JPH10180789A - 繊維強化樹脂複合体の製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂複合体の製造方法

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JPH10180789A
JPH10180789A JP34800296A JP34800296A JPH10180789A JP H10180789 A JPH10180789 A JP H10180789A JP 34800296 A JP34800296 A JP 34800296A JP 34800296 A JP34800296 A JP 34800296A JP H10180789 A JPH10180789 A JP H10180789A
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fiber
resin
mold
fibers
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JP34800296A
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Inventor
Kazuhiro Noguchi
和裕 野口
Masanori Hirata
昌徳 平田
Yoshitaka Nakatani
好孝 中谷
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量、高剛性、高強度の性能を有する繊維強
化樹脂複合体を製造する方法であって、原料樹脂による
「繊維の流され」を抑止し、繊維含有率(Vf)の高い
繊維層への含浸性を高め得る方法を提供する。 【解決手段】 繊維強化樹脂複合体の製造方法は、反応
射出成形用金型3 内に、マット状強化繊維llと、これに
隣接して樹脂流通空間をもつマット状体12を配置し、該
マット状体12を型締めによって厚み方向に圧縮するこ
と、および成形品の表面に位置するマット状強化繊維11
が、断面円形ないし楕円形を有するとともに長径/短径
の比1.0〜1.5を有するストランドにより構成さ
れ、かつ該ストランドを構成する繊維が、長さ60mm以
上の長繊維ないし連続状繊維であることを特徴としてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化樹脂複合
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、合成樹脂成形品の製造方法とし
て、反応射出成形法(RIM成形法)が知られている。
この方法は、それぞれ別の容器に保管された2種類の反
応性液状原料樹脂を、高圧で衝突させるか、もしくは型
の吐出口部分に取り付けたミキサ一により混合した後、
混合樹脂を型内に射出することにより、成形を行なうも
のである。
【0003】樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキ
シ樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ナイロン樹脂等
の、反応性が高く、かつ硬化時間の短い樹脂が用いられ
る。
【0004】通常、反応射出成形法は樹脂のみを用いて
行なわれるが、成形品に高い強度が要求される場合に
は、補強のためにガラス繊維等の繊維材料が併用され
る。この場合の成形法として、繊維材料を、予め開いた
型内に載置しておき、型締め後、反応性原料樹脂を型内
に射出して、加熱硬化させ、繊維強化樹脂複合体を得る
成形方法が知られている(S−RIM成形法)。
【0005】この場合、用いられる繊維材料の形態とし
ては、マット状強化繊維、プリフォーム等があげられ
る。
【0006】そして近年、低コストの繊維強化樹脂複合
体が要望されており、このためには安価な繊維材料を多
く用いることが重要である。マット状強化繊維はプリフ
ォームよりも安価である点で優れているが、中でもチョ
ップドストランドマットは、最も安価な繊維材料として
広く用いられている。しかし、これには、反応性原料樹
脂の流動により繊維が流されやすく、強度の不足する箇
所が生じるという欠点があった。
【0007】また近年、高強度の繊維強化樹脂複合体が
要望されており、このためには成形品中に少なくとも繊
維含有率(Vf)の高い繊維層やプリフォームが含まれ
ることが重要である。マット状強化繊維の場合、これを
多数積層する必要があり、このため、含浸性の不足する
箇所が生じるという欠点があった。
【0008】上記の欠点を除去するものとして、反応性
原料樹脂を金型内に射出する前に、繊維材料中の繊維含
有率(Vf)の高い部分、つまり「繊維の流され」は問
題とならないが、原料樹脂の含浸性には問題があるとい
う繊維部分に、予め原料樹脂を塗布して含浸させておく
方法が提案されている(特開平2−215510号公報
参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このような先提案の方
法によれば、確かにS−RIM成形の含浸性を高める点
で効果が認められるが、繊維材料中に反応性原料樹脂を
一度塗布してから、型締めし、原科樹脂を再度射出する
までに暫くの時間を要するため、ポリウレタンのように
硬化時間の短い樹脂の場合、塗布しておいた原料樹脂が
先に硬化する結果、成形品にムラを生じるという問題が
あるし、また型締め前に、繊維材料中の特定部分に原料
樹脂を塗布することは、成形工程を煩雑化し、かつ長期
化することにもなるという問題があった。
【0010】本発明は、上記の実情に鑑みて成されたも
のであって、1または複数のマット状強化繊維を用いる
S−RIM成形法において、原料樹脂による「繊維の流
され」を抑止し、かつ繊維含有率(Vf)の高い繊維層
への含浸性を高め得る繊維強化樹脂複合体の製造方法を
提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、反応射出成形を行なう型内に、1また
は複数のマット状強化繊維を載置し、型内に樹脂を注入
して成形する繊維強化樹脂複合体の製造方法であって、
1または複数のマット状強化繊維に隣接して樹脂流通空
間をもつマット状体を配置し、該マット状体を型締めに
よって厚み方向に圧縮すること、および成形品の表面に
位置するマット状強化繊維が、断面円形又は楕円形もし
くは長円形を有するとともに長径/短径の比1.0〜
1.5を有するストランドにより構成され、かつ該スト
ランドを構成する繊維が、長さ60mm以上の長繊維ない
し連続状繊維であることを特徴とするものである。
【0012】上記本発明の繊維強化樹脂複合体の製造方
法によれば、まず、反応射出成形を行なう型内に、マッ
ト状強化繊維とマット状体とを隣接して積層せしめて得
られる構成体(以下、マット積層体と記す)を載置す
る。
【0013】このとき、成形品の表面に位置するマット
状強化繊維(以下、表層繊維と記す)には、長径/短径
の比が1.0〜1.5の円形又は楕円形もしくは長円形
の断面をもつストランドを、長さ60mm以上に切断し、
均一厚み、好ましくは無方向となるように多数積層した
ものを用いる。
【0014】ここで、ストランドとは、100〜300
本程度の繊維フィラメントを、原則として無撚りで集束
剤により集束させたものである。そして、このストラン
ドを切断することなく、ループ状、均一厚みとなるよう
に堆積したもの、あるいはタテ糸およびヨコ糸として製
織したもの、あるいはロービング(ストランドを多数引
きそろえたもの)とした上で、タテ糸およびヨコ糸とし
て製織したものが用いられる。更に場合によっては、ヤ
ーン(ストランドに撚りを与えたもの)で製織したもの
を用いてもよい。
【0015】表層繊維は、とくに含浸性が良好であるこ
とが重要であり、長径/短径の比が1.5を越えて大き
いと、所望の含浸性が得られないので、好ましくない。
またストランドの長さが60mm未満に短いと、繊維が流
されることがあるので、好ましくない。
【0016】長径/短径の比が1.0〜1.5の円形又
は楕円形もしくは長円形の断面をもつストランドは、例
えばストランドを製造する工程において、繊維フィラメ
ントに集束剤を塗布して集束させた際、巻取りロールに
接触する前にこれをすばやく充分に加熱硬化し、ロール
による変形を受けさせないようにして、製造することが
できる。
【0017】なお、通常のチョップドストランドマット
の製造に用いられるストランドは、ロールによる変形を
受けているため、断面形状が扁平なものとなっている。
【0018】マット状体は、厚肉のマット状であって、
厚み方向および長さ方向に連続して樹脂の流通可能な空
間(以下、樹脂流通空間と記す)が形成され、型締めに
よって厚み方向に圧縮可能なものである。
【0019】またこのとき、マット積層体の厚みを、成
形品の厚み以上に大きくする必要がある。マット積層体
の厚みが成形品の厚み以上のとき、型締めによって圧縮
効果が発生する。圧縮効果は、圧縮率が+0%以上のと
き、発生する。例えばマット積層体の厚みを10mmと
し、成形品の厚みを6mmとすれば、圧縮率は計算により
+40%となり、圧縮効果が発生する。下記式1に、圧
縮率の計算式を示す。
【0020】
【式1】 圧縮効果は、比較的高い圧縮率においては、その大小に
関わらずほぼ一定であるが、比較的低い圧縮率において
は、圧縮率過小のとき不足することもある。
【0021】また圧縮効果はマット状体の圧縮弾性率に
よって異なる。
【0022】すなわち、圧縮弾性率が過小である場合に
は、「繊維の流され」が抑止できないことがあり、逆
に、圧縮弾性率が過大である場合には、含浸性、樹脂流
通性が低下することがある。
【0023】樹脂流通空間が充分に形成されたマット状
体であれば、圧縮による樹脂流通空間の損失はほとんど
考えなくて良い。例えば樹脂流通空間の割合を空隙率で
表わし、初期の空隙率を95%として、半分に圧縮した
場合を仮定すると、圧縮後の空隙率は計算により90%
となり、その損失はわずかに過ぎない。
【0024】下記式2と式3に、空隙率および圧縮後の
空隙率の計算式を示す。
【0025】
【式2】
【0026】
【式3】 このように、型内にマット積層体を載置して後、型内に
反応性原料樹脂を注入し、マット状体内部に存在する樹
脂流通空間を通じて全体に充填せしめ、続いて、隣接す
るマット状強化繊維に含浸せしめ、マット積層体と樹脂
とが一体化した成形品を得る。
【0027】このとき、反応性原料樹脂の注入は型締め
前であっても、型締め後であっても構わない。型締め前
に注入するのは、とくに大型成形、深物成形を行なう場
合の成形性を向上するためのテクニックであり、マット
積層体中の原科樹脂の流通を全体に均等化する効果があ
る。
【0028】本発明では、表層繊維に用いるマット状強
化繊維だけで全体のマット状強化繊維を構成しても構わ
ないが、その他のマット状強化繊維を併用することもで
きる。その他のマット状強化繊維としては、ガラス、カ
ーボン、アラミド、金属等からなる任意の形状の繊維フ
ィラメント、ストランド、ヤーン、ロービングを、切断
し、多数積層したもの、あるいは切断せず、ループ状に
堆積したもの、あるいはタテ糸およびヨコ糸として織り
あげたもの等が挙げられる。
【0029】これらの他のマット状強化繊維としては、
表層繊維に用いるマット状強化繊維よりも安価であるこ
とが好ましく、例えぱつぎのような市販製品が挙げられ
る。
【0030】すなわち、商品名「MSチョップドストラ
ンドマット」(日東紡社製)、「CMチョップドストラ
ンドマット」(旭ファイバーグラス社製)、「マイクロ
チョップドストランドマット」(日本板硝子社製)、
「FEMチョップドストランドマット」(富士ファイバ
ーグラス社製)等が挙げられる。これらは単独で用いて
も、多数積層しても、複数のマット状強化繊維を併用し
ても構わない。
【0031】マット状体は、ウレタンフォーム等の連続
気泡で形成された発泡体をマット状に成形したもの、熱
可塑状態の樹脂をノズルより糸状に押し出し、不規則あ
るいは規則的に絡ませ、嵩高いマット状にしたものが用
いられる。これらのマット状体は単独で用いても、多数
積層しても良く、また複数のマット状体を併用しても構
わない。
【0032】マット状体の作り方としては特に制限はな
いが、例えば図1に示すような装置を用いて、以下のよ
うな方法により製造することができる。
【0033】すなわち、同図において、押出し機(21)の
複数のノズル(22)から溶融したポリプロピレン樹脂を線
状体(23)に押し出し降下させ、その下方で3枚の振動板
(24)を、相互に異なるタイミングで押出し方向に対して
直角に振動させることにより、未硬化状態の線状体(23)
を屈曲させ、隣り合う線状体(23)同士の接触部分を互い
に融着させることによりマット状体(25)を形成し、これ
を一対の引き取りロール(26)(26)により冷却水槽(27)内
に引き取って、マット状体(25)を製造するものである。
【0034】反応性原科樹脂の具体例としては、常温で
液状であり、2液の混合、加熱等の手段によって硬化可
能な樹脂であって、例えばポリウレタン樹脂、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹
脂、ジシクロペンタジエン樹脂等が用いられる。硬化時
間の短縮、材料コストの安価さという点では、発泡成形
可能なポリウレタン樹脂が好ましい。
【0035】なお上記において、型内に、1または複数
のマット状強化繊維を載置するとともに、マット状強化
繊維に隣接して樹脂流通空間をもつマット状体を配置し
た後、型開き状態で型の底部より樹脂を射出し、射出
後、型締めを行なうようにしても良い。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の1つを、図
2〜図4を参照して説明する。
【0037】本発明の方法により、図4に示す平板状繊
維強化樹脂複合体(A)を、図3に示すプレス機すなわ
ち成形装置を用いて成形する。
【0038】本発明の方法は、例えば以下の順序で実施
する。
【0039】1.まずはじめに、金型(1) 内に、マット
状強化繊維(11)、およびマット状強化繊維(11)よりも樹
脂流通性の高いマット状体(12)を積層して収める。
【0040】図2においては、例えば2枚ずつ合計4枚
のマット状強化繊維(11)の間に、1枚のマット状体(12)
が挾まれている。
【0041】ここで、成形品の表面に位置するマット状
強化繊維(11)は、断面円形又は楕円形もしくは長円形を
有するとともに長径/短径の比1.0〜1.5を有する
ストランドにより構成され、かつ該ストランドを構成す
る繊維が、長さ60mm以上の長繊維ないし連続状繊維に
よって構成される。
【0042】一方、マット状体(12)は、例えば前記図1
に示す装置を用いて製造したものを使用する。
【0043】反応射出成形用金型(1) は、図3に示すよ
うに、例えばアルミニウム製で、可動上型(2) と固定下
型(3) とよりなるものである。ミキシングヘッド(図示
略)から下型(3) の一側中央部のゲート(4) を通じて、
キャビティ内に反応性発泡原料樹脂を射出されるように
なっている。
【0044】なお、図5においては、表層繊維に1枚ず
つ合計2枚のマット状強化繊維(11)を用いるとともに、
これらのマット状強化繊維(ll)同士の間に、2枚のマッ
ト状体(12)、およびマット状体(12)同士の間の2枚のそ
の他のマット状強化繊維(13)が挾まれているものであ
る。
【0045】これらのマット状強化繊維(11)とマット状
体(12)の積層配置は、その他のものでも良く、マット状
強化繊維(11)と、これより樹脂流通性の高いマット状体
(12)とを交互に積層しても良い(図示略)。
【0046】またこれらのマット状強化繊維(11)および
マット状体(12)、よりなる強化材は、事前に積層して
も、金型(1) 内で積層しても良い。
【0047】2.つぎに、金型(1) を型締めするが、こ
のとき、マット状体(12)およびマット状強化繊維(11)
は、型締めによって厚み方向に圧縮される。
【0048】3.そしてつぎに、下型(3) 中央部のゲー
ト(4) より反応性発泡原料樹脂を、金型(1)内に射出
し、原科樹脂をマット状体(12)の樹脂流通空間に、また
はマット状強化繊維(11)とマット状体(12)により形成さ
れた樹脂流通空間に浸入せしめるとともに、樹脂流通空
間に浸入した反応性発泡原料樹脂をマット状強化繊維(1
1)に含浸せしめる。このとき、キャビティ内の空気が成
形体である平板状繊維強化樹脂複合体(A)内に巻き込
まれないように外へ排出される。
【0049】4.そして最後に、反応性発泡原料樹脂を
発泡硬化させて、金型(1) から図4に示す繊維強化樹脂
複合体(A)を取り出す。
【0050】本発明の第2実施形態を、図6および図7
を参照して説明する。
【0051】本発明の方法により、図6に示す箱状繊維
強化樹脂複合体(B)を、図7に示すプレス機すなわち
成形装置を用いて成形する。
【0052】箱状繊維強化樹脂複合体(B)は、上方が
開口した箱状本体(5) と、これの側壁上端部に連なる鍔
部(6) とよりなるものである。
【0053】図7に示す成形装置の反応射出成形用金型
(7) は、例えばアルミニウム製で、可動雄型(8) と固定
雌型(9) とよりなり、この金型(7) 内に、マット状強化
繊維(11)、およびマット状強化繊維(11)よりも樹脂流通
性の高いマット状体(12)を積層して収める。
【0054】ここで、例えば上記図2に示す2枚ずつ合
計4枚のマット状強化繊維(11)の間に、1枚のマット状
体(12)が挾まれたものを使用すれば良く、また成形品の
表面に位置するマット状強化繊維(11)が、断面円形又は
楕円形もしくは長円形を有するとともに所定の長径/短
径の比を有するストランドにより構成され、かつ該スト
ランドを構成する繊維が長繊維ないし連続状繊維によっ
て構成される点は、上記第1実施態様の場合と同様であ
る。
【0055】つぎに、金型(7) を型締めするが、このと
き、マット状体(12)およびマット状強化繊維(11)は、型
締めによって厚み方向に圧縮される。またこのとき、例
えば完全な型締めは行なわず、金型(7)を若干開いた状
態に保持する。
【0056】そして、この型開き状態で、雌型(9) 中央
部下側のミキシングヘッド(10)からゲート(15)を通じて
金型(7) 内に、反応性発泡原料樹脂(14)を射出し、原料
樹脂(14)をマット状体(12)の樹脂流通空間に、またはマ
ット状強化繊維(11)とマット状体(12)により形成された
樹脂流通空間に浸入せしめるとともに、樹脂流通空間に
浸入した反応性発泡原料樹脂(14)をマット状強化繊維(l
l)に含浸せしめ、射出後、完全に型締めを行なう。
【0057】そして最後に、反応性発泡原料樹脂(14)を
発泡硬化させて、金型(7) から図6に示す箱状繊維強化
樹脂複合体(B)を取り出す。
【0058】なお、この第2実施態様のその他の点は、
上記第1実施態様の場合と同様である。
【0059】(作用)本発明においては、型締め時にマ
ット積層体が圧縮されるため、マット状強化繊維が、隣
接するマット状体あるいは型の成形面に、厚み方向に押
さえつけられる結果となり、樹脂流通時の「繊維の流さ
れ」が抑止される。またマット状強化繊維は、圧縮の影
響で、成形面に平行な方向の樹脂流通性が著しく低下す
るが、隣接するマット状体に樹脂流通空間が確保されて
いるため、厚み方向の樹脂流通には問題なく、含浸性が
ィ低下することもない。
【0060】また表層繊維のみ、ストランドの断面形状
がほぼ円形に近いため、通常のストランド、すなわち扁
平なストランドに比べて、隣り合うストランド間の距離
が長く、嵩高いため、圧縮による樹脂流通空間の低下も
少ない。このため、とくに含浸性に優れている。
【0061】
【実施例】つぎに、この発明の実施例を比較例とともに
説明する。
【0062】実施例1 本発明の方法により、図4に示す縦横のサイズが400
×900mmおよび厚み6mmの平板状繊維強化樹脂複合体
成形品(A)を、図3に示すプレス機すなわち成形装置
を用いて製造した。
【0063】まず、この実施例に用いるマット状体を、
図1の製造装置により、つぎのようにして製作した。
【0064】すなわち、同図において、押出し機(21)の
複数のノズル(22)から溶融したポリプロピレン樹脂を押
し出し、線径0.6mmの線状体(23)とした。この線状体
(23)を、下方に設置した3枚の振動板(24)を、相互に異
なるタイミングで押出し方向に対して直角に振動させる
ことにより、未硬化状態の線状体(23)を屈曲させ、隣り
合う線状体(23)同士の接触部分を互いに融着させること
によりマット状体(25)を形成し、これを一対の引き取り
ロール(26)(26)により冷却水槽(27)内に引き取って、厚
み8mmのナイロン製マット状体(25)を製造した。
【0065】このナイロン製マット状体(25)の空隙率は
97%であった。
【0066】つぎに、表層繊維および表層繊維以外に用
いるマット状強化繊維として、太さ10μのガラスフィ
ラメント200本からなりかつ長さ80mmの長繊維スト
ランドを積層して得られるマット状強化繊維(11)(目付
450g/m2 、厚み3mm、長径/短径の比1.2)を
用いて、図2に示すマット積層体を作製した。
【0067】マット積層体は、2枚ずつ合計4枚のマッ
ト状強化繊維(11)の間に、1枚のマット状体(12)が挾ま
れたものである。
【0068】このマット積層体を、図3に示す反応射出
成形を行なう金型(l) に、成形面全体に配置した。
【0069】つぎに、金型(1) を型締めするが、このと
き、マット状体(12)およびマット状強化繊維(ll)は、型
締めによって厚み方向に圧縮され、圧縮率は+70%と
なった。
【0070】そして、下型(3) 中央部のゲート(4) よ
り、原料樹脂として所定量の発泡ポリウレタン(住友バ
イエルウレタン社製:バイジュール60、発泡倍率:2
倍)を金型(1) 内に注入し、原料樹脂をマット状体(12)
の樹脂流通空間に、またはマット状強化繊維(ll)とマッ
ト状体(12)により形成された樹脂流通空間に浸入せしめ
るとともに、樹脂流通空間に浸入した反応性発泡原料樹
脂をマット状強化繊維(l1)に含浸せしめた。このとき、
キャビティ内の空気が成形体である平板状繊維強化樹脂
複合体(A)内に巻き込まれないように外へ排出され
た。
【0071】そして、反応性発泡原料樹脂を発泡硬化さ
せて、所定時間経過後に脱型し、金型(1) からマット積
層体と樹脂とが一体化した図4に示す繊維強化樹脂複合
体成形品(A)を得た。
【0072】成形品(A)表面には、樹脂の未含浸領域
は観察されなかった。
【0073】成形品(A)の10箇所からテスト用断片
(16)を切り出し、繊維含有率(Vf)のバラツキを調べ
たところ、標準偏差は0.1%であった。
【0074】実施例2 つぎに、本発明の方法により、図4に示す平板状の繊維
強化樹脂複合体成形品(A)を、実施例1の場合と同様
にして製造した。
【0075】ここで、上記第1実施例の場合と異なる点
は、図5に示すように、表層繊維に1枚ずつ合計2枚の
マット状強化繊維(11)を用いるとともに、これらのマッ
ト状強化繊維(ll)同士の間に、2枚のマット状体(l2)、
およびマット状体(12)同士の間の2枚のその他のマット
状強化繊維(13)が挾まれてなるマット積層体を用いた点
にある。
【0076】表層繊維のマット状強化繊維(ll)として
は、太さ10μのガラスフィラメント200本からなり
かつ長さ100mmの長繊維ストランドを積層して得られ
るマット状強化繊維(目付450g/m2 、厚み3mm、
長径/短径の比1.2)を用い、マット状体(12)として
は、上記実施例1の場合と同じ厚み8mmのナイロン製マ
ット状体を用い、表層繊維以外のその他のマット状強化
繊維(13)としては、チョップドストランドマット(日東
紡社製:MC450A、厚み1mm)を用いた。
【0077】このマット積層体を、図3に示す反応射出
成形を行なう金型(l) に、成形面全体に配置し、金型
(1) を型締めしたところ、マット積層体の圧縮率は、+
77%となった。
【0078】そして、下型(3) 中央部のゲート(4) よ
り、上記実施例1の場合と同じ原料樹脂を注入し、原料
樹脂を発泡硬化させて、所定時間経過後に脱型し、金型
(1) からマット積層体と樹脂とが一体化した図4に示す
繊維強化樹脂複合体成形品(A)を得た。
【0079】成形品(A)表面には、樹脂の未含浸領域
は観察されなかった。
【0080】成形品(A)の10箇所からテスト用断片
(16)を切り出し、繊維含有率(Vf)のバラツキを調べ
たところ、標準偏差は0.2%であった。
【0081】比較例1 比較のために、下記の製造方法により、実施例1の場合
と同じサイズを有する平板状繊維強化樹脂複合体成形品
を製造した。
【0082】しかし、表層繊維を含むマット状強化繊維
として、チョップドストランドマット(日東紡社製:M
C450A、目付450g/m2 、厚み1mm)4枚を積
層し、図3に示す反応射出成形用金型(l) に、成形面全
体に配置し、型締めしたところ、圧縮率は一50%とな
った。
【0083】そこヘ、上記実施例1の場合と同じ原料樹
脂を注入し、原料樹脂を発泡硬化させて、所定時間経過
後に脱型し、金型(1) からマット積層体と樹脂とが一体
化した平板状の成形品を得た。
【0084】この成形品の表面には、10%程度の樹脂
の未含浸領域が観察された。
【0085】また成形品の10箇所からテスト用断片を
切り出し、繊維含有率(Vf)のバラツキを調べたとこ
ろ、標準偏差は1.5%であり、傾向として、注入口付
近に繊維が少なく、出口付近に繊維が多く存在した。
【0086】比較例2 比較のために、下記の製造方法により、実施例1の場合
と同じサイズを有する図9に示す平板状繊維強化樹脂複
合体成形品(C)を製造した。
【0087】つぎに、表層繊維および表層繊維以外に用
いるマット状強化繊維(31)として、チョップドストラン
ドマット(日東紡社製:MC450A、目付450g/
2、厚み1mm、長さ50mm、長径/短径の比10以上
のストランドから構成されされている)を用い、マット
状体(32)として、実施例1の場合と同じナイロン製マッ
ト状体を用いて、図6に示すマット積層体を作製した。
【0088】このマット積層体を、図3に示す反応射出
成形用金型(1) に、成形面全体に配置し、金型(1) を型
締めしたところ、マット積層体の圧縮率は、+50%と
なった。
【0089】そして、下型(3) 中央部のゲート(4) よ
り、上記実施例1の場合と同じ原料樹脂を注入し、原料
樹脂を発泡硬化させて、所定時間経過後に脱型し、金型
(1) からマット積層体と樹脂とが一体化した図9に示す
平板状繊維強化樹脂複合体成形品(C)を得た。
【0090】成形品(C)の表面には、30%程度の樹
脂未含浸領域(34)が観察された。
【0091】成形品(C)の含浸領域の10箇所からテ
スト用断片(33)を切り出し、繊維含有率(Vf)のバラ
ツキを調べたところ、標準偏差は0.3%であった。
【0092】実施例3 本発明の方法により、図6に示す箱状繊維強化樹脂複合
体(B)を、図7に示すプレス機すなわち成形装置を用
いて製造した。
【0093】箱状繊維強化樹脂複合体(B)は、上方が
開口した箱状本体(5) と、これの側壁上端部に連なる鍔
部(6) とよりなるものである。
【0094】マット積層体は、上記実施例1の場合と同
様に、2枚ずつ合計4枚のマット状強化繊維(11)の間
に、1枚のマット状体(12)が挾まれたものを使用した。
【0095】すなわち、図7に示すように、可動雄型
(8) と固定雌型(9) とよりなる成形装置の反応射出成形
用金型(7) 内に、マット状強化繊維(11)、およびマット
状強化繊維(11)よりも樹脂流通性の高いマット状体(12)
を積層して収めた。
【0096】つぎに、金型(1) を型締めするが、このと
き、雄型(8) を降下させて、雌型(9) とのパーティング
ライン上10cmの高さに固定した。マット積層体は、
型締めによって厚み方向に圧縮され、圧縮率は十70%
となった。
【0097】そして、この型開き状態で、雌型(9) 中央
部下側のミキシングヘッド(10)からゲート(15)を通じて
金型(7) 内に、上記実施例1の場合と同じ原料樹脂を注
入し、原料樹脂(14)をマット状体(12)の樹脂流通空間
に、またはマット状強化繊維(11)とマット状体(12)によ
り形成された樹脂流通空間に浸入せしめるとともに、樹
脂流通空間に浸入した反応性発泡原料樹脂(14)をマット
状強化繊維(11)に含浸せしめ、射出後、完全に型締めを
行なった。
【0098】そして最後に、反応性発泡原料樹脂(14)を
発泡硬化させて、金型(7) から図6に示す箱状繊維強化
樹脂複合体(B)を得た。
【0099】箱状成形品(B)表面には、樹脂の未含浸
領域は観察されなかった。
【0100】箱状成形品(B)の長い側面4箇所、短い
側面2箇所、および底面4箇所の合計10箇所からテス
ト用断片(17)を切り出し、繊維含有率(Vf)のバラツ
キを調べたところ、標準偏差は0.3%であった。
【0101】
【発明の効果】本発明は、上述のように、反応射出成形
を行なう型内に、1または複数のマット状強化繊維を載
置し、型内に樹脂を注入して成形する繊維強化樹脂複合
体の製造方法であって、1または複数のマット状強化繊
維に隣接して樹脂流通空間をもつマット状体を配置し、
該マット状体を型締めによって厚み方向に圧縮するこ
と、および成形品の表面に位置するマット状強化繊維
が、断面円形又は楕円形もしくは長円形を有するととも
に長径/短径の比1.0〜1.5を有するストランドに
より構成され、かつ該ストランドを構成する繊維が、長
さ60mm以上の長繊維ないし連続状繊維であることを特
徴とするもので、本発明の方法によれば、型締め時にマ
ット積層体が圧縮されるため、マット状強化繊維が、隣
接するマット状体あるいは型の成形面に、厚み方向に押
さえつけられる結果となり、樹脂流通時の「繊維の流さ
れ」が抑止されて、「繊維流され」がほとんど発生する
ことなく、強度のバラツキのない成形品を得ることがで
きる。
【0102】また成形品表面の繊維層の含浸性がとくに
良好であるため、この表面の繊維層のみ繊維含有率(V
f)を高く設計することにより、高強度の成形品を得る
ことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】マット状体の製造装置の概略断面図である。
【図2】本発明の方法に用いるマット状強化繊維とマッ
ト状体の積層状態の1例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の方法を実施する成形装置の金型の断面
図である。
【図4】本発明の方法により得られる平板状繊維強化樹
脂複合体の平面図である。
【図5】本発明の方法に用いるマット状強化繊維とマッ
ト状体の積層状態のいま1つの例を示す概略断面図であ
る。
【図6】本発明の方法により得られる箱状繊維強化樹脂
複合体の斜視図である。
【図7】本発明の方法を実施する成形装置の金型のいま
1つの例を示すの断面図である。
【図8】比較例に用いるマット状強化繊維とマット状体
の積層状態の例を示す概略断面図である。
【図9】比較例により得られた平板繊維強化樹脂複合体
の平面図である。
【符号の説明】
A 平板状繊維強化樹脂複合体 B 箱状繊維強化樹脂複合体 1 成形装置 2 雄型 3 雌型 4 ゲート 5 箱状本体 6 鍔部 7 成形装置 8 雄型 9 雌型 10 ミキシングヘッド 11 マット状強化繊維 12 マット状体 13 その他のマット状強化繊維 14 反応性発泡原料樹脂 15 ゲート 21 押出し機 22 ノズル 23 線状体 24 振動板 25 マット状体 26 引き取りロール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応射出成形を行なう型内に、1または
    複数のマット状強化繊維を載置し、型内に樹脂を注入し
    て成形する繊維強化樹脂複合体の製造方法であって、1
    または複数のマット状強化繊維に隣接して樹脂流通空間
    をもつマット状体を配置し、該マット状体を型締めによ
    って厚み方向に圧縮すること、および成形品の表面に位
    置するマット状強化繊維が、断面円形又は楕円形もしく
    は長円形を有するとともに長径/短径の比1.0〜1.
    5を有するストランドにより構成され、かつ該ストラン
    ドを構成する繊維が、長さ60mm以上の長繊維ないし連
    続状繊維であることを特徴とする、繊維強化樹脂複合体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 型内に、1または複数のマット状強化繊
    維を載置するとともに、マット状強化繊維に隣接して樹
    脂流通空間をもつマット状体を配置した後、型開き状態
    で型の底部より樹脂を射出し、射出後、型締めを行なう
    ことを特徴とする請求項1記載の繊維強化樹脂複合体の
    製造方法。
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