軸方向の保磁力、比抵抗及び磁歪定数の数値から図4
の三元図上に0.7T及び1.3Tとなる飽和磁束密度
の境界線、1.0Oeとなる困難軸方向の保磁力の境界
線、100μΩ・cmとなる比抵抗の境界線、及び1.
0×10-6となる磁歪定数の境界線を描いた。図4に示
す実線の2本の曲線は0.7Tと1.3Tの飽和磁束密
度Bsの境界線を示しているが、前記飽和磁束密度は三
元図の右下方向(Feの組成比が高くまた、Oの組成比
が小さくなる方向)に向かうほど高くなっている。ま
た、点線で示されている曲線は1.0Oeの困難軸方向
の保磁力Hcの境界線を示しているが前記保磁力Hcは
左上方向(Feの組成比が小さく、またOの組成比が高
くなる方向)に向かうほど小さくなっている。一点鎖線
で示されている曲線は1.0×10-6の磁歪定数λSの
境界線を示しているが、前記磁歪定数λSは図示右方
向、つまりFeの組成比が大きくなる方向に向かうほど
小さくなっている。二点鎖点で示されている曲線は10
0μΩ・cmの比抵抗ρの境界線を示しているが、前記
比抵抗は図示左上方向(Feの組成比が小さく、またO
の組成比が高くなる方向)にむかうほど高くなってい
る。
【0049】以上の測定結果により、Fe―Hf―O合
金が上部コア層として使用される場合、図4に示すと
の斜線部内の組成比を用いれば、1.3T以上の飽和
磁束密度、1.0Oe以下の困難軸方向の保磁力及び1
00μΩ・cm以上の比抵抗を得ることができる。また
図4に示すとの斜線部は、表1に示す境界点A,
B,C,D,E,F,G,H,I,Jにより囲まれた範
囲内として表わすこともできる。
【0050】次にFe―Hf―O合金が下部コア層に使
用される場合、図4に示すとの斜線部内の組成比を
用いれば、0.7T以上の飽和磁束密度、1.0Oe以
下の困難軸方向の保磁力、100μΩ・cm以上の比抵
抗及び1.0×10-6以下の磁歪定数を得ることができ
る。また図4に示すとの斜線部は、表1に示す境界
点C,D,E,F,G,H,I,Kにより囲まれた範囲
内として表わすこともできる。
【0051】(2)組成式がFeaMb(T+O)cで示
され、MはAl,Si,Hf,Zr,Ti,V,Nb,
Ta,W,Mgまたは希土類元素のいずれかから選択さ
れる1種類または2種類以上の元素、TはB,Cうちい
ずれか一方の元素で構成されることを特徴とする軟磁性
材料。Feは主成分であり、磁性を担う元素である。F
eの組成比(原子%)を大きくすると低磁歪定数を得ら
れるがFeの組成比(原子%)が大きすぎると比抵抗が
小さくなってしまう。また元素Mは、非晶質相を形成
し、また軟磁性特性を得るために必要なものである。こ
れらは酸素と結合することで酸化物的な高抵抗な非晶質
相を形成する。
【0052】また、bcc構造のFeの微結晶相と、元
素MとOを結晶質相よりも高濃度に含む非晶質とが混在
したもので、微結晶相の比率が70%以下であることが
より好ましい。FeaMb(T+O)c系合金が上部コア
層10に使用される場合、飽和磁束密度が1.3T(テ
スラ)以上でしかも困難軸方向の保磁力が1.0Oe
(エルステッド)以下となるように組成比a,b,cを
適正に調節しなければならない。1.3T以上の飽和磁
束密度及び1.0Oe以下の困難軸方向の保磁力を有す
るFe―M―T―O系合金は、比抵抗が100(μΩ・
cm)以上となっている。また、さらに飽和磁束密度を
高めるために、FeにCoを適量添加してもよい。
【0053】また、FeaMb(T+O)c系合金が下部
コア層7に使用される場合、困難軸方向の保磁力が1.
0Oe以下及び磁歪定数が1.0×10-6以下となるよ
うに組成比a,b,cを適正に調節しなければならな
い。1.0Oe以下の困難軸方向の保磁力及び1.0×
10-6以下の磁歪定数を有するFe―M―O系合金は、
飽和磁束密度が0.7T以上、比抵抗が100μΩ・c
m以上となっている。
【0054】次に、本発明ではFe―M―T―O系合金
の一例としてFe―Hf―B―O(鉄―ハフニウム―ホ
ウ素―酸素)合金の組成比を変化させて、それぞれの組
成比における軟磁性特性を測定し、この軟磁性特性の測
定値から下部コア層7及び上部コア層10に必要な性質
に合う組成範囲を求めた。表2の測定点a〜mに示す数
値にFe―Hf―B―O合金の組成比を変化させて、そ
れぞれの測定点における飽和磁束密度、困難軸方向の保
磁力、比抵抗及び磁歪定数を測定した。なお、熱処理温
度を200℃以下とした。その測定結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】次に表2に示す測定点を図5に示す三元図
上にプロットし、それぞれの測定点の飽和磁束密度、困
難軸方向の保磁力、比抵抗及び磁歪定数の数値から図5
の三元図上に0.7T及び1.3Tとなる飽和磁束密度
の境界線、1.0Oeとなる困難軸方向の保磁力の境界
線、100μΩ・cmとなる比抵抗の境界線、及び1.
0×10-6となる磁歪定数の境界線を描いた。図5に示
す実線の2本の曲線は0.7Tと1.3Tの飽和磁束密
度Bsの境界線を示しているが、前記飽和磁束密度は三
元図の右下方向(Feの組成比が高くまた、(B+O)
の組成比が小さくなる方向)に向かうほど高くなってい
る。また、点線で示されている曲線は1.0Oeの困難
軸方向の困難軸方向の保磁力Hcの境界線を示している
が前記保磁力Hcは左上方向(Feの組成比が小さく、
また(B+O)の組成比が高くなる方向)に向かうほど
小さくなっている。一点鎖線で示されている曲線は1.
0×10-6の磁歪定数λSの境界線を示しているが、前
記磁歪定数λSは図示右方向、つまりFeの組成比が大
きくなる方向に向かうほど小さくなっている。二点鎖点
で示されている曲線は100μΩ・cmの比抵抗ρの境
界線を示しているが、前記比抵抗は図示左上方向(Fe
の組成比が小さく、また(B+O)の組成比が高くなる
方向)にむかうほど高くなっている。
【0057】以上の測定結果により、Fe―Hf―B―
O合金が上部コア層として使用される場合、図5に示す
の斜線部内の組成比を用いれば、1.3T以上の飽和
磁束密度、1.0Oe以下の困難軸方向の保磁力及び1
00μΩ・cm以上の比抵抗を得ることが可能である。
また図5に示すの斜線部は、表2に示す境界点A,
B,C,D,E,F,G,Hにより囲まれた範囲内とし
て表わすこともできる。
【0058】次にFe―Hf―B―O合金が下部コア層
に使用される場合、図5に示すとの斜線部内の組成
比を用いれば、0.7T以上の飽和磁束密度、1.0O
e以下の困難軸方向の保磁力、100μΩ・cm以上の
比抵抗及び1.0×10-6以下の磁歪定数を得ることが
可能である。また図5に示すとの斜線部は、表2に
示す境界点C,D,E,F,G,I,J,Kにより囲ま
れた範囲内として表わすこともできる。
【0059】以上、詳述したFe―M―O系合金及びF
e―M―T―O系合金はいずれもスパッタ法や蒸着法な
どの気相成長法で成膜され、下部コア層及び上部コア層
をパーマロイなどでメッキ形成する場合よりも膜厚を薄
く形成できる。また図1に示すように、前記下部コア層
7の両側側端部の上面7a,7a及び上部コア層10の
上面10c,10cは、曲面状に変化し、両縁部に向か
うにしたがって徐々に薄くなるように形成されている。
そのため、前記上部コア層7の上に形成されるギャップ
層8はほぼ均一な膜厚を保ちながらなだらかに形成され
る。
【0060】(3)組成式がNiaFebXcで示され、
XはMo,Sのうちいずれか一方の元素を表しており、
組成比a,b,cは原子%で、44≦a≦54、42.
5≦b≦54、0≦c≦4、a+b+c=100なる関
係を満足することを特徴とする軟磁性材料である。な
お、XがMoの場合、組成比a,b,cは原子%で、4
4.2≦a≦48.3、50.6≦b≦53.6、0≦
c≦1.5、a+b+c=100なる関係を満足するこ
とが好ましい。
【0061】また、XがSの場合、組成比a,b,cは
原子%で、48≦a≦53.8、42.5≦b≦49.
4、0≦c≦4、a+b+c=100なる関係を満足す
ることが好ましい。Ni―Fe―X系合金は、前述した
組成比で形成されれば、1.3T以上の飽和磁束密度、
0.2Oe以下の困難軸方向の保磁力、1.0×10-6
以下の磁歪定数及び45〜75μΩ・cm程度の比抵抗
を得ることが可能である。
【0062】図6〜図8は、Ni―Fe―Mo(ニッケ
ル―鉄―モリブデン)合金を構成するMoの組成比と軟
磁性特性の測定値との関係を示すグラフである。実験で
は、Ni―Fe―Mo合金のNiの組成比を44.2〜
48.3(原子%)、Feの組成比を50.6〜53.
63(原子%)に固定し、Moの組成比を0〜2.5
(原子%)に変化させて、Moの組成比と飽和磁束密度
Bs、困難軸方向の保磁力Hc及び比抵抗ρとの関係に
ついて測定した。
【0063】図6は、Moの組成比と飽和磁束密度Bs
との関係を示すグラフである。図に示すようにMoの組
成比が大きくなるほど飽和磁束密度は小さくなっている
ことがわかる。特にMoの組成比を0〜1.5(原子
%)程度にすると、1.3T以上の飽和磁束密度Bsを
得ることが可能となる。
【0064】図7は、Moの組成比と困難軸方向の保磁
力Hcとの関係を示すグラフである。図に示すようにM
oの組成比を0〜2.5(原子%)に変化させても、困
難軸方向の保磁力Hcを常に0.2Oe以下とすること
ができる。
【0065】図8は、Moの組成比と比抵抗ρとの関係
を示すグラフである。図に示すようにMoの組成比を0
〜2.5(原子%)に変化させると、45μΩ・cm以
上の比抵抗ρを得ることができる。以上の測定結果によ
り、Moの組成比を0〜1.5(原子%)とすれば、
1.3T以上の飽和磁束密度、0.2Oe以下の困難軸
方向の保磁力及び45〜75μΩ・cmの比抵抗を得ら
れることがわかった。
【0066】次に、図9は、Ni―Fe―S(ニッケル
―鉄―硫黄)合金を構成するSの組成比と比抵抗との関
係を示すグラフである。実験では、Ni―Fe―SのN
iの組成比を48〜53.8(原子%)、Feの組成比
を42.5〜49.4(原子%9に固定し、Sの組成比
を0〜4(原子%)に変化させて、Sの組成比と比抵抗
ρとの関係について測定した。図に示すようにSの組成
比を0〜4(原子%)に変化させると、33μΩ・cm
以上の比抵抗οを得ることができる。
【0067】以上の測定結果により、Sの組成比を0〜
4(原子%)あるいは0〜3.8(原子%)とすれば、
33〜70μΩ・cmの比抵抗を得られることがわかっ
た。なお、Ni―Fe―X系合金はメッキにより形成さ
れる。以上詳述した3種類の軟磁性材料の組成比を適正
に調節して、下部コア層7及び上部コア層10に使用す
れば、前記下部コア層7及び上部コア層10の飽和磁束
密度比抵抗を高くし、また困難軸方向の保磁力を低く
し、さらに比抵抗を高めることができるため、記録周波
数を高くしても渦電流が発生しにくくなり、高周波透磁
率の低下が抑制される。
【0068】また、上部コア層10の飽和磁束密度を下
部コア層7の飽和磁束密度よりも高くすることで、上部
コア層10及び下部コア層7間における洩れ磁界の磁化
反転を起こしやすくしている。さらに、コア機能とシー
ルド機能とを兼用する下部コア層7の困難軸方向の保磁
力および磁歪定数を低くし、また前述のように記録周波
数を高くしても初透磁率が極端に低下しないため、下部
シールド層1と下部コア層7間の磁気ギャップ長Gl1
を短くしても、磁気抵抗効果素子層3のMR膜を記録ノ
イズから遮断すべき下部コア層7のシールド機能が低下
することなく、従って記録ノイズよるバルクハウゼンノ
イズの発生を防止することができる。
【0069】図3は本発明の第2の実施形態の薄膜磁気
ヘッドを示すものであり、記録媒体の対向側から示した
拡大断面図である。図3に示す薄膜磁気ヘッドは、例え
ば図2に示すスライダ12上に形成されたものであり、
読み出しヘッドh1とインダクティブヘッドh2とが積層
されたものとなっている。
【0070】下部シールド層1は、図1で説明した低飽
和磁束密度、低磁歪定数及び低保磁力のNi―Fe―X
系合金(X=Nb,Mo,S)、Co―Zr―Nbアモ
ルファス合金またはCo―Hf―Taアモルファス合金
のいずれかの軟磁性材料で形成される。前記下部シール
ド層1の上には、非磁性材料製の下部ギャップ層2、S
AL層、SHUNT層及びMR層の三層構造から成る磁
気抵抗効果素子層3が積層され、前記磁気抵抗効果素子
層3の両側にはハードバイアス層4とCu(銅)または
W(タングステン)製の主電極層5が形成されている。
さらにその上に非磁性材料製の上部ギャップ層6が形成
されている。
【0071】前記上部ギャップ層6の上には上部シール
ド層13が形成されている。前記上部シールド層13
は、下部シールド層1と同様に低飽和磁束密度、低保磁
力及び低磁歪定数のNi―Fe―X系合金、Co―Zr
―Nbアモルファス合金またはCo―Hf―Taアモル
ファス合金のいずれかの軟磁性材料で形成される。上部
シールド層13の上には、Cu、Au,Ta,Ti,C
r,Nb,Niなど電気抵抗の低い非磁性材料で形成さ
れた分離層14が形成されている。この分離層14は読
み出しヘッドh1とインダクティブヘッドh2とを完全に
分離する目的で設けられており、分離層14の下に積層
された多層膜が読み出しヘッドh1、分離層14の上に
積層された多層膜がインダクティブヘッドh2となって
いる。
【0072】前記分離層14の上には、インダクティブ
ヘッドh2のリーディング側コア部となる下部コア層7
が形成されている。前記下部コア層7の上には、非磁性
材料層8とレジスト材料製の絶縁層(図示しない)が積
層され、前記絶縁層の上には螺旋状となるようにパター
ン形成されたコイル層9が設けられている。なお、前記
コイル層9はCu(銅)など電気抵抗の低い非磁性導電
性材料で形成されている。そして前記コイル層9はレジ
スト材料製の絶縁層(図示しない)に囲まれ、前記絶縁
層の上にインダクティブヘッドh2のトレーリング側コ
ア部となる上部コア層10が形成されている。前記上部
コア層10は、その先端部10aが下部コア層7に非磁
性材料層8を介して対向し、記録媒体に記録磁界を与え
る磁気ギャップ長Gl2の磁気ギャップが形成されてお
り、基端部10bは下部コア層7と磁気的に接続されて
いる。また、上部コア層10の上には非磁性材料で形成
された保護層11が設けられている。
【0073】図3に示す薄膜磁気ヘッドには上部シール
ド層13が形成されており、従って下部コア層7に図1
に示す下部コア層7のようにシールド機能を持たせる必
要はない。よって、下部コア層7を、低保磁力、高比抵
抗でしかも飽和磁束密度が上部コア層10よりも低い軟
磁性材料で形成して、インダクティブヘッドh2のリー
ディング側コア部としての機能を向上させる必要があ
る。また上部コア層10は、図1に示す上部コア層10
と同様に、高飽和磁束密度、低保磁力及び高比抵抗の性
質を有する軟磁性材料で形成されることが好ましい。
【0074】下部コア層7及び上部コア層10は、共に
図1で説明した軟磁性特性に優れたFe―M―O系合
金、Fe―M―T―O系合金またはNi―Fe―X系合
金のいずれかの軟磁性材料で形成されることが好まし
い。下部コア層7が、FeaMbOc系合金またはFeaM
b(T+O)c系合金で形成される場合、飽和磁束密度が
0.7T以上及び困難軸方向の保磁力が1.0Oe以下
となるように組成比a,b,cを適正に調節しなければ
ならない。0.7T以上の飽和磁束密度及び1.0Oe
以下の困難軸方向の保磁力を有するFe―M―O系合金
及びFe―M―T―O系合金は、比抵抗が100μΩ・
cm以上となっている。
【0075】下部コア層7がFe―Hf―O合金で形成
される場合、図4に示すとととの斜線部内(表
1に示す境界点D,E,F,G,H,I,N,M,L,
Kに囲まれた範囲)の組成比を、またFe―Hf―B―
O合金で形成される場合、図5に示すととの斜線
部内(表2に示す境界点C,D,E,F,G,I,O,
N,M,Lに囲まれた範囲)の組成比を用いれば、0.
7T以上の飽和磁束密度、1.0Oe以下の困難軸方向
の保磁力及び100μΩ・cm以上の比抵抗を得ること
が可能である。また、下部コア層がNi―Fe―X系合
金で形成される場合、図1で説明したのと同じ組成比で
形成されれば、1.3T以上の飽和磁束密度、1.0O
e以下の困難軸方向の保磁力及び45〜75μΩ・cm
程度の比抵抗を得ることができる。
【0076】なお、上部コア層10に関しては図1の上
部コア層10で説明したのと同じ組成比のFe―M―O
系合金、Fe―M―T―O系合金またはNi―Fe―X
系合金が使用されれば、1.3T以上の飽和磁束密度、
1.0Oe以下の困難軸方向の保磁力およびFe―M―
O系合金、Fe―M―T―O系合金の場合は100μΩ
・cm以上の、Ni―Fe―X系合金の場合は45〜7
5μΩ・cm程度の比抵抗が得られる。
【0077】
【実施例】まず、Ni―Fe系合金、Fe―Al―Si
系合金、Fe80.5Zr8.111.4合金、Fe61Hf13
26合金、Fe62Hf1127合金、Fe68.9Hf10.2
1.019.9合金(数値はすべて原子%)の6種類の軟磁
性材料を用意して、それぞれの軟磁性材料における周波
数と初透磁率との関係について調べた。なお、周波数は
1MHz〜1000MHzまで変化させた。その実験結
果を図10に示す。図に示すように、Ni―Fe合金、
Fe―Al―Si系合金及びFe80.5Zr8.111.4
金は、周波数1MHz〜約30MHzまで、約1000
程度の初透磁率μ’を保っているが、周波数が約100
MHz以上となると、Fe―Al―Si系合金及びFe
80.5Zr8.111.4合金の初透磁率の実数部μ’は、1
00以下となっていることがわかる。また、Ni―Fe
合金の初透磁率の実数部μ’も周波数が約300MHz
以上になると、100以下となっている。
【0078】これに対し、Fe62Hf1127合金および
Fe68.9Hf10.21.019.9合金は、周波数が100
MHz程度になっても1000以上の初透磁率μ’を保
っていることがわかる。また、Fe61Hf1326合金は
周波数を高くしても、初透磁率μ’はほとんど低下する
ことなく、500〜800程度の初透磁率μ’を保って
いることがわかる。
【0079】これは、Fe61Hf1326合金、Fe62
1127合金およびFe68.9Hf10.21.019.9合金
はいずれも比抵抗が高くなっているため記録周波数を高
くしても渦電流が発生しにくく、従って周波数を高くし
ても高い初透磁率を保つことができるものと考えられ
る。ところで、初透磁率の大きさはシールド機能に関係
しており、初透磁率が高いほど、シールド機能は向上
し、よりMR膜を記録ノイズから遮断することが可能と
なる。
【0080】よって、コア機能とシールド機能とを兼用
する下部コア層7が、Fe61Hf1326合金、Fe62
1127合金またはFe68.9Hf10.21.019.9合金
により形成されれば、前記下部コア層7のシールド機能
を向上させることができ、しかもFe61Hf1326
金、Fe62Hf1127合金およびFe68.9Hf10.2
1.019.9合金は、図4および図5の三元図により高飽
和磁束密度、低保磁力および高比抵抗の性質を有してい
るため、コアとしての機能も同時に向上させることがで
きる。
【0081】次に、下部コア層7および上部コア層10
がNi―Fe系合金,Fe62Hf1127合金またはNi
48Fe50.5Mo1.5合金(数値はすべて原子%)で形成
された3種類の薄膜磁気ヘッドを製作して、それぞれの
薄膜磁気ヘッドにおける周波数とオーバーライト特性
(O.W.特性)について測定した。なお、O.W.特
性とは、記録媒体に記録された記録データの上に重ねて
異なる記録データを記録した後の再生出力値のことであ
り、最初に記録された記録データの再生出力値が小さ
く、重ねて記録された記録データの再生出力値が大きい
ほど、O.W.特性が良好であることを表している。
【0082】図11は、Ni―Fe系合金,Fe62Hf
1127合金およびNi48Fe50.5Mo1.5合金における
周波数とO.W.特性との関係を示すグラフである。図
に示すように、Ni―Fe系合金,Fe62Hf1127
金およびNi48Fe50.5Mo1.5合金は、すべて周波数
が高くなるにつれてO.W.特性が低下しているが、こ
れら3種類の軟磁性材料の中で、周波数が高くなると最
もO.W.特性が低下しやすいのは、Ni―Fe系合
金、次にNi48Fe50.5Mo1.5合金、最もO.W.特
性が低下しにくいのはFe62Hf1127合金であること
がわかる。
【0083】ところで、図11における実験に使用され
たFe―Hf―O合金の組成比(Fe:Hf:O)=
(62:11:27)は図4の三元図のの斜線部内に
当てはまることがわかる。の斜線部内は、下部コア層
7および上部コア層10のどちらでも使用可能な組成範
囲であるが、この実験結果により、Fe―Hf―O合金
の組成比を適正に調節してFe―Hf―O合金を下部コ
ア層7および上部コア層10に使用すれば、記録周波数
を高くしても良好なO.W.特性を得ることが可能であ
ると推測される。
【0084】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、Fe―M
―O系合金、Fe―M―T―O系合金、またはNi―F
e―X系合金の組成比を適正に調節することにより、上
部コア層には高飽和磁束密度、低保磁力および高比抵抗
の性質を有する軟磁性材料を、また下部コア層には上部
コア層よりも低い飽和磁束密度、低保磁力および高比抵
抗の性質を有する軟磁性材料を、さらに前記下部コア層
がコア機能とシールド機能とを兼用する場合、前述の性
質に加えて低磁歪定数の性質を有する軟磁性材料を使用
できる。
【0085】このように本発明では下部コア層および上
部コア層は、比抵抗の高い軟磁性材料で形成できるた
め、記録周波数を高くしても渦電流が発生しにくくなっ
ている。
【0086】また、下部コア層の飽和磁束密度を上部コ
ア層の飽和磁束密度よりも低くして下部コア層と上部コ
ア層間の洩れ磁界が磁化反転しやすいようになってい
る。
【0087】さらに、下部コア層がコア機能とシールド
機能とを兼用する場合でも、前記下部コア層の磁歪定数
や保磁力を低くすることにより、前記下部コア層のシー
ルド機能を向上させており、従って記録ノイズをMR層
から的確に遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の構造を示す薄膜磁気
ヘッドの拡大断面図、
【図2】薄膜磁気ヘッドでの下部コア層および上部コア
層の形状を示す半断面斜視図、
【図3】本発明の第2の実施形態の構造を示す薄膜磁気
ヘッドの拡大断面図、
【図4】Fe,Hf,Oから構成される軟磁性材料の三
元図、
【図5】Fe,Hf,(B+O)から構成される軟磁性
材料の三元図、
【図6】Ni―Fe―Mo合金を構成するMoの組成比
(原子%)と飽和磁束密度Bsとの関係を示すグラフ、
【図7】Ni―Fe―Mo合金を構成するMoの組成比
(原子%)と保磁力Hcとの関係を示すグラフ、
【図8】Ni―Fe―Mo合金を構成するMoの組成比
(原子%)と比抵抗ρとの関係を示すグラフ、
【図9】Ni―Fe―S合金を構成するSの組成比(原
子%)と比抵抗ρとの関係を示すグラフ、
【図10】Ni―Fe系合金、Fe―Al―Si系合
金、Fe80.5Zr8.111.4合金、Fe61Hf1326
金、Fe62Hf1127合金およびFe68.9Hf10.2
1.019.9合金における周波数と初透磁率μ’との関係
を示すグラフ、
【図11】下部コア層および上部コア層がNi―Fe系
合金,Fe62Hf1127合金またはNi48Fe50.5Mo
1.5合金で形成された3種類の薄膜磁気ヘッドにおける
周波数とオーバーライト特性(dB)との関係を示すグ
ラフ、
【図12】従来の薄膜磁気ヘッドの構造を示す拡大断面
図、
【符号の説明】
1 下部シールド層 2 下部ギャップ層 3 磁気抵抗効果素子層 4 ハードバイアス層 5 主電極層 6 上部ギャップ層 7 下部コア層 8 ギャップ層(非磁性材料層) 9 コイル層 10 上部コア層 12 スライダ 13 上部シールド層 14 分離層 h1 読み取りヘッド h2 インダクティブヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 信宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 金田 吉弘 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 佐藤 清 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 梅津 英治 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 畑内 隆史 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気抵抗効果素子層と、この磁気抵抗効
    果素子層に検出電流を与える主電極層と、前記主電極層
    上に絶縁層を介して形成されたインダクティブヘッドの
    リーディング側コア機能と、読み出しヘッドの上部シー
    ルド機能とを兼ね備えた下部コア層と、記録媒体との対
    向部で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対向する
    上部コア層と、両コア層に磁界を与えるコイル層とを有
    する薄膜磁気ヘッドにおいて、前記上部コア層は、 組成式がFeaMbOcで示され、MはAl,Si,H
    f,Zr,Ti,V,Nb,Ta,W,Mgまたは希土
    類元素のいずれかから選択される1種類または2種類以
    上の元素を表し、 飽和磁束密度が1.3T(テスラ)以上及び困難軸方向
    の保磁力が1.0Oe(エルステッド)以下となるよう
    に組成比a,b,c(原子%)を調節して成る軟磁性材
    料で形成されることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記上部コア層が、FeaHfbOc合金
    で形成されるとき、前記FeaHfbOc合金の三元図の
    各辺を元素Feの組成比、元素Hfの組成比、元素Oの
    組成比とすると、組成比a,b,c(原子%)が以下の
    10点により囲まれる範囲内である請求項1記載の薄膜
    磁気ヘッド。 A(Fe:Hf:O)=(52.5:12.5:35.
    0) B(Fe:Hf:O)=(53.3:11.1:35.
    6) C(Fe:Hf:O)=(57.5:9.0:33.
    5) D(Fe:Hf:O)=(63.3:4.8:31.
    9) E(Fe:Hf:O)=(75.3:4.0:20.
    7) F(Fe:Hf:O)=(76.3:5.0:18.
    7) G(Fe:Hf:O)=(75.0:6.7:18.
    3) H(Fe:Hf:O)=(70.0:9.0:21.
    0) I(Fe:Hf:O)=(57.4:13.0:29.
    6) J(Fe:Hf:O)=(53.5:13.0:33.
    5)
  3. 【請求項3】 磁気抵抗効果素子層と、この磁気抵抗効
    果素子層に検出電流を与える主電極層と、前記主電極層
    上に絶縁層を介して形成されたインダクティブヘッドの
    リーディング側コア機能と、読み出しヘッドの上部シー
    ルド機能とを兼ね備えた下部コア層と、記録媒体との対
    向部で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対向する
    上部コア層と、両コア層に磁界を与えるコイル層とを有
    する薄膜磁気ヘッドにおいて、前記下部コア層は、 組成式がFeaMbOcで示され、MはAl,Si,H
    f,Zr,Ti,V,Nb,Ta,W,Mgまたは希土
    類元素のいずれかから選択される1種類または2種類以
    上の元素を表し、 磁歪定数が1.0×10-6以下及び困難軸方向の保磁力
    が1.0Oe以下となるように組成比a,b,c(原子
    %)を調節して成る軟磁性材料で形成されることを特徴
    とする薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記下部コア層が、FeaHfbOc合金
    で形成されるとき、前記FeaHfbOc合金の三元図の
    各辺を元素Feの組成比、元素Hfの組成比、元素Oの
    組成比とすると、組成比a,b,c(原子%)が以下の
    8点により囲まれる範囲内である請求項3記載の薄膜磁
    気ヘッド。 C(Fe:Hf:O)=(57.5:9.0:33.
    5) D(Fe:Hf:O)=(63.3:4.8:31.
    9) E(Fe:Hf:O)=(75.3:4.0:20.
    7) F(Fe:Hf:O)=(76.3:5.0:18.
    7) G(Fe:Hf:O)=(75.0:6.7:18.
    3) H(Fe:Hf:O)=(70.0:9.0:21.
    0) I(Fe:Hf:O)=(57.4:13.0:29.
    6) K(Fe:Hf:O)=(67.5:6.7:25.
    8)
  5. 【請求項5】 磁気抵抗効果素子層と、この磁気抵抗効
    果素子層に検出電流を与える主電極層と、前記主電極層
    上に絶縁層を介して形成されたインダクティブヘッドの
    リーディング側コア機能と、読み出しヘッドの上部シー
    ルド機能とを兼ね備えた下部コア層と、記録媒体との対
    向部で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対向する
    上部コア層と、両コア層に磁界を与えるコイル層とを有
    する薄膜磁気ヘッドにおいて、前記上部コア層は、 組成式がFeaMb(T+O)cで示され、MはAl,S
    i,Hf,Zr,Ti,V,Nb,Ta,W,Mgまた
    は希土類元素のいずれかから選択される1種類または2
    種類以上の元素、TはB,Cうちいずれか一方の元素を
    表し、 飽和磁束密度が1.3T(テスラ)以上及び困難軸方向
    の保磁力が1.0Oe(エルステッド)以下となるよう
    に組成比a,b,c(原子%)を調節して成る軟磁性材
    料で形成されることを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記上部コア層が、FeaHfb(B+
    O)c合金で形成されるとき、前記FeaHfb(B+
    O)c合金の三元図の各辺を元素Feの組成比、元素H
    fの組成比、元素(B+O)の組成比とすると、組成比
    a,b,c(原子%)が以下の8点により囲まれる範囲
    内である請求項5記載の薄膜磁気ヘッド。 A(Fe:Hf:B+O)=(60.0:9.5:3
    0.5) B(Fe:Hf:B+O)=(62.5:6.0:3
    1.5) C(Fe:Hf:B+O)=(66.8:4.0:2
    9.2) D(Fe:Hf:B+O)=(74.0:5.0:2
    1.0) E(Fe:Hf:B+O)=(75.0:7.5:1
    7.5) F(Fe:Hf:B+O)=(72.3:10.5:1
    7.2) G(Fe:Hf:B+O)=(62.6:13.7:2
    3.7) H(Fe:Hf:B+O)=(60.8:12.3:2
    6.9)
  7. 【請求項7】 磁気抵抗効果素子層と、この磁気抵抗効
    果素子層に検出電流を与える主電極層と、前記主電極層
    上に絶縁層を介して形成されたインダクティブヘッドの
    リーディング側コア機能と、読み出しヘッドの上部シー
    ルド機能とを兼ね備えた下部コア層と、記録媒体との対
    向部で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対向する
    上部コア層と、両コア層に磁界を与えるコイル層とを有
    する薄膜磁気ヘッドにおいて、前記下部コア層は、 組成式がFeaMb(T+O)cで示され、MはAl,S
    i,Hf,Zr,Ti,V,Nb,Ta,W,Mgまた
    は希土類元素のいずれかから選択される1種類または2
    種類以上の元素、TはB,Cうちいずれか一方の元素を
    表し、 磁歪定数が1.0×10-6以下及び困難軸方向の保磁力
    が1.0Oe以下となるように組成比a,b,c(原子
    %)を調節して成る軟磁性材料で形成されることを特徴
    とする薄膜磁気ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記下部コア層が、FeaHfbBOc合
    金で形成されるとき、前記FeaHfb(B+O)c合金
    の三元図の各辺を元素Feの組成比、元素Hfの組成
    比、元素(B+O)の組成比とすると、組成比a,b,
    c(原子%)が以下の8点により囲まれる範囲内である
    請求項7記載の薄膜磁気ヘッド。 C(Fe:Hf:B+O)=(66.8:4.0:2
    9.2) D(Fe:Hf:B+O)=(74.0:5.0:2
    1.0) E(Fe:Hf:B+O)=(75.0:7.5:1
    7.5) F(Fe:Hf:B+O)=(72.3:10.5:1
    7.2) G(Fe:Hf:B+O)=(62.6:13.7:2
    3.7) I(Fe:Hf:B+O)=(57.5:14.5:2
    8.0) J(Fe:Hf:B+O)=(57.8:10.2:3
    2.0) K(Fe:Hf:B+O)=(58.7:4.4:3
    6.9)
  9. 【請求項9】 磁気抵抗効果素子層と、この磁気抵抗効
    果素子層に検出電流を与える主電極層と、前記主電極層
    上に絶縁層を介して形成されたインダクティブヘッドの
    リーディング側コア機能と、読み出しヘッドの上部シー
    ルド機能とを兼ね備えた下部コア層と、記録媒体との対
    向部で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対向する
    上部コア層と、両コア層に磁界を与えるコイル層とを有
    する薄膜磁気ヘッドにおいて、前記上部コア層および下
    部コア層は、 組成式がNiaFebXcで示され、XはMo,Sのうち
    いずれか一方の元素を表しており、組成比a,b,cは
    原子%で、44≦a≦54、42.5≦b≦54、0≦
    c≦4、a+b+c=100なる関係を満足する軟磁性
    合金によって形成されることを特徴とする薄膜磁気ヘッ
    ド。
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US09/016,838 US6150046A (en) 1997-01-31 1998-01-30 Combination magnetoresistive/inductive thin film magnetic head and its manufacturing method
FR9813597A FR2767600B1 (fr) 1997-01-31 1998-10-29 Tete magnetique a combinaison de couches minces magnetoresistive/inductive et son procede de fabrication
FR9813596A FR2767599B1 (fr) 1997-01-31 1998-10-29 Tete magnetique a combinaison de couches minces magnetoresistive/inductive et son procede de fabrication
US09/429,129 US6210543B1 (en) 1997-01-31 1999-10-28 Combination magnetoresistive/inductive thin film magnetic head and its manufacturing method
US09/685,435 US6346338B1 (en) 1997-01-31 2000-10-10 Combination magnetoresistive/inductive thin film magnetic head and its manufacturing method

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6638596B1 (en) * 1999-06-22 2003-10-28 Alps Electric Co., Ltd. Thin film magnetic head using soft magnetic film having soft magnetic characteristics of high resistivity, low coercive force, and high saturation magnetic flux density
JP2014093119A (ja) * 2012-11-01 2014-05-19 Seagate Technology Llc シールドを有する装置およびシールドを有する装置を形成する方法

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