JPH10219411A - 耐摩耗性焼結合金およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性焼結合金およびその製造方法

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JPH10219411A
JPH10219411A JP9034449A JP3444997A JPH10219411A JP H10219411 A JPH10219411 A JP H10219411A JP 9034449 A JP9034449 A JP 9034449A JP 3444997 A JP3444997 A JP 3444997A JP H10219411 A JPH10219411 A JP H10219411A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 材料強度が高く、優れた高温耐摩耗性をもつ
焼結材料を提供する。 【解決手段】 Ni:1.35〜19.61重量%、C
r:0.9〜11.05重量%、Mo:1.44〜9.
09重量%、Co:3.6〜20.05重量%、V:
0.018〜0.26重量%、Si:0.l〜0.75
重量%、C:0.35〜1.5重量%、およびFe:残
部からなる全体組成を有する。マルテンサイトとソル
バイトおよびオーステナイトの混合組織中に、主とし
てMo珪化物よりなる硬質相を核としてその周囲をCo
が拡散してなる拡散相が取り囲む第1の硬質相と、C
r炭化物よりなる硬質相を核としてその周囲をフェライ
トとオーステナイトの混合相が取り囲む第2の硬質相と
が、それぞれ分散する金属組織を呈する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温における耐摩
耗性に優れた耐摩耗性焼結合金および製造方法に係り、
主として内燃機関用のバルブシートに用いて好適な技術
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車エンジンは高性能化により
作動条件が一段と厳しくなっており、エンジンに用いら
れるバルブシートにおいても、従来に増して厳しい使用
環境条件に耐えることが必要となってきている。このよ
うな要請から、本出願人は、先に、特公昭49−179
68号公報、特公昭55−36242号公報、特公昭5
7−56547号公報、特公平5−55593号公報、
特公平7−98985号公報等において耐摩耗性に優れ
た焼結合金を提案してきた。
【0003】上記提案に係る耐摩耗性焼結合金のうち、
特公昭57−56547号公報に開示のものは、バルブ
シートとしての基地を形成するために、上記特公昭49
−17968号公報および特公昭55−36242号公
報で開示の合金から各々黒鉛を除いた成分を合金化して
2種の合金粉末を製造し、これら合金粉末に黒鉛粉末を
混合した混合粉末を用いて成形および焼結したもので、
斑状基地組織を呈することにより耐摩耗性を改善した焼
結合金である。具体的には、Cr:2〜4重量%、M
o:0.2〜0.4重量%、V:0.2〜0.4重量%
およびFe:残部よりなるA合金粉末と、Ni:0.5
〜3重量%、Mo:0.5〜3重量%、Co:5.5〜
7.5重量%およびFe:残部よりなるB合金粉末の混
合粉末に黒鉛を添加し、A合金粉末とB合金粉末の重量
比を25:75〜75:25とすることで耐摩耗性を向
上させたものである。
【0004】また、特公平5−55593号公報に開示
の耐摩耗性焼結合金は、上記特公昭55−36242号
公報で開示の合金に、Mo:26〜30重量%、Cr:
7〜9重量%、Si:1.5〜2.5重量%およびC
o:残部の硬質相が分散した組織を呈するものであり、
上記B合金粉末と、Mo:26〜30重量%、Cr:7
〜9重量%、Si:1.5〜2.5重量%およびCo:
残部のC合金粉末と黒鉛粉末との混合粉末を成形および
焼結することで製造することができる。さらに、特公平
7−98985号公報に開示の耐摩耗性焼結合金は、上
記特公平5−55593号公報で開示の合金を改良した
もので、この合金にNi:5〜27重量%を含有させる
ことにより、基地組織を強化したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、本出願人
も時代の要請に従い、より耐摩耗性に優れた焼結合金を
提供してきたが、自動車エンジンのさらなる高性能化に
より作動条件が一段と厳しくなっているのが現状であ
り、前記した焼結合金よりもさらに高温における耐摩耗
性、強度に優れる材料が望まれている。
【0006】たとえば、タクシー車に搭載されるLPG
燃料エンジンにおいては、バルブおよびバルブシートの
摺接面が乾燥状態で使用されるため、ガソリンエンジン
のバルブシートに比べ摩耗が早い。また、高有鉛ガソリ
ンエンジンのようにスラッジが付着するような環境で
は、バルブシートに対する面圧が高い場合、あるいはデ
ィーゼルエンジンのように高温・高圧縮比の場合に、ス
ラッジにより摩耗が促進される。このような厳しい環境
で使用される場合には、耐摩耗性が良いことに併せ、へ
たり現象を生じないような高い強度が要求される。
【0007】一方、バルブシートが摩耗してもバルブの
位置とバルブ駆動タイミングを自動調節できるラッシュ
アジャスタ装置を備えた動弁機構も実用化されている
が、バルブシートの摩耗によるエンジン寿命の問題が解
決されたわけでなく、低コスト化の強い要望からも耐摩
耗性に優れたバルブシート用材料の開発が望まれてい
る。また、近年の自動車開発が高性能化を目指すだけで
なく、経済性を重視した安価な自動車の開発も重要視さ
れつつあり、従ってこれからのバルブシート用焼結合金
としては、上記のような付加的な機構を必要としない高
温耐摩耗性、高強度を有するものであることが求められ
るようになってきている。本発明は、このような事情を
背景としてなされたものであって、材料強度が高く、優
れた高温耐摩耗性をもつ焼結材料を提供することを目的
としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の耐摩耗性
焼結合金は、本出願人が先に開示した耐摩耗性焼結合金
の改良に関するものであり、基地組織として特公昭57
−56547号公報に開示の合金、すなわちA合金粉末
とB合金粉末による斑状組織を呈する合金をベースとし
て、基地強化のためにNiを添加するとともに、特公平
5−55593号公報および特公平7−98985号公
報で用いたC合金粉末と、本発明者等が新たに見出し
た、Cr:4〜25重量%、Fe:残部よりなるD合金
粉末の2種の合金粉末を硬質相形成のために添加したも
のである。
【0009】すなわち、本発明の第1の耐摩耗性焼結合
金は、Ni:1.35〜19.61重量%、Cr:0.
9〜11.05重量%、Mo:1.44〜9.09重量
%、Co:3.6〜20.05重量%、V:0.018
〜0.26重量%、Si:0.l〜0.75重量%、
C:0.35〜1.5重量%、およびFe:残部からな
る全体組成を有し、 マルテンサイトとソルバイトおよびオーステナイトの
混合組織中に、 主としてMo珪化物よりなる硬質相を核としてその周
囲をCoが拡散してなる拡散相が取り囲む第1の硬質相
と、 Cr炭化物よりなる硬質相を核としてその周囲をフェ
ライトとオーステナイトの混合相が取り囲む第2の硬質
相とが、それぞれ分散する金属組織を呈することを特徴
としている。
【0010】以下、上記構成の耐摩耗性焼結合金の作用
について、図1を参照しながら数値限定の根拠とともに
説明する。 基地 図1は上記耐摩耗性焼結合金の表面をナイタール等で腐
食した場合の金属組織を示す模式図である。図1に示す
ように、この耐摩耗性焼結合金の基地は、マルテンサイ
トとソルバイトおよびオーステナイトの混合組織であ
る。マルテンサイトは、硬く強度が高い組織であり耐摩
耗性の向上に寄与する。しかしながら、その硬さ故に、
たとえば相手部品となるバルブの摩耗を促進する。そこ
で、マルテンサイト程硬くないソルバイトと、靱性に富
むオーステナイトとを分散させることにより、基地に高
い耐摩耗性を付与すると同時に相手部品に対して与える
ダメージを軽減した。
【0011】第1の硬質相 図1に示すように、基地には、主としてMo珪化物より
なる硬質相を核としてその周囲をCoが拡散してなる拡
散相が取り囲む第1の硬質相が分散している。拡散相は
Co濃度が高く金属顕微鏡で観察すると白く見えるた
め、図1では白色相と示している。このような第1の硬
質相は、硬質なMo珪化物の存在により耐摩耗性を一層
向上させる。
【0012】第2の硬質相 図1に示すように、基地には、Cr炭化物よりなる硬質
相を核としてその周囲をフェライトとオーステナイトの
混合相が取り囲む第2の硬質相が分散している。第2の
硬質相は、上記第1の硬質相に比べて硬さは低いが、第
1の硬質相と併存することによって第1の硬質相のみで
得られる耐摩耗性をさらに向上させる。すなわち、第2
の硬質相を形成することにより耐摩耗性が向上すること
は勿論のこと、オーステナイトとフェライトの混合相は
Cr濃度が高いため、靱性に富み材料強度を高める。さ
らに、第2の硬質相のCr炭化物が基地に拡散すること
により基地を強化し、耐摩耗性をより一層向上させる。
【0013】次に、上記成分組成の数値限定の根拠につ
いて説明する。 Ni:Niは基地に固溶して基地を強化することで耐摩
耗性の向上に寄与し、さらに、基地組織の焼入れ性を改
善してマルテンサイト化を促進する。さらに、基地に拡
散して基地の固溶強化に働くとともに、Ni濃度の高い
部分は、軟質なオーステナイトとして残留し、基地の靱
性を向上させる。Niの含有量は、1.35重量%未満
であると上記した効果が不充分となり、19.61重量
%を超えると軟質なオーステナイト相の量が増加するこ
とにより耐摩耗性が損なわれるとともに、粉末が固くな
って圧縮性が損なわれる。よって、Niの含有量は1.
35〜19.61重量%とした。
【0014】Cr:Crは基地に固溶して基地を強化す
るとともに、基地組織の焼入れ性を改善する働きがあ
り、このような働きにより基地の強度と耐摩耗性の向上
に寄与する。また、Crは、Cr炭化物からなる硬質相
を核とする第2の硬質相を形成して耐摩耗性をさらに向
上させる。また、第1、第2の硬質相から基地に拡散し
たCrは、第1の硬質相および第2の硬質相を基地に強
固に結合するとともに、基地組織をさらに強化し、焼入
れ性をさらに向上させる働きがある。さらに、第2の硬
質相周囲のCr濃度の高い部分はフェライトとオーステ
ナイトの混合相を形成し、バルブ着座時の衝撃を緩衝す
る効果、および摩擦摺動面でのCr炭化物等の硬質成分
の脱落を防止する効果がある。Crの含有量は、0.9
重量%未満であると上記効果が不充分となり、11.0
5重量%を超えると粉末が固くなって圧縮性が損なわれ
る。よって、Crの含有量は、0.9〜11.05重量
%とした。
【0015】Mo:Moは基地に固溶して基地を強化す
るとともに、基地組織の焼入れ性を改善する働きがあ
り、このような働きにより基地の強度と耐摩耗性の向上
に寄与する。また、Moは、主にSiとともに硬質なM
o珪化物を形成するとともに、一部はCoとも反応して
Mo−Co珪化物を形成し、こうして第1の硬質相の核
を形成することで耐摩耗性の向上に寄与する。Moの含
有量は、1.44重量%を下回ると基地強化が不充分に
なるとともに、充分な量の珪化物が析出しない。一方、
9.09重量%を超えて含有すると、粉末が固くなって
圧縮性が損なわれるとともに、珪化物の量が増加して相
手部品の摩耗を促進する。よって、Moの含有量は1.
44〜9.09重量%とした。
【0016】Co:Coは基地に固溶して基地の耐熱性
を向上させるとともに、高温強度、高温耐摩耗性の向上
に働く。また、第1の硬質相のCoは、基地に拡散して
基地を固溶強化するとともに、第1の硬質相を基地に強
固に結合する働きがある。さらに、基地に拡散したCo
は基地を強化するとともに、基地および硬質相基地の耐
熱性の向上に働く。加えて、Coの一部はMo,Siと
ともにMo−Co珪化物を形成し、第1の硬質相の核と
なって耐摩耗性の向上に寄与する。Coの含有量は、
3.6重量%未満であると上記した効果が不充分とな
り、20.05重量%を超えると粉末が固くなって圧縮
性が損なわれる。よって、Coの含有量は、3.6〜2
0.05重量%とした。
【0017】V:Vは基地を固溶強化して基地の強化と
耐摩耗性の向上に働く。Vの含有量は、0.018重量
%未満であると上記した効果が不充分となり、0.26
重量%を超えると、粉末が固くなって圧縮性が損なわれ
る。よって、Vの含有量は0.018〜0.26重量%
とした。
【0018】Si:Siは、前述のとおりMo,Coと
化合し、硬質なMo珪化物、Mo−Co珪化物を形成し
耐摩耗性の向上に寄与する。Siの含有量は、0.1重
量%未満であると充分な量の珪化物が析出せず、0.7
5重量%を超えると粉末が固くなって圧縮性が損なわれ
るとともに、形成される珪化物の量が増加して相手部品
の摩耗を促進する。よって、Siの含有量は、0.l〜
0.75重量%とした。
【0019】C:Cは基地の強化に働くとともに、耐摩
耗性の向上に寄与する。また、Cは、Cr炭化物を形成
して耐摩耗性の向上にさらに寄与する。Cの含有量が
0.35重量%未満では、基地組織に耐摩耗性、強度と
もに低いフェライトが残留するようになるとともに、炭
化物の形成が不充分となって耐摩耗性の向上が不充分と
なる。一方、Cの含有量が1.5重量%を超えると、粒
界にセメンタイトが析出し始めて強度が低下するととも
に、形成する炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促
進し、さらに、粉末が固くなることにより圧縮性が低下
する。よって、Cの含有量は、0.35〜1.5重量%
とした。
【0020】次に、本発明の第2の耐摩耗性焼結合金
は、上記したD合金粉末に代えて、Cr:4〜25重量
%、C:0.25〜2.4重量を含有し、Mo:0.3
〜3重量%、V:0.2〜2.2重量%、W:1〜5重
量%のうちの1種もしくは2種以上を含有し、Fe:残
部のE合金粉末を添加したものである。すなわち、第2
の耐摩耗性焼結合金は、Ni:1.35〜19.61重
量%、Cr:0.9〜11.05重量%、Mo:1.4
4〜9.42重量%、Co:3.6〜20.05重量
%、V:0.018〜0.85重量%、W:0〜1.5
0重量%、Si:0.1〜0.75重量%、C:0.3
5〜1.5重量%、およびFe:残部からなる全体組成
を有し、 マルテンサイトとソルバイトおよびオーステナイトの
混合組織中に、 主としてMo珪化物よりなる硬質相を核としてその周
囲をCoが拡散してなる拡散相が取り囲む第1の硬質相
と、 主としてCr炭化物よりなる硬質相を核としてその周
囲をフェライトとオーステナイトの混合相が取り囲む第
2の硬質相が、それぞれ分散する金属組織を呈すること
を特徴としている。
【0021】上記構成の耐摩耗性焼結合金では、Mo、
Vの添加量の上限値を大きくするとともに必要に応じて
Wを添加することにより、第2の硬質相内の硬質粒子
は、Cr炭化物に加えてMo炭化物、V炭化物あるいは
W炭化物や、CrとMo、VあるいはWの金属間化合物
から構成される。すなわち、図1の模式図において、
「Cr炭化物よりなる」核を「主としてCr炭化物より
なる核」に置き換えた金属組織となる。さらに、Vおよ
びWは、Cと微細な炭化物を形成して耐摩耗性の向上に
寄与するとともに、これらの金属間化合物および炭化物
は、Cr炭化物の粗大化を防止する効果を有する。粗大
化したCr炭化物は相手部品の摩耗を促進するので、粗
大化の防止によって相手部品であるバルブの摩耗が抑制
され、耐摩耗性も向上する。したがって、本発明の第2
の耐摩耗性焼結合金は、上記した優れた特性を有するの
は勿論のこと、耐摩耗性がより一層向上されたものとな
る。
【0022】ここで、Mo、VおよびWの上限値をそれ
ぞれ9.42重量%、0.85重量%および1.50重
量%としたのは、これら上限値を上回ると粉末が固くな
って圧縮性が損なわれるとともに、析出する金属間化合
物や炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促進するか
らである。よって、第2の耐摩耗性焼結合金では、Mo
の含有量を1.44〜9.42重量%、Vの含有量を
0.018〜0.85重量%とした。なお、Moおよび
Vの含有量の下限値の根拠は第1の耐摩耗性焼結合金の
場合と同じであるが、上記した金属間化合物や炭化物を
確実に形成するために、Moは1.51重量%以上、V
は0.038重量%以上、Wは0.05重量%以上であ
ることが望ましい。また、その他の成分の含有量は第1
の耐摩耗性焼結合金と同じであり、各含有量の上限およ
び下限の根拠も同じである。
【0023】ここで、上記第1、第2の耐摩耗性焼結合
金の金属組織中には、鉛、硫化マンガン、窒化硼素、メ
タ珪酸マグネシウム系鉱物のうちの1種もしくは2種以
上を0.3〜2.0重量%分散させると好適である。こ
れらは被削性改善成分であり、基地中に分散させること
によって切削加工の際に切屑のブレーキングの起点とな
り、焼結合金の被削性を改善することができる。これら
被削性改善成分の含有量は、0.3重量%未満であると
その効果が不充分であり、2.0重量%を超えて含有す
ると焼結合金の強度が低下する。よって、含有量は0.
3〜2.0重量%とした。
【0024】また、上記した耐摩耗性焼結合金の気孔中
に、鉛、アクリル樹脂または銅もしくは銅合金を含有さ
せると好適である。これらも被削性改善成分であり、特
に、気孔を有する焼結合金を切削すると断続切削となる
が、鉛や銅を気孔中に含有させることによって連続切削
となり、工具の刃先への衝撃が緩和される。また、鉛は
固体潤滑剤としても機能する他、銅もしくは銅合金は熱
伝導性が高いので熱のこもりを防止し、熱による刃先の
ダメージを軽減する機能があり、アクリル樹脂は切屑の
チップブレーキングの起点となる機能がある。
【0025】次に、本発明の第1の耐摩耗性焼結合金の
製造方法は、Cr:2〜4重量%、Mo:0.2〜0.
4重量%、V:0.2〜0.4重量%、およびFe:残
部のA合金粉末と、Ni:3重量%以下、Mo:0.5
〜3重量%、Co:5.5〜7.5重量%、およびF
e:残部のB合金粉末と、Mo:26〜30重量%、C
r:7〜9重量%、Si:2〜3重量%、およびCo:
残部のC合金粉末と、Cr:4〜25重量%、C:0.
25〜2.4重量%およびFe:残部のD合金粉末とを
用意し、互いの重量比を25:75〜75:25とした
上記A合金粉末と上記B合金粉末に、Ni粉末:3〜2
0重量%、黒鉛粉末:0.6〜1.2重量%を添加して
予備混合粉末となし(ただし、重量比は予備混合粉末全
体に対する割合)、上記予備混合粉末に、C合金粉末を
5〜25重量%と、D合金粉末を5〜30重量%を添加
した混合粉末(ただし、重量比は混合粉末全体に対する
割合)を用いることを特徴としている。
【0026】次に各粉末の成分と各成分の割合の限定理
由について説明する。まず、予備混合粉末について説明
する。 (1)予備混合粉末A合金粉末 Cr:Crは基地に固溶して基地を強化して耐摩耗性を
向上させるとともに、基地組織の焼入れ性を改善する元
素である。A合金粉末中に固溶して含有されるCr量
は、A合金粉末の重量に対して2重量%未満であると上
記効果が不充分であり、4重量%を越えると粉末が固く
なって圧縮性が損なわれるため2〜4重量%とした。
【0027】Mo,V:Mo,Vは基地に固溶して基地
を強化して強度を向上させる働きがある。A合金粉末中
に固溶して含有されるMo,Vの含有量は、A合金粉末
の重量に対してともに0.2重量%未満であるとその効
果が不充分であり、ともに0.4重量%を超えると、粉
末が固くなって圧縮性が損なわれる。よって、Mo,V
の含有量は、ともに0.2〜0.4重量%とした。
【0028】B合金粉末 Ni:Niは基地に固溶して基地を強化して耐摩耗性を
向上させるとともに、基地組織の焼入れ性を改善する元
素である。B合金粉末中に固溶して含有されるNiの含
有量は、B合金粉末の重量に対して3重量%を超えると
粉末が固くなって圧縮性が損なわれるため3重量%以下
とした。なお、この製造方法ではNiを単味粉の形態で
予備混合粉末に添加するため、B合金粉末のNiの含有
量は0であっても差し支えない。
【0029】Mo:Moは基地に固溶して基地を強化し
て強度を向上させるとともに、焼入れ性の向上に効果の
ある元素である。B合金粉末中に固溶して含有されるM
o量は、B合金粉末の重量に対して0.5重量%未満で
あるとその効果が乏しく、3重量%を超えると、粉末が
固くなって圧縮性が損なわれるため0.5〜3重量%と
した。
【0030】Co:Coは基地に固溶して基地の耐熱性
を向上させるとともに、高温強度、高温耐摩耗性を向上
させる元素である。B合金粉末中に固溶して含有される
Co量は、B合金粉末の重量に対して5.5重量%未満
であるとその効果が不充分であり、7.5重量%を超え
ると粉末が固くなって圧縮性が損なわれるため5.5〜
7.5重量%とした。
【0031】A合金粉末とB合金粉末の重量比 A合金粉末を用いた組織は、B合金粉末を用いた組織と
比べて基地硬さが硬いが、耐摩耗性をより向上させるた
めには、硬さが均一であるよりも斑状で硬さが異なる部
分が分布する方が効果的である。そして、2種の合金粉
末を混合して用いることにより、硬さが異なる部分が斑
状に分散する組織を得ることが可能となる。本発明者等
の検討によれば、A合金粉末のみ、もしくはB合金粉末
のみで基地組織を形成する場合に比べ、A合金粉末とB
合金粉末の重量比が25:75〜75:25の範囲のと
きに耐摩耗性が改善され、この範囲を逸脱すると耐摩耗
性がさほど改善されないか、場合によっては悪化するこ
とが判った。よって、両粉末の重量比は25:75〜7
5:25とした。
【0032】Ni粉末 上記A合金粉末とB合金粉末による基地組織のみでは、
現在のエンジンの高出力化に対応しきれないため、基地
強化のためにNiを単味粉の形態で添加する。Niは基
地に拡散して固溶強化するとともに、基地組織の焼入れ
性を改善することで基地のマルテンサイト化を促進し、
これにより耐摩耗性の向上に寄与する。また、Ni濃度
の高い基地の部分は、オーステナイトとして残留し、基
地の靱性を向上させる。
【0033】なお、Niは、上記A合金粉末またはB合
金粉末もしくは両者に部分拡散させることにより添加す
ることも可能である。ここで、部分拡散とは、A合金粉
末またはB合金粉末にNi粉末が拡散固着することをい
う。ただし、Niの単味粉を全く用いずに拡散した合金
粉の形態でのみ添加するとNiの濃度が均一になり、成
分偏析が生じない。このため、上記したような効果が得
られず、また、圧縮性も低下するため不適当である。N
iは、予備混合粉の重量に対する比が3重量%未満であ
ると上記効果が不充分であり、20重量%を超えて添加
すると軟質なオーステナイト相の量が増加することによ
り耐摩耗性が損なわれる。よって、Niの添加量は、3
〜20重量%とした。
【0034】黒鉛粉末 CをA合金粉末もしくはBに固溶させて与えた場合、合
金粉末が固くなって圧縮性が低下するので、黒鉛粉末の
形態で添加する。黒鉛粉未の形態で添加されたCは、基
地を強化するとともに、耐摩耗性を向上させる。Cの添
加量が0.6重量%未満であると基地組織に耐摩耗性、
強度ともに低いフェライトが残留するようになり、1.
2重量%を超えると粒界にセメンタイトが析出し始めて
強度が低下する。よって、添加する黒鉛は、予備混合粉
の重量に対して0.6〜1.2重量%とした。
【0035】(2)混合粉末C合金粉末 以上のA合金粉末およびB合金粉末、Ni粉末および黒
鉛粉末により形成される基地に、第1の硬質相を分散さ
せて耐摩耗性を付与するため、Co基合金からなるC合
金粉末を用意する。 Co:Coは、基地に拡散して第1の硬質相を基地に強
固に結合する働きがある。また、基地に拡散したCoは
基地を強化するとともに、基地および第1の硬質相の基
地の耐熱性の向上に働く。さらに、Coの一部はMo、
SiとともにMo−Co珪化物を形成し、この珪化物が
第1の硬質相の核となって耐摩耗性の向上に寄与する。
以上により、C合金粉末をCo基合金により構成した。
以下、C合金粉末に含有される成分組成の数値限定の根
拠について説明する。
【0036】Mo:C合金粉末中のMoは、主にSiと
結合して硬質なMo珪化物を形成するとともに、一部は
Coとも反応してMo−Co珪化物を形成し、これら珪
化物は、第1の硬質相の核となって耐摩耗性の向上に寄
与する。C合金粉末中のMoの含有量は、C合金粉末の
重量に対して26重量%未満であると、充分な量の珪化
物が析出せず、30重量%を超えると形成される珪化物
の量が増加して相手部品の摩耗を促進する。よって、C
合金粉末中のMoの含有量は、26〜30重量%とし
た。
【0037】Si:C合金粉末中のSiは、Mo,Co
と結合し、硬質なMo珪化物、Mo−Co珪化物を形成
し、第1の硬質相の核となって耐摩耗性の向上に寄与す
る。C合金粉末中のSiの含有量は、C合金粉末の重量
に対して2重量%未満であると、充分な量の珪化物が析
出せず、3重量%を超えると粉末の固さが増大して圧縮
性が損なわれるとともに、形成される珪化物の量が増加
して相手部品の摩耗を促進する。よって、C合金粉末中
のSiの含有量は26〜30重量%とした。
【0038】Cr:C合金粉末中のCrは焼結合金の基
地に拡散し、基地の固溶強化および基地の焼入れ性の向
上に働くとともに、第1の硬質相を基地に強固に結合す
る働きがある。さらに、Coとともに第1の硬質相の周
囲に拡散相を形成し、相手部品と当接する際の衝撃を緩
衝する効果がある。C合金粉末中のCrの含有量は、7
重量%未満であると上記効果が不充分となり、9重量%
を超えると粉末の固さが増大して圧縮性を損なう。よっ
て、Crの含有量は7〜9重量%とした。
【0039】C合金粉末の添加量 上述のように、C合金粉末による第1の硬質相は、基地
に強固に固着し、元の粉末部分がMo珪化物を主体とす
る硬質粒子を有する硬質相の核を形成するとともに、こ
の核の周囲をCo,Cr濃度の高い拡散相(白色相)が
取り囲む組織を形成する。C合金粉末の添加量が混合粉
末全体の重量に対して5重量%未満であると、第1の硬
質相の形成量が不充分で耐摩耗性の向上に寄与せず、2
5重量%を超えて添加しても耐摩耗性のより一層の向上
は得られないばかりでなく、硬質であるが靱性の乏しい
相が増加することによる材料強度の低下、圧縮性の低下
および成形時の金型摩耗の促進等の不具合が生じる。よ
って、C合金粉末の添加量は混合粉末の重量全体の5〜
25重量%とした。
【0040】D合金粉末 上述のように、耐摩耗性を向上させようとしてもC合金
粉末のみでは限界がある。よって、さらに耐摩耗性の向
上を図るためには、第2の硬質相の形成が有効であるこ
とを見い出し、下記組成のD合金粉末を用意した。以
下、D合金粉末に含有される成分組成の数値限定の根拠
について説明する。 Cr:D合金粉末中のCrは、D合金粉末中のCとCr
炭化物を形成し、第2の硬質相の核となって耐摩耗性の
向上に寄与する。また、Crの一部は基地に拡散し、基
地の焼入れ性を向上させてマルテンサイト化を促進する
とともに、第2の硬質相周囲のCr濃度の高い部分で
は、フェライトとオーステナイトの混合相を形成し、バ
ルブ着座時の衝撃を緩衝する効果に寄与する。D合金粉
末中のCrの含有量は、D合金粉末全体の重量に対して
4重量%未満であると、形成するCr炭化物の量が不充
分で耐摩耗性に寄与しなくなる。また、25重量%を超
えると形成する炭化物の量が多くなり、相手部品の摩耗
を促進するようになるとともに、粉末の固さが増大して
圧縮性が損なわれる。また、フェライトとオーステナイ
トの混合相の量が増加することにより耐摩耗性も低下す
る。以上により、D合金粉末中のCrの含有量は、4〜
25重量%とした。
【0041】C:D合金粉末中のCは、上記CrとCr
炭化物を形成し、第2の硬質相の核となって耐摩耗性の
向上に寄与する。D合金粉末中のCの含有量は、D合金
粉末全体の重量に対して0.25重量%未満では炭化物
の形成量が不充分で耐摩耗性の向上に寄与せず、2.4
重量%を超えると、形成する炭化物の量が増加して相手
部品の摩耗を促進するとともに、粉末の固さが増大して
圧縮性が低下する。よって、D合金粉末におけるCの含
有量は、0.25〜2.4重量%とした。
【0042】D合金粉末の添加量 D合金粉末により形成される第2の硬質相は、元の粉末
部分がCr炭化物による硬質粒子を有する硬質相の核を
形成するとともに、この核の周囲を軟質なCr濃度の高
いオーステナイトとフェライトの混合相が取り囲む組織
を形成する。この第2の硬質相は、前述のように、第1
の硬質相による耐摩耗性を補完するとともに、靱性に富
む混合相の存在により材料強度の低下を防止する機能を
有する。D合金粉末の添加量は、混合粉末全体の重量に
対して5重量%未満であると、形成する硬質相の量が不
充分で耐摩耗性に寄与せず、30重量%を超えて添加し
ても耐摩耗性のより一層の向上は得られないばかりでな
く、軟質なCr濃度の高いオーステナイトとフェライト
の混合相の量が増加することによる材料強度の低下、圧
縮性の低下等の不具合が生じる。よって、D合金粉末の
添加量は、混合粉末全体の重量の5〜30重量%とし
た。
【0043】上記の所定量のA合金粉末〜D合金粉末、
Ni粉末および黒鉛粉末からなる混合粉末を用いて製造
した耐摩耗性焼結合金は、Ni:1.35〜19.61
重量%、Cr:0.9〜11.05重量%、Mo:1.
44〜9.09重量%、Co:3.6〜20.05重量
%、V:0.018〜0.26重量%、Si:0.l〜
0.75重量%、C:0.35〜1.5重量%、および
Fe:残部からなる全体組成を有し、マルテンサイト
とソルバイトおよびオーステナイトの混合組織中に、
主としてMo珪化物よりなる硬質相を核としてその周囲
をCoが拡散してなる拡散相が取り囲む第1の硬質相
と、Cr炭化物よりなる硬質相を核としてその周囲を
フェライトとオーステナイトの混合相が取り囲む第2の
硬質相とが、それぞれ分散する金属組織を呈するものと
なる。
【0044】次に、本発明の第2の耐摩耗性焼結合金の
製造方法は、Cr:2〜4重量%、Mo:0.2〜0.
4重量%、V:0.2〜0.4重量%、およびFe:残
部のA合金粉末と、Ni:3重量%以下、Mo:0.5
〜3重量%、Co:5.5〜7.5重量%、およびF
e:残部のB合金粉末と、Mo:26〜30重量%、C
r:7〜9重量%、Si:2〜3重量%、およびCo:
残部のC合金粉末と、Cr:4〜25重量%、C:0.
25〜2.4重量%を含有し、Mo:0.3〜3重量
%、V:0.2〜2.2重量%、W:1〜5重量%のう
ちの1種もしくは2種以上を含有し、Fe:残部のE合
金粉末とを用意し、互いの重量比を25:75〜75:
25としたA合金粉末とB合金粉末に、Ni粉末:3〜
20重量%、黒鉛粉末:0.6〜1.2重量%を添加し
て予備混合粉末となし(ただし、重量比は予備混合粉末
全体に対する割合)、予備混合粉末に、C合金粉末を5
〜25重量%と、E合金粉末を5〜30重量%を添加し
た混合粉末(ただし、重量比は混合粉末全体に対する割
合)を用いることを特徴としている。
【0045】上記した第2の耐摩耗性合金の製造方法
は、D合金粉末に代えてE合金粉末を用いることを特徴
としている。E合金粉末は、D合金粉末にMo,V必要
に応じてWをさらに加えることで、第2の硬質相内の硬
質粒子としてCr炭化物に加えて、Mo炭化物、V炭化
物もしくはW炭化物を析出させて、耐摩耗性の一層の向
上を図ったものである。以下、E合金粉末の成分組成の
数値限定の根拠について説明する。
【0046】E合金粉末 Cr:E合金粉末中のCrは、E合金粉末中のCとCr
炭化物を形成し、第2の硬質相の核となって耐摩耗性の
向上に寄与する。また、Crの一部は基地に拡散し、基
地の焼入れ性を向上させてマルテンサイト化を促進する
とともに、第2の硬質相の周囲のCr濃度の高い部分で
は、フェライトとオーステナイトの混合相を形成し、相
手部品と当接する際の衝撃を緩衝する効果を有する。E
合金粉末中のCrの含有量は、E合金粉末全体の重量に
対して4重量%未満であると、形成する炭化物の量が不
充分で耐摩耗性の向上に寄与しなくなる。一方、Crの
含有量が25重量%を超えると、形成する炭化物の量が
多くなって相手部品の摩耗を促進するとともに、粉末の
固さが増大して圧縮性が損なわれる。また、フェライト
とオーステナイトの混合相の量が増加することにより耐
摩耗性も低下する。よって、E合金粉末中のCrの含有
量は4〜25重量%とした。
【0047】Mo:E合金粉末中のMoは、Crと金属
間化合物を形成するとともにE合金粉末中のCと炭化物
を形成し、上記したCr炭化物とともに第2の硬質相の
核となって耐摩耗性の向上に寄与する。また、炭化物も
しくは金属間化合物を形成しなかったMoは第2の硬質
相中に固溶し、第2の硬質相の高温硬さ、高温強度を向
上させる働きを有する。E合金粉末中のMoの含有量
は、E合金粉末全体の重量に対して0.3重量%未満で
あると上記効果が不充分となり、3重量%を超えると析
出する炭化物の量が増加して相手部品の摩耗を促進す
る。よって、E合金粉末中のMoの含有量は0.3〜3
重量%とした。
【0048】V,W:E合金粉末中のV,Wは、E合金
粉末中のCrと金属間化合物を形成するとともにE合金
粉末中のCと微細な炭化物を形成して耐摩耗性の向上に
寄与する。また、上記金属間化合物および炭化物は、C
r炭化物の粗大化を防止する効果を有し、これにより、
相手部品の摩耗が抑制されて耐摩耗性も向上する。E合
金粉末中のV,Wの含有量は、E合金粉末全体の重量に
対してそれぞれ0.2重量%未満、1重量%未満である
と、上記効果が不充分となり、それぞれ2.2重量%、
5重量%を超えると、析出する炭化物の量が増加して相
手部品の摩耗を促進する。よって、E合金粉末中のVの
含有量は0.2〜2.2重量%、Wの含有量は1〜5重
量%とした。
【0049】C:E合金粉末中のCは、前述したように
Cr,Mo,V,WとCr炭化物を形成し、第2の硬質
相の核となって耐摩耗性の向上に寄与する。E合金粉末
中のCの含有量は、E合金粉末全体の重量に対して0.
25重量%未満では、炭化物の形成量が不充分で耐摩耗
性の向上に寄与しなくなる。一方、Cの含有量が2.4
重量%を超えると、形成する炭化物の量が増加し、相手
部品の摩耗を促進するとともに、粉末が固くなって圧縮
性が低下する。よって、E合金粉末中のCの含有量は
0.25〜2.4重量%とした。
【0050】E合金粉末の添加量 E合金粉末により形成される第2の硬質相は、元の粉末
部分が主としてCr炭化物による硬質粒子を有する硬質
相の核を形成するとともに、この核の周囲を軟質なCr
濃度の高いオーステナイトとフェライトの混合相が取り
囲む組織を形成する。E合金粉末の添加量が混合粉末全
体の重量に対して5重量%未満であると、形成する硬質
相が乏しく耐摩耗性に寄与しなくなる。一方、30重量
%を超えて含有しても耐摩耗性のより一層の向上は得ら
れないばかりでなく、軟質なCr濃度の高いオーステナ
イトとフェライトの混合相の量が増加することによる材
料強度の低下、粉末の圧縮性の低下等の不具合が生じ
る。よって、E合金粉末の添加量は混合粉末全体の重量
に対して5〜30重量%とした。
【0051】上記の所定量のA合金粉末〜C合金粉末、
E合金粉末、Ni粉末および黒鉛粉末からなる混合粉末
を用いて製造した耐摩耗性焼結合金は、Ni:1.35
〜19.61重量%、Cr:0.9〜11.05重量
%、Mo:1.44〜9.42重量%、Co:3.6〜
20.05重量%、V:0.018〜0.85重量%、
W:0〜1.50重量%、Si:0.1〜0.75重量
%、C:0.35〜1.5重量%、およびFe:残部か
らなる全体組成を有し、マルテンサイトとソルバイトお
よびオーステナイトの混合組織中に、主としてMo珪化
物よりなる硬質相を核としてその周囲をCoが拡散して
なる拡散相が取り囲む第1の硬質相と、主としてCr炭
化物よりなる硬質相を核としてその周囲をフェライトと
オーステナイトの混合相が取り囲む第2の硬質相が、そ
れぞれ分散する金属組織を呈するものとなる。
【0052】鉛、硫化マンガン、窒化硼素、メタ珪酸マ
グネシウムの粉末 本発明の耐摩耗性焼結合金の被削性を改善するために、
上記混合粉末には、鉛粉末、硫化マンガン粉末、窒化硼
素粉末、メタ珪酸マグネシウム粉末のうち、1種もしく
は2種以上を、混合粉末に対して0.3〜2.0重量%
添加することができる。なお、この添加量の数値限定の
根拠は前述のとおりである。
【0053】鉛、アクリル樹脂、CuまたはCu合金の
含有 本発明の耐摩耗性焼結合金の気孔中に、鉛、アクリル樹
脂、CuまたはCu合金を溶浸もしくは含浸することも
できる。具体的には、混合粉末中に鉛や銅あるいは銅合
金の粉末を添加し、粉末の成形体を焼結することで気孔
中にそれら金属を含有させる(溶浸)。あるいは、密閉
容器内に溶融したアクリル樹脂と耐摩耗性焼結合金とを
充填し、密閉容器の内部を減圧することでアクリル樹脂
を気孔内に充填することができる(含浸)。なお、アク
リル樹脂に代えて溶融した鉛またはCuもしくはCu合
金を用いることにより、これら金属を気孔内に含浸させ
ることもできる。
【0054】深冷処理:本願発明の耐摩耗性焼結合金に
深冷処理を施すことにより、オーステナイト相の一部が
強度の高いマルテンサイトに変態し、強度、耐摩耗性を
さらに向上させることが可能となる。ただし、上述のア
クリル樹脂の含浸を施す場合には、深冷処理により含浸
した樹脂が劣化することを防ぐため、樹脂を含浸する前
に深冷処理を施す必要がある。
【0055】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。評価試験1 Fe−3Cr−0.3Mo−0.3VのA合金粉末、F
e−6.5Co−1.5MoのB合金粉末、Ni粉末、
黒鉛粉末を表1に示す配合比で混合し、表1に示す粉末
組成を有する本発明の予備混合粉末(Yl〜Yl0)
と、いずれかの範囲が本発明範囲から逸脱した比較用の
予備混合粉末(Y11〜Y20)の合計20種の予備混
合粉末を作製した。また、Co−28Mo−8Cr−
2.5SiのC合金粉末、および表2に示す粉末組成を
有する本発明のD合金粉末(Dl〜D6)と、いずれか
の成分が本発明範囲から逸脱した比較用のD合金粉末
(D7、D8)の合計8種のD合金粉末と、本発明の7
種のE合金粉末(El〜E7)を作製した。
【0056】上記予備混合粉末、C合金粉末、D合金粉
末またはE合金粉末を表3に示す配合比で混合した後、
成形圧力6.5ton/cm2で成形し、アンモニア分
解ガス雰囲気中1180℃で60分間焼結して、表4に
示す成分組成を有する本発明合金(試料番号1〜31)
と、いずれかの成分組成が本発明範囲から逸脱した比較
合金(試料番号32〜50)を得た。なお、試料番号4
9の比較合金は、すでに参照した従来例の特公平5−5
5593号公報に開示の合金であり、試料番号50の比
較合金は、特公平7−98985号公報に開示の合金で
ある。
【0057】以上の合金について、圧環強さの測定と簡
易摩耗試験を行った。その結果を表5および図2〜8に
示す。なお、簡易摩耗試験は、アルミ合金製ハウジング
にバルブシート形状に加工した焼結合金を圧入嵌合し、
バルブをモータ駆動による偏心カムの回転で上下ピスト
ン運動させることにより、バルブのフェース面とバルブ
シートのシート面とを繰り返し衝突させる試験である。
また、この試験での温度の設定は、バルブの傘をバーナ
ーで加熱することにより行い、簡易的にエンジン室内で
の使用環境を模した試験とした。今回の試験では、偏心
カムの回転数を2700rpm、バルブシート部分の試
験温度を250℃、繰り返し時間を15時間に設定し、
試験後のバルブシートおよびバルブの摩耗量を測定して
評価を行った。
【0058】表1に示すように、予備混合粉末番号Y
1、Y5、Y10、Y11〜Y14は、A合金粉末とB
合金粉末の粉末の重量比を互いに異ならせたもので、予
備混合粉末Y1、Y5、Y10、Y11〜Y14を用い
た表3の試料番号1、11、31〜35の焼結合金の試
験結果を比較することにより、A合金粉末とB合金粉末
の重量比の相異がもたらす影響を調べる。上記した試験
の結果を試料番号49、50の従来の焼結合金の合計摩
耗量とともに図2にまとめた。
【0059】図2(a)に示すように、A合金粉末とB
合金粉末の重量比が25:75〜75:25の範囲であ
る焼結合金(試料番号1、11、31)では、バルブシ
ート摩耗量、バルブ摩耗量は安定して低くなっており、
良好な耐摩耗性を示すことが判る。一方、重量比が2
5:75〜75:25の範囲を逸脱した焼結合金(試料
番号32〜35、49、50)では、バルブシート摩耗
量、バルブ摩耗量ともに大きくなっていることが判る。
また、図2(b)に示すように、圧環強さは、A合金粉
末とB合金粉末の比が0:100〜100:0の全ての
範囲でほぼ等しくなっている。このように、A合金粉末
とB合金粉末の重量比が25:75〜75:25の範囲
であれば、強度の低下を招くことなく耐摩耗性が向上す
ることが確認された。
【0060】次に、表1の予備混合粉末Y2、Y3、Y
5、Y8、Y9、Y15〜Y17は、予備混合粉末に添
加するNi粉末の添加量を互いに異ならせたもので、予
備混合粉末Y2、Y3、Y5、Y8、Y9、Y15〜Y
17を用いた表3の試料番号2、3、11、29、3
0、36〜38の焼結合金の試験結果を比較することに
より、予備混合粉末に添加するNi粉末の添加量の相異
がもたらす影響を調べる。上記した試験の結果を試料番
号49、50の従来の焼結合金の合計摩耗量とともに図
3にまとめた。
【0061】図3(a)に示すように、予備混合粉末中
のNi粉末の添加量が3〜20重量%の範囲である焼結
合金(試料番号2、3、11、29、30)では、バル
ブシート摩耗量、バルブ摩耗量は安定して低くなってお
り、良好な耐摩耗性を示すことが判る。また、図3
(b)に示すように、本発明範囲の焼結合金では圧環強
さが高いことが判る。一方、Ni粉末の添加量が3〜2
0重量%の範囲を逸脱した焼結合金(試料番号36〜3
8、49、50)では、バルブシート摩耗量、バルブ摩
耗量ともに大きく、圧環強さも低いことが判る。このよ
うに、Ni粉末の添加量が20重量%を超えると、軟質
なオーステナイト相が増加しすぎるため強度、耐摩耗性
がかえって低下することが確認された。
【0062】次に、表1の予備混合粉末Y4〜Y7、Y
18、Y19は、予備混合粉末に添加する黒鉛粉末の添
加量を互いに異ならせたもので、予備混合粉末Y4〜Y
7、Y18、Y19を用いた表3の試料番号4、11、
27、28、39、40の焼結合金の試験結果を比較す
ることによって、予備混合粉末に添加する黒鉛粉末の添
加量の相異がもたらす影響を調べる。上記した試験の結
果を試料番号49、50の従来の焼結合金の合計摩耗量
とともに図4にまとめた。
【0063】図4(a)から判るように、予備混合粉末
中の黒鉛粉末の添加量が増加するに従い基地が強化さ
れ、1.2重量%まではバルブシート摩耗量は低下する
傾向を示すが、逆に、バルブ摩耗量は緩やかに増加する
傾向を示している。しかしながら、黒鉛粉末の添加量が
1.2重量%を超えると、セメンタイトが析出してくる
ため基地が脆くなり、かえって耐摩耗性が損なわれてバ
ルブシート摩耗量が増大するとともに、バルブ攻撃性が
高まってバルブの摩耗量も急激に増加することが判る。
このように、黒鉛粉末の添加量が0.6〜1.2重量%
の範囲では、バルブとバルブシートの合計摩耗量が安定
した低い値を示している。また、図4(b)に示すよう
に、黒鉛粉末の添加量の増加にともない、基地が強化さ
れて圧環強さも増加するが、黒鉛粉末の添加量が1.2
重量%を超えると、セメンタイトの析出による基地の脆
化により圧環強さがかえって低下している。このよう
に、予備混合粉末中への黒鉛粉末の添加量が0.6〜
1.2重量%の範囲であると、耐摩耗性、強度ともに良
好であることが確認された。
【0064】次に、表3の試料番号5、6、11、2
5、26、41〜43は、混合粉末へのC合金粉末の添
加量を互いに異ならせたもので、これらの焼結合金の試
験結果を比較することにより、混合粉末に添加するC合
金粉末の添加量の相異がもたらす影響を調べる。上記し
た試験の結果を試料番号49、50の従来の焼結合金の
合計摩耗量とともに図5にまとめた。
【0065】図5(a)に示すように、C合金粉末の添
加によりバルブシート摩耗量は低下し、C合金粉末の添
加量が、5.0〜25.0重量%の範囲でバルブシート
は良好な耐摩耗性を示す。しかしながら、添加量が2
5.0重量%を超えると、圧縮性が低下して成形体密度
が低下し、焼結体の強度が低下する結果、耐摩耗性も低
下するため急激な摩耗を示す。また、バルブ摩耗量は、
C合金粉末の添加量が15重量%を超えたあたりからバ
ルブ攻撃性の増加により徐々に増加し、25.0重量%
を超えると、粉末の圧縮性が損なわれるため基地強度が
低下するとともに、バルブの摩耗粉が研磨粒子として作
用する結果バルブシートの摩耗も進行する。したがっ
て、C合金粉末の添加量は5.0〜25.0重量%で耐
摩耗性が良好であることが判る。なお、同図(b)に示
すように、C合金粉末の添加量が25.0重量%を超え
ると圧環強さが急激に低下していることからも、成形体
密度が低下して強度が低下していることが判る。
【0066】次に、表2のD合金粉末D1〜D8は、D
合金粉末中のCr量を互いに異ならせたもので、D合金
粉末D1〜D8を用いた表3の試料番号7、8、11、
22〜24、44、45の焼結合金の試験結果を比較す
ることにより、D合金粉末中のCr含有量の相異がもた
らす影響を調べる。上記した試験の結果を試料番号4
9、50の従来の焼結合金の合計摩耗量とともに図6に
まとめた。
【0067】図6(a)に示すように、D合金粉末中の
Crの含有量が4.0〜25.0重量%の範囲ではバル
ブシートの摩耗量は約160μm以下という低い値を示
しており、D合金粉末中のCrの含有量を4.0〜2
5.0重量%(試料番号7、8、11、22、23、2
4)にすることで、試料番号50の比較合金(特公平7
−98985号の合金)よりも耐摩耗性が良好になるこ
とが確認された。D合金粉末中のCrの含有量が4.0
重量%を下回ると、Cr炭化物による硬質相形成量が乏
しいことと、基地に拡散し基地を強化するCr量が乏し
いことにより、バルブシートの摩耗量が多くなる。一
方、D合金粉末中のCrの含有量が25.0重量%を超
えると、硬質相の形成量が多くなるためバルブの攻撃性
が高まり、その結果、バルブ摩耗量が急激に増加する。
さらに、粉末の圧縮性が損なわれるため基地強度が低下
するとともに、バルブの摩耗粉が研磨粒子として作用す
る結果、バルブシート摩耗量も大きくなり、両者の合計
摩耗量が大きくなる。また、D合金粉末中のCrの含有
量の影響は、図6(b)に示すように、バルブシートの
圧環強さにも顕著に現れており、Crの含有量が4.0
〜25.0重量%の範囲で高い値を示している。
【0068】このように、D合金粉末中のCrの含有量
が4.0〜25.0重量%のときに、耐摩耗性、強度と
もに良好であることが確認された。なお、図6(a)か
ら判るように、D合金粉末中のCrの含有量が20.0
重量%以下の場合には、バルブシートとバルブの摩耗量
はかなり低い値で安定している。よって、D合金粉末中
のCrの含有量は、20.0重量%以下であればより好
適である。
【0069】次に、表3の試料番号9〜14、46〜4
8は、混合粉末に対するD粉末合金の添加量が互いに異
なっており、これらの焼結合金の試験結果を比較するこ
とによって、D合金粉末の添加量の相異がもたらす影響
を調べる。上記した試験の結果を試料番号49、50の
従来の焼結合金の合計摩耗量とともに図7にまとめた。
図7(a)に示すように、D合金粉末の添加量が3.0
重量%では、添加量が乏しいために耐摩耗性改善の効果
が不充分であるが、添加量が5.0重量%から増加する
につれて耐摩耗性改善の効果が顕著となり、5.0〜3
0.0重量%でバルブシート摩耗量が低く安定した値と
なる。しかしながら、添加量が30.0重量%を超える
と粉末の圧縮性が損なわれるため基地強度が低下し、そ
の結果、バルブシート摩耗量が大きくなるとともに、バ
ルブ攻撃性が高まるためバルブ摩耗量も増大して合計摩
耗量が増大する。また、D合金粉末中の添加量の影響
は、同図(b)に示すバルブシートの圧環強さにも顕著
に現れており、添加量が5.0〜30.0重量%の範囲
で高い値を示している。このように、D合金粉末の添加
量が5.0〜30.0重量%のときに、耐摩耗性、強度
ともに良好であることが確認された。
【0070】次に、表2のE合金粉末E1〜E7は、D
合金粉末にMo、V、Wをさらに含有させたもので、E
合金粉末E1〜E7を用いた表3および表4に示す試料
番号15〜21の焼結合金の試験結果を比較することに
よって、D合金粉末へのMo、V、Wの添加の影響を調
べる。上記した試験の結果をMo、V、Wを含有しない
試料番号11の焼結合金(D合金粉末を添加したもの)
と、試料番号49、50の従来の焼結合金の合計摩耗量
とともに図8にまとめた。図8(a)に示すように、D
合金粉末にMo、V、Wを添加したE合金粉末を用いた
焼結合金は、同図(b)から判るように強度の低下を招
くことなく、D合金粉末を用いた焼結合金よりもバルブ
シート摩耗量が少なくなるとともに合計摩耗量も少なく
なり、耐摩耗性がさらに改善されることが判る。
【0071】評価試験2 次に、表1の粉末番号Y10の予備混合粉末、Fe−2
8Mo−8Cr−2.5SiのC合金粉末、および表2
の粉末番号D12のD合金粉末に、硫化マンガン粉末、
鉛粉末、窒化硼素粉末、もしくはメタ珪酸マグネシウム
系鉱物粉末としてMgSiO3粉末を表6に示す配合比
で添加・混合し、評価試験1と同一の条件で成形および
焼結を行い、表7に示す成分組成を有する本発明合金5
1〜66と、被削性改善成分量が本発明範囲から逸脱す
る比較合金67〜74を作製した。また、試料番号11
の本発明合金の気孔中に、鉛、銅もしくはアクリル樹脂
を溶浸もしくは含浸して本発明合金75〜77を作製し
た。
【0072】以上の焼結合金について、圧環強さ、簡易
摩耗試験、および被削性試験を行った。その結果を表8
および図9〜図13に示す。なお、被削性試験は、卓上
ボール盤を使用して一定の荷重でドリルで試料に穴をあ
け、その可能な加工数を比較する試験であり、今回の試
験では荷重は1.0kg、使用ドリルはφ3超硬ドリ
ル、試料の厚さを3mmに設定して行った。
【0073】次に、表6および7の試料番号11、51
〜54、67、68の焼結合金の試験結果を比較するこ
とによって、硫化マンガン粉末の添加量の影響を調べ
る。この試験結果を試料番号49、50の従来の焼結合
金の合計摩耗量とともに図9にまとめた。図9(b)に
示すように、硫化マンガン粉末の添加量の増加に伴い、
基地中に分散した硫化マンガン粒子の効果で被削性は向
上するが、硫化マンガン粉末が焼結時に粉末同士の拡散
を阻害する結果、基地強度が低下するため圧環強さは低
下することがわかる。また、同図9(a)に示すよう
に、バルブシート摩耗量は、硫化マンガン粉末の添加量
が2.0重量%までは若干の増加傾向を示すものの低い
値であり、良好な耐摩耗性を示すが、2.0重量%を超
えると基地強度低下の影響により摩耗量が増大する。こ
のことから、硫化マンガン粉末の添加量が2.0重量%
以下のときに、強度、耐摩耗性を損なわない範囲で被削
性を改善できることが判った。
【0074】次に、表6および7の試料番号11、55
〜58、69、70の焼結合金の試験結果を比較するこ
とによって、鉛粉末の添加量の影響を調べる。上記した
試験の結果を試料番号49、50の従来の焼結合金の合
計摩耗量とともに図10にまとめた。図10(b)に示
すように、鉛粉末の添加量の増加に従って被削性が向上
することが判る。また、鉛粉末の添加量が2.0重量%
までは、基地中に微細な鉛相が分散した金属組織とな
り、強度、耐摩耗性ともに無添加の場合とほぼ同等の良
好な特性値を示すが、鉛粉末の添加量が2.0重量%を
超えると、耐摩耗性が低下する傾向を示すことが判る
(同図(a)参照)。その理由は以下のように考えられ
る。すなわち、鉛粉末を2.0重量%を超えて添加する
と、鉛粉末が凝集して基地中に粗大な鉛相が生じる。こ
の基地中の粗大な鉛相により、高温下において鉛の膨張
現象により基地を押し広げようとする力が大きくなり、
その結果、基地の強度が低下するものと考えられる。た
だし、この傾向は常温下での圧環試験では顕著には現れ
ていない。このことから、鉛粉末を2.0重量%以下で
添加することにより、強度、耐摩耗性を損なうことなく
被削性を改善することができることが判る。
【0075】次に、表6および7の試料番号11、59
〜62、71、72を比較することによって、窒化硼素
(BN)粉末の添加量の影響を調べる。上記試験の結果
を試料番号49、50の従来の焼結合金の合計摩耗量と
ともに図11にまとめた。図11(b)に示すように、
窒化硼素粉末の添加量の増加に伴い基地中に分散した窒
化硼素粒子の効果で被削性は向上するが、窒化硼素粉末
が焼結時に粉末同士の拡散を阻害する結果、基地強度が
低下するため圧環強さは低下することが判る。また、同
図(a)に示すように、バルブシート摩耗量は、窒化硼
素粉末の添加量が2.0重量%までは若干の増加傾向を
示すものの低い値であり、良好な耐摩耗性を示すが、
2.0重量%を超えると基地強度低下の影響により摩耗
量が増大する。このことから、窒化硼素粉末を2.0重
量%以下で添加することにより、強度、耐摩耗性を損な
わない範囲で被削性を改善できることが判る。
【0076】次に、表6および7の試料番号11、63
〜66、73、74の焼結合金の試験結果を比較するこ
とによって、MgSiO3粉末の添加量の影響を調べ
る。上記の試験の結果を試料番号49、50の従来の焼
結合金の合計摩耗量とともに図12にまとめた。図12
(b)に示すように、MgSiO3粉末の添加量の増加
に伴い基地中に分散したMgSiO3粒子の効果で被削
性は向上するが、MgSiO3粉末が焼結時に粉末同士
の拡散を阻害する結果、基地強度が低下するため圧環強
さは低下することが判る。また、同図(a)に示すよう
に、バルブシート摩耗量はMgSiO3粉末の添加量が
2.0重量%までは若干の増加傾向を示すものの低い値
であり、良好な耐摩耗性を示すが、2.0重量%を超え
ると基地強度低下の影響により摩耗量が増大する。この
ことから、MgSiO3粉末を2.0重量%以下で添加
することにより、強度、耐摩耗性を損なわない範囲で被
削性を改善できることが判る。
【0077】次に、表6および7の試料番号11、75
〜77を比較することによって、鉛等の溶浸もしくは含
浸の影響を調べる。上記試験の結果を試料番号49、5
0の従来の焼結合金とともに図13にまとめた。図13
に示すように、鉛、銅、アクリル樹脂を溶浸もしくは含
浸することによって、耐摩耗性は、溶浸もしくは含浸し
ない場合と同等以上であり、良好な耐摩耗性を維持した
まま被削性が大幅に改善できることが判る。
【0078】評価試験3 次に、表4の試料番号11の本発明焼結合金に、焼結後
直ちに液体窒素中に浸漬し、15分間保持後引き上げて
深冷処理を施した。この合金(試料番号78)と深冷処
理を行わない試料番号11の本発明合金の比較を表9に
示す。表9から明らかなように、深冷処理を施すことに
より、施さない場合に比べて強度を高くすると同時に、
耐摩耗性をさらに向上させることが可能になることが判
る。なお、本発明の耐摩耗性焼結合金は、上記実施例の
ようなバルブシートに限定されるものではなく、耐摩耗
性が要求されるあらゆる部品に適用可能である。
【0079】
【発明の効果】以上説明したとおり本発明の耐摩耗性焼
結合金およびその製造方法では、内燃機関のバルブシー
ト用焼結合金として、従来の技術と比較して高い耐摩耗
性を付与することができる。また、硫化マンガン粉末、
鉛粉末、窒化硼素粉末もしくはメタ珪酸マグネシウム系
鉱物粉末の添加、あるいは鉛、アクリル樹脂、銅もしく
は銅合金を溶浸もしくは含浸することによって、良好な
耐摩耗性を維持しつつ被削性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の耐摩耗性焼結合金の金属組織を模式
的に表す図である。
【図2】 本発明の実施例において、予備混合粉末にお
けるA合金粉末とB合金粉末の割合の変化が特性に与え
る影響を示す線図である。
【図3】 本発明の実施例において、予備混合粉末中の
Ni粉末の添加量の変化が特性に与える影響を示す線図
である。
【図4】 本発明の実施例において、予備混合粉末中の
黒鉛粉末の添加量の変化が特性に与える影響を示す線図
である。
【図5】 本発明の実施例において、C合金粉末の添加
量の変化が特性に与える影響を示す線図である。
【図6】 本発明の実施例において、D合金粉末中のC
rの含有量の変化が特性に与える影響を示す線図であ
る。
【図7】 本発明の実施例において、D合金粉末の添加
量の変化が特性に与える影響を示す線図である。
【図8】 本発明の実施例において、E合金粉末中のM
o、V、Wが特性に与える影響を示す線図である。
【図9】 本発明の実施例において、硫化マンガン粉末
の添加量の変化が特性に与える影響を示す線図である。
【図10】 本発明の実施例において、鉛粉末の添加量
の変化が特性に与える影響を示す線図である。
【図11】 本発明の実施例において、窒化硼素粉末の
添加量の変化が特性に与える影響を示す線図である。
【図12】 本発明の実施例において、MgSiO3
末の添加量の変化が特性に与える影響を示す線図であ
る。
【図13】 本発明の実施例において、鉛、銅およびア
クリル樹脂の溶浸もしくは含浸が特性に与える影響を示
す線図である。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 克明 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 坂 勉 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni:1.35〜19.61重量%、C
    r:0.9〜11.05重量%、Mo:1.44〜9.
    09重量%、Co:3.6〜20.05重量%、V:
    0.018〜0.26重量%、Si:0.l〜0.75
    重量%、C:0.35〜1.5重量%、およびFe:残
    部からなる全体組成を有し、 マルテンサイトとソルバイトおよびオーステナイトの混
    合組織中に、 主としてMo珪化物よりなる硬質相を核としてその周囲
    をCoが拡散してなる拡散相が取り囲む第1の硬質相
    と、 Cr炭化物よりなる硬質相を核としてその周囲をフェラ
    イトとオーステナイトの混合相が取り囲む第2の硬質相
    とが、それぞれ分散する金属組織を呈することを特徴と
    する耐摩耗性焼結合金。
  2. 【請求項2】 Ni:1.35〜19.61重量%、C
    r:0.9〜11.05重量%、Mo:1.44〜9.
    42重量%、Co:3.6〜20.05重量%、V:
    0.018〜0.85重量%、W:0〜1.50重量
    %、Si:0.1〜0.75重量%、C:0.35〜
    1.5重量%、およびFe:残部からなる全体組成を有
    し、 マルテンサイトとソルバイトおよびオーステナイトの混
    合組織中に、 主としてMo珪化物よりなる硬質相を核としてその周囲
    をCoが拡散してなる拡散相が取り囲む第1の硬質相
    と、 主としてCr炭化物よりなる硬質相を核としてその周囲
    をフェライトとオーステナイトの混合相が取り囲む第2
    の硬質相が、それぞれ分散する金属組織を呈することを
    特徴とする耐摩耗性焼結合金。
  3. 【請求項3】 鉛、硫化マンガン、窒化硼素、メタ珪酸
    マグネシウム系鉱物のうちの1種もしくは2種以上が
    0.3〜2.0重量%前記金属組織中に分散しているこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の耐摩耗性焼結
    合金。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の耐
    摩耗性焼結合金の気孔中に、鉛、アクリル樹脂または銅
    もしくは銅合金を含有していることを特徴とする耐摩耗
    性焼結合金。
  5. 【請求項5】 Cr:2〜4重量%、Mo:0.2〜
    0.4重量%、V:0.2〜0.4重量%、およびF
    e:残部のA合金粉末と、 Ni:3重量%以下、Mo:0.5〜3重量%、Co:
    5.5〜7.5重量%、およびFe:残部のB合金粉末
    と、 Mo:26〜30重量%、Cr:7〜9重量%、Si:
    2〜3重量%、およびCo:残部のC合金粉末と、 Cr:4〜25重量%、C:0.25〜2.4重量%お
    よびFe:残部のD合金粉末とを用意し、 互いの重量比を25:75〜75:25とした上記A合
    金粉末と上記B合金粉末に、Ni粉末:3〜20重量
    %、黒鉛粉末:0.6〜1.2重量%を添加して予備混
    合粉末となし(ただし、重量比は予備混合粉末全体に対
    する割合)、 上記予備混合粉末に、上記C合金粉末を5〜25重量%
    と、上記D合金粉末を5〜30重量%を添加した混合粉
    末(ただし、重量比は混合粉末全体に対する割合)を用
    いることを特徴とする耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  6. 【請求項6】 Cr:2〜4重量%、Mo:0.2〜
    0.4重量%、V:0.2〜0.4重量%、およびF
    e:残部のA合金粉末と、 Ni:3重量%以下、Mo:0.5〜3重量%、Co:
    5.5〜7.5重量%、およびFe:残部のB合金粉末
    と、 Mo:26〜30重量%、Cr:7〜9重量%、Si:
    2〜3重量%、およびCo:残部のC合金粉末と、 Cr:4〜25重量%、C:0.25〜2.4重量%を
    含有し、Mo:0.3〜3重量%、V:0.2〜2.2
    重量%、W:1〜5重量%のうちの1種もしくは2種以
    上を含有し、Fe:残部のE合金粉末とを用意し、 互いの重量比を25:75〜75:25とした上記A合
    金粉末と上記B合金粉末に、Ni粉末:3〜20重量
    %、黒鉛粉末:0.6〜1.2重量%を添加して予備混
    合粉末となし(ただし、重量比は予備混合粉末全体に対
    する割合)、 上記予備混合粉末に、上記C合金粉末を5〜25重量%
    と、上記E合金粉末を5〜30重量%を添加した混合粉
    末(ただし、重量比は混合粉末全体に対する割合)を用
    いることを特徴とする耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記混合粉末に、鉛粉末、硫化マンガン
    粉末、窒化硼素粉末、メタ珪酸マグネシウム系鉱物粉末
    のうちの1種もしくは2種以上を上記混合粉末全体に対
    して0.3〜2.0重量%配合したことを特徴とする請
    求項5または6記載の耐摩耗性焼結合金の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5ないし7のいずれかに記載の混
    合粉末を用いて製造した耐摩耗性焼結合金の気孔中に、
    鉛、アクリル樹脂または銅もしくは銅合金を含浸もしく
    は溶浸する事を特徴とする耐摩耗性焼結合金の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項5ないし8のいずれかに記載の製
    造方法で製造した耐摩耗性焼結合金に、さらに深冷処理
    を施すことを特徴とする耐摩耗性焼結合金の製造方法。
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