JPH10206789A - 車両用ヘッドマウントディスプレイ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンパクトで、ドライバの顔の向きにもかか
わらず常に映像を表示でき安全運転に必要な情報を伝達
することができると共に、視力の弱い人や高齢者でも分
かりやすい情報を表示することのできる車両用ＨＭＤ装
置を提供することを目的とする。 【解決手段】 ドライバ状態検出手段によって検出され
るドライバの頭の位置若しくは視線の動きに応じて外部
情景撮影手段が連動し、視線方向及び死角方向の外部情
景画像が撮影される。この外部情報画像情報に画像加工
生成手段によって生成される危険物情報等の外部画像情
報が表示情報加工処理手段において重合され、ドライバ
に認識容易な外部情景画像を生成してその眼前において
表示する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は安全運転用の視覚補
助装置に関するものであり、詳しくは運転時に運転者の
頭部に装着されて使用される車両用のヘッドマウントデ
ィスプレイ（以下、ＨＭＤという）装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来より車両の情報機器等においては、
安全運転のために車両に搭載され、画像により情報支援
を行う各種新表示デバイスの研究が進んでおり、例えば
ブラウン管ディスプレイ（ＣＲＴ）装置、液晶パネル
（ＬＣＤ素子）の他、ヘッドアップディスプレイ（ＨＵ
Ｄ）装置等も使用されはじめている。また、最近では新
たな表示デバイスとしてヘッドマウントディスプレイ
（ＨＭＤ）装置も開発されている。特に、このＨＭＤ装
置は従来の表示デバイスと異なり、使用者の頭部に装着
され、コンパクトで頭の動きに関係なく映像を表示でき
る等のメリットがあるが、未だ娯楽用のドライビングシ
ュミレーション等に用いられているのみであり、現実の
車両用表示デバイスとして実用的に使用はされていな
い。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、ＣＲＴディ
スプレイ装置やＬＣＤパネル等、従来の表示装置は車内
の計器類表示板等に設置するしかなく、車内のレイアウ
ト上の自由度は極めて限られていた。また、これらの表
示系は車内の決められた位置に設置され、表示部が固定
されてしまうため脇見をしている場合など運転者の顔の
向きによっては物理的に情報を伝達できなかったし、通
常の運転時においても運転者の視線の移動量が大きく、
その情報内容によっては安全運転に支障をきたす恐れも
あった。これに対し、ＨＵＤディスプレイ装置はフロン
トガラス上に表示でき、大画面にすれば運転者の視線移
動はほとんどないが光学系が極めて複雑でありコストも
高いものであったし、表示部が固定されてしまうため脇
見をした場合等においては上述の表示系と同様、情報伝
達上に問題があった。

【０００４】本願発明はこのような事情に鑑みてなされ
たものであり、コンパクトで運転者の顔の向きにもかか
わらず常に映像を表示でき安全運転に必要な情報を伝達
することができると共に、視力の弱い人や高齢者でも分
かりやすい情報を表示することのできる車両用ＨＭＤ装
置を提供することを目的としたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、本発明に係る車両用ＨＭＤ装置は画像表示手段
と、少なくとも１以上の外部情景撮影手段と、第１画像
加工生成手段と、第２画像加工生成手段と、ドライバ状
態検出手段と、外部情景撮影制御手段と、表示情報加工
処理手段とを有して構成されている。

【０００６】画像表示手段は車両の運転者の頭部に装着
され、この運転者の眼前において画像を表示するもので
あり、通常、液晶パネル（ＬＣＤ）等が使用される。外
部情景撮影手段は車両の運転者が認識すべき車両外部情
景を撮影するカメラ等であり、第１画像加工生成手段は
前記外部情景撮影手段によって撮影された映像を画像表
示手段に表示させるために外部情景画像情報に加工し生
成するものである。

【０００７】第２画像加工生成手段はこれら撮影手段を
含む第１画像加工生成手段とは別に車両情報を車両画像
情報に加工し生成するものである。このような車両情報
としてナビゲーションシステムからの現在位置情報、車
両速度若しくは加速度情報又は車両故障情報などが使用
される。なお、この第２画像情報生成手段は走行路混雑
情報、基本的な施設物情報、あるいは車両規制情報等の
車両外部情報を画像情報に加工し生成するものであって
もよいし、車両内部及び外部の両情報を含むものであっ
てもよい。

【０００８】ドライバ状態検出手段は車両の運転者の頭
部の動き若しくは視線の動きのいずれか一方又は双方を
検出するものであり、外部情景撮影制御手段はこのドラ
イバ状態検出手段の検出結果に対応して外部情景撮影手
段を制御し車両外部情景の撮影方向を決定する。また、
表示情報加工処理手段もドライバ状態検出手段の検出結
果に対応して作動し、外部情景画像に車両画像情報を重
ねて表示するために、外部情景画像情報及び車両画像情
報のいずれか一方若しくは双方の表示形態、表示位置、
表示の大きさ等を変化させた画像情報を画像表示手段に
出力する。

【０００９】このような構成の車両用ＨＭＤ装置では、
ドライバ状態検出装置によって検出される運転者の頭の
位置若しくは視線の動きに応じて外部情景撮影手段が連
動し撮影方向が決定される。このため、ピラー（窓枠）
等による運転者の死角方向の画像も外部情景撮影手段に
よって撮影が可能となる。さらに、これらの画像は表示
情報加工処理手段によってその表示態様等が決定され、
運転者の視線方向の外部情景画像に必要な各種情報が重
合されて表示されるので、運転者がどの方向を向いてい
ても安全運転に必要な情報を確実に伝達でき、運転者が
警報表示を見逃すことがなくなる。また、眼前において
簡単に大画面化が達成できるので視力の弱い人や高齢者
にとってもわかりやすい情報を表示することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明に係る車両用ＨＭＤ装置の
実施の形態について図面を参照して説明する。図１は車
両用ＨＭＤ装置の人体装着部分１の外観図を示してい
る。この車両用ＨＭＤ装置の人体装着部分１のハウジン
グは全体がメガネ形状をしており、人間の頭部に装着し
たときに顔の両眼部の前方に位置する二つの表示部１２
と、この表示部１２を支持すると共に顔の両眼部前方に
表示部１２を固定するバンド部材１３と、このバンド部
材１３が頭部から下方にずり落ちないように頭部頂点で
支持するサポート部材１４とから構成されている。

【００１１】このサポート部材１４の頭頂部には頭部の
動き（前後左右傾動、回転運動）を検知する頭部位置検
出装置１６１が、二つの表示部１２には視線方向を検出
する視線位置検出装置１６２が取り付けられている。こ
れら検出装置１６１、１６２は画像信号等の入出力のた
めのケーブル１５を介して車両本体に設置された制御部
に連結されている。

【００１２】図２は本発明に係る車両用ＨＭＤ装置の構
成図を示すものである。図２において、２は外部情景撮
影手段であり、この外部情景撮影手段２は車両ドライバ
が走行中に認識すべき車両外部情景を広角度で撮影する
２台のカメラ２１、２２から構成されている。２台のカ
メラ２１、２２は図３に示すように車体前方部と車体屋
上部にそれぞれ設置されている。また、２台のカメラ２
１、２２は図４に示すように自由度２の操作が可能であ
り、水平面に対して上下方向の傾動動作、及び水平面上
を３６０度回転動作が可能に取り付けられている。

【００１３】車体前方部に設置されるカメラ２１はドラ
イバの視線方向の映像を撮影するカメラであり、カメラ
２２はドライバの死角となる方向を撮影するカメラであ
る。カメラ２１により走行環境の基礎画像（走行方向の
画像）が撮影され、カメラ２２によりドライバには見え
ない方向の危険物等が感知される。もちろん、ドライバ
に与える基礎画像をカメラ２２による画像にしてもよい
し、またカメラ２１、２２の役割を入れ替えてカメラ２
２によってドライバの視線方向の映像を撮影してもよ
い。切替はドライバ操作スイッチの手動操作により、あ
るいは各種情報に連動させて自動的に行うことができ
る。

【００１４】３は第１画像加工生成手段であり、この第
１画像加工生成手段３は外部情景撮影手段２によって撮
影された映像を画像表示手段１２０に表示可能な画像情
報に加工し生成する。二つのカメラ２１、２２により撮
影された映像はそれぞれ別々に加工され表示情報加工処
理手段６に出力される。画像表示手段１２０は前記二つ
の表示部１２から構成されており、それぞれの画像を重
ね合わせてドライバの眼前において立体画像として表示
することができる。

【００１５】４は第２画像加工生成手段であり、この第
２画像加工生成手段４は車両内部情報生成手段４１と車
両外部情報生成手段４２とから構成されている。車両内
部情報生成手段４１は車両の現在位置情報、速度情報、
あるいは車両の異常若しくは故障情報等の車両自体にか
かわる情報を検知し画像表示可能な情報に加工し生成す
るものであり、車両外部情報生成手段４２は走行路混雑
情報、基本的な施設建造物情報、あるいは制限速度のよ
うな車両規制情報等を検知し画像表示可能な情報に加工
し生成するものである。これら情報はそれぞれ表示情報
加工処理手段６に出力される。

【００１６】１６はドライバ状態検出手段であり、この
ドライバ状態検出手段１６は頭部位置検出手段１６１と
視線位置検出手段１６２とから構成されている。頭部の
動き（前後左右傾動、回転運動）を検知する頭部位置検
出装置１６１は水準器や小型ジャイロ等によって構成す
ることができる。例えば、前後左右の傾動動作は水準器
により、小型ジャイロ等の角速度計を用いれば左右回転
角を求めることができる。また、視線位置検出装置１６
２は例えば二つの表示部１２の平面上に設けられたＸＹ
座標等によって瞳孔方向を決定し検出することができ
る。

【００１７】５は外部情景撮影制御手段であり、この外
部情景撮影制御手段５はドライバ状態検出手段１６が検
出したドライバの視線方向に対応して外部情景撮影手段
２である２台のカメラ２１、２２の作動を制御し撮影方
向を決定するものである。これによりドライバに必要な
情報となる車両外部情景の撮影が可能になる。なお、こ
の外部情景撮影制御手段５によりカメラ２１、２２の役
割を適宜入れ替えて、車体屋上部に設置されたカメラ２
２によりドライバの視線方向の映像を撮影できるように
することもできる。このようにすればドライバは搭乗し
ている自車を上から見た映像で運転することが可能とな
り、狭い道路を通過するときには自車の車幅の見切りが
つけやすくなるという利点も生ずる。

【００１８】６は表示情報加工処理手段であり、この表
示情報加工処理手段６は画像表示手段１２０に表示する
画像をドライバの視線位置に対応して目的にあった表示
形態に変化させるものである。この表示情報加工処理手
段６には第１画像加工生成手段３により生成された外部
情景画像情報と、第２画像加工生成手段４により生成さ
れた車両内部状態及び車両外部に関する基礎情報等の車
両画像情報とが入力されており、画像処理手段１２０に
おいて車両画像情報を外部情景画像上に重ねて表示する
ために、車両画像情報の表示形態、表示位置、表示の大
きさ等を変化させる。このとき、外部情景画像自体を変
化させてより見やすい表示に加工してもよい。

【００１９】１２０は画像表示手段であり、この画像表
示手段１２０には一般に液晶パネル（ＬＣＤ素子）が使
用される。この液晶パネルは車両用ＨＭＤ装置の表示部
１２に配置されており、ドライバの眼前において前記表
示情報加工処理手段６から出力される画像情報を表示す
ることができる。なお、７は制御回路であり、この制御
回路７は各手段が正しく整合して動作するように作動制
御するものである。

【００２０】このように構成された本発明に係る車両用
ＨＭＤ装置の作動について説明する。ドライバが車両に
搭乗し運転席に装備された車両用ＨＭＤ装置の人体装着
部分１を頭部に装着して、この車両用ＨＭＤ装置を作動
させるとドライバ状態検出手段１６の頭部位置検出装置
１６１と視線位置検出装置１６２がともに作動しドライ
バの視線方向の検出を行う。例えば車両の走行方向の視
線高さを基準として頭部の左右回転角並びに上下方向仰
角を頭部位置検出装置１６１で検出し、全体としての視
線方向（顔の正面方向）を決定した後、その位置におけ
るドライバの視線方向を視線位置検出装置１６２によっ
て検出し、最終的に車両の走行方向に対するドライバの
視線方向を検出する。

【００２１】このドライバ状態検出手段１６によって検
出された位置検知結果は外部情景撮影制御手段５に伝達
され、必要な制御情報に変換されてカメラ２１、２２の
作動を制御する。例えば、カメラ２１は検出された視線
方向の外部情景の映像を撮影することができる方向に作
動され、またカメラ２２は検知された視線方向に対して
ピラー等によりドライバの死角となる方向を撮影するこ
とができるように作動され、運転者にとって安全運転に
必要な２方向の外部情景がそれぞれのカメラ２１、２２
によって撮影される。なお、ドライバに与える基礎画像
はカメラ２１によるものが通常であるがこれに限らず、
カメラ２２による映像に適宜切換えが可能である。この
ような切替制御により、ドライバは自車を上から見た映
像等をみながらの運転も可能となり、狭い道路の通過に
効果がある。

【００２２】撮影された外部情景の映像は第１画像加工
生成手段３に送られ、それぞれ別々の画像情報に加工し
生成される。この画像情報は一般にディジタル情報とし
て生成されており、液晶パネル等の画像表示手段１２０
に直接表示可能な情報として表示情報加工処理手段６に
出力される。一方、この車両の走行時には車両の速度の
ような車体情報あるいはナビゲーションシステムを有す
る場合には現在位置のような内部情報や道路の制限速度
のような外部情報が取得され、第２画像加工生成手段４
により画像表示可能な情報に生成されている。そして、
前述の外部情景画像情報に同期して表示情報加工処理手
段６に出力される。

【００２３】表示情報処理加工手段６では、これらの画
像入力情報をもとに人間の最も認識しやすい画像表示形
式に変換するため、それぞれの画像情報の表示態様、表
示位置を決定する。例えば図５に示すように、基礎画像
をカメラ２１によって撮影されたドライバの視線方向の
外部情景画像とし、この基礎画像に重合して危険物及び
その位置、進行方向等の情報、車両内部情報若しくは一
般情報等を円形若しくは矩形の枠内に表示するように表
示態様等を決定する。図５における円形枠内は画面左手
から来る歩行者の注意情報であり、画面右手上の矩形枠
内は前方渋滞情報である。また、画面左下には速度情報
をディジタル表示した場合の例を示している。なお、こ
のような表示態様は本発明に係る車両用ＨＭＤ装置の一
実施例にすぎず、適切な表示態様を自由に選択すること
ができる。

【００２４】

【発明の効果】以上のように、本発明による車両用ＨＭ
Ｄ装置によれば、ドライバ状態検出装置によって検出さ
れるドライバの頭の位置若しくは視線の動きに応じて外
部情景撮影手段が連動し撮影方向が決定される。さら
に、安全運転に必要な各種情報がドライバの視線方向の
外部情景画像に重合されて表示されるので、ドライバが
どの方向を向いていても必要な情報が適切確実に伝達で
き警報表示を見逃すことがなくなる。また、眼前におい
て簡単に大画面化が達成できるので視力の弱い人や高齢
者にとってもわかりやすい情報を表示することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る車両用ＨＭＤ装置の外観図であ
る。

【図２】本発明に係る車両用ＨＭＤ装置の構成図であ
る。

【図３】２台のカメラの取付位置を示す説明図である。

【図４】カメラの動きを示す説明図である。

【図５】本発明に係る車両用ＨＭＤ装置の表示画像の一
例を示す図である。

【符号の説明】

１ 車両用ＨＭＤ装置の人体装着部分 ２ 外部情景撮影手段 ３ 第１画像加工生成手段 ４ 第２画像加工生成手段 ５ 外部情景撮影制御手段 ６ 表示情報加工処理手段 ７ 制御回路 １２ 表示部 １６ ドライバ状態検出装置 ２１、２２ カメラ １２０ 画像表示手段

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両の運転者の頭部に装着され、この運
   転者の眼前において画像を表示する画像表示手段と、 前記車両の運転者が認識すべき車両外部情景を撮影する
   少なくとも１以上の外部情景撮影手段と、 前記画像表示手段に車両外部情景を表示するために、前
   記外部情景撮影手段によって撮影された映像を外部情景
   画像情報に加工し生成する第１画像加工生成手段と、 前記車両の車両情報を車両画像情報に加工し生成する第
   ２画像加工生成手段と、 前記車両の運転者の頭部の動き若しくは視線の動きのい
   ずれか一方又は双方を検出するドライバ状態検出手段
   と、 このドライバ状態検出手段の検出結果に対応して前記外
   部情景撮影手段を制御し車両外部情景の撮影方向を決定
   する外部情景撮影制御手段と、 前記車両の車両情報を外部情景画像に重ねて前記画像表
   示手段に表示するために、前記ドライバ状態検出手段の
   検出結果に対応して外部情景画像情報及び車両画像情報
   のいずれか一方若しくは双方の表示形態、表示位置を変
   化させる表示情報加工処理手段とからなる車両用ヘッド
   マウントディスプレイ装置。
2. 【請求項２】 前記車両の車両情報が現在位置情報、車
   両速度情報、あるいは車両異常情報等の車両内部情報で
   あることを特徴とする請求項１に記載の車両用ヘッドマ
   ウントディスプレイ装置。
3. 【請求項３】 前記車両の車両情報が走行路混雑情報、
   施設物情報、あるいは車両規制情報等の車両外部情報で
   あることを特徴とする請求項１に記載の車両用ヘッドマ
   ウントディスプレイ装置。