JPH10196778A - 自動変速機の油圧制御装置 - Google Patents

自動変速機の油圧制御装置

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JPH10196778A
JPH10196778A JP1006897A JP1006897A JPH10196778A JP H10196778 A JPH10196778 A JP H10196778A JP 1006897 A JP1006897 A JP 1006897A JP 1006897 A JP1006897 A JP 1006897A JP H10196778 A JPH10196778 A JP H10196778A
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control
engagement
learning
pressure
brake
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JP1006897A
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Masamitsu Kondo
真実 近藤
Nobuaki Takahashi
信明 高橋
Hiroya Nakamura
泰也 中村
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動変速機での油圧の学習制御を迅速に収束
させることのできる制御装置を提供する。 【解決手段】 複数の摩擦係合装置の係合と解放とによ
るクラッチ・ツウ・クラッチ変速を実行し、かつそのク
ラッチ・ツウ・クラッチ変速を実行するための複数の制
御値を学習制御によって補正する自動変速機の油圧制御
装置において、いずれかの学習制御の実行および禁止も
しくは学習制御内容を、他の学習制御の実行状況に基づ
いて決定する手段(ステップ24,31)を備えてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動変速機にお
ける摩擦係合装置の油圧を制御する制御装置に関し、特
にクラッチ・ツウ・クラッチ変速の際の油圧や制御タイ
ミングを制御し、あるいはアキュームレータを使用した
変速の際の係合圧などを制御する油圧制御装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】車両用の自動変速機における変速の形態
として、クラッチやブレーキなどの摩擦係合装置を係合
させる一方、他の摩擦係合装置を解放させるいわゆるク
ラッチ・ツウ・クラッチ変速が知られている。これは、
従来一般に使用されていた一方向クラッチを廃止するこ
とに伴って生じる変速の形態であり、したがってこのク
ラッチ・ツウ・クラッチ変速で解放される摩擦係合装置
は、従来の一方向クラッチと同様に動作させることが好
ましい。すなわち係合側の摩擦係合装置のトルク容量が
増大し、それに伴って解放側の摩擦係合装置にかかるト
ルクがゼロになった時点で解放し、これにより摩擦係合
装置のいわゆる掴み替えが行われることが好ましい。こ
れに反して、解放側の摩擦係合装置が早く解放したり、
あるいは急速に解放したりすると、エンジンの回転数が
急激に増大するオーバーシュート(吹き上がり)が顕著
になり、またこれとは反対に解放が遅れると、変速が進
行しないために変速の応答遅れが顕著になる不都合が生
じる。
【0003】上記の摩擦係合装置の解放は、基本的には
トルクの変化に応じて実行することが好ましいが、自動
変速機の内部のトルクを直接検出することは実用上困難
であるから、従来一般には、回転数やタイマによって油
圧を制御している。例えばクラッチ・ツウ・クラッチ変
速の際に解放される摩擦係合装置の油圧を、リニアソレ
ノイドバルブによって直接制御する場合、その解放側の
摩擦係合装置の油圧を低下させてエンジンの微少な吹き
上がりを生じさせ、それに基づいて係合側の摩擦係合装
置の油圧を昇圧して回転変化を進行させ、すなわち入力
回転数を変速後の変速段での同期回転数に向けて変化さ
せ、これと並行して解放圧を更に低下させている。
【0004】その場合、解放圧が不適切であれば、エン
ジンの吹き上がりが大きくなり、あるいは反対に変速の
遅れが顕著になる。また変速のタイミングすなわち解放
・係合のタイミングが不適切であれば、変速の遅れが顕
著になったり、あるいは回転変化が急激になってショッ
クが生じるなどの不都合がある。さらに係合圧が不適切
であれば、変速ショックや変速の遅れが生じる。
【0005】また一方、係合側の摩擦係合装置にアキュ
ームレータを付設してある場合には、アキュームレータ
の動作が終了することによる油圧の急激な上昇が変速に
影響しないようにするために、アキュームレータの動作
範囲で変速を終了する必要がある。
【0006】このようにクラッチ・ツウ・クラッチ変速
には、各種の乗り心地の悪化要因があり、そこで従来、
クラッチ・ツウ・クラッチ変速を円滑に実行するため
に、油圧や制御タイミングの学習制御が行われている。
これは、係合圧や解放圧あるいは制御タイミングに目標
値を設定し、実際に変速を行った際の回転変化などの状
況に基づいて各制御値を補正することによって行ってい
る。
【0007】従来、この学習制御に優先順序を設定し、
優先順位の上位の学習が収束した後に下位の順位の学習
を実行することとしている。例えば上述した変速の例で
は、直接的な制御を行う解放圧を学習制御により補正し
てエンジンの吹き上がり状態を適正化し、ついで制御タ
イミングや係合圧の学習制御を行っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、クラッチ・
ツウ・クラッチ変速では、二つの摩擦係合装置を相反す
る方向に制御するから、両者が同時に係合してしまうな
どの事態を防止する機構を設けるのが一般的である。そ
の一例として、係合圧の増大によって解放圧をドレーン
し、あるいはそのドレーン速度を速くするバルブ構成が
ある。したがって係合圧と解放圧とは全く独立している
わけではなく、相互に関係し合うことがある。また制御
タイミングにおいても同様であって、解放側の制御が早
ければ、エンジンの吹き上がり時間が長くなり、その結
果、エンジンの吹き上がりの絶対値が大きくなる。これ
は、解放圧が不適切な場合と同様な状況であり、制御タ
イミングと解放圧制御とが相互に関連し合っていること
になる。
【0009】このように解放圧および制御タイミングな
らびに係合圧などの各制御対象は、相互に関連し合って
いるのであり、いずれかの制御内容の変更が他の制御に
影響を及ぼす場合が多い。そのため、従来のように学習
制御に優先順位を設定し、上位の学習制御から順に収束
させるとしても、下位の学習制御によってその制御内容
(あるいは制御値)が変化することにより、一旦収束し
た上位の学習制御による制御内容(あるいは制御値)が
不適切になり、再度、学習制御を行わなければならない
事態が生じる。その結果、従来では、学習制御の収束速
度が遅く、クラッチ・ツウ・クラッチ変速の全ての制御
が目標どおりになるには、学習制御を繰り返し行わざる
を得ないなどの不都合があった。
【0010】また上述のようにアキュームレータを介し
て係合圧を摩擦係合装置に供給することにより変速を実
行する場合、アキュームレータの動作が終了する以前に
摩擦係合装置の係合を完了させる必要がある。そのた
め、従来では、変速終了の目標時間を設定し、その時間
内に摩擦係合装置が係合するように係合圧を制御してい
る。その場合、目標時間は、多種多様な状況での安全を
見込んだ時間とするせざるを得ない。そのため、従来で
は、係合圧の制御に許容される時間が短くなり、入力ト
ルクが大きいなどのことによって短時間の間に係合圧を
大きく上昇させるなどの事態が生じ、結局、変速ショッ
クが悪化するなどの可能性があった。
【0011】この発明は上記の事情を背景としてなされ
たものであり、変速ショックの悪化や変速の遅延などを
生じることなく変速を実行することのできる自動変速機
用の油圧制御装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、複数の摩擦係
合装置の係合と解放とによるクラッチ・ツウ・クラッチ
変速を実行し、かつそのクラッチ・ツウ・クラッチ変速
を実行するための複数の制御値を学習制御によって補正
する自動変速機の油圧制御装置において、いずれかの学
習制御の実行および禁止もしくは学習制御内容を、他の
学習制御の実行状況に基づいて決定する手段を備えてい
ることを特徴とするものである。
【0013】したがって請求項1の発明によれば、複数
の学習制御を同時に行い、あるいは収束した学習制御に
影響を及ぼす他の学習制御を禁止するなどのことが可能
になり、その結果、変速に関連する制御値の全体として
の学習の収束速度を速くすることができる。
【0014】また請求項2の発明は、アキュームレータ
を介して摩擦係合装置に係合圧を供給し、かつそのアキ
ュームレータが動作を終了する以前に前記摩擦係合装置
を係合させて変速を終了させる自動変速機の油圧制御装
置において、前記アキュームレータの動作の終了時間を
推定する推定手段と、この推定手段によって推定された
前記アキュームレータの動作終了時間までに前記摩擦係
合装置の係合を完了させるよう前記係合圧を制御する係
合圧補正手段とを備えていることを特徴とするものであ
る。
【0015】したがって請求項2の発明によれば、アキ
ュームレータの動作終了時間によって制約を受ける係合
圧の制御時間が、アキュームレータの動作終了時間を推
定することにより、変速の実状に即して決定され、その
結果、係合圧の制御時間をアキュームレータの動作状態
に応じて許容される範囲で長くでき、それに伴って係合
圧の制御が容易になり、あるいは変速ショックを防止す
ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図面に基づいて
より具体的に説明する。まず、この発明で対象とするエ
ンジン(駆動力源)Eおよび自動変速機Aについて説明
すると、図13その全体的な制御系統図であって、自動
変速機Aを連結してあるエンジンEは、その出力を電気
的に制御するように構成されており、サーボモータ16
によって駆動される電子スロットルバルブ13が吸気管
路12に設けられている。一方、エンジンEの出力を制
御するためのアクセルペダル15の踏み込み量すなわち
アクセル開度は、図示しないセンサによって検出され、
その検出信号がエンジン用電子制御装置(E−ECU)
17に入力されている。この電子制御装置17は、中央
演算処理装置(CPU)および記憶装置(RAM、RO
M)ならびに入出力インターフェースを主体とするもの
であって、この電子制御装置17には、制御のためのデ
ータとして、エンジン(E/G)回転数、吸入空気量、
吸入空気温度、スロットル開度、車速、エンジン水温、
ブレーキスイッチからの信号などの各種の信号が入力さ
れている。そしてこれらのデータに基づいて電子スロッ
トルバルブ13の開度を制御し、またエンジンEの燃料
噴射量および点火時期などを制御するようになってい
る。
【0017】自動変速機Aは、油圧制御装置18によっ
て変速およびロックアップクラッチやライン圧あるいは
所定の摩擦係合装置の係合圧が制御される。その油圧制
御装置18は、電気的に制御されるように構成されてお
り、また変速を実行するための第1ないし第3のシフト
ソレノイドバルブS1 ,〜S3 、エンジンブレーキ状態
を制御するための第4ソレノイドバルブS4 、ライン圧
を制御するためのリニアソレノイドバルブSLT、アキュ
ームレータ背圧を制御するためのリニアソレノイドバル
ブSLN、ロックアップクラッチや所定の摩擦係合装置の
係合圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLUが
設けられている。
【0018】これらのソレノイドバルブに信号を出力し
て変速やライン圧あるいはアキュームレータ背圧などを
制御する自動変速機用電子制御装置(T−ECU)19
が設けられている。この自動変速機用電子制御装置19
は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RA
M、ROM)ならびに入出力インターフェースを主体と
するものであって、この電子制御装置19には、制御の
ためのデータとしてスロットル開度、車速、エンジン水
温、ブレーキスイッチからの信号、シフトポジション、
パターンセレクトスイッチからの信号、オーバドライブ
スイッチからの信号、後述するクラッチC0 の回転速度
を検出するC0 センサからの信号、自動変速機の油温、
マニュアルシフトスイッチからの信号などが入力されて
いる。
【0019】またこの自動変速機用電子制御装置19と
エンジン用電子制御装置17とは、相互にデータ通信可
能に接続されており、エンジン用電子制御装置17から
自動変速機用電子制御装置19に対しては、1回転当た
りの吸入空気量などの信号が送信され、また自動変速機
用電子制御装置19からエンジン用電子制御装置17に
対しては、各ソレノイドバルブに対する指示信号と同等
の信号および変速段を指示する信号などが送信されてい
る。
【0020】すなわち自動変速機用電子制御装置19
は、入力されたデータおよび予め記憶しているマップに
基づいて変速段やロックアップクラッチのON/OF
F、あるいはライン圧や係合圧の調圧レベルなどを判断
し、その判断結果に基づいて所定のソレノイドバルブに
指示信号を出力し、さらにフェールの判断やそれに基づ
く制御を行うようになっている。またエンジン用電子制
御装置17は、入力されたデータに基づいて燃料噴射量
や点火時期あるいは電子スロットルバルブ13の開度な
どを制御することに加え、自動変速機Aでの変速時に燃
料噴射量を削減し、あるいは点火時期を変え、もしくは
電子スロットルバルブ13の開度を絞ることにより、出
力トルクを一時的に低下させるようになっている。
【0021】図14は上記の自動変速機Aの歯車列の一
例を示す図であり、ここに示す構成では、前進5段・後
進1段の変速段を設定するように構成されている。すな
わちここに示す自動変速機Aは、トルクコンバータ20
と、副変速部21と、主変速部22とを備えている。そ
のトルクコンバータ20は、ロックアップクラッチ23
を有しており、このロックアップクラッチ23は、ポン
プインペラ24に一体化させてあるフロントカバー25
とタービンランナ26を一体に取付けた部材(ハブ)2
7との間に設けられている。エンジンのクランクシャフ
ト(それぞれ図示せず)はフロントカバー25に連結さ
れ、またタービンランナ26を連結してある入力軸28
は、副変速部21を構成するオーバドライブ用遊星歯車
機構29のキャリヤ30に連結されている。
【0022】この遊星歯車機構29におけるキャリヤ3
0とサンギヤ31との間には、多板クラッチC0 と一方
向クラッチF0 とが設けられている。なお、この一方向
クラッチF0 はサンギヤ31がキャリヤ30に対して相
対的に正回転(入力軸28の回転方向の回転)する場合
に係合するようになっている。またサンギヤ31の回転
を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。
そしてこの副変速部21の出力要素であるリングギヤ3
2が、主変速部22の入力要素である中間軸33に接続
されている。さらにその多板クラッチC0 の回転数すな
わち入力回転数を検出するためのNC0センサ34が設け
られている。
【0023】したがって副変速部21は、多板クラッチ
C0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態では遊
星歯車機構29の全体が一体となって回転するため、中
間軸33が入力軸28と同速度で回転し、低速段とな
る。またブレーキB0 を係合させてサンギヤ31の回転
を止めた状態では、リングギヤ32が入力軸28に対し
て増速されて正回転し、高速段となる。
【0024】他方、主変速部22は三組の遊星歯車機構
40,50,60を備えており、それらの回転要素が以
下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構
40のサンギヤ41と第2遊星歯車機構50のサンギヤ
51とが互いに一体的に連結され、また第1遊星歯車機
構40のリングギヤ43と第2遊星歯車機構50のキャ
リヤ52と第3遊星歯車機構60のキャリヤ62との三
者が連結され、かつそのキャリヤ62に出力軸65が連
結されている。さらに第2遊星歯車機構50のリングギ
ヤ53が第3遊星歯車機構60のサンギヤ61に連結さ
れている。
【0025】この主変速部22の歯車列では後進段と前
進側の四つの変速段とを設定することができ、そのため
のクラッチおよびブレーキが以下のように設けられてい
る。先ずクラッチについて述べると、互いに連結されて
いる第2遊星歯車機構50のリングギヤ53および第3
遊星歯車機構60のサンギヤ61と中間軸33との間に
第1クラッチC1 が設けられ、また互いに連結された第
1遊星歯車機構40のサンギヤ41および第2遊星歯車
機構50のサンギヤ51と中間軸33との間に第2クラ
ッチC2 が設けられている。
【0026】つぎにブレーキについて述べると、第1ブ
レーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機
構40および第2遊星歯車機構50のサンギヤ41,5
1の回転を止めるように配置されている。またこれらの
サンギヤ41,51(すなわち共通サンギヤ軸)とケー
シング66との間には、第1一方向クラッチF1 と多板
ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されて
おり、その第1一方向クラッチF1 はサンギヤ41,5
1が逆回転(入力軸28の回転方向とは反対方向の回
転)しようとする際に係合するようになっている。多板
ブレーキである第3ブレーキB3 は第1遊星歯車機構4
0のキャリヤ42とケーシング66との間に設けられて
いる。そして第3遊星歯車機構60のリングギヤ63の
回転を止めるブレーキとして多板ブレーキである第4ブ
レーキB4 と第2一方向クラッチF2 とがケーシング6
6との間に並列に配置されている。なお、この第2一方
向クラッチF2 はリングギヤ63が逆回転しようとする
際に係合するようになっている。
【0027】上記の自動変速機Aでは、各クラッチやブ
レーキを図15の作動表に示すように係合・解放するこ
とにより前進5段・後進1段の変速段を設定することが
できる。なお、図15において○印は係合状態、●印は
エンジンブレーキ時に係合状態、△印は係合・解放のい
ずれでもよいこと、空欄は解放状態をそれぞれ示す。
【0028】図15の作動表に示されているように、第
2速と第3速との間の変速は、第2ブレーキB2 と第3
ブレーキB3 との係合・解放状態を共に変えるクラッチ
・ツウ・クラッチ変速になる。この変速を円滑に行うた
めに、上述した油圧制御装置18には図16に示す油圧
回路が組み込まれている。
【0029】図16において符号70は 1-2シフトバル
ブを示し、また符号71は 2-3シフトバルブを示し、さ
らに符号72は 3-4シフトバルブを示している。これら
のシフトバルブ70,71,72の各ポートの各変速段
での連通状態は、それぞれのシフトバルブ70,71,
72の下側に示しているとおりである。なお、その数字
は各変速段を示す。その 2-3シフトバルブ71のポート
のうち第1速および第2速で入力ポート73に連通する
ブレーキポート74に、第3ブレーキB3 が油路75を
介して接続されている。この油路にはオリフィス76が
介装されており、そのオリフィス76と第3ブレーキB
3 との間にダンパーバルブ77が接続されている。この
ダンパーバルブ77は、第3ブレーキB3 にライン圧が
急激に供給された場合に少量の油圧を吸入して緩衝作用
を行うものである。
【0030】また符号78は B-3コントロールバルブで
あって、第3ブレーキB3 の係合圧をこの B-3コントロ
ールバルブ78によって直接制御するようになってい
る。すなわちこの B-3コントロールバルブ78は、スプ
ール79とプランジャ80とこれらの間に介装したスプ
リング81とを備えており、スプール79によって開閉
される入力ポート82に油路75が接続され、またこの
入力ポート82に選択的に連通させられる出力ポート8
3が第3ブレーキB3 に接続されている。さらにこの出
力ポート83は、スプール79の先端側に形成したフィ
ードバックポート84に接続されている。一方、前記ス
プリング81を配置した箇所に開口するポート85に
は、 2-3シフトバルブ71のポートのうち第3速以上の
変速段でDレンジ圧を出力するポート86が油路87を
介して連通されている。またプランジャ80の端部側に
形成した制御ポート88には、ロックアップクラッチ用
リニアソレノイドバルブSLUが接続されている。
【0031】したがって B-3コントロールバルブ78
は、スプリング81の弾性力とポート85に供給される
油圧とによって調圧レベルが設定され、かつ制御ポート
88に供給される信号圧が高いほどスプリング81によ
る弾性力が大きくなるように構成されている。
【0032】さらに図16中符号89は 2-3タイミング
バルブであって、この 2-3タイミングバルブ89は、小
径のランドと2つの大径のランドとを形成したスプール
90と第1のプランジャ91とこれらの間に配置したス
プリング92とスプール90を挟んで第1のプランジャ
91とは反対側に配置された第2のプランジャ93とを
有している。この 2-3タイミングバルブ89の中間部の
ポート94に油路95が接続され、またこの油路95
は、 2-3シフトバルブ71のポートのうち第3速以上の
変速段でブレーキポート74に連通させられるポート9
6に接続されている。
【0033】さらにこの油路95は途中で分岐して、前
記小径ランドと大径ランドとの間に開口するポート97
にオリフィスを介して接続されている。この中間部のポ
ート94に選択的に連通させられるポート98は油路9
9を介してソレノイドリレーバルブ100に接続されて
いる。そして第1のプランジャ91の端部に開口してい
るポートにロックアップクラッチ用リニアソレノイドバ
ルブSLUが接続され、また第2のプランジャ93の端部
に開口するポートに第2ブレーキB2 がオリフィスを介
して接続されている。
【0034】前記油路87は第2ブレーキB2 に対して
油圧を供給・排出するためのものであって、その途中に
は小径オリフィス101とチェックボール付きオリフィ
ス102とが介装されている。またこの油路87から分
岐した油路103には、第2ブレーキB2 から排圧する
場合に開くチェックボールを備えた大径オリフィス10
4が介装され、この油路103は以下に説明するオリフ
ィスコントロールバルブ105に接続されている。な
お、油路87は、前記 B-3コントロールバルブ78にお
ける前記ポート85に連通されているので、第2ブレー
キB2 の油圧が B-3コントロールバルブ78にスプール
79を図16での下方向に押し下げるように作用し、第
2ブレーキB2 の係合圧が高い場合には、第3ブレーキ
B3 から排圧するようになっている。
【0035】オリフィスコントロールバルブ105は第
2ブレーキB2 からの排圧速度を制御するためのバルブ
であって、そのスプール106によって開閉されるよう
に中間部に形成したポート107には第2ブレーキB2
が接続されており、このポート107より図での下側に
形成したポート108に前記油路103が接続されてい
る。第2ブレーキB2 を接続してあるポート107より
図での上側に形成したポート109は、ドレーンポート
に選択的に連通させられるポートであって、このポート
109には、油路110を介して前記 B-3コントロール
バルブ78のポート111が接続されている。なおこの
ポート111は、第3ブレーキB3 を接続してある出力
ポート83に選択的に連通させられるポートである。
【0036】オリフィスコントロールバルブ105のポ
ートのうちスプール106を押圧するスプリングとは反
対側の端部に形成した制御ポート112が油路113を
介して、 3-4シフトバルブ72のポート114に接続さ
れている。このポート114は、第3速以下の変速段で
第3ソレノイドバルブS3 の信号圧を出力し、また第4
速以上の変速段で第4ソレノイドバルブS4 の信号圧を
出力するポートである。さらにこのオリフィスコントロ
ールバルブ105には、前記油路95から分岐した油路
115が接続されており、この油路115を選択的にド
レーンポートに連通させるようになっている。
【0037】なお、前記 2-3シフトバルブ71において
第2速以下の変速段でDレンジ圧を出力するポート11
6が、前記 2-3タイミングバルブ89のうちスプリング
92を配置した箇所に開口するポート117に油路11
8を介して接続されている。また 3-4シフトバルブ72
のうち第3速以下の変速段で前記油路87に連通させら
れるポート119が油路120を介してソレノイドリレ
ーバルブ100に接続されている。
【0038】そして図16中、符号121は第2ブレー
キB2 用のアキュームレータを示し、その背圧室には、
リニアソレノイドバルブSLNが出力する油圧に応じて調
圧されたアキュームレータコントロール圧が供給されて
いる。なおこのアキュームレータコントロール圧は、リ
ニアソレノイドバルブSLNの出力圧が低いほど高い圧力
になるように構成されている。したがって第2ブレーキ
B2 の係合・解放の過渡的な油圧は、リニアソレノイド
バルブSLNの信号圧が低いほど高い圧力で推移するよう
になっている。
【0039】また符号122は C-0エキゾーストバルブ
を示し、さらに符号123はクラッチC0 用のアキュー
ムレータを示している。なお C-0エキゾーストバルブ1
22は2速レンジでの第2速のみにおいてエンジンブレ
ーキを効かせるためにクラッチC0 を係合させるように
動作するものである。
【0040】したがって、上述した油圧回路によれば、
B-3コントロールバルブ78のポート111がドレーン
に連通していれば、第3ブレーキB3 の係合圧を B-3コ
ントロールバルブ78によって直接調圧することがで
き、またその調圧レベルをリニアソレノイドバルブSLU
によって変えることができる。またオリフィスコントロ
ールバルブ105のスプール106が、図の左半分に示
す位置にあれば、第2ブレーキB2 はこのオリフィスコ
ントロールバルブ105を介して油路103に連通させ
られるので、大径オリフィス104を介して排圧が可能
になり、したがって第2ブレーキB2 からのドレーン速
度を制御することができる。
【0041】上記の第3ブレーキB3 を解放し、かつ第
2ブレーキB2 を係合させて実行する第2速から第3速
へのクラッチ・ツウ・クラッチ変速によるアップシフト
は、基本的には、第3ブレーキB3 の係合圧を低下させ
てエンジンEのわずかな吹き上がりを生じさせ、これを
検出することにより第2ブレーキB2 の係合圧を次第に
高めて入力軸回転数NCOを第3速の同期回転数に向けて
次第に低下させる。このような制御を行う場合、第3ブ
レーキB3 の係合圧の低下の程度や第2ブレーキB2 に
油圧を供給するタイミング、さらにはその圧力によって
変速の進行や変速ショックが大きく影響される。そこで
これらの制御値は、学習制御によって補正される。以
下、その学習補正制御について説明する。
【0042】先ず、解放圧の学習制御について図1を参
照して説明する。第2速から第3速へのクラッチ・ツウ
・クラッチ変速によるアップシフトが終了した時点でそ
の変速中におけるエンジンEの最大吹き上げ量(オーバ
ーシュート量)ΔNOSを求め、その最大吹き上げ量ΔN
OSに基づいてデューティ比の学習補正量GDUA を算出す
る。これは予め定めたマップに基づいて算出することが
できる。なお、最大吹き上げ量ΔNOSは入力回転数NC0
と出力回転数N0 に第2速の変速比γ2 を掛けた値との
差(NCO−N0 ×γ2 )として求めることができる(図
2参照)。
【0043】またその変速のイナーシャ相開始前におけ
るエンジンEの点火時期の最大遅角量ΔIg に基づいて
デューティ比の学習補正量GDUB を算出する。この学習
補正量GDUB についても予め定めマップに基づいて算出
することができる。そしてこれらの学習補正量GDUA ,
GDUB の和である補正値GDUC を求める。これらの演算
を行うステップ1が終了した後、変速中にエンジンEの
オーバーラン(オーバーレボリューション)に起因する
フューエルカットが実施されたか否かが判断される(ス
テップ2)。これは、エンジン用電子制御装置17から
自動変速機用電子制御装置19に送信される信号に基づ
いて判断することができる。
【0044】フューエルカットが実行されたことによっ
てフラグFFCが“1”にセットされており、これにより
ステップ2で肯定判断された場合には、第3ブレーキB
3 を制御するデューティ比の補正量GDUすなわちリニア
ソレノイドバルブSLUのデューティ比DSLU の補正値G
DUとして、上記の学習補正量GDUC およびフューエルカ
ットを実行することに伴う予め定めた値GDUF とのうち
最大の値を採用する(ステップ3)。すなわちエンジン
Eの回転数が上昇してしまっているのであるから、これ
を抑制するように作用させるべく第3ブレーキB3 の係
合圧を高くする。
【0045】一方、変速中にフューエルカットが行われ
なかったことによりステップ2で否定判断された場合に
は、第3ブレーキB3 の係合圧のステップアップ制御が
実施されたか否かが判断される(ステップ4)。このス
テップアップ制御は、図3に示すように、第3ブレーキ
B3 の係合圧が相対的に低いために、変速出力後、予め
定めた時間より以前にエンジンEの吹き上がりが検出さ
れた場合に、これを抑制するように第3ブレーキB3 の
係合圧を所定値だけ上昇させる制御である。このステッ
プアップ制御が実行されることによりステップ4で肯定
判断された場合には、補正値GDUとしてデューティ比の
スイープダウン残量ΔDUSに基づいた値と、前記学習補
正量GDUC とのうち最も大きい値を採用する(ステップ
5)。
【0046】ここでステップアップ制御は、変速開始前
すなわちトルク相における第3ブレーキB3 の目標圧に
までデューティ比DSLU を徐々に低下させるスイープダ
ウン制御中における一時的な昇圧制御であって、スイー
プダウン残量ΔDUSは、その時点の目標デューティ比ま
での低下残量である。ステップ5では、これに予め定め
たマップ値KUPを掛ける(ΔDUS×KUP)ことによりス
イープダウン残量に応じた補正値が求められる。
【0047】これに対してステップアップ制御を実行し
なかったことにより、ステップ4で否定判断された場合
には、係合の開始が遅いか否かが判断される(ステップ
6)。この係合の開始とは、イナーシャ相の開始であっ
て、入力回転数と出力回転数ならびに第2速の変速比に
基づいて判断することができる。このようにして判断さ
れるイナーシャ相の開始が予め定めた目標時間に対して
遅いか否かが判断される。このステップ6で肯定判断さ
れれば、第3ブレーキB3 の係合圧が高いことにより変
速が進行していないことになり、したがってこの場合
は、学習補正値GDUとして上記の学習補正量GDUC と係
合開始時点でのデューティ比の低下量ΔDUEに基づいた
値とのうち小さい値が採用される(ステップ7)。ここ
で係合開始時のデューティ比の低下量(ΔDUE)とは、
図4に示すように、係合開始の目標時間におけるデュー
ティ比と係合開始が検出された時点でのデューティ比と
の差であり、これにマップから求めた係数KE を掛けた
値(ΔDUE×KE )が算出される。この値と前記学習補
正量とのうちの小さい値が学習補正値GDUとして採用さ
れる。
【0048】これに対してステップ6で否定判断された
場合、すなわち係合開始が早い場合には、第3ブレーキ
B3 の油圧を制御するデューティ比の学習補正値GDUと
して前記の学習補正量GDUC すなわちステップ1で求め
た学習補正量GDUC が採用される(ステップ8)。すな
わち係合開始が早い場合には、デューティ比を増大させ
て第3ブレーキB3 の係合圧を高くするように学習補正
される。
【0049】このように係合開始目標時間あるいはそれ
より若干長い時間が経過しても係合が開始しない場合、
すなわちイナーシャ相が開始しない場合は、タイアップ
が生じているとして解放圧である第3ブレーキB3 の油
圧を下げる。また係合開始目標時間よりも早くエンジン
Eの吹き上がりが生じるような場合、すなわちステップ
4でステップアップ制御を実行するような状況では、係
合開始の遅延に応じた制御とは異なる制御すなわちスイ
ープダウン残量に基づいた制御を行う。
【0050】ついで上述したステップ3およびステップ
5ならびにステップ8で設定された学習補正値GDUに基
づいて解放圧の学習制御状況を示すフラグFSUをセット
する(ステップ9)。これは、図1のフローチャートに
記載してあるとおりであり、デューティ比の補正が行わ
れない場合、すなわち前記学習補正値GDUが“0”の場
合および学習実行条件が成立していなかった場合には、
フラグFSUが“0”にセットされる。また前記学習補正
値GDUが正の値の場合にはフラグFSUが“1”にセット
される。さらに前記学習補正値GDUが負の値の場合に
は、フラグFSUが“2”にセットされる。
【0051】さらに上記のフラグFSUが“0”以外の値
か否かが判断される(ステップ10)。すなわち第3ブ
レーキB3 を制御するためのリニアソレノイドバルブS
LUのデューティ比DSLU を学習補正するべきか否かが判
断される。そして肯定判断された場合には、前回の学習
補正値GDSLUに学習補正値GDUを加算して新たな学習補
正値(GDSLU =GDSLU +GDU)とする(ステップ1
1)。
【0052】つぎに制御タイミングの学習制御について
図5を参照して説明する。ここで制御タイミングとは、
係合側の摩擦係合装置である第2ブレーキB2 に油圧を
供給し始めるタイミングあるいはイナーシャ相の開始の
タイミングを制御することであり、第2ブレーキB2 が
係合し始めることにより、そのトルク容量が次第に増大
して係合が開始する。すなわちイナーシャ相が開始する
ことになる。その第2ブレーキB2 に油圧を供給し始め
る時点すなわち第2速から第3速への変速出力からの経
過時間TU は、車速などの走行状態に基づいて予め定め
たマップ値に、学習補正係数GKTを掛けた時間とされて
いる。その学習補正係数GKTが、係合開始目標時間から
実際の係合が開始した時間の差に基づいて求められる。
【0053】先ず、ステップ21において、 DKT=[{TU +(TUT−TUIN )}/TUI]−GKT の演算式によって係合開始の目標時間からのずれが求め
られる。ここでDKTは、係合開始のずれの程度を表す数
値であり、またTU は直前の変速で使用された第2ブレ
ーキB2 への油圧の供給開始時間であり、さらにTUTは
係合開始目標時間、TUIN は実際に係合が開始した時
間、TUIは第2ブレーキB2 に油圧の供給を開始する時
間のマップ値、GKTは直前の第2速から第3速へのアッ
プシフトの際に使用した学習補正係数である。
【0054】上記の演算をステップ21で実行した後、
上記の係合開始のずれを示す値DKTに基づいてフラグF
SFをセットする(ステップ22)。すなわち上記の値D
KTが係合開始目標時間の幅を示す下限値KDTL と上限値
KDTH との間にある場合、すなわち制御タイミングの補
正が特に必要ない場合、または制御タイミングの実行条
件が不成立の場合には、フラグFSFは“0”にセットさ
れる。また上記の値DKTが上限値KDTH よりも大きい場
合には、係合開始が早いことを示しており、この場合
は、フラグFSFが“1”にセットされる。これとは反対
に上記の値DKTが下限値KDTL よりも小さい場合には、
係合の開始すなわちイナーシャ相の開始が目標時間より
も遅いことを示しており、その場合はフラグFSFが
“2”にセットされる。
【0055】ついでイナーシャ相の進行度合いを示すフ
ラグFSNを設定する(ステップ23)。具体的には、直
前の第2速から第3速へのアップシフトの際におけるイ
ナーシャ相での入力回転数NC0の変化量(勾配)ΔNC0
が予め設定した許容範囲を示す上限値ΔNC02 と下限値
ΔNC01 との間にある場合にはフラグFSNが“0”にセ
ットされる。これに対して上限値ΔNC02 を越えている
場合にはフラグFSNは“1”にセットされる。また反対
に変化勾配ΔNC0が下限値ΔNCO1 に満たない場合にフ
ラグFSNが“2”にセットされる。またイナーシャ相で
の回転変化が生じずに、エンジンEのトルクダウン制御
がタイマに基づいて開始された場合には、フラグFSNは
“3”にセットされる。さらに入力回転数NC0を変化さ
せる制御値の学習補正量が限界に達してしまっていて、
それ以上の補正をできない状態であれば、すなわち学習
実行条件が成立していない場合には、フラグFSNは
“4”にセットされる。
【0056】上述したように解放側の第3ブレーキB3
の油圧の状況がフラグFSUで設定され、また制御タイミ
ングの状況がFSFで設定され、さらに係合側の第2ブレ
ーキB2 の状況がフラグFSNで示されることになる。こ
の発明の制御装置では、これらの解放圧、制御タイミン
グならびに係合圧の状況に基づいて学習の許可・禁止を
判断する。すなわちステップ24では、制御タイミング
の学習の許可・禁止が判断される。その許可・禁止の条
件は、図6に図表として示すとおりである。図6におい
て、×印は禁止を示し、また〇印は許可を示す。また数
値はフラグのセット値を示す。
【0057】図6に示すように、第2ブレーキB2 への
油圧の供給開始タイミングが適正であって、フラグFSF
が“0”にセットされている場合には、解放圧および係
合圧の如何に関わらず、制御タイミングの学習は禁止さ
れる。これに対してエンジンEの吹き上がりが適正であ
る場合、あるいは吹き上がりが大きい場合であって、フ
ラグFSUが“0”あるいは“1”にセットされ、かつ制
御タイミングが早い(フラグFSF=1)場合には、第2
ブレーキB2 の係合圧が高い(フラグFSN=1)場合を
除いて制御タイミングの学習補正が許可される。ここで
第2ブレーキB2 の係合圧が高い場合に制御タイミング
の学習補正が禁止されているのは、後述するように、第
2ブレーキB2 の係合圧を補正することにより、制御タ
イミングに遅れが生じることがあり、これらの制御の干
渉を避けるためである。
【0058】さらにエンジンEの吹き上がりが適正(フ
ラグFSU=0)であり、かつ制御タイミングが遅い(フ
ラグFSF=2)場合には、入力回転数NC0の変化が大き
い(フラグFSN=1)場合および学習実行条件不成立
(フラグFSN=4)の場合に限り制御タイミングの学習
が許可される。すなわち入力回転数NC0の変化が大きい
場合には、第2ブレーキB2 の係合圧が高い場合であ
り、この場合に制御タイミングの学習を許可するのは、
係合側の第2ブレーキB2 の圧力を制御しても変速タイ
ミングを適正な状態に変化させることができないからで
ある。
【0059】また係合側の第2ブレーキB2 の油圧の補
正を実行できないことを示すフラグFSN=4の場合に
は、制御タイミングを学習補正する。さらにフラグFSN
=0,2,3の場合、すなわち入力回転数NC0の変化勾
配ΔNC0が適正である場合、小さい場合、ならびにタイ
マによってエンジンEのトルクダウン制御が実行された
場合に、制御タイミングの学習を禁止するのは、係合側
の第2ブレーキB2 の油圧を上げることによって係合開
始のタイミングを変更できるからである。
【0060】さらにエンジンEの吹き上がりが少ないこ
とによりフラグFSUが“2”にセットされている場合に
ついて説明すると、制御タイミングが適正であってフラ
グFSFが“0”にセットされていれば、入力回転数NC0
の変化勾配ΔNC0が如何なる場合であっても制御タイミ
ングの学習は禁止される。解放側の第3ブレーキB3の
圧力および係合側の第2ブレーキB2 の油圧をそれぞれ
独立して学習補正できるからである。
【0061】また制御タイミングが早いことによりフラ
グFSFが“1”にセットされている場合には、係合側の
第2ブレーキB2 の油圧がどのような状況であっても制
御タイミングの学習が許可される。各学習補正の干渉が
特にはないからである。さらに制御タイミングが遅いこ
とによりフラグFSFが“2”にセットされている場合に
は、係合側の第2ブレーキB2 の油圧の状況に関わら
ず、制御タイミングの学習が禁止される。解放側の第3
ブレーキB3 の油圧を下げることにより、制御タイミン
グに変化を来す場合があるからである。
【0062】上述のようにして制御タイミングの学習の
許可・禁止が判断され、その学習が許可されることによ
りステップ24で肯定判断された場合には、前述した補
正係数GKTを演算する(ステップ25)。これは、具体
的には、上述したステップ21で求められた値DKTに予
め定めた修正係数KT を掛け、これを直前の第2速から
第3速へのアップシフトの際の学習補正係数GKTに加算
し、その演算結果を次回の変速の際の学習補正係数GKT
(=GKT+DKT×KT )とする。そして次回の第2速か
ら第3速へのアップシフトの際の第2ブレーキB2 へ油
圧を供給するタイミングは、このステップ25で演算し
た学習補正係数GKTを走行状態に基づいてマップから読
み出される時間に掛け合わせた時間として求められる。
【0063】つぎに係合側の第2ブレーキB2 の油圧の
学習補正について説明する。図7におけるステップ31
で係合側の油圧の学習制御が許可されているか否かが判
断される。この係合側の油圧の学習の許可・禁止の判断
は、上述したエンジンEの吹き上がり状態および係合開
始のタイミングならびにイナーシャ相での入力回転数N
C0の変化の程度などに基づいて判断される。具体的に
は、図8の図表に示すとおりである。この図8において
も×印は学習制御の禁止を示し、また〇印は許可を示
す。
【0064】この図8に示すように、第2ブレーキB2
の係合圧の補正量が、ガード値に達して補正不可能な場
合は、いずれの場合であっても係合側の第2ブレーキB
2 の油圧の学習制御が禁止される。またエンジンEの吹
き上がりが少ないことにより前記のフラグFSUが“2”
にセットされている場合には、解放側の第3ブレーキB
3 の油圧を制御してエンジンEの吹き上がりを増加させ
る学習補正を優先するために、第2ブレーキB2 の学習
補正は禁止される。
【0065】一方、エンジンEの吹き上がりが適正であ
って、フラグFSUが“0”にセットされている場合、制
御タイミングがいずれの場合であっても、すなわちフラ
グFSFが“0”、“1”、“2”のいずれの場合であっ
ても、入力回転数NC0の変化量ΔNC0が大きい場合、小
さい場合、ならびにタイマによってエンジンEのトルク
ダウン制御が実行された場合(フラグFSNが“1”、
“2”、“3”のいずれかである場合)は、第2ブレー
キB2 の係合圧の学習制御が実行される。解放側の油圧
の学習制御は、常時行われているから、これらの場合、
解放側と係合側との油圧の制御が共に学習制御されるこ
とになる。
【0066】なお、制御タイミングが遅いことによりフ
ラグFSFが“2”にセットされており、かつ入力回転数
NC0の変化量ΔNC0が適正な場合においても、係合側の
油圧の学習制御が実行される。これは第2ブレーキB2
の油圧を変えるとにより、係合開始のタイミングが変化
するからであり、したがってこの場合は係合側の第2ブ
レーキB2 の油圧を制御タイミングに優先して学習制御
することになる。
【0067】また、エンジンEの吹き上がりが大きいこ
とによりフラグFSUが“1”にセットされている場合に
は、係合側の油圧の学習制御は基本的には、エンジンE
の吹き上がりが適正な場合と同様に行われるが、制御タ
イミングが早くかつ入力回転数NC0の変化勾配ΔNC0が
大きい場合には、係合側の油圧の学習制御は禁止され
る。すなわちエンジンEの吹き上がりを抑制するように
第3ブレーキB3 の油圧を変更すると、係合の開始が早
くなるため、この場合は、係合側の第2ブレーキB2 の
油圧の学習制御を禁止し、解放側の油圧の学習制御を優
先する。なおまた、入力回転数NC0の変化勾配ΔNC0が
適正な状態であれば、係合側の油圧の学習制御が禁止さ
れる。すなわちフラグFSFが“2”にセットされ、かつ
フラグFSNが“0”にセットされている場合には、係合
側の油圧の学習制御が禁止される。したがってこのステ
ップ31および前記のステップ24が、請求項1におい
て学習制御の許可・禁止および学習制御内容を決定する
手段に相当する。
【0068】このようにしてステップ31において係合
圧の学習が許可されているか否かが判断され、その学習
制御が許可されていることによりステップ31で肯定判
断された場合には、入力回転数NC0の変化勾配ΔNC0の
状態を示すフラグFSNが“0”か否か、すなわち変化勾
配ΔNC0が適正か否かが判断される(ステップ32)。
このステップ32で肯定判断された場合には、学習補正
量GDEL として係合開始の目標値からのずれ量に応じた
値DTUを減算した値が採用される(ステップ33)。
【0069】これに対してステップ32で否定判断され
た場合には、フラグFSNが“1”か否か、すなわち入力
回転数NC0の変化勾配ΔNC0が大きいか否かが判断され
る(ステップ34)。入力回転数NC0の変化勾配ΔNC0
が大きいことにより、ステップ34で肯定判断された場
合には、学習補正量として変速開始時の入力数の変化量
とその目標値との差に基づいて演算した値が採用される
(ステップ35)。具体的には、入力回転数NC0の変速
開始時の変化量DNC0 とその目標値MNCT との差に学習
ゲインGA を掛けた値を求め、これを前回の学習補正量
に加算し、次回の変速の際の学習補正量とする。すなわ
ち GDEL =GDEL +GA ×(DNC0 −MNCT ) また一方、ステップ34で否定判断された場合には、フ
ラグFSNが“2”にセットされているか否かが判断され
る(ステップ36)。このステップ36で肯定判断され
た場合、すなわち入力回転数NC0の変化勾配ΔNC0が小
さい場合には、学習補正値GDEL として予め定めたマッ
プ値DS1を減算した値を採用する(ステップ37)。さ
らにステップ36で否定判断された場合には、フラグF
SNが“3”にセットされているか否かが判断される(ス
テップ38)。このステップ38で肯定判断された場
合、すなわちイナーシャ相が開始した後にタイマ制御に
よってエンジンEのトルクダウン制御が実行された場合
には、学習補正値GDEL として予め定めたマップ値DS2
を減算した値を採用する(ステップ39)。
【0070】なお、ステップ38で否定判断された場合
には、リターンする。すなわち前述したように係合側の
第2ブレーキB2 の油圧の補正がガードによって実行し
得ない場合であれば、学習制御を行わないことになる。
【0071】したがってこの制御によれば、係合開始が
目標時間よりも遅く、かつ第2ブレーキB2 の係合圧を
上げることができる状態であれば、すなわちその学習が
収束し、または係合圧が不足している場合には、解放側
のドレーンと係合側のアプライとの時間差を補正する学
習を保留し、解放圧を上げることにより係合開始時間を
補正する。このようにすれば、第2ブレーキB2 に連通
されているアキュームレータに余裕ができて制御が容易
になり、あるいは変速ショックの低下に有利になる。
【0072】さらに終了学習制御について説明する。図
9に示すステップ41において変速中か否かが判断され
る。変速中であれば、終了制御中であって、かつ入力回
転数NC0が変速後の同期回転数あるいはこれに所定の係
数を掛けた回転数に対して増大することが予め定めた回
数、検出されたか否かが判断される(ステップ42)。
すなわち変速が反対方向に進行しているか否かが判断さ
れる。このステップ42で否定判断された場合にはリタ
ーンし、肯定判断された場合には、フラグFRES をON
にするとともに、係合側の摩擦係合装置の油圧、例えば
第2ブレーキB2 の油圧を高くする(ステップ43)。
【0073】一方、その変速が終了してステップ41で
否定判断された場合には、フラグFRES がONか否かが
判断される(ステップ44)。このステップ44で否定
判断された場合にはリターンし、これとは反対に肯定判
断された場合には、係合側の油圧の初期値GDEL3として
補正量を加えた値を採用する(ステップ45)。すなわ
ち係合圧を高くする。
【0074】したがって終了時の学習制御は、変速の進
行方向を判断し、上記の例では、アップシフトであるか
ら、入力回転数NC0が相対的に低下すべきであるとこ
ろ、これとは反対に入力回転数NC0が相対的に増大する
ことが検出された場合には、係合圧を高くして入力回転
数NC0の低下を促し、またこれを学習して次回の変速時
には係合圧を補正量分だけ高い圧力に設定することにな
る。
【0075】上記の第2ブレーキB2 はアキュームレー
タ121を介して油圧が供給されるから、変速の遅れを
生じない範囲でアキュームレータのストローク時間を有
効に使って係合制御することが好ましい。すなわちアキ
ュームレータの動作終了(エンド当たり)を推定し、そ
れに基づいて油圧を制御することが好ましい。その制御
例を以下に説明する。
【0076】図10は、第2ブレーキB2 に油圧を供給
し始めた後に実行される制御ルーチンを示しており、先
ず、ステップ51で係合の開始前か否か、すなわちイナ
ーシャ相が開始しているか否かが判断される。ステップ
51で肯定判断された場合、すなわち係合が開始してい
ない場合には、アキュームレータのエンド推定ルーチン
を1回、実施し、所定の計算の刻み時間DT 後の推定値
を算出する(ステップ52)。なお、このエンド推定ル
ーチンは後述する。
【0077】一方、ステップ51で否定判断された場合
には、エンド推定ルーチンを実行し、その場合の初期値
は現在の推定値とする(ステップ53)。ついでアキュ
ームレータのストロークエンドの推定時間TEND として
計算の刻み時間DT を加えた時間を設定する。すなわち
エンド推定時間をインクリメントする(ステップ5
4)。さらに総流量SQ がクラッチパック容量KSQC と
アキュームレータの容量KSQA とを加えた量を超えたか
否かが判断される(ステップ55)。ここでクラッチパ
ック容量とは、多板クラッチ弥多板ブレーキなどの摩擦
係合装置の空間が詰まって摩擦板同士が相互に接触し、
そのトルク容量が上昇するまでの容量である。
【0078】このステップ55で否定判断されれば、ス
トロークが完了していないことになり、この場合はステ
ップ53に戻る。またステップ55で肯定判断されれ
ば、ストロークが完了したことになり、この場合は、変
速終了までの時間TSFT を演算する(ステップ56)。
これは、入力回転数NC0と第3速の同期回転数との差お
よび入力回転数NC0の変化量ΔNC0に基づいて演算する
ことができる。すなわち TSFT=(NC0−NO ×γ3 )/(ΔNC0 ×DT ) ここで、NO は出力回転数、γ3 は第3速の変速比であ
る。
【0079】つぎにステップ54で求めたエンド推定時
間TEND とステップ56で求めた変速終了までの時間T
SFT との差が予め定めたアキュームレータ余裕時間TMG
N より小さいか否かが判断される(ステップ57)。す
なわちアキュームレータの余裕があるか否かが判断され
る。このステップ57で肯定判断されれば、アキューム
レータの余裕が少ないことになり、この場合はフラグF
SLNUP をONにする(ステップ58)。
【0080】上記のステップ52の制御を実行した後、
あるいはステップ57で否定判断されてアキュームレー
タに余裕がある場合、さらにはフラグFSLNUP をONに
した後、そのフラグFSLNUP がONか否かが判断される
(ステップ59)。このフラグFSLNUP がOFFである
ことによりステップ59で否定判断された場合にはリタ
ーンし、これとは反対に肯定判断された場合には、アキ
ュームレータに余裕が少ない状態であり、この場合はス
テップ60に進んで変速中か否かが判断される。すなわ
ちアキュームレータを介して油圧を供給する変速中であ
るか否かが判断される。
【0081】このステップ60で肯定判断された場合に
は、アキュームレータのエンド当たりを防ぐためにその
背圧を上昇させる(ステップ61)。また変速中でない
ことによりステップ60で否定判断された場合には、背
圧の学習制御を実行する(ステップ62)。すなわち次
回の変速の際の背圧を、今回の背圧に対して所定値(例
えばマップ値)を加えた値に設定し、アキュームレータ
のエンド推定時間内で係合が終了するように油圧を制御
する。したがってステップ61,62が請求項2の発明
の係合圧補正手段に相当する。
【0082】ここでエンド推定ルーチンについて説明す
る。図11はエンド推定ルーチンの一例を示しており、
先ず、ステップ71で総油量SQ が、クラッチパック容
量KSQC より多いか否かが判断される。総油量SQ がク
ラッチパック容量KSQC 以下であることによりステップ
71で否定判断された場合には、クラッチモデルが設定
される。すなわちクラッチストローク量SL から内圧P
EST が算出され(ステップ72)、またライン圧PL を
設定するリニアソレノイドバルブSLTのデューティ比D
SLT からライン圧PL が算出される(ステップ73)。
【0083】ついでオイルの流量Qが演算される(ステ
ップ74)。この演算式は、 Q=C・AC {2(PL −PEST )/ρ}1/2 である。ここでC、AC 、ρのそれぞれは、流量計算用
の係数である。この流量Qに計算刻み時間DT を掛けた
値を総流量SQ に順次加算(インクリメント)して総流
量を算出する(ステップ75)。そしてこの総流量SQ
をクラッチの受圧面積ACLで割ることにより、ストロー
クSL が算出される(ステップ76)。
【0084】一方、ステップ71で肯定判断された場合
には、アキュームレータのモデルを設定する。すなわち
アキュームレータのストロークからその内部に設けてあ
るスプリングの弾性力FA を算出し(ステップ77)、
ついでリニアソレノイドバルブSLTのデューティ比DSL
T および背圧制御のためのリニアソレノイドバルブSLN
のデューティ比DSLN からアキュームレータの背圧PAB
K を算出する(ステップ78)。これらの値からアキュ
ームレータの内圧PEST を算出する(ステップ79)。
すなわち PEST =(FA +PABK ・ABK)/AFR である。ここでABKは背圧の受圧面積であり、AFRは正
圧の受圧面積である。
【0085】さらに上記ステップ73と同様にデューテ
ィ比DSLT からライン圧PL を算出し(ステップ8
0)、ついで流量Qを算出する(ステップ81)。すな
わち Q=C・Aa {2(PL −PEST )/ρ}1/2 である。ここでAa は流量計算用の係数である。そして
上記のステップ75と同様に、流量Qに計算刻み時間D
T を掛けた値を、総油量SQ に順次加算(インクリメン
ト)することにより、総油量を算出し(ステップ8
2)、さらにその総油量SQ をアキュームレータの正圧
受圧面積AFRで割ることにより、ストロークSA を求め
る(ステップ83)。このようにしてストロークを演算
することができるために、エンド当たりに達するまでの
時間を推定することが可能である。したがってこの図1
1のルーチンを実行するステップ52,53が請求項2
の推定手段に相当する。
【0086】なお、上述した制御では、クラッチ(ブレ
ーキ)およびアキュームレータをモデル化し、それに基
づいて油圧制御を行うこととしているが、このモデルに
ついての学習制御を行うことも可能である。例えば図1
2に示すように、ステップ91において、アキュームレ
ータに余裕があり、かつ入力回転数NC0の変化量ΔNC0
が、エンド当たりによる変化量ΔNC0ENよりも大きいか
否かを判断し、これらの条件が成立してステップ91で
肯定判断された場合には、前記の流量を算出する係数C
を予め定めた値DC だけ増大させる(ステップ92)。
すなわちアキュームレータに余裕があるにも拘わらず、
エンド当たりと同様なショックが検出された場合には、
モデルに誤りがあると考えられるので、モデルを特定す
る係数の学習補正を行う。
【0087】このように学習制御すれば、モデル自体を
学習して修正することができるために、さらに精度のよ
い制御を実行することができる。すなわち上記の制御に
よれば、アキュームレータの動作時間を充分に使って係
合圧の昇圧制御を実行できるから、係合圧の制御がより
実状に即したものとなって変速ショックを良好なものに
することができる。
【0088】ここで上述した具体例で示してあるこの発
明に特徴的な制御の形態を例示すると、この発明におい
ては、エンジンの吹き上がり量、その吹き上がりが生じ
た場合のエンジントルクダウンの遅角制御量から解放側
の油圧の制御指令値を補正し、エンジンの吹き上がり量
を所定の目標幅に収束させる学習制御を行うよう構成で
きる。またこの発明の制御装置では、係合開始目標時間
と実際に係合を開始した時間との差を、所定幅の目標値
に収束させるように解放側の油圧の排出と係合側の油圧
の供給の時間差を補正するよう構成することができる。
【0089】さらに係合開始目標時間あるいはそれより
若干長い所定時間を過ぎても係合開始しない場合、すな
わちイナーシャ相が開始しない場合には、クラッチ・ツ
ウ・クラッチ変速におけるいわゆるタイアップが生じて
いるとして、解放側の油圧を下げるよう構成することが
できる。これとは反対に係合開始目標時間よりも早くエ
ンジンの吹き上がりが発生した場合には、解放側の油圧
が大幅に不足しているとして上記の吹き上がり量を目標
幅に収束させるための解放側油圧の制御指令値の学習補
正制御とは別の学習補正制御を行う構成とすることがで
きる。
【0090】係合開始時の入力回転数の変化量を元に係
合側の油圧を補正することに加え、係合開始が目標時間
より遅くかつ係合圧を上げることができる状態であれ
ば、解放圧を上昇させて係合開始時間を補正するよう構
成してもよい。エンジンの吹き上がり量が所定の値以下
の時は、タイアップが生じているとして、解放側の油圧
を下げる学習補正のみを行うよう構成してもよい。
【0091】アキュームレータの屈曲点付近で係合開始
を行う場合、入力回転数の変化量に差が現れにくく、学
習が困難であるから、アキュームレータのエンド当たり
の時間を推定し、アキュームレータの余裕を確保するよ
う係合開始時の係合圧を補正するよう構成してもよい。
係合圧を学習補正する場合、解放側の油圧のキャンセル
分を考慮して解放圧を補正するよう構成してもよい。そ
して変速終了時に変速が逆方向に進行する場合を検出し
たときに係合圧を上げるとともに、次回の変速の際に係
合圧を予め高くするよう学習補正する構成としてもよ
い。
【0092】アキュームレータのエンド当たりを推定し
て油圧制御を行う場合、変速開始から常にアキュームレ
ータのエンド当たり時間を推定し、推定したエンド時間
を元に回転数変化の下限値を設定し、実際の変速がその
下限値を下回るような場合、すなわち変速が遅れる場合
には、係合圧を上げるよう制御する構成としてもよい。
推定したアキュームレータのエンド当たり時間に対して
アキュームレータの余裕が目標値を下回ると予測される
場合には、係合圧を上げるよう制御する構成であっても
よい。推定したアキュームレータのエンド当たり時間を
元に、目標変速時間、目標回転数を決定し、油圧のフィ
ードバック制御を行うよう構成することができる。変速
途中に推定したアキュームレータの余裕が少ないことが
判断された場合には、次回の変速では予め係合圧を上げ
るよう学習補正を実施する構成とすることができる。ア
キュームレータの内部推定量から予測したアキュームレ
ータのエンド当たりよりも早くエンド当たりを検出した
場合には、推定量算出用の油圧回路モデルの定数を変更
する学習を行う構成とすることができる。
【0093】さらにこの発明では、摩擦係合装置の解放
時の内部の状態あるいはアキュームレータの内部の状態
を推定し、これらの内部にオイルが残っている状態から
の多重変速を検出して油圧を制御する構成とすることが
できる。また上述の例では、アキュームレータのエンド
の推定を時間によって表しているが、要は、これと同等
の検出を行えばよいのであって、アキュームレータのス
トローク残量や残り容量に置き換えて検出してもよい。
【0094】なお、上述した実施例では、第2速から第
3速へのアップシフトの場合を例に採って説明したが、
この発明は、他の変速の際の油圧を制御する装置にも適
用するができ、またアキュームレータのエンド当たりに
基づく油圧の制御はクラッチ・ツウ・クラッチ変速に限
らずアキュームレータを使用する他の一般の変速の際の
油圧制御に適用することができる。さらにこの発明は、
上述したギヤトレーンや油圧回路を備えた自動変速機以
外の自動変速機を対象とする制御装置に適用することが
できる。
【0095】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、複数の学習制御を同時に行い、あるいは収束した
学習制御に影響を及ぼす他の学習制御を禁止するなどの
ことが可能になり、その結果、変速に関連する制御値の
全体としての学習の収束速度を速くすることができる。
【0096】また請求項2の発明によれば、アキューム
レータの動作終了時間によって制約を受ける係合圧の制
御時間が、アキュームレータの動作終了時間を推定する
ことにより、変速の実状に即して決定され、その結果、
係合圧の制御時間をアキュームレータの動作状態に応じ
て許容される範囲で長くでき、それに伴って係合圧の制
御が容易になり、あるいは変速ショックを防止すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御装置による解放側油圧の学習制
御ルーチンの一例を説明するためのフローチャートであ
る。
【図2】エンジンの吹き上がり量をデューティ比の変化
と共に模式的に示すタイムチャートである。
【図3】解放側油圧のステップアップ制御をデューティ
比の変化で示すタイムチャートである。
【図4】変速の開始が遅れた場合のデューティ比の低下
量を説明するためのタイムチャートである。
【図5】この発明の制御装置による制御タイミングの学
習制御ルーチンの一例を説明するためのフローチャート
である。
【図6】制御タイミングの学習の許可・禁止条件を示す
マップである。
【図7】この発明の制御装置による係合側油圧の学習制
御ルーチンの一例を説明するためのフローチャートであ
る。
【図8】係合側油圧の学習の許可・禁止条件を示すマッ
プである。
【図9】この発明の制御装置による終了学習制御ルーチ
ンの一例を説明するためのフローチャートである。
【図10】この発明の制御装置によるアキュームレータ
のエンド推定時間に基づく油圧の制御例を説明するため
のフローチャートである。
【図11】そのエンド推定制御ルーチンの一例を示すフ
ローチャートである。
【図12】そのモデルの係数の学習制御ルーチンの一例
を説明するためのフローチャートである。
【図13】この発明で対象とする自動変速機の全体的な
制御系統を説明するためのブロック図である。
【図14】その自動変速機におけるギヤトレーンの一例
を示すスケルトン図である。
【図15】その自動変速機の各変速段を設定するための
係合作動表を示す図である。
【図16】油圧回路の一部を示す図である。
【符号の説明】
17 エンジン用電子制御装置 18 油圧制御装置 19 自動変速機用電子制御装置 A 自動変速機 E エンジン SLU,SLN リニアソレノイドバルブ B2 ,B3 ブレーキ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の摩擦係合装置の係合と解放とによ
    るクラッチ・ツウ・クラッチ変速を実行し、かつそのク
    ラッチ・ツウ・クラッチ変速を実行するための複数の制
    御値を学習制御によって補正する自動変速機の油圧制御
    装置において、 いずれかの学習制御の実行および禁止もしくは学習制御
    内容を、他の学習制御の実行状況に基づいて決定する手
    段を備えていることを特徴とする自動変速機の制御装
    置。
  2. 【請求項2】 アキュームレータを介して摩擦係合装置
    に係合圧を供給し、かつそのアキュームレータが動作を
    終了する以前に前記摩擦係合装置を係合させて変速を終
    了させる自動変速機の油圧制御装置において、 前記アキュームレータの動作の終了時間を推定する推定
    手段と、この推定手段によって推定された前記アキュー
    ムレータの動作終了時間までに前記摩擦係合装置の係合
    を完了させるよう前記係合圧を制御する係合圧補正手段
    とを備えていることを特徴とする自動変速機の油圧制御
    装置。
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