JPH10180059A - 有機液体混合物用分離膜およびそれを用いた装置および方法 - Google Patents

有機液体混合物用分離膜およびそれを用いた装置および方法

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JPH10180059A
JPH10180059A JP30922497A JP30922497A JPH10180059A JP H10180059 A JPH10180059 A JP H10180059A JP 30922497 A JP30922497 A JP 30922497A JP 30922497 A JP30922497 A JP 30922497A JP H10180059 A JPH10180059 A JP H10180059A
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liquid mixture
organic liquid
separation
separation membrane
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JP30922497A
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Emi Imazu
恵美 今津
Yoshinari Fujii
能成 藤井
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Japan Petroleum Energy Center JPEC
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SEKIYU SANGYO KASSEIKA CENTER
Petroleum Energy Center PEC
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機液体混合物組成を変化させることができ
る、工業的に適用可能な膜分離技術を提供する。 【解決手段】 多孔質膜の片側に有機液体混合物を供給
し、他の片側から気相で一部の成分を分離する分離膜で
あって、少なくとも分離対象の有機液体混合物の接する
面の表面に非多孔質の層を設けたことを特徴とする、膜
蒸留法ないしパーベーパレーション法用の有機液体混合
物用分離膜、およびそれを用いた装置および方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機液体混合物の
組成を変化させるのに使用する分離膜、およびそれを用
いた分離装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】膜分離技術は、食品工業や医療分野、海
水淡水化や超純水生成分野等の水処理分野等をはじめと
して様々な分野で利用されているが、これまで特に水系
を中心に発達し、工業化されてきた。膜分離技術は、省
資源・省エネルギーおよび低環境負荷技術として注目さ
れている分離技術であり、この膜分離技術を非水系分
野、例えば石油精製プロセスや石油化学工業分野へ適用
することが近年研究され始めている。
【0003】石油精製プロセスや石油化学工業分野にお
ける分離は、蒸留法を主体とする既存の分離技術を組み
合せた方法で行なわれており、省資源・省エネルギーお
よび低負荷環境の立場からは、より有利な分離技術を開
発し適用することが求められている。このような背景か
ら膜分離技術を石油精製プロセスや石油化学工業分野の
技術として開発し実用化することが求められている。
【0004】特開平2−2852号、特開平2−285
4号公報は、芳香族成分と非芳香族成分を分離するため
のポリウレア/ウレタン膜を開示している。特開平2−
138136号公報は、ポリエチレングリコール含浸親
水性膜を用いて芳香族炭化水素を芳香族炭化水素と飽和
炭化水素の混合物から分離する方法を開示している。特
開平3−77634号公報は、架橋ポリウレタン膜で芳
香族成分と非芳香族成分を分離する方法を開示してい
る。特開昭62−234523号公報は、高分子複合膜
による炭化水素混合ガス分離方法を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来技術は、必ずしも、有機液体に対して十分な耐久
性を有し、かつ分離性能と膜透過速度をともに満足し、
既存分離設備より経済的に有利な膜及び膜プロセスとは
言えない。また、石油精製プロセスの場合、処理量が大
量であるため、ガス状態の分離ではエネルギー的に不利
になる。これらの理由から、現状では、石油精製プロセ
スや石油化学工業に膜分離技術を本格的に応用した例は
ない。
【0006】有機液体混合物の組成を変化させることが
できれば、ガソリンのオクタン価を向上させたり、軽油
のセタン価を向上できる。また、膜で目的成分を完全に
分離することができなくとも、蒸留設備に入る前の原料
組成を変えておくだけで経済的には有利であり、さらに
蒸留プロセスを膜プロセスで置き換えることができれば
経済的に有利になることは言うまでもない。また、ガソ
リンからベンゼン等の有害物質を除去できれば低環境負
荷の観点から有利である。さらに、オレフィンの分離・
濃縮ができればポリマーや石油化学製品の経済的に有利
な原料製造方法を提供することができる。
【0007】本発明の課題は、このような観点から、と
くに石油精製プロセスや石油化学工業の分野に工業的に
適用して好適な、有機液体混合物用分離膜、およびそれ
を用いた分離装置および方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の有機液体混合物用分離膜は、多孔質膜の片
側に有機液体混合物を供給し、他の片側から気相で一部
の成分を分離する分離膜であって、少なくとも分離対象
の有機液体混合物の接する面の表面に非多孔質の層を設
けたことを特徴とするものからなる。多孔質膜として
は、平均孔径 0.5〜50nmの微細孔を有するものであるこ
とが好ましい。
【0009】また、本発明に係る有機液体混合物用分離
装置は、このような分離膜を用いた装置からなり、本発
明に係る有機液体混合物の分離方法は、このような分離
膜を用いて膜蒸留法またはパーベーパレーション法によ
り分離することを特徴とする方法からなる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の
形態について説明する。まず、本発明において適用する
膜蒸留法は、微細孔を有する膜を介して液体混合物から
ある成分を選択的に富化した蒸気として得る膜分離技術
で、膜の一次側に液体混合物を供給し、二次側を減圧す
るか窒素等の不活性ガスまたは液体で掃引する方法であ
る。本発明における膜蒸留法は上述のいずれの方法でも
よいが、不活性ガスまたは温度差を有する液体で二次側
を掃引する方法は、大容量の装置を高い真空度に保つ必
要がなくエネルギー的にも減圧にする方法より有利であ
る。
【0011】パーベーパレーション法は、膜内に液体混
合物から膜素材と有機液体混合物中の特定成分との親和
性を利用して、膜内に取り込み選択的に特定成分を透過
させる膜分離技術であり、膜の一次側に液体混合物を供
給し、二次側を減圧にする方法である。
【0012】本発明の複合膜は、多孔質の基材膜と非多
孔質の層とを有しているが、有機液体混合物と接液する
面に設けた非多孔質の層が、一次側の液体混合物の多孔
質膜細孔内への侵入を防ぎ、かつ、該有機液体の混合物
の少なくとも1成分の蒸気を透過させ、該複合膜中を蒸
気の状態または細孔内に毛管凝縮を起こした状態で透過
させることを特徴としている。
【0013】本発明で対象とする有機液体混合物は、例
えば、パラフィン系炭化水素、オレフィン系炭化水素、
ナフテン系炭化水素、芳香族系炭化水素のうち、いずれ
か2つ以上の炭化水素成分を含むものである。また、硫
黄化合物、窒素化合物、酸素化合物、金属化合物などの
非炭化水素成分を含んでいても差し支えない。この有機
液体混合物の例としては、ナフサ、ガソリン、灯油、軽
油などの石油留分が挙げられるが、これらに限定される
ものではない。
【0014】ここで、パラフィン系炭化水素とは、Cn
2n+2の分子式の飽和鎖状化合物で、分枝のないn-パラ
フィンと枝分かれしたイソパラフィンとがあり、具体的
には、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、
n-オクタン、n-ノナン、n-デカン、n-ウンデカン、n-ド
デカン、2-メチルブタン、2,2-ジメチルプロパンなどが
挙げられる。オレフィン系炭化水素とは、二重結合を有
する炭化水素で、二重結合1個の場合はCn 2nの一般
式で示される鎖状炭化水素であり、具体的には、例え
ば、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテ
ン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセンな
どが挙げられる。ナフテン系炭化水素とは、1分子中に
少なくとも1個の飽和環を含む炭化水素で、炭素数5個
のシクロペンタンと、炭素数6個のシクロヘキサンが最
も基本となる環状化合物であり、一般式はCn 2nであ
る。芳香族系炭化水素とは、1分子中に少なくとも1個
の芳香族環を含む炭化水素のことで、具体的には、例え
ば、ベンゼンやベンゼンに側鎖のついたトルエン、キシ
レンなどの単環化合物が挙げられる。
【0015】有機液体混合物の温度は、膜の耐熱性の範
囲内であれば特に限定されないが、有機液体混合物の粘
度が極端に高くなるような温度は好ましくない。
【0016】本発明で使用される分離膜が分離性能を発
現するためには、分離すべき成分が分離膜の微細孔内で
毛管凝縮を起こすことが必要である。毛管凝縮により、
分離すべき成分が微細孔を閉塞し一次側からの他の成分
の透過は阻止され、二次側では凝縮したある成分が気化
して透過物となるので、高い分離性能が得られる。毛管
凝縮を起こす微細孔の大きさは分離の対象および膜材質
によって異なるが、例えば膜蒸留法では0.5〜100
nm、好ましくは0.5〜20nm、更に好ましくは1〜1
0nmである。この微細孔の大きさは電子顕微鏡観察によ
り把握可能である。膜の微細孔の平均孔径または細孔径
分布を測定する方法は種々あるが、本発明では水の透過
速度と膜の空隙率とから算出される平均孔径で定義す
る。
【0017】しかし、膜の微細孔内に一次側からの有機
液体混合物が浸入してしまうと実質的に毛管凝縮を起こ
す部分が減少してしまい分離性能は低いものとなる。こ
のような透過の仕組みから検討を重ねた結果、有機液体
混合物と接液する面に非多孔質の層を設け、その非多孔
質層が有機液体混合物の少なくとも1成分の蒸気を透過
し、該有機液体混合物の透過を阻止する性質を有するも
のであれば毛管凝縮の効果を有効に利用した分離膜を得
ることができることが分かり、本発明に至った。
【0018】また、分離膜の形態は平膜、管状膜、中空
糸膜等のいずれの形状のものでもよく、さらに分離膜モ
ジュールの形態も平板型、スパイラル型、プリーツ型、
管状型、中空糸型等いずれの形態でも本発明に用いるこ
とができる。特に膜の自己支持性と機械的・力学的特
性、およびモジュールの構成要素が少なく、耐溶剤性の
観点から有利な中空糸膜が好ましい形状である。
【0019】多孔質膜の素材は、有機高分子であって
も、無機素材であっても、あるいは両者が混合乃至は複
合した構成をとってもよい。有機高分子の多孔膜の場合
には、有機液体混合物に対して耐久性がある有機高分子
であれば特に限定されない。このような高分子素材の例
としては、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリイミド、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、
ポリ塩化ビニル、ポリアミド等を挙げることができる。
【0020】無機系の多孔質膜の場合には、おおむね耐
油性に優れているので、いずれの素材の多孔質膜でもよ
いが、セラミックス系、ゼオライト系、ガラス系、炭素
系の多孔質膜が使用できる。
【0021】本発明の非多孔質の層は、多孔質膜の少な
くともに片面に設けられることが必要である。好ましく
は有機液体混合物と接液する面に設け、さらに好ましく
は接液しない面には実質上設けないことである。非多孔
質の層に用いる素材は、少なくとも1成分の蒸気を透過
し、有機液体混合物の透過を阻止する性質を有するもの
であれば特に限定されるものではない。すなわち、分離
操作を行なう温度において膜内に透過物質が蒸気の状態
で供給できればよく、単一組成であっても混合物であっ
ても差し支えない。透過速度が有利に得られる点から、
ゴム状態の高分子が好ましく、このような高分子素材の
例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソ
ブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ−1
−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリオキシメチレン、
ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニルアルコー
ル、ポリジメチルシロキサン、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リフッ化ビニル等を挙げることができる。有機液体混合
物に対する耐久性が優れ、薄膜形成性が優れる点で架橋
構造を有したポリジメチルシロキサンすなわち架橋シリ
コーンは特に好ましく用いられる。
【0022】有機液体混合物と接液する面に非多孔質の
層を設ける手法は、特に限定されるものではなく、コー
ティング、含浸いずれでもよく、接液する膜の表面の形
状により選ぶことができる。コーティングは多孔質膜上
に薄膜を形成するために簡便な方法であるが、乾燥状態
の膜にそのまま塗布する方法のほかに予めコーティング
素材の溶液の非溶媒を含浸しておくことにより非多孔質
の層を膜の内部への到達を防ぐことができる。非多孔質
の層による多孔質膜上の被覆の程度はガスの透過性によ
って把握することができる。分離対象や操作条件などの
違いにより、変わり得るが、該非多孔質の層の厚さは1
nm〜100μmが好ましく、10nm〜50μmがより好
ましい。
【0023】
【実施例】以下に、より具体的な実施例と比較例を挙げ
て本発明を説明するが、本発明はこれらにより何ら限定
されるものではない。 実施例1 櫛型アミノ変成シリコーン溶液(東レシリコーン(株)
製BY16-872、分子量約12万、側鎖導入率シロキサンユニ
ット中約1.6%)の 2重量% のシクロヘキサン溶液と、ト
リレンジイソシアネート溶液(日本ポリウレタン(株)
製トリレンジイソシアネートコロネートT-80)の 0.9重
量% のシクロヘキサン溶液を調製し、同体積混合して、
架橋シリコーン溶液を得た。
【0024】ポリフェニレンスルフィドスルホン(東レ
(株)製MF値18)を用いて中空糸膜を作成し、これ
を酸化して、得られた平均細孔径6.41nm、外径1055μ
m、内径 730μmのポリフェニレンスルホン中空糸膜を
約30cmの長さに切り、10本を束ねてガラス製のミニモジ
ュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティング
し、処理用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保
管したものである。処理に用いたガラス製のミニモジュ
ールの両端は処理後膜を取り出すために切り落とす部分
として 2cm長のガラス管をテフロン熱収縮チューブによ
り接続した。
【0025】処理用膜モジュールは、上端にシリコーン
ゴムチューブを接続し、架橋シリコーン溶液を 6ccチュ
ーブの内側に注いで中空糸膜の内側をコーティングし
た。処理用膜モジュールは、架橋シリコーン溶液を液き
りして窒素ガスで緩やかに約 2分パージしたあと60℃の
オーブンにて 5分加熱した。
【0026】処理後の膜は、処理用膜モジュールの 2cm
長のガラス管の接続部分にて切断し約26cm長の中空糸複
合膜を得た。このポリフェニレンスルホン中空糸複合膜
は、外径1055μm、内径 730μmであった。
【0027】4本の中空糸複合膜を束ねてガラス製のミ
ニモジュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッテ
ィングし、試験用膜モジュールを作製した。有効膜面積
は1.8×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定した
ところ 2.5×10-11m3/m2・sec ・Paと比較例の膜に比べ
0.1%未満に低下した。
【0028】この試験用モジュールを使って、ベンゼン
濃度が 9mol%のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機
液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約
55℃に温調して中空糸膜の内側に膜面線速度0.1m/sec
の流量で供給した。中空糸膜の外側には窒素ガスを膜面
線速度1.0m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで
透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガス
クロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル
濃度が17mol%であった。分離係数は2.04であり、コーテ
ィングを行わなかった後述の比較例1よりも高い値を得
た。膜透過速度は1.22kg/(m2・hr)であった。膜の電子
顕微鏡観察では、内表面は平滑であり、後述の比較例1
では観察される開口部はふさがれていたが、断面方向に
はスポンジ状の構造が分布し後述の比較例1との差違は
認められなかった。
【0029】実施例2 平均細孔径6.16nm、外径1084μm、内径 740μmのポリ
フェニレンスルホン中空糸膜は後述の比較例2と用いた
ものと同じものを約30cmの長さに切り、エタノールに浸
漬後水に置換した。実施例1と同じ方法により調製した
架橋シリコーン溶液をシクロヘキサンを用いて 8倍に希
釈したものをコーティング液とした。35cm長の試験管に
コーティング液を上部5mm程度を残して満たした。水に
浸漬しておいたポリフェニレンスルホン中空糸膜は、1
本ずつ取り出し表面に付着した水がなくなるのを待って
から架橋シリコーン溶液に浸漬して外表面をコーティン
グした。コーティングは浸漬後溶液から取り出しながら
温風に当てて溶媒を揮発させて再び試験管内に沈める操
作を 6回繰り返した。このポリフェニレンスルホン中空
糸複合膜は、外径1084μm、内径 740μmであった。
【0030】得られた複合中空糸膜を風乾し 4本を束ね
てガラス製のミニモジュールに挿入し、両端をエポキシ
接着剤でポッティングして試験用膜モジュールを作製し
た。有効膜面積は 2.3×10-3m2であった。窒素ガスの透
過性を測定したところ2.14×10-9m3/m2 ・ sec・Paと比
較例2に比べて約5%に減少した。
【0031】この試験用モジュールを使って、ベンゼン
濃度が10mol%のベンゼンとn−ヘプタンを混合した有機
液体混合物の分離実験を行なった。有機液体混合物は約
55℃に温調して中空糸膜の外側に膜面線速度8.5m/sec
の流量で供給した。中空糸膜の内側には窒素ガスを膜面
線速度0.1m/secで流し、液体窒素のコールドトラップで
透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分の濃度をガス
クロマトグラフィーで測定したところ、ベンゼンのモル
濃度が14mol%であった。分離係数は1.47とコーティング
を行わなかった比較例2よりも高い値を得た。膜透過速
度は1.57kg/(m2・hr)であった。
【0032】比較例1 平均細孔径6.41nm、外径1055μm、内径 730μmのポリ
フェニレンスルホン中空糸膜を約20cmの長さに切り、 4
本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端を
エポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュール
を作製した。膜は風乾状態で保管したもので、試験用膜
モジュール内の膜の有効膜面積は 1.8×10-3m2であっ
た。窒素ガスの透過性を測定したところ1.73×10-6m3/m
2 ・sec ・Paであった。この試験用モジュールを使っ
て、ベンゼン濃度が10mol%のベンゼンとn−ヘプタンを
混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液
体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の内側に膜面線
速度0.1m/secの流量で供給した。中空糸膜の外側には窒
素ガスを膜面線速度1.0m/secで流し、液体窒素のコール
ドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分
の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベ
ンゼンのモル濃度は、膜に供給した有機液体混合物の濃
度と差が認められなかった。
【0033】比較例2 平均細孔径6.16nm、外径1084μm、内径 740μmのポリ
フェニレンスルホン中空糸膜を約20cmの長さに切り、 4
本を束ねてガラス製のミニモジュールに挿入し、両端を
エポキシ接着剤でポッティングし、試験用膜モジュール
を作製した。膜は風乾状態で保管したもので、試験用膜
モジュール内の膜の有効膜面積は 2.2×10-3m2であっ
た。窒素ガスの透過性を測定したところ4.74×10-8m3/m
2 ・ sec ・Paであった。この試験用モジュールを使っ
て、ベンゼン濃度が10mol%のベンゼンとn−ヘプタンを
混合した有機液体混合物の分離実験を行なった。有機液
体混合物は約55℃に温調して中空糸膜の外側に膜面線
速度8.5m/secの流量で供給した。中空糸膜の内側には窒
素ガスを膜面線速度0.1m/secで流し、液体窒素のコール
ドトラップで透過蒸気を凝縮回収した。この透過液成分
の濃度をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ベ
ンゼンのモル濃度は、膜に供給した有機液体混合物の濃
度と差が認められなかった。
【0034】比較例3 平均細孔径0.46nm、外径1080μm、内径 720μmのポリ
フェニレンスルホン中空糸膜を用い、実施例1と同じ方
法により、複合膜を作製した。得られた複合中空糸膜を
約20cmの長さに切り、 4本を束ねてガラス製のミニモジ
ュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティング
し、試験用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保
管したもので、試験用膜モジュール内の膜の有効膜面積
は 2.4×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定した
ところ1.81×10-11m3/m2 ・ sec・Paであった。この試験
用モジュールを使って、ベンゼン濃度が10mol%のベンゼ
ンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験
を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空
糸膜の外側に膜面線速度8.5m/secの流量で供給した。中
空糸膜の内側には窒素ガスを膜面線速度0.1m/secで流
し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収
した。凝縮回収を2時間行なったが、トラップ内に透過
物の凝縮は認められなかった。
【0035】比較例4 平均細孔径22.5nm、外径1098μm、内径 730μmのポリ
フェニレンスルホン中空糸膜を用い、実施例1と同じ方
法により、複合膜を作製した。得られた複合中空糸膜を
約20cmの長さに切り、 4本を束ねてガラス製のミニモジ
ュールに挿入し、両端をエポキシ接着剤でポッティング
し、試験用膜モジュールを作製した。膜は風乾状態で保
管したもので、試験用膜モジュール内の膜の有効膜面積
は 2.3×10-3m2であった。窒素ガスの透過性を測定した
ところ8.74×10-9m3/m2 ・ sec ・Paであった。この試験
用モジュールを使って、ベンゼン濃度が10mol%のベンゼ
ンとn−ヘプタンを混合した有機液体混合物の分離実験
を行なった。有機液体混合物は約55℃に温調して中空
糸膜の外側に膜面線速度8.5m/secの流量で供給した。中
空糸膜の内側には窒素ガスを膜面線速度0.1m/secで流
し、液体窒素のコールドトラップで透過蒸気を凝縮回収
した。この透過液成分の濃度をガスクロマトグラフィー
で測定したところ、ベンゼンのモル濃度は、膜に供給し
た有機液体混合物の濃度と差が認められなかった。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の分離膜お
よびそれを用いた装置および方法によれば、有機液体混
合物と接液する面に非多孔質の層を設けた分離膜を使っ
て、有機液体混合物が分離膜の微細孔の中に液体の状態
で侵入することを抑止することにより、毛管凝縮の効果
を利用して高い分離性能と膜透過速度を達成でき、有機
液体混合物組成を効果的に変化させることができる。こ
の膜分離技術は、容易に工業的に適用でき、大量の処理
量が要求される石油精製プロセスや石油化学工業の分野
に極めて有用な技術である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B01D 71/68 B01D 71/68 71/70 71/70 // B01D 69/02 69/02 69/06 69/06 69/08 69/08

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質膜の片側に有機液体混合物を供給
    し、他の片側から気相で一部の成分を分離する分離膜で
    あって、少なくとも分離対象の有機液体混合物の接する
    面の表面に非多孔質の層を設けたことを特徴とする、有
    機液体混合物用分離膜。
  2. 【請求項2】 多孔質膜が平均孔径 0.5〜50nmの微細孔
    を有するものである、請求項1の有機液体混合物用分離
    膜。
  3. 【請求項3】 多孔質膜が有機高分子からなる、請求項
    1または2の有機液体混合物用分離膜。
  4. 【請求項4】 多孔質膜が無機材質からなる、請求項1
    または2の有機液体混合物用分離膜。
  5. 【請求項5】 非多孔質の層が有機液体混合物の少なく
    とも1つの特定成分の蒸気を透過させ、かつ、該有機液
    体混合物の透過を阻止する性質を有している、請求項1
    ないし4のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
  6. 【請求項6】 非多孔質の層が、分離操作を行なう温度
    においてゴム状態の高分子からなる、請求項3の有機液
    体混合物用分離膜。
  7. 【請求項7】 非多孔質の層が架橋シリコーンからな
    る、請求項3、5および6のいずれかに記載の有機液体
    混合物用分離膜。
  8. 【請求項8】 有機液体混合物がパラフィン系炭化水
    素、オレフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、芳香
    族系炭化水素のうち、いずれか2つ以上の炭化水素成分
    を含んでいる、請求項1ないし7のいずれかに記載の有
    機液体混合物用分離膜。
  9. 【請求項9】 有機液体混合物がパラフィン系炭化水素
    とオレフィン系炭化水素の混合物である、請求項1ない
    し7のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
  10. 【請求項10】 有機液体混合物がナフサ、ガソリン、
    灯油、軽油である、請求項1ないし9のいずれかに記載
    の有機液体混合物用分離膜。
  11. 【請求項11】 多孔質膜の素材が有機液体混合物に対
    して耐久性がある有機高分子である、請求項3の有機液
    体混合物用分離膜。
  12. 【請求項12】 多孔質膜の素材がポリアクリロニトリ
    ル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルフォン
    またはポリイミドである、請求項11の有機液体混合物
    用分離膜。
  13. 【請求項13】 膜形状が中空糸膜である、請求項1な
    いし12のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
  14. 【請求項14】 膜形状が平膜である、請求項1ないし
    12のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
  15. 【請求項15】 膜形状が管状膜である、請求項1ない
    し12のいずれかに記載の有機液体混合物用分離膜。
  16. 【請求項16】 請求項1ないし15のいずれかに記載
    の分離膜を用いていることを特徴とする、有機液体混合
    物用分離装置。
  17. 【請求項17】 請求項1ないし15のいずれかに記載
    の分離膜を用いて膜蒸留法により分離することを特徴と
    する、有機液体混合物の分離方法。
  18. 【請求項18】 請求項1ないし15のいずれかに記載
    の分離膜を用いてパーベーパレーション法により分離す
    ることを特徴とする、有機液体混合物の分離方法。
  19. 【請求項19】 膜の透過側を不活性ガスで掃引して蒸
    気圧勾配駆動力を維持する、請求項17または18に記
    載の有機液体混合物の分離方法。
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