JPH10212367A - 延伸樹脂フィルム - Google Patents

延伸樹脂フィルム

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JPH10212367A
JPH10212367A JP9027336A JP2733697A JPH10212367A JP H10212367 A JPH10212367 A JP H10212367A JP 9027336 A JP9027336 A JP 9027336A JP 2733697 A JP2733697 A JP 2733697A JP H10212367 A JPH10212367 A JP H10212367A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 インク定着能に優れ、かつインク乾燥性の優
れたインクジェットプリンター用紙や、水性接着剤の初
期接着性や乾燥性に優れたグルーラベル用紙に適した白
色不透明な延伸樹脂フィルム。 【解決手段】 (A)結晶性ポリオレフィン樹脂30〜
80重量%、(B)炭酸カルシウム粒子100重量部
を、アミン塩10〜95モル%とアクリルアミド及びメ
タクリルアミドより選ばれたアミド90〜5モル%との
共重合体よりなる分散剤0.05〜2重量部の存在下、
水性媒体中で湿式粉砕し、更にこの粉砕物を一価アルコ
ールのアルキレンオキサイド付加物のスルホン酸塩、ア
ルキルスルフォン酸塩及びアルキルベンゼンスルホン酸
塩より選ばれたスルホン酸塩の0.5〜10重量部で水
性媒体中で処理し、次いで乾燥した平均粒径が0.3〜
2μmの炭酸カルシウム粒子70〜20重量%、を含有
する樹脂組成物を基材とする樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性接着剤の初期
接着性及び乾燥性に優れ、かつ水性インク及びインクジ
ェットインク等の乾燥性にも優れた白色不透明なポリオ
レフィン系樹脂延伸フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】平均粒径0.8〜4μmの炭酸カルシウ
ム粉末を含有するポリプロピレン、高密度ポリエチレン
等の結晶性ポリオレフィン樹脂組成物を基材とする延伸
フィルムよりなる合成紙は知られており(特公昭60−
36173号公報、特公平1−56091号公報)、市
販品としても王子油化合成紙(株)よりユポFPG、ユ
ポKPG、ユポSGS等の商品名で、又、フランスのア
ルジョペックス社よりPolyart−IIの商品名で
市販されている。
【0003】かかる合成紙に使用されている炭酸カルシ
ウム粉末としては、乾式粉砕後の平均粒径1〜10μm
の重質炭酸カルシウム、合成法により得られた粒径0.
03〜0.2μmのコロイダル炭酸カルシウム、乾式粉
砕後の重質炭酸カルシウム粉末表面を脂肪酸金属塩等で
処理したもの、アニオン系ポリマー分散剤を用いて水性
媒体中に分散し、湿式粉砕した後、乾燥して得た分散剤
付着炭酸カルシウム粒子等が用いられている。
【0004】乾式粉砕して得た重質炭酸カルシウム粒子
はその平均粒径が1μm以上と大きく、そのためフィル
ムの延伸により重質炭酸カルシウム粒子を核として発生
した空孔(ボイド)、および表面亀裂が大きく、インク
ジェットインクが亀裂に沿って浸透してインクのニジミ
が生じ、得られる画像が不鮮明となるので、インクジェ
ット用紙には使用出来ない。更に、脂肪酸金属塩等を用
いて乾式粉砕中に表面処理したものは、結晶性ポリオレ
フィンに配合した場合には炭酸カルシウム粒子の分散性
の向上はあるものの、インクジェットインクの定着能に
乏しい。
【0005】また、アニオン系の分散剤を用いて水性媒
体中に分散した炭酸カルシウムを粉砕処理し、乾燥して
得たものは1次粒子への解砕が困難であり、2次凝集が
多く、延伸工程での延伸切れや、2次凝集による表面突
起が多くなり印刷性が悪くなる等の欠点が有った。更
に、軽質炭酸カルシウムは平均粒径が0.2μm以下と
小さい為、ポリオレフィン樹脂へ配合した場合分散不良
に依る2次凝集が多くなり、前記アニオン系分散剤に依
る表面処理炭酸カルシウムを用いた場合と同様の欠点を
有していた(特公平6−55549号公報、同5−51
900号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、インクのニ
ジミが無くインク定着能に優れ、かつインク乾燥性の優
れたインクジェットプリンター用紙や、水性接着剤の初
期接着性や乾燥性に優れたグルーラベル用紙に適した白
色不透明な延伸樹脂フィルムを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、(A)結晶
性ポリオレフィン樹脂30〜80重量%、(B)炭酸カ
ルシウム粒子100重量部を、ジアリルアミン塩及びア
ルキルアリルアミン塩より選ばれたアミン塩10〜95
モル%とアクリルアミド及びメタクリルアミドより選ば
れたアミド90〜5モル%との共重合体よりなる分散剤
0.05〜2重量部の存在下、水性媒体中で湿式粉砕
し、更にこの粉砕物を一価アルコールのアルキレンオキ
サイド付加物のスルホン酸塩、アルキルスルフォン酸塩
及びアルキルベンゼンスルホン酸塩より選ばれたスルホ
ン酸塩0.5〜10重量部で水性媒体中で処理し、次い
で乾燥した平均粒径が0.3〜2μmの炭酸カルシウム
粒子70〜20重量%を含有する樹脂組成物を基材とす
る樹脂フィルムを、上記成分(A)の結晶性ポリオレフ
ィン樹脂の融点より低い温度で延伸して得られる延伸樹
脂フィルムを提供するものである。
【0008】
【作用】炭酸カルシウムの平均粒径を0.3〜2μmに
調製し、かつ湿式粉砕中に於いてこの粒子にアミノ基を
付加させ、更にその表面に帯電防止性を有するスルホン
酸塩類で処理した炭酸カルシウム粒子をポリオレフィン
に配合し、これを延伸することによって、親水性を持っ
た微細な(B)成分の炭酸カルシウムが得られた延伸フ
ィルムの表面から突出するとともに、この(B)成分の
粒子を核として微細な亀裂が多数作り出されることによ
り、水性インクや水性接着剤の吸水性が向上し、乾燥性
が早く、かつ印字適性にも優れる延伸樹脂フィルムとな
る。
【0009】
【発明の実施の形態】
(A)結晶性ポリオレフィン樹脂 白色不透明な延伸樹脂フィルムの基材樹脂となる結晶性
ポリオレフィンとしては、結晶化度が10〜75%、好
ましくは20〜75%のものであって、炭素数が2〜8
のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、ブ
テン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−
1、4−メチル−べンテン−1、3−メチル−べンテン
−1等の単独重合体、或いはこれらα−オレフィンの二
種以上の共重合体が挙げられる。
【0010】共重合体は、ランダム共重合体でもブロッ
ク共重合体でもよい。具体的には、密度が0.890〜
0.970g/cm3 、メルトフローレート(190
℃、2.16kg加重)が1〜10g/10分の分岐ポ
リエチレン、直鎖状ポリエチレン、メルトフローレート
(230℃、2.16kg加重)が0.2〜8g/10
分のプロピレン単独重合体、プロピレン・エチレン共重
合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・
エチレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・4−メチ
ル−べンテン−1共重合体、プロピレン・3−メチル−
べンテン−1共重合体、ポリブテン−1、ポリ(4−メ
チル−べンテン−1)、プロピレン・エチレン・3−メ
チル−べンテン−1共重合体等が挙げられる。これらの
中でもプロピレン単独重合体、密度が0.950〜0.
970g/cm3 の高密度ポリエチレンが安価で、結晶
化度が高いので好ましい。
【0011】(B)湿式粉砕表面処理炭酸カルシウム粒
子 (B)成分の湿式粉砕表面処理炭酸カルシウム粒子は、
粒径が10〜50μmと比較的大きい重質炭酸カルシウ
ム粒子100重量部を、ジアリルアミン塩及びアルキル
アミン塩より選ばれたアミン塩10〜95モル%とアク
リルアミド及びメタクリルアミドより選ばれたアミド9
0〜5モル%との共重合体よりなる分散剤0.05〜2
重量部の存在下、水性媒体中で湿式粉砕し、次いで乾燥
して得られた炭酸カルシウム100重量部を更に帯電防
止性能を有する、一価アルコールのアルキレンオキサイ
ド付加物のスルホン酸塩、アルキルスルフォン酸塩及び
アルキルベンゼンスルホン酸塩より選ばれたスルホン酸
塩0.5〜10重量部で、水性媒体中で処理し、次いで
乾燥して得た、平均粒径が0.3〜2μの炭酸カルシウ
ムである。
【0012】原料の炭酸カルシウムとしては、乾式粉砕
により得た重質炭酸カルシウム粒子、分級、篩い分けさ
れた炭酸カルシウム粒子等が使用される。この炭酸カル
シウム粒子を水性媒体中に分散させる。本発明で分散剤
として用いる水溶性カチオン系共重合体は、ジアリルア
ミン塩及びアルキルアリルアミン塩より選ばれたアミン
塩(a)10〜95モル%、好ましくは50〜80モル
%と、アクリルアミド及びメタクリルアミドより選ばれ
たアミド(b)90〜5モル%、好ましくは50〜20
モル%との共重合体である。
【0013】分散剤を構成するアルキルアリルアミン塩
としては、炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは炭素
数1〜4のアルキル基を有するものが挙げられる。又、
ジアリルアミン及びアルキルアリルアミン塩としては、
塩酸、硫酸、硝酸、酢酸等の無機ないし有機酸によりア
ミノ基の部位が塩になっているものである。この分散剤
としての水溶性カチオン系共重合体の原料は、アミン塩
(a)とアミド(b)の他に、他の共重合成分、例え
ば、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メチルエ
ステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)
アクリル酸ブチルエステル等を用いてもよい。該水溶性
カチオン性共重合体分散剤の極限粘度は通常0.05〜
3.00、好ましくは0.10〜1.80、特に好まし
くは0.15〜0.70である。該カチオン性共重合体
分散剤は、特開平5−263010号公報に記載の方法
により製造することができる。
【0014】上記カチオン性共重合体分散剤の存在下で
重質炭酸カルシウムを湿式粉砕する。具体的には、炭酸
カルシウム/水性媒体(好ましくは水)との重量比が7
0/30〜30/70、好ましくは60/40〜40/
60の範囲となるように炭酸カルシウムに水性媒体を加
え、ここにカチオン性共重合体分散剤を固形分として、
炭酸カルシウム100重量部当たり0.05〜2重量
部、好ましくは0.1〜1重量部添加し、常法により湿
式粉砕する。さらに、上記範囲の量となるカチオン性共
重合体分散剤を予め溶解してなる水性媒体を準備し、該
水性媒体を炭酸カルシウムと混合し、常法により湿式粉
砕してもよい。湿式粉砕はバッチ式でも、連続式でもよ
く、サンドミル、アトライター、ボールミルなどの粉砕
装置を使用したミル等を使用するのが好ましい。このよ
うに湿式粉砕する事により、平均粒径が2μm以下、好
ましくは0.3〜1μmの炭酸カルシウム粒子が得られ
る。
【0015】次いで湿式粉砕品を乾燥するが、乾燥前
に、分級工程を設けて、350メッシュオンといった粗
粉を除くことができる。乾燥は、熱風乾燥、粉噴乾燥な
ど公知の方法により行うことができるが、媒体流動乾燥
により行うのが好ましい。媒体流動乾燥とは、乾燥塔内
で熱風(80〜150℃)により流動化状態にある媒体
粒子群(流動層)にスラリー状物質を供給し、供給され
たスラリー状物質は、活発に流動化している媒体粒子の
表面に膜状に付着しながら流動層内に分散され、熱風に
よる乾燥作用を受けることにより各種物質を乾燥する方
法である。
【0016】このような媒体流動乾燥は、例えば、
(株)奈良機械製作所製の媒体流動乾燥装置「メディア
スラリー ドライヤー」等を用いて容易に行うことが
できる。この媒体流動乾燥を用いると乾燥と凝集粒子の
解砕(1次粒子化の除去)が同時に行われるので好まし
い。この方法で得られた湿式粉砕スラリーを媒体流動乾
燥すると、粗粉量が極めて少ない炭酸カルシウムが得ら
れる。しかしながら、媒体流動乾燥後、所望の方法で粒
子の粉砕と分級とを行うことも有効である。一方、媒体
流動乾燥の代わりに、通常の熱風乾燥により湿式粉砕品
を乾燥した場合には、得られたケーキを更に所望の方法
で粒子の粉砕と分級とを行うのがよい。
【0017】この方法により得られた湿式粉砕品の乾燥
ケーキは、潰れ易く、容易に炭酸カルシウム微粒子を得
ることができる。従って乾燥ケーキを粉砕する工程をわ
ざわざ設ける必要はない。このようにして得られた炭酸
カルシウム微粒子を、更に一価アルコールのアルキレン
オキサイド付加物のスルホン酸塩、アルキルスルホン酸
塩及びアルキルベンゼンスルホン酸塩より選ばれたスル
ホン酸塩で、水性媒体中で処理する。
【0018】前記、一価アルコールのアルキレンオキサ
イド付加物のスルホン酸塩は下記の式(1)で示される
スルホン酸塩であり、例えば、ナトリウム・ステアリル
・ポリエチレンエーテル・スルホネート、ナトリウム・
ブチル・ポリエチレンエーテル・ポリプロピレンエーテ
ル・スルホネート等が挙げられる。
【化1】 RO(AO)mSO3 M ・・・・ (1) 〔式中、Rは炭素数2〜18のアルキル基、炭素数1〜
10のアルキル基で置換されていても、置換されていな
くてもよいアリール基を示す。Aは炭素数2〜4のアル
キレン基を、Mは、Na、K、Liまたはアンモニュム
基を示し、mは2〜20の数を示す。〕
【0019】又、アルキルスルホン酸塩は下記の式
(2)で示されるスルホン酸塩であり、例えば、ナトリ
ウム・カプリル・スルホネート、ナトリウム・ステアリ
ル・スルホネート等が挙げられる。
【化2】R′−SO3 M ・・・・ (2) 〔式中、R′は炭素数6〜30のアルキル基を示し、M
はNa、K、Liまたはアンモニュウム基を示す。〕
【0020】更に、アルキルベンゼンスルホン酸塩は下
記の式(3)で示されるスルホン酸塩であり、例えば、
ナトリウム・ドデシル・ベンゼン・スルホネート、ナト
リウム・カプリル・ベンゼン・スルホネート等が挙げら
れる。
【化3】 〔式中、R″は炭素数6〜23のアルキル基を示し、M
はNa、K、Liまたはアンモニュウム基を示す。〕
【0021】水性媒体中で処理された上記微粒子炭酸カ
ルシウムは、前記流体流動乾燥処理を行い、粗粉量の少
ないスルホン酸塩で表面処理された平均粒径が0.3〜
2μmの重質炭酸カルシウム粉体を得ることができる。 組成:フィルム基材は(A)結晶性ポリオレフィン樹脂
30〜80重量%、好ましくは45〜80重量%に
(B)湿式粉砕法により得られた平均粒径0.3〜2μ
m、好ましくは0.5〜1μmの炭酸カルシウム粒子7
0〜20重量%、好ましくは55〜20重量%を含有す
る。
【0022】結晶性ポリオレフィン樹脂(A)が30重
量%未満、或いは、炭酸カルシウム粒子が70重量%を
越えては肉厚が均一なフィルムを製造することが困難と
なる。又、結晶性ポリオレフィン樹脂が80重量%を越
えては、或いは、炭酸カルシウム粒子が20重量%未満
ではインクの乾燥性の促進、インクの密着性の向上が期
待できない。
【0023】これら、(A)、(B)成分の他に、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート、ナイロン6、ナイロン66等の
ポリオレフィン樹脂(A)の融点よりは高い融点(例え
ば210〜300℃)を有する有機フィラーを5〜30
重量%、平均粒径1.5μm以下の酸化チタン、酸化亜
鉛、硫酸バリウム、焼成クレー、珪藻土、等の顔料を1
0重量%以下配合してもよい。更に、必要に応じて熱安
定剤、紫外線安定剤、オレイン酸等の分散剤、滑剤等を
各々、1重量%以下添加してもよい。
【0024】白色不透明延伸フィルム(合成紙)の製
造:(A)結晶性ポリオレフィン樹脂30〜80重量%
と(B)上記炭酸カルシウム粒子70〜20重量%を含
有する樹脂組成物を基材とする樹脂フィルムを上記成分
(A)の結晶性ポリオレフィン樹脂の融点より低い温度
(好ましくは3〜60℃低い温度)で一軸方向、又は二
軸方向に延伸することにより、フィルム表面に微細な亀
裂を有し、フィルム内部に微細な空孔(ボイド)を有す
る微多孔性の延伸フィルムよりなる白色不透明な延伸フ
ィルムが得られる。
【0025】この白色不透明な延伸フィルムは、次式で
示される空孔率が10〜50%、密度が0.65〜1.
20g/cm3 、不透明度(JIS P−8138)が
80%以上、ベック平滑度(JIS P−8119)が
50〜5000秒である物性を有する。
【数2】 この白色不透明な延伸フィルムは、単層構造でも、上記
延伸フィルムの層を最外層とし、これと他の樹脂フィル
ムとの積層フィルム構造であってもよい。
【0026】積層フィルムの例としては、例えば、炭酸
カルシウム微細粉末を0〜40重量%(好ましくは3〜
33重量%)含有するポリオレフィン樹脂フィルムを、
該樹脂の融点より低い温度で一方向に延伸して得られる
一軸方向に配向したフィルムの両面に、(A)結晶性ポ
リオレフィン30〜80重量%、前記(B)成分の炭酸
カルシウム粒子を70〜20重量%含有するポリオレフ
ィン樹脂の溶融フィルムを積層し、次いで前記方向と直
角の方向に、この積層フィルムを延伸することにより、
紙状層(表・裏)が一軸方向に配向し、微細な空隙を多
数有するフィルムであり、基材層が二軸方向に配向した
積層構造物の白色不透明な延伸フィルムが得られる。
【0027】白色不透明な延伸フィルム(合成紙)の肉
厚は、30〜300μm、好ましくは50〜250μm
である。又、接着剤を用いて貼合することにより肉厚1
mm程度のものも得ることができる。延伸倍率は、縦、
横方向とも4〜10倍が好ましく、延伸温度は樹脂がポ
リプロピレン単独重合体(融点164〜167℃)の場
合は120〜162℃、高密度ポリエチレン(融点12
1〜134℃)の場合は100〜130℃の範囲であ
る。この白色不透明な延伸フィルム(合成紙)は、水性
接着剤(グルー)を用いるラベル、インクジェットプリ
ンター用記録紙、各種封筒類、吸水台紙、粘着ラベル、
オフセット印刷用紙、グラビヤ印刷用紙等として有用で
ある。
【0028】
〔水溶性カチオン性重合体(分散剤)の製造〕
<参考例−1>還流冷却器、温度計、滴下ロート、攪拌
装置及びガス導入管を備えた反応器にジアリルアミン塩
酸塩(60%)500部とアクリルアミド(40%)2
00部を入れ、窒素ガスを流入させながら系内温度を5
0℃に昇温した。攪拌下で重合開始剤、2,2−アゾピ
ス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(10
%)40部を2時間おきに4回に分けて加えた。同温度
で10時間反応を行って粘稠な淡黄色液状物を得た。こ
れを50g採り、500mlのアセトン中に注ぐと白色
の沈殿を生じた。沈殿を濾別し、更に2回、100ml
のアセトンで、よく洗浄した後、真空乾燥して白色固体
状の水溶性カチオン性分散剤を得た。得られた共重合体
のGPCより求めた重量平均分子量は65万であった。
【0029】<参考例−2>還流冷却器、温度計、滴下
ロート、攪拌装置およびガス導入管を備えた反応器にジ
アリルアミン塩酸塩(60%)200部とアクリルアミ
ド(40%)40部及び水220部を入れ、窒素ガスを
流入させながら系内温度を60℃に昇温した。攪拌下で
重合開始剤、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパ
ン)ジヒドロクロライド(10%)40部を2時間おき
に4回に分けて加えた。最初の開始剤を加えて1.5時
間後から滴下ロートでアクリルアミド(18%)280
部を4時間にわたり滴下した。開始剤添加終了後、2時
間反応を続け粘稠な淡黄色液状物を得た。これを50g
採り、500mlのアセトン中に注ぐと白色の沈殿を生
じた。沈殿を濾別し、更に2回、100mlのアセトン
で、よく洗浄した後、真空乾燥して白色固体状の水溶性
カチオン性共重合体分散剤を得た。得られた共重合体の
GPCより求めた重量平均分子量は26万であった。
【0030】〔表面処理重質炭酸カルシウムの製造〕 <製造例−1>平均粒径30μmの粗粒重質炭酸カルシ
ウム(日本セメント社製乾式粉砕品)と水との重量比が
40/60となるように配合し、ここに前記参考例1で
製造した水溶性カチオン製重合体分散剤を、重質炭酸カ
ルシウム100重量部当たり0.06重量部加え、テー
ブル式アトライター型媒体攪拌ミルを用いて直径1.5
mmのガラスビーズ、充填率170%、周速10m/秒
で湿式粉砕した。次いで、ナトリウム・ステアリル・ポ
リエチレンエーテル・スルホネートの1重量%水溶液4
0部を加え攪拌した。次いで、350メッシュのスクリ
ーンを通して分級し、350メッシュを通過したスラリ
ーを(株)奈良機械製作所MSD−200媒体流動乾燥
機で乾燥した。得られた炭酸カルシウムをマイクロトラ
ック〔日機装(株)製〕で測定した平均粒径は1.5μ
mであった。また、その粉末を純水中に10重量%分散
させた液のイオン伝導度は300μSであった。
【0031】<製造例−2>製造例−1に於いて、ナト
リウム・ステアリル・ポリエチレンエーテル・スルホネ
ートに変えて、ナトリウム・ドデシル・ベンゼン・スル
ホネートの1重量%水溶液を用いた他は、同様にして平
均粒径1.5μmの炭酸カルシウム粉末を得た。またイ
オン伝導度は250μSであった。
【0032】<製造例−3>製造例−1に於いて、ナト
リウム・ステアリル・ポリエチルエーテルスルホネート
に変えて、東邦化学工業(株)製1重量%のアルキルス
ルホン酸ソーダ塩水溶液アンテックスSAS(商品名)
に変えた他は、同様にして平均粒径1.5μmの炭酸カ
ルシウム粉末を得た。またイオン伝導度は380μSで
あった。
【0033】<製造例−4>前記製造例−1と同様の割
合に配合し、アトライター型媒体攪拌ミルの条件の内、
直径1.5mmのガラスビーズを用い攪拌時間を延長し
た他は製造例1と同様にして湿式粉砕し、スルホン酸塩
処理した重質炭酸カルシウムを得た。得られた炭酸カル
シウムをマイクロトラックで測定した平均粒子径は1.
0μmであった。またイオン伝導度は340μSであっ
た。
【0034】<製造例−5>前記製造例−1と同様の割
合に配合し、アトライター型媒体攪拌ミルの条件の内、
直径1.0mmのガラスビーズを用い製造例−4より更
に攪拌時間を延長した他は製造例−1と同様にして湿式
粉砕し、スルホン酸塩処理した重質炭酸カルシウムを得
た。得られた炭酸カルシウムをマイクロトラックで測定
した平均粒子径は0.4μmであった。またイオン伝導
度は420μSであった。
【0035】<製造例−6>平均粒径30μmの粗粒重
質炭酸カルシウム(日本セメント社製乾式粉砕品)と水
との重量比が40/60となるように配合し、ここに前
記参考例−2で製造した水溶性カチオン性共重合体分散
剤を、重質炭酸カルシウム100重量部当たり0.06
重量部加え、テーブル式アトライター型媒体攪拌ミルを
用いて直径1.5mmのガラスビーズ、充填率170
%、周速10m/秒で湿式粉砕し、製造例−1で用いた
ナトリウム・ステアリル・ポリエチレンエーテル・スル
ホネートを用いた他は同様にして、平均粒径1.0μm
の炭酸カルシウムの粉末を得た。またイオン伝導度は3
20μSであった。
【0036】(実施例−1) (1)MFRが0.8g/10分、融点が164℃(D
SCピーク温度)、結晶化度67%のポリプロピレン
(三菱化学(株)社製)70重量%、高密度ポリエチレ
ン5重量%の混合物に前記製造例−1にて得られた平均
粒子径1.5μmの炭酸カルシウムを22重量%を配合
〔イ〕し、270℃に設定した押出機にて溶融混練した
後、シート状に押し出し、冷却装置にて50℃まで冷却
して無延伸シートを得た。このシートを135℃に加熱
した後縦方向に5倍延伸した。
【0037】(2)MFRが2g/10分のポリプロピ
レン(三菱化学社製)40重量%と前記製造例−1にて
得られた平均粒子径が1.5μmの炭酸カルシウムを6
0重量%を配合〔ロ〕し、押出機にて270℃で溶融混
練させた後、前記(1)の項にて製造して得られた5倍
延伸シートの両面に2台の押出機を用いて積層した。
【0038】この3層構造の積層シートを155℃の温
度に加熱した後、テンター延伸機を用いて横方向に8倍
の延伸フィルムを得た。次いで春日電機(株)製放電処
理機を用いて50w/m2 ・分のコロナ処理を行って、
3層構造の延伸フィルムを得た。この3層構造の延伸フ
ィルムの各層(〔ロ〕/〔イ〕/〔ロ〕)の厚みは、2
0μm/60μm/20μmでベック平滑度800秒、
密度0.78g/cm3 、空孔率35%、不透明度93
%、であった。
【0039】(比較例−1) (1)MFRが0.8g/10分、融点が164℃(D
SCピーク温度)、結晶化度67%のポリプロピレン
(三菱化学社製)70重量%、高密度ポリエチレン8重
量%の混合物に、平均粒子径1.5μmの乾式粉砕され
たイオン伝導度が63μSを示す炭酸カルシウム〔白石
カルシウム(株)製〕を22重量%を配合〔イ〕し、2
70℃に設定した押出機にて溶融混練した後、シート状
に押し出し、冷却装置により50℃まで冷却して、無延
伸シートを得た。このシートを135℃に加熱した後、
縦方向に5倍延伸した。
【0040】(2)MFRが2g/10分のポリプロピ
レン(三菱化学社製)40重量%と平均粒径が1.5μ
mの乾式粉砕された重質炭酸カルシウム〔白石カルシウ
ム(株)製〕を60重量%を配合〔ロ〕し、押出機にて
270℃で溶融混練させた後、(1)の項にて製造し
て、得られた5倍延伸シートの両面に2台の押出機を用
いて積層した。この3層構造の積層シートを155℃の
温度に加熱した後、テンター延伸機を用いて横方向に8
倍の延伸フィルムを得た。次いで春日電機(株)製放電
処理機を用いて50w/m2 ・分のコロナ処理を行っ
て、3層構造の延伸フィルムを得た。この3層構造の延
伸フィルムの各層(〔ロ〕/〔イ〕/〔ロ〕)の厚み
は、20μm/60μm/20μmでベック平滑度45
0秒、密度0.70g/cm3、空孔率41%、不透明
度93%であった。
【0041】(比較例−2) (1)MFRが0.8g/10分、融点が164℃(D
SCピーク温度)、結晶化度67%のポリプロピレン
(三菱化学社製)70重量%、高密度ポリエチレン8重
量%の混合物に、平均粒子径0.15μmの合成された
イオン伝導度が89μSを示す軽質炭酸カルシウム(白
石カルシウム社製)を22重量%を配合〔イ〕し、27
0℃に設定した押出機にて溶融混練した後、シート状に
押し出し、冷却装置により50℃まで冷却して、無延伸
シートを得た。このシートを135℃に加熱した後、縦
方向に5倍延伸した。
【0042】(2)MFRが2g/10分のポリプロピ
レン〔三菱化学(株)製〕40重量%と平均粒径が0.
15μmの合成された軽質炭酸カルシウム(白石カルシ
ウム社製)を60重量%を配合〔ロ〕し、押出機にて2
70℃で溶融混練させた後、(1)の項にて製造して得
られた5倍延伸シートの両面に2台の押出機を用いて積
層した。この3層構造の積層シートを155℃の温度に
加熱した後、テンター延伸機を用いて横方向に8倍の延
伸フィルムを得た。次いで春日電機(株)社製放電処理
機を用いて50w/m2 ・分のコロナ処理を行って、3
層構造の延伸フィルムを得た。この3層構造の延伸フィ
ルムの各層(〔ロ〕/〔イ〕/〔ロ〕)の厚みは、20
μm/60μm/20μmであった。
【0043】(実施例−2〜8)実施例−1の各層の配
合〔イ〕、〔ロ〕を表−1記載のものに変更した以外は
実施例−1に記載の方法と同様の方法で積層延伸フィル
ムを得た。
【0044】(実施例−9)MFRが2g/10分、融
点が164℃(DSCピーク温度)、結晶化度87%の
ポリプロピレン(三菱化学社製)70重量%、高密度ポ
リエチレン8重量%の混合物に、前記製造例−4にて得
られた平均粒子径1.0μmの炭酸カルシウムを22重
量%配合した物を〔イ〕とし、MFRが20g/10分
のポリプロピレン(三菱化学社製)40重量%と前記製
造例−4にて得られた平均粒子径が1.0μmの炭酸カ
ルシウムを60重量%配合した物を〔ロ〕とし、これら
を別々に押出機にて270℃で溶融混練し、配合物
〔イ〕が中心層に、配合物〔ロ〕がその両側になる様に
積層して共押出し、冷却装置により冷却して無延伸の3
層構造のシートを得た。
【0045】次いでこのシートを135℃に加熱した
後、縦方向に5倍延伸した1軸延伸フィルムを得た。更
にこのフィルム表面に春日電機(株)製放電処理機を用
いて50w/m2 ・分のコロナ処理を行って、3層構造
の延伸フィルムを得た。この3層構造の延伸フィルムの
各層(〔ロ〕/〔イ〕/〔ロ〕)の厚みは、20μm/
60μm/20μmで、ベック平滑度950秒、密度
0.85g/cm3 、空孔率29%、不透明度93%で
あった。
【0046】(実施例−10)実施例−9の配合及び層
構造〔ロ〕/〔イ〕/〔ロ〕は、同条件で各層の厚みを
変更した他は実施例−9と同方法で3層構造の1軸延伸
シートを得た。次いで、155℃に加熱したテンター延
伸機を用いて横方向に8倍の延伸を行って3層構造の2
軸延伸フィルムを得た。更にこのフィルム表面に春日電
機(株)製放電処理機を用いて50w/m2 ・分きコロ
ナ処理を行って、3層構造の延伸フィルムを得た。この
3層構造の延伸フィルムの各層(〔ロ〕/〔イ〕/
〔ロ〕)の厚みは、15μm/50μm/15μmでベ
ック平滑度2000秒、密度0.70g/cm3 、空孔
率42%であった。
【0047】(比較例−3〜4)実施例−9の記載の方
法に於いて配合物〔イ〕、〔ロ〕を表−2に記載のもの
に変更した以外は、実施例−9記載の方法と同様の方法
にて積層延伸フィルムを得た。
【0048】(比較例−5〜6)実施例−10記載の方
法において配合物〔イ〕、〔ロ〕を表−2に記載のもの
に変更した以外は、実施例−10に記載の方法と同様の
方法にて積層延伸フィルムを得た。
【0049】実施例−1〜10及び比較例−1〜6で得
た延伸フィルムの表面に、キャノン(株)の水性インク
ジェットプリンター(商品名:BJC−410C)を用
い、専用インク(BCI−21)のイエロー、マゼン
タ、シアン、ブラックのカラー印刷を施し、インクを乾
燥した時間を調べたところ、表−1に示す乾燥時間であ
った。次いで、印字された延伸フィルムの一部に、ニチ
バン(株)製粘着テープ「セロテープ」(商品名)を印
字面上に強く接着させ、次いで接着面に沿ってすばやく
粘着テープを剥離し、合成紙面上のインクの残存率は表
−1に示す通りであった。水性接着剤の乾燥性の評価は
下法によって実施した。実施例及び比較例で得られた延
伸フィルムを縦8cm、横8cmに断裁し、その表面に
澱粉系接着剤〔常磐化学工業(株)製:トキワノール6
00(固形分33%)(商品名)〕をアプリケーターを
用いて10μmの厚さに均一に塗布し、塗布した面の水
分が浸透して光沢感が無くなる迄の時間を乾燥時間とし
た。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明により、表面に親水性を持った微
細な炭酸カルシウム粒子が突出するとともに、この炭酸
カルシウムの粒子を核として微細な亀裂が多数作り出さ
れることにより、水性インクや水性接着剤の吸水性が向
上し、乾燥性が早く、かつ印字適性にも優れる延伸樹脂
フィルム(合成紙)が得られた。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C08J 5/18 CES C08J 5/18 CES B29K 23:00 105:04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)結晶性ポリオレフィン樹脂30〜
    80重量%、(B)炭酸カルシウム粒子100重量部
    を、ジアリルアミン塩及びアルキルアリルアミン塩より
    選ばれたアミン塩10〜95モル%とアクリルアミド及
    びメタクリルアミドより選ばれたアミド90〜5モル%
    との共重合体よりなる分散剤0.05〜2重量部の存在
    下、水性媒体中で湿式粉砕し、更にこの粉砕物を一価ア
    ルコールのアルキレンオキサイド付加物のスルホン酸
    塩、アルキルスルフォン酸塩及びアルキルベンゼンスル
    ホン酸塩より選ばれたスルホン酸塩の0.5〜10重量
    部で水性媒体中で処理し、次いで乾燥した平均粒径が
    0.3〜2μmの炭酸カルシウム粒子70〜20重量
    %、を含有する樹脂組成物を基材とする樹脂フィルム
    を、上記成分(A)の結晶性ポリオレフィン樹脂の融点
    より低い温度で延伸して得られる延伸樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 成分(B)の炭酸カルシウム10重量部
    をイオン交換水100重量部中に分散させた状態での分
    散液のイオン伝導度が、200μS以上を示すものであ
    る請求項1記載の延伸樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 延伸樹脂フィルムが、次式で示される空
    孔率が10〜50%のものである請求項1記載の延伸樹
    脂フィルム。 【数1】
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