JPH10204418A - 研磨材組成物及びこれを用いたカーボン材料からなる基板の製造方法 - Google Patents

研磨材組成物及びこれを用いたカーボン材料からなる基板の製造方法

Info

Publication number
JPH10204418A
JPH10204418A JP1289997A JP1289997A JPH10204418A JP H10204418 A JPH10204418 A JP H10204418A JP 1289997 A JP1289997 A JP 1289997A JP 1289997 A JP1289997 A JP 1289997A JP H10204418 A JPH10204418 A JP H10204418A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polishing
abrasive
abrasive composition
weight
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP1289997A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuzo Yamamoto
裕三 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP1289997A priority Critical patent/JPH10204418A/ja
Publication of JPH10204418A publication Critical patent/JPH10204418A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 被研磨材料の表面にピットやスクラッチ等の
欠陥を生じさせること無く、研磨速度が向上し且つ表面
粗さを低くし得る研磨材組成物を提供すること。 【解決手段】 少なくとも研磨材と研磨助剤と水とを含
む本発明の研磨材組成物は、上記研磨助剤が、重量平均
分子量1000〜100万であり、分子量500単位当
たりにフェニルプロパン骨格を平均1個以上有する水溶
性又は水分散性のリグニン又はその誘導体からなること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、研磨材組成物に関
し、更に詳しくは研磨速度が向上し且つ表面粗さを低く
し得る研磨材組成物に関する。また、本発明は該研磨材
組成物を用いたカーボン材料からなる基板の製造方法、
特に磁気記録媒体用基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】研磨材
組成物に関する従来技術としては、例えば一般にサブミ
クロンから数10ミクロンサイズのダイヤモンドやアル
ミナ、SiCなどの研磨砥粒を水中に分散させてなり、
ガラス素材、カーボン基板及びセラミックス素材のよう
な脆性材料の表面研磨に用いられる研磨材組成物が知ら
れている(特開昭54−89389号公報、特開平1−
205973号公報等)。しかし、従来の研磨材組成物
では、研磨砥粒の分散の程度や研磨粉(研磨により発生
した研磨屑)の分散除去・再付着防止が不十分であるた
め、被研磨物の表面にピットやスクラッチ等の欠陥が生
じたり、また、研磨速度が上げられず、低コスト化に限
界があった。また、効果の高い研磨材組成物も知られて
いるが、そのような研磨材組成物は価格が高いために、
やはり低コスト化に限界があった。
【0003】従って、本発明の目的は、被研磨材料の表
面にピットやスクラッチ等の欠陥を生じさせること無
く、研磨速度が向上し且つ表面粗さを低くし得る研磨材
組成物を提供することにある。更に、本発明の目的は、
ピットやスクラッチの発生が防止された基板、特に磁気
記録媒体用基板の製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、研磨助剤として特定のリグニンを用いた研磨材
組成物、及びこれを用いたカーボン材料からなる基板の
製造方法により上記目的が達成されることを知見した。
【0005】本発明は上記知見に基づきなされたもの
で、少なくとも研磨材と研磨助剤と水とを含む研磨材組
成物において、上記研磨助剤が、重量平均分子量100
0〜100万であり、分子量500単位当たりにフェニ
ルプロパン骨格を平均1個以上有する水溶性又は水分散
性のリグニン又はその誘導体からなることを特徴とする
研磨材組成物を提供することにより上記目的を達成した
ものである。
【0006】また、本発明は少なくとも研磨材と研磨助
剤と水とを含有する研磨材組成物を用いた研磨工程を有
するカーボン材料からなる基板の製造方法において、上
記研磨材組成物を用いたことを特徴とする基板の製造方
法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の研磨材組成物に使用され
るリグニン又はその誘導体(以下、「リグニン類」とい
う)は研磨助剤として用いられているものである。該リ
グニン類としては、木材パルプ製造の際の副生物として
一般に知られている、フェニルプロパンを骨格とする構
成単位が縮合してできた三次元網状高分子化合物であっ
て、水溶性又は水分散性のものが用いられる。尚、上記
リグニン類が木材パルプ製造時の不純物を含有していて
も本発明の効果は損なわれるものではないが、該不純物
の量は少なければ少ないほど好ましい。
【0008】上記リグニン類は、上述の通り、フェニル
プロパンを骨格とする構成単位が縮合してできた三次元
網状高分子化合物の混合物である。該リグニン類は一種
又は二種以上を組み合わせて用いることができる。尚、
本明細書において、「リグニンの誘導体」とは、(イ)
リグニンに種々の極性基を導入したもの(これについて
は後述する)、(ロ)Fe、Cr、Mn、Mg、Zn、
Al等の重金属イオンをキレートさせたもの、(ハ)ナ
フタレンやフェノール等の有機化合物や有機高分子を付
加させたもの、エチレンオキサイドやプロピレンオキサ
イドを付加させたもの等を意味する。
【0009】上記リグニン類を使用することにより、研
磨材及び研磨粉(被研磨物が研磨されて発生した研磨
屑)の分散性、並びに被研磨物(特にカーボン材料)へ
の再付着が一層効果的に防止され、研磨速度が向上し且
つ表面粗さが低くなる。また、該リグニン類は価格も低
いため、低コスト化も可能となる。
【0010】上記リグニン類は、その重量平均分子量が
1000〜100万である。該重量平均分子量が100
0に満たないと分散安定性が不足してしまい、100万
を超えると水溶性又は水分散性が低下し、効果が不十分
となってしまう。上記重量平均分子量は、2,000〜
50万であることが好ましく、5,000〜5万である
ことが更に好ましい。尚、本明細書において、「重量平
均分子量が1000〜100万である」とは、重量平均
分子量1000未満の低分子量成分及び重量平均分子量
100万超の高分子量成分が除去されている場合、又は
重量平均分子量1000未満の低分子量成分及び重量平
均分子量100万超の高分子量成分が非常に少ないもの
で分子量分布のピークを1000〜100万の間にも
ち、少なくとも50%以上の成分がこの分子量領域に存
在する場合をいう。また、上記重量平均分子量は、ゲル
・パーミエーション・クロマトグラフィー(ポリスチレ
ン換算)により測定された値である。
【0011】上記リグニン類は、研磨材や研磨粉への吸
着安定性、つまり研磨材や研磨粉の分散性、研磨粉の再
付着防止性の点から、分子量500単位当たりにフェニ
ルプロパン骨格を平均1個以上有しており、好ましくは
平均1〜4個有する。
【0012】上記リグニン類は、本発明の研磨材組成物
中に好ましくは0.01〜30重量%配合されることが
好ましい。該リグニン類の配合量が0.01重量%満た
ないと研磨速度の向上及び表面粗さの低下の効果が十分
に発現しないことがあり、30重量%を超えると研磨材
組成物が増粘して作業性が低下したり、研磨材組成物の
排水負荷が増えることがあるので上記範囲内とすること
が好ましい。上記リグニン類の配合量は更に好ましくは
0.05〜10重量%であり、一層好ましくは0.1〜
5重量%である。
【0013】上記リグニンは、研磨材組成物への溶解性
の点から極性基を含有していることが好ましい。特に、
該極性基として、スルホン酸基、カルボキシル基、リン
酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、ホ
スフィン酸基、亜ホスフィン酸基、第3級アミノ基、第
4級アンモニウム塩基、又はニトロ基を一種又は二種以
上含有することが好ましく、とりわけスルホン酸基、カ
ルボキシル基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩
基を含有することが好ましい。尚、上記リグニンにこれ
らの極性基を導入するには、例えばスルホン酸基の導入
には、スルホン化剤として発煙硫酸を用いるスルホン化
方法、第3級アミノ基や第4級アンモニウム塩基の導入
には、マンニッヒ反応を用いるアミノ化方法等の公知の
方法を用いることができる。
【0014】上記リグニンが上記極性基として酸基を有
している場合、該酸基は塩となっていてもよい。斯かる
塩の種類としては、Na塩、K塩、Ca塩、Mg塩、C
r塩、Fe塩、Al塩、Mn塩、アンモニウム塩等が挙
げられる。
【0015】上記リグニン類は、上記極性基を分子量5
00単位当たりに平均0.3〜4個含有することが好ま
しく、0.3〜3個含有することが更に好ましく、0.
5〜2個含有することが一層好ましい。極性基の含有量
が0.3個に満たないと研磨材組成物への溶解性が低下
し、研磨材や研磨粉の分散性が悪くなり、4個を超える
と上記リグニン類の合成上コストアップとなる場合があ
るので上記範囲内とすることが好ましい。
【0016】研磨助剤として上記リグニン類を用いるこ
とにより研磨速度が向上し且つ表面粗さが低くなる理由
は必ずしも明確ではないが、以下の通りであると推察さ
れる。即ち、上記リグニン類の作用により、研磨により
発生した研磨粉は被研磨物の表面及び研磨時に研磨パッ
ドを用いる場合には該研磨パッド表面から素早く除去さ
れる。その結果、被研磨物の表面には常に新しい面が次
々と露出し、且つ研磨パッド表面への研磨材の捕捉率及
び研磨材安定性(捕捉力)が高まり作用研磨材数が増え
る結果、研磨速度が向上するものと考えられる。また、
作用研磨材数が増えると、個々の研磨材に加わる荷重が
低下するので、除去単位が小さくなり、更に、上記リグ
ニン類の作用により研磨材の分散性が向上して被研磨物
の表面に研磨材が均一に作用するようになり、その結
果、表面粗さが低くなるものと考えられる。また、上記
リグニン類における芳香族部分は温度や圧力に対する分
解安定性が高いので、研磨を高加圧条件下で行うことが
でき、これによっても研磨速度の向上に結びつけること
ができる。
【0017】次に、本発明の研磨材組成物に使用される
研磨材について説明すると、該研磨材としては、研磨用
として一般に使用されている研磨砥粒を使用することが
できる。該研磨材の具体例としては、アルミナ系粒子、
SiC粒子、ダイヤモンド粒子、ZrO2 粒子、MgO
粒子及びコロイダルシリカ粒子等が挙げられる。これら
の研磨材のうち、アルミナ系粒子又はSiC粒子を使用
すると研磨速度が速いので好ましく、特に、アルミナ系
粒子として中間アルミナ粒子を使用すると被研磨物の表
面粗さを極めて小さくできるので好ましい。尚、本明細
書において、中間アルミナ粒子とは、α−アルミナ粒子
以外のアルミナ粒子の総称であり、具体的にはγ−アル
ミナ粒子、δ−アルミナ粒子、θ−アルミナ粒子、η−
アルミナ粒子、及び無定型アルミナ粒子等が挙げられ
る。これらの研磨材は一種又は二種以上を組み合わせて
用いることができる。
【0018】上記研磨材は、本発明の研磨材組成物中に
おいて水を媒体としたいわゆるスラリー状の状態で使用
される。本発明の研磨材組成物における該研磨材の配合
量は、本発明の研磨材組成物の粘度や被研磨物の要求品
質などに応じて種々選択することが出来るが、一般的な
範囲としての配合量は好ましくは0.01〜30重量%
であり、更に好ましくは0.02〜15重量%である。
該研磨材の配合量が上記範囲内であれば、生産効率良く
低表面粗さが達成される。
【0019】また、上記研磨材を、上記研磨助剤(即
ち、上記リグニン類)の配合量との関係で、該研磨材と
該研磨助剤との濃度比〔研磨材の濃度(重量%)/研磨
助剤の濃度(重量%)〕が0.01〜25となるように
配合することが好ましい。該濃度比が0.01に満たな
いと研磨材のすべり(即ち、研磨除去効率の低下)等の
不具合が発生することがあり、25を超えると研磨助剤
を配合した効果が十分に発現しないことがあるので上記
範囲内とすることが好ましい。上記濃度比は、0.02
〜10であることが更に好ましく、0.02〜5である
ことが一層好ましい。
【0020】上記研磨材の一次粒子の平均粒径は0.0
01〜3μmであることが好ましい。一次粒子の平均粒
径が0.001μmに満たないと研磨による材料除去効
率(研磨速度)が著しく低下することがあり、3μmを
超えると被研磨物を研磨した際に被研磨物の表面粗さを
低くすることが困難となることがあるので上記範囲内と
することが好ましい。上記研磨材の一次粒子の平均粒径
は0.005〜1μmであることが更に好ましく、0.
01〜0.5μmであることが一層好ましい。また、大
小粒径の研磨材を組み合わせて用いることもできる。
尚、上記研磨材の一次粒子の平均粒径は、該研磨材0.
1gに所定の分散剤(例えば、ポリスチレンスルホン酸
ソーダ等)を加え、次いで超音波を印加して該研磨材を
分散させ、更に乾燥させて得られたものをSEM観察し
て画像解析により求めたものである。また、該平均粒径
が大きい場合には、コールターカウンター〔型式MUL
TISIZER−II、(株)コールター社製〕で測定し
ても良い。
【0021】上記研磨材は、そのヌープ硬度(JIS
Z−2251)が700〜9000であることが好まし
い。ヌープ硬度が700に満たないと十分な研磨速度を
得ることができず生産性が低下することがあり、900
0を超えると被研磨物の表面に発生する加工ダメージ層
(即ち、マイクロクラックやチッピングの層)の厚さが
大きくなり表面品質が低下することがあるので上記範囲
内とすることが好ましい。上記ヌープ硬度は、1000
〜5000であることが更に好ましく、1500〜30
00であることが一層好ましい。
【0022】また、上記研磨材は、分散性及び研磨装置
への供給性や回収再利用性の点から、その比重が2〜5
であることが好ましく、2〜4であることが更に好まし
い。
【0023】特に好ましく用いられる研磨材は、ヌープ
硬度1500〜3000である純度99.9重量%以上
のα−Al2 3 粒子又はγ−Al2 3 粒子である。
斯かる研磨材は、高純度アルミニウム塩を用いた結晶成
長法(ベルヌーイ法など)により合成されるもので、一
般に利用される粉砕法により得られるアルミナとは形
状、純度の点で大きく異なる。斯かる研磨材を用いる
と、理由は必ずしも明確ではないが、上記研磨助剤との
添加相乗効果が顕著となるので好ましい。尚、上記研磨
材の純度は、研磨材1〜3gを酸又はアルカリ水溶液に
溶かし、ICP(プラズマ発光分析)法により、アルミ
ニウムイオンを定量することにより求められる。
【0024】本発明の研磨材組成物に配合される水は、
媒体として用いられるものであり、その配合量は好まし
くは70〜99.8重量%であり、更に好ましくは90
〜99.4重量%である。水の配合量が上記範囲内であ
れば、被研磨物を生産効率良く研磨することができる。
【0025】本発明の研磨剤組成物においては、上述の
必須成分に加えて必要に応じて他の成分を添加剤として
配合することができる。該添加剤としては、例えば、単
量体型の酸化合物の金属塩(以下、この単量体型の酸化
合物の金属塩を「単量体型助剤」という)を挙げること
ができる。上記研磨助剤と該単量体型助剤とを併用する
ことで、両者の協同効果により研磨速度が一層向上す
る。
【0026】上記単量体型の酸化合物の金属塩(単量体
型助剤)とは、重合性を有さない(即ち、単量体)酸化
合物の金属塩を意味する。該酸化合物としては何等かの
酸化作用を有するものであれば特段制限されるものでは
ない。該酸化合物の具体例としては、硝酸、硫酸、亜硫
酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、燐酸、亜燐酸、次亜燐
酸、ピロリン酸、炭酸、乳酸、シュウ酸、安息香酸、ク
エン酸及びマロン酸並びにこれらを官能基として有する
有機酸等が挙げられる。また、該酸化合物の金属塩の金
属としては、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル及
び鉄などが挙げられ、好ましくはアルミニウム及びマグ
ネシウムが用いられる。上記単量体型助剤は、一種又は
二種以上を組み合わせて配合することが出来る。特に、
上記単量体型助剤として、硝酸の金属塩、硫酸の金属
塩、シュウ酸の金属塩、乳酸の金属塩、及び安息香酸の
金属塩からなる群から選ばれる一種以上を用いることが
好ましく、とりわけ硝酸アルミニウム、シュウ酸アルミ
ニウム、乳酸アルミニウム、又は安息香酸ニッケル等を
用いると研磨速度の向上効果が一層高くなるので好まし
い。
【0027】上記単量体型助剤は本発明の研磨剤組成物
中に、好ましくは0.001〜20重量%配合され、更
に好ましくは0.01〜5重量%配合され、一層好まし
くは0.04〜0.4重量%配合される。該単量体型助
剤の配合量が上記範囲内であれば研磨速度の向上が十分
であり、20重量%を超えて用いても研磨速度は飽和
し、また、被研磨物の表面にうねり等が発生して表面品
質の低下を招くことがあり、更にはコストも高くなって
しまう。
【0028】また、本発明の研磨剤組成物においては、
上記単量体型助剤の他に、各種界面活性剤、アルカリ性
物質、各種増粘剤、各種分散剤、各種防錆剤、キレート
剤、有機溶媒等の添加剤を配合することもできる。ま
た、研磨促進剤として公知の硝酸アンモニウム等の無機
塩等を用いることもできる。これらの添加剤は、本発明
の研磨剤組成物中に好ましくはそれぞれ0.01〜5重
量%配合される。
【0029】本発明の研磨剤組成物は、その液のpHに
特に限定はなく、被研磨物に応じて適宜調整して使用で
きる。例えばカーボン材料を被研磨物として用いる場合
には、pHは1〜6が好ましい。pHがかかる範囲内で
あると、研磨助剤が安定に存在でき、且つ該研磨助剤の
研磨材及び研磨粉への吸着がおこりやすくなる。また被
研磨物の表面が酸化され易くなるので研磨速度が向上
し、表面品質も良好となり、生産性と品質のバランスが
良くなる。本発明の研磨剤組成物のpHは2〜6である
ことが好ましく、3〜5であることが更に好ましい。本
発明の研磨剤組成物のpHを上記範囲内にするために
は、例えば、上記研磨助剤及び必要に応じて上記単量体
型助剤等を所定量配合すればよい。
【0030】本発明の研磨剤組成物を用いた研磨の対象
となる材料に特に限定はなく、例えばNiPめっきした
Al基板、ガラス基板やシリコン基板、カーボン基板な
どが挙げられる。これらの材料うち、本発明の研磨材組
成物をカーボン材料よりなる基板に対して適用すると効
果が大きく発揮される。また、これらの材料の形状に特
に制限は無く、例えばディスク状、プレート状、スラブ
状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の
曲面部を有する形状のものが本発明の研磨剤組成物を用
いた研磨の対象となる。
【0031】本発明によれば、少なくとも研磨材と研磨
助剤と水とを含有する研磨材組成物を用いた研磨工程を
有するカーボン材料からなる基板の製造方法において、
上述の研磨材組成物を用いたことを特徴とする基板の製
造方法が提供される。尚、本明細書において「基板」と
は、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等
の平面部を有する形状のものに限られず、レンズ等の曲
面部を有する形状のものも包含される。
【0032】斯かる基板の製造方法の好ましい一実施形
態について、磁気記録媒体用基板の製造工程における研
磨工程の一つであるポリッシング(仕上げ研磨)工程を
例にとり図1及び図2を参照して説明する。ここで、図
1は、磁気ディスク用基板のポリッシング工程で使用さ
れる両面加工機を示す概略正面図であり、図2は、図1
におけるX−X線矢視図である。
【0033】図1に示す両面加工機1は、下定盤2と、
該下定盤2の上方に配設される上定盤3と、該上定盤3
に接して該上定盤3を支持する定盤支持部4とを具備し
て構成されている。
【0034】図1に示すように、上定盤3は、エアシリ
ンダ11の出力ロッド11aの先端部にブラケット12
を介して回転可能に取り付けられている。該上定盤3は
該エアシリンダ11により昇降可能になされていると共
に、下降時にはベース5側で図2に示す矢印D方向に回
転するロータ13の溝に係合して同方向に回転するよう
になされている。また、上記上定盤3の下面には、研磨
パッドが配設されている。また、該上定盤3は、上記定
盤支持体4にボルト(図示せず)によって緊結固定され
ており、該定盤支持体4と共に回転自在に設けられてい
る。
【0035】図2に示すように、下定盤2は、上記ベー
ス5上に矢印A方向に回転自在に設けられていて、その
上面には、上記上定盤3に配設されている研磨パッドと
同種の研磨パッド6が配設されている。また、該下定盤
2には、中央の矢印B方向に回転する太陽歯車7と外周
側の矢印C方向に回転する内歯歯車8とに噛み合って、
公転しつつ自転する遊星歯車状のキャリア9が4機配設
されていている。そして、各キャリア9に設けられた8
個の穴内にそれぞれ被研磨物である磁気記録媒体用基板
10がセットされるようになっている。尚、本実施形態
において用いられる磁気記録媒体用基板は、ディスク状
であり、カーボン材料の一つであるガラス状カーボンか
らなっている。
【0036】上記上定盤3と上記下定盤2との間には、
スラリー供給パイプ(図示せず)により本発明の研磨材
組成物が所定の量で供給されるようになっている。そし
て、上記エアシリンダ11によって上記上定盤3を下降
させることにより、上記キャリア9と一体に動く上記磁
気記録媒体用基板10は、上記下定盤2と上記上定盤3
とに挟まれてポリッシングが行われる。
【0037】上記ポリッシング工程に付される磁気記録
媒体用基板は、炭素質樹脂状原料(フルフリルアルコー
ル/フェノール樹脂等)を一対のガラス板間で硬化させ
た後、焼成し、次いでディスク形状に加工した後、ラッ
ピング(粗研磨)工程に付し所定の表面粗さとなし、更
にチャンファー(面取り)工程に付されて得られたもの
である。
【0038】本実施形態におけるポリッシング工程の条
件は、一般的には下記の通りである。即ち、加工圧力
は、好ましくは10〜2000gf/cm2 であり、更
に好ましくは50〜500gf/cm2 である。加工時
間は、好ましくは2〜120分であり、更に好ましくは
2〜30分である。加工温度は、好ましくは室温〜50
℃である。上記両面加工機の上下定盤にそれぞれ装着さ
れる上記研磨パッドのショアー硬度〔JIS A(JI
S K−6301)に準拠〕は、好ましくは88〜98
であり、更に好ましくは88〜95である。尚、該研磨
パッドとして、樹脂からなる研磨パッドや、樹脂複合体
からなる研磨パッドを用いると、研磨速度が一層向上す
ると共に表面粗さが一層低くなるので好ましい。上記両
面加工機の下定盤回転数は加工機サイズに依存するが、
例えばSPEED FAM社製 9B型両面加工機であ
れば、好ましくは5〜100rpmであり、更に好まし
くは10〜60rpmである。研磨材組成物の供給流量
は、加工機サイズに依存するが、例えばSPEEDFA
M社製9B型両面加工機であれば、好ましくは5〜30
0cc/minであり、更に好ましくは10〜150c
c/minである。研磨材組成物中の研磨材の一次粒子
の平均粒径は0.001〜3μmであり、その濃度は
0.01〜30重量%、特に0.02〜15重量%であ
る。
【0039】ラッピングされたガラス状カーボン基板を
上記の条件においてポリッシングすることにより、その
表面粗さ(中心線平均粗さRa)は約4〜20Åとな
る。
【0040】上記研磨材組成物を用いた研磨工程は、ポ
リッシング工程において特に効果があるが、これ以外の
研磨工程、例えば、ラッピング工程等にも同様に適用す
ることができる。ラッピング工程においては、ポリッシ
ング工程と同様に図1及び図2に示す両面加工機を用い
ることができる。この場合、ポリッシング工程と操作が
異なる点は、上下定盤に研磨パッドは装着せず、その代
わりに研磨面が鋳鉄等で形成された定盤を用い、且つ上
定盤に設けられた穴を通じて研磨材組成物を供給する点
である。また、研磨材組成物中に含まれる研磨材の砥粒
の粒径はポリッシング工程の場合よりも大きく、一次粒
子の平均粒径が例えば3〜100μmのものが好ましく
用いられる。また、研磨材の濃度もポリッシング工程の
場合よりも高く、例えば1〜30重量%とすることが好
ましく、2〜20重量%とすることが更に好ましい。
【0041】以上、本発明の基板の製造方法をその好ま
しい実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形
態に制限されるものではなく、種々の変更形態が可能で
ある。例えば、研磨工程においては、上述の両面加工機
に代えて他の加工機を用いてもよい。また、被研磨材料
として、ガラス状カーボン以外のカーボン材料等を用い
ることもできる。また、本発明の基板の製造方法は、磁
気記録媒体用基板の製造に限られず、磨工程が必要とさ
れる基板の製造であれば同様に適用することができる。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明の有効性を例証す
る。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限
されるものではない。
【0043】〔実施例1〜15及び比較例1〜9〕表1
に示す研磨材、研磨助剤及び単量体型助剤を、表1に示
す濃度で以て残部水と混合・撹袢し、研磨材組成物を得
た。尚、用いた研磨助剤及び単量体型助剤の種類はそれ
ぞれ表3及び表4に示す通りである。また、表1に示す
α−Al23 及びγ−Al2 3 の純度は、それぞれ
99.9重量%であった。但し、実施例2及び比較例2
で用いたα−Al2 3 の純度のみ、99.80重量%
であった。ラッピングにより中心線平均粗さRaを0.
1μmとした直径1.8インチの各材料の基板(表1参
照)を、該研磨材組成物を用いて、両面加工機によりポ
リッシングした。この際、該両面加工機は下記の条件に
て使用した。
【0044】<両面加工機の設定条件> 使用両面加工機:SPEED FAM社製 9B型両面
加工機 加工圧力:150gf/cm2 (但し、実施例1〜4並
びに比較例1及び2は100gf/cm2 とした) 研磨パッドのショアー硬度:90 〔JIS A(JIS K−6301)に準拠〕 下定盤回転数:40rpm 研磨材組成物供給流量:50cc/min
【0045】実施例及び比較例における各基板につい
て、120分間ポリッシングを行い、研磨による除去量
を測定し、比較例を基準として相対研磨速度を求めた。
その結果を表2に示す。また、研磨後の各基板の表面の
中心線平均粗さRa(Å)を測定すると共に、スクラッ
チの発生の程度を下記の基準により評価した。その結果
を表2に示す。
【0046】〔中心線平均粗さRa〕ランク・テーラー
ホブソン社製のタリーステップを用いて測定した。 〔スクラッチ〕光学顕微鏡観察(微分干渉顕微鏡)を用
い倍率×50倍で各基板の表面を60度おきに6カ所測
定した。スクラッチの深さはZygo(Zygo社製)
により測定した。評価基準は下記の通りである。 S:深さ500Åを超えるスクラッチが0本/1視野 A:深さ500Åを超えるスクラッチが平均0.5本未
満/1視野 B:深さ500Åを超えるスクラッチが平均0.5本以
上1本未満/1視野 C:深さ500Åを超えるスクラッチが平均1本以上/
1視野
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】表2に示す結果から明らかなように、研磨
助剤として特定のリグニン類が配合された本発明の研磨
材組成物(実施例1〜15)を用いて基板を研磨する
と、該リグニン類が配合されていない研磨材組成物(比
較例1〜9)を用いて基板を研磨した場合に比して、研
磨速度が向上し、表面粗さが低くなり、スクラッチの発
生が抑えられることが分かる。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、被研磨物の表面にピッ
トやスクラッチ等の欠陥を生じさせること無く、研磨速
度が向上し且つ表面粗さを低くし得る研磨材組成物及び
基板の製造方法が提供される。これにより基板の製造工
程の短縮が可能となり、生産性が大幅に向上しコストも
著しく改善される。本発明の研磨材組成物は、特にカー
ボン材料のポリッシングに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカーボン材料からなる基板の製造方法
に好ましく用いられる両面加工機を示す要部概略正面図
である。
【図2】図1におけるX−X線矢視図である。
【符号の説明】
1 両面加工機 2 下定盤 3 上定盤 4 基板支持部 5 ベース 6 研磨パッド 9 キャリア 10 基板

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも研磨材と研磨助剤と水とを含
    む研磨材組成物において、 上記研磨助剤が、重量平均分子量1000〜100万で
    あり、分子量500単位当たりにフェニルプロパン骨格
    を平均1個以上有する水溶性又は水分散性のリグニン又
    はその誘導体からなることを特徴とする研磨材組成物。
  2. 【請求項2】 上記研磨助剤を0.01〜30重量%含
    有する、請求項1記載の研磨材組成物。
  3. 【請求項3】 上記リグニンが、スルホン酸基、カルボ
    キシル基、リン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、亜ホ
    スホン酸基、ホスフィン酸基、亜ホスフィン酸基、第3
    級アミノ基、第4級アンモニウム塩基、又はニトロ基の
    一種以上を含有する、請求項1又は2記載の研磨材組成
    物。
  4. 【請求項4】 上記研磨材と上記研磨助剤との濃度比
    〔研磨材の濃度(重量%)/研磨助剤の濃度(重量
    %)〕が0.01〜25である、請求項1〜3の何れか
    に記載の研磨材組成物。
  5. 【請求項5】 更に単量体型の酸化合物の金属塩を一種
    以上含有する、請求項1〜4の何れかに記載の研磨材組
    成物。
  6. 【請求項6】 上記単量体型の酸化合物の金属塩を0.
    001〜20重量%含有する、請求項5記載の研磨材組
    成物。
  7. 【請求項7】 上記単量体型の酸化合物の金属塩が、硝
    酸の金属塩、硫酸の金属塩、シュウ酸の金属塩、乳酸の
    金属塩及び安息香酸の金属塩からなる群より選ばれる一
    種以上である、請求項5又は6記載の研磨材組成物。
  8. 【請求項8】 上記研磨材のヌープ硬度(JIS Z−
    2251)が700〜9000である、請求項1〜7の
    何れかに記載の研磨材組成物。
  9. 【請求項9】 上記研磨材の比重が2〜5である、請求
    項1〜8の何れかに記載の研磨材組成物。
  10. 【請求項10】 上記研磨材の一次粒子の平均粒径が
    0.001〜3μmである、請求項1〜9の何れかに記
    載の研磨材組成物。
  11. 【請求項11】 上記研磨材が、ヌープ硬度1500〜
    3000である純度99.9重量%以上のα−Al2
    3 又はγ−Al2 3 粒子からなる、請求項1〜10の
    何れかに記載の研磨材組成物。
  12. 【請求項12】 少なくとも研磨材と研磨助剤と水とを
    含有する研磨材組成物を用いた研磨工程を有するカーボ
    ン材料からなる基板の製造方法において、上記研磨材組
    成物として請求項1〜11の何れかに記載の研磨材組成
    物を用いたことを特徴とする基板の製造方法。
  13. 【請求項13】 上記研磨工程における研磨時に樹脂又
    は樹脂複合体からなるショアー硬度(JIS−K630
    1)88〜98の研磨パッドを用いる、請求項12記載
    の基板の製造方法。
  14. 【請求項14】 上記基板が磁気記録媒体用基板であ
    る、請求項12又は13記載の基板の製造方法。
  15. 【請求項15】 上記研磨工程がポリッシング工程であ
    る、請求項12〜14の何れかに記載の基板の製造方
    法。
JP1289997A 1997-01-27 1997-01-27 研磨材組成物及びこれを用いたカーボン材料からなる基板の製造方法 Pending JPH10204418A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1289997A JPH10204418A (ja) 1997-01-27 1997-01-27 研磨材組成物及びこれを用いたカーボン材料からなる基板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1289997A JPH10204418A (ja) 1997-01-27 1997-01-27 研磨材組成物及びこれを用いたカーボン材料からなる基板の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10204418A true JPH10204418A (ja) 1998-08-04

Family

ID=11818240

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1289997A Pending JPH10204418A (ja) 1997-01-27 1997-01-27 研磨材組成物及びこれを用いたカーボン材料からなる基板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10204418A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000034416A (ja) * 1998-05-15 2000-02-02 Jsr Corp 重合体組成物および研磨パッド

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000034416A (ja) * 1998-05-15 2000-02-02 Jsr Corp 重合体組成物および研磨パッド

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1204218C (zh) 制造存储器硬盘用的抛光组合物和抛光方法
JP4273475B2 (ja) 研磨用組成物
US6117220A (en) Polishing composition and rinsing composition
JP3856843B2 (ja) 磁気記録媒体基板用研磨材組成物及びこれを用いた磁気記録媒体基板の製造方法
JP6017315B2 (ja) 研磨材及び研磨用組成物
JP4090589B2 (ja) 研磨用組成物
CN1122093C (zh) 制造存储器硬盘用的抛光组合物和抛光方法
EP0637619B1 (en) An abrasive composition with an electrolytic water and a polishing process with the use of said abrasive composition
US20070145014A1 (en) Polishing composition for glass substrate
JPH10204416A (ja) 研磨用組成物
GB2421244A (en) Polishing composition
CN1134523C (zh) 制造存储器硬盘用的抛光组合物和抛光方法
JP4372237B2 (ja) 磁気記録媒体用基板の研磨方法
JPH09296161A (ja) 研磨用砥粒及び研磨用組成物
JPH11181409A (ja) 研磨材組成物及びこれを用いた基板の製造方法
JPH1121545A (ja) 研磨用組成物
JPH10204417A (ja) 加工用助剤組成物、研磨材組成物、表面加工方法及び基板の製造方法
JPH10204418A (ja) 研磨材組成物及びこれを用いたカーボン材料からなる基板の製造方法
JP7396953B2 (ja) 研磨用組成物、基板の製造方法および研磨方法
JP3992312B2 (ja) 研磨又は研削加工用助剤組成物、研磨材組成物及び表面加工方法
JPH10102037A (ja) 研磨材組成物及びこれを用いた基板の製造方法
JP3891604B2 (ja) 研磨材組成物及びこれを用いた研磨方法
JPH10102042A (ja) 加工用助剤組成物、研磨材組成物及び表面加工方法
JP2000273445A (ja) 研磨用組成物
JP2009245580A (ja) 研磨液組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060330

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060502

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060623

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20060725