JPH10217271A - 繊維強化樹脂複合体の製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂複合体の製造方法

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JPH10217271A
JPH10217271A JP9020333A JP2033397A JPH10217271A JP H10217271 A JPH10217271 A JP H10217271A JP 9020333 A JP9020333 A JP 9020333A JP 2033397 A JP2033397 A JP 2033397A JP H10217271 A JPH10217271 A JP H10217271A
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resin
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chopped strand
fiber
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JP9020333A
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Inventor
Kazuhiro Noguchi
和裕 野口
Masanori Hirata
昌徳 平田
Hajime Naito
一 内藤
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補強材としてチョップドストランドマットの
みを用いる繊維強化樹脂複合体の製造方法であって、原
料樹脂による「繊維の流され」を抑止し、強度のバラツ
キの少ない成形品が得られ、かつ繊維層への樹脂の含浸
性が良好なため、成形品表面は樹脂によって充分被覆さ
れ、そのうえ、補強材としてチョップドストランドマッ
トのみを用いることから、製造コストが非常に安くつく
方法を提供する。 【解決手段】 繊維強化樹脂複合体の製造方法は、反応
射出成形を行なう型1 内に、1または複数のチョップド
ストランドマット11に隣接して、樹脂流通空間を有する
マット状体12を配置し、該マット状体12を、型締めによ
って厚み方向に圧縮する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化樹脂複合
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成樹脂成形品の製造方法とし
て、反応射出成形法(RIM成形法)が知られている。
この方法は、それぞれ別の容器に保管された2種類の反
応性液状原料樹脂を、高圧で衝突させるか、もしくは型
の吐出口部分に取り付けたミキサーにより混合した後、
混合樹脂を型内に射出することにより、成形を行なうも
のである。
【0003】樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキ
シ樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ナイロン樹脂等
の、反応性が高く、かつ硬化時間の短い樹脂が用いられ
る。
【0004】通常、反応射出成形法は樹脂のみを用いて
行なわれるが、成形品に高い強度が要求される場合に
は、補強のためにガラス繊維等の繊維材料が併用され
る。この場合の成形法として、マット状強化繊維、プリ
フォーム等の繊維材料を、予め開いた型内に載置してお
き、型締め後、反応性原料樹脂を型内に射出して、加熱
硬化させ、繊維強化樹脂複合体を得る方法が知られてい
る(S−RIM成形法)。
【0005】この場合、マット状強化繊維としては、チ
ョップドストランドマットやコンティニュアスストラン
ドマットが広く用いられている。
【0006】ここで、チョップドストランドマットは安
価であるが、樹脂に流されやすいという欠点をもつ。コ
ンティニュアスストランドマットは樹脂に流されにくい
が、高価であるという欠点をもつ。
【0007】上記の欠点を除去するものとして、両者を
併用し、少なくとも製品の平滑な表面側となる部分に前
者を配置する方法が提案されている(特公昭63−28
775号公報参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような先提案の方
法によれば、確かにコンティニュアスストランドマット
のみを用いる場合よりも安価であるが、チョップドスト
ランドマットのみを用いる場合に比べると高価であり、
上記の欠点が充分に解決されたとは言えないという問題
があった。
【0009】また近年、軽量化、耐熱性付与等のニーズ
に対し、反応射出成形用の樹脂としてポリウレタン等の
発泡性樹脂を使用する機会が増えている。発泡性樹脂は
型内で発泡可能な熱硬化性樹脂であって、注入後、硬化
時の泡化反応によって型内を流動するため、一般に高粘
度であり、通常の樹脂に比べて含浸性が得られにくい。
特に市販の安価なチョップドストランドマットに対して
は、ストランドが偏平な断面のため、開繊しにくく、樹
脂の含浸性が得られにくいものとなっている。
【0010】また近年、浄化槽等の大型製品の成形法と
してS−RIM法を用いることが多くなっている。大型
製品においては、樹脂の流動距離が長くなるため、特に
末端部における樹脂の含浸性に対する要求は厳しいもの
となる。そのため高圧で注入する必要があり、特にチョ
ップドストランドマットは流されやすい。また、型内で
樹脂が均一に流動する必要があり、不均一な流動はエア
ートラップ等の充填不良の原因となる。
【0011】本発明は、上記の実情に鑑みてなされたも
のであって、とくに、補強材としてチョップドストラン
ドマットのみを用いるS−RIM法において、原料樹脂
による「繊維の流され」を抑止し、かつ繊維層への樹脂
の含浸性を高め、樹脂の流動の均一性に優れた繊維強化
樹脂複合体の製造方法を提供しようとするにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、反応射出成形を行なう型内に、1また
は複数のチョップドストランドマットを載置し、型内に
樹脂を注入して成形する繊維強化樹脂複合体の製造方法
であって、チョップドストランドマットに隣接して、樹
脂流通空間を有するマット状体を配置し、該マット状体
を型締めによって厚み方向に圧縮することを特徴とする
ものである。
【0013】上記本発明の繊維強化樹脂複合体の製造方
法によれば、まず、反応射出成形を行なう型内、チョッ
プドストランドマットとマット状体とを隣接して積層し
て得られる構成体(以下、マット積層体と記す)を載置
する。
【0014】マット状体は、厚肉のマット状であって、
厚み方向および長手方向に連続して樹脂の流通に必要な
空間(以下、樹脂流通空間と記す)が形成され、厚み方
向に容易に圧縮可能なものである。
【0015】樹脂流通空間の程度を、下記式1で計算さ
れる空隙率によって示す。通常、樹脂の流通に必要な空
隙率は50%以上であり、好ましくは90%以上であ
る。
【0016】
【式1】 マット積層体は、チョップドストランドマットとマット
状体とを隣接して積層せしめて得られる厚肉の構成体で
あって、全体の厚みを成形品の厚み以上とすることによ
り、チョップドストランドマットおよびマット状体を、
型締め時に厚み方向に圧縮することができる。型締め時
の圧縮の程度を、下記式2で計算される圧縮率により示
す。
【0017】例えばマット積層体の厚みを10mmとし、
成形品の厚みを6mmとすれば、圧縮率は計算により+4
0%となる。
【0018】
【式2】 効果的な圧縮により、樹脂の流動から繊維の流されを防
止することができる。このとき、圧縮率としては0%以
上であればよい。たゞし、過大な圧縮はチョップドスト
ランドマットに対する樹脂含浸性を損なう可能性があ
る。これは、市販されている多くのチョップドストラン
ドマットが、偏平断面のストランドからなっているた
め、厚み方向の開繊性に乏しく、圧縮によっていっそう
開繊しにくくなるからである。特に樹脂がポリウレタン
等の発泡性樹脂である場合に、この現象は顕著なものと
なる。
【0019】このことにより、繊維強化樹脂複合体の製
造方法において、特に上記樹脂として発泡性樹脂を用い
る場合には、次の1または2の方法をとるのが好まし
い。
【0020】1.マット状体の圧縮弾性率を、0.45
kg/cm2 以下とする。
【0021】2.少なくとも製品の平滑な表面となる部
分に配置したチョップドストランドマットの目付量を、
500g/m2 以下とする。
【0022】マット状体の圧縮弾性率を0.45kg/
cm2 以下、好ましくは0.1kg/cm2 以下とする
ことによって圧縮の影響を少なくし、チョップドストラ
ンドマットの開繊性を保つことができる。
【0023】また、チョップドストランドマットの目付
量を、500g/m2 以下、好ましくは450g/m2
以下とすることによって、ストランド間隔を広くし、厚
み方向に一定の樹脂の流路を確保することができる。
【0024】このように、型内にマット積層体を載置し
て後、型内に反応性原料樹脂を注入し、マット状体内部
に存在する樹脂流通空間を通じて樹脂を全体に充填せし
め、続いて隣接するチョップドストランドマットに含浸
せしめ、マット積層体と樹脂とが一体化した成形品を得
る。
【0025】このとき、反応性原料樹脂の注入は、型締
め前であっても、型締め後であっても構わない。とくに
大型成形、深物成形を行なう場合には、型締め前に注入
することにより、成形性を向上して、マット積層体中の
原料樹脂の流通を全体に均等化する効果がある。
【0026】例えば型開き状態で型の底部より樹脂を注
入し、液面がレベリングする頃合を見計らって型締め
し、その後、硬化させることにより、底面に溜まった樹
脂が任意の立面に沿って一斉に流動するため、エアート
ラップ等のない充填良好な成形品を得ることができる。
【0027】上記チョップドストランドマットは、ガラ
スを材料とし、例えば、基本構成単位、すなわちフィラ
メントの太さが7〜25μ、これを集束してなるストラ
ンドの太さが50〜300μであり、これを長さ50mm
以下に切断して、無方向、均一な厚みとなるように多数
積層してなるもので、マット1枚の目付が150〜12
00g/m2 である。また好ましくは、チョップドスト
ランドマットは、フィラメントの太さが15〜25μ、
ストランドの太さが100〜300μ、マット1枚の目
付が300〜600g/m2 である。
【0028】ここで、フィラメントおよびストランドの
太さは、下式3により計算する。
【0029】フィラメントおよびストランドの太さが過
小であると、繊維が流されやすくなるし、過大である
と、ストランド間の間隙が開きすぎるため、樹脂リッチ
の箇所ができ、強度が低下することがある。
【0030】
【式3】 また、チョップドストランドマット1枚の目付量が過大
であると、樹脂の含浸性が低下することがある。逆に、
過小であると、繊維が流されやすくなる。
【0031】またチョップドストランドマットは安価で
あることが好ましく、例えばつぎのような市販品が挙げ
られる。
【0032】すなわち、商品名「MCチョップドストラ
ンドマット」(日東紡社製)、商品名「CMチョップド
ストランドマット」(旭ファイバーグラス社製)、商品
名「マイクログラスチョップドストランドマット」(日
本板硝子社製)、商品名「FEMチョップドストランド
マット」(富士ファイバーグラス社製)等が挙げられ
る。これらは単独で用いても、多数積層しても、また複
数のチョップドストランドマットを併用しても構わな
い。
【0033】マット状体は、ウレタンフォーム等の連続
気泡で形成された発泡体をマット状に成形したもの、熱
可塑状態の樹脂をノズルより糸状に押し出し、不規則あ
るいは規則的に絡ませ、嵩高いマット状にしたものが用
いられる。これらのマット状体は単独で用いても、多数
積層しても、また複数のマット状体を併用しても構わな
い。
【0034】マット状体の作り方としては特に制限はな
いが、例えば図1に示すような装置を用いて、以下のよ
うな方法により製造することができる。
【0035】すなわち、同図において、押出機(21)の複
数のノズル(22)から溶融したポリプロピレン樹脂やナイ
ロン樹脂を線状体(23)に押し出し降下させ、その下方で
3枚の振動板(24)を、相互に異なるタイミングで押出し
方向に対して直角に振動させることにより、未硬化状態
の線状体(23)を屈曲させ、隣り合う線状体(23)同士の接
触部分を互いに融着させることによりマット状体(25)を
形成し、これを一対の引き取りロール(26)(26)により冷
却水槽(27)内に引き取って、マット状体(25)を製造する
ものである。
【0036】樹脂としては、常温で液状であり、2液の
混合、加熱等の手段によって硬化可能な樹脂であって、
例えば、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹
脂、ナイロン樹脂、ポリエステル、ジシクロペンタジエ
ン樹脂等が用いられる。
【0037】これらの中でも、硬化時間の短縮、材料コ
ストの安価さという点では、発泡成形可能なポリウレタ
ンが好ましい。
【0038】なお、上記において、型内に、1または複
数のチョップドストランドマットを載置するとともに、
チョップドストランドマットに隣接して樹脂流通空間を
もつマット状体を配置した後、型開き状態で、型の底部
より樹脂を射出し、射出後、型締めを行なうようにして
も良い。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の1つを、図
2〜図4を参照して説明する。
【0040】本発明の方法により、図4に示す平板状繊
維強化樹脂複合体(A)を、図3に示すプレス機すなわ
ち成形装置を用いて成形する。
【0041】本発明の方法は、例えば以下の順序で実施
する。
【0042】1.まずはじめに、金型(1) 内に、チョッ
プドストランドマット(11)、およびチョップドストラン
ドマット(11)よりも樹脂流通性の高いマット状体(12)を
積層して収める。
【0043】図2においては、2枚のチョップドストラ
ンドマット(11)の間に、1枚のマット状体(12)が挾まれ
ている。
【0044】なお、これらのチョップドストランドマッ
ト(11)とマット状体(12)の積層配置は、その他のもので
あっても良い。
【0045】またこれらのチョップドストランドマット
(11)およびマット状体(12)よりなる強化材は、事前に積
層しても、金型(1) 内で積層しても良い。
【0046】2.つぎに、金型(1) を型締めするが、こ
のとき、マット状体(12)およびチョップドストランドマ
ット(11)は、型締めによって厚み方向に圧縮される。
【0047】ここで、反応射出成形用金型(1) は、図3
に示すように、例えばアルミニウム製で、可動上型(2)
と固定下型(3) とよりなるものである。この金型(1) 内
に、チョップドストランドマット(11)、およびチョップ
ドストランドマット(11)よりも樹脂流通性の高いマット
状体(12)を積層して収める。型締めによって、これらの
マット状体(12)およびチョップドストランドマット(11)
は、厚み方向に圧縮される。またこのとき、例えば完全
な型締めは行なわず、金型(1) を若千開いた状態に保持
する。
【0048】3.そしてつぎに、下型(3) 中央部のゲ一
ト(4) より反応性発泡原料樹脂を、金型(1) 内に射出
し、原料樹脂をマット状体(12)の樹脂流通空間に、また
はチョップドストランドマット(11)とマット状体(12)に
より形成された樹脂流通空間に浸入せしめるとともに、
樹脂流通空間に浸入した反応性発泡原料樹脂をチョップ
ドストランドマット(11)に含浸せしめる。このとき、キ
ャビティ内の空気が成形体である平板状繊維強化樹脂複
合体(A)内に巻き込まれないように外へ排出される。
【0049】4.そして最後に、反応性発泡原料樹脂を
発泡硬化させて、金型(1) から図4に示す繊維強化樹脂
複合体(A)を取り出す。
【0050】つぎに、本発明の第2の実施の形態を、図
5および図6を参照して説明する。
【0051】本発明の方法により、図5に示す箱状繊維
強化樹脂複合体(B)を、図6に示すプレス機すなわち
成形装置を用いて成形する。
【0052】箱状繊維強化樹脂複合体(B)は、上方が
開口した箱形を有するものである。
【0053】図6に示す成形装置の反応射出成形用金型
(7) は、例えばアルミニウム製で、可動雄型(8) と固定
雌型(9) とよりなり、この金型(7) 内に、チョップドス
トランドマット(11)、およびチョップドストランドマッ
ト(11)よりも樹脂流通性の高いマット状体(12)を積層し
て収める。ここで、例えば上記図2に示すように、2枚
のチョップドストランドマット(11)の間に1枚のマット
状体(12)が挟まれるように積層すれば良い。
【0054】つぎに、金型(7) を型締めするが、このと
き、マット状体(12)およぴチョップドストランドマット
(11)は、型締めによって厚み方向に圧縮される。またこ
のとき、例えば完全な型締めは行なわず、金型(7) を若
千開いた状態に保持する。
【0055】そして、この型開き状態で、雌型(9) 中央
部下側のミキシングヘッド(10)からゲ一ト(15)を通じて
金型(7) 内に、反応性発泡原料樹脂(14)を射出し、原料
樹脂(14)をマット状体(12)の樹脂流通空間に、またはチ
ョップドストランドマット(11)とマット状体(12)により
形成された樹脂流通空間に浸入せしめるとともに、樹脂
流通空間に浸入した反応性発泡原料樹脂(14)をチョップ
ドストランドマット(l1)に含浸せしめ、射出後、完全に
型締めを行なう。
【0056】そして最後に、反応性発泡原料樹脂(14)を
発泡硬化させて、金型(7) から図6に示す箱状繊維強化
樹脂複合体(B)を取り出す。
【0057】なお、この第2実施態様のその他の点は、
上記第1実施態様の場合と同様である。
【0058】(作用)本発明においては、型締め時にマ
ット積層体が圧縮されるため、チョップドストランドマ
ットが、隣接するマット状体、あるいは型内の成形面
に、厚み方向に押さえつけられる。この結果、繊維の流
されを抑止することができる。
【0059】また、発泡性樹脂を用いる場合において、
圧縮弾性率の低いマット状体を用いることにより、チョ
ップドストランドマットへの圧縮の影響が少なくなり、
チョップドストランドマット本来の開繊性を損なうこと
なく、一定の樹脂含浸性が確保される。
【0060】また、発泡性樹脂を用いる場合において、
少なくとも製品の平滑な表面となる部分に目付量の低い
チョップドストランドマットを用いることにより、チョ
ップドストランドマットの開繊性を高め、圧縮された後
も一定の樹脂含浸性が確保される。
【0061】また、大型成形、箱形成形を行なう場合に
おいて、樹脂を型締め前に注入することにより、注入時
の「繊維の流され」を抑制し、マット積層体中の樹脂の
流通を全体に均等化する効果がある。
【0062】
【実施例】つぎに、この発明の実施例を説明する。
【0063】実施例1 本発明の方法により、図4に示す縦横のサイズが400
×900mmおよび厚み6mmの平板状繊維強化樹脂複合体
成形品(A)を、図3に示すプレス機すなわち成形装置
を用いて製造した。
【0064】まず、この実施例に用いるマット状体を、
図1の製造装置により、つぎのようにして製作した。
【0065】すなわち、同図において、押出機(21)の複
数のノズル(22)から熱溶融状態のナイロン樹脂を押し出
し、線径0.6mmの線状体(23)とした。この線状体(23)
を、下方に設置した3枚の振動板(24)を、相互に異なる
タイミングで押出し方向に対して直角に振動させること
により、未硬化状態の線状体(23)を屈曲させ、隣り合う
線状体(23)同土の接触部分を互いに融着させることによ
りマット状体(25)を形成し、これを一対の引き取りロー
ル(26)(26)により冷却水槽(27)内に引き取って、厚さ8
mmのナイロン製マット状体(25)を製造した。
【0066】ナイロン製マット状体(25)の圧縮弾性率は
0.4kg/cm2 であり、空隙率は97%であった。
【0067】つぎに、チョップドストランドマット(11)
として、日東紡社製MC600A((目付600g/m
2 、厚み1.2mm)を用いて、図2に示すマット積層体
を作製した。
【0068】マット積層体は、2枚のチョップドストラ
ンドマット(11)の間に、1枚のマット状体(12)が挟まれ
たものである。
【0069】このマット積層体を、図3に示す反応射出
成形を行なう金型(1) に、成形面全体に配置した。
【0070】つぎに、金型(1) を型締めするが、このと
き、マット状体(12)およびチョップドストランドマット
(11)は、型締めによって厚み方向に圧縮され、圧縮率は
+42%となった。
【0071】そして、下型(3) 中央部のゲート(4) よ
り、原料樹脂として所定量の非発泡性ポリウレタン(住
友バイエルウレタン社製:バイジュール60)を金型
(1) 内に注入し、原料樹脂をマット状体(12)の樹脂流通
空間に、またはチョップドストランドマット(11)とマッ
ト状体(12)により形成された樹脂流通空間に浸入せしめ
るとともに、樹脂流通空間に浸入した反応性原料樹脂を
チョップドストランドマット(11)に含浸せしめ、型内を
樹脂で完全に満たした。このとき、キャビティ内の空気
が成形体である平板状繊維強化樹脂複合体(A)内に巻
き込まれないように外へ排出された。
【0072】そして、反応性原料樹脂を硬化させて、所
定時間経過後に脱型し、金型(1) からマット積層体と樹
脂とが一体化した図4に示す繊維強化樹脂複合体成形品
(A)を得た。
【0073】成形品(A)表面には、樹脂の未含浸領域
は観察されなかった。
【0074】また成形品(A)の10箇所からテスト用
断片(16)を切り出し、繊維体積含有率(Vf)のバラツ
キを調べたところ、標準偏差は0.2%であった。
【0075】実施例2 つぎに、本発明の方法により、図4に示す平板状の繊維
強化樹脂複合体成形品(A)を、つぎのようにして製造
した。
【0076】用いるマット状体(12)を変更する以外は、
実施例1と同様にしてマット状体を作製した。
【0077】すなわち、実施例2に用いるマット状体(1
2)を、下記のようにして作製した。
【0078】図1のマット状体製造装置を用いて、熱溶
融状態のナイロン樹脂を押出機(1)の複数のノズル(2)
より押し出し、線径0.4mmの線状体(3) とする。この
線状体(3) を、下方に設置した押出方向に対して直交方
向に振動する3枚の振動板(4) により、屈曲させ、かつ
融着せしめて網状とするとともに、厚み8mmに堆積せし
めて、嵩高いマット状とし、PP製マット状体(12)を得
た。
【0079】このナイロン樹脂製マット状体(12)の圧縮
弾性率は0.2kg/cm2 であり、空隙率は97%で
あった。
【0080】そして、このナイロン樹脂製マット状体(1
2)を用いること以外は、上記実施例1の場合と同様にし
て、マット状積層体を製造した。
【0081】なおこの場合、型締めのさいのマット状体
(12)およびチョップドストランドマット(11)の圧縮率
は、+42%であった。
【0082】このマット積層体を、図3に示す反応射出
成形を行なう金型(1) に、成形面全体に配置した。
【0083】そして、下型(3) 中央部のゲート(4) よ
り、原料樹脂として所定量の発泡性ポリウレタン(住友
バイエルウレタン社製:バイジュール60、発泡倍率:
2倍)を金型(1) 内に注入し、原料樹脂をマット状体(1
2)の樹脂流通空間に、またはチョップドストランドマッ
ト(11)とマット状体(12)により形成された樹脂流通空間
に浸入せしめるとともに、樹脂流通空間に浸入した反応
性原料樹脂をチョップドストランドマット(11)に含浸せ
しめた。このとき、キャビティ内の空気が成形体である
平板状繊維強化樹脂複合体(A)内に巻き込まれないよ
うに外へ排出された。
【0084】そして、反応性原料樹脂を発泡硬化させ
て、所定時間経過後に脱型し、金型(1) からマット積層
体と樹脂とが一体化した図4に示す繊維強化樹脂複合体
成形品(A)を得た。
【0085】成形品(A)表面には、樹脂の未含浸領域
は観察されなかった。
【0086】また成形品(A)の10箇所からテスト用
断片(16)を切り出し、繊維体積含有率(Vf)のバラツ
キを調べたところ、標準偏差は0.2%であった。
【0087】実施例3 つぎに、本発明の方法により、図4に示す平板状の繊維
強化樹脂複合体成形品(A)を、チョップドストランド
マット(11)を日東紡社製MC450A((目付450g
/m2 、厚み1.0mm)に変更する以外は、実施例1の
場合と同様にして製造した。
【0088】なおこの場合、型締めのさいのマット状体
(12)およびチョップドストランドマット(11)の圧縮率
は、+40%であった。
【0089】成形品(A)表面の含浸性を、目視にて判
定したところ、樹脂の未含浸領域は観察されなかった。
【0090】また成形品(A)の10箇所からテスト用
断片(16)を切り出し(図4参照)、繊維体積含有率(V
f)のバラツキを調べたところ、標準偏差は0.2%で
あった。
【0091】実施例4 本発明の方法により、図5に示す箱状繊維強化樹脂複合
体(B)を、図6に示すプレス機すなわち成形装置を用
いて製造した。
【0092】箱状繊維強化樹脂複合体(B)は、上方が
開口した箱形を有するものである。
【0093】まず、チョップドストランドマット(11)と
して、日東紡社製:商品名MC450A(目付450g
/m2 、厚み1.0mm)を用い、マット状体(12)とし
て、上記第1実施例において製作したものと同様のナイ
ロン樹脂製マット(厚み8mm)を用いて、マット積層体
(図2)を作製した。
【0094】図6に示す成形装置の反応射出成形用金型
(7) 内の全体に、チョップドストランドマット(11)とマ
ット状体(12)を積層して収めた。
【0095】つぎに、金型(7) を型締めするが、このと
き、マット状体(12)およぴチョップドストランドマット
(11)は、型締めによって厚み方向に圧縮され、型締め後
の圧縮率は+40%となる。
【0096】そして、またこのとき、完全な型締めは行
なわず、雄型(8) を下ろして、雌型(9) とのパーティン
グライン上10cmの高さに固定し、金型(7) を若千開
いた状態に保持した。
【0097】そして、この型開き状態で、雌型(9) 中央
部下側のミキシングヘッド(10)からゲ一ト(15)を通じて
金型(7) 内に、反応性原料樹脂(14)として所定量の発泡
性ポリウレタン(住友バイエルウレタン社製バイジュ一
ル60、発泡倍率:2倍)を注入し、該原料樹脂(14)を
マット状体(12)の樹脂流通空間に、またはチョップドス
トランドマット(11)とマット状体(12)により形成された
樹脂流通空間に浸入せしめるとともに、樹脂流通空間に
浸入した反応性原料樹脂(14)をチョップドストランドマ
ット(l1)に含浸せしめ、注入終了と同時に、完全に型締
めを行なった。
【0098】そして最後に、反応性原料樹脂(14)を発泡
硬化させ、所定時間の経過後、脱型し、マット積層体と
樹脂とが一体化した箱状繊維強化樹脂複合体(B)を取
り出した。
【0099】こうして得られた成形品(B)表面の含浸
性を、目視にて判定したところ、樹脂の未含浸領域は観
察されなかった。
【0100】また、成形品全体の含浸性を目視にて評価
したところ、樹脂は末端まで充分に含浸しきっており、
途中エアートラップによる未充填領域も見られず、良好
であった。
【0101】また成形品(B)の10箇所からテスト用
断片(17)を切り出し(図5参照)、繊維体積含有率(V
f)のバラッキを調べたところ、標準偏差は0.2%で
あった。
【0102】
【発明の効果】本発明は、上述のように、反応射出成形
を行なう型内に、1または複数のチョップドストランド
マットを載置し、型内に樹脂を注入して成形する繊維強
化樹脂複合体の製造方法であって、チョップドストラン
ドマットに隣接して、樹脂流通空間を有するマット状体
を配置し、該マット状体を型締めによって厚み方向に圧
縮することを特徴とするもので、本発明の方法によれ
ば、成形品全体において、繊維体積含有率のバラツキが
小さいことから、樹脂流時の「繊維の流され」が少な
く、強度のバラツキの少ない成形品が得られる。またチ
ョップドストランドマットに対する樹脂の含浸性が良好
なため、成形品の表面は充分樹脂によって被覆されてお
り、成形品表面に繊維が目立つこともない。また樹脂の
流動が均一なため、成形品末端まで充分に樹脂が充填
し、途中、エアトラップ等による充填不良を生じること
もない。そのうえ、補強材としてチョップドストランド
マットのみを用いているから、非常に安価であるという
効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】マット状体の製造装置の概略断面図である。
【図2】本発明の方法に用いるチョップドストランドマ
ットとマット状体の積層状態の例を示す概略断面図であ
る。
【図3】本発明の方法を実施する成形装置の金型の1つ
の例を示す断面図である。
【図4】本発明の方法により得られる平板状繊維強化樹
脂複合体の平面図である。
【図5】本発明の方法により得られる箱状繊維強化樹脂
複合体の斜視図である。
【図6】本発明の方法を実施する成形装置の金型のいま
1つの例を示す断面図である。
【符号の説明】
A 平板状繊維強化樹脂複合体 B 箱状繊維強化樹脂複合体 1 金型 2 上型 3 下型 4 ゲート 7 金型 8 雄型 9 雌型 10 ミキシングヘッド 11 チョップドストランドマット 12 マット状体 14 反応性発泡原料樹脂 15 ゲート 21 押出機 22 ノズル 23 線状体 24 振動板 25 マット状体 26 引き取りロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 9:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応射出成形を行なう型内に、1または
    複数のチョップドストランドマットを載置し、型内に樹
    脂を注入して成形する繊維強化樹脂複合体の製造方法で
    あって、チョップドストランドマットに隣接して、樹脂
    流通空間を有するマット状体を配置し、該マット状体を
    型締めによって厚み方向に圧縮することを特徴とする繊
    維強化樹脂複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記樹脂が発泡性樹脂であって、上記マ
    ット状体の圧縮弾性率が0.45kg/cm2 以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載の繊維強化樹脂複合体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記樹脂が発泡性樹脂であって、少なく
    とも製品の平滑な表面となる部分に配置したチョップド
    ストランドマットの目付量が500g/m2以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の繊維強化樹脂複合体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 型内に、1または複数のチョップドスト
    ランドマットを載置するとともに、チョップドストラン
    ドマットに隣接して樹脂流通空間をもつマット状体を配
    置した後、型開き状態で型の底部より樹脂を射出し、射
    出後、型締めを行なうことを特徴とする請求項1〜3記
    載の繊維強化樹脂複合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017527466A (ja) * 2014-09-04 2017-09-21 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 補強構造が結合された多重シェル複合材料構成品の製造

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JP2017527466A (ja) * 2014-09-04 2017-09-21 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se 補強構造が結合された多重シェル複合材料構成品の製造

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