JPH10202072A - 有機液体混合物用分離膜および分離方法 - Google Patents

有機液体混合物用分離膜および分離方法

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JPH10202072A
JPH10202072A JP33125397A JP33125397A JPH10202072A JP H10202072 A JPH10202072 A JP H10202072A JP 33125397 A JP33125397 A JP 33125397A JP 33125397 A JP33125397 A JP 33125397A JP H10202072 A JPH10202072 A JP H10202072A
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Japan
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liquid mixture
membrane
organic liquid
separation
separation membrane
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JP33125397A
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English (en)
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Emi Imazu
恵美 今津
Yoshinari Fujii
能成 藤井
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Japan Petroleum Energy Center JPEC
Original Assignee
SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Petroleum Energy Center PEC
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業的に使用可能な、より効率の良い有機液
体混合物の膜分離技術を提供する。 【解決手段】 平均細孔径が 0.5〜50nmの範囲にある多
孔質膜の微細孔に、有機液体混合物の少なくとも1つの
特定成分に対して親和性を持つ液体を付与したことを特
徴とする、膜蒸留法用の有機液体混合物用分離膜、およ
びそれを用いた膜蒸留型分離方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機液体混合物の
組成を変化させるのに使用する有機液体混合物用分離膜
およびその分離膜を用いる膜蒸留型分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】膜分離技術は、食品工業や医療分野、海
水淡水化や超純水分野等の水処理分野等をはじめとして
様々な方面で利用されているが、これまで特に水系を中
心に発達し、工業化されてきた。膜分離技術は、省資源
・省エネルギーおよび低環境負荷技術として注目されて
いる分離技術であり、この膜分離技術を非水系分野、例
えば石油精製プロセスや石油化学工業分野へ適用するこ
とが近年研究されはじめている。石油精製プロセスや石
油化学工業分野における分離を例にとると、蒸留法を主
体とする既存の分離技術を組合せて行なわれており、省
資源・省エネルギーおよび環境の立場からは、より有利
な分離技術を開発し適用することが求められている。こ
のような背景から膜分離技術を有機液体混合物の分野の
技術として開発し実用化することが求められている。
【0003】特開昭63−173182号公報、特開昭
63−175607号公報ではアルコールなどの揮発性
濃縮方法を開示している。多孔質膜表面にアルコール親
和性の高いポリマーをコーティングした膜を用いてお
り、膜の細孔が濡れると透過速度が低下する。特開平2
−2852号、特開平2−2854号公報は、芳香族成
分と非芳香族成分を分離するためのポリウレア/ウレタ
ン膜を開示している。低分子量のコポリマーの薄膜を析
出させて活性層を形成するので機械的強度が低い。特開
平2−138136号公報は、ポリエチレングリコール
含浸親水性膜を用いて芳香族炭化水素を芳香族炭化水素
と飽和炭化水素の混合物から分離する方法を開示してい
る。分離係数が高くかつ透過速度が大きいものとはいえ
ない。
【0004】膜分離技術のうち、パーベーパレーション
は、膜の片側に液体混合物を供給し、片側を真空にして
表面から蒸発させて、あるいは不活性流体を流して特定
成分を得る膜分離プロセスである。パーベーパレーショ
ンは、液体の供給液の中の特定の成分が薄いフィルムの
中に溶解しその中を拡散するプロセスである。前記特開
平2−138136号公報に示される方法は、多孔マト
リックス中に液体を固定した液膜を用いたパーベーパレ
ーションの変法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来技術は、有機液体に対して十分な耐久性が
あり、かつ分離性能と膜透過速度を満足し、既存分離設
備より経済的に有利な膜及び膜プロセスとは言えない。
また、石油精製プロセスの場合、処理量が大量であるた
めガス状態の分離ではエネルギー的に不利になる。これ
らの理由から、現状では石油精製プロセスや石油化学工
業に膜技術を本格的に応用された例はない。
【0006】有機液体混合物の組成を変化させることが
できれば、石油精製プロセスの場合には、ガソリンのオ
クタン価を向上させたり、軽油のセタン価を向上でき
る。また、膜で目的成分を完全に分離することができな
くとも、蒸留設備に入る前の原料組成を変えておくだけ
で経済的には有利であり、更に蒸留プロセスを膜プロセ
スで置き換えることができれば経済的に有利になること
は言うまでもない。また、ガソリンからベンゼン等の有
害物質を除去できれば低環境負荷の観点から有利であ
る。さらに、オレフィンの分離・濃縮ができれば高分子
や石油化学製品の経済的に有利な原料製造方法を提供す
ることができる。
【0007】そこで本発明の課題は、有機液体に対して
十分な耐久性があり、かつ分離性能と透過速度を満足
し、工業的に適用可能な、効率の良い分離膜および分離
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、多孔質膜の片側に有機液体混合物を供給
し、他の片側から気相で一部の成分を分離する膜蒸留法
に用いられる有機液体混合物用分離膜であって、平均細
孔径が0.5〜50nmの範囲にある多孔質膜の微細孔
に、有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分に対し
て親和性を持つ液体を付与したことを特徴とする、有機
液体混合物用分離膜からなる。
【0009】元来、膜蒸留法は、供給液に濡れない性質
の多孔膜を用い、供給液の成分に特定の親和性をもたず
毛管凝縮等をひき起こさない膜分離方法と定義されてい
るが、本発明の方法は、供給液の成分に特定の親和性を
有する液体状物質を付与した膜蒸留型の分離法に関する
ものである。
【0010】また、本発明に係る膜蒸留型分離法は、こ
のような分離膜を用い、膜の透過側を不活性ガスで掃引
してあるいは減圧して、蒸気勾配駆動力を維持すること
を特徴とする方法からなる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の有機液体混合物用分離膜
は、多孔質膜を基材膜とし、有機液体の混合物の少なく
とも1成分が、該分離膜中を蒸気の状態または多孔質膜
の微細孔内に毛管凝縮を起こした状態で透過することを
特徴とする。また、好ましくは有機液体混合物と接液す
る面に非多孔質の層を設け、一次側の液体混合物の細孔
内への浸入を防ぐ。
【0012】また、膜蒸留法は、微細孔を有する膜を介
して液体混合物からある成分を選択的に富化した蒸気を
得る膜分離技術で、膜の一次側に液体混合物を供給し、
二次側を減圧するか窒素等の不活性ガスまたは液体で掃
引する方法である。本発明における膜蒸留型分離方法は
上述のいずれの方法でもよいが、不活性ガスまたは温度
差を有する液体で二次側を掃引する方法は、大容量の装
置を高い真空度に保つ必要がないので、エネルギー的に
も減圧にする方法より有利である。
【0013】本発明における有機液体混合物は、化学結
合あるいは分子構造の異なる有機化合物から選ばれるも
のであれば特に限定されるものではない。石油留分につ
いて例示すると、パラフィン系炭化水素、オレフィン系
炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素のう
ち、いずれか2つ以上の炭化水素成分を含むものであ
る。また、硫黄化合物、窒素化合物、酸素化合物、金属
化合物などの非炭化水素成分を含んでいても差し支えな
いし、天然ガスや炭酸ガス、ヘリウムガスなどの気体成
分を含んでいてもよい。この有機液体混合物の例として
は、ナフサ、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】ここで、パラフィン系炭化水素とは、Cn
2n+2の分子式の飽和結合からなる化合物で、分枝のな
い鎖状のn-パラフィンと枝分かれしたイソパラフィンと
があり、具体的には、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサ
ン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-
ウンデカン、n-ドデカン、2-メチルブタン、2,2-ジメチ
ルプロパンなどが挙げられる。オレフィン系炭化水素と
は、二重結合を有する炭化水素で、二重結合1個の場合
はCn 2nの一般式で示される鎖状炭化水素であり、具
体的には、例えば、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテ
ン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、
1-ドデセンなどが挙げられる。ナフテン系炭化水素と
は、1分子中に少なくとも1個の飽和環を含む炭化水素
で、炭素数5個のシクロペンタンと、炭素数6個のシク
ロヘキサンが最も基本となる環状化合物であり、一般式
はCn 2nである。芳香族系炭化水素とは、1分子中に
少なくとも1個の芳香族環を含む炭化水素のことで、具
体的には、例えば、ベンゼンやベンゼンに側鎖のついた
トルエン、キシレンなどの単環化合物である。
【0015】有機液体混合物の少なくとも1つの特定成
分とは、特に限定されるものではないが、前述のような
オレフィン系炭化水素、特に芳香族系炭化水素が好適な
ものとして規定できる。
【0016】有機液体混合物の温度は、膜の耐熱性の範
囲内であれば特に限定されないが、有機液体混合物の粘
度が極端に高くなるような温度は好ましくない。
【0017】本発明で使用される分離膜が所望の分離性
能を発現するためには、ある成分が分離膜の微細孔内で
毛管凝縮を起こすことが必要である。毛管凝縮により、
ある成分が微細孔を閉塞し一次側からの他の成分の透過
は阻止され、二次側では凝縮したある成分が気化して透
過物となるので、高い分離性能が得られる。この毛管凝
縮を起こす微細孔の大きさ(平均微細孔径)は、分離の
方法によって異なるが、膜蒸留型分離方法では0.5〜
100nm、好ましくは5〜50nmの範囲であると考えら
れ、本発明ではこの範囲に特定している。膜の中に毛管
凝縮を起こす微細孔が多く含まれるほど高い分離性能が
発現される。
【0018】膜の微細孔の平均孔径または細孔径分布を
測定する方法は種々あるが、本発明では水の透過速度と
膜の空隙率とから算出される平均孔径で定義する。 RP =(LP ・λ・8η/φW 1/2 ここで、RP は平均孔半径[cm]、LP は透水性[c
3 dyn-1-1]、λは膜厚[cm]、ηは水の粘性
[dyn・Scm2 ]、φW は膜の含水率すなわち空隙
率である。
【0019】本発明の場合、上記のような毛管凝縮を起
こす微細孔を有しつつ、さらに微細孔内面に親和性を有
する液体が付与されていることに特徴がある。付与され
た状態での平均孔径としては0.5〜50nmの範囲にあ
ることが好適であり、好ましくは0.5〜20nm、更に
好ましくは1〜10nm、特に好ましくは4〜10nmの範
囲である。小さすぎると透過速度が低下し、大きすぎる
と選択性が悪くなる。
【0020】平均孔径は前記多孔質膜の平均孔径と付与
したときの該親和性の含浸溶液量とから推定することも
できる。
【0021】このような透過の仕組みから検討を重ねた
結果、有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分に対
して親和性を持つ液体を付与することにより、毛管凝縮
の効果を有効に利用した分離膜を得るに至った。すなわ
ち、有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分に対し
て親和性を持つ液体の付与により、有機液体混合物のあ
る成分が凝縮し易い細孔を得ることができる。付与され
た親和性を持つ液体中を有機液体混合物のある成分が移
動し二次側ではある成分が気化して透過物となるので、
高い分離性能が得られる。また、親和性を持つ液体を付
与することにより大きな微細孔は孔径が小さくなること
から毛管凝縮を起こす微細孔が増える。
【0022】有機液体混合物の少なくとも1つの特定成
分に対して親和性を持つ液体としては以下のように定義
されるものが好ましい。有機液体混合物に当該液体を混
合し、平衡状態になった状態で、有機液体混合物を主と
する層と当該液体を主とする層に分離しており、もとの
有機混合物中のうち少なくとも1つの成分の一部または
全部を当該液体を主とする層に抽出させる機能を有する
液体。
【0023】さらに定量的に説明すると、有機液体混合
物中に存在する特定成分の量を、有機液体混合物を主と
する層にx重量%、当該液体を主とする層にy重量%存
在するとした場合、親和性の指標(β)として以下の式
で表現することができる。 {y/(1−y)}/{x/(1−x)} 本発明においては、βが1.1以上であるものが好適で
あり、好ましくは1.5以上、より好ましくは2以上で
あり、さらに好ましくは10以上であり、特に好ましく
は20以上である。例えば特に好ましい例としてスルホ
ランが挙げられる。ベンゼンとn-ヘプタンの混合物につ
いて特定成分をベンゼンとした場合、xは4重量%、y
は65重量%となり、βが45と高い値が得られる。
【0024】有機混合物の中で親和性の対象となる少な
くとも1つの成分は、有機液体混合物を構成する成分で
あればいかなるものでもよい。
【0025】不飽和結合を含む炭化水素としては、ベン
ゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素や、1-ヘ
プテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン等のオレフィ
ン系炭化水素を例示することができる。飽和結合のみか
らなる炭化水素としてはn-ヘプタン、n-オクタン、n-ノ
ナンなどのn-パラフィン系炭化水素およびシクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン等のナフテン系炭化水素を例
示することができる。
【0026】親和性を有する液体は、流動性を有するの
で、膜分離操作中に熱や振動で均一性が損なわれたり膜
間差圧で押し流されることなどが危惧されたが、検討し
てみた結果予想以上の耐久性が得られた。又、中でも芳
香族化合物に親和性が高い液体は本発明の分離膜におい
て好ましく用いられる。芳香族化合物を抽出できる液体
としては、特に限定されるものではないが、電気陰性度
の高いO、S、Nなどのヘテロ原子を有する化合物で揮
発しにくいものが好ましい。揮発しにくい液体とは、蒸
気圧が低いものであり、例えば60℃における蒸気圧が
100mmHg以下、好ましくは50mmHg以下、さ
らに好ましくは10mmHg以下が好適に用いられる。
【0027】具体例としては、スルホラン、N-メチルピ
ロリドン、ジメチルスルホキシド、モルホリン、メチル
カルバメート、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネ
ートなどが例示できる。又、場合によってはジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール等も用いることが
できる。もちろん、これらを組み合わせた混合物や、必
要に応じてその他の溶媒や粘度調整剤、安定剤などの添
加物を適宜用いることもできる。
【0028】付与方法は、特に限定されるものではない
が膜を液体に含浸させて処理する方法が好適であり、膜
の多孔質構造が維持されるものであれば特に限定されな
い。例えば、前記液体ないしはその溶液への浸漬あるい
は塗布なども採用できる。
【0029】前記液体付与操作により微細孔の平均孔径
が調整されるが、付与操作前の多孔質膜の元の微細孔が
細すぎる場合はもちろん、太すぎても、所定のサイズに
調整することが困難になったり不経済的になるので、付
与操作前の多孔質膜の元の微細孔の平均孔径を適切な範
囲としておくことが好ましい。付与操作前の平均孔径と
しては0.5〜50nmが好ましく、1〜30nmがより好
ましく、3〜10nmがさらに好ましい。
【0030】なお、溶液濃度を変えることにより、多孔
質膜に対する付与量ないしは密度を調整することがで
き、また付与後の平均孔径も制御することが可能とな
る。多孔質膜が毛管凝縮のために有効な孔径を有し、孔
径分布が小さければ、前記液体の付与量は少なくてよ
い。又、多孔質膜が大きな孔径を有していたり、孔径分
布が大きければ、付与量は多くなる。従って付与量を調
整するための溶液濃度は、例えば、平均孔径0.5〜5
0nmの多孔質膜の場合で、おおよそ1〜80体積%が好
ましく、より好ましくは1〜50体積%が例示できるが
特に限定されるものではない。また、希釈に用いる溶媒
は、該液体により異なってくるが、例えば、スルホラン
に対してはトルエン、エタノールなどが好ましく、又ジ
メチルスルホキシドに対してはメタノールが好ましい。
【0031】また、分離膜の形態は平膜、管状膜、中空
糸膜等のいずれの形状のものでもよく、さらに分離膜モ
ジュールの形態も平板型、スパイラル型、プリーツ型、
菅状型、中空糸型等いずれの形態でも本発明に用いるこ
とができる。特に膜の自己支持性と機械的・力学的特
性、およびモジュールの液体が少なくてよいこと、耐溶
剤性の観点から有利な中空糸膜が好ましい形状である。
【0032】分離膜の素材は、有機高分子であっても無
機素材であっても、あるいは両者が混合ないしは複合し
た構成をとってもよい。有機高分子の多孔質膜の場合に
は、有機液体混合物に対して耐久性がある有機高分子で
あれば特に限定されない。このような高分子素材の例と
してはポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、
ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリイミド、ポリ
テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
塩化ビニル、ポリアミド等を挙げることができる。
【0033】無機系の多孔質膜の場合には、おおむね耐
油性に優れているので、いずれの素材の多孔質膜でもよ
いが、セラミックス系、ゼオライト系、ガラス系、炭素
系の多孔質膜が使用できる。
【0034】また、膜の微細孔内に一次側からの有機液
体混合物が液体のままで侵入してしまうと実質的に毛管
凝縮を起こす部分が減少してしまうので、有機液体混合
物と接液する面にかかる侵入を阻止する層を設けること
が好ましい。このような層としては、多孔性膜を用いる
場合は有機液体混合物に対する親和性の低いポリビニル
アルコールやセルロース等からなる膜を用いることが挙
げられる。一方、好ましくは、非多孔質の層を設け、そ
の非多孔質層が有機液体混合物の少なくとも1つの特定
成分の蒸気を透過し、該有機液体混合物の透過を阻止す
る性質を有するものであれば毛管凝縮の効果を有効に利
用した分離膜を得ることもできる。
【0035】有機液体混合物と接液する面に設けた非多
孔質の層に用いる素材は、少なくとも1つの特定成分の
蒸気を透過し、該有機液体混合物の透過を阻止する性質
を有するものであれば特に限定されるものではない。す
なわち分離操作を行なう温度において、膜内に透過物質
が蒸気の状態で供給できればよく、単一組成であっても
混合物であっても差し支えない。透過速度が有利に得ら
れる点からはゴム状態の高分子が好ましく、このような
高分子素材の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエ
ン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリオキ
シメチレン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニ
ルアルコール、ポリジメチルシロキサン、ポリ塩化ビニ
リデン、ポリフッ化ビニル等を挙げることができる。有
機液体混合物に対する耐久性が優れ、薄膜形成性が優れ
る点で架橋構造を有するポリジメチルシロキサン、すな
わち架橋シリコーンは特に好ましく用いられる。
【0036】
【実施例】以下に具体的な比較例と実施例を挙げて本発
明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定される
ものではない。 実施例1 架橋性シリコーン溶液の調製は、櫛型アミノ変成シリコ
ーンのシクロヘキサン溶液と架橋剤であるトリレンジイ
ソシアネートのシクロヘキサン溶液を等量混合して得
た。櫛型アミノ変成シリコーン溶液は、東レ・ダウコー
ニング・シリコーン(株)製BY16-872(分子量約12万、
側鎖導入率シロキサンユニット中約1.6 %)を用いた。
2重量%のシクロヘキサン溶液である。トリレンジイソ
シアネート溶液は日本ポリウレタン(株)製トリレンジ
イソシアネートコロネートT-80を用い、 0.9重量%のシ
クロヘキサン溶液である。
【0037】ポリフェニレンスルフィドスルホン(東レ
(株)製MF値18)を用いて中空糸膜を作成し、これ
を酸化して、得られた平均細孔径6.41nm、外径1055μ
m、内径730 μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜を
約30cmの長さに切り、10本を束ねてガラス製のミニモジ
ュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティング
し、処理用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保
管したものである。処理に用いたガラス製のミニモジュ
ールの両端は処理後膜を取り出すために切り落とす部分
として 2cm長のガラス管をテフロン熱収縮チューブによ
り接続した。
【0038】処理用膜モジュールの上端にシリコーンゴ
ムチューブを接続し、架橋シリコーン溶液を 6cc、チュ
ーブの内側に注いで中空糸膜の内側をコーティングし
た。処理用膜モジュールは、架橋シリコーン溶液を液き
りして窒素ガスで緩やかに約 2分パージしたあと60℃の
オーブンにて 5分加熱しシリコーンを架橋した。処理後
の膜は、処理用膜モジュールの 2cm長のガラス管の接続
部分にて切断し約20cm長の中空糸複合膜を得た。
【0039】この架橋シリコーン複合膜をスルホラン5
0.0重量%のトルエン溶液に1晩浸漬した。浸漬後液切
りをし風乾してスルホランを含浸した中空糸複合膜を得
た。このポリフェニレンスルホン中空糸複合膜は、外径
1055μm、内径730 μmであった。
【0040】4本の中空糸複合膜を束ねてガラス製のミ
ニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッテ
ィングし、試験用膜モジュールを作製した。有効膜面積
は1.8 ×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定した
ところ 4.0×10-12m3/m2・sec ・Paであった。この試験
用モジュールを使って、ベンゼン濃度が8.90mol %のベ
ンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離
実験を行なった。有機液体混合物は約60℃に温調して中
空糸膜の内側に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。
中空糸膜の外側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流
し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収
した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィー
で測定したところ、ベンゼンのモル濃度が30.86mol%で
あった。分離係数は4.57を得た。膜透過速度は0.95kg/
(m2・hr)であった。
【0041】実施例2 実施例1と同じ方法により作製した試験用膜モジュール
を使って、ベンゼン濃度が8.40mol %のベンゼンとn−
ヘキサンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なっ
た。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の内側
に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の外
側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒素
のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透
過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したと
ころ、ベンゼンのモル濃度が22.00mol%であった。分離
係数は3.09であり、膜透過速度は0.38kg/(m2・hr)であ
った。
【0042】比較例1 平均細孔径6.41nm、外径1055μm、内径730 μmのポリ
フェニレンスルホン中空糸膜を約20cmの長さに切り、 4
本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端を
エポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュール
を作製した。膜は風乾状態で保管したもので、試験用膜
モジュール内の膜の有効膜面積は 1.8×10-3m2であっ
た。窒素ガスの透過性を測定したところ1.73×10-6m3/m
2 ・sec ・Paであった。この試験用モジュールを使っ
て、ベンゼン濃度が10.50mol%のベンゼンとn−ヘプタ
ンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有
機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の内側に膜
面線速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の外側に
は窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒素のコ
ールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液
成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したとこ
ろ、ベンゼンのモル濃度が11.01mol%であった。分離係
数は1.05であった。膜透過速度は13.82kg/(m2 ・hr)で
あった。
【0043】比較例2 比較例1と同じ方法により作成した試験用膜モジュール
を使って、ベンゼン濃度が8.02mol %のベンゼンとn−
ヘキサンを混合した有機液体混合物の分離実験を行なっ
た。有機液体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の内
側に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の
外側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒
素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この
透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィーで測定した
ところ、ベンゼンのモル濃度が8.16mol %であった。分
離係数は1.02であった。膜透過速度は27.47kg/(m2 ・h
r)であった。
【0044】比較例3 実施例1と同じ方法により処理用膜モジュールを作製し
た。処理用膜モジュールは、上端にシリコーンゴムチュ
ーブを接続し、架橋性シリコーン溶液を6cc、チューブ
の内側に注いで中空糸膜の内側をコーティングした。処
理用膜モジュールは、架橋シリコーン溶液を液きりして
窒素ガスで緩やかに約 2分パージしたあと60℃のオー
ブンにて 5分加熱した。処理後の膜は、処理用膜モジュ
ールの 2cm長のガラス管の接続部分にて切断し20cm長の
中空糸複合膜を得た。このポリフェニレンスルホン中空
糸複合膜は、外径1055μm 、内径 730μm であった。
【0045】4本の中空糸複合膜を束ねてガラス製のミ
ニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッテ
ィングし、試験用膜モジュールを作製した。有効膜面積
は1.5 ×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定した
ところ2.5 ×10-11m3/m2・sec ・Paであった。この試験
用モジュールを使って、ベンゼン濃度が6.20mol %のベ
ンゼンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離
実験を行った。有機液体混合物は約60℃に温調して中
空糸膜の内側に膜面線速度0.1m/secの流量で供給した。
中空糸膜の外側には窒素ガスを膜面線速度1.0m/secで流
し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収
した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィー
で測定したところ、ベンゼンのモル濃度が12.30mol%で
あった。分離係数は2.12を得た。膜透過速度は1.22kg/
(m2・hr) であった。
【0046】
【発明の効果】本発明の分離膜によれば、有機液体混合
物の少なくとも1つの特定成分に親和性を持つ液体を付
与することにより、膜の微細孔が毛管凝縮を起こしやす
くなる効果を利用して高分離性能と膜透過速度を達成し
て有機液体混合物組成を変化させることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 71/64 B01D 71/64 71/68 71/68

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質膜の片側に有機液体混合物を供給
    し、他の片側から気相で一部の成分を分離する膜蒸留法
    に用いられる有機液体混合物用分離膜であって、平均細
    孔径が0.5〜50nmの範囲にある多孔質膜の微細孔
    に、有機液体混合物の少なくとも1つの特定成分に対し
    て親和性を持つ液体を付与したことを特徴とする、有機
    液体混合物用分離膜。
  2. 【請求項2】 前記有機液体混合物の少なくとも1つの
    特定成分の蒸気を透過させ該有機液体混合物の透過を阻
    止する性質を有する非多孔質の層を該有機液体混合物と
    接液する面に設けたことを特徴とする、請求項1記載の
    有機液体混合物用分離膜。
  3. 【請求項3】 前記親和性を持つ液体の、下記式(1)
    で定義される親和性βが1.1以上であることを特徴と
    する、請求項1記載の有機液体混合物用分離膜。 β={y/(1−y)}/{x/(1−x)} ・・・ (1) x:有機液体混合物中の不飽和結合を含む炭化水素の濃
    度(重量%) y:親和性を持つ液体に溶解した有機液体混合物全量に
    対する不飽和結合を含む炭化水素の濃度(重量%)
  4. 【請求項4】 前記親和性を持つ液体が芳香族化合物を
    抽出できるものであることを特徴とする、請求項1記載
    の有機液体混合物用分離膜。
  5. 【請求項5】 前記有機液体混合物がパラフィン系炭化
    水素、オレフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素およ
    び芳香族系炭化水素よりなる群のうち、いずれか2つ以
    上の炭化水素成分を含むことを特徴とする、請求項1記
    載の有機液体混合物用分離膜。
  6. 【請求項6】 前記有機液体混合物がパラフィン系炭化
    水素とオレフィン系炭化水素の混合物であることを特徴
    とする、請求項5記載の有機液体混合物用分離膜。
  7. 【請求項7】 前記有機液体混合物がナフサ、ガソリ
    ン、灯油または軽油であることを特徴とする、請求項1
    記載の有機液体混合物用分離膜。
  8. 【請求項8】 前記多孔質膜の素材が有機高分子である
    ことを特徴とする、請求項1記載の有機液体混合物用分
    離膜。
  9. 【請求項9】 前記多孔質膜の素材がポリアクリロニト
    リル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルフォ
    ンまたはポリイミドであることを特徴とする、請求項1
    記載の有機液体混合物用分離膜。
  10. 【請求項10】 膜形状が中空糸膜であることを特徴と
    する、請求項1記載の有機液体混合物用分離膜。
  11. 【請求項11】 前記親和性を持つ液体がスルホランで
    あることを特徴とする、請求項1に記載の有機液体混合
    物用分離膜。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の有機液体混合物用分離膜を用い、膜の透過側を不活性
    ガスで掃引して蒸気圧勾配駆動力を維持することを特徴
    とする、膜蒸留型分離方法。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし11のいずれかに記載
    の有機液体混合物用分離膜を用い、膜の透過側を減圧し
    て蒸気圧勾配駆動力を維持することを特徴とする、膜蒸
    留型分離方法。
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