JPH10196913A - 調理用ガスグリル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバーナに、大きな炎口と、小さな炎口と
を、交互に設けることによって、グリル室内の熱分布を
均一化する技術が知られているが、炎口の加工が煩わし
い。 【解決手段】 焼網４の横の両側壁２ａ、２ｂには、凹
部２ａ’、２ｂ’が対向しないようにずらして設けら
れ、凹部２ａ’、２ｂ’によって熱流を積極的に流す大
きな隙間Ｓが設けられている。燃焼中、ガスバーナ３の
炎によって一次熱流αが発生する。この熱流は上昇した
後、旋回して側壁２ａ、２ｂに沿って下方へ流れる。凹
部２ａ’、２ｂ’がある箇所では、熱流は隙間Ｓを通っ
て下方へ流れた後、整流板９の上面に沿う二次熱流βが
発生し、一次熱流αに合流して炎の熱を遠くへ飛ばす。
凹部２ａ’、２ｂ’がない箇所では、熱流は調理物Ａに
阻害されて二次熱流βが発生せず、炎の熱は近くへ飛ば
される。このように、両側壁２ａ、２ｂに凹部２ａ’、
２ｂ’を設けるのみで、熱分布が均一化する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、ガスの燃焼によ
って生じる熱によって調理を行う調理用ガスグリルに関
する。

【０００２】

【従来の技術】調理用ガスグリルの一例として、実公平
１−４２７２３号公報に開示された技術が知られてい
る。この公報の調理用ガスグリルには、グリル室の両側
壁にガスバーナを配置し、そのガスバーナの上に燃焼用
空気を取り入れる空気取入口を設け、さらにガスバーナ
の上に廂を設けた技術が開示されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記の廂は、煮汁等が
炎口に付着するのを防ぐ作用の他に、燃焼用空気を炎に
導く作用がある。このため、廂によって燃焼用空気が炎
の上側から下向きに供給され、結果的に燃焼用空気の流
れによって炎の熱を内側へ飛ばす作用が生じる。一方、
調理用ガスグリルでは、調理物の焼ムラを抑える要求が
高い。焼ムラを抑えるためには、炎の熱を遠くへ飛ばす
部位と、近くへ飛ばす部位とを交互に作って、ガスバー
ナの熱をグリル室内で均一となるように作用させれば良
い。そこで、従来では大きな炎口と小さな炎口とを交互
に設けて炎に強弱を付ける技術があるが、炎口の加工が
煩わしい。

【０００４】

【発明の目的】この発明は、上記の事情に鑑みてなされ
たもので、その目的は、従来に比較して簡便な技術によ
って、グリル室内の熱分布を均一化し、調理物の焼ムラ
をなくすことのできる調理用ガスグリルの提供にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、次の技術的手段を採用する。 〔請求項１の手段〕調理用ガスグリルは、略立方容器状
を呈するグリル室と、このグリル室内に配置され、調理
物を乗せる焼網と、この焼網の下側で、且つ前記グリル
室の対向する側壁にそれぞれ配置され、前記グリル室の
内側に炎を吹き出す調理用のガスバーナと、を備える。

【０００６】前記グリル室には、前記ガスバーナの上部
に、燃焼用空気を取り入れる空気取入口が設けられると
ともに、前記グリル室内には、前記空気取入口から前記
グリル室内に進入した燃焼用空気を燃焼部分へ案内する
内側下向きに傾斜した整流板が設けられ、前記焼網の横
の前記側壁には、前後方向に複数の上下に長い凹部が設
けられて、この複数の凹部によって前記側壁と前記焼網
との間に熱気流を積極的に流す隙間が形成されることを
特徴とする。

【０００７】〔請求項２の手段〕請求項１の調理用ガス
グリルにおいて、一方の側壁側の前記凹部と、一方の側
壁に対向する他方の側壁の凹部とが、前後にずらして設
けられ、一方の側壁側の隙間のある部分と、他方の側壁
の隙間の無い部分とが対向することを特徴とする。

【０００８】〔請求項３の手段〕請求項１または請求項
２の調理用ガスグリルにおいて、前記ガスバーナに設け
られる炎口は、内側下向きに傾斜して設けられたことを
特徴とする。

【０００９】

【発明の作用】ガスバーナの燃焼時、調理物を乗せる焼
網の下側で、ガスバーナがグリル室の内側へ向けて炎を
吹き出す。この時、ガスバーナの上部に設けられた空気
取入口から燃焼用空気が進入し、進入した燃焼用空気は
整流板に沿って炎に供給される。整流板は、内側下向き
に傾斜しており、燃焼用空気が効率的に炎に供給され
る。この結果、燃焼用の空気が効率的に炎に供給され、
炎の熱をグリル室の内側へ飛ばす（一次熱流）。グリル
室の内側へ飛ばされた炎の熱は、熱気流となる。つま
り、グリル室内に飛ばされた炎の熱は上昇し、焼網を通
ってグリル室の天井等に当たって横方向に流れ、側壁に
沿って下降する。

【００１０】ここで、焼網と側壁との間に、側壁の凹部
によって設けられた隙間が形成されていると、この隙間
は熱気流を積極的に流すため、側壁に沿って下降する熱
が隙間を通って下へ流れる。隙間を通って下向きに流れ
る熱気流は、整流板の上面に当たって、整流板に沿って
下方内向きに傾斜して流れる（二次熱流）。この二次熱
流は、ガスバーナが直接発生する炎の熱流（一次熱流）
に合流するため、結果的に、凹部による隙間が設けられ
た箇所では、炎の熱を遠くまで飛ばす力が大きくなる。

【００１１】一方、焼網と側壁との間に凹部による隙間
が設けられていない箇所では、焼網に載せられた調理物
に妨げられるため、側壁に沿って下降する熱気流は焼網
の下へは流れにくい。この結果、二次熱流が発生せず
（例え発生しても、流量は少ない）、凹部による隙間が
設けられていない箇所では、炎の熱を遠くまで飛ばす力
が小さくなる。

【００１２】

【発明の効果】上記の作用で示したように、側壁に上下
に長い凹部を複数設けるという簡便な技術によって、炎
の熱を遠くまで飛ばす箇所と、炎の熱を近くへ飛ばす箇
所とを設けることができ、グリル室内の熱分布を均一化
する。このため、料理用ガスグリルによる調理物の焼ム
ラをなくすことができる。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、実施例お
よび変形例に基づき説明する。図１および図２は実施例
を示すもので、図１は調理用ガスグリルのガスバーナの
断面図、図２はその上断面図である。 （調理用ガスグリル１の概略説明）ガスの燃焼熱によっ
て調理を行う調理用ガスグリル１は、ガスコンロ内に組
み込まれたもので、略立方容器状を呈するグリル室２
と、このグリル室２の対向する両側壁２ａ、２ｂのそれ
ぞれに前後に略水平方向に延びて対向配置された２つの
調理用のガスバーナ３とを備える。この２つのガスバー
ナ３は、調理物Ａを乗せる焼網４より下方に配置された
下側バーナである。

【００１４】（ガスバーナ３の説明）ガスバーナ３は、
上下２枚の上プレート５、下プレート６を接合して形成
されている。これら上プレート５、下プレート６は、対
向する所定位置を上方および下方にプレス加工によって
膨出変形させた後、両者を突き合わせて上プレート５の
接合代と下プレート６の接合代とを重ね合わせ、上プレ
ート５の周囲を下プレート６の接合代の端を覆うように
折り曲げ、この折り曲げ部分を下プレート６の接合代に
かしめることによって固着されたもので、上プレート
５、下プレート６の膨出部による内部空間によってガス
通路が形成される。なお、上プレート５の上面膨出部の
内側（グリル室２内側）は、内側下方に傾斜して設けら
れている。

【００１５】ガスバーナ３の内側（グリル室２の内側）
には、それぞれ図１に示すように、グリル室２の中央へ
向けて調理用の炎を形成するための炎口７が多数列設さ
れている。この炎口７は、下プレート６の下向き傾斜面
に設けられており、炎口７に形成される炎を内側下向き
に傾斜させている。

【００１６】一方、グリル室２の両側壁２ａ、２ｂに
は、２つのガスバーナ３の上部に、燃焼用空気をグリル
室２内に導くための空気取入口８が設けられている。ま
た、グリル室２の両側壁２ａ、２ｂには、空気取入口８
からグリル室２内に進入した燃焼用空気を、燃焼部分
（炎口７に形成される炎）へ案内する内側下向きに傾斜
した整流板９が設けられている。この整流板９は、ガス
バーナ３の上側を覆うもので、整流板９とガスバーナ３
との間に、内側下方へ傾斜した空気通路を形成する。

【００１７】焼網４の横に位置する一方の側壁２ａおよ
び他方の側壁２ｂには、図２に示すように、前後方向に
複数の上下に長い凹部２ａ’、２ｂ’が設けられてお
り、外側に凹まされた複数の凹部２ａ’、２ｂ’によっ
て、両側壁２ａ、２ｂと焼網４との間に熱気流を積極的
に流す大きな隙間Ｓが設けられている。具体的には、図
２に示すように、両側壁２ａ、２ｂに、外側へ凹ませた
凹部２ａ’、２ｂ’と、外側へ凹ませてない凸部２
ａ”、２ｂ”とを設け、凹部２ａ’、２ｂ’によって大
きな隙間Ｓが形成され、凸部２ａ”、２ｂ”によって小
さな隙間（あるいは隙間のない部分）が形成される。

【００１８】また、この実施例では、図２に示すよう
に、一方の側壁２ａに設けられる複数の凹部２ａ’と、
他方の側壁２ｂに設けられる複数の凹部２ｂ’とが一致
しないようにずらして設けられており、一方の側壁２ａ
側の大きな隙間Ｓと、他方の側壁２ｂの大きな隙間Ｓと
が、ずらされている。

【００１９】（２つのガスバーナ３の作動説明）ガスバ
ーナ３の燃焼時、調理物Ａを乗せる焼網４の下側で、ガ
スバーナ３がグリル室２の内側へ向けて炎を吹き出す。
この時、ガスバーナ３の上部に設けられた空気取入口８
から燃焼用空気が進入し、進入した燃焼用空気は整流板
９に沿って炎に供給される。整流板９は、内側下向きに
傾斜しており、燃焼用空気が炎に供給される。この結
果、炎の熱をグリル室２の内側へ飛ばす一次熱流αが発
生する。

【００２０】グリル室２内に飛ばされた炎の熱は上昇
し、焼網４を通ってグリル室２の天井あるいは上部バー
ナ等に当たって横方向に流れ、その後、側壁２ａ、２ｂ
に沿って下降する。ここで、側壁２ａ、２ｂに凹部２
ａ’、２ｂ’が形成された箇所では、焼網４と側壁２
ａ、２ｂとの間に、熱気流を積極的に流す大きな隙間Ｓ
があるため、図１の左側に示すように、側壁２ａ、２ｂ
に沿って下降する熱が大きな隙間Ｓを通って下へ流れ
る。大きな隙間Ｓを通って下向きに流れる熱気流は、整
流板９の上面に当たり、整流板９の上面に沿って下方内
向きに傾斜して流れる二次熱流βが発生する。つまり、
大きな熱流が発生する。二次熱流βは、ガスバーナ３が
直接発生する炎の熱流（一次熱流α）に合流するため、
結果的に、図１の左側に示すように、炎の熱が遠くまで
飛ばされる。このため、グリル室２の中央側が効率良く
加熱できる。

【００２１】一方、図１の右側に示すように、側壁２
ａ、２ｂに凸部２ａ”、２ｂ”が形成された箇所では、
焼網４と側壁２ａ、２ｂとの間の隙間が小さい（あるい
は隙間Ｓが無い）ため、側壁２ａ、２ｂに沿って下降す
る熱の流れが、焼網４に乗せられた調理物Ａによって阻
止され、結果的に熱流の流れが焼網４の下側へ流れなく
なる。つまり、上述した二次熱流βが発生しない。この
結果、側壁２ａ、２ｂに凸部２ａ”、２ｂ”が形成され
た箇所では、一次熱流αのみによって炎の熱が飛ばされ
るため、小さな熱流が発生し、炎の熱が近くへ飛ばされ
る。このため、グリル室２の側壁２ａ、２ｂ側が効率良
く加熱できる。

【００２２】（実施例の効果）上記の作動で示したよう
に、ガスバーナ３の上部に空気取入口８や、内側下向き
に傾斜する整流板９を設けるとともに、側壁２ａ、２ｂ
に複数の凹部２ａ’、２ｂ’をずらして形成したことに
よって、炎の熱を遠くまで飛ばす部位（図２の破線矢印
の長い部分）と、炎の熱を飛ばさない部位（図２の破線
矢印の短い部分）とが交互にでき、大きな熱流と小さな
熱流との重なりが防止され、焼網４のほぼ全域を均一的
に加熱でき、焼ムラを抑えることができる。なお、側壁
２ａ、２ｂに複数の凹部２ａ’、２ｂ’をずらして形成
する加工技術は、従来のように炎口７に大小変化を設け
る加工技術に比較して簡便で済むため、容易に実施でき
る。

【００２３】（変形例）上記の実施例では、大きな隙間
Ｓをずらした例を示したが、大きな隙間Ｓを左右一致さ
せても良い。上記の実施例では、上下プレート５、６を
接合してガスバーナ３を設けた例を示したが、筒状に設
けられたパイプに炎口７を設けたガスバーナを適用して
も良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】調理用ガスグリルのガスバーナの正面断面図で
ある。

【図２】調理用ガスグリルの上断面図である。

【符号の説明】

Ａ 調理物 １ 調理用ガスグリル ２ グリル室 ２ａ 一方の側壁 ２ａ’ 一方の側壁に設けられた凹部 ２ｂ 他方の側壁 ２ｂ’ 他方の側壁に設けられた凹部 ３ ガスバーナ ４ 焼網 ５ 上プレート ６ 下プレート ７ 炎口 ８ 空気取入口 ９ 整流板 Ｓ 大きな隙間（積極的に熱気流を流す隙間）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】略立方容器状を呈するグリル室と、 このグリル室内に配置され、調理物を乗せる焼網と、 この焼網の下側で、且つ前記グリル室の対向する側壁に
   それぞれ配置され、前記グリル室の内側に炎を吹き出す
   調理用のガスバーナと、を備える調理用ガスグリルにお
   いて、 前記グリル室には、前記ガスバーナの上部に、燃焼用空
   気を取り入れる空気取入口が設けられるとともに、 前記グリル室内には、前記空気取入口から前記グリル室
   内に進入した燃焼用空気を燃焼部分へ案内する内側下向
   きに傾斜した整流板が設けられ、 前記焼網の横の前記側壁には、前後方向に複数の上下に
   長い凹部が設けられて、この複数の凹部によって前記側
   壁と前記焼網との間に熱気流を積極的に流す隙間が形成
   されることを特徴とする調理用ガスグリル。
2. 【請求項２】請求項１の調理用ガスグリルにおいて、 一方の側壁の前記凹部と、一方の側壁に対向する他方の
   側壁の凹部とが、前後にずらして設けられ、一方の側壁
   側の隙間のある部分と、他方の側壁側の隙間の無い部分
   とが対向することを特徴とする調理用ガスグリル。
3. 【請求項３】請求項１または請求項２の調理用ガスグリ
   ルにおいて、 前記ガスバーナに設けられる炎口は、内側下向きに傾斜
   して設けられたことを特徴とする調理用ガスグリル。