JPH10215847A - 酒粕からのアルコール、エステルの回収方法 - Google Patents

酒粕からのアルコール、エステルの回収方法

Info

Publication number
JPH10215847A
JPH10215847A JP2397097A JP2397097A JPH10215847A JP H10215847 A JPH10215847 A JP H10215847A JP 2397097 A JP2397097 A JP 2397097A JP 2397097 A JP2397097 A JP 2397097A JP H10215847 A JPH10215847 A JP H10215847A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
sake
distillation
lees
slurry
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2397097A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobumitsu Morishita
順光 森下
Tsuneaki Irie
経明 入江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2397097A priority Critical patent/JPH10215847A/ja
Publication of JPH10215847A publication Critical patent/JPH10215847A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酒粕からエステル成分に富んだアルコールを
抽出する。 【解決手段】 酒粕と水を混合してスラリー状になし、
減圧蒸留する工程において、蒸留する装置として薄膜式
の蒸留装置を用いることを特徴とする、酒粕からのアル
コール、エステルの回収方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は酒粕内に含まれるア
ルコール、エステル類の回収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】清酒の製造工程において熟成したもろみ
を圧搾濾過して得られる副製品である酒粕には5〜15
%のアルコールの他に低沸点のエステル成分が未だかな
り多く残存している。従来はこれら成分を蒸留して粕取
り焼酎として販売されているが通常その製造方法として
は、酒粕に水を加えてスラリー化させ、さらに蒸留効率
を高めるために30℃で数日間再発酵させることにより
流動性とアルコール濃度を高めてから蒸留するか、ある
いは水を加えないで酒粕に籾ガラを混合させたものに直
接蒸気を通してアルコールを回収する方法が採用されて
いる。また他に例えば、特開平4−287676号公報
では、酒粕からのアルコール、エステル類の回収方法と
して酒粕を加熱した回転ドラム内に投入し減圧下でアル
コール、エステル類を蒸発させる方法を提案し、特開平
5−9300号公報では酒粕の減圧蒸留装置として減圧
下で電磁波によりアルコール、エステル類を蒸発させる
方法を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
従来の粕取り焼酎の製造法は次のような未解決の問題を
有する。すなわち、、水を加えて再発酵させる方法は再
発酵中にアルデヒド、フーゼル油、アミノ酸等が生成す
るため香味が変成し、また籾ガラを混入する場合には籾
ガラの臭いや焦げ臭が発生し蒸留回収するアルコール、
エステル類の品質が劣化しやすい。また特開平4−28
7676号公報や特開平5−9300号公報による方法
は酒粕の乾燥も目的しているため、被処理液と熱源との
接触時間が長くなり回収されるアルコールの品質が劣化
しやすいし、さらに装置が高価で大がかりなものとなら
ざるを得ない。
【0004】本発明の課題は、エステル成分を多く含む
アルコールを酒粕から回収する方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、酒粕と水を混合してスラリー状になし、減圧蒸留
すれば、エステル成分を多く含むアルコールを回収する
ことができることを見いだした。さらにこの工程におい
て、蒸留する装置として減圧状態の容器内の回転円錐上
にスラリー液を流下し、その遠心力により薄膜状になし
蒸気と向流させる方式の連続蒸留機を用いることで上記
課題を解決することができることを発見し、本発明を完
成させるに至った。
【0006】即ち、本発明は酒粕と水との混合スラリー
液を減圧状態で連続蒸留することにより該液の被加熱時
間を少なくして香味の変化を防ぎ、酢酸イソアミルやカ
プロン酸エチル等の低沸点エステル成分を多く含むアル
コールを回収する方法である。 本発明を遂行するにあ
たり、蒸留装置に供給する酒粕は一般の清酒もろみを熟
成させてしぼった時の酒粕をそのまま使用すれば良い
が、より多くのエステル成分を含むことを目的とした場
合にはもろみ熟成時に添加するアルコール量は少ない方
が好ましい。ここで、スラリー液とは、液分と固形分と
が実質的に均一に懸濁されており、上澄みができていな
いものをいう。
【0007】酒粕に加える水の量は、酒粕の等倍重量〜
5倍重量が好ましく、さらに好ましくは2倍重量〜4倍
重量である。酒粕に水を加えた後一定期間、好ましくは
一昼夜程度放置したのち、よく攪拌して均一スラリーと
し、減圧蒸留するとよい。ここでいう減圧蒸留とは大気
圧より低い圧力で液体あるいはスラリー液を適宜加温
し、揮発成分を蒸発せしめた後に冷却再凝結させて回収
する方法をいい、連続蒸留、回分式蒸留などがある。連
続蒸留とは減圧下で気液平衡状態になった容器内に定量
的に被処理液を連続投入して熱源と向流させることによ
り、揮発成分を蒸発せしめた後に冷却再凝結させて回収
する方法をいい、回分式蒸留とは密閉容器内の被処理液
を加熱し揮発成分を蒸発せしめた後に冷却再凝結させて
回収する方法をいう。中でも連続蒸留であると、エステ
ル成分が揮散して消失するのを防ぐことができるので好
ましい。減圧蒸留の際の圧力は3〜50キロパスカルが
好ましく、温度は30〜55度が好ましい。
【0008】減圧蒸留装置には既知の装置、例えば特開
昭58−129969号公報に記載の連続的に被処理液
および蒸気をカラム等に投入し、連続的に揮発成分を留
去させる類の装置や、薄膜式蒸留装置を用いることがで
きるが、薄膜式の蒸留装置を用いるとよい。薄膜式蒸留
とは、スラリーを薄膜状にし、蒸気と向流させることに
より蒸留する方法であり、例えば特開平7−22646
号公報に記載の、円筒のカラム容器内にカラム容器の長
さ方向に垂直な回転軸とその軸に結合した複数の円錐板
を有し、その円錐板の間にカラム内筒部に固定された複
数の円錐板が設置された内部構造を持つ蒸留装置であっ
て、カラム上部から被処理液を減圧状態を保持しながら
投入し、回転する円錐板上に流下させ遠心力により薄膜
状となし、カラム下部から上昇する蒸気と向流接触させ
得る構造を持つ気液向流接触装置を用いることができ
る。
【0009】以下に該気液向接触装置を用いた本発明の
アルコール、エステル類の抽出方法の一例を示す。酒粕
50重量部と水150重量部をよく混合して200重量
部のスラリー液を得る。スラリーの粘度は、斜度30度
の斜面を滑り落ちる粘度とするとよい。このスラリー液
のアルコール濃度は1.5〜4%である。このスラリー
液を適宜余熱し、減圧下で、好ましくは3〜50キロパ
スカルの圧力で、25〜65度の温度、好ましくは30
〜55度の温度で、留出比率3〜20%の条件下で蒸留
を行う。留出比率はスラリー液に対して投入する蒸気の
割合を3〜15%の範囲で増減することにより、設定す
ることができる。その結果6〜40重量部の蒸留画分が
得られる。得られる蒸留画分は処理前のスラリー液中の
エステル成分の30〜95%程度含有し、アルコール濃
度は7〜30%程度となる。蒸留後の残液にアルコール
分が残存する場合には再度この蒸留方法を用いても良い
し既知の蒸留方法にてアルコール分を回収しても良い。
【0010】このとき酢酸イソアミルやカプロン酸エチ
ル等のエステル成分を多く含むアルコールを回収したい
場合には留出比率を低くし、アルコールの回収効率を上
げたい場合には留出比率を高く設定すればよい。留出比
率を変えて2回以上の蒸留を行っても良い。以上の製造
法とすることにより、酢酸イソアミルやカプロン酸エチ
ル等のエステル成分を多く含んだアルコールを得ること
ができる。
【0011】なお得られたアルコールは好ましいエステ
ル成分を多く含み、異臭もなく、高品質であり、粕取り
焼酎として製品化したり、あるいは他の酒類やもろみや
食品類に添加剤として使用して品質を高めたりすること
ができる。蒸留残液もまた酒粕特有の臭いが除去されて
いるため新規食品資材として有用である。さらに酒粕か
らアルコールやエステル成分を回収する方法としては本
発明のような粘ちょう性の高いスラリー液を連続蒸留す
ることは文献未知の新規な方法であり、従来の方法に比
べエステル成分の変質が少なく、異臭の混入の少ない有
用な方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】ついで、本発明の実施例を挙げて
具体的に説明するが、本発明は何らこれによって制限さ
れるものではない。
【0013】
【実施例1】 (1)70%精白米(銘柄:あけぼの)を掛米として5
160kg、麹米として720kg、水7650L、酵
素剤スピターゼMK1.1kg、乳酸7490g、清酒
酵母として協会701号プレス酵母を3kg使用して、
留後16日まで発酵させ、留後16日目に40%アルコ
ールを1764L添加した。このようにして得られたも
ろみを圧搾濾過したところ、アルコール分19.3%の
清酒が13965Lとアルコール分14.0%の酒粕1
646kgが得られた。 (2)こうして得られた酒粕のうち100kgを水30
0Lと混合し一昼夜室温で放置した。翌日よく混合し、
均一なスラリー液400kgを得た。このスラリー液の
アルコール濃度を分析したところ、3.5%であった。
このスラリー液を約36℃に余熱したのちフレバーテッ
ク社製気液向流接触装置「スピニングコーンカラム モ
デル1000」のカラム上部から毎時200kgの速度
で投入した。
【0014】(3)このときカラム内の回転円錐を毎分
700回転の速度で回転させ、カラム内圧を3.5キロ
パスカルに設定した。この状態のカラムに対し、カラム
下部より100℃の水蒸気を毎時12kgの速度で投入
した。 (4)以上の条件にてこの装置を運転すると、カラム上
部温度約38℃、カラム下部温度約40℃で気液平衡の
定常状態となり、カラム上部よりエステル成分を多く含
んだアルコールが気化して留出したのでその気体をマイ
ナス3℃の不凍液を循環させているコンデンサーにて冷
却凝結させて回収したところ毎時17Lの速度で総量3
4Lの蒸留画分が回収できた。この蒸留画分のアルコー
ル濃度を分析したところ、27.4%であった。 (5)カラム上部から回収されなかった成分はカラム下
部より蒸留残液として毎時197kgの速度で総量39
0kg排出された。この蒸留残液のアルコール濃度を分
析したところ、1.1%であった。各香気成分の分析値
を示す。香気成分はヘッドスペースガスクロマトグラフ
法により求めた。各欄下部< >内は処理前スラリーに
含まれる香気成分の重量を100としたときの割合であ
る。
【0015】
【表1】
【0016】
【実施例2】実施例1の(2)と同様にして製造したス
ラリー液10kgを40℃に余熱した後、圧力10キロ
パスカル、品温41.3℃の条件で東京理化製回分式減
圧蒸留機(ロータリーエバポレーターNE21型)を用
いて減圧蒸留したところアルコール濃度17.9%の蒸
留画分が1.7L得られた。実施例1と同様に各香気成
分を分析した結果を表2に示す。処理前のスラリーには
実施例1と同一のものを使用した。
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】本発明により、酢酸イソアミルやカプロ
ン酸エチル等のエステル成分を多く含んだアルコールを
酒粕から製造することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酒粕と水を混合してスラリー状になし、
    減圧蒸留することを特徴とする、酒粕からのアルコー
    ル、エステル類の回収方法。
  2. 【請求項2】 減圧蒸留を薄膜式の蒸留装置で行うこと
    を特徴とする、請求項1のアルコール、エステル類の回
    収方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の薄膜式の蒸留装置とし
    て、円筒のカラム容器内にカラム容器の長さ方向に垂直
    な回転軸とその軸に結合した複数の円錐板を有し、その
    円錐板の間にカラム内筒部に固定された複数の円錐板が
    設置された内部構造を持つ蒸留装置であって、カラム上
    部から被処理液を減圧状態を保持しながら投入し、回転
    する円錐板上に流下させ遠心力により薄膜状となし、カ
    ラム下部から上昇する蒸気と向流接触させ得る構造を持
    つ気液向流接触装置を用いることを特徴とする、酒粕か
    らのアルコール、エステル類の回収方法。
JP2397097A 1997-02-06 1997-02-06 酒粕からのアルコール、エステルの回収方法 Pending JPH10215847A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2397097A JPH10215847A (ja) 1997-02-06 1997-02-06 酒粕からのアルコール、エステルの回収方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2397097A JPH10215847A (ja) 1997-02-06 1997-02-06 酒粕からのアルコール、エステルの回収方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10215847A true JPH10215847A (ja) 1998-08-18

Family

ID=12125419

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2397097A Pending JPH10215847A (ja) 1997-02-06 1997-02-06 酒粕からのアルコール、エステルの回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10215847A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007118005A (ja) * 2006-11-06 2007-05-17 Choonpa Jozosho Kk 溶液の超音波分離装置
GB2494539A (en) * 2011-09-12 2013-03-13 John Roscrow Pot still distillation

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007118005A (ja) * 2006-11-06 2007-05-17 Choonpa Jozosho Kk 溶液の超音波分離装置
GB2494539A (en) * 2011-09-12 2013-03-13 John Roscrow Pot still distillation
GB2494539B (en) * 2011-09-12 2014-12-24 John Roscrow Economies in pot still distillation using modified procedures and equipment

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3513877B2 (ja) ホップの抽出物及びその製造方法、及び芳香性の高いビールの製造方法
JP3608793B2 (ja) 麦芽汁の連続煮沸方法
JP2008263838A (ja) 発泡性アルコール飲料の製造方法
CN110938490A (zh) 一种降低食用油脂中3-氯丙醇酯、2-氯丙醇酯和缩水甘油酯的含量的方法
JPH10215847A (ja) 酒粕からのアルコール、エステルの回収方法
JPH04154897A (ja) パーム油の精製分別方法
JP6209560B2 (ja) 蒸留酒の製造方法および装置
CN108841450A (zh) 一种米糠蜡分子蒸馏提纯的方法
JP6420047B2 (ja) 発酵麦芽飲料
JPH04293451A (ja) 可溶性インスタントコーヒーの製造法
FR2514781A1 (fr) Modification de la composition de boissons alcoolisees obtenues par fermentation de fruits par utilisation de co2 liquide
JP3565673B2 (ja) 香り高い清酒の製造法
US5897904A (en) Method for the production of high proof liquor
WO2000018756A1 (fr) Purification de lactide et lactide utilise comme additif alimentaire
JP4866043B2 (ja) 焼酎の製造方法
JP3565674B2 (ja) 超辛口清酒の製造法
JPH10179132A (ja) 低アルコール清酒の製造方法
JPH04287676A (ja) 酒粕からのアルコール、エステル類の回収方法、並びに酒粕から回収されるアルコール、エステル類
JP2006271304A (ja) 粕取焼酎及びその製造方法
JP3568688B2 (ja) 節類濃縮エキスの製造方法
US2103449A (en) Process of producing bkanby
JP7273920B2 (ja) 酒もろみの凍結乾燥品の製造方法及び酒もろみの凍結乾燥品
JPS615772A (ja) 焼酎粕を原料とした乙類焼酎の製造法
US2698825A (en) Clear solutions of carbohydrates
JPH0559707B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040827

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040907

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050111