JPH10212564A - 酸化不動態膜を有するステンレス鋼およびその形成方法 - Google Patents

酸化不動態膜を有するステンレス鋼およびその形成方法

Info

Publication number
JPH10212564A
JPH10212564A JP32665297A JP32665297A JPH10212564A JP H10212564 A JPH10212564 A JP H10212564A JP 32665297 A JP32665297 A JP 32665297A JP 32665297 A JP32665297 A JP 32665297A JP H10212564 A JPH10212564 A JP H10212564A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
baking
passivation film
stainless steel
inert gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP32665297A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3499418B2 (ja
Inventor
Tadahiro Omi
忠弘 大見
Shinji Miyoshi
伸二 三好
Takashi Sakanaka
隆 阪中
Junichi Date
純一 伊達
Satoshi Mizogami
敏 溝上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Oxygen Industries Ltd
Original Assignee
Osaka Oxygen Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Oxygen Industries Ltd filed Critical Osaka Oxygen Industries Ltd
Priority to JP32665297A priority Critical patent/JP3499418B2/ja
Publication of JPH10212564A publication Critical patent/JPH10212564A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3499418B2 publication Critical patent/JP3499418B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステンレス鋼の酸化不動態処理において、電
解複合等の研磨表面上に形成したCr23不態体表面以
外の表面が経時変化を引き起こさない酸化不動態膜の形
成を提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明の酸化不動態の形成方法は、表面
研磨を行う工程、炉内の空気成分を不活性ガスで置換す
る工程、不活性ガス雰囲気中においてプレベーキングを
行う工程、酸化性ガス雰囲気において酸化処理を行う工
程、回分パージを行う工程、不活性ガス雰囲気中におい
てベーキングを行う工程、冷却を行う工程、を少なくと
も有する事を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化不動態膜の形
成方法に係り、より詳細には、ステンレス鋼の酸化不動
態膜の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、SUS316Lなどのオーステナ
イト系ステンレス鋼の表面(たとえば配管の内面)に酸
化不動態膜を形成する技術としては次のような技術が知
られている。
【0003】まず母材の表面に電解複合研磨を行い、次
に図5に示すような工程で酸化処理を行う。
【0004】すなわち、母材を炉内に挿入した後、炉内
の空気成分を不活性なArガスに置換し昇温を行う
()。
【0005】所望の温度に達成した後、Arガスを流し
たまま2時間程度のプレベーキングを行う()。この
プレベーキングは主に母材表面に付着している水分の除
去を目的とする。
【0006】プレベーキング後ガスをArガスから酸化
性のガスに切り替える。酸化性のガス雰囲気中において
加熱を行うことによりクロム酸化膜を形成する。その
後、酸化性ガスから不活性なArガスに切り替え同時に
冷却工程に入る。冷却は電気炉のヒータ電源をOFFに
することにより自然冷却とする。
【0007】ここで、オーステナイト系ステンレス鋼に
は、JISにおける結晶粒度8以下の結晶粒径を有する
ものを使用し、かつ電解複合研磨による研磨を用いる。
これは、電解複合研磨を行うことにより表面に加工変質
層を形成するとともに粒径を小さくして初めて10nm
の厚さに最表面が酸化クロムが100%の(鉄酸化物を
含まない)酸化不動態膜が形成されるからである。すな
わち、電解複合研磨ではなく電解研磨ではかかる厚さの
不動態膜の形成はできない。
【0008】一方、フェライト系ステンレス鋼の場合に
おいては、Crの拡散速度がオーステナイト系に比べ数
桁高い(400℃〜1000℃)ため、電界研磨表面に1
0nmの厚さの100%酸化クロム不動態膜を形成する
事ができる。
【0009】しかし、従来の上記した不動態膜の形成方
法では、次のような問題点がある。
【0010】第1に、電解複合研磨を行った面以外の面
(たとえば、管の外表面)が変色するという問題点であ
る。
【0011】すなわち、大気中に放置した場合、当初は
金色であった表面が茶褐色に変化する。また、水中に放
置することにより数時間で青紫色に変化する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明では従来の上記
問題を解決し、電解複合研磨あるいは流動砥粒研磨表面
上に形成されたCr23不動態表面以外の表面が経時変
化を起こさない酸化不動態膜の形成方法を提供すること
を目的とする。さらに従来の方法で形成したCr 23
動態膜よりさらに耐腐食性の優れた酸化不動態膜の形成
が可能な酸化不動態膜の形成方法を提供することを目的
とする。
【0013】本発明は、従来より耐食性に優れた不動態
膜を有するステンレス鋼を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の酸化不動態膜の形成方法は、ステンレス鋼の
表面研磨を行う工程、炉内の空気成分を不活性ガスで置
換する工程、不活性ガス雰囲気中においてプレベーキン
グを行う工程、酸化性ガス雰囲気中において酸化処理を
行う工程、回分パージを行う工程、不活性ガス雰囲気中
において、ベーキングを行う工程、冷却を行う工程、を
少なくとも有することを特徴とする。
【0015】また、本発明の不動態膜の形成方法は、ス
テンレス鋼の表面研磨を行う工程、炉内の空気成分を不
活性ガスで置換する工程、不活性ガス雰囲気中において
プレベーキングを行う工程、酸化性ガス雰囲気中におい
て酸化処理を行う工程、回分パージを行う工程、減圧雰
囲気中において、ベーキングを行う工程、冷却を行う工
程、を少なくとも有することを特徴とする。
【0016】本発明のステンレス鋼は、1wt%HCl
溶液での分極曲線における腐食電流密度(icorr)が
0.3μA/cm2以下で不動態膜を有することを特徴
とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
(ステンレス鋼・表面研磨)本発明のステンレス鋼は電
解複合研磨や流動砥粒研磨の表面で以下に述べる不動態
形成処理を行うことにより、100%の酸化クロム不動
態膜(最表面に酸化鉄を含まない不動態膜)を形成する
ことが可能な材料であれば何でもよい。オーステナイト
系ステンレス、フェライト系ステンレス、二相混合系ス
テンレスのいずれでもよい。
【0018】(プレベーキング)本発明では、不活性ガ
ス雰囲気中においてプレベーキングを行う。この点は従
来技術と同じである。
【0019】不活性ガスとしては、例えばArガス、窒
素ガスなどが用いられる。ガス中の水分は10ppb以
下が好ましく、1ppb以下がより好ましい。
【0020】プレベーキング温度は300〜600℃が
好ましい。プレベーキング時間は30分〜4時間が好ま
しい。
【0021】(酸化処理)プレベーキング後酸化性ガス
雰囲気中において酸化処理を行う。
【0022】酸化性ガスとしては、たとえばO2ガス、
2Oガスが用いられる。これらのガスをArなどの不
活性ガスで希釈して用いてもよい。
【0023】また、酸化性ガスにH2ガスを混合させる
ことにより、かかるステンレス鋼表面に100%酸化ク
ロム不動態膜をより効果的に形成することが可能とな
る。すなわち、H2ガスのような還元性ガスによりステ
ンレス鋼中に含有されるFe、Ni等の酸化物は還元さ
れCrのみを選択的に酸化させることが可能なためであ
る。H2の含有量としては経済性・安全性を考慮して3
%以下が好ましい。しかし、3%以上においても可能で
ある。前記酸化性ガスのH2Oと水素とのモル比は(H2
Oガス)/(水素ガス)=1/1010〜 1が好まし
い。
【0024】なお、オーステナイト系ステンレスにおい
てはCrの拡散を促進させるため表面に電解複合研磨の
ような加工変質層が必要であるが、フェライト系ステン
レスはCrの拡散ガオーステナイト系に比べ速いため、
電解研磨表面でも係る処理ガスを用いることにより10
0%酸化クロム不動態膜を形成することが可能となる。
【0025】なお、パーティクルなどの少ないH2Oガ
スを発生させるためにはH2ガスとO 2ガスとをPtやN
iなどの触媒下で反応せしめればよい。
【0026】(回分パージ)酸化処理後に炉内から酸化
性ガスを除去するために炉内の回分パージを行う。酸化
処理後バルブV4(図2)を閉、V5を開とし真空ポン
プ4で炉1内を真空排気する。次にバルブV5を閉、V
4を開としてArを炉1内に導入する。次いで再びバル
ブV4を閉、V5を開として真空ポンプ4で炉1内を真
空排気する。このように真空排気と不活性ガス例えばA
rパージとを複数回繰り返すことにより炉1内から酸化
性ガスを除去する。
【0027】(ベーキング)本発明では酸化処理後不活
性ガス雰囲気中において、ベーキングを行う。
【0028】ベーキングガスとしては、例えばArなど
の不活性ガスを用いる。O2ガス、H2Oガスの含有量は
10ppb以下の純度の不活性ガスを用いることが好ま
しく、1ppb以下の純度の不活性ガスを用いることが
より好ましい。酸化処理によりステンレス表面に形成さ
れた膜には、H2、O2、H2Oといった処理ガスが混入
している可能性が十分にある。変色は膜自身が不完全で
あり緻密性に欠けるため発生すると考えられる。従っ
て、これらのガス成分を膜中から追い出すためには、不
活性ガス中にこれらガス成分が極力少ない方が望まし
い。
【0029】ベーキング温度は、300℃〜600℃が
好ましく、450℃〜550℃がより好ましい。この温
度範囲において本発明の効果はより一層高まる。前述の
膜中からガス成分を追い出すためには、ある程度の熱エ
ネルギが必要である。膜自身の性能を劣化させることな
く本目的を達成するためには、係るベーキング温度が極
めて効果的である。
【0030】ベーキング時間は10分以上が好ましく、
1時間〜4時間がより好ましい。この時間内で膜中のガ
ス成分は脱離し、生産性向上の観点からも妥当な所要時
間である。
【0031】ベーキングは不活性ガス雰囲気中で行って
もよいが真空雰囲気中で行うことがより好ましい。真空
度としては30Torr以下が好ましく、3Torr以
下がより好ましい。
【0032】不活性雰囲気中におけるベーキングよりも
真空雰囲気中におけるベーキングの方がより短時間で所
期の効果を達成することができる。減圧にすることによ
り、膜中のガス成分は大気圧時と比べ拡散効果的がより
顕著となり膜外へ放出されるためである。
【0033】
【実施例】
(実施例1)SUS316Lステンレス鋼の1/4イン
チ径チューブを用意した。このチューブの結晶粒度はJ
IS規格で8番のものを用いた。
【0034】このチューブの内面のみを電解複合研磨
し、表面粗度Rmaxが0.08μmの鏡面とした。な
お、外面は機械研削仕上げであり表面粗度はRmaxが1
0μmである。
【0035】このチューブを図2に示す炉1内に装入し
Arガスに置換後、Arガスを流しながら1時間で50
0℃に昇温した。
【0036】昇温後500℃に約2時間保持し、プレベ
ーキングを行い、表面から付着水分の除去を行った。
【0037】次に水分発生器2をヒータ5により300
℃に加熱し、バルブV1,V2を開としてH2,O2ガス
をH2:O2=1000:1(流量比)の割合で水分発生
器2内に導入した。水分発生器2内には白金触媒が配置
されており、そこでH2Oが低温においてパーティクル
の発生を伴うことなく生成する。
【0038】水分発生器2において生成したH2Oおよ
び過剰のH2を希釈器3に導入し、そこにおいてArガ
スによりH2Oを100ppm程度に希釈した。
【0039】希釈したH2Oを炉1内に導入し、3時間
酸化処理を行った。
【0040】酸化処理後バルブV4を閉、バルブV5を
開として炉1内を真空排気し、バルブV4開(バルブV
1閉、バルブV2閉、バルブV3開)として炉1にAr
ガスを充填し、さらにバルブV4を閉、バルブV5を開
として炉1内を真空排気した。これを3回繰り返すこと
により回分パージを行い、炉1内の酸化性ガスおよび内
壁に付着している酸化性ガス(本例ではH2O)を完全
に除去した。
【0041】回分パージ終了後、バルブV3、バルブV
4を開としてArガスを炉1内に導入し550℃でベー
キングを行った。Arガスとして不純物(H2O)の濃
度が1ppb以下のものを使用した。
【0042】ベーキング終了後室温までArガスを流し
ながら冷却を行った。なお、550℃〜室温までの冷却
は8時間で行った。
【0043】このようにして酸化不動態膜を形成したチ
ューブを作製し、次なる試験を行った。
【0044】・不動態膜のESCA分析チューブ内面に
形成された不動態膜につきESCAによる分析を行っ
た。その結果を図3に示す。
【0045】図3に示すように本実施例により形成した
電解複合研磨表面上の酸化不動態膜は100%酸化クロ
ムの層が15nmの厚さで形成されていた。
【0046】・外面変色試験 変色を促進させるため、チューブを市水に浸漬した。本
実施例のチューブはその内面、外面ともに不動態膜形成
直後における金色が維持された。
【0047】・耐食性試験 チューブ内部に塩素ガス(Cl2)を導入し、両端を封
止して120時間保持し、その後、不活性ガスで十分パ
ージを行い1時間後における内面の腐食を走査型電子顕
微鏡(SEM)により調べたところ腐食ピット、全面腐
食、局部腐食等の発生は認められなかった。
【0048】(実施例2)本実施例においては真空ベー
キングを行った。すなわち、回分パージ後炉1内を3T
orrの真空状態に保持してベーキングを行った。
【0049】ベーキング終了後室温まで冷却した。冷却
後炉内から取り出し実施例1と同様に耐食性を調べた。
実施例1と同様、腐食の発生は認められなかった。
【0050】(実施例3)本実施例においては酸化処理
後のベーキング温度の影響を調べた。
【0051】ベーキング温度を200〜600℃の範囲
において変化させ市水に浸漬した後のチューブ外面の変
色性を調べた。その結果を表1に示す。
【0052】
【表1】 表1に示すとおり、400℃〜600℃の範囲における
ベーキングが好ましい。
【0053】(実施例4)本実施例においては時間の影
響を調べた。
【0054】ベーキング時間を5分〜3時間の範囲にお
いて変化させ市水に浸漬した後のチューブ外面の変色を
調べた。
【0055】なお、ベーキング温度は500℃とした。
他の条件は実施例1と同様である。その結果を表2に示
す。
【0056】
【表2】 表2に示すとおり、1時間以上のベーキングが好まし
い。
【0057】さらに、2時間以上においてより一層耐食
性が向上していることもわかる。
【0058】(実施例5)本例では、ベーキング時にお
ける不活性ガスの純度の影響を調べた。
【0059】不純物(H2O)を1ppb〜100pp
mの範囲で変化させ市水に浸漬した後のチューブ外面の
変色性について調べた。その結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】(実施例6)真空ベーキングの際における
真空度の影響を調べた。
【0062】真空度を0.1Torr〜100Torr
で変化させ変色性を調べた。
【0063】その結果を表4に示す。
【0064】
【表4】
【0065】(従来例)従来として、実施例1において
酸化処理後のベーキングを行わない試料について実施例
1と同じ項目について試験を行った。
【0066】・不動態膜のESCA分析 チューブ内面に形成された不動態膜につきESCAによ
る分析を行った。その結果を図4に示す。
【0067】図4に示すように本実施例により形成した
酸化不動態膜は100%酸化クロムの層が10nmの厚
さで形成されていた。
【0068】・外面変色試験 変色を促進させるため、チューブを市水に浸漬した。
【0069】本例のチューブはその外面は5時間経過後
には不動態膜形成直後における金色が失われ青紫色への
変色が始まった。
【0070】・耐食性試験 チューブ内部に塩素ガスを導入し、両端を封止して12
0時間保持し、1時間後における内面の腐食を調べたと
ころ腐食の発生は認められなかった。
【0071】(実施例7)SUS316Lステンレス鋼
の平板(Φ20mm×t4mm)3個を用意した。ひとつ
は表面に電界複合研磨(ECB)のみを施した(サンプル
1)。二つめは同じECB研磨の後従来の方法で酸化不
動態処理を行い表面にCr23膜をつけた(サンプル
2)。三つ目は同じくECB研磨の後、実施例1と同様
の方法で酸化不動態処理を行い、表面にCr23膜をつ
けた。
【0072】各サンプルにつきJIS G 0579(ス
テンレス鋼のアノード分極曲線測定方法)に基づき試験
を行った。ただ、用いた試験溶液はJIS規格の20%
及び5%の硫酸溶液ではなく、1%の塩酸を用いた。但
し、試験方法につきましては、JIS規格に準じた。
【0073】その結果を、図6(サンプル1)、図7
(サンプル2)、図8(サンプル3)に示す。
【0074】図6〜図8において、Ecorrは腐食電位で
あり、金属の腐食しにくさ及び腐食しやすさの指標であ
り、貴の電位ほど腐食しにくい。Epitは孔食発生電位
である。ipassは不動態保持電流密度であり、不動態膜
の腐食に対する強さを示す。電流密度が小さければ被膜
は堅固であり腐食は進行しにくい。icorrは腐食電流密
度であり、腐食速度を表し、icorrの値が小さいほど腐
食が進行しにくいことを意味する。材料の減肉の速度で
表した腐食損耗の程度にicorrが直接比例するため。一
般的には、icorrのA/m2の単位がmm/yearの
単位に置き換えられる。
【0075】腐食速度の目安となる腐食電流密度に注目
すれば、実施例に係るサンプル3の値がもっとも低い事
が分かる。すなわち、従来の方法で作製したサンプル2
の約半分の値になっている。従って、従来処理方法に比
べ、本実施例によった場合の方が耐腐食性が向上してい
る事が分かる。
【0076】なお、icorr はポストベーキング時の温
度を変化させることにより変化させることができる。そ
の際Ecorr も貴側へシフトする。
【0077】(実施例8)実施例1におけるポストベー
キング時における温度とその保持時間を変化させicorr
を変化させた。
【0078】それぞれにつき実施例1で述べたと同じ耐
食性試験を行った。その結果を表5に示す。
【0079】
【表5】 表5に示すようにicorr(μA/cm2)が0.30以
下になると耐食性が著しく向上することがわかる。
【0080】なお、フェライト系ステンレス鋼について
も上記実施例と同様の不動態膜形成処理を行ったが、よ
り優れた結果が得られた。
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、電解複合研磨等の研磨
表面上に形成したCr23不動態膜表面以外の表面に経
時変化を起こさない酸化不動態処理を行う事が可能とな
る。また、Cr23膜の耐腐食性をさらに向上させるこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る酸化不動態の形成プロセスを示す
チャート図である。
【図2】酸化処理を行うための装置概念図である。
【図3】実施例1において形成した不動態膜のESCA
分析結果を示すグラフである。
【図4】従来例1において形成した不動態膜のESCA
分析結果を示すグラフである。
【図5】従来例に係る酸化不動態の形成プロセスを示す
チャート図である。
【図6】サンプル1のアノード分極曲線である。
【図7】サンプル2のアノード分極曲線である。
【図8】サンプル3のアノード分極曲線である。
【符号の説明】
1 炉、 2 水分発生器、 3 希釈器、 4 真空ポンプ、 5,6 ヒータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阪中 隆 大阪府大阪市淀川区宮原4丁目1番14号住 友生命新大阪ビル大阪酸素工業株式会社内 (72)発明者 伊達 純一 大阪府大阪市淀川区宮原4丁目1番14号住 友生命新大阪ビル大阪酸素工業株式会社内 (72)発明者 溝上 敏 大阪府大阪市淀川区宮原4丁目1番14号住 友生命新大阪ビル大阪酸素工業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼の表面研磨を行う工程、
    炉内の空気成分を不活性ガスで置換する工程、不活性ガ
    ス雰囲気中においてプレベーキングを行う工程、酸化性
    ガス雰囲気中において酸化処理を行う工程、回分パージ
    を行う工程、不活性ガス雰囲気中において、ベーキング
    を行う工程、冷却を行う工程、を少なくとも有すること
    を特徴とする酸化不動態膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 ステンレス鋼の表面研磨を行う工程、炉
    内の空気成分を不活性ガスで置換する工程、不活性ガス
    雰囲気中においてプレベーキングを行う工程、酸化性ガ
    ス雰囲気中において酸化処理を行う工程、回分パージを
    行う工程、減圧雰囲気中において、ベーキングを行う工
    程、冷却を行う工程、を少なくとも有することを特徴と
    する酸化不動態膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 前記表面研磨は電解複合研磨あるいは流
    動砥粒研磨であることを特徴とする請求項1または2記
    載の酸化不動態の形成方法。
  4. 【請求項4】 酸化処理後におけるベーキングは10p
    pb以下の純度の不活性ガス中で行うことを 特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれか1項記載の酸化不動態膜
    の形成方法。
  5. 【請求項5】 酸化処理後におけるベーキングは300
    〜600℃で行うことを特徴とする請求項1ないし4の
    いずれか1項記載の酸化不動態膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 前記減圧雰囲気におけるガス圧力は10
    -5Torr〜100Torrであることを特徴とする請
    求項2記載の酸化不動態膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 前記酸化性ガスはO2ガスまたはH2Oガ
    スであることを特徴とする請求項1記載の酸化不動態膜
    の形成方法。
  8. 【請求項8】 前記酸化性ガス中に水素ガスを添加した
    ことを特徴とする請求項1または7記載の不動態膜の形
    成方法。
  9. 【請求項9】 前記酸化性ガスのH2Oと水素とのモル
    比は(H2Oガス)/(水素ガス)=1/1010〜 1で
    あることを特徴とする請求項8記載の酸化不動態膜の形
    成方法。
  10. 【請求項10】 1wt%HCl溶液を用いた分極曲線
    における腐食電流密度(icorr)が0.3μA/cm2
    以下である不動態膜を有することを特徴とする酸化不動
    態膜を有するステンレス鋼。
JP32665297A 1996-11-27 1997-11-27 酸化不動態膜を有するステンレス鋼およびその形成方法 Expired - Lifetime JP3499418B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32665297A JP3499418B2 (ja) 1996-11-27 1997-11-27 酸化不動態膜を有するステンレス鋼およびその形成方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31676696 1996-11-27
JP8-316766 1996-11-27
JP32665297A JP3499418B2 (ja) 1996-11-27 1997-11-27 酸化不動態膜を有するステンレス鋼およびその形成方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10212564A true JPH10212564A (ja) 1998-08-11
JP3499418B2 JP3499418B2 (ja) 2004-02-23

Family

ID=26568798

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32665297A Expired - Lifetime JP3499418B2 (ja) 1996-11-27 1997-11-27 酸化不動態膜を有するステンレス鋼およびその形成方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3499418B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000208431A (ja) * 1999-01-13 2000-07-28 Tadahiro Omi 酸化クロム不働態膜が形成された金属材料及びその製造方法並びに接流体部品及び流体供給・排気システム
JP2001032100A (ja) * 1999-04-06 2001-02-06 Crucible Materials Corp 不動態処理表面層を有するオーステナイト系ステンレス鋼製物品
US6352041B1 (en) * 2001-02-13 2002-03-05 United Microelectronics Corp. Method for preventing corrosion of a furnace
JP2004508466A (ja) * 2000-09-12 2004-03-18 ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム ステンレス鋼マトリックスを処理する方法
JP2009164327A (ja) * 2008-01-07 2009-07-23 Hitachi Kokusai Electric Inc 基板処理装置及び半導体装置の製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000208431A (ja) * 1999-01-13 2000-07-28 Tadahiro Omi 酸化クロム不働態膜が形成された金属材料及びその製造方法並びに接流体部品及び流体供給・排気システム
JP2001032100A (ja) * 1999-04-06 2001-02-06 Crucible Materials Corp 不動態処理表面層を有するオーステナイト系ステンレス鋼製物品
JP2004508466A (ja) * 2000-09-12 2004-03-18 ノバ ケミカルズ(インターナショナル)ソシエテ アノニム ステンレス鋼マトリックスを処理する方法
US6352041B1 (en) * 2001-02-13 2002-03-05 United Microelectronics Corp. Method for preventing corrosion of a furnace
JP2009164327A (ja) * 2008-01-07 2009-07-23 Hitachi Kokusai Electric Inc 基板処理装置及び半導体装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3499418B2 (ja) 2004-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH06145951A (ja) オーステナイト系ステンレス製品の窒化方法
JP2001032100A (ja) 不動態処理表面層を有するオーステナイト系ステンレス鋼製物品
JP3045425B2 (ja) ステンレス鋼表面不動態化処理
WO1993010274A1 (en) Method of forming passive oxide film based on chromium oxide and stainless steel
US5944917A (en) Stainless steel for ozone added water and manufacturing method thereof
JP3045576B2 (ja) ステンレス鋼の不動態膜形成方法及びステンレス鋼
EP0512782B1 (en) Stainless steel surface passivation treatment
US5989722A (en) Reduced pressure device and method of making
JP2002322553A (ja) オーステナイト合金の不動態化のための高温ガス状酸化
EP2835443B1 (en) Cr-containing austenitic alloy
US4661171A (en) Method for treating the surface of stainless steel by high temperature oxidation
JPH10212564A (ja) 酸化不動態膜を有するステンレス鋼およびその形成方法
JPH09217166A (ja) ステンレス鋼及びその製造方法並びに減圧装置
US5569334A (en) Stainless steel member for semiconductor fabrication equipment and surface treatment method therefor
JPH02263972A (ja) フッ化不動態膜が形成された金属材料、その金属材料を用いたガス装置、並びに該フッ化不動態膜の形成方法
JP4100093B2 (ja) オーステナイト系ステンレス鋼管の製造方法
US5906688A (en) Method of forming a passivation film
JPH05287496A (ja) ステンレス鋼部材の表面処理方法
JP3030351B2 (ja) フッ化不働態膜が形成されたステンレス鋼、その製造方法並びにそのステンレスを用いた装置
JPH0633264A (ja) 耐食性に優れる高純度ガス用オーステナイト系ステンレス鋼材及びその製造方法
JPH10280123A (ja) オゾン含有超純水用ステンレス鋼部材およびその製造方法
JP3434857B2 (ja) 超真空用材料及びその製造方法
JP3037928B2 (ja) ステンレス鋼及びその製造方法並びに減圧装置
US8250966B2 (en) Method of manufacturing bellows
JP3173164B2 (ja) 表面物質の改質方法及びそのための装置

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205

Year of fee payment: 5

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081205

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091205

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101205

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101205

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 8

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 8

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121205

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131205

Year of fee payment: 10

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term