JPH10204093A - 燐脂質組成物、そのような組成物の製造方法及びそのものの使用法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長い貯蔵の際にも空気補給しながらでも、い
おいの変化を受けない燐脂質組成物を提供する。 【解決手段】 少なくとも１種の燐脂質並びに安定剤を
含有する燐脂質組成物並びに当該組成物の製造のための
方法が記載され、その際、上記組成物は少なくとも１種
の燐脂質の他に更に安定剤として穀物の抽出物及び／又
は細かくされた要素を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、請求項１の前提部
分の構成を備えた燐脂質組成物、請求項１６の前提部分
の構成を備えた上記組成物の製造方法並びに上記燐脂質
組成物の使用法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】燐脂質
組成物は、久しい以前から公知であり、食料品分野、動
物飼育、美容分野並びに薬剤分野においてたびたび用い
られている。しかし、この際、燐脂質の濃度及びそれぞ
れの適用に応じて液状、半固体、特にゲル状のような半
固体、クリーム状、泥膏状、又は固体状であるそのよう
な燐脂質組成物は空気中で非常に軽く、及び／又は貯蔵
の際に特有のにおい、特に油脂のくさった特有のにおい
を生じ、それ故に望ましくないという問題がある。

【０００３】この燐脂質組成物の望ましくないにおいの
変化を抑制するために、当該燐脂質組成物に安定剤を供
給することが公知である。その際、このような安定剤は
ビタミンＣ、ビタミンＥ及び／又はその誘導体を基礎に
合成されている。更に当該燐脂質組成物はまたドイツ連
邦共和国特許出願第４１４１８４２号公開公報(DE 4141
842 A1)によればＮ-アシル-ホスファチジル エタノー
ルアミンの使用によって望ましくない酸化から保護され
ることが可能である。

【０００４】更にドイツ連邦共和国特許出願第４０２１
０８２号公開公報(DE 40 21 082 A1)は、燐脂質組成物
の安定化のために尿素、モノサッカリド又は尿素のモノ
サッカリドとの混合物を使用することを提案する。

【０００５】本発明は、長い貯蔵の際にも空気補給しな
がらでも、いおいの変化を受けない既述の種類の燐脂質
組成物を提供することを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この課題は、本発明にし
たがい、請求項１の特徴的構成を備えた燐脂質組成物に
よって解決される。

【０００７】本発明に係る燐脂質組成物は少なくとも１
種の燐脂質と安定剤を含むもので、当該組成物は上記少
なくとも１種の燐脂質の他に、安定剤として穀物の抽出
物及び／又は細かくされた（粉末になった）要素（成
分）を含有する。

【０００８】驚くべきことに、安定剤として穀物の抽出
物及び／又は細かくされた要素を含有した本発明に係る
燐脂質組成物は、空気中での貯蔵の場合ですら優れた安
定性を有し、その結果、そのように安定化した燐脂質組
成物では数か月の長い貯蔵期間の後にも望ましくないに
おいの変化が生じないことが確認された。これによっ
て、本発明に係る燐脂質組成物が従来公知の燐脂質組成
物のように下げられた温度、特に凝固点の温度において
不活性ガス、例えば窒素のもとで貯蔵しなければならな
い必要がなくなる。また本発明に係る燐脂質組成物にお
いて前述の安定剤は燐脂質組成物の粘性に積極的に影響
する。言い換えれば、ホスファチダルコリン（アセター
ルホスホリピド）を多く含有する燐脂質組成物にとって
本来のワックスのような公知であり、概ねこのような燐
脂質組成物の製造数分後に既に起こる粘性が、本発明に
係る組成物の場合には観察されない。むしろ本発明に係
る組成物は、その製造方法に応じて、粉末状のままであ
るか顆粒化したままで、本発明に係る組成物の更なる加
工と取り扱いは、普通一般のワックス状燐脂質組成物に
比べて著しく簡単である。これに対応して、顆粒化乃至
粉末化した本発明に係る組成物がはるかに簡単で正確に
配量乃至取り分けられるので、本発明に係る組成物から
燐脂質濃縮に関連して産出可能な、例えばクリーム、ゲ
ル、軟膏、分散体、半固体乃至液状のリポゾマール調剤
(liposomale Zubereitungen)のような、腐敗物質が作り
出される。

【０００９】液状の燐脂質組成物にあっては、既述の安
定剤が、この液状燐脂質組成物が化学分解に対して際だ
って安定することをもたらし、これに対応してそこに含
有される燐脂質の化学構造の変化が生じない。これによ
って他方、このような液状燐脂質組成物が長い貯蔵後に
も一定の粘性を有し、これに対応してこの液状燐脂質組
成物は正確で再現可能に配量されることとなる。

【００１０】本発明に係る組成物の第１の実施態様は、
当該組成物が安定剤として穀物の糊粉（種子蛋白顆粒）
層及び／又は種皮の抽出物及び／又は細かくされた要素
を含むことが考慮される。かくして本発明に係る組成物
のこの実施態様は、普通一般に細かくされたぬか（ふす
ま）要素及び／又はぬか抽出物と称されるそのような細
かくされた穀物要素乃至穀物抽出物を有する。

【００１１】好ましくは、本発明に係る燐脂質組成物は
安定剤として、小麦、カラスムギ、トウモロコシ、稲、
ライムギ、大麦及び／又はキビの抽出、好ましくは水乃
至水系での抽出によって及び／又は種皮及び／又は糊粉
層の破砕によって得られるような細かくされたぬか要素
及び／又はぬか抽出物を有する。

【００１２】食用の実のために栽培される全てのイネ科
植物が本願の範囲における穀物と解釈される。本発明に
係る組成物での穀物の糊粉層及び／又は種皮の細かくさ
れた要素に対する又は穀物の細かくされた要素に対する
少なくとも１種の燐脂質の重量比に関して、この重量比
が一方で顆粒化乃至粉末化された本発明に係る燐脂質組
成物の希望の安定性に他方で所望の強度と堅牢さに合わ
せられることに留意されるべきである。普通一般に本発
明に係る組成物において上記安定剤に対する少なくとも
１種の燐脂質の重量比は９：１と１：４の間で、好まし
くは６：１と１：２の間で変化する。本発明に係る組成
物の比較的堅く特に変質しにくい顆粒物乃至粉末が望ま
れる場合には、好ましくは少なくとも１種の燐脂質と上
記安定剤の重量比が１：１と１：４の間にあり、他方、
本発明に係る組成物の軟らかい顆粒物乃至粉末のために
は上記安定剤に対する少なくとも１種の燐脂質の重量比
は９：１と１：１の間で変化する。言い換えれば、上記
安定剤の量の変更によって、顆粒化乃至粉末化した本発
明に係る組成物の所望の強度が、又は液状組成物の場合
には望みの粘性が再現可能に調整できる。

【００１３】しかるに、本発明に係る組成物において安
定剤として上記穀物抽出物若しくは穀物の糊粉層及び／
又は種皮の抽出物が用いられる場合、本発明に係る組成
物のこの実施態様において上記安定剤に対する少なくと
も１種の燐脂質の重量比が９：０．０２と１：０．０８
の間で、好ましくは６：０．０２と１：０．０４の間で
変わる。安定剤に関する量の変更によって、本発明に係
る組成物のこの実施態様の場合にも所望の貯蔵安定性が
調整でき、所望の非常に長い貯蔵期間の際でも安定剤の
量は上記値の範囲内で対応して上げられる。

【００１４】本発明に係る組成物に含まれる燐脂質につ
いて、植物から、好ましくは大豆から遊離された燐脂質
乃至燐脂質混合物が特に関わっていることに留意される
べきである。

【００１５】本発明に係る組成物中にある燐脂質混合物
が少なくとも７０重量％の１,２-ジアシルグリセロ-３-
ホスファチジルコリンを有する場合、特に適している。
本発明に係る組成物の他の実施態様の場合、当該組成物
に含まれる燐脂質混合物は少なくとも７６重量％±３重
量％の１,２-ジアシルグリセロ-３-ホスファチジルコリ
ンと３重量％±３重量％のリゾホスファチジルコリン
（リゾレシチン）を有する。

【００１６】本発明に係る組成物の他の同様に適切な実
施変形例（バリエーション）としては、燐脂質混合物が
ホスファチジルコリンの豊富な燐脂質混合物であり、好
ましくは９３重量％±３重量％の１,２-ジアシルグリセ
ロ-３-ホスファチジルコリンで、特に少なくとも９６重
量％の１,２-ジアシルグリセロ-３-ホスファチジルコリ
ンを含有し、また別の燐脂質として追加的に特になお３
重量％±３重量％のリゾホスファチジルコリンが存在す
ることが考慮される。

【００１７】上記ホスファチジルコリンの他に、本発明
に係る組成物は更に別の燐脂質として特になお１,２-ジ
アシルグリセロ-３-ホスホエタノールアミン、１,２-ジ
アシルグリセロ-３-ホスホイノジトール、１,２-ジアシ
ルグリセロ-３-ホスホセリン、１,２-ジアシルグリセロ
-３-ホスホグリセロール及び１,２-ジアシルグリセロ-
３-ホスフェートを、夫々の出発材料と用いられる遊離
／浄化方法に応じて、含有する。

【００１８】別の好ましい実施態様の場合、本発明に係
る組成物は、混合物中に含まれる燐脂質のアシル残基(A
cylreste)、特に混合物中に備えられたホスファチジル
コリンのアシル残基がリノール酸残基からその６１〜７
３重量％が、パルミチン酸残基からその１０〜１４重量
％が、オレイン酸残基からその８〜１２重量％が、リノ
レン酸残基からその４〜６重量％が、ステアリン酸残基
からその３〜５重量％が及び／又は他の脂肪酸残基から
その２重量％がなるような燐脂質混合物を有する。この
ような燐脂質混合物又は以下に具体的に記載される燐脂
質混合物乃至ホスファチジルコリンの場合、このような
燐脂質乃至ホスファチジルコリンが高純度の場合ですら
その不飽和の脂肪酸残基の高い割合のために、非常に急
速に貯蔵の際にワックス状の粘性をとる傾向があり、空
気酸素の排除の場合ですら素早く強度の点で(in der In
tensitaet)増大する特性を発揮するので、特に本発明に
係る組成物について前記した利点が格別に現れる。

【００１９】本発明に係る組成物の別の実施態様の場
合、当該組成物は、混合物中に含有される燐脂質の１-
アシル残基又はホスファチジルコリンの１-アシル残基
がリノール酸残基からその４５〜６１重量％が、パルミ
チン酸残基からその１９〜２６重量％が、オレイン酸残
基からその８〜１２重量％が、リノレン酸残基からその
４〜６重量％が、ステアリン酸残基からその６〜９重量
％が及び／又は他の脂肪酸残基からその２重量％がなる
燐脂質混合物又はホスファチジルコリンを有する。

【００２０】同じように本発明に係る組成物は、そのア
シル残基が第１位置(1-Stellung)において前記アシル残
基又は他のアシル残基を有し、当該アシル残基が第２位
置においてリノール酸残基からその７７〜８５重量％
が、パルミチン酸残基からその１〜２重量％が、オレイ
ン酸残基からその８〜１２重量％が、リノレン酸残基か
らその４〜６重量％が、ステアリン酸残基からその０〜
１重量％が及び／又は他の脂肪酸残基からその２重量％
がなるような燐脂質混合物又はホスファチジルコリンも
有する。

【００２１】本発明に係る組成物の他の実施態様の場
合、当該態様（組成物）は燐脂質混合物として、植物か
ら、好ましくは大豆から遊離された液状の燐脂質混合物
を有する。この際、この液状燐脂質混合物は少なくとも
４０重量％の１,２-ジアシルグリセロ-３-ホスファチジ
ルコリンを含有する。更にこの液状燐脂質混合物中に普
通の付随燐脂質(Begleitphospholipide)並びに油、特に
ひまわり油、アザミ油、アボカド油、ヘントウ油、大豆
油、ヒマシ油(Rhizinusoel)、ナンキンマメ油、ふすま
油（小麦油）、ニンジン油、ハシバミ油、ヤシ油、ゴマ
油、オリーブ油、クルミ油、トウロモコシ油(Maiskeimo
el)等のような植物油が存在する。

【００２２】本発明は更に、上記本発明に係る組成物の
製造のための方法に関する。この課題は本発明によれ
ば、請求項１６の特徴部分の構成又は請求項２３の特徴
部分の構成を備えた方法によって解決される。

【００２３】上記本発明に係る燐脂質の組成物の製造の
ための本発明に係る方法では、少なくとも１種の燐脂質
乃至燐脂質混合物が溶剤又は溶剤混合物において先ず溶
解されるか分散されることが考慮される。次いで、燐脂
質乃至燐脂質混合物のこの溶液乃至この分散体が既述の
安定剤の溶液又は分散体に入れられ、その結果、そのよ
うに調製された混合物は本発明に係る燐脂質の組成物を
形成しながら慎重に乾燥され、特にスプレー乾燥又はフ
リーズ乾燥される。

【００２４】本発明に係る方法は、比較的に簡単に実行
される利点を有する。これは本発明に係る方法の場合、
単に２種の溶液乃至分散体が互いに混合され、それによ
ってその後にこの混合物だけが乾燥されて、本発明に係
る組成物が対応する顆粒化形状で生じるということと関
係がある。言うまでもなく、既述の本発明に係る方法の
場合、安定剤の溶液又は分散体を燐脂質乃至燐脂質混合
物の溶液乃至分散体に入れ、その後にこの混合物を慎重
に乾燥、特にスプレー乾燥又はフリーズ乾燥することも
可能である。

【００２５】原則として、本発明に係る方法の際に用い
られる溶剤乃至溶剤混合物の選択に関して、燐脂質用乃
至燐脂質混合物用の溶剤乃至溶剤混合物及び安定剤用溶
剤乃至溶剤混合物は、これら両方の溶剤乃至これら両方
の溶剤混合物がお互いでも混合可能であるようにしかる
べく相互に適合することに留意されるべきである。特に
本発明に係る方法の場合に溶剤乃至溶剤混合物として水
及び／又はアルコール乃至アルコール混合物、特にエタ
ノール、プロパノール-１及び／又はプロパノール-２が
用いられる。

【００２６】本発明に係る方法の特に適しており有利な
実施態様では、燐脂質乃至燐脂質混合物のアルコール溶
液、特に燐脂質乃至燐脂質混合物のエタノール溶液が製
造されること、及びこのアルコール溶液が安定剤の水溶
液又は水性分散体に混ぜ入れられるか注入されることが
考慮される。本明細書の範囲における水とは、全ての水
系を意味し、特に蒸留水、イオン除去された水、塩水溶
液又は水系緩衝系、例えば燐酸塩緩衝液を意味する。

【００２７】アルコール溶液中の燐脂質乃至燐脂質混合
物の濃度に関して、普通一般に本発明に係る方法の場合
にこのアルコール溶液は７０重量％〜８５重量％の燐脂
質乃至燐脂質混合物を含有することに留意されるべきで
ある。これに対応して、このアルコール系の燐脂質溶液
は３０重量％〜１５重量％のアルコール、特にエタノー
ルを有する。

【００２８】本発明に係る方法の別の実施態様では、燐
脂質の水性分散体が作られ、この燐脂質の水性分散体が
安定剤の水性分散体に混ぜ入れられるか注入されること
が考慮される。本発明に係る方法のこのバリエーション
は、溶剤としてアルコールが全くいらないという利点を
有し、その結果、しかるべき製造者がこれに対応し可燃
性溶剤を処理することができる設備を有しない場合、本
発明に係る方法のこのバリエーションは好都合である。

【００２９】好ましくは、上記水性分散体は５重量％〜
２０重量％、特に８重量％〜１５重量％の燐脂質乃至燐
脂質混合物を含有する。本発明に係る方法において、穀
物の糊粉層及び／又は種皮の細かくされた要素を含有し
上述のように一般的に細かくされたぬかとしても言い表
される安定剤で調製される場合、安定剤の水性分散体が
１０重量％〜３０重量％、特に１５重量％〜２０重量％
でこの安定剤を含有することが望ましい。

【００３０】本発明に係る方法の上記実施バリエーショ
ンにおいて、なお別の物質、特に上述の油がつけ加えら
れ、その結果、そのように製造された本発明に係る組成
物がこの他の物質を含有すべき場合、これは原則として
３つの異なるやり方で実行される。

【００３１】第１の可能性としては、この他の物質が燐
脂質の溶液乃至分散体に加えられることが考慮され、第
２の可能性の場合、この他の物質は安定剤の溶液乃至分
散体に添加される。ちょうど同じように第３の可能性と
してこの他の物質の分離した溶液乃至分散体が作られ、
この溶液乃至分散体が、燐脂質溶液乃至燐脂質分散体と
安定剤溶液乃至安定剤分散体からなる混合物に加えられ
る。

【００３２】本発明に係る組成物の製造のための他の可
能性として、燐脂質乃至燐脂質混合物が油、特に上記油
乃至油混合物に受け入れられるように、液状の燐脂質乃
至液状の燐脂質混合物が作られることが考慮される。次
いで油中に受け入れられた燐脂質乃至燐脂質混合物は流
動床（流動層）で安定剤と混合される。本発明に係る組
成物に関する説明の際に記載した固体の上記安定剤がこ
の流動床を形成する。

【００３３】言うまでもなく、この上記方法の変更にお
いて油に加えるのではなくその代わりに高温の適用下に
燐脂質乃至燐脂質混合物自体が溶けるように燐脂質乃至
燐脂質混合物を溶かすことが可能で、そのように溶けた
燐脂質乃至燐脂質混合物は固体の安定剤から形成された
流動床において当該安定剤と混合される。

【００３４】本発明に係る組成物の所望の別の使用次第
で、上記方法にしたがってそのように製造された組成物
は選択的に顆粒物として直接的に使用される。この際、
この顆粒物の粒径は約０．０１ｍｍと約４ｍｍの間で変
化する。しかしながら本発明に係る組成物のそのように
顆粒化された形状が粒径に関して望ましくない場合、本
発明に係る方法の別の形成が考慮され、顆粒化された本
発明に係る組成物が引き続いて適切な粉砕装置を介して
粉末状に細かくされることとなる。この粉末の粒径は好
ましくは０．１８ｍｍと０．０４ｍｍの間、特に０．１
５ｍｍと０．０７ｍｍの間である。

【００３５】本発明に係る組成物の使用に関して、本発
明に係る組成物が特に化粧剤又は薬剤の製造のために使
用されることに留意されるべきである。化粧剤の場合、
本発明に係る組成物は、好ましくは皮膚処理剤、特に普
通一般の軟膏、クリーム、ローション、乳液、軟膏材料
及び／又はクリーム原料の製造のために、使用可能であ
る。

【００３６】薬剤分野において、特に本発明に係る組成
物の主たる適用範囲は食餌療法用物質の製造にある。そ
して、このような食餌療法用物質は上記燐脂質及び上掲
の安定剤のみを含有するか、上述の燐脂質、そこで挙げ
られた安定剤及び追加的に更に動物性油及び特に植物性
油、とりわけヒマワリ油、アザミ油、アボカド油、ヘン
トウ油、大豆油、ヒマシ油、ナンキンマメ油、ふすま油
（小麦油）、ニンジン油、ハシバミ油、ヤシ油、ゴマ
油、オリーブ油、クルミ油及び／又はトウモロコシ油を
含有する。これら油は、この実施態様の場合、特に５重
量％と３０重量％の間、好ましくは１０重量％と２０重
量％の間の濃度において本発明に係る組成物中に存在す
る。驚くべきことに、先に挙げられた食餌療法用物質が
高い貯蔵安定性を有しそれ故に数か月間の貯蔵の場合す
ら邪魔になる固有のにおいを発生しないことが明らかに
なった。好ましくはこのような食餌療法用物質が安定剤
として穀物の糊粉層及び／又は種皮の細かくされた要素
を有するという前提の場合、このような食餌剤は高い割
合で繊維質を含み、その結果、満腹感が僅かなカロリー
の供給時点で既に生じる。このような食餌剤に含まれる
燐脂質は、口のところで上記剤の不快な分解を阻止し更
に飲込み過程を要求するので、尚一層適用を容易にす
る。更にこの燐脂質は脂肪代謝に積極的に影響を与え、
現在の環境毒に対して肝臓を保護する。

【００３７】本発明に係る組成物及び本発明に係る方法
の有利な別の構成は従属的な請求項に挙げられている。
本発明に係る組成物及び本発明に係る方法を以下に実施
例に基づいて詳細に説明する。

【００３８】

【発明の実施の形態】

（実施例１）少なくとも９６重量％のホスファチジルコ
リン並びに他の付随燐脂質を含有する燐脂質８００ｇを
２００ｇのアルコールに溶解した。そのように製造され
た溶液を溶液１と称する。

【００３９】小麦（ふすま）の糊粉層及び／又は種皮の
細かくされた要素２００ｇを８００ｇの水に分散した。
そのように製造された分散体を分散体１と称する。１０
０ｇの溶液１を１００ｇの分散体１に混合した。当該混
合が５分間、急速回転型撹拌装置（１０００回／分）を
用いて行われた。続いて対応する液状混合物を通常のス
プレー乾燥で乾燥した。これによって、安定剤に対する
燐脂質の重量比が４：１である顆粒化した組成物Ｉが生
じた。

【００４０】（実施例２）５０ｇの溶液１を１００ｇの
分散体１と共に、実施例１に従い製造し、当該実施例１
に挙げられた条件で混合した。そして生じた顆粒化した
組成物IIはスプレー乾燥後、２：１の安定剤に対する燐
脂質の重量比を有した。

【００４１】（実施例３）５０ｇの溶液１を４００ｇの
分散体１と共に、実施例１に従い製造し、当該実施例１
に挙げられた条件で混合した。スプレー乾燥後、そのよ
うに製造された顆粒化した組成物IIIは１：２の安定剤
に対する燐脂質の重量比を有した。

【００４２】（実施例４）５０ｇの溶液１を８００ｇの
分散体１と共に、実施例１に従い挙げられた条件で混合
した。スプレー乾燥後、顆粒化した組成物IVは１：８の
安定剤に対する燐脂質の重量比を有した。

【００４３】（実施例５）５０ｇの溶液１を１００ｇの
分散体１と共に、実施例１で挙げられた条件で混合し
た。当該混合物に対して撹拌しながら３ｇのヒマワリ油
が滴下され、その際に生じた分散体／乳濁液が更に１０
分間撹拌された。そのようにして生じた混合物をスプレ
ー乾燥で乾燥した。これによって組成物Ｖとも称される
顆粒化した組成物が生じた。

【００４４】（実施例６）実施例１で具体的に述べられ
た燐脂質８０ｇを２０ｇのエタノールに溶解した。この
アルコール溶液にトコフェロール１ｇが混ぜ入れられ
た。続いてスプレー乾燥が行われた。この際に生じる組
成物VIはべとべとしたワックス状の稠度を有した。

【００４５】上記組成物Ｉ〜VIについてエージングテス
トが、当該組成物の固有のにおいが４人の人間によって
互いに無関係に製造直後に並びに１週間、１か月、３か
月及び６か月後に判断されるという趣旨で実施された。
客観化のために、この知覚的なにおい判定の際に、比較
でその都度、夫々の組成物の用意された新鮮なサンプル
も判断される。におい形成は評点１〜４を包含する任意
の分類にしたがって行われた。その際、評点１はにおい
変化がなく、評点４は油脂のくさった強いにおいの印象
を伝える。評点２は僅かなにおい変化を表し、評点３は
対応する強めのにおい変化を表す。

【００４６】この知覚的なにおい試験の結果を下記表に
示す。 表 １ 組成物 製造 １週間 １か月 ３か月 ６か月 番号 直後 後 後 後 後 Ｉ １ １ １ ２ ２ II １ １ １ １ １ III １ １ １ １ １ IV １ １ １ １ １ Ｖ １ １ １ １ １ VI １ １ ２ ３ ３

Claims (27)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも１種の燐脂質並びに安定剤を
   含んだ燐脂質組成物において、当該組成物が少なくとも
   １種の燐脂質の他に更に安定剤として穀物の抽出物及び
   ／又は細かくされた要素を含有することを特徴とする組
   成物。
2. 【請求項２】 上記組成物が安定剤として穀物の糊粉層
   及び／又は種皮の抽出物及び／又は細かくされた要素を
   含有することを特徴とする請求項１に記載の組成物。
3. 【請求項３】 上記組成物が小麦、カラスムギ、トウモ
   ロコシ、稲、ライムギ、大麦及び／又はキビの糊粉層及
   び／又は種皮の抽出物及び／又は細かくされた要素を含
   有することを特徴とする請求項１又は２に記載の組成
   物。
4. 【請求項４】 上記組成物中で穀物の細かくされた要素
   に対する少なくとも１種の燐脂質の重量比が９：１と
   １：４の間、好ましくは６：１と１：２の間で変化する
   ことを特徴とする前記請求項のうちのいずれか一項に記
   載の組成物。
5. 【請求項５】 上記組成物中で穀物抽出物に対する少な
   くとも１種の燐脂質の重量比が９：０．０２と１：０．
   ０８の間、好ましくは６：０．０２と１：０．０４の間
   で変化することを特徴とする前記請求項のうちのいずれ
   か一項に記載の組成物。
6. 【請求項６】 燐脂質が植物、好ましくは大豆から遊離
   されることを特徴とする前記請求項のうちのいずれか一
   項に記載の組成物。
7. 【請求項７】 少なくとも１種の燐脂質が燐脂質混合物
   であることを特徴とする前記請求項のうちのいずれか一
   項に記載の組成物。
8. 【請求項８】 燐脂質混合物が少なくとも７０重量％の
   １,２-ジアシルグリセロ-３-ホスファチジルコリンを有
   することを特徴とする請求項６又は７に記載の組成物。
9. 【請求項９】 燐脂質混合物が少なくとも７６重量％±
   ３重量％の１,２-ジアシルグリセロ-３-ホスファチジル
   コリン及び３重量％±３重量％のリゾホスファチジルコ
   リンを含有することを特徴とする前記請求項のうちのい
   ずれか一項に記載の組成物。
10. 【請求項１０】 燐脂質混合物が少なくとも９３重量％
    ±３重量％の１,２-ジアシルグリセロ-３-ホスファチジ
    ルコリン及び３重量％±３重量％のリゾホスファチジル
    コリンを含有することを特徴とする前記請求項のうちの
    いずれか一項に記載の組成物。
11. 【請求項１１】 燐脂質混合物が更に１,２-ジアシルグ
    リセロ-３-ホスホエタノールアミン、１,２-ジアシルグ
    リセロ-３-ホスホイノジトール、１,２-ジアシルグリセ
    ロ-３-ホスホセリン、１,２-ジアシルグリセロ-３-ホス
    ホグリセロール及び／又は１,２-ジアシルグリセロ-３-
    ホスフェートを含有することを特徴とする前記請求項の
    うちのいずれか一項に記載の組成物。
12. 【請求項１２】 混合物中に含有される燐脂質のアシル
    残基がリノール酸残基からその６１〜７３重量％が、パ
    ルミチン酸残基からその１０〜１４重量％が、オレイン
    酸残基からその８〜１２重量％が、リノレン酸残基から
    その４〜６重量％が、ステアリン酸残基からその３〜５
    重量％が及び／又は他の脂肪酸残基からその２重量％が
    なるような燐脂質混合物を上記組成物が含有することを
    特徴とする前記請求項のうちのいずれか一項に記載の組
    成物。
13. 【請求項１３】 混合物中に含有される燐脂質の１-ア
    シル残基がリノール酸残基からその４５〜６１重量％
    が、パルミチン酸残基からその１９〜２６重量％が、オ
    レイン酸残基からその８〜１２重量％が、リノレン酸残
    基からその４〜６重量％が、ステアリン酸残基からその
    ６〜９重量％が及び／又は他の脂肪酸残基からその２重
    量％がなるような燐脂質混合物を上記組成物が含有する
    ことを特徴とする前記請求項のうちのいずれか一項に記
    載の組成物。
14. 【請求項１４】 混合物中に含有される燐脂質の２-ア
    シル残基がリノール酸残基からその７７〜８５重量％
    が、パルミチン酸残基からその１〜２重量％が、オレイ
    ン酸残基からその８〜１２重量％が、リノレン酸残基か
    らその４〜６重量％が、ステアリン酸残基からその０〜
    １重量％が及び／又は他の脂肪酸残基からその２重量％
    がなるような燐脂質混合物を上記組成物が含有すること
    を特徴とする前記請求項のうちのいずれか一項に記載の
    組成物。
15. 【請求項１５】 上記組成物が大豆から遊離された液状
    燐脂質混合物を含有し、当該混合物が少なくとも４０重
    量％の１,２-ジアシルグリセロ-３-ホスファチジルコリ
    ン並びに油を有することを特徴とする請求項１〜６のい
    ずれか一項に記載の組成物。
16. 【請求項１６】 前記請求項のうちのいずれか一項に従
    う燐脂質組成物の製造のための方法において、少なくと
    も１種の燐脂質が溶剤又は溶剤混合物中に溶解し又は分
    散しており、燐脂質の溶液乃至分散体が安定剤の溶液又
    は分散体に入れられ、そのように製造された混合物が次
    いで慎重に乾燥、特にスプレー乾燥又はフリーズ乾燥さ
    れることを特徴とする方法。
17. 【請求項１７】 溶剤乃至溶剤混合物として水及び／又
    はアルコール、好ましくはエタノール、プロパノール-
    １及び／又はプロパノール-２が用いられることを特徴
    とする請求項１６に記載の方法。
18. 【請求項１８】 燐脂質のアルコール溶液が作られるこ
    と、及び当該アルコール溶液が安定剤の水溶液又は水性
    分散体に混ぜ入れられるか注入されることを特徴とする
    請求項１６又は１７に記載の方法。
19. 【請求項１９】 燐脂質のアルコール溶液が７０重量％
    〜８５重量％の燐脂質及び３０重量％〜１５重量％のア
    ルコールを含有することを特徴とする請求項１８に記載
    の方法。
20. 【請求項２０】 燐脂質の水性分散体が作られること、
    及び当該水性分散体が安定剤の水性分散体に混ぜ入れら
    れるか注入されることを特徴とする請求項１６又は１７
    に記載の方法。
21. 【請求項２１】 上記水性分散体が５重量％〜２０重量
    ％の、特に８重量％〜１５重量％の燐脂質を含有するこ
    とを特徴とする請求項２１に記載の方法。
22. 【請求項２２】 安定剤として穀物の糊粉層及び／又は
    種皮の細かくされた要素が用いられること、及び水性分
    散体が１０重量％〜３０重量％の安定剤を含有すること
    を特徴とする請求項１６〜２１のいずれか一項に記載の
    方法。
23. 【請求項２３】 請求項１〜１５のいずれか一項に記載
    の組成物を製造するための方法において、燐脂質乃至燐
    脂質混合物が油中に加えられるように液状の燐脂質乃至
    燐脂質混合物が作られること、及び上記油中に加えられ
    た燐脂質乃至燐脂質混合物が流動床中で安定剤と混合さ
    れることを特徴とする方法。
24. 【請求項２４】 燐脂質の組成物が乾燥後に０．１８ｍ
    ｍ〜０．０４ｍｍの粒径に製粉されることを特徴とする
    請求項１５〜２２のいずれか一項に記載の方法。
25. 【請求項２５】 化粧剤の製造のために前記請求項のう
    ちのいずれか一項に記載の組成物を使用する方法。
26. 【請求項２６】 薬剤の製造のために前記請求項のうち
    のいずれか一項に記載の組成物を使用する方法。
27. 【請求項２７】 食餌療法にかなった調合としての請求
    項２６に記載の使用方法。