JPH10216473A - 湿式排煙脱硫装置およびその脱硫方法 - Google Patents

湿式排煙脱硫装置およびその脱硫方法

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JPH10216473A
JPH10216473A JP9029189A JP2918997A JPH10216473A JP H10216473 A JPH10216473 A JP H10216473A JP 9029189 A JP9029189 A JP 9029189A JP 2918997 A JP2918997 A JP 2918997A JP H10216473 A JPH10216473 A JP H10216473A
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JP
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absorbing
exhaust gas
circulation tank
flue gas
soln
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JP9029189A
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English (en)
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Terufumi Miyata
輝史 宮田
Hirobumi Yoshikawa
博文 吉川
Hiroshi Ishizaka
浩 石坂
Naruhito Takamoto
成仁 高本
Manabu Yamamoto
学 山本
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Mitsubishi Power Ltd
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Babcock Hitachi KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱硫システムの出口処理ガスを高温な状態で
排出して、GGHのコンパクト化を可能とする、経済的
でかつ高い脱硫性能を達成するための湿式排煙脱硫装置
を提案すること。 【解決手段】 ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガ
スと溶解性の塩を10重量%以上含む吸収液を吸収塔本
体1内で接触させることにより排ガス中のSO2を処理
する湿式排煙脱硫方法において、(a)SO2と接触さ
せた吸収液のpHを炭酸カルシウムCを用いて回復させ
た後、水酸化カルシウムDを用いてpHをさらに高くす
ること、(b)吸収液に有機酸あるいはその塩を添加す
ること、好ましくはさらに(a)および(b)を組み合
わせることにより達成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボイラ等の燃焼装
置から排出される排ガス中の硫黄酸化物を除去する湿式
排煙脱硫装置に係わり、脱硫性能が高く、吸収液に10
重量%以上の塩を含むことにより排ガス温度の低下を抑
制し、ガスガスヒータ(GGH)のコンパクト化、かつ
補給水量が低減できる経済的に優れた湿式脱硫装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】図6に従来法の脱硫装置の系統を示す。
脱硫装置は吸収塔本体1、入口ダクト2、出口ダクト
3、スプレーノズル4、ポンプ5、循環タンク7、撹拌
機12、空気吹き込み装置11、ミストエリミネータ1
3、吸収液抜き出し管14、CaCO3供給管8および
Ca(OH)2供給管9等から構成される。本脱硫装置
の吸収液6中の塩化物の濃度は通常1%以下である。ス
プレーノズル4は水平方向に複数個、更に高さ方向に複
数段設置されている。また、撹拌機12および空気吹き
込み装置11は吸収塔1の下部の吸収液6が滞留する循
環タンク7に設置され、ミストエリミネータ13は吸収
塔本体1の最上部あるいは出口ダクト3内に設置され
る。
【0003】ボイラ17から排出される排ガスAは、G
GH16により140℃から100℃に冷却され、入口
ダクト2より吸収塔1に導入される。その後、さらに吸
収塔1の中で50℃まで冷却された排ガスAは吸収塔本
体1から出口ダクト3へ排出されるが、GGH16によ
り90℃まで加熱され、煙突19に導入される。この
間、循環タンク7の壁面に設けられた吸収液抜き出し管
14を通じてポンプ5から送られる吸収液6が、吸収塔
本体1内の複数のスプレーノズル4から噴霧され、吸収
液6と排ガスAの気液接触が行われる。このとき、吸収
液6は排ガスA中のSO2を選択的に吸収し、亜硫酸カ
ルシウムを生成する。亜硫酸カルシウムを生成した吸収
液6は循環タンク7に溜まり、撹拌機12によって撹拌
されながら、空気吹き込み装置11から供給される酸化
用空気Bにより吸収液6の中の亜硫酸カルシウムが酸化
されて石膏を生成する。吸収液6のpHを回復させるた
めに炭酸カルシウムCあるいは水酸化カルシウムDが供
給されるが、炭酸カルシウムCはCaCO3供給管8、
水酸化カルシウムDはCa(OH)2供給管9より循環
タンク7内の吸収液6に供給される。炭酸カルシウム
C、水酸化カルシウムDおよび石膏が共存する循環タン
ク7内の吸収液6の一部は、ポンプ5によって吸収液抜
き出し管14から再びスプレーノズル4に送られる。ま
た、スプレーノズル4から噴霧され、微粒化された吸収
液6のうち、液滴径の小さいものは排ガスAに同伴され
るが、吸収塔本体1の上部に設けられたミストエリミネ
ータ13によって回収される。上記従来技術の排煙脱硫
装置では GGH16が吸収塔1の原価コストのかなり
の割合を占めており、GGH16がコンパクト化できれ
ばコストの大幅な削減が可能となる。
【0004】従来の前記脱硫システムの出口ガスを高温
な状態で排出できればGGH16のコンパクト化が可能
である。そのためには、CaCl2、MgCl2およびM
gSO4のうち少なくとも1つを10重量%以上含む吸
収液6を用いた場合に生じる蒸気圧降下現象が有効に利
用できる。例えば、30重量%のCaCl2を含む吸収
液6を用いた場合、CaCl2無添加の場合と比較して
吸収液6の温度を50℃から約12℃上昇させることが
可能である。吸収液6の液温を上昇させることによりG
GH16による熱交換量が減少し、GGH16のコンパ
クト化が可能となる。
【0005】蒸気圧降下現象を利用して排ガス温度の低
下を抑制し、GGH16のコンパクト化を図るために以
下のことを特徴としている湿式排煙脱硫方式が提案され
ている(安藤淳平:”燃料転換とSOx・NOx対策技
術”p.84−86、プロジェクトニュース社)。図7
にCaCl2を含む吸収液6を用いた従来法の脱硫プロ
セスの系統を示す。図7に示す脱硫プロセスの吸収塔本
体1は図6の吸収塔本体1と同様に構成されるが、図6
の従来技術で脱硫剤としてCa(OH)2のみを用いる
のに対して図7のプロセスでは吸収塔へ二酸化硫黄(S
2)および酸素(O2)を含む排ガスを供給し、この排
ガスをCaCl2を含むCa(OH)2を溶解させスラリ
吸収液6と接触させることにより石膏(CaSO4・2
2O)を生成させるものである。
【0006】図7において排ガスAは、冷却除じん塔2
0で噴霧CaCl2溶液により冷却され、CaCl2溶液
は濃縮される。濃縮液は吸収塔本体1に入り水酸化カル
シウムDが添加され、吸収塔本体1内に噴霧されて吸収
塔本体1内に導入される排ガス中のSO2を吸収する。
ここで生成する亜硫酸カルシウムのスラリは、シックナ
ー21で母液の大部分と分離・濃縮された後、濃縮液は
中和槽22で硫酸Fと水が加えられて酸性になり、次い
で酸化塔23で酸化用空気Bにより酸化されて石膏を生
成し、遠心分離機24で石膏は分離回収される。
【0007】上記図7に示すプロセスでは、吸収液6
は、例えば30重量%のCaCl2を含み、pH回復用
に添加されるCa(OH)2でpHが6付近を維持でき
るので90%以上の脱硫率が得られる。しかし、一般的
な湿式排煙脱硫装置で用いられている炭酸カルシウムよ
りも水酸化カルシウムは値段が高く経済的でない。ま
た、本発明者らが検討したところ、水酸化カルシウムの
代わりに炭酸カルシウムを用いた場合、CaCl2濃度
が高くなると吸収液6中のCa2+濃度が増加するために
炭酸カルシウムの溶解速度が低下し、吸収液6のpHが
低下するために排ガスの脱硫率も低下するということが
判明した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】CaCl2、MgCl2
およびMgSO4のうち少なくとも1つを10重量%以
上含む吸収液を用いた従来技術の排煙脱硫プロセスでは
吸収液のpH回復用にCaCO3を用いた場合は溶解速
度が小さく、吸収液のpHが低下し、排ガス脱硫率が低
下する。また、CaCO3の代わりに吸収液のpH回復
用にCa(OH)2を用いた場合はpHは高くなり、高
い脱硫率が得られるが経済的ではない。
【0009】本発明の課題は、上記問題点を解決し、脱
硫システムの出口処理ガスを高温の状態で排出して、G
GHのコンパクト化を可能とする、経済的でかつ高い脱
硫性能を達成するための湿式排煙脱硫方法と装置を提案
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、
(a)硫黄酸化物と接触させた吸収液のpHを炭酸カル
シウムを用いて回復させた後、水酸化カルシウムを用い
てpHをさらに高くすること、(b)吸収液に有機酸あ
るいはその塩を添加すること、好ましくはさらに上記
(a)および(b)を組み合わせることにより達成され
る。
【0011】すなわち、本発明は次の構成からなる。 (1)ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガスと溶解
性の塩を10重量%以上含む吸収液を接触させることに
より排ガス中の硫黄酸化物を処理する湿式排煙脱硫方法
において、排ガスと接触させた吸収液を相対的に溶解度
の低い脱硫剤で中和させた後、さらに相対的に溶解度に
高い脱硫剤で該吸収液のpHをより高くすることを特徴
とする湿式排煙脱硫方法。 (2)ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガスと溶解
性の塩を10重量%以上含む吸収液を接触させることに
より排ガス中の硫黄酸化物を処理する湿式排煙脱硫方法
において、吸収液中に有機酸あるいはその金属塩を含む
ことを特徴とする湿式排煙脱硫方法。 (3)ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガスと溶解
性の塩を10重量%以上含む吸収液を接触させることに
より排ガス中の硫黄酸化物を処理する湿式排煙脱硫方法
において、吸収液中に有機酸塩あるいはその金属塩を含
み、硫黄酸化物と接触させた吸収液のpHを相対的に溶
解度の低い脱硫剤で回復させた後、さらに相対的溶解度
の高い脱硫剤でpHをより高くすることを特徴とする湿
式排煙脱硫方法。 上記相対的に溶解度の低い脱硫剤として炭酸カルシウ
ム、相対的に溶解度の高い脱硫剤として水酸化カルシウ
ムを用いることができる。
【0012】また、本発明には次の構成も含まれる。す
なわち、ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガスと溶
解性の塩を10重量%以上含む吸収液を吸収塔内で接触
させ、排ガス中の硫黄酸化物を循環タンクに回収した
後、循環タンクから吸収液抜き出し管より抜き出し再び
吸収塔に供給する湿式排煙脱硫装置において、相対的に
溶解度の低い脱硫剤を循環タンクに供給する装置と、相
対的に溶解度の高い脱硫剤を循環タンク出口および吸収
液抜き出し管のうち少なくとも1つへ供給する装置とを
備えたことを特徴とする湿式排煙脱硫装置である。
【0013】
【作用】ボイラから排出される排ガス中のSO2が吸収
液に吸収され、(1)式に示すように亜硫酸を生成す
る。さらに(2)式に示すように亜硫酸は空気により酸
化され硫酸を生成する。これにより、水中の水素イオン
(H+)濃度が一時的に増加するが、CaCO3を用いて
(3)式に示すようにpHを4.5付近まで回復させ
る。CaCO3は炭酸塩でかつ(3)式に示すようにH+
と反応してCa2+が溶出するために、高Ca2+濃度の吸
収液への溶解性が悪くなるためにpHを4.5以上回復
させることは困難である。そこで、CaCO3を用いて
pHを4〜4.5程度に回復させた後に、CaCO3
りも溶解性の高い水酸化物であるCa(OH)2を用い
て(4)式のようにpHを5.5〜6.0まで上げる。
例えば、気液比(吸収液と排ガスの比率(L/m
3N)、以下L/Gと記する)が10、ボイラから排出
された排ガス中のSO2が1,000ppm、脱硫装置
出口のSO2濃度が100ppm(脱硫率90%)の場
合、脱硫剤の2段階添加法では、添加CaCO3とCa
(OH)2との重量比は約130:1となる。 (吸収反応) H2O+SO2=H2SO3 (1) (酸化反応) H2SO3+1/2O2=H2SO4=2H++SO4 2- (2) (H+とCaCO3との反応) CaCO3+2H+=Ca2++H2O+CO2↑ (3) (H+とCa(OH)2との反応) Ca(OH)2+2H+=Ca2++2H2O (4) この方法に有機酸(RCOOH、−R:アルキル基)を
添加した場合を下記に記す。
【0014】有機酸を添加した場合も無添加の場合と同
様に、吸収液はSO2を吸収して硫酸を生成する。さら
に亜硫酸は酸化されて酸を生成する。これにより、水中
の水素イオン(H+)濃度が一時的に増加(吸収液のp
Hが低下)するが、(5)式に示した通り、COO-
+が結合して吸収液中のH+を低下(pHを増加)させ
る。このRCOOHは(6)式で示すようにCaCO3
あるいはCa(OH)2と反応して再度RCOO-とな
る。吸収液中のCa2+とSO4 2-濃度が飽和溶解度以上
になると(8)式に示したように石膏(CaSO4・2
2O)が晶析する。有機酸を添加することにより高塩
濃度溶液においても(5)式によりSO2の吸収により
生じたH+が吸収されやすくなるのでSO2の吸収反応が
進むことになる。全体の反応は(9)、(10)式で表
され、有機酸は分解や蒸発分および石膏の付着水中に溶
解している分以外は消費されない。 (有機酸塩による中和)2RCOO-+2H+=2RCOOH (5) (CaCO3あるいはCa(OH)2と有機酸の反応) 2RCOOH+CaCO3=2RCOO-+H2O+Ca2++CO2 (6) 2RCOOH+Ca(OH)2=2RCOO-+2H2O (7) (石膏の晶析反応)Ca2++SO4 2-+2H2O=CaSO4・2H2O (8) (全体の反応)2H2O+SO2+1/2O2+CaCO3 =CaSO4・2H2O+CO2 (9) H2O+SO2+1/2O2+Ca(OH)2 =CaSO4・2H2O (10)
【発明の実施の形態】本発明は、下記の実施例によっ
て、さらに詳細に説明されるが、下記の例で制限される
ものではない。図1〜図5に本発明による実施例を示
す。 実施例1 図1に本実施例を示す。本実施例は、吸収塔本体1、入
口ダクト2、出口ダクト3、スプレーノズル4、ポンプ
5、循環タンク7、撹拌機12、空気吹き込み装置1
1、ミストエリミネータ13、吸収液抜き出し管14、
CaCO3供給管8、Ca(OH)2供給管9、脱水機2
5および濾過水抜き出し管26等から構成される。
【0015】スプレーノズル4は水平方向に複数個、更
に高さ方向に複数段設置されている。また、撹拌機12
および空気吹き込み装置11は吸収塔1の下部の吸収液
6が滞留する循環タンク7に設置され、ミストエリミネ
ータ13は吸収塔1の最上部あるいは出口ダクト内に設
置される。ボイラから排出される排ガスAは、入口ダク
ト2より吸収塔1に導入され、出口ダクト3より排出さ
れる。この間、吸収塔1には吸収液抜き出し管14を通
じてポンプ5から送られる吸収液6が複数のスプレーノ
ズル4から噴霧され、吸収液6と排ガスAの気液接触が
行われる。このとき吸収液6は排ガスA中のSO2を選
択的に吸収し、亜硫酸カルシウムを生成する。亜硫酸カ
ルシウムを生成した吸収液6は循環タンク7に溜まり、
撹拌機12によって撹拌されながら、空気吹き込み装置
11から供給される酸化用空気Bにより吸収液6中の亜
硫酸カルシウムが酸化され石膏を生成する。排ガスA中
には僅かながら塩素が含まれており吸収液6中に蓄積さ
れるが、濾過水抜き出し管26から塩素イオンを含む濾
過水を抜き出し、工業用水補給管27から工業用水Iを
補給することにより吸収液6中の塩素濃度を所定の範囲
に維持することができる。
【0016】炭酸カルシウムCはCaCO3供給管8よ
り循環タンク7内の吸収液6に添加し、吸収液6のpH
を回復させる。その後、仕切板10を通った吸収液6は
循環タンク7の出口でCa(OH)2供給管9から供給
された水酸化カルシウムDにより中和され、さらにpH
が高くなる。この仕切板10により吸収液6の逆流を防
ぐことができる。
【0017】炭酸カルシウムC、水酸化カルシウムDお
よび石膏Hが共存する循環タンク7内の吸収液6の一部
は、ポンプ5によって吸収液抜き出し管14から再びス
プレーノズル4に送られる。また、スプレーノズル4か
ら噴霧され、微粒化された吸収液6のうち、液滴径の小
さいものは排ガスAに同伴されるが、吸収塔1の上部に
設けられたミストエリミネータ13に回収される。
【0018】上記のように2段階で炭酸カルシウムCお
よび水酸化カルシウムDを添加する場合、炭酸カルシウ
ムCを用いてpHを2.1から4.5まで回復させるた
めに必要な添加量は循環する吸収液1m3当たり200
gであり、その後、水酸化カルシウムDを用いてpHを
4.5から6まで回復させるために必要な添加量は循環
する吸収液1m3当たり2gである。この場合、高価な
水酸化カルシウムDの添加量は下記比較例1に比べて約
1%となり経済的である。
【0019】比較例1 図6に従来法の吸収塔本体1の系統を示す。CaC
2、MgCl2およびMgSO4のうち、少なくとも1
つを10重量%以上を含む吸収液6を用いておらず、脱
硫剤として炭酸カルシウムCあるいは水酸化カルシウム
Dを用いられ、それぞれ、吸収液6のpHが5.5にな
るようにCaCO3供給管8、Ca(OH)2供給管から
吸収液6に供給される。
【0020】例えば、炭酸カルシウムCを添加した場
合、該系統の吸収液に30重量%のCaCl2を含む吸
収液6を用いると、pHは4.5付近までしか回復せ
ず、脱硫率(65%)も低い。L/Gが10、ボイラか
ら排出された排出された排ガスA中のSO2が1,00
0ppm、脱硫率が65%の条件下で必要とされる炭酸
カルシウムCの添加量は吸収液1m3当たり145gで
ある。一方、炭酸カルシウムCと比較して高価な水酸化
カルシウムDを添加した場合、90%以上の脱硫率が得
られる。L/Gが10、ボイラから排出された排ガスA
中のSO2が1,000ppm、脱硫率が90%の条件
下でpHを5.5まで回復させるために必要とされる水
酸化カルシウムDの添加量は吸収液1m3当たり149
gである。
【0021】実施例2 図2に本実施例を示す。実施例1の吸収塔本体1と同様
に構成されるが、本実施例では水酸化カルシウムDを循
環タンク7の出口ではなく、吸収液抜き出し管14へ供
給する。水酸化カルシウムDを循環タンク7の出口では
なく吸収液抜き出し管14へ供給することにより循環タ
ンク7のコンパクト化が可能となる。
【0022】実施例3 図3に本実施例を示す。本実施例に示す吸収塔本体1に
はCa(OH)2供給管9を設けない。ボイラから排出
される排ガスAは、入口ダクト2より吸収塔1に導入さ
れ、出口ダクト3より排出される。この間、吸収塔1に
はポンプ5から送られる吸収液6が複数のスプレーノズ
ル4から噴霧され、吸収液6と排ガスAの気液接触が行
われる。このとき、吸収液6は排ガスA中のSO2を選
択的に吸収し、亜硫酸を生成する。さらに亜硫酸は酸化
されて硫酸を生成する。これにより、水中のH+濃度が
一時的に増加(吸収液6のpHが低下)するが、有機酸
供給管15から所定の濃度になるように供給された有機
酸EとH+が結合して吸収液6中のH+を低下(pHを増
加)させる。硫酸イオンは吸収液6中のCa2+と反応
し、石膏を生成する。石灰石CをCaCO3供給管8よ
り循環タンク7内の吸収液6に添加する。その後、炭酸
カルシウムC、有機酸Eおよび石膏Hが共存する循環タ
ンク7内の吸収液6の一部は、ポンプ5によって吸収液
抜き出し管14から再びスプレーノズル4に送られる。
【0023】本実施例に基づく吸収液6を用いて脱硫実
験を行った。ただし、循環タンク7内部の石灰石量によ
り循環タンク7の出口での吸収液6のpHを4.5に調
整した。表1に一定のL/Gにおける脱硫剤(吸収液中
では、CaCl2はCa2+とCl-のイオンの形で存在す
る。Ca2+は脱硫剤等から供給され、排ガス中に含まれ
ているCl-から供給される。)と有機酸濃度との関係
を示す。用いた有機酸ナトリウム(ギ酸ナトリウム、酢
酸ナトリウム、コハク酸ナトリウムおよび酒石酸ナトリ
ウム)では添加効果がみられ、各種有機酸ナトリウムの
濃度が高くなるほど同一L/Gでの脱硫率が高くなっ
た。循環タンク7出口での吸収液6のpHが有機酸Eの
酸解離定数pKaより高くなると、有機酸EからH+
放出されpHが低下するため脱硫率が低下する。しか
し、有機酸EはSO2の吸収反応で生じるH+をトラップ
するためにある程度アニオンの状態で存在する必要があ
る。従来技術と比較して低いpHにおいて高い脱硫性能
が得られる。
【表1】
【0024】実施例4 図4に本実施例を示す。実施例1に示した吸収塔本体1
に有機酸Eを供給する有機酸供給管15を追加したもの
である。本実施例では循環タンク7中の吸収液6に有機
酸Eが所定の濃度になるように有機酸供給管15から供
給される。この間、吸収塔1にはポンプ5から送られる
吸収液6が複数のスプレーノズル4から噴霧され、吸収
液6と排ガスAの気液接触が行われる。このとき、吸収
液6は排ガスA中のSO2を選択的に吸収し、亜硫酸を
生成する。さらに亜硫酸は酸化されて硫酸を生成する。
これにより、水中のH+濃度が一時的に増加(吸収液6
のpHが低下)するが、有機酸供給管15供給された有
機酸EとH+が結合して吸収液6中のH+を低下(pHを
増加)させる。その後、仕切板10を通って循環タンク
7の出口でCa(OH)2供給管9から供給された水酸
化カルシウムDにより中和され、さらにpHを高くす
る。この仕切板10により吸収液6の逆流を防ぐことが
できる。炭酸カルシウムC、水酸化カルシウムD、有機
酸Eおよび石膏Hが共存する循環タンク7内の吸収液6
の一部は、ポンプ5によって吸収液抜き出し管14から
再びスプレーノズル4に送られる。
【0025】実施例5 図5に本実施例を示す。実施例2に示した吸収塔本体1
に有機酸供給管15を追加したものである。本実施例で
は、有機酸Eの添加方法は実施例4と同じである。実施
例4、5ともに、pHが5.5に維持され、かつ有機酸
Eあるいはそのナトリウム塩を添加するために脱硫率が
高い。実施例3の有機酸ナトリウムの添加量の1/10
で実施例3の場合と同じ脱硫性能が得られる。上記実施
例は吸収塔1の下部から排ガスAを導入し、上部から排
出する構造で、かつスプレー方式を用いて吸収液6を排
ガスAと向流接触させる吸収塔本体1についての実施例
であるが、本発明法は排ガスAと吸収液6を並流接触さ
せる吸収塔1および濡れ壁方式、バブリング方式等の脱
硫方法にも有効である。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、コストが高いCa(O
H)2だけを用いる方法よりも経済的であり、高い脱硫
性能が得られる。高濃度の塩を含む吸収液を用いること
により蒸気圧効果現象が生じ、塩を含んでない吸収液の
場合と同じ蒸気圧で吸収液の液温を高めてGGHによる
熱交換量を減少させ、GGHのコンパクト化が可能であ
る。例えば、ガス温度によって異なるが30重量%のC
aCl2を用いることによりGGHの伝熱面積が従来法
に比べて20%から50%低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるCaCO3およびCa(OH)2
を2段階で供給する方法の実施例の脱硫プロセス図であ
る。CaCO3は循環タンク内に供給するが、Ca(O
H)2をタンク出口に供給するものである。
【図2】 本発明によるCaCO3およびCa(OH)2
を2段階で供給する方法の実施例の脱硫プロセス図であ
る。Ca(OH)2を吸収液抜き出し管に供給するもの
である。
【図3】 従来技術であるCaCO3を用いた場合に本
発明による有機酸を添加した湿式脱硫装置の系統図であ
る。
【図4】 有機酸を含む吸収液6にCaCO3およびC
a(OH)2を2段階で供給する方法の本発明の実施例
の脱硫プロセス図である。
【図5】 有機酸を含む吸収液6にCaCO3およびC
a(OH)2を2段階で供給する方法の本発明の実施例
の脱硫プロセス図である。
【図6】 従来技術におけるCaCO3あるいはCa
(OH)2の供給方法に関する系統図である。
【図7】 CaCl2を添加した従来技術の脱硫プロセ
スの系統図である。
【符号の説明】
1、吸収塔 2、入口ダクト 3、出口ダクト 4、スプレーノズル 5、ポンプ 6、吸収液スラリ 7、循環タンク 8、炭酸カルシウム供
給管 9、水酸化カルシウム 10、仕切板 11、空気吹き込み装置 12、撹拌機 13、ミストエリミネータ 14、吸収液抜き出し
管 15、有機酸供給管 16、ガスガスヒータ 17、ボイラ 18、電気集塵機 19、煙突 20、冷却除じん塔 21、シックナー 22、中和槽 23、酸化塔 24、遠心分離機 25、脱水機 26、塩素抜き出し管 27、工業用水補給管 A、排ガス B、酸化用空気 C、炭酸カルシウム D、水酸化カルシウム E、有機酸あるいはそのナトリウム塩 F、硫酸 G、水 H、石膏 I、工業用水
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高本 成仁 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 山本 学 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガ
    スと溶解性の塩を10重量%以上含む吸収液を接触させ
    ることにより排ガス中の硫黄酸化物を処理する湿式排煙
    脱硫方法において、 排ガスと接触させた吸収液を相対的に溶解度の低い脱硫
    剤で中和させた後、さらに相対的に溶解度に高い脱硫剤
    で該吸収液のpHをより高くすることを特徴とする湿式
    排煙脱硫方法。
  2. 【請求項2】 相対的に溶解度の低い脱硫剤として炭酸
    カルシウム、相対的に溶解度の高い脱硫剤として水酸化
    カルシウムを用いることを特徴とする請求項1記載の湿
    式排煙脱硫方法。
  3. 【請求項3】 ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガ
    スと溶解性の塩を10重量%以上含む吸収液を接触させ
    ることにより排ガス中の硫黄酸化物を処理する湿式排煙
    脱硫方法において、 吸収液中に有機酸あるいはその金属塩を含むことを特徴
    とする湿式排煙脱硫方法。
  4. 【請求項4】 ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガ
    スと溶解性の塩を10重量%以上含む吸収液を接触させ
    ることにより排ガス中の硫黄酸化物を処理する湿式排煙
    脱硫方法において、 吸収液中に有機酸塩あるいはその金属塩を含み、硫黄酸
    化物と接触させた吸収液のpHを相対的に溶解度の低い
    脱硫剤で回復させた後、さらに相対的溶解度の高い脱硫
    剤でpHをより高くすることを特徴とする湿式排煙脱硫
    方法。
  5. 【請求項5】 ボイラ等の燃焼装置から排出される排ガ
    スと溶解性の塩を10重量%以上含む吸収液を吸収塔内
    で接触させ、排ガス中の硫黄酸化物を循環タンクに回収
    した後、循環タンクから吸収液抜き出し管より抜き出
    し、再び吸収塔に供給する湿式排煙脱硫装置において、 相対的に溶解度の低い脱硫剤を循環タンクに供給する装
    置と、相対的に溶解度の高い脱硫剤を循環タンク出口お
    よび吸収液抜き出し管のうち少なくともいずれかへ供給
    する装置とを備えたことを特徴とする湿式排煙脱硫装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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