JP3839607B2 - 磁気抵抗効果型磁気ヘッドの調整方法 - Google Patents

磁気抵抗効果型磁気ヘッドの調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスク装置、VTR等の磁気記録装置に用いられる磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)の調整方法に関するもので、特に再生素子部を構成する永久磁石膜の膜厚及び残留磁化と、再生トラック幅との数量的関係に係わる。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスク装置あるいはVTR等の磁気記録装置において、高記録密度による小形大容量化は急激な勢いで進展している。このような動向に呼応して磁気ヘッドの高性能化が進められ、電磁誘導方式である薄膜磁気ヘッドに代わり、再生素子に磁気抵抗効果現象を利用したMRヘッドが適用されるようになった。
【0003】
このような従来のMRヘッドは、例えば、IEEE Tras.Magn.Vol 26(1990)pp1689に開示されている。その概要を図12を用いて説明する。磁気記録媒体上の磁気信号を再生する磁気抵抗効果型素子(MR素子)91は、パーマロイ等の磁気抵抗効果を有する材料の薄膜で構成される。このMR素子91は、非磁性材料からなる再生ギャップ92を介してシールド磁性膜93および94によって挟まれる。
【0004】
この図12に示すMRヘッドは、記録ヘッドと再生ヘッドとが分離しているタイプのものである。再生ヘッドはMR素子91であり、再生時にMR素子91を使用して信号情報を読み取る。記録ヘッドは、記録磁極84及びコイル80からなる記録専用の誘導型磁気ヘッドである。記録ヘッドを構成する記録磁極84及びコイル80は、図12に示すように、再生ヘッドを構成するMR素子91の上部に配置される。
【0005】
磁気記録装置においてその記録容量を増加させるためには、通常、トラック密度かもしくは線記録密度を高めることが行われる。そこで、トラック密度を高めるには、トラック幅を狭くしなければならない。トラック幅を減少させるに伴い、以下のような不具合が生じる。
【0006】
すなわち、MR素子の長さが短くなるため、MR素子自体の抵抗が低下し、再生出力が著しく減少してしまう。このため、再生出力を実用上問題にならない程度に保つためには、再生素子の抵抗を増大させるか、あるいはMR素子の再生感度を向上させる手段を講じる必要がある
【0007】
一方、検出再生素子であるMR素子は、素子内に発生する磁壁と磁区構造の影響を受けやすく、再生時にノイズとして再生信号に重畳してくる。このようなノイズ信号をバルクハウゼンノイズと呼ばれ、その抑制と規制が問題にされ、対策が行われてきた。磁区の発生を抑制するための手段として、例えばIEEE Trans.Magn.Vol.32(1996)pp19に開示されているような、永久磁石膜をMR素子に隣接させて形成配置して、そのMR素子にバイアス磁場を印加するという方法がある。この方法によれば、印加バイアス磁場はMR素子のトラック端部に発生する反磁場の影響を緩和でき、その結果、素子内に磁区等が発生することを抑制することが可能となる。
【0008】
しかし、永久磁石膜を用いて磁区構造の安定化を図ると、素子の再生感度を低下させるおそれが生じる。そのため、安定化のためのバイアス磁場強度の選択には注意が必要である。
【0009】
すなわち、バルクハウゼンノイズが発生しないように必要な磁場強度を印加すること、および適正な範囲内にバイアス磁場の強度を保持し再生感度を低下させないことが求められる。また、バイアス磁場の強度を変化させると再生信号の線形性の指標である非対称性も変動することから、これらの全ての要素について満足いく最適なバイアス磁場の設定を行う必要がある。
【0010】
一方、この永久磁石膜の好ましい材質及び組成を米国特許5434826が開示している。そこで開示されている永久磁石膜はCoCrPt、CoCrTa、CoCrTaPtおよびCoCrPtB等があり、50〜60nmの範囲の膜厚に対して、残留磁化と膜厚との積が2.38〜3.78[memu/cm]になる場合が最適域であることを、独自に作製した測定装置を用いて明らかにしている。
【0011】
さらに、この永久磁石膜の磁気特性は、当然ながら、MRヘッドの再生特性大きな影響を与えるが、特開平7−93714号公報は、永久磁石膜の保磁力Hcの特性を向上させることにより、バルクハウゼンノイズあるいはMRヘッドの再生出力のばらつきを低減できること説明している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
永久磁石膜が発生するバイアス磁場は、MR素子内の磁化回転を抑制して安定化させる効果がある。ところが、記録密度を向上させるためのトラック幅狭小化に伴い、隣接する永久磁石膜の間隔が従来考えられていた範囲を超えて狭くなると、バイアス磁場の強度が過大になってしまう。その結果、MR素子の感度は低下し、再生出力の低減が避けられなくなる。さらに、バイアス磁場の効果が適正値より外れるため、再生波形の対称性を保証する再生信号の線形範囲が急速に狭まり、再生波形の非対称分の増加が同時に懸念され、再生信号の誤り率の増大につながる。
【0013】
本発明の目的は、バルクハウゼンノイズの発生に見られるMR素子の再生不安定性を除去し、再生信号出力を高めると共に、波形の非対称性を低減するMRヘッドを得るための実際的な解決方法を提供することにある。そのうえ、トラック幅の減少に対応した最適な永久磁石膜の適用を提供するものである。以下、本発明を詳細に述べることにする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前述した技術課題を解決するために、本発明は、MR素子の再生出力と再生ノイズに多大な影響を与える永久磁石膜と再生トラック幅の物理的な寸法あるいは物性値等について考察を加え、適切に設計に反映できるような具体的手法を模索した結果、想到されたものである。
【0015】
MRヘッドに用いられる永久磁石膜は、素子にバイアス磁場を印加することでノイズ制御を行う。しかし、バイアス磁場が大きすぎると再生感度が下がり出力の不足をきたす原因となる。また、永久磁石膜によるバイアス磁場の効果は、再生トラック幅、永久磁石膜厚、永久磁石の残留磁束密度によってその効率が変化する。さらに、永久磁石膜の物性値は、バイアス磁場の強度、分布等に強い影響を持っている。
【0016】
したがって、これらの多数のパラメータを適切に組み合わせ規制することは実際上非常に困難であるが、本発明によりそれが容易に実行でき、従来のMRヘッドに比べて出力特性、ノイズ特性に格段に優れたMRヘッドを得ることが可能となる。
【0017】
本発明は、MR素子と、前記MR素子に隣接して設けられた永久磁石膜と、前記MR素子に通電するための電極とを有して成る磁気抵抗効果型磁気ヘッドの調整方法であって、
(a) 前記永久磁石膜の残留磁化をMr、前記永久磁石膜の膜厚をt、前記残留磁化Mrと前記膜厚tとの積をMrtとし、
複数の異なる再生トラック幅wについて、前記Mrtに対する再生波形の非対称特性の関係を求める工程、
(b) 前記非対称特性の許容範囲内に収まるように、各再生トラック幅wにおける前記Mrtの上限値及び下限値を求める工程、
(c) 前記(b)工程で得られた前記Mrtの上限値と前記再生トラック幅wとの関係から前記Mrtの第1上限規制式を求めるとともに、前記(b)工程で得られた前記Mrtの下限値と前記再生トラック幅wとの関係から前記Mrtの第1下限規制式を求め、さらに前記再生トラック幅wの範囲を規制する工程、
(d) 前記再生トラック幅wの範囲を満たし、且つ、前記第1上限規制式及び前記第1下限規制式から得られた前記Mrtの範囲を満たすように、前記再生トラック幅wと、前記Mrtとを決定する工程、
を有することを特徴とするものである。
また、以下の工程を有することが好ましい。
(e) 複数の異なる再生トラック幅wについて、前記Mrtに対する前記磁気抵抗効果型磁気ヘッドの再生出力の関係を求める工程、
(f) 前記再生出力が必要最小値以上となるように、各再生トラック幅wにおける前記Mrtの上限値を求める工程、
(g) 前記(f)工程で得られた前記Mrtの上限値と前記再生トラック幅wとの関係から前記Mrtの第2上限規制式を求める工程、
(h) 前記再生トラック幅wの範囲を満たし、且つ、前記第1上限規制式、第2上限規制式及び前記第1下限規制式から得られた前記Mrtの範囲を満たすように、前記再生トラック幅wと、前記Mrtとを決定する工程、
また、以下の工程を有することが好ましい。
(i) 複数の異なる再生トラック幅wについて、前記Mrtに対する前記磁気抵抗効果型磁気ヘッドのヒステリシスの関係を求める工程、
(j) 前記ヒステリシスが許容最大値以下となるように、各再生トラック幅wに対する前記Mrtの下限値を求める工程、
(k) 前記(j)工程で得られた前記Mrtの下限値と前記再生トラック幅wとの関係から前記Mrtの第2下限規制式を求める工程、
(l) 前記再生トラック幅wの範囲を満たし、且つ、前記第1上限規制式、前記第1下限規制式、及び前記第2下限規制式から得られた前記Mrtの範囲を満たすように、あるいは、前記再生トラック幅wの範囲を満たし、且つ、前記第1上限規制式、第2上限規制式、前記第1下限規制式、及び前記第2下限規制式から得られた前記Mrtの範囲を満たすように、前記再生トラック幅wと、前記Mrtとを決定する工程、
【0018】
上記によって得られた再生トラック幅wとMrとを有するMRヘッドを用いることにより、高トラック密度に応じて再生トラック幅が狭くなっても再生波形の非対称性、再生出力および再生出力のばらつきの少ない 良好な再生特性を得ることが可能となる。さらに、バルクハウゼンノイズを効果的に除去できる永久磁石膜と再生トラック幅の関係を利用できるため、高い性能 が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明によるMRヘッドの磁極部の構造について図8を参照して説明する。図8において、符号82はMR素子であって、MR素子82に隣接させて永久磁石膜81を形成している。また、符号83はMR素子に通電するための電極、84は記録磁極である。MR素子82は下部シールド膜85および上部シールド膜86によって磁気的にシールドされている。
【0020】
第1の実施例を説明する。この実施例では、MRヘッドの再生特性が0に近い非対象を実現するための条件を見い出すことを課題とする。
【0021】
図1に、再生トラック幅wが0.7〜1.5μmの各場合について、永久磁石膜81の残留磁化Mrと膜厚tとの積(以下、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積という)Mrtに対する再生波形の非対称特性の関係を示す。図1のグラフの横軸は永久磁石膜の残留磁化・膜厚積Mrt[memu/cm2]、縦軸は再生波形非対称性を%で表示したものである。ここで、再生波形の非対称性は以下の式によって定義される。
非対称性[%]=[(V−V)/(V+V)]×100
上の式において、VおよびVはそれぞれ正の信号出力と負の信号出力を表す。
【0022】
ハードディスク装置のように記録されたデジタル符号化された信号を再生する場合、磁気ヘッドから得られる再生波形はアナログ信号であり、これから0、1のデジタル符号に再生する必要がある。この過程において、前記非対称性が増加すると再生波形が歪んで正しく0、1の符号を再生できなくなる。
【0023】
一般に、ハードディスク装置に組み込まれるMRヘッドについては、非対称性の許容限界を−15〜+15%としている。しかし、この非対称性の許容限界では再生符号の誤り率が10〜100倍程度大きくなる可能性があるため、非対称性は−10〜+10%の範囲であることが望ましい。
【0024】
そこで、本発明では、MRヘッドの再生特性が−10〜+10%の非対称を実現するように設定することとした。図1に示す特性曲線群を見れば明らかなように、0.7〜1.5μmの再生トラック幅wに対して、永久磁石膜のMrtを増加させて行くにつれて、非対称性の値は正から負に変化する。
【0025】
例えば、再生トラック幅0.7μmの場合、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrt=0.8[memu/cm2]の時、非対称性が+33%であったものが、Mrt=1.20[memu/cm]になると非対称性は+10%に改善される。さらに、Mrt=2.24[memu/cm]以上になると非対称性は−10%以上になる。以上の結果から再生トラック幅wが0.7μmの場合は、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtの下限値は1.20[memu/cm]であり、上限値は2.24[memu/cm]である。
【0026】
上記した手順を、再生トラック幅w=0.7以外にも適用して、各トラック幅における永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtの上限値及び下限値を求めると、以下の表1の通りとなる。
【0027】
【表1】
Figure 0003839607
【0028】
表1に得られた永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtの下限および上限について、それぞれ再生トラック幅wとの関係を直線式で表すと、
Mrtの下限値については、
Mrt=1.0×w+0.5 ・・・・(1)となり、
Mrtの上限値については、
Mrt=3.6×w−0.4 ・・・・(2)となる。
【0029】
この結果から、永久磁石バイアスを適用したMRヘッドにおいて、再生信号の非対称性を±10%の範囲に制御するためには、式(1)および式(2)によって規定される範囲を満足するように永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtおよび再生トラック幅wを選択することが必要である。
【0030】
なお、再生の波形非対称性は0に近いほど特性が良いことから、再生トラック幅wと永久磁石膜のMrtの関係は、図1に示された結果から、
Mrt=1.6×w+0.4 ・・・・(3)
の関係を満足することが最も望ましいことが分かる。
【0031】
以上のことから、MRヘッドの再生特性が0に近い非対称性を発揮するためには、再生トラック幅wに対する永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtの関係を、上記(1)式を下限とし上記(2)式を上限とした範囲とすること、あるいは上記(3)式にできるだけ近づける、ということが望ましいことが解る。
【0032】
さらに、本発明で規定する再生トラック幅wは、1.5μmを上限とする。すなわち、再生トラック幅wの上限値は、
w=1.5 ・・・・(4)
とする。w=1.5[μm]は、2GB/in2程度の面記録密度に対応した再生トラック幅でもある。
【0033】
以上、(1)、(2)及び(4)式によって規定される、再生トラック幅wに対する永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtの望ましい関係をグラフにして表すと、図2の、直線22、21及び23で囲まれた斜線を施した領域となる。図2は横軸が再生トラック幅w[μm]であり、縦軸が永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrt[memu/cm]である。この図2において、直線21はMrtの下限を規定している(1)式であり、直線22はMrtの上限を規定している(2)式であり、直線23は再生トラック幅wの上限値を規定している(4)式である。
【0034】
すなわち、この斜線の領域は以下の3つの式を満足している。
Mrt≧1.0×w+0.5 ・・・・(1´)(第1下限規制式)
Mrt≦3.6×w−0.4 ・・・・(2´)(第1上限規制式)
w≦1.5 ・・・・(4´)
【0035】
なお、式(1)あるいは(2)の左辺は永久磁石膜の残留磁化膜厚積Mrtを示し、そのディメンジョンは[memu/cm]である。なお、再生トラック幅wはμmで表示することにする。左辺が上述したディメンジョンを有するため、右辺第1項の定数係数は[memu/cm/μm]、第2項の定数係数は[memu/cm]のディメンジョンを持つことになる。
【0036】
本発明による第2の実施例を説明する。この実施例では、MRヘッドの再生特性が±10%以内の非対称性を実現するための条件(第1の実施例における条件)に、さらに、MRヘッドが規定の出力を確保できるという条件が付加される。
【0037】
ハードディスクドライブ装置では0、1の符号を記録再生するために、磁気記録媒体に記録される磁化の反転現象を用いている。磁気記録媒体内の磁化の反転にともなう磁場変化は、MRヘッドによる再生波形から0、1の符号に変換されるが、例えば符号配列が{0000}のように0符号信号が連続する場合は、磁化の反転周期が長く、反対に{1111}のように1が連続する場合は磁化の反転周期が短くなる。
【0038】
現在、ハードディスク装置に用いられている符号再生方式では、最低周波数と最高周波数の比が1:5ないし1:6の範囲に設定されているが、隣り合う信号波との重なり合いによる再生波形の干渉効果によって、高周波になるほど再生出力が減少する傾向を有する。この時、最高周波数に対する再生出力と最低周波数に対する再生出力の振幅強度比は、25〜35%程度になる。
【0039】
一方、ハードディスク装置で誤り無く符号再生するには、MRヘッドからの再生出力が1mV程度必要であることから、低周波域での再生出力は最低0.3〜0.4mVあることが望ましい。このため、本発明では低周波域の再生出力を0.4mV以上確保出来る永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtを見いだすことにした。
【0040】
図3に、再生トラック幅wが0.7〜1.5μmの各場合について、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtに対する孤立再生波の再生出力の関係を示す。図3のグラフの横軸は永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrt[memu/cm]であり、縦軸は再生出力[mV]である。
【0041】
図3によれば、例えば、再生トラック幅wが0.7μmの場合、永久磁石膜残留磁化・膜厚の積Mrtが0.88[memu/cm]のときは、約0.5[mV]の再生出力を与えることがわかる。さらに再生トラック幅wが0.7〜1.5μmで、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtが増加するにともない再生出力は減少する傾向を一般的に示している。
【0042】
また、図3から、再生トラック幅w=0.7μmの場合、0.4[mV]以上の再生出力を得るためには、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtが1.27[memu/cm]以下であることが必要であることがわかる。同様にして、再生トラック幅wが0.7μm以外の場合についても、0.4[mV]以上の再生出力を得るための、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtの上限値を求めると、以下の表2のようになる。
【0043】
【表2】
Figure 0003839607
【0044】
表2に得られた永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtを再生トラック幅wの関係を直線式で表すと、Mrt=4.5×w−2.0 ・・・・(5)となる。
すなわち、再生出力を0.4[mV]以上に確保するためには、Mrt≦4.5×w−2.0 ・・・・(5´)(第2上限規制式)
であることが必要となる。
【0045】
以上のことから、永久磁石膜によるバイアス磁場を用いたMRヘッドにおいて、再生信号の非対称性を±10%の範囲内に規制し、且つ再生出力が0.4[mV]以上に確保するためには、上記の(1´)式、(2´)式、(4´)式及び(5´)式をすべて満足するものでなければならない。そのような領域を図4に斜線で示す。
【0046】
図4は、横軸は再生トラック幅w[μm]、縦軸が永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrt[memu/cm2]である。図4において、直線21、22及び23は図2の場合と同様に、(1)式、(2)式及び(4)式を表すものであり、直線33は上の(5)式を表している。
【0047】
以上、説明したように、永久磁石膜にうよるバイアス磁場を用いたMRヘッドにおいて、図4の斜線でしるされた領域を選択することによって、再生信号の非対称性を±10%の範囲内に規制し、且つ再生出力を0.4[mV]以上に確保することが可能となる。
【0048】
第3の実施例を説明する。この実施例では、MRヘッドの再生特性が±10%以内の非対称性を実現するという条件(第1の実施例で与えられる条件)に、さらに、永久磁石膜のヒステリシス特性を低下させるという条件が付加される。ここでいうヒステリシスは、MRヘッドに連続的に変化する外部磁場を加えたときに、MR素子の出力変化特性曲線に現れるヒステリシスを意味する。このヒステリシスは印加磁場の変化と出力の変化によって与えられる。本発明ではヒステリシスのディメンジョンを[mV・Oe]とする。
【0049】
図5は、再生トラック幅wが0.7〜1.5[μm]の各場合について、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtに対するヒステリシスの関係について示すグラフである。図5のグラフの縦軸はヒステリシス[mV・Oe]であり、横軸は永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrt[memu/cm]である。
【0050】
図5のよれば、例えば、再生トラック幅wが0.7[μm]の場合、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtが0.88[memu/cm]のとき、ヒステリシスは4.2[mV・Oe]である。Mrtがそれより増加して1.6[memu/cm]となると、ヒステリシスは急激に減少して1.2[mV・Oe]となる。さらにMrtが増加して3.9[memu/cm]となると、ヒステリシスはさらに減少して0.2[mV・Oe]となる。
【0051】
一般に、再生素子に現れるヒステリシスは再生出力のばらつきの原因となり、ディスクドライブ装置のノイズ源となることが分かっている。このため、ディスクドライブ装置で許容される最大の出力ばらつきは、5〜10%程度であり、これを前記の再生出力の最小値0.4[mV]の場合で考えると、許容ばらつきの範囲は0.03[mV]となる。
【0052】
一方、ディスクドライブ装置の磁気記録媒体から発生する信号磁場の大きさについていうと、磁気記録媒体のMrtが0.5〜0.8[memu/cm]であることを考慮すると、40[Oe]程度の磁場が磁気抵抗効果型磁気ヘッドに加わると考えられる。
【0053】
この結果から許容されるヒステリシスの最大値は、印加磁場の大きさと出力許容ばらつきの積から規定されて、1.2[mV・Oe]となることが分かる。再生出力のばらつきの少ない磁気抵抗効果型ヘッドを得るためには、ヒステリシスが1.2[mV・Oe]以下になるよう永久磁石膜のMrtを制御する必要がある。
【0054】
図5で得られた結果を元に、再生トラック幅wが0.7〜1.5[μm]の各場合について、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtの下限値を求めると、以下の表3に示すようになる。
【0055】
【表3】
Figure 0003839607
【0056】
表3に得られた永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtと再生トラック幅wの関係を直線式で表すと、Mrt=3.7×w−1.2 ・・・・(6)となる。
すなわち、再生出力のばらつきを規定するヒステリシスの大きさが1.2[mV・Oe]以下にするには、Mrt≧3.7×w−1.2 ・・・・(6´)(第2下限規制式)
であることが必要となる。
【0057】
以上のことから、永久磁石バイアス方式のMRヘッドにおいて、再生信号の非対称性を±10%の範囲内に制御し、且つヒステリシスの大きさを1.2[mV・Oe]以下とした再生特性を得るためには、上記の(1´)式、(2´)式、(4´)式及び(6´)式をすべて満足するものでなければならない。そのような領域を図6に斜線で示す。
【0058】
図6は、横軸は再生トラック幅w[μm]であり、縦軸が永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrt[memu/cm2]である。図6において、直線21、22及び23は図2の場合と同様に、(1)式、(2)式及び(4)式を表し、直線53は上の(6)式を表している。
【0059】
第4の実施例を説明する。この実施例では、MRヘッドの再生特性が±10%以内の非対称性を実現するための条件(第1の実施例における条件)と、さらに、永久磁石膜のヒステリシス特性を低下させるという条件(第3の実施例における条件)とが重畳して付加される。
【0060】
したがって、この実施例は、上記の(1´)式、(2´)式、(4´)式、(5´)式及び(6´)式をすべて満足するものでなければならない。そのような領域を図7に斜線で示す。
【0061】
図7は、横軸が再生トラック幅w[μm]であり、縦軸が永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrt[memu/cm2]である。図7において、直線21、22及び23は図2の場合と同様に、(1)式、(2)式及び(4)式を表すものであり、直線33は上の(5)式を、直線53は(6)式を表している。
【0062】
第5の実施例を説明する。この実施例は、上記の第1乃至第4の実施例によるMRヘッドにおいて、その角形比Sを規定している。角形比Sとは、磁気的バイアスを印加するための手段である永久磁石膜の残留磁化Mrと飽和磁化Msの比、(すなわち、S=Mr/Ms)である。この実施例によるMRヘッドは角形比が0.7以上1.0以下に規定される。
【0063】
図8に示すMRヘッドにおける永久磁石膜81の飽和磁化Msは450〜800[emu/cm]程度になる。このとき、角形比Sを1とすると、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtが1[memu/cm]となるために必要な膜厚は120〜220[Å]である。これに対して角形比Sを0.1とすると、Mrtが1[memu/cm]となるために必要な膜厚は1200〜2200[Å]にも達し、再生素子の再生トラック両側が厚くなってしまう。
【0064】
この再生素子周辺の形状は記録磁極の形状にも影響を及ぼすことになる。再生素子周辺の形状効果を緩和するためには、記録磁極を形成する前に磁極を配置する面の平坦化を行うか、あるいは再生素子形状を平坦に保つことが必要である。しかし、平坦化の作業は磁気ヘッドの製造工数を増加させ、コストの増加につながるという短所を有する。これに対して再生素子の形状を平坦に保つ技術は余分な工程を経ることなく、且つ永久磁石膜を薄くすることで膜形成の時間も短縮することが可能であり、MRヘッドの生産性を向上させることが可能となる。
【0065】
本実施例で使用される永久磁石膜81の残留磁化・膜厚の積Mrtの最大値は5.29[memu/cm]である。永久磁石膜81に、例えば、飽和磁化Msが450[emu/cm]の永久磁石材料を用いた場合、その膜厚は以下の関係で与えられる。
Figure 0003839607
となる。
【0066】
したがって、永久磁石膜の最小膜厚は角形比Sが1のときに得られて、1176[Å]になる。角形比Sが小さくなるに伴い永久磁石膜の膜厚は厚くなり、角形比0.7で1680[Å]、角形比0.5で2352[Å]に達する。MRヘッドの素子膜厚は500〜600[Å]程度であり、これに信号検出用の電極を加えた素子部の段差は角形比0.7の時に2000[Å]程度になる。これは記録ギャップ長の50%に達する歪みを記録磁極に発生させるが、50%以上の形状歪みはO/W(オーバライト)および再生波長の特性を著しく劣化させるため、永久磁石膜の角形比は0.7以上であることが望ましい。
【0067】
この実施例は、上記の第1乃至第5の実施例のうちいずれかによるMRヘッドにおいて、その永久磁石膜81の組成を規定している。永久磁石膜81はCoを主成分とする合金であり、この合金に対する添加元素としてCr、Ta、Pt、Niの少なくともいずれか1種類以上を含む。
【0068】
MRヘッドにおいて、バイアス磁場を発生する永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtを制御し、良好な再生特性を得るためには、薄膜の状態で優れた磁気特性を示す永久磁石材料を得る必要がある。Coを主成分とする合金の永久磁石膜では膜厚が100〜1000[Å]の範囲で保磁力Hc=1000[Oe]以上、角形比S=0.7以上を確保することが可能である。
【0069】
第7の実施例を説明する。この実施例では、上記の第1乃至第6の実施例のうちいずれかによるMRヘッドにおいて、磁気抵抗効果を有する再生素子が非磁性金属のスペーサを介して積層された2つの磁性膜によって構成している。この非磁性金属のスペーサとしてはCu、Ta等の材料を用いることが可能である。また、積層された磁性膜としては、NiFe、Co、NiFeCo、CoFe、CoTaZr、NiFe系合金、CoFe系合金、CoTa系合金等を用いることが可能であり、良好な磁気特性を得ることが出来る。
【0070】
第8の実施例を説明する。この実施例では、上記の第1乃至第6の実施例のうちいずれかによるMRヘッドにおいて、再生素子を以下の形態とすることができる。
【0071】
第1の形態: 磁気抵抗効果膜(MR膜)と、Taのスペーサと、MR膜にバイアスを印加するSAL膜とを積層した3層膜とし、そしてこの3層膜の両端に永久磁石膜と導電膜を設けて、再生素子とする。スペーサをTaとすることにより抵抗の高い金属膜のスペーサが得られる。この再生素子を用いたMRヘッドはSALバイアス型磁気ヘッドと呼ばれる。
【0072】
第2の形態: 第1の軟磁性膜と、非磁性金属のスペーサと、第2の磁性膜と、反強磁性膜とを積層した4層膜とし、そしてこの4層膜の両端に永久磁石膜と導電膜を設けて、再生素子とする。この再生素子を用いたMRヘッドはスピンバルブ型MRヘッドあるはスピンバルブヘッドと呼ばれる。なお、この再生素子において、第1の軟磁性膜と第2の磁性膜の両方、またはいずれか一方を、複数の磁性膜を積層した膜や、磁性層間に金属層を設けた積層フェリ層等で置換することできる。非磁性金属のスペーサにはCu等を用いることができる。
【0073】
ここで、スピンバルブ型MRヘッドを図9、図10及び図11を用いて説明する。上記の4層膜のMR素子82とその両端に設けられた永久磁石膜81と電極83(導電膜)とからなる再生素子は、第1のシールド磁性膜93と第2のシールド磁性膜94との間に配置される。第2のシールド磁性膜94は基板95の上に絶縁膜96を介して置かれる。第1のシールド磁性膜93は第2のシールド磁性膜94の上方に、所定の間隙を保って配置される。
【0074】
第1のシールド磁性膜93の上方には記録磁極84が配置される。記録磁極84は、図9に示すように、後方にコイル80の中心にまで延びている。この記録磁極84は、図10に示すように、保護膜97で覆われている。再生素子を構成するMR素子82は、図11に示すように、主として、下から第1の軟磁性膜としての自由層82a、スペーサとしての非磁性金属層82b、第2の磁性層としての固定層82c、及び反強磁性膜からなる反強磁性層82dの4層構造である。
【0075】
第3の形態: 第1の軟磁性膜と、絶縁材料のスペーサと、第2の軟磁性膜とを積層した3層膜と、この3層膜に導電膜を設けて、再生素子とする。この再生素子を用いたMRヘッドはトンネル接合型磁気ヘッドと呼ばれる。
第4の形態: 巨大磁気抵抗効果を生じる再生素子を用いる。
【0076】
【発明の実施の形態】
本発明のMRヘッドは以下の工程で製造し、本発明の効果を実証することにした。
まず、Al等の絶縁膜が形成されたセラミック基板上に1〜2[μm]の厚さの軟磁性材料からなる下部シールド膜を成膜した。下部シールド膜を磁気ヘッドに必要な形に整形した後、Al等の絶縁膜を用いた下部再生ギャップを形成した。この絶縁膜の上に軟磁性膜、非磁性スペーサ膜、磁性膜の順にスパッタ等の方法を用いて、再生素子用の積層薄膜を形成した。この時これらの膜は、100〜200[Å]程度の薄膜である必要がある。成膜された積層薄膜は、ミリング(イオンミリングともいう)等の手法により必要な素子形状に整形される。
【0077】
次に、再生素子の抵抗変化を検出するための電極を作製する。再生トラック幅wを規定するのは再生素子に接触した2つの電極の間隔になるため、まず初めに電極間隔を制御するためのステンシルを、フォトリソグラフィーの技術を用いて再生素子の上に形成した。この時、後述するように形成する電極材料が再生素子と電気的に良好に接続する必要があることから、ステンシルの再生素子に接触している部分はミリングによって形成された素子幅よりも0.2〜0.3[μm]程度狭くする必要があった。この時、ステンシルの幅によって規制される再生トラック幅は、0.7〜1.5[μm]とした。電極を構成する膜の内、まず第1にバイアス磁場発生用の永久磁石膜として、CoCrPt合金を必要な残留磁化・膜厚の積Mrtを得るように膜厚を調整して成膜し、続いて電気的良導体であるTa膜とCu膜を成膜した。
【0078】
このとき、永久磁石膜の残留磁化・膜厚の積Mrtは0.8〜3.9[memu/cm]の条件で成膜を行った。永久磁石膜および導電膜はスパッタ法を用いて形成した。スパッタによる成膜作業が終了した後、ステンシルおよびステンシル上に付着した膜を除去し、完成した再生素子の上に再びAl等からなる絶縁膜を形成した。この絶縁膜は再生素子下部の絶縁膜と合わせて再生ギャップを構成する。更に、再生ギャップ上には厚さ3〜4[μm]の上部シールド膜を形成した。完成した再生ヘッドの上部に記録コイルと記録磁極を積層し、上部に保護膜と導電パッドをとりつけてすべのヘッド製造工程が終了した。
【0079】
再生トラック幅wを0.7〜1.5[μm]、永久磁石膜のMrtを0.8〜3.9[memu/cm]とした試作MRヘッドの再生波形非対称性、再生出力およびヒステリシスの測定結果はそれぞれ図1、図3および図5に示したとおりである。
【0080】
【発明の効果】
本発明によるMRヘッドを用いることにより、高トラック密度に応じて再生トラック幅が狭くなっても再生波形の非対称性、再生出力および再生出力のばらつきの少ない良好な再生特性を得ることが可能となる。さらに、バルクハウゼンノイズを効果的に除去できる磁石膜と再生トラック幅の関係を利用できるため、高性能なMRヘッドが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】永久磁石膜の残留磁化と膜厚との積Mrtに対する再生波形非対称性を示すグラフである。
【図2】再生波形非対称性を規制するための再生トラック幅wと、永久磁石膜の残留磁化と膜厚との積Mrtとの関係を示すグラフである。
【図3】永久磁石膜の残留磁化と膜厚との積Mrtに対する再生出力を示すグラフである。
【図4】再生出力を規定するための再生トラック幅wと、永久磁石膜の残留磁化と膜厚の積Mrtとの関係を示すグラフである。
【図5】永久磁石膜の残留磁化と膜厚との積Mrtに対するヒステリシスを示すグラフである。
【図6】ヒステリシスを規制するための再生トラック幅wと、永久磁石膜の残留磁化と膜厚との積Mrtとの関係を示すグラフである。
【図7】再生出力およびヒステリシスを規制するための再生トラック幅wと、永久磁石膜の残留磁化と膜厚との積Mrtとの関係を示すグラフである。
【図8】浮上面から見たMRヘッドの磁極部の概略図である。
【図9】本発明が適用されるスピンバルブ型MRヘッドの斜視図であり、MRヘッドの保護膜がはずされ且つMRヘッドの一部が断面図にて示されている。
【図10】図9のMRヘッドの正面図である。
【図11】図10のMRヘッドにおける再生素子を拡大して示した図である。
【図12】従来のMRヘッドの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
80 コイル、 81 永久磁石膜、 82 磁気抵抗効果素子(MR素子)、
82a 自由層、 82b スペーサ、 82c 固定層、
82d 反強磁性層、 83 電極、 84 記録磁極、
85 下部シールド膜、 86 上部シールド膜、 87 再生ギャップ、
91 磁気抵抗効果素子、92 再生ギャップ、
93 シールド磁性膜(下部磁極) 94 シールド磁性膜、
95 基板、 96 絶縁膜、 97 保護膜。

Claims (3)

  1. MR素子と、前記MR素子に隣接して設けられた永久磁石膜と、前記MR素子に通電するための電極とを有して成る磁気抵抗効果型磁気ヘッドの調整方法であって、
    (a) 前記永久磁石膜の残留磁化をMr、前記永久磁石膜の膜厚をt、前記残留磁化Mrと前記膜厚tとの積をMrtとし、
    複数の異なる再生トラック幅wについて、前記Mrtに対する再生波形の非対称特性の関係を求める工程、
    (b) 前記非対称特性の許容範囲内に収まるように、各再生トラック幅wにおける前記Mrtの上限値及び下限値を求める工程、
    (c) 前記(b)工程で得られた前記Mrtの上限値と前記再生トラック幅wとの関係から前記Mrtの第1上限規制式を求めるとともに、前記(b)工程で得られた前記Mrtの下限値と前記再生トラック幅wとの関係から前記Mrtの第1下限規制式を求め、さらに前記再生トラック幅wの範囲を規制する工程、
    (d) 前記再生トラック幅wの範囲を満たし、且つ、前記第1上限規制式及び前記第1下限規制式から得られた前記Mrtの範囲を満たすように、前記再生トラック幅wと、前記Mrtとを決定する工程、
    を有することを特徴とする磁気抵抗効果型磁気ヘッドの調整方法。
  2. 以下の工程を有する請求項1記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの調整方法。
    (e) 複数の異なる再生トラック幅wについて、前記Mrtに対する前記磁気抵抗効果型磁気ヘッドの再生出力の関係を求める工程、
    (f) 前記再生出力が必要最小値以上となるように、各再生トラック幅wにおける前記Mrtの上限値を求める工程、
    (g) 前記(f)工程で得られた前記Mrtの上限値と前記再生トラック幅wとの関係から前記Mrtの第2上限規制式を求める工程、
    (h) 前記再生トラック幅wの範囲を満たし、且つ、前記第1上限規制式、第2上限規制式及び前記第1下限規制式から得られた前記Mrtの範囲を満たすように、前記再生トラック幅wと、前記Mrtとを決定する工程、
  3. 以下の工程を有する請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果型磁気ヘッドの調整方法。
    (i) 複数の異なる再生トラック幅wについて、前記Mrtに対する前記磁気抵抗効果型磁気ヘッドのヒステリシスの関係を求める工程、
    (j) 前記ヒステリシスが許容最大値以下となるように、各再生トラック幅wに対する前記Mrtの下限値を求める工程、
    (k) 前記(j)工程で得られた前記Mrtの下限値と前記再生トラック幅wとの関係から前記Mrtの第2下限規制式を求める工程、
    (l) 前記再生トラック幅wの範囲を満たし、且つ、前記第1上限規制式、前記第1下限規制式、及び前記第2下限規制式から得られた前記Mrtの範囲を満たすように、あるいは、前記再生トラック幅wの範囲を満たし、且つ、前記第1上限規制式、第2上限規制式、前記第1下限規制式、及び前記第2下限規制式から得られた前記Mrtの範囲を満たすように、前記再生トラック幅wと、前記Mrtとを決定する工程、
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