JPH10216169A

JPH10216169A - 冷感冷却シート

Info

Publication number: JPH10216169A
Application number: JP3699997A
Authority: JP
Inventors: Takao Maruoka; 孝雄丸岡
Original assignee: KANAE KAGAWA KK
Current assignee: KANAE KAGAWA KK
Priority date: 1997-02-05
Filing date: 1997-02-05
Publication date: 1998-08-18

Abstract

(57)【要約】【課題】持続性に富む冷却効果を有する冷感冷却シー
トを提供する。【解決手段】基材１１と、保水蒸発材１２を積層また
は混合した保水蒸発材層１と、アンカー層３と、親水性
粘着剤層４と、剥離材層５とをその順に積層している。
基材１１が疎水性で蒸発表面積が確保でき柔軟性のある
材料であり、保水蒸発材１２が親水性で保水性がよく水
との結合が弱い材料である。保水蒸発材層１に用時に水
を含ませて患部に当てると、保水した水分が蒸発してな
くなるまで冷却が行えるので、長時間持続して冷却でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は冷感冷却シートに関
する。さらに詳しくは、用時に水を含ませて患部に貼付
し、熱さましに使用する医療用品またはリフレッシュ用
としての冷感冷却シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】現在、冷感冷却シートとして市販されて
いるものは、不織布等を用いた保水性のシートに水等を
含水させて密封包装したもの（従来例Ｉ）や、親水性の
ゲル基剤を不織布等に塗工したもの（従来例II）等があ
る。これらは発熱時等に使用すると、皮膚接触面におい
て、その局部の熱を吸収し、皮膚反対面から放熱するも
のである。これらが人体を冷却する物理的原理は、ゲル
および含有水が接触皮膚面の温度と等しくなるまでに要
する熱量および含有水分の蒸発潜熱に相当する熱量を放
出することによる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来例Ｉの保
水シートは皮膚への密着性が悪く、受熱面積が皮膚局部
に対して安定して充分に得ることは難しいので、冷却効
果に乏しく、また、皮膚反対面および一部両面から水分
が蒸発してすぐ乾くので冷却効果が持続しないという欠
点がある。従来例IIは、皮膚表面温度付近で平衡に達す
る水分含量は高く、したがって、ゲルからの水分の蒸
発、これに伴う潜熱はわずかであり、これも冷却効果の
面では乏しく、持続性には欠ける。さらに水分が蒸発し
にくいことから、貼付後しばらく時間が経過すると逆に
温かくなり、冷感冷却シートの役目を果せなくなる。

【０００４】本発明はかかる事情に鑑み、冷却効果の持
続性に富む冷感冷却シートを提供することを目的とす
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１の冷感冷却シー
トは、保水蒸発材層と、親水性粘着剤層と、剥離材層と
をその順に積層したことを特徴とする。請求項２の冷感
冷却シートは、前記保水蒸発材層と前記親水性粘着剤層
との間にアンカー層を配置したことを特徴とする。請求
項３の冷感冷却シートは、前記保水蒸発材層が基材を除
いたものである。請求項４の冷感冷却シートは、前記保
水蒸発材層を構成する基材が疎水性で蒸発表面積が確保
でき柔軟性のある材料であり、保水蒸発材が親水性で保
水性がよく水との結合が弱い材料であることを特徴とす
る。請求項５の冷感冷却シートは、前記保水蒸発材層
が、保水蒸発材と基材を積層したものである。請求項６
の冷感冷却シートは、前記保水蒸発材層が保水蒸発材と
基材を混合したものである。請求項７の冷感冷却シート
は、前記基材または基材とアンカー層によって前記保水
蒸発材の端縁の一部または全部を包囲したことを特徴と
する。請求項８の冷感冷却シートは、前記親水性粘着剤
層および剥離材層が前記保水蒸発材層の一部分に積層さ
れている。

【０００６】

【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施形態を図面
に基づき説明する。図１は本発明の第１実施形態に係る
冷感冷却シートＡの断面図、図２は本発明の第２実施形
態に係る冷感冷却シートＢの断面図、図３は本発明の第
３実施形態に係る冷感冷却シートＣの断面図、図４は保
水蒸発材層１の一例の断面図、図５は保水蒸発材層１の
他の例の断面図、図６は保水蒸発材層１のさらに他の例
の断面図、図７は本発明の他の実施形態に係る冷感冷却
シートの断面図である。

【０００７】図１に示すように、第１実施形態の冷感冷
却シートＡは、保水蒸発材層１と、親水性粘着剤層４
と、剥離材層５とを、その順に積層したことを特徴とす
る。前記保水蒸発材層１は基材１１を外側にし保水蒸発
材１２を内側にして積層したものである。図１の実施形
態では保水蒸発材１２と親水性粘着材層４が直接接触し
ているが、図２の実施形態のようにアンカー層３を保水
蒸発材１２と親水性粘着剤層４の間に入れ、アンカー層
３によって保水蒸発材層１を保持するようにしてもよ
い。図１〜２に示すように、保水蒸発材層１は基材１１
を有するのが原則的構成であるが、アンカー層３を有す
る場合は図３の実施形態のように基材１１を除いてもよ
い。この場合、アンカー層３によって、保水蒸発材１２
が固定されるので、基材１１が無くても、冷感冷却シー
ト１としての形状を保ち機能を果すことができるからで
ある。

【０００８】前記保水蒸発材層１は基材１１と保水蒸発
材１２を積層したものでもよく、両者を混合した層とし
てもよい。積層構造の場合も図１〜２に示すように、基
材１１と保水蒸発材１２の２層構造でもよく、図４に示
すような基材１１・保水蒸発材１２・基材１１の３層構
造でもよい。また、上記に限らず種々の積層構造を任意
に採用することができる。混合構造の場合も、図５に示
すように、基材１１と保水蒸発材１２を混合して一層に
形成したものでもよく、図６に示すように、基材１１と
保水蒸発材１２の混合割合を変えた別の層１ａ、１ｂを
用い、これらを積層してもよい。また上記に限らず種々
の混合構造を任意に採用することができる。さらに積層
タイプの基材１１または保水蒸発材１２と混合タイプの
保水蒸発材層を積層して用いてもよい。

【０００９】前記保水蒸発材層１を構成する基材として
は、疎水性で繊維状、多孔質または発泡状など、蒸発表
面積が確保でき、さらに柔軟なものがよい。例えば、ポ
リエステル、ポリプロピレン等の不織布、織布等が好適
である。

【００１０】前記保水蒸発材層１を構成する保水蒸発材
としては、親水性で保水性がよく、水との結合が弱いも
のがよい。保水された水の状態は自由水がもっとも好ま
しく、弱い結合状態である中間水とよばれるものも若干
許容される。しかし、結合水とよばれる状態は好ましく
なく、不適である。このような保水蒸発材としては、例
えば、セルロース、パルプ、紙、綿等の粉末・細片・繊
維状片・シート等がある。

【００１１】前記親水性粘着剤層４には、保湿剤、清涼
剤、防腐剤、香料等を適宜加えてもよい。前記アンカー
層３としては各種不織布、織布を適宜用いることができ
る。

【００１２】前記親水性粘着剤層４を構成する粘着剤と
してはポリアクリル酸および塩類、ＣＭＣおよび塩類、
ポリビニールアルコール等の合成、半合成粘着剤、ゼラ
チン、アルギン酸ナトリウム等の天然粘着剤が使用され
る。前記剥離材層５を構成する剥離材としては、剥離フ
ィルムなど離型処理を施してあり、かつ耐水性のものが
好ましい。外袋６は、冷感冷却シートＡを密封し、水分
の蒸発を防止できるものであればどのようなものを用い
てもよい。

【００１３】本発明の冷感冷却シートＡは、図１〜３に
示すように、保水蒸発材層１、アンカー層３、親水性粘
着剤層４および剥離材層５は、同一形状のものを積層し
てもよいが、この形に限られず任意の形状を採用しう
る。

【００１４】例えば、図７の実施形態では、基材１１を
袋とじするか、または基材１１とアンカー層３を袋とじ
して保水蒸発材１２の端縁の一部を包囲しているが、こ
のようにすると、保水蒸発材１２を構成する粉末等の脱
落を防止しやすくなる。同様の趣旨で端縁の全周を包囲
するようにしてもよい。

【００１５】また、親水性粘着剤層４と剥離材層５は保
水蒸発材層１の全面に貼付しなくても、図７に示すよう
に部分的に貼付してもよい。この場合、使用時に固定感
がなく柔軟性が生じるので、使用感が向上する。

【００１６】上記の各実施形態の冷感冷却シートＡ、
Ｂ、Ｃでは、保水蒸発材層１に用時に水分を含ませる
と、その後しばらくの間、水分を保水できることから、
水分の蒸発潜熱による冷却が行え、この効果は水分が蒸
発して無くなるまで続くので、長時間冷却効果を奏する
ことができる。

【００１７】

【実施例】つぎに、下記実施例についての冷却実験を説
明する。実施例１基材１１：ＰＥＴとＰＰを混合した不織布（５０
g/m ²）保水蒸発材１２：綿（５０g/m ²）アンカー層３：ＰＰの不織布（５０g/m ²）粘着剤層４：親水性高分子ゲル粘着剤1000g/m ²）
（清涼剤としてメントール配合）剥離材層５：ＰＥＴシリコン加工のフィルム上記により蒸発材層１１とアンカー層３により、袋構造
とし、保水蒸発材１２を内蔵するもので、さらに親水性
粘着剤層４および剥離材層５は保水蒸発材層１の全面に
積層した。

【００１８】従来技術Ｉ、IIに対応するつぎの比較例
１、２を用意した。比較例１（従来例Ｉの具体例）レーヨン 100％（目付 100ｇ／ｍ²）不織布で、サイズ
６０mm× 165mmであり、これに水・パラベン・プロピレ
ングリコール等を含有させた。比較例２（従来例IIの具体例）親水性高分子によるゲル基剤で、サイズは５５mm× 120
mm、レーヨン等不織布を支持体とし、ゲル量は約1500ｇ
／ｍ²である（清涼剤としてメントール配合）。

【００１９】試験方法：試験片サイズ５５×６０mmのも
のを人前頭部額片側に貼付し、皮膚表面温度を表面セン
サー付温度計（安立計器製ＨＦＴ５８）で測定した。測
定個所は実施例および比較例の貼付部位の中央部および
片側反対面の前記に相当する部位である。冷却効果：上記温度差（貼付部位−非貼付部位）を指標
とする。

【００２０】試験結果は下記のとおりであった。 ──────────────────────────────────── 実施例１比較例１比較例２ ──────────────────────────────────── 冷却効果約４〜５℃が約４〜５℃が約２℃、３０分位５時間以上３０分位持続持続、その後は逆持続する。した後、徐々にに上昇し、−１〜乾燥し、１時間位 −２℃となったで効果ほとんど（このことは、なくなった。冷却せずに、逆に保温することを意味している）。 ──────────────────────────────────── 考察水の蒸発に伴う持続性がなく、持続性がなく、涼感が得られ、脱落しやすく、メントールが配合脱落もなく使用感は悪い。されていれば、そ使用感もよい。の冷感は感じるもメントールの冷のの、頭部におい感もある。ては温度上昇に伴う不快感があり、涼感は全くなく、使用感は悪い。 ────────────────────────────────────

【００２１】

【発明の効果】本発明によれば、用時に水を含ませて使
用すれば、涼感が長時間持続して得られ、脱落も生じ
ず、使用感も良好な冷感冷却シートが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態に係る冷感冷却シートＡ
の断面図である。

【図２】本発明の第２実施形態に係る冷感冷却シートＢ
の断面図である。

【図３】第３実施形態に係る冷感冷却シートＣの断面図
である。

【図４】保水蒸発材層１の一例の断面図である。

【図５】保水蒸発材層１の他の例の断面図である。

【図６】保水蒸発材層１のさらに他の例の断面図であ
る。

【図７】本発明の他の実施形態に係る冷感冷却シートの
断面図である。

【符号の説明】

１保水蒸発材層３アンカー層４親水性粘着剤層５剥離材層１１基材１２保水蒸発材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】保水蒸発材層と、親水性粘着剤層と、剥離
材層とをその順に積層したことを特徴とする冷感冷却シ
ート。
【請求項２】前記保水蒸発材層と前記親水性粘着剤層と
の間にアンカー層を配置したことを特徴とする請求項１
記載の冷感冷却シート。
【請求項３】前記保水蒸発材層が基材を除いたものであ
る請求項２記載の冷感冷却シート。
【請求項４】前記保水蒸発材層を構成する基材が疎水性
で蒸発表面積が確保でき柔軟性のある材料であり、保水
蒸発材が親水性で保水性がよく水との結合が弱い材料で
あることを特徴とする請求項１または２記載の冷感冷却
シート。
【請求項５】前記保水蒸発材層が、保水蒸発材と基材を
積層したものである請求項１、２または４記載の冷感冷
却シート。
【請求項６】前記保水蒸発材層が保水蒸発材と基材を混
合したものである請求項１、２または４記載の冷感冷却
シート。
【請求項７】前記基材または基材とアンカー層によって
前記保水蒸発材の端縁の一部または全部を包囲したこと
を特徴とする請求項５記載の冷感冷却シート。
【請求項８】前記親水性粘着剤層および剥離材層が前記
保水蒸発材層の一部分に積層されている請求項１または
２記載の冷感冷却シート。