JPH10217263A - 繊維強化樹脂複合体の製造方法 - Google Patents

繊維強化樹脂複合体の製造方法

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JPH10217263A
JPH10217263A JP9024964A JP2496497A JPH10217263A JP H10217263 A JPH10217263 A JP H10217263A JP 9024964 A JP9024964 A JP 9024964A JP 2496497 A JP2496497 A JP 2496497A JP H10217263 A JPH10217263 A JP H10217263A
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JP
Japan
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mat
mold
fiber
resin
resin composition
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JP9024964A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Noguchi
和裕 野口
Hajime Naito
一 内藤
Masanori Hirata
昌徳 平田
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維強化樹脂複合体を製造する方法であっ
て、大型製品を成形する場合の樹脂含浸性を確保し、成
形品表面の繊維束が目立たなく、平滑な表面を得ること
ができるとともに、積層成形体の面外圧縮強度を高め得
て、良好な成形体を得ることができる方法を提供する。 【解決手段】 繊維強化樹脂複合体の製造方法は、注入
成形を行なう型1 内に、内部に充分な樹脂流通空間を有
するマット状体12と、該マット状体12に隣接してマット
状強化繊維11を載置積層した後、反応性樹脂組成物を型
内に注入して成形するにあたり、反応性樹脂組成物中に
長さ1〜50mmの強化繊維が、5〜60重量%の割合で
含まれている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化樹脂複合
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、浄化槽等の大型製品の生産技術と
して、注入成形法が注目されており、また大型製品の軽
量化、低コスト化、高生産化のために、原料樹脂として
ポリウレタンのような発泡性樹脂を使用するケースが増
えている。
【0003】注入成形法は、通常、樹脂のみを用いて行
なわれるが、成形品に高い強度が要求される場合には、
補強のためにガラス繊維等の繊維材料が併用される。
【0004】この場合の成形法としては、ガラス繊維等
からなるマット状強化繊維を、予め金型上に配置してお
き、反応性液体からなる原料樹脂組成物を金型内に注入
して、加熱硬化させる方法が知られている(例えばS−
RIM成形法)。
【0005】ところが、このような方法により、大型製
品を成形した場合には、発泡性樹脂組成物の流動距離が
長くなるため、末端部にいくほど樹脂組成物の含浸性が
落ちるという問題があり、このことから、上記の方法に
おいては、繊維の含有量すなわちマットの積層数、目付
量を充分に大きくできず、充分な繊維補強を行なうこと
ができないという問題があった。
【0006】そこで従来、樹脂組成物の含浸性を促進す
るための手段として、マット状強化繊維の原料樹脂組成
物が含浸しがたい部分に、予め原料樹脂組成物を塗布し
ておくことにより、成形時に、マット状強化繊維全体に
樹脂組成物が含浸するようにしたものである(特開平2
−215510号公報参照)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来法によれば、マット状強化繊維に部分的に原料
樹脂組成物を塗布した後、金型を締めて原料樹脂組成物
を射出するまでの間に、ある程度の時間がかゝるため、
反応速度が速いポリウレタン樹脂組成物の場合、塗布さ
れた樹脂組成物が、先に硬化してしまい、その結果、成
形品にむらが生じるという問題があった。またマット状
強化繊維の原料樹脂組成物が含浸しがたい部分や、繊維
含有率の高い部分だけに、予め原料樹脂組成物を塗布す
ることは、成形工程を煩雑化することにもなるという問
題があった。
【0008】さらに、樹脂含浸性を確保するために、マ
ットの積層数、目付量を減らせば、特に原料が発泡性樹
脂組成物である場合には、成形体の面外圧縮強度が、著
しく低下するという問題があった。これは、マットの積
層数、目付量を少なくすることにより、成形中に脆い発
泡樹脂層が生じるためである。
【0009】本発明は、上記の実情に鑑みてなされたも
のであって、大型製品を成形する場合の樹脂含浸性を確
保し、成形品表面の繊維束が目立たなく、平滑な表面を
得ることができるとともに、積層成形体の面外圧縮強度
を高め得て、良好な成形体を得ることができる、繊維強
化樹脂複合体の製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、注入成形を行なう型内に、内部に充分
な樹脂流通空間を有するマット状体と、該マット状体に
隣接してマット状強化繊維を載置積層した後、反応性樹
脂組成物を型内に注入して成形する繊維強化樹脂複合体
の製造方法であって、反応性樹脂組成物中に長さ1〜5
0mmの強化繊維が、5〜60重量%の割合で含まれてい
ることを特徴とするものである。
【0011】本発明の繊維強化樹脂複合体の製造方法に
おいては、まず、注入成形を行なう型内に、マット状強
化繊維とマット状体とを隣接して配設せしめて得られる
構成体(以下、マット積層体)を収納する。
【0012】この場合、予め形成したマット積層体を型
内に載置収納してもよく、また例えば金型内に載置した
マット状強化繊維の上にマット状体を載置積層して、マ
ット積層体を形成しても良い。
【0013】マット状体は、比較的厚みの大きいマット
状であって、厚み方向および長手方向に連続して樹脂の
流通に必要な空間(以下、樹脂流通空間と記す)が形成
され、厚み方向に容易に圧縮可能な三次元網状体であ
る。
【0014】樹脂流通空間の程度を、下記式1で計算さ
れる空隙率によって示す。
【0015】
【式1】 反応性樹脂組成物の流通に必要な空隙率は、通常50%
以上であり、好ましくは90%以上である。従って、上
記マット状体としては、空隙率90%以上を有するマッ
ト状物を用いるのが、好ましい。
【0016】マット積層体は、マット状強化繊維とマッ
ト状体とを隣接して積層せしめて得られる比較的厚みの
大きい構成体であって、全体の厚みを、成形品の厚み以
上とすることにより、マット状強化繊維およびマット状
体を、型締め時に厚み方向に圧縮することができる。型
締め時の圧縮の程度を、下記式2で計算される圧縮率に
より示す。
【0017】
【式2】 例えばマット積層体の厚みを10mmとし、成形品の厚み
を6mmとすれば、圧縮率は計算により+40%となる。
【0018】マット積層体を充分圧縮することにより、
反応性樹脂組成物の流動から繊維が流されるのを防止す
ることができる。この効果は、マット状体の種類にもよ
るが、充分な圧縮弾性率をもつものであれば、圧縮弾性
率0%以上より期待できる。
【0019】型上にマット積層を載置したら、つぎに型
内に反応性樹脂組成物を注入し、型締めを行なう。この
とき、反応性樹脂組成物の注入のタイミングは、型締め
前後のどちらでも構わない。
【0020】注入および型締め後、反応性樹脂組成物は
マット状体内の樹脂流通空間を通じて成形品全体へ充填
し、同時に隣接するマット状強化繊維へと含浸する。充
分に樹脂が硬化するのを待って脱型し、マット積層体と
樹脂とが一体化した成形品が得られる。
【0021】ところで、この成形品中に含まれる強化繊
維は、反応性樹脂組成物中に含まれるものを除けば、常
に成形面に沿って配向することは明らかである(下図参
照)。
【0022】 高強度の強化繊維層と低強度の樹脂層とが平行に積層し
たこの構成は、樹脂のみの場合と比較して、曲げに対す
る強度は非常に強いが、面外方向の圧縮に対してはきわ
めて強度が小さいものである。
【0023】圧縮に対しても充分な補強効果を得るに
は、樹脂層中にも強化繊維が含まれていることが望まし
い。注入する反応性樹脂組成物中に、予め強化繊維を分
散しておくことは、この場合、有効な方法となる。
【0024】本発明の方法においては、反応性樹脂組成
物中に長さ1〜50mmの強化繊維が、5〜60重量%の
割合で含まれているもので、これにより、圧縮に対して
充分な補強効果を得ることができるものである。
【0025】つぎに、本発明に使用する構成材料につい
て、説明する。
【0026】マツト状強化繊維としては、ガラス繊維、
炭素繊維、アラミト繊維等からなるチョプドストランド
マット、スワローマット(コンティニュアスマット)、
クロスなどが用いられる。これらは単独で用いても、多
数積層しても、複数のマット状強化繊維を併用しても構
わない。
【0027】またマット状強化繊維は、引張弾性率30
GPa以上を有するとともに、引張強度500MPa以
上を有することが好ましい。これらが過小である場合に
は、成形品の繊維含有率を上げても、補強効果が現れな
いことがある。
【0028】また上記マット状体は、ウレタンフォーム
等の連続気泡を有する発泡体をマット状に成形したもの
や、熱可塑状態の樹脂をノズルより糸状に押し出し、不
規則あるいは規則的に絡ませ、嵩高いマット状にしたも
のが用いられる。これらは単独で用いても、多数積層し
ても、複数のマット状体を併用しても構わない。
【0029】またマット状体は、厚み方向の圧縮弾性率
が0.1kg/cm2 以上のものが好ましい。これが過
小である場合には、マット積層体を圧縮する作用が充分
でなく、繊維が流されることがある。
【0030】上記マット状体は樹脂流通空間を有するも
のであるが、樹脂流通空間の効果は、定量的には空隙率
によって表される。本発明においては、マット状体の空
隙率は90%以上である。空隙率が過小である場合に
は、樹脂流通空間の効果が少なく、樹脂の迅速な充填が
期待できない。
【0031】マット状体の作り方としては特に制限はな
いが、例えば図1に示すような装置を用いて、以下のよ
うな方法により製造することができる。
【0032】すなわち、同図において、押出機(21)の複
数のノズル(22)から溶融したポリプロピレン樹脂やナイ
ロン樹脂を線状体(23)に押し出し降下させ、その下方で
3枚の振動板(24)を、相互に異なるタイミングで押出し
方向に対して直角に振動させることにより、未硬化状態
の線状体(23)を屈曲させ、隣り合う線状体(23)同士の接
触部分を互いに融着させることによりマット状体(25)を
形成し、これを一対の引き取りロール(26)(26)により冷
却水槽(27)内に引き取って、マット状体(25)を製造する
ものである。
【0033】樹脂としては、常温で液状であり、2液の
混合、加熱等の手段によって硬化可能な樹脂であって、
例えぱ、ポリウレタン、工ポキシ樹脂、フェノール樹
脂、ナイロン樹脂、ポリエステル、ジシクロペンタジエ
ン樹脂等が用いられる。本発明では、樹脂の充填の速や
かなこと、含浸の良いこと、硬化時間の短いことが重要
であり、これらの中でも、ポリウレタン中に水等の発泡
剤を加えた発泡ポリウレタンが適している。
【0034】反応性樹脂組成物は、樹脂単独または樹脂
と充填材からなる組成物である。
【0035】充填材としては、上記強化繊維以外に、各
種の機能性付与を目的として、上記樹脂中に分散せしめ
て注入可能な任意のものが用いられる。例えば、低コス
ト化のための重質炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム
等の無機充填材、難燃化のための赤りん、ポリりん酸ア
ンモン等の難燃剤、導電性付与のためのカーボンブラッ
ク、カーボン短繊維などである。
【0036】充填材と樹脂との混合は、通常、スタティ
ックミキサー、ニーダー等を用いて行なわれる。これは
樹脂の2液同士を混合してから、充填材と混合しても良
いし、予め充填材と樹脂の1液とを混合しておき、つい
で樹脂のもう1液を混合するようにしても良い。
【0037】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の1つを、図
2〜図4を参照して説明する。
【0038】本発明の方法により、図2に示す平板状繊
維強化樹脂複合体(A)を、図4に示すプレス機すなわ
ち成形装置を用いて成形する。
【0039】本発明の方法は、例えば以下の順序で実施
する。
【0040】1.まずはじめに、金型(1) 内に、マット
状強化繊維(11)、およびこれより樹脂流通性の高いマッ
ト状体(12)を積層して収める。
【0041】図3においては、2枚のマット状強化繊維
(11)の間に、1枚のマット状体(12)が挾まれている。
【0042】なお、これらのマット状強化繊維(11)とマ
ット状体(12)の積層配置は、その他のものであっても良
い。
【0043】またこれらのマット状強化繊維(11)および
マット状体(12)よりなる強化材は、事前に積層しても、
金型(1) 内で積層しても良い。
【0044】2.つぎに、金型(1) を型締めするが、こ
のとき、マット状体(12)およびマット状強化繊維(11)
は、型締めによって厚み方向に圧縮される。
【0045】ここで、注入成形用金型(1) は、図4に示
すように、例えばアルミニウム製で、可動上型(2) と固
定下型(3) とよりなるものである。この金型(1) 内に、
マット状強化繊維(11)、およびマット状強化繊維(11)よ
りも樹脂流通性の高いマット状体(12)を積層して収め
る。型締めによって、これらのマット状体(12)およびマ
ット状強化繊維(11)は、厚み方向に圧縮される。またこ
のとき、例えば完全な型締めは行なわず、金型(1) を若
千開いた状態に保持する。
【0046】3.そしてつぎに、下型(3) 中央部のゲ一
ト(4) より反応性樹脂組成物を、金型(1) 内に射出し、
反応性樹脂組成物をマット状体(12)の樹脂流通空間に、
またはマット状強化繊維(11)とマット状体(12)により形
成された樹脂流通空間に浸入せしめるとともに、樹脂流
通空間に浸入した反応性樹脂組成物をマット状強化繊維
(11)に含浸せしめる。このとき、キャビティ内の空気が
成形体である平板状繊維強化樹脂複合体(A)内に巻き
込まれないように外へ排出される。
【0047】4.そして最後に、反応性樹脂組成物を発
泡硬化させて、金型(1) から図2に示す繊維強化樹脂複
合体(A)を取り出す。
【0048】つぎに、本発明の第2の実施の形態を、図
5〜図7を参照して説明する。
【0049】本発明の方法により、図5に示す箱状繊維
強化樹脂複合体(B)を、図7に示すプレス機すなわち
成形装置を用いて成形する。
【0050】箱状繊維強化樹脂複合体(B)は、上方が
開口した箱形を有するものである。
【0051】図7に示す成形装置の反応射出成形用金型
(13)は、例えばアルミニウム製で、可動上型(14)と固定
下型(15)とよりなり、この金型(13)内に、マット状強化
繊維(11)、およびマット状強化繊維(11)よりも樹脂流通
性の高いマット状体(12)を積層して収める。ここで、例
えば図6に示すように、3枚のマット状強化繊維(11)と
2枚のマット状体(12)とを交互に積層すれば良い。
【0052】つぎに、金型(13)を型締めするが、このと
き、マット状体(12)およぴマット状強化繊維(11)は、型
締めによって厚み方向に圧縮される。
【0053】そして、この型締めの状態で、下型(15)中
央部下側のミキシングチャンバー(16)からゲ一トを通じ
て金型(13)内に、反応性樹脂組成物を射出する。
【0054】例えば原料の反応性樹脂組成物として、発
泡剤である水を少量含むポリオール、およびイソシアネ
ートからなる2液の発泡性ポリウレタンを用いた場合
は、これらのうち、ポリオール(18)については、これに
所定の繊維長を有する補強繊維(19)を所定割合加えて、
ニーダー(17)にて充分に攪拌する。ついで、この補強繊
維入りポリオール(18)とイソシアネート(20)とを、スタ
ティックミキサーを備えたミキシングチャンバー(16)に
送り込み、混合する。
【0055】そして、金型(13)内に、上記反応性樹脂組
成物を射出し、樹脂組成物をマット状体(12)の樹脂流通
空間に、またはマット状強化繊維(11)とマット状体(12)
により形成された樹脂流通空間に浸入せしめるととも
に、樹脂流通空間に浸入した反応性樹脂組成物をマット
状強化繊維(l1)に含浸せしめる。
【0056】そして最後に、反応性樹脂組成物を発泡硬
化させて、金型(13)から図5に示す箱状繊維強化樹脂複
合体(B)を取り出す。
【0057】なお、この第2実施態様のその他の点は、
上記第1実施態様の場合と同様である。
【0058】(作用)本発明においては、注入成形を行
なう型内に、内部に充分な樹脂流通空間を有するマット
状体と、該マット状体に隣接してマット状強化繊維を載
置積層した後、反応性樹脂組成物を型内に注入して成形
するにあたり、反応性樹脂組成物中に長さ1〜50mmの
強化繊維が、5〜60重量%の割合で含まれているか
ら、本発明の方法によれば、マット状強化繊維に対する
樹脂含浸性が良好であって、成形品表面の繊維束が目立
たなく、平滑な表面が得られる。
【0059】また、充填材として所定の長さを有する強
化繊維を、所定の配合割合で用いるため、繊維の流動お
よび配向が適切であり、構成上の弱点を補うことができ
て、圧縮に対しても高い強度を有する繊維強化樹脂複合
体を得ることができる。
【0060】なお、得られた繊維強化樹脂複合体は、強
度が非常に大きいので、特に、繊維強化された大型構造
体、箱形構造体の製造に有効である。
【0061】またとくに、樹脂として発泡ポリウレタン
を用いることにより、発泡時の体積膨張を利用して樹脂
を流動させることが可能であり、この結果、樹脂の充填
が迅速になる。
【0062】
【実施例】つぎに、この発明の実施例を比較例とともに
説明する。
【0063】実施例1 本発明の方法により、図2に示す縦横のサイズが900
mm×400mmおよび厚み6mmの平板状繊維強化樹脂複合
体成形品(A)を、図4に示すプレス機すなわち成形装
置を用いて製造した。
【0064】まず、この実施例に用いるマット状体を、
図1の製造装置により、つぎのようにして製作した。
【0065】すなわち、同図において、押出機(21)の複
数のノズル(22)から熱溶融状態のナイロン樹脂を押し出
し、線径0.6mmの線状体(23)とした。この線状体(23)
を、下方に設置した3枚の振動板(24)を、相互に異なる
タイミングで押出し方向に対して直角に振動させること
により、未硬化状態の線状体(23)を屈曲させ、隣り合う
線状体(23)同土の接触部分を互いに融着させることによ
りマット状体(25)を形成し、これを一対の引き取りロー
ル(26)(26)により冷却水槽(27)内に引き取って、厚さ8
mmのナイロン製マット状体(25)を製造した。
【0066】ナイロン製マット状体(25)の圧縮弾性率は
0.4kg/cm2 であり、空隙率は97%であった。
【0067】つぎに、マット状強化繊維(11)として、日
東紡社製MC900A((目付900g/m2 、厚み2
mm)を用いて、図3に示すマット積層体を作製した。
【0068】マット積層体は、2枚のマット状強化繊維
(11)の間に、1枚のマット状体(12)が挟まれたものであ
り、これらを充分に乾燥した。
【0069】原料の反応性樹脂組成物の調整 原料の反応性樹脂組成物として、発泡剤である水を少量
含むポリオール、およびイソシアネートからなる2液の
発泡性ポリウレタンを用いた。このうち、ポリオールに
ついては、所定量を18リットル缶中に取り、繊維長3
mmのチョップドストランド30重量%を加え、容器回転
式ミキサーにて充分に攪拌した。
【0070】上記2液を、ピストンポンプを使って、ス
タティックミキサーを備えたミキシングチャンバーに送
り込み、混合した。
【0071】そして、上記マット積層体を、図4に示す
注入成形を行なう金型(1) に、成形面全体に配置した。
【0072】つぎに、金型(1) を型締めするが、このと
き、マット状体(12)およびマット状強化繊維(11)は、型
締めによって厚み方向に圧縮され、圧縮率は+15%と
なった。
【0073】そして、下型(3) 中央部のゲート(4) よ
り、上記の原料の反応性樹脂組成物をスタティックミキ
サーにより混合しながら、金型(1) 内に注入した(型内
で2倍発泡)。反応性樹脂組成物は、マット状体(12)の
樹脂流通空間に、またはマット状強化繊維(11)とマット
状体(12)により形成された樹脂流通空間に浸入し、かつ
樹脂流通空間に浸入した反応性樹脂組成物がマット状強
化繊維(11)に含浸して、型内が反応性樹脂組成物で完全
に満たされた。このとき、キャビティ内の空気は、成形
体である平板状繊維強化樹脂複合体(A)内に巻き込ま
れないように外部へ排出された。
【0074】そして、反応性樹脂組成物を硬化させて、
所定時間経過後に脱型し、金型(1)からマット積層体と
樹脂とが一体化した図2に示す繊維強化樹脂複合体成形
品(A)を得た。
【0075】成形品(A)表面の樹脂含浸性を目視にて
評価したところ、樹脂の未含浸領域は観察されず、良好
であった。
【0076】また成形品(A)からテスト用断片を切り
出し、JIS K7208の方法で面外圧縮強度の測定
を行なったところ、その平均値は9MPaと、非常に高
く、圧縮に対して充分に強度が大きいものであった。
【0077】比較例1 比較のために、上記実施例1における反応性樹脂組成物
を、チョップドストランドを含まない発泡性ポリウレタ
ンよりなる反応性樹脂組成物に代えること以外は、実施
例1同様にして、成形品を製造した。
【0078】すなわち、反応性樹脂組成物の調整におい
て、反応性樹脂組成物として、発泡剤である水を少量含
むポリオール、およびイソシアネートからなる2液の発
泡性ポリウレタンを用いた。これらの2液を、ピストン
ポンプを使って、高圧(10〜20MPa)でミキシン
グヘッド中に噴射し、衝突混合の後、注入成形を行なう
型内に注入した。
【0079】得られた成形品表面の樹脂含浸性を目視に
て評価したところ、実施例1の場合と同様に、樹脂の未
含浸領域は観察されなかったが、該成形品からテスト用
断片を切り出して、面外圧縮強度の測定を行なったとこ
ろ、平均値は3MPaと、非常に低く、圧縮に対して
は、きわめて強度が小さいものであった。
【0080】実施例2 本発明の方法により、図5に示す底面の縦横のサイズが
1500mm×1000mmおよび高さ800mmの箱状繊維
強化樹脂複合体(B)を、図7に示すプレス機すなわち
成形装置を用いて製造した。
【0081】箱状繊維強化樹脂複合体(B)は、上方が
開口した箱形を有するものである。
【0082】まず、マット状体(12)として、上記第1実
施例において製作したものと同様のナイロン樹脂製マッ
ト(厚み10mm、空隙率97%)を2枚と、マット状強
化繊維(11)として、チョップドストランドマット(日東
紡社製:商品名MC450A、目付450g/m2 、厚
み1.0mm)を3枚用いて、図6に示すように、これら
を交互に積層し、マット積層体を作製した。
【0083】ついで、このマット積層体を、図7に示す
成形金型(13)内の全体に配置するように収めた。
【0084】つぎに、金型(13)を型締めするが、このと
き、マット状体(12)およぴマット状強化繊維(11)は、型
締めによって厚み方向に若干圧縮された。
【0085】そして、この型締めの状態で、下型(15)中
央部下側のミキシングチャンバー(16)からゲ一トを通じ
て金型(13)内に、反応性樹脂組成物を射出した。
【0086】ここで、反応性樹脂組成物としては、発泡
剤である水を少量含むポリオール、およびイソシアネー
トからなる2液の発泡性ポリウレタンを用いた。
【0087】これらのうち、ポリオール(18)について
は、予め補強繊維として繊維長3mmを有するチョップド
ストランド(19)を20重量%加えて、ニーダー(17)によ
り粗混練してから、この補強繊維入りポリオール(18)と
イソシアネート(20)とを、ピストンポンプ(図示略)を
使って、スタティックミキサーを備えたミキシングチャ
ンバー(16)に送り込み、混合した。
【0088】なお、このとき、完全な型締めは行なわ
ず、上型(14)を下ろして、下型(15)とのパーティングラ
イン上10cmの高さに一旦固定し、原料樹脂組成物を
注入してから型締めを行なった。
【0089】そして、この型開き状態で、下型(15)中央
部下側のミキシングチャンバー(16)からゲ一トを通じて
金型(13)内に、反応性樹脂組成物として所定量の発泡性
ポリウレタン(住友バイエルウレタン社製バイジュ一ル
60、発泡倍率:2倍)を注入し、該樹脂組成物をマッ
ト状体(12)の樹脂流通空間に、またはマット状強化繊維
(11)とマット状体(12)により形成された樹脂流通空間に
浸入せしめるとともに、樹脂流通空間に浸入した反応性
樹脂組成物をマット状強化繊維(l1)に含浸せしめ、注入
終了と同時に、完全に型締めを行なった。
【0090】そして最後に、反応性樹脂組成物を発泡硬
化させ、所定時間の経過後、脱型し、マット積層体と樹
脂とが一体化した箱状繊維強化樹脂複合体(B)を取り
出した。
【0091】こうして得られた成形品(B)全体の含浸
性を目視にて評価したところ、樹脂は末端まで充分に含
浸しきっており、途中エアートラップによる未充填領域
も見られず、良好であった。
【0092】また成形品(B)の面外圧縮強度を、該成
形品(B)の所要部分より切り出したテスト用断片につ
いて測定したところ、その平均値は6MPaであり、圧
縮に対して充分に強度が大きいものであった。
【0093】比較例2 比較のために、上記実施例2における反応性樹脂組成物
のポリオール中に、補強繊維としてのチョップドストラ
ンドを含ませないこと以外は、実施例2同様にして、成
形品を製造した。
【0094】得られた成形品全体の含浸性を目視にて評
価したところ、樹脂は末端まで充分に含浸しきってお
り、未充填領域も見られず、良好であったが、成形品の
面外圧縮強度を、同様に測定したところ、その平均値は
2MPaと、非常に低いものであり、圧縮に対しては、
きわめて強度が小さいものであった。
【0095】
【発明の効果】本発明は、上述のように、注入成形を行
なう型内に、内部に充分な樹脂流通空間を有するマット
状体と、該マット状体に隣接してマット状強化繊維を載
置積層した後、反応性樹脂組成物を型内に注入して成形
する繊維強化樹脂複合体の製造方法であって、反応性樹
脂組成物中に長さ1〜50mmの強化繊維が、5〜60重
量%の割合で含まれているもので、本発明の方法によれ
ば、マット状強化繊維に対する樹脂含浸性が良好である
ことにより、成形品表面の繊維束が目立たなく、平滑な
表面が得られる。
【0096】また、充填材として所定の長さを有する強
化繊維を、所定の配合割合で用いることにより、繊維の
流動および配向が適切であり、構成上の弱点を補うこと
ができて、圧縮に対しても高い強度を有する繊維強化樹
脂複合体を得ることができ、得られた繊維強化樹脂複合
体は、特に、繊維強化された大型構造体、箱形構造体の
製造に有効であり、大型製品の軽量化、低コスト化、高
生産化に寄与し得るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に用いるマット状体の製造装置の
一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の方法により得られた平板状繊維強化樹
脂複合体の斜視図である。
【図3】本発明の方法に用いるマット状強化繊維とマッ
ト状体の積層状態の一例を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の方法を実施する成形金型の一例を示す
断面図である。
【図5】本発明の方法により得られた箱形繊維強化樹脂
複合体の斜視図である。
【図6】本発明の方法に用いるマット状強化繊維とマッ
ト状体の積層状態のいま1つの例を示す概略斜視図であ
る。
【図7】本発明の方法を実施する成形金型のいま1つの
例を示す断面図である。
【符号の説明】
A 平板状繊維強化樹脂複合体 B 箱状繊維強化樹脂複合体 1 金型 2 上型 3 下型 11 マット状強化繊維 12 マット状体 13 金型 14 上型 15 下型 16 ミキシングチャンバー 17 ニーダー 18 ポリオール 19 補強繊維 20 イソシアネート 21 押出機 22 ノズル 23 線状体 24 振動板 25 マット状体 26 引き取りロール

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 注入成形を行なう型内に、内部に充分な
    樹脂流通空間を有するマット状体と、該マット状体に隣
    接してマット状強化繊維を載置積層した後、反応性樹脂
    組成物を型内に注入して成形する繊維強化樹脂複合体の
    製造方法であって、反応性樹脂組成物中に長さ1〜50
    mmの強化繊維が、5〜60重量%の割合で含まれている
    ことを特徴とする、繊維強化樹脂複合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記マット状体として、空隙率90%以
    上を有するマット状体を用いることを特徴とする請求項
    1記載の繊維強化樹脂複合体の製造方法。
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