JPH10220551A - 変速比無限大無段変速機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一定変速機出力側ギヤおよび変速機出力ギヤ
の傾きを低減して、音振性能や耐久性を向上する。 【解決手段】 無段変速機２に一定変速機１０３、動力
循環モードクラッチ１０９を介して遊星歯車機構５を組
み合わせて、変速比を無限大まで制御可能とする変速比
無限大無段変速機において、一定変速機出力側ギヤ１０
３ｂを、動力循環モードクラッチ入力側部材１０９ａと
軸方向に分離可能に構成し、一定変速機出力側ギヤ１０
３ｂを軸支する軸受１３２ａ，１３２ｂを支持する軸受
支持部１１３ｂを、変速比無限大無段変速機ケース１１
３に備え、一定変速機出力側ギヤ１０３ｂと動力循環モ
ードクラッチ入力側部材１０９ａとの間に、一定変速機
出力側ギヤを軸支する軸受１３２ａ，１３２ｂを固定す
る軸受固定部材１３５を備えてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、車両等に採用さ
れる無段変速機の内、特に変速比無限大無段変速機に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から車両の変速機として、ベルト式
やトロイダル型の無段変速機が知られており、このよう
な無段変速機の変速領域をさらに拡大するために、無段
変速機に遊星歯車機構を組み合わせて変速比を無限大ま
で制御可能とする変速比無限大無段変速機が、例えば特
願平８ー１４１１７２号等に提案されている。

【０００３】これは、図４に示すようにエンジンに結合
される変速比無限大無段変速機のユニット入力軸１に、
変速比を連続的に変更可能な無段変速機２と一定の変速
比を備えた一定変速機３とが並列的に連結され、無段変
速機２は、２組の入力ディスク２１と出力ディスク２２
とで、パワーローラ２０をそれぞれ押圧するトロイダル
型で構成されている。

【０００４】一定変速機３は、入力側ギヤ３ａと出力側
ギヤ３ｂにより構成され、これらのギヤ３ａ，３ｂは強
度および音振性能を向上させるため、はすば歯車で構成
されており、トルク伝達に伴いこれらのギヤ３ａ，３ｂ
に作用する軸直角方向荷重、軸方向荷重およびその軸方
向荷重による曲げモーメントは、それぞれ軸受３１とユ
ニット出力軸６に嵌装され支持された軸受３２によって
負荷される。

【０００５】無段変速機の出力側は無段変速機出力ギヤ
列４０（２ａ，４０ａ，４ａ）を介して出力軸４に連結
され、その出力軸４は遊星歯車機構５のサンギヤ５ａ
に、一定変速機３の出力軸３ｃは遊星歯車機構５のキャ
リア５ｂに連結される一方、遊星歯車機構５のリングギ
ヤ５ｃはユニット出力軸６に結合されている。

【０００６】ユニット入力軸１から遊星歯車機構５のキ
ャリア５ｂへの伝達経路の途中には、動力循環モードク
ラッチ９が介装され、無段変速機２の出力軸４からユニ
ット出力軸６への伝達経路の途中には、直結モードクラ
ッチ１０が介装されている。

【０００７】このユニット出力は、ユニット出力軸６の
先端にある変速機出力ギヤ７からファイナルギヤ１２、
差動ギヤ８を経て、駆動軸１１ａ，１１ｂへ伝達され
る。

【０００８】このような変速比無限大無段変速機では、
動力循環モードクラッチ９を接続する一方、直結モード
クラッチ１０を遮断することにより、無段変速機２と一
定変速機３の変速比に応じて、ユニット総減速比を負の
値から正の値まで無限大を含んでほぼ連続的に制御を行
う「動力循環モード」と、動力循環モードクラッチ９を
遮断する一方、直結モードクラッチ１０を接続して、無
段変速機２の変速比と無段変速機出力ギヤ列４０の変速
比の積に応じた変速比となる「直結モード」とを選択的
に使用することができる。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の変速比無限大無段変速機にあっては、一定変
速機３の出力側ギヤ３ｂを軸支する軸受３２がユニット
出力軸６に支持される構造となっているため、支持剛性
が低く、一定変速機３の出力側ギヤ３ｂに傾きが発生し
て、その出力側ギヤ３ｂと入力側ギヤ３ａとの噛み合い
の音振性能やこれらのギヤ３ａ，３ｂの耐久性が悪化し
たり、また、軸受３２が受ける荷重がその軸受３２を支
持するユニット出力軸６に作用して、ユニット出力軸６
にたわみが発生するため、そのユニット出力軸６の先端
にある変速機出力ギヤ７とファイナルギヤ１２との噛み
合いの音振性能やこれらのギヤ７，１２の耐久性が悪化
するという問題があった。

【００１０】この発明は、このような問題点に鑑みてな
されたもので、一定変速機出力側ギヤおよび変速機出力
ギヤの傾きを低減して、音振性能や耐久性を向上させる
ことを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】第１の発明は、ユニット
入力軸にそれぞれ連結された無段変速機および複数個の
ギヤからなる一定変速機と、無段変速機の出力軸に連結
されるサンギヤと一定変速機の出力軸に連結されるキャ
リアおよびユニット出力軸に連結されるリングギヤとか
らなる遊星歯車機構と、ユニット入力軸から遊星歯車機
構のキャリアへの伝達経路の途中に介装された動力循環
モードクラッチと、無段変速機の出力軸からユニット出
力軸の伝達経路の途中に介装された直結モードクラッチ
と、無段変速機とその出力軸との間に設けられた無段変
速機出力ギヤ列と、を備えた変速比無限大無段変速機に
おいて、前記一定変速機の出力側ギヤを、前記動力循環
モードクラッチの入力側部材と軸方向に分離可能に構成
し、前記一定変速機の出力側ギヤを軸支する軸受を支持
する軸受支持部を、変速比無限大無段変速機ケースに備
え、前記一定変速機の出力側ギヤと前記動力循環モード
クラッチの入力側部材との間に、一定変速機の出力側ギ
ヤを軸支する軸受を固定する軸受固定部材を備えてな
る。

【００１２】

【発明の効果】第１の発明によれば、一定変速機の出力
側ギヤと動力循環モードクラッチの入力側部材とを軸方
向に分離可能にすると共に、その出力側ギヤを軸支する
軸受を、変速比無限大無段変速機ケースに備えて容易に
剛性を高くすることが可能な軸受支持部で支持して、そ
の軸受を固定する軸受固定部材を設けたので、一定変速
機の出力側ギヤを軸支する軸受の剛性およびその支持剛
性を高くでき、一定変速機の出力側ギヤの傾きが低減す
るため、一定変速機の入力側ギヤと出力側ギヤとの噛み
合いの音振性能やこれらのギヤの耐久性を向上できる。
また、ユニット出力軸の変速機出力ギヤの傾きが低減
し、変速機出力ギヤとファイナルギヤとの噛み合いの音
振性能やこれらのギヤの耐久性を向上できる。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【００１４】図１は、本発明の実施の形態の変速比無限
大無段変速機の概略構成を示しており、１はユニット入
力軸、２はトロイダル型の無段変速機、１０３は一定変
速機、４は無段変速機２の出力軸、５は遊星歯車機構、
６はユニット出力軸、７は変速機出力ギヤである。

【００１５】一定変速機１０３の出力側ギヤ１０３ｂ
は、２個の軸受１３２ａ，１３２ｂで軸支され、これら
の軸受１３２ａ，１３２ｂは変速比無限大無段変速機の
ケース１１３に備えられた軸受支持部１１３ｂで支持さ
れている。

【００１６】図２は、一定変速機１０３の出力側ギヤ１
０３ｂおよびその周辺部品の断面を示している。図２の
ように、変速比無限大無段変速機のケース１１３には、
内側にユニット出力軸６を挿通すると共に、外側に軸受
１３２ａ，１３２ｂを支持する軸受支持部１１３ｂが形
成されている。

【００１７】軸受１３２ａ，１３２ｂの間にはスペーサ
１３３が介装され、軸受１３２ａ，１３２ｂの外周には
一定変速機１０３の出力側ギヤ１０３ｂのボスが嵌着さ
れる。軸受１３２ａ，１３２ｂおよびスペーサ１３３
は、座金１３４を介して、軸受支持部１１３ｂの一端に
形成されたねじ１１３ｂｓと螺合する軸受固定部材１３
５により止められている。

【００１８】一定変速機１０３の出力側ギヤ１０３ｂに
は、ボスの外周側にスプライン部１０３ｂｓ（出力軸に
なる）が設けられる一方、動力循環モードクラッチ１０
９の入力側部材１０９ａには、そのスプライン部１０３
ｂｓと嵌合されるスプライン部１０９ａｓが形成されて
いる。

【００１９】一定変速機１０３の入力側ギヤ１０３ａか
ら出力側ギヤ１０３ｂに伝達された動力は、これらのス
プライン部１０３ｂｓ，１０９ａｓを介して、動力循環
モードクラッチ１０９の入力側部材１０９ａに伝達され
る。

【００２０】動力循環モードクラッチ１０９は、入力側
部材１０９ａ、ピストン１０９ｄ、遊星歯車機構５のキ
ャリア５ｂに連結している出力側部材１０９ｅ、入力側
部材１０９ａと一体回転する複数枚のプレート１０９
ｂ、出力側部材１０９ｅと一体回転する複数枚の摩擦プ
レート１０９ｃ等から構成される。

【００２１】軸受支持部１１３ｂには、変速比無限大無
段変速機のケース１１３に設けられた油路１５０に接続
する油路１１３ｃが設けられており、油路１５０、１１
３ｃを通してピストン１０９ｄと入力側部材１０９ａと
の間の油室１０９ｄａに供給されるクラッチ作動圧によ
りピストン１０９ｄが移動し、入力側部材１０９ａと出
力側部材１０９ｅとの接続・遮断、すなわち動力循環モ
ードクラッチ１０９の接続・遮断が行われる。

【００２２】動力循環モードクラッチ１０９の接続によ
るスラスト力や動力伝達に伴い遊星歯車機構５の各要素
に発生するスラスト力を受けるスラスト軸受１４１ａ，
１４１ｂ，１４１ｃならびに動力循環モードクラッチ１
０９の入力側部材１０９ａや出力側部材１０９ｅを支持
する軸受１４２ａ，１４２ｂがそれぞれ設けられてい
る。

【００２３】なお、図中、従来例と同一の構成のものに
は同一の符号を付してある。

【００２４】このように、一定変速機１０３の出力側ギ
ヤ１０３ｂを軸支する軸受１３２ａ，１３２ｂを、変速
比無限大無段変速機のケース１１３に形成して容易に剛
性を高くすることが可能な軸受支持部１１３ｂで支持す
る構成としたので、軸受１３２ａ，１３２ｂならびに出
力側ギヤ１０３ｂを確実に支持することができる。

【００２５】また、一定変速機１０３の出力側ギヤ１０
３ｂと動力循環モードクラッチ１０９の入力側部材１０
９ａとをスプライン結合として軸方向に分離可能にした
ため、動力循環モードクラッチ１０９の接続によるスラ
スト力や動力伝達に伴い遊星歯車機構５の各要素に発生
するスラスト力を受けるスラスト軸受１４１ａや１４１
ｂを、出力側ギヤ１０３ｂの傾きを増大させるような位
置で支持することなく設置することができる。

【００２６】また、軸受１３２ａ，１３２ｂを、変速比
無限大無段変速機のケース１１３に形成した軸受支持部
１１３ｂで支持すると共に、一定変速機１０３の出力側
ギヤ１０３ｂと動力循環モードクラッチ１０９の入力側
部材１０９ａとを軸方向に分離可能にしたため、複雑な
油路を設けることなく、クラッチ作動圧を軸受支持部１
１３ｂに設けた油路１１３ｃから動力循環モードクラッ
チ１０９に供給することができる。

【００２７】この一方、一定変速機１０３の出力側ギヤ
１０３ｂと動力循環モードクラッチ１０９の入力側部材
１０９ａは分離可能なことから、組付け時に軸受１３２
ａ，１３２ｂ間にスペーサ１３３を設け、座金１３４を
介して軸受支持部１１３ｂに設けられたネジ１１３ｂｓ
と係合する軸受固定部材１３５でこれら軸受１３２ａ，
１３２ｂを固定することが容易である。

【００２８】そのため、軸受１３２ａ，１３２ｂ間の隙
間をスペーサ１３３で最適化できる。また、軸受１３２
ａ，１３２ｂに軸方向荷重の負荷能力の高い円錐ころ軸
受やアンギュラ玉軸受等を用いた場合に、スペーサ１３
３の幅（軸方向長さ）の選択によって、軸受１３２ａ，
１３２ｂ、スペーサ１３３間の隙間を組付け前状態で０
以下として、組付け後に軸受固定部材１３５により軸受
１３２ａ，１３２ｂにプリロードを与え、軸受１３２
ａ，１３２ｂ自体の剛性を上げるようにもできる。

【００２９】また、ユニット出力軸６に、出力側ギヤ１
０３ｂを軸支する軸受１３２ａ，１３２ｂを支持するこ
とによる荷重が作用しなくなり、その荷重分のたわみが
発生しなくなる。

【００３０】したがって、一定変速機１０３の出力側ギ
ヤ１０３ｂを軸支する軸受１３２ａ，１３２ｂの剛性お
よびその支持剛性を高くでき、一定変速機１０３の出力
側ギヤ１０３ｂの傾きを低減でき、一定変速機１０３の
入力側ギヤ１０３ａと出力側ギヤ１０３ｂとの噛み合い
の音振性能やこれらのギヤ１０３ａ，１０３ｂの耐久性
が向上する。また、ユニット出力軸６の先端にある変速
機出力ギヤ７の傾きが低減し、変速機出力ギヤ７とファ
イナルギヤ１２との噛み合いの音振性能やこれらのギヤ
７，１２の耐久性が向上する。

【００３１】なお、この実施の形態では、軸受支持部１
１３ｂを変速比無限大無段変速機のケース１１３と一体
構造にしているが、図３に示すように軸受支持部１１３
ｂを変速比無限大無段変速機のケース１１３と別体の構
造としても良い。この場合、変速比無限大無段変速機の
ケース１１３に対して、軸受支持部１１３ｂにフランジ
部１６０を設け、ボルト１６１等により締結する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態の変速比無限大無段変速機の概略構
成図である。

【図２】一定変速機の出力側ギヤおよびその周辺部品の
断面図である。

【図３】別の実施の形態の一定変速機の出力側ギヤおよ
びその周辺部品の断面図である。

【図４】従来例の変速比無限大無段変速機の概略構成図
である。

【符号の説明】

１ ユニット入力軸 ２ 無段変速機 ４ 無段変速機の出力軸 ５ 遊星歯車機構 ５ａ サンギヤ ５ｂ キャリア ５ｃ リングギヤ ６ ユニット出力軸 ７ 変速機出力ギヤ ８ 差動ギヤ １０ 直結モードクラッチ １１ａ，１１ｂ 駆動軸 １２ ファイナルギヤ ４０ 無段変速機出力ギヤ列 １０３ 一定変速機 １０３ａ 一定変速機３の入力側ギヤ １０３ｂ 一定変速機３の出力側ギヤ １０３ｂｓ スプライン部 １０９ 動力循環モードクラッチ １０９ａ 動力循環モードクラッチの入力側部材 １０９ａｓ スプライン部 １０９ｅ 動力循環モードクラッチの出力側部材 １０９ｄａ 油室 １１３ 変速比無限大無段変速機のケース １１３ｂ 軸受支持部 １１３ｂｓ ねじ １１３ｃ 油路 １３２ａ，１３２ｂ 軸受 １３３ スペーサ １３５ 軸受固定部材 １４１ａ，１４１ｂ，１４１ｃ、１４２ａ，１４２ｂ
軸受 １５０ 油路

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ユニット入力軸にそれぞれ連結された無
   段変速機および複数個のギヤからなる一定変速機と、 無段変速機の出力軸に連結されるサンギヤと、一定変速
   機の出力軸に連結されるキャリアおよびユニット出力軸
   に連結されるリングギヤとからなる遊星歯車機構と、 ユニット入力軸から遊星歯車機構のキャリアへの伝達経
   路の途中に介装された動力循環モードクラッチと、 無段変速機の出力軸からユニット出力軸の伝達経路の途
   中に介装された直結モードクラッチと、 無段変速機とその出力軸との間に設けられた無段変速機
   出力ギヤ列と、を備えた変速比無限大無段変速機におい
   て、 前記一定変速機の出力側ギヤを、前記動力循環モードク
   ラッチの入力側部材と軸方向に分離可能に構成し、 前記一定変速機の出力側ギヤを軸支する軸受を支持する
   軸受支持部を、変速比無限大無段変速機ケースに備え、 前記一定変速機の出力側ギヤと前記動力循環モードクラ
   ッチの入力側部材との間に、一定変速機の出力側ギヤを
   軸支する軸受を固定する軸受固定部材を備えてなること
   を特徴とする変速比無限大無段変速機。