JPH10212546A - ほうろう用冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

ほうろう用冷延鋼板およびその製造方法

Info

Publication number
JPH10212546A
JPH10212546A JP1817997A JP1817997A JPH10212546A JP H10212546 A JPH10212546 A JP H10212546A JP 1817997 A JP1817997 A JP 1817997A JP 1817997 A JP1817997 A JP 1817997A JP H10212546 A JPH10212546 A JP H10212546A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
enamel
steel
content
slab
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1817997A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Nakagawa
浩行 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP1817997A priority Critical patent/JPH10212546A/ja
Publication of JPH10212546A publication Critical patent/JPH10212546A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ほうろう性、成形性に優れかつ表面の良好なほ
うろう用冷延鋼板、およびその経済的な製造方法を提供
すること。 【解決手段】C:0.003 %以下、Mn :0.2 〜0.5 %、
かつ10×S%以上、P:0.005 〜0.05%、S:0.015 〜
0.03%、Al :0.001 〜0.01%、Cu :0.02〜0.1 %、
Cu /P:1〜4、O:0.01〜0.03%、Nb :0〜
{(93/12)×C+0.01}%、B:0〜{(11/14)×
N+0.005 }%、REM:0〜0.1 %を含有する表面の
良好なほうろう用冷延鋼板。および、加熱炉に装入する
前のスラブの温度が900 ℃未満の場合には1250℃以上で
30分間以上、900 ℃以上であった場合には1150℃以上で
30分間以上スラブを加熱して熱延するその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ほうろう性と成形
性に優れ、表面の良好なほうろう用冷延鋼板およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】湯沸かし、鍋、流し台、浴槽等のほうろ
う製品に用いられるほうろう用鋼板にはプレス成形性、
溶接性等とともに、ほうろうの密着性がよく、泡や爪飛
び等のほうろう欠陥が生じない等の良好なほうろう性も
求められる。泡は、鋼板に含有されているCがほうろう
焼成時に釉薬中のO(酸素)と反応してCOガスとな
り、ほうろう層の表面に凹み欠陥を生じるものである。
爪飛びは、ほうろう焼成時に釉薬などから鋼板に吸収さ
れた水素がほうろう焼成後鋼板とほうろう層との界面に
凝集し、ほうろう層を破壊する現象である。爪飛びはほ
うろう焼成後数日間経過した後に発生する場合があるの
で、発生すると被害が大きい。このため、爪飛びが発生
しないことはほうろう用鋼板として重要な性能である。
【0003】従来、ほうろう用鋼板にはリムド鋼やキャ
ップド鋼が用いられていた。これらの鋼では鋼中の酸素
含有量がキルド鋼に較べて高いので酸化物系の介在物が
鋼板中に適度に存在する。その周辺に水素が吸蔵される
ことで鋼板とほうろう層との界面に凝集する水素が減少
し、爪飛びが効果的に防止されるからである。さらに、
リムド鋼やキャップド鋼から製造される鋼板は表面欠陥
が少なく、厨房機器等に用いられるほうろう用鋼板とし
て好適であったからでもある。しかしリムド鋼やキャッ
プド鋼をスラブにするには分塊圧延が必要なために歩留
まりや生産性が劣る。また、ほうろう掛け時の泡不良を
防止するためには冷間圧延後にオープンコイル焼鈍法に
よる脱炭焼鈍が必要であり、焼鈍コストも高いのが問題
であった。
【0004】このような生産性やコスト問題を解決する
ために連続鋳造鋼を用いる方法が提案されている。特開
昭59―190331号公報には、溶鋼を真空処理して極低炭
素、極低窒素鋼とし、連続鋳造して得たスラブを用いる
方法が開示されている。この方法では、オープンコイル
焼鈍を止めるために製鋼時に鋼中のC、Nの含有量の合
計を30ppm 以下に減少させ、爪飛びを抑制するために鋼
中のOを300 ppm 以上に高めるものである。しかし、こ
のような極低C、Nにするのは技術的、経済的にかなり
困難であるうえ、鋼中のO含有量を高くし過ぎると、鋼
板の表面品質が劣化して鋼板製造時やほうろう掛け時の
歩留まりが損なわれるなどの問題がある。
【0005】特開平7―109524 号公報にはO量を0.0075
〜0.04%と低く制限することで表面品質を向上させる方
法が開示されている。しかしこの方法では、O含有量を
低下させるために発生しやすくなる爪飛びを防止するた
めに、冷間圧延後の連続焼鈍時の加熱速度を150 ℃/秒
以上にする急速加熱が必要とされている。このような急
速加熱を実現するには特定の急速加熱設備が必要であ
り、通常の連続焼鈍設備でこの条件を実現するのは困難
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、ほうろう性、成形性に優れかつ表面の良好
なほうろう用冷延鋼板、およびその経済的な製造方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は下記
(1)、(2)に記載のほうろう用冷延鋼板および
(3)に記載のその製造方法にある。
【0008】(1)重量%にて、C:0.003 %以下、M
n :0.2 〜0.5 %かつ10×S%以上、P:0.005 〜0.05
%、S:0.015 〜0.03%、sol.Al :0.001 〜0.01%、
Cu:0.02〜0.1 %、O:0.01〜0.03%を含有し、Cu
%/P%:1〜4を満足するとともに残部は鉄および不
可避的不純物からなるほうろう用冷延鋼板(第1の発
明)。
【0009】(2)重量%にて、C:0.003 %以下、M
n :0.2 〜0.5 %かつ10×S%以上、P:0.005 〜0.05
%、S:0.015 〜0.03%、sol.Al :0.001 〜0.01%、
Cu:0.02〜0.1 %、O:0.01〜0.03%、Nb :0.005
%以上かつ{(93/12)×C−0.008}以上{(93/12)
×C+0.01}%以下、B:{(11/14)×N+0.0005}
%以上{(11/14)×N+0.005 }%以下、REM:0
〜0.1 %を含有し、Cu %/P%:1〜4を満足すると
ともに残部は鉄および不可避的不純物からなるほうろう
用冷延鋼板。ただし、{}内の記号C、Nはそれぞれ鋼
板中のCとNの含有量を表す(第2の発明)。
【0010】(3)スラブを加熱炉で加熱し、熱間圧
延、冷間圧延および焼鈍するほうろう用冷延鋼板の製造
方法において、スラブの加熱条件が、加熱炉に装入する
前のスラブの温度が900 ℃未満の場合には1250℃以上で
30分以上、スラブの温度が900℃以上の場合には1150℃
以上で30分以上加熱するものであることを特徴とする請
求項1または請求項2に記載のほうろう用冷延鋼板の製
造方法(第3の発明)。
【0011】本発明者は、経済性を確保するために連続
鋳造鋼と連続焼鈍方法を用いることを基本として、酸素
含有量を低めても良好なほうろう性が得られる方法につ
いて種々検討を進めた。本発明はその結果得られた以下
の新たな知見を基に完成されたものである。
【0012】 爪飛びの防止には鋼中の介在物が有効
であるので、鋼中にはある程度の酸素を含有させる必要
がある。しかし鋼板の表面品質を良好にするには鋼中の
酸素含有量を低める必要もある。酸素含有量を低めるた
めに発生するおそれが増す爪飛びは、鋼板中に適度の量
のMnS を形成させ、かつそれを微細に分散させること
によって防止する。
【0013】 鋼板の成形性が要求される場合には、
鋼中に固溶するCをNbC として固定するのが好まし
い。そのためには、鋼中の酸素O含有量を適度の範囲に
制限するのがよい。酸素含有量が多過ぎるとNb が酸化
物として消耗され、固溶Cを減少させるには大量にNb
を添加する必要があり、これが逆に鋼板の成形性を阻害
するなどの問題がある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を以下に詳細
かつ具体的に説明する。なお、以下に記す%表示は重量
%を意味する。
【0015】(1)鋼の化学組成 C:鋼中に不可避的に含有される不純物であり、少ない
ほど好ましい。ほうろう焼成時の泡等のほうろう欠陥を
低減し、鋼板の深絞り性を確保するために、C含有量は
0.003 %以下とする。望ましくは0.001 %以下である。
【0016】Mn :Sによる熱間脆性を防止するととも
に、爪飛びを防止するために必要な介在物としてのMn
S 、MnO などを確保するために、Mn を0.2 %以
上、かつ、S含有量の10倍以上含有量させる。しかし、
Mn を過度に含有させると成形性が劣化するので、その
上限は0.5 %とする。
【0017】S:本発明では、SはMnS として析出さ
せ、これをほうろう焼成時に鋼板中に侵入する水素の吸
蔵サイトとして活用して爪飛びを抑制する。S含有量が
0.015 %に満たない場合には爪飛びを防止する効果が小
さく、一方、含有量が0.03%を超えると、鋼板の成形性
が劣化する。このため、S含有量は0.015 %以上、0.03
%以下とする。
【0018】sol.Al :鋼の脱酸剤として用いられる。
脱酸効果を確保するためにsol.Alとして0.001 %以上
含有させる。過剰に含有させても脱酸効果が飽和するう
え経済性に欠けるのでその上限和を0.01%とする。
【0019】Cu およびP:いずれもほうろうの密着性
を向上させるために添加する。ほうろう用鋼板には、施
釉の前処理として成形加工後に酸洗とNi フラッシュが
施される。この酸洗の時に鋼板の表面が適度にエッチン
グされることがほうろうの密着性を確保するのに重要で
ある。酸洗によるエッチングの度合いは、酸洗によって
減少する鋼板の重量(酸洗減量)で管理される。良好な
密着性を得るには酸洗減量を最適な範囲に管理する必要
がある。鋼中のCu 含有量を増すと酸洗減量は減少し、
P含有量を増すと酸洗減量は増加する傾向がある。この
ため、所定の酸洗時間内に必要な酸洗減量を得るには、
Cu 含有量を0.02%〜0.1 %、P含有量を0.005 〜0.05
%、かつ、Cu とPの含有量の比率(Cu %/P%)を
1〜4の範囲とする必要がある。Cu 含有量が0.02%に
満たなかったり、P含有量が0.05%を超えたり、Cu %
/P%が1に満たない場合には、酸洗速度が速すぎて酸
洗減量が過大になる。このため、鋼板の表面のエッチン
グが不適切になり、腐食生成物も大量に発生するので良
好な密着性が得られない。Cu 含有量が0.1 %を超えた
り、P含有量が0.005 %に満たなかったり、Cu %/P
%が4を超える場合には酸洗速度が減少しすぎて必要な
酸洗減量を得るのに長時間を要し、生産速度が阻害され
るので経済性に欠ける。
【0020】O:鋼中で介在物を形成し、爪飛びの発生
を抑制する効果がある。爪飛びを抑制するには、O含有
量を0.01%以上とする必要がある。他方、Oを過剰に含
有させると介在物に起因する鋼板の表面欠陥が多発し製
品の歩留を低下させるうえ、鋼板の成形性も損なわれ
る。また、Oを過剰に含有すると、成形性を改善するた
めにNb を添加してもNb が酸化物になり、固溶Cを析
出物にして無害化することが困難になる。これらの理由
からO含有量の上限は0.03%とする。
【0021】Nb :CをNbC として固定し、鋼板中の
固溶Cを減少させて成形性と耐時効性を向上させる効果
があるので、必要に応じて添加してもよい。成形性を改
善するには0.005 %以上添加するのがよい。さらに、固
溶Cによる歪み時効を実用上問題がない範囲に抑制する
ためには、次式で与えられる固溶C量を0.001 %未満に
するのが望ましい。
【0022】固溶C=(鋼板のC含有量)−(NbCとして
析出するC量) このため、Nb 含有量は、0.005 %以上で、かつ、
{(93/12)×C−0.008}%以上とするのが好ましい。
【0023】他方、Nb を過剰に添加した場合、NbC
を形成するのに必要な量を超えたNb は固溶Nb とな
る。固溶Nb にはほうろう前処理時の酸洗速度を速める
作用があるので、固溶Nb が増すと酸洗条件の管理が困
難となる。固溶Nb 量が0.01%以下であればその影響は
僅かであるので、Nb 添加量は{(93/12)×C+0.0
1}%以下とするのが望ましい。ただし、{}内の記号
Cは鋼板中のC含有量を表す。
【0024】B:鋼中のNをBNとして固定し、鋼板の
時効性を改善する効果がある。さらに、Bには、高純度
鋼を加工した場合に生じやすい二次加工脆性を防ぐ作用
もあるので、鍋などのように複数回の成形工程を必要と
する用途に用いる鋼板の場合にはBを添加するのが望ま
しい。二次加工脆性を防止するには0.0005%以上の固溶
Bが必要であり、0.005 %を超えると効果が飽和する。
これらの理由から、Bを添加する場合の含有量の範囲
は、{(11/14)×N+0.0005}%以上、{(11/14)
×N+0.005 }%以下とする。ただし、{}内の記号N
は鋼板中のN含有量を表す。
【0025】REM:硫化物を形成してほうろうの爪飛
びを抑制する効果がある。Mn よりも少量の添加で安定
して硫化物を形成するので必要に応じて添加できる。安
定して硫化物を形成するためには0.01%以上含有させな
いと効果が無い。他方、0.1%を超えて含有させるとほ
うろう前処理時の酸洗速度を速くし、酸洗減量の制御を
困難にする。このため、添加する場合の、含有量の範囲
は0.01〜0.1 %とする。
【0026】上記以外はFe および不可避的不純物であ
るが、特に不可避的不純物の内のNについては、鋼板の
時効による加工性の劣化を防ぐために、0.003 %以下と
することが望ましい。
【0027】(2)製造方法 本発明の鋼板は、上記(1)に記載した化学組成の溶鋼
を、常法に従って連続鋳造法等でスラブとした後、熱間
圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍、調質圧延を施して製造で
きる。
【0028】しかし、熱間圧延前に下記の条件でのスラ
ブ加熱を施せば、爪飛びを一層効果的に防止できる。そ
れは、連続鋳造法にてスラブに鋳造した後のスラブの温
度が900 ℃以上である場合には1150℃以上に30分間以上
スラブを加熱し、加熱炉に装入する前のスラブの温度が
900 ℃未満であった場合には1250℃以上に30分間以上加
熱する方法である。
【0029】熱間圧延前のスラブの段階でMnS を固溶
状態にしておき、熱間圧延および熱間圧延後の冷却過程
でMnS を析出させると、MnS が微細で均一に分散し
た熱延鋼板を得ることができる。この熱延鋼板を冷間圧
延母材として用いることで、爪飛びが効果的に防止でき
るほうろう用冷延鋼板が得られる。MnS が微細かつ均
一に鋼板中に分散していると、鋼板に吸収された水素が
より効果的にMnS の近傍に吸蔵させられるためと推測
される。その効果は、例えば、釉薬の組成や焼成条件な
どのほうろう条件が爪飛び発生に不利な方向に変動して
も、爪飛びが発生しにくくなることで発揮される。
【0030】MnS を固溶させるには連続鋳造後、加熱
炉に装入するまでの間のスラブの温度が900 ℃以上であ
る場合には1150℃以上で30分間以上スラブを加熱すれば
よい。より好ましくは1200℃以上で30分間以上加熱す
る。加熱温度や加熱時間の上限は限定しないが、加熱温
度を過度に高くしたり、加熱時間を過度に長くするの
は、MnS を固溶させる効果が飽和するうえ経済性に欠
けるので加熱温度は1300℃以下、加熱時間は3時間以下
とするのが好ましい。
【0031】加熱炉に装入するまでの間にスラブ温度が
Ar3変態点を下回る領域まで低下した場合には、MnS
が大きく成長するので加熱しても再固溶しにくくなる。
このため、スラブの温度が900 ℃未満になった場合には
1250℃以上で30分間以上スラブを加熱するのがよい。よ
り好ましくは1300℃以上で30分間以上加熱する。加熱温
度や加熱時間の上限加熱温度と時間の上限は規定しない
が、過度に高温にしたり長時間加熱するのは経済性に欠
けるので、加熱温度は1350℃以下、加熱時間は3時間以
下とするのが好ましい。
【0032】なお、ここでのスラブの温度とはスラブの
表面温度である。スラブの表面温度は測定位置によって
変動するので、ここでは幅方向中央部を長さ方向に測定
した場合の平均値とする。
【0033】上記の条件でスラブを加熱した後は、常法
に従って圧延し製造すればよい。スラブ加熱条件以外に
は特定の制限は無いが、再結晶焼鈍は成形性と経済性を
良くするために連続焼鈍方式でおこなうのが好適であ
る。
【0034】ほうろうを施す条件や工程にも特別な制約
はなく、1回掛け用途でも2回掛け用途でも適用が可能
である。
【0035】
【実施例】
(実施例1)表1に化学組成を記載した各種の鋼を連続
鋳造にてスラブにした後、スラブ温度が900 ℃に低下す
る前にスラブ加熱炉に装入して1250℃で40分間保持した
後、仕上温度890 〜920 ℃の範囲で厚さ3.5 mmに圧延
し、620 〜670 ℃で巻取り、酸洗後厚さ0.7 mmに冷間圧
延し、840 ℃で60秒間保持する連続焼鈍をおこない、圧
下率1%の調質圧延を施して冷延鋼板を得た。
【0036】
【表1】
【0037】これらの冷延鋼板のカブレなど材質に起因
する表面疵の発生状況を目視で検査し、下記の基準で評
価した。
【0038】 評価 表面疵発生長さ率 ○(良好):1%未満 △(不良):1〜5% ×(不良):5%超 また、それぞれの鋼板から得た幅20cm×長さ40cmの寸法
の試験片10枚を用いて、表2に示す条件(以下、通常法
と記す)で1回掛けほうろうを施し、泡と爪飛びの発生
状況および密着性を調査した。
【0039】
【表2】
【0040】泡は、これらが目視で認められた試験片の
枚数を求めた。
【0041】爪飛びは、10枚の試験片に発生した爪飛び
の個数をほうろう焼成後14日目に目視で判定し、その合
計数を求めた。また、爪飛びの発生促進試験として、通
常法と同一寸法の別の10枚の試験片に爪飛びが発生しや
すい条件(表2で、施釉後の乾燥をおこなわず、かつ、
焼成時の雰囲気の露点を+30℃とする。以下、促進法と
記す)でのほうろう掛けもおこない、通常法と同様の方
法で評価した。泡と爪飛びの評価基準は下記に示す。
【0042】 評点 泡発生枚数 爪飛び発生個数 5 無し 無し 4 1〜2枚 1〜5個所 3 3〜5枚 6〜10個所 2 6〜8枚 11〜15個所 1 9〜10枚 16個所以上 密着性はASTM C 313-59 に規定される密着性試験方法で
測定した。この方法は、ほうろうを施した鋼板に衝撃荷
重を加え、ほうろうが密着している面積比率を求めるも
ので、剥離がない場合は100 %である。これらほうろう
性の評価結果を表3にまとめた。
【0043】
【表3】
【0044】表3に示されているように、得られた冷延
鋼板の表面品質は、鋼中のO含有量が高い鋼K以外は良
好であった。鋼Kは介在物等に起因する表面疵が多く、
鋼板の採取率が好ましくなかった。K以外の鋼板の表面
は良好であった。本発明で規定する範囲内の化学組成か
らなる鋼A、B、C、Dのほうろう性は良好であり、爪
飛びが発生しやすい評価条件である促進法においても爪
飛びは生じていない。
【0045】他方、C含有量が高い鋼Eは、ほうろう表
面に泡が発生した。Mn 含有量が低すぎる鋼F、S含有
量が低すぎる鋼G、O含有量が低すぎる鋼Lはいずれも
耐爪飛び性が好ましくない。Al が高すぎる鋼Iは、O
含有量が不足して爪飛びが発生し、Cu が低すぎる鋼J
は密着性が好ましくなかった。Cu %/P%が低すぎた
鋼Mは密着性が好ましくなかった。
【0046】(実施例2)表4に化学組成を記載した5
種類の化学組成の鋼を連続鋳造にてスラブにした後、実
施例1と同様の条件で製造して厚さ0.7 mmの冷延鋼板を
得た。これらの鋼板からJIS Z 2201に規定される5号試
験片を採取し、引張試験をおこなって引張特性とr値を
求めた。r値は鋼板の0゜方向(圧延方向)、45゜方
向、90゜方向(幅方向)について測定し、次式に従って
面内での平均のr値(rm )を求めた。
【0047】rm =(r0+2×r45+r90)/4 さらに、実施例1と同様の方法で、ほうろう性を調査し
た。得られた諸性能の評価結果をまとめて表5に示し
た。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】鋼N、O、P、Rは、鋼板の表面品質、ほ
うろう性ともに良好である。鋼N、Oは、伸びやrm
代表される成形性が優れており、時効指数も20MPa 以下
で耐時効性も優れている。Nb 含有量が少ない鋼Pは、
固溶Cが残存したために鋼N、Oに較べて耐時効性が劣
った。Nb 含有量が多い鋼Qでは、固溶Nb が増加した
ためにほうろう前処理時の酸洗速度が速くなりすぎて過
酸洗となり密着性が劣った。
【0051】(実施例3)表1に化学組成を記載した鋼
A、Bおよび表4に記載した鋼Nの連続鋳造スラブを種
々の条件で加熱した後、仕上温度890 〜920 ℃の範囲で
厚さ3.5 mmに圧延し、620 〜670 ℃で巻取り、酸洗後0.
7 mmに冷間圧延し、840 ℃で60秒間保持する連続焼鈍を
おこない、圧下率1%の調質圧延を施して冷延鋼板を得
た。これらの鋼板について、実施例1と同様の方法で、
表面疵検査をおこない、ほうろう性を調査した。スラブ
の再加熱条件および得られた冷延鋼板の諸性能の評価結
果をまとめて表6に示した。
【0052】
【表6】
【0053】これらの鋼はいずれも本発明が規定する化
学組成の条件範囲を満たしているものであり、鋼板の表
面はいずれのスラブ加熱条件であっても良好であった。
ほうろう性も通常のほうろう条件であればいずれも良好
な性能が得られた。ただ、爪飛びの促進法の欄に記載さ
れているように、本発明の好ましい範囲を外れる条件で
スラブを加熱して圧延した熱延鋼板を用いて製造した冷
延鋼板では、爪飛び促進法でほうろうを施した場合に爪
飛びが若干発生した。
【0054】
【発明の効果】本発明のほうろう用冷延鋼板は鋼板の表
面欠陥が無いので鋼板製造時およびほうろう加工時の歩
留まりが優れている。また、ほうろう性も優れているの
で厨房機器などのほうろう製品の素材として好適であ
る。また、本発明の製造方法によれば特に耐爪飛び性に
優れたほうろう用鋼板を経済的に製造することが出来
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%にて、C:0.003 %以下、Mn :0.
    2 〜0.5 %かつ10×S%以上、P:0.005 〜0.05%、
    S:0.015 〜0.03%、sol.Al :0.001 〜0.01%、Cu
    :0.02〜0.1 %、O:0.01〜0.03%を含有し、Cu %
    /P%:1〜4を満足するとともに残部は鉄および不可
    避的不純物からなるほうろう用冷延鋼板。
  2. 【請求項2】重量%にて、C:0.003 %以下、Mn :0.
    2 〜0.5 %かつ10×S%以上、P:0.005 〜0.05%、
    S:0.015 〜0.03%、sol.Al :0.001 〜0.01%、Cu
    :0.02〜0.1 %、O:0.01〜0.03%、Nb :0.005 %
    以上かつ{(93/12)×C−0.008}以上{(93/12)×
    C+0.01}%以下、B:{(11/14)×N+0.0005}%
    以上{(11/14)×N+0.005 }%以下、REM:0〜
    0.1 %を含有し、Cu %/P%:1〜4を満足するとと
    もに残部は鉄および不可避的不純物からなるほうろう用
    冷延鋼板。ただし、{}内の記号C、Nはそれぞれ鋼板
    中のCとNの含有量を表す。
  3. 【請求項3】スラブを加熱炉で加熱し、熱間圧延、冷間
    圧延および焼鈍するほうろう用冷延鋼板の製造方法にお
    いて、スラブの加熱条件が、加熱炉に装入する前のスラ
    ブの温度が900 ℃未満の場合には1250℃以上で30分以
    上、スラブの温度が900 ℃以上の場合には1150℃以上で
    30分以上加熱するものであることを特徴とする請求項1
    または請求項2に記載のほうろう用冷延鋼板の製造方
    法。
JP1817997A 1997-01-31 1997-01-31 ほうろう用冷延鋼板およびその製造方法 Pending JPH10212546A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1817997A JPH10212546A (ja) 1997-01-31 1997-01-31 ほうろう用冷延鋼板およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1817997A JPH10212546A (ja) 1997-01-31 1997-01-31 ほうろう用冷延鋼板およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10212546A true JPH10212546A (ja) 1998-08-11

Family

ID=11964400

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1817997A Pending JPH10212546A (ja) 1997-01-31 1997-01-31 ほうろう用冷延鋼板およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10212546A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001094654A1 (en) * 2000-06-05 2001-12-13 Pohang Iron & Steel Co., Ltd. Cold rolled steel sheet having excellent corrosion resistance to sulfuric acid

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001094654A1 (en) * 2000-06-05 2001-12-13 Pohang Iron & Steel Co., Ltd. Cold rolled steel sheet having excellent corrosion resistance to sulfuric acid
US6773518B2 (en) 2000-06-05 2004-08-10 Pohang Iron & Steel Co., Ltd. Cold rolled steel sheet having excellent corrosion resistance to sulfuric acid

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI622655B (zh) 無方向性電磁鋼板及其製造方法
WO1984001585A1 (en) Process for manufacturing cold-rolled steel for deep drawing
JPH0768583B2 (ja) 高張力冷延鋼板の製造法
JP2001172753A (ja) 高級無方向性電磁鋼板およびその製造方法
JPH06192727A (ja) ほうろう用アルミニウムキルド冷延鋼板の製造方法
JP3352904B2 (ja) 無方向性電磁鋼板の製造方法
JPH10212546A (ja) ほうろう用冷延鋼板およびその製造方法
JP3384265B2 (ja) 耐爪とび性に優れたほうろう用冷延鋼板の製造方法
JPH01275736A (ja) 加工性に優れた連続鋳造製ほうろう用鋼板およびその製造法
JPH0559491A (ja) プレス加工用の高張力薄鋼板とその製造法
JPH05331593A (ja) ほうろう焼成後、高強度化するほうろう用熱延鋼板およびその製造方法
JPS6048571B2 (ja) 深絞り用合金化亜鉛メツキ鋼板の製造法
JPH06279864A (ja) ほうろう用アルミニウムキルド冷延鋼板の製造方法
JPH06116634A (ja) 連続脱炭焼鈍法によるほうろう用鋼板の製造方法
JP3247152B2 (ja) ほうろう焼成後高強度化するほうろう用冷延鋼板およびその製造方法
JPH11100638A (ja) 加工性およびほうろう密着性に優れた連続鋳造ほうろう用鋼板およびその製造方法
JP3111834B2 (ja) 耐ふくれ性に優れた連続鋳造法によるほうろう用鋼材
JP3068677B2 (ja) 深絞り性、耐時効性の良好なほうろう用鋼板およびその製造方法
JPH02282421A (ja) 連続鋳造一連続焼鈍製非時効性ほうろう用鋼板の製造法
JPH06279865A (ja) ほうろう用冷延鋼板の製造方法
JPH07102341A (ja) 耐水素脆化特性の優れた超高強度冷延鋼板とその製造方法
JP3114527B2 (ja) 耐ふくれ性に優れた連続鋳造法によるほうろう用鋼材
JPH0559490A (ja) プレス加工用の高張力薄鋼板とその製造法
JP3834100B2 (ja) 加工性の均一性に優れた冷延鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
JPS61257421A (ja) 超高張力鋼板の製造方法