JPH1021752A - 表面潤滑性を有する絶縁電線 - Google Patents

表面潤滑性を有する絶縁電線

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JPH1021752A
JPH1021752A JP8169870A JP16987096A JPH1021752A JP H1021752 A JPH1021752 A JP H1021752A JP 8169870 A JP8169870 A JP 8169870A JP 16987096 A JP16987096 A JP 16987096A JP H1021752 A JPH1021752 A JP H1021752A
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JP
Japan
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represented
sulfur atom
insulated wire
chain fatty
fatty acid
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Pending
Application number
JP8169870A
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English (en)
Inventor
Kazue Tamura
和重 田村
Shigeo Nishida
茂雄 西田
Noritsugu Honda
紀嗣 本田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面のすべり性を向上、安定化させて高速、
高密度で絶縁電線をコイル巻きでき、しかも自己融着性
絶縁電線として用いた場合に自己融着性や金型離型性を
低下させず形成されるコイル形状を安定化しうる、表面
潤滑性を有する絶縁電線を提供する。 【解決手段】 エーテル結合を有する多価アルコール
と、長鎖脂肪族鎖を有するアルキルメルカプタンとアク
リル酸とから合成され硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸と
から合成され、分子内にエーテル結合を有しかつ硫黄原
子を含有する脂肪族エステル化合物を、塗料中の樹脂分
100重量部に対して、好ましくは0.5〜10.0重
量部、より好ましくは1.0〜5.0重量部添加した焼
付塗膜形成用塗料を、導体上に直接あるいは他の絶縁層
を介して塗布焼き付けて、最外層に潤滑性皮膜を成形し
た表面潤滑性を有する絶縁電線。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば偏向ヨーク
等のコイルの製造に用いられる絶縁電線に関し、更に詳
しくは、表面に潤滑性を有する絶縁電線に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、モーター、トランス、偏向ヨーク
等の電気機器用のコイルを製造する場合、高速自動巻線
機を使用して高速かつ高密度で絶縁電線をコイル巻きす
る。このため、前記のような用途に用いる絶縁電線に
は、高速でコイル巻作業を行っても、皮膜が傷付いた
り、特性が低下することなく、また、高密度にコイル巻
してコイル中の導体占積率を高めることができるよう
に、皮膜表面のすべり性の向上が強く求められている。
【0003】また、導体上に絶縁皮膜を介して融着皮膜
を塗布焼付した、いわゆる自己融着性絶縁電線は、コイ
ル巻線後、加熱または溶剤処理により融着皮膜が溶解ま
たは膨潤し、線間相互を融着固化せしめ得ることから、
簡単に自己支持型のコイルを作ることが可能であり、複
雑な形状のコイル巻線に広く利用されている。しかし、
この自己融着性絶縁電線の融着皮膜は接着力を高める方
向で検討が進められており、表面滑性、すなわち皮膜表
面のすべり性に劣り、また、巻金型からの離型性が悪い
欠点がある。更に、偏向ヨークとして使用する場合、画
像特性を良好にするためにはコイルの形状・外形を均一
化することが不可欠であるが、そのためには自己融着性
絶縁電線の表面のすべり性を向上、均一化させることが
必須である。
【0004】これらの課題を解決するため、絶縁電線の
最外層の皮膜に潤滑性を付与する方法で、電線表面のす
べり性を向上せしめる手段が採用されている。その方法
としては、最外層の焼付塗膜形成用塗料中に滑剤を添加
したり、塗料の焼付後、その表面に滑剤を塗布する方法
等がある。
【0005】前者の添加型滑剤としては、モンタン酸ワ
ックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等のワ
ックス類、シリコーンオイル等の潤滑油、フッ素樹脂、
ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂粉末等が用
いられている。また、後者の塗布型滑剤としては、流動
パラフィン、スピンドル油、または、固型パラフィンも
しくはワックス等を有機溶剤に溶解もしくは分散させた
溶液が用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法では次のような問題があった。すなわち前者
の添加型滑剤の場合、絶縁電線表面のすべり性を改善す
るためには、滑性物質を塗料中に多量に配合しなければ
ならず、そのために皮膜が失透したり、塗料の分離、沈
殿を招く恐れがあり、しかも十分なすべり性が得られな
い。また滑剤の沸点が塗料の溶剤の沸点に近い場合は、
塗料の焼付乾燥時に滑剤が揮散し、場合によっては皮膜
中にはとんど滑剤が残存せず、すべり性向上効果を失い
やすい。また、後者の塗布型滑剤の場合には、塗料焼付
後に塗布するため、滑剤の塗布工程が余分に必要となる
こと、更には、滑剤を皮膜表面に均一に塗布することが
困難で安定したすべり性が得られにくいという問題があ
る。
【0007】これらの課題を解決するために、例えば特
公平5−26285号公報には、最外層に塗布焼付され
る融着塗料に、滑剤として、分子量500〜1500の
硫黄原子を含有した脂肪族ポリエステル化合物を添加す
る方法が開示されている。しかし、この方法では、得ら
れた自己融着性絶縁電線の静摩擦係数は、最小でも0.
06程度である。ところが、静摩擦係数が0.06以上
である場合にはすべり性が十分でなく、表面塗布剤等の
他の滑剤を併用しないとコイル巻が困難となるという問
題点がある。
【0008】そこで本発明は上記の点に鑑み、絶縁電線
における表面のすべり性を向上、かつ安定化させて高速
かつ高密度で絶縁電線をコイル巻きすることができ、し
かも自己融着性絶縁電線として用いた場合には、自己融
着性や金型離型性を低下させることがなく、これにより
形成されるコイルの形状を安定化させることができる、
表面潤滑性を有する絶縁電線を提供せんとするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するた
め、本発明に係る表面潤滑性を有する絶縁電線は、最外
層塗膜焼付塗料中に滑剤を添加することで、表面に潤滑
性を付与してなる絶縁電線において、滑剤として特定組
成のものを使用することにより、上記の課題の解決を図
ったものである。すなわち本発明に係る表面潤滑性を有
する絶縁電線は、分子内にエーテル結合を有しかつ硫黄
原子を含有する脂肪族エステル化合物を塗料中の樹脂分
100重量部に対して0.5〜10.0重量部添加した
焼付塗膜形成用塗料を、導体上に直接あるいは他の絶縁
層を介して塗布焼き付けて、最外層に潤滑性皮膜を成形
してなる。このように、焼付塗膜形成用塗料中の樹脂分
100重量部に対して前記脂肪族エステル化合物を0.
5〜10.0重量部となるように添加することで、表面
の静摩擦係数が0.06未満であるすべり性の良い絶縁
電線を得ることができ、前記脂肪族エステル化合物の添
加量が0.5重量部未満では滑剤としての効果がなく、
また、10.0重量部を超えるとすべり性が低下する傾
向にある。より好ましくは、前記脂肪族エステル化合物
の塗料への添加量は、塗料中の樹脂分100重量部に対
して1.0〜5.0重量部の範囲である。
【0010】本発明において添加型滑剤として用いられ
る前記分子内にエーテル結合を有しかつ硫黄原子を含有
する脂肪族エステル化合物が、優れた潤滑性を発揮する
理由については必ずしも明確ではないが、前記脂肪族エ
ステル化合物が、焼付塗膜形成用塗料に一般的に使用さ
れる溶剤に可溶であって該塗料中に均一に溶け込んでい
るため、焼付工程中で該塗料中の溶媒が蒸発するに従
い、塗料中に溶け込むことができなくなった脂肪族エス
テル化合物が安定的に皮膜の表面へ拡散移行し、皮膜が
形成される段階では、分子鎖の長いメチレン基を外側に
向けて配列することで優れた潤滑機能を付与するためで
あると考えられる。また、分子内に硫黄原子を含有して
いるため、従来の添加型滑剤と比較して熱安定性が良好
であり、焼付時に飛散することがない。しかも、分子内
にエーテル結合を有しているため、従来のエステル系滑
剤より塗料に対する相溶性が良く、分子量が1600以
上となるような高分子であっても塗料中に均一に分散で
きる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に用いる焼付塗膜形成用塗
料としては、例えばポリビニルホルマール、ポリウレタ
ン、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリアミドイ
ミド、ポリアミド、エポキシ等の樹脂を有機溶剤に溶解
してなるものが挙げられる。本発明では、前記樹脂を限
定するものではないが、最外層が自己融着層である自己
融着絶縁電線の場合に、本発明の効果が最も顕著である
ことから、前記の各種塗料の中でも、融着樹脂として最
も一般的で広く使用されているポリアミド樹脂を有機溶
剤に溶解させてなる融着性塗料を用いることがより好ま
しい。また、前記樹脂を、分子内にエーテル結合を有し
かつ硫黄原子を含有する脂肪族エステル化合物からなる
滑剤とともに溶解してなる有機溶剤としては、これらの
良溶媒であればいかなるものでも使用可能であり、例え
ば、クレゾール、フェノール、キシレノール、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N−メチルピロリドン等があり、これらを単独で、
または二種以上を併用することもできる。また、必要に
応じてソルベントナフサ、キシレン等の貧溶媒を上記の
ような良溶媒と併用することもできる。
【0012】本発明で滑剤として用いられる、分子内に
エーテル結合を有しかつ硫黄原子を含有した脂肪族エス
テル化合物は、エーテル結合を有する多価アルコール
と、硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸から容易に合成でき
る。
【0013】上記の分子内にエーテル結合を有しかつ硫
黄原子を含有する脂肪族エステル化合物の分子量は16
00以上、またその沸点は300℃以上であることが好
ましい。分子量が1600以下であると樹脂との相溶性
が良すぎるため塗料を塗布焼付し皮膜が形成される過程
で滑剤の皮膜表面への拡散移行が十分でなく、また沸点
が300℃以下では塗料の焼付時に揮散してしまう恐れ
があるためである。
【0014】前記のような、分子内にエーテル結合を有
しかつ硫黄原子を含有する脂肪族エステル化合物を、エ
ーテル結合を有する多価アルコールと、硫黄原子を含有
する長鎖脂肪酸から合成するに際しては、前記多価アル
コールの価数が2の場合や、あるいは、多価アルコール
の価数が3以上であっても硫黄原子を含有する長鎖脂肪
酸基の数が2以下の場合には、すべり性が悪くなる傾向
にある。このため、前記多価アルコールの価数が3価以
上で、かつ、硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸基の数が3
以上のものが好ましい。更に、前記脂肪族エステル化合
物の分子量を1600以上とするには、前記硫黄原子を
含有する長鎖脂肪酸基の数が3の場合には該長鎖脂肪酸
基の炭素数は28以上、前記硫黄原子を含有する長鎖脂
肪酸基の数が4の場合には該長鎖脂肪酸基の炭素数は2
0以上、前記硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸基の数が5
の場合には該長鎖脂肪酸基の炭素数は14以上、更に、
前記硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸基の数が6以上の場
合には該長鎖脂肪酸基の炭素数は12以上とすればよ
い。
【0015】前記エーテル結合を有する3価以上の多価
アルコールの具体例としては、ジトリメチロールプロパ
ン、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトー
ル等が挙げられる。
【0016】また、前記硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸
は、長鎖脂肪族鎖を有するアルキルメルカプタンと、ア
クリル酸との反応から容易に合成できる。前記長鎖脂肪
族鎖を有するアルキルメルカプタンの具体例としては、
市販のn−ドデシルメルカブタン、t−ドデシルメルカ
プタン、セチルメルカプタン(ヘキサデシルメルカプタ
ン)、ステアリルメルカプタン(n−オクタデシルメル
カプタン)、前記脂肪族エステル化合物中の硫黄原子を
含有する長鎖脂肪酸基の数が4以下の場合には、更に長
鎖の脂肪族鎖を有するアルキルメルカプタンが使用され
る。
【0017】上記のような、エーテル結合を有する多価
アルコールと、硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸から合成
される、エーテル結合を有しかつ硫黄原子を含有した脂
肪族エステル化合物を例示すれば、下記構造式で表され
るジペンタエリスリトールのヘキサエステル
【0018】
【化13】
【0019】〔式中、R1 〜R6 は−CO−(CH2
2 −S−Cn 2n+1(但しnは12以上の整数)で表さ
れる硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは
必ずしも同じである必要はない。〕、下記構造式で表さ
れるジペンタエリスリトールのペンタエステル
【0020】
【化14】
【0021】〔式中、R1 〜R6 のいずれか1つは−H
であり、残りの5つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn
2n+1(但しnは14以上の整数)で表される硫黄原子
を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
である必要はない。〕、下記構造式で表されるジペンタ
エリスリトールのテトラエステル
【0022】
【化15】
【0023】〔式中、R1 〜R6 のいずれか2つは−H
であり、残りの4つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn
2n+1(但しnは20以上の整数)で表される硫黄原子
を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
である必要はない。〕、下記構造式で表されるジペンタ
エリスリトールのトリエステル
【0024】
【化16】
【0025】〔式中、R1 〜R6 のいずれか3つは−H
であり、残りの3つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn
2n+1(但しnは28以上の整数)で表される硫黄原子
を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
である必要はない。〕、下記構造式で表されるジトリメ
チロールプロパンのテトラエステル
【0026】
【化17】
【0027】〔式中、R1 〜R4 は−CO−(CH2
2 −S−Cn 2n+1(但しnは20以上の整数)で表さ
れる硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは
必ずしも同じである必要はない。〕、下記構造式で表さ
れるジトリメチロールプロパンのトリエステル
【0028】
【化18】
【0029】〔式中、R1 〜R4 のいずれか1つは−H
であり、残りの3つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn
2n+1(但しnは28以上の整数)で表される硫黄原子
を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
である必要はない。〕、下記構造式で表されるトリペン
タエリスリトールのオクタエステル
【0030】
【化19】
【0031】〔式中、R1 〜R8 は−CO−(CH2
2 −S−Cn 2n+1(但しnは12以上の整数)で表さ
れる硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは
必ずしも同じである必要はない。〕、下記構造式で表さ
れるトリペンタエリスリトールのヘプタエステル
【0032】
【化20】
【0033】〔式中、R1 〜R8 のいずれか1つは−H
であり、残りの7つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn
2n+1(但しnは12以上の整数)で表される硫黄原子
を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
である必要はない。〕、下記構造式で表されるトリペン
タエリスリトールのヘキサエステル
【0034】
【化21】
【0035】〔式中、R1 〜R8 のいずれか2つは−H
であり、残りの6つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn
2n+1(但しnは12以上の整数)で表される硫黄原子
を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
である必要はない。〕、下記構造式で表されるトリペン
タエリスリトールのペンタエステル
【0036】
【化22】
【0037】〔式中、R1 〜R8 のいずれか3つは−H
であり、残りの5つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn
2n+1(但しnは14以上の整数)で表される硫黄原子
を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
である必要はない。〕、下記構造式で表されるトリペン
タエリスリトールのテトラエステル
【0038】
【化23】
【0039】〔式中、R1 〜R8 のいずれか4つは−H
であり、残りの4つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn
2n+1(但しnは20以上の整数)で表される硫黄原子
を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
である必要はない。〕、下記構造式で表されるトリペン
タエリスリトールのトリエステル
【0040】
【化24】
【0041】〔式中、R1 〜R8 のいずれか5つは−H
であり、残りの3つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn
2n+1(但しnは28以上の整数)で表される硫黄原子
を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
である必要はない。〕、等が挙げられ、それらの1種ま
たは2種以上を併用してもよい。
【0042】更に、前記のような各種脂肪族エステル化
合物の中でも、下記構造式で表されるジペンタエリスリ
トールヘキサ−(3−ドデシルチオプロピオネート)
【0043】
【化25】
【0044】下記構造式で表されるジペンタエリスリト
ールヘキサ−(3−セチルチオプロピオネート)
【0045】
【化26】
【0046】または、下記構造式で表されるジペンタエ
リスリトール−(3−ステアリルチオプロピオネート)
【0047】
【化27】
【0048】が好ましく、この中でも、前記ジペンタエ
リスリトールヘキサ−(3−ドデシルチオプロピオネー
ト)が、合成が簡単で、入手が容易であり、かつ安価で
あることから特に好ましい。
【0049】
【実施例】
(実施例1)攪拌機、温度計を備えた2リットル容量の
四つ口フラスコに、ポリアミド樹脂A(ダイアミド45
1 ダイセルヒュルス社製)を180g、クレゾールを
504g、キシレンを216g、および滑剤C{ジペン
タエリスリトールヘキサ−(3−ドデシルチオプロピオ
ネート)}5.4gを加えて、約50℃の温度に加温攪
拌し融着塗料を得た。この融着塗料を、炉長 3.0
m、炉温 300℃、線速 36m/minで、導体径
0.25mm、仕上外径 0.29mmのポリエステ
ルイミド絶縁電線上に3回塗布焼付を繰り返し、皮膜厚
さ10μmの自己融着性絶縁電線を得た。得られた自己
融着性絶縁電線の特性として、その外観、絶縁破壊電
圧、静摩擦係数を、また、コイル特性として接着性と金
型離型性の評価を実施した。これらの結果を融着塗料の
配合条件と併せて表1に示した。
【0050】尚、絶縁破壊電圧については、JIS C
3003のエナメル銅線およびエナメルアルミニウム
線試験方法に準じて行った。静摩擦係数は、平行に保っ
たすべり台上に試験片を2本平行に張り、また同一試験
片をスライダー上に2本平行に張った後、すべり台上の
試験片とスライダー上の試験片が直行するように定位置
に置き、次にすべり台を1目盛(タンゼント目盛 0.
01)傾斜させ止めた後、バイブレーションを約1秒間
3回与え、これをスライダーがすべり始めるまで繰り返
しスライダーがすべり始めた角度から測定した。更に、
金型離型性については、得られた自己融着性絶縁電線を
偏向ヨークコイル巻線機でコイル巻きし、偏向ヨークコ
イルを作成する際に、通電加熱、プレス冷却後、金型か
らコイルを取り出す際に、金型とコイルが接着している
部分がある場合を不良、そうでない場合を良好とした。
また、接着性に関しては、成形後の偏向ヨークコイルの
内側部分1,2ターンの融着力をテンションゲージで測
定し、融着力の平均値が300g以上の場合を良好、そ
れ以下の場合を不良とした。
【0051】(実施例2)前記滑剤Cの添加量を0.9
gとした以外は実施例1と同様の融着塗料を、実施例1
と同様の方法で焼付し、皮膜厚さ10μmの自己融着性
絶縁電線を得た。得られた絶縁電線について実施例1と
同様の方法で特性試験を行い、結果を融着塗料の配合条
件と併せて表1に示した。
【0052】(実施例3)ポリアミド樹脂をポリアミド
樹脂B(プラタボンド M1276 日本リルサン社
製)とした以外は実施例1と同様の融着塗料を、実施例
1と同様の方法で焼付し皮膜厚さ10μmの自己融着性
絶縁電線を得た。得られた絶縁電線について、実施例1
と同様の方法で特性試験を行い、結果を融着塗料の配合
条件と併せて表1に示した。
【0053】(実施例4)滑剤Cを滑剤D{ジペンタエ
リスリトールヘキサ−(3−ステアリルチオプロピオネ
ート)}とした以外は実施例1と同様の融着塗料を、実
施例1と同様の方法で焼付し皮膜厚さ10μmの自己融
着性絶縁電線を得た。得られた絶縁電線について、実施
例1と同様の方法で特性試験を行い、結果を融着塗料の
配合条件と併せて表1に示した。
【0054】(比較例1)滑剤を添加しない以外は実施
例1と同様の融着塗料を、実施例1と同様の方法で焼付
し皮膜厚さ10μmの自己融着性絶縁電線を得た。得ら
れた絶縁電線について、実施例1と同様の方法で特性試
験を行い、結果を融着塗料の配合条件と併せて表1に示
した。
【0055】(比較例2)滑剤を、下記構造式で表され
るモンタン酸のエチレングリコールエステル
【0056】
【化28】
【0057】からなる滑剤E(ヘキストE へキストジ
ャパン社製)とした以外は実施例1と同様の融着塗料
を、実施例1と同様の方法で焼付し皮膜厚さ10μmの
自己融着性絶縁電線を得た。得られた絶縁電線につい
て、実施例1と同様の方法で特性試験を行い、結果を融
着塗料の配合条件と併せて表1に示した。
【0058】(比較例3)滑剤を、下記構造式で表され
るモンタン酸のペンタエリスリトールエステル
【0059】
【化29】
【0060】からなる滑剤F(ホスタモント ET14
1 ヘキストジャパン社製)とした以外は実施例1と同
様の融着塗料を、実施例1と同様の方法で焼付し皮膜厚
さ10μmの自己融着性絶縁電線を得た。得られた絶縁
電線について、実施例1と同様の方法で特性試験を行
い、結果を融着塗料の配合条件と併せて表1に示した。
【0061】(比較例4)滑剤を滑剤G(ポリエチレン
粉末)とした以外は実施例1と同様の融着塗料を、実施
例1と同様の方法で焼付し皮膜厚さ10μmの自己融着
性絶縁電線を得た。得られた絶縁電線について、実施例
1と同様の方法で特性試験を行い、結果を融着塗料の配
合条件と併せて表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【発明の効果】以上の結果から、本発明の表面潤滑性を
有する絶縁電線は、表面の静摩擦係数が小さくすべり性
(表面滑性)に優れ、また、自己融着性絶縁電線とした
場合には、接着性、金型離型性等の特性が良好であるこ
とがわかる。したがって本発明の絶縁電線を用いると、
高速、高密度巻線時に皮膜の傷や絶縁不良もなく、自己
融着性絶縁電線として用いた場合もすべり性が良好であ
るため、コイルの形状、外径が安定し、巻金型からの離
型性も良好であり、かつ接着性不良を起こすこともない
ため、生産性が向上する。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内にエーテル結合を有しかつ硫黄原
    子を含有する脂肪族エステル化合物を添加した焼付塗膜
    形成用塗料を、導体上に直接あるいは他の絶縁層を介し
    て塗布焼き付けて、最外層に潤滑性皮膜を成形してなる
    ことを特徴とする表面潤滑性を有する絶縁電線。
  2. 【請求項2】 前記脂肪族エステル化合物の添加量が焼
    付塗膜形成用塗料中の樹脂分100重量部に対して、
    1.0〜5.0重量部である請求項1記載の絶縁電線。
  3. 【請求項3】 前記脂肪族エステル化合物が、エーテル
    結合を有する多価アルコールと、硫黄原子を含有する長
    鎖脂肪酸から合成されてなる請求項1記載の絶縁電線。
  4. 【請求項4】 前記硫黄原子を含有する長鎖脂肪酸が、
    長鎖脂肪族鎖を有するアルキルメルカプタンとアクリル
    酸とから合成されてなる請求項3記載の絶縁電線。
  5. 【請求項5】 前記脂肪族エステル化合物の分子量が1
    600以上である請求項1記載の絶縁電線。
  6. 【請求項6】 前記脂肪族エステル化合物が、下記構造
    式で表されるジペンタエリスリトールのヘキサエステル 【化1】 〔式中、R1 〜R6 は−CO−(CH2 2 −S−Cn
    2n+1(但しnは12以上の整数)で表される硫黄原子
    を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
    である必要はない。〕、下記構造式で表されるジペンタ
    エリスリトールのペンタエステル 【化2】 〔式中、R1 〜R6 のいずれか1つは−Hであり、残り
    の5つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn 2n+1(但し
    nは14以上の整数)で表される硫黄原子を含有する長
    鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じである必要は
    ない。〕、下記構造式で表されるジペンタエリスリトー
    ルのテトラエステル 【化3】 〔式中、R1 〜R6 のいずれか2つは−Hであり、残り
    の4つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn 2n+1(但し
    nは20以上の整数)で表される硫黄原子を含有する長
    鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じである必要は
    ない。〕、下記構造式で表されるジペンタエリスリトー
    ルのトリエステル 【化4】 〔式中、R1 〜R6 のいずれか3つは−Hであり、残り
    の3つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn 2n+1(但し
    nは28以上の整数)で表される硫黄原子を含有する長
    鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じである必要は
    ない。〕、下記構造式で表されるジトリメチロールプロ
    パンのテトラエステル 【化5】 〔式中、R1 〜R4 は−CO−(CH2 2 −S−Cn
    2n+1(但しnは20以上の整数)で表される硫黄原子
    を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
    である必要はない。〕、下記構造式で表されるジトリメ
    チロールプロパンのトリエステル 【化6】 〔式中、R1 〜R4 のいずれか1つは−Hであり、残り
    の3つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn 2n+1(但し
    nは28以上の整数)で表される硫黄原子を含有する長
    鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じである必要は
    ない。〕、下記構造式で表されるトリペンタエリスリト
    ールのオクタエステル 【化7】 〔式中、R1 〜R8 は−CO−(CH2 2 −S−Cn
    2n+1(但しnは12以上の整数)で表される硫黄原子
    を含有する長鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じ
    である必要はない。〕、下記構造式で表されるトリペン
    タエリスリトールのヘプタエステル 【化8】 〔式中、R1 〜R8 のいずれか1つは−Hであり、残り
    の7つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn 2n+1(但し
    nは12以上の整数)で表される硫黄原子を含有する長
    鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じである必要は
    ない。〕、下記構造式で表されるトリペンタエリスリト
    ールのヘキサエステル 【化9】 〔式中、R1 〜R8 のいずれか2つは−Hであり、残り
    の6つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn 2n+1(但し
    nは12以上の整数)で表される硫黄原子を含有する長
    鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じである必要は
    ない。〕、下記構造式で表されるトリペンタエリスリト
    ールのペンタエステル 【化10】 〔式中、R1 〜R8 のいずれか3つは−Hであり、残り
    の5つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn 2n+1(但し
    nは14以上の整数)で表される硫黄原子を含有する長
    鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じである必要は
    ない。〕、下記構造式で表されるトリペンタエリスリト
    ールのテトラエステル 【化11】 〔式中、R1 〜R8 のいずれか4つは−Hであり、残り
    の4つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn 2n+1(但し
    nは20以上の整数)で表される硫黄原子を含有する長
    鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じである必要は
    ない。〕、下記構造式で表されるトリペンタエリスリト
    ールのトリエステル 【化12】 〔式中、R1 〜R8 のいずれか5つは−Hであり、残り
    の3つは−CO−(CH 2 2 −S−Cn 2n+1(但し
    nは28以上の整数)で表される硫黄原子を含有する長
    鎖脂肪酸基であり、それらは必ずしも同じである必要は
    ない。〕、のいずれかである請求項1記載の絶縁電線。
  7. 【請求項7】 前記脂肪族エステル化合物が、ジペンタ
    エリスリトールヘキサ−(3−ドデシルチオプロピオネ
    ート)、ジペンタエリスリトールヘキサ−(3−セチル
    チオプロピオネート)、またはジペンタエリスリトール
    −(3−ステアリルチオプロピオネート)のいずれかで
    ある請求項1記載の絶縁電線。
  8. 【請求項8】 前記脂肪族エステル化合物の沸点が30
    0℃以上である請求項1記載の絶縁電線。
  9. 【請求項9】 前記焼付塗膜形成用塗料が、熱可塑性樹
    脂を主成分とする融着塗料である請求項1記載の絶縁電
    線。
  10. 【請求項10】 前記熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂
    である請求項9記載の絶縁電線。
  11. 【請求項11】 表面の静摩擦係数が0.06未満であ
    る請求項1記載の絶縁電線。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006118241A1 (ja) * 2005-04-28 2006-11-09 Nippon Kayaku Kabushiki Kaisha 液状エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物およびその硬化物

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