JPH10196483A - 燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置 - Google Patents

燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置

Info

Publication number
JPH10196483A
JPH10196483A JP250297A JP250297A JPH10196483A JP H10196483 A JPH10196483 A JP H10196483A JP 250297 A JP250297 A JP 250297A JP 250297 A JP250297 A JP 250297A JP H10196483 A JPH10196483 A JP H10196483A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
valve
timer
fuel injection
pressure chamber
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP250297A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeiku Enomoto
榎本  滋郁
Hiroshi Okubo
浩 大久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Soken Inc
Original Assignee
Denso Corp
Nippon Soken Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp, Nippon Soken Inc filed Critical Denso Corp
Priority to JP250297A priority Critical patent/JPH10196483A/ja
Publication of JPH10196483A publication Critical patent/JPH10196483A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 極めて簡単な手段によってフランジ30とケ
ーシング39との接合が破壊されにくく、油圧制御弁2
7がポンプハウジング17からはずれるのを防止するこ
とができる油圧制御弁に特徴を有する噴射時期制御装置
を提供する。 【解決手段】 フランジ30とケーシング39とを、ポ
ンプハウジング17に近接する側から溶接しているの
で、溶接部がはがれにくく、フランジ30のケーシング
39からの抜け荷重が飛躍的に大きくなり、油圧制御弁
27がポンプハウジング17からはずれることがなくな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてディーゼ
ルエンジンに使用される燃料噴射ポンプに係り、特に、
分配型の燃料噴射ポンプに付設され、電子式制御装置の
指令を受けて燃料の噴射時期を自由に調整するための油
圧制御弁に特徴を有する噴射時期制御装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】例えば、実開昭63−110640号公
報に記載されているように、ディーゼルエンジン用の分
配型燃料噴射ポンプにおいては、燃料噴射時期を制御す
るために、燃料を圧送するプランジャを駆動するカムの
タイミングを変化させるタイマピストンを設けている。
そしてタイマピストンの両側の室の間に設けられた油圧
制御弁のような手段によって、それらの室に作用する油
圧を調整することによってタイマピストンを移動させて
燃料の噴射時期を調整することができるようになってい
る。
【0003】油圧制御弁をソレノイドコイルによって電
磁的に開閉作動させるようにしたものが、例えば実開昭
56−173736号公報に記載されている。このよう
な燃料油圧制御弁としての電磁弁におけるソレノイドコ
イルへの通電又は遮断を電子式制御装置を用いて制御す
ることにより、タイマピストンの両側の室の間に作用す
る油圧を変化させてタイマピストンの位置を調整するよ
うにすれば、燃料噴射ポンプの燃料噴射時期を電子的に
制御することが可能になる。
【0004】図9は従来から使用されている油圧制御弁
80を用いた噴射時期制御装置である。図9においてフ
ランジ82とケーシング83は、ろう付けによって一体
になっている。燃料噴射ポンプの圧送のたびに、ハウジ
ンク室81の圧力は高くなり、ケーシング83は、図9
において右方向に力を受ける。そのため、万一、フラン
ジ82とケーシング83のろう付けが破壊されても、油
圧制御弁80がポンプハウジング84からはずれて燃料
が外部に漏れるという最悪事態が起きないように、フラ
ンジ82がケーシング83にろう付けされている部分で
はケーシング83が抜け出るのを防止する方向にケーシ
ング83に段差85が設けてある。ただし、ろう付けが
破壊された場合、バルブボデー86及びポンプハウジン
グ84に設けてある流路の位置関係はずれて、油圧制御
弁80としての機能は損なわれる。
【0005】ところで、近年の納入先メーカーからのコ
ストダウン要求から、生産量が多いガソリンエンジンに
おいて吸気管に燃料を噴射するために使用される図10
に示す燃料噴射弁100の部品の一部を用いることによ
って、噴射時期制御装置用の油圧制御弁のコストダウン
を図ることが検討されている。図2はガソリンエンジン
において吸気管に燃料を噴射するために使用される燃料
噴射弁100の部品の一部を用いることによってコスト
ダウンを図った油圧制御弁を用いた噴射時期制御装置の
第1の実施形態を示す断面構成図である。
【0006】図10に示す燃料噴射弁100のケーシン
グ99にOリング76のための溝を加工して、図2に示
す油圧制御弁27のケーシング39に用いた場合、万
一、フランジ30とケーシング39の接合が破壊された
時に備えて、油圧制御弁27がポンプハウジング17か
らはずれるのを防止する方向の段差を設けることができ
ず信頼性の面で問題がある。そのため、フランジ30と
ケーシング39を一体にすると共に信頼性を向上する新
たな方法が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前述のような
従来技術の問題点に鑑み、極めて簡単な手段によってフ
ランジ30とケーシング39との接合が破壊されにく
く、油圧制御弁27がポンプハウジング17からはずれ
るのを防止することができる油圧制御弁に特徴を有する
噴射時期制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために請求項1ないし請求項4の技術的手段を採用
する。請求項1によれば、フランジとケーシングとを、
ポンプハウジングに近接する側から溶接しているので、
溶接部がはがれにくく、フランジのケーシングからの抜
け荷重が飛躍的に大きくなり、油圧制御弁がポンプハウ
ジングからはずれることがなくなる。
【0009】また、請求項2によれば、溶接をレーザー
溶接としているので、スパッタが飛びにくく、スパッタ
がフランジ、ケーシング等に付着することが少ないの
で、スパッタの除去のための工数が必要なくなる。ま
た、請求項3によれば、シールエッジの直径が弁ニード
ルの直径と実質的に等しいので、タイマ高圧室の圧力に
よって中心軸方向の力を弁ニードルが受けることが無
く、安定した作動が得られる。
【0010】また、請求項4によれば、フィルターによ
り燃料中のごみや、燃料中の水分が凍ってできる氷結し
た水分の除去ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の油圧制御弁に特徴を有す
る噴射時期制御装置の第1の実施形態を説明するための
前提として、それが適用される対象である分配型燃料噴
射ポンプを説明することにする。図1は本発明の油圧制
御弁に特徴を有する第1の実施形態の噴射時期制御装置
を用いた分配型燃料噴射ポンプの断面構造図である。
【0012】まず、図1に示された分配型燃料噴射ポン
プ1の構造を説明する。ドライブシャフト2は図示しな
いエンジンによって、エンジン回転数の2分の1の回転
数と同期して回転駆動される。ドライブシャフト2には
シグナルロータ3が同軸的に取付られており、その外周
には凸状の歯が複数個形成されている。4は回転角セン
サであって、シグナルロータ3の外周に対向しており、
シグナルロータ3の凸状歯の電磁誘導によって機関回転
数に応じたパルス信号を発生して、電子式制御装置5へ
出力する。ここで電子式制御装置5はスピル弁18と油
圧制御弁27を駆動する駆動回路を含んでいる。ドライ
ブシャフト2には燃料を圧送するプランジャ6を駆動す
るフェイスカム7と、燃料のフィードポンプであるベー
ン式のポンプ8が連結されている。フェイスカム7はプ
ランジャ6と一体となってスプリング9によってローラ
リング10に設けられたローラ11に押しつけられる。
【0013】従って、フェイスカム7がドライブシャフ
ト2によって回転駆動されることにより、フェイスカム
7の凸部がローラ11に乗り上げて、フェイスカム7自
体とそれに一体化されたプランジャ6が、回転運動を伴
うプランジャ6の軸線方向の往復運動をすることにな
る。プランジャ6はポンプシリンダ12のシリンダボア
12a内に挿入されて、その先端に圧力室13を形成し
ているので、プランジャ6の往復運動の成分によって圧
力室13の容積が拡縮し、それと同時に回転運動の成分
によって圧力室13にはそれに開口する吸入側と吐出側
のポートが切り換えられて連通する。フィードポンプ8
の吐出ポート14から吐出される約10気圧に加圧され
た燃料は燃料室15に貯留されているが、その燃料が圧
力室13に吸入され、高圧に加圧されて所定のタイミン
グに燃料噴射弁16へ圧送され、図示しない機関の燃焼
室内へ噴射されることになる。燃料噴射ポンプ1のディ
スヘッド50には圧力室13の圧力を解放するスピル弁
18が設けられており、スピル弁18を電子式制御装置
5によって開閉することによって、燃料の噴射開始時期
や噴射量、噴射率を制御することができる。
【0014】ローラリング10はドライブシャフト2の
軸線を中心として所定の角度範囲内で回動することが出
来る。その回動によって円筒状の外周面10aとローラ
11の位置が回転方向に移動するので、フェイスカム7
の凸部がローラ11に乗り上げる時期が変化し、それに
よって燃料噴射時期を変化させることができる。ローラ
リング10を回動させるために、スライドピン19がロ
ーラリング10から図1の下方へ伸びており、その下端
が、ポンプハウジング17内に形成されたタイマシリン
ダ20内で左右の方向に往復摺動することができるよう
に嵌合しているタイマピストン21に係合している。
【0015】次に、噴射時期制御装置の要部について、
図2を用いて説明する。図2においてタイマピストン2
1の上側のタイマ高圧室22はタイマピストン21内に
設けられた絞り23、逆止弁53を介して燃料室15に
連通していて、フィードポンプ8によって加圧された燃
料を受け入れている。その油圧がタイマピストン21を
下方へ押すことになるが、それに対抗してタイマピスト
ン21の下側のタイマ低圧室24内にはタイマスプリン
グ25が装着されている。タイマ低圧室24は、図1に
示すようにフィードポンプ8の吸入ポート26に連通し
ていて、作動中は常に低圧になっている。タイマ高圧室
22に作用している燃料の油圧即ち供給圧は、機関回転
数、従ってドライブシャフト2の回転数に関連して大小
に変化するので、その油圧による付勢力とタイマスプリ
ング25の付勢力とが釣り合う位置へタイマピストン2
1が移動し、スライドピン19を介してローラリング1
0が回動調節されることによって、燃料の噴射時期が機
関回転数に応じて変化することになる。また、プランジ
ャ6の圧送行程時には、タイマピストン21は、フェイ
スカム7が受ける圧送反力によって、スライドピン19
を介して図2中上方向に圧送圧力を受けるので、タイマ
高圧室22は一時的に高圧となる。
【0016】タイマ高圧室22とタイマ低圧室24との
間に電磁弁からなる油圧制御弁27が挿入されており、
油圧制御弁27を電子式制御装置5に電気的に連結して
開閉制御することによって、タイマ高圧室22内の油圧
を部分的にタイマ低圧室24側へ逃がして調整し、タイ
マピストン21の位置とローラリング10の回転方向の
位置を変化させ、それによって燃料の噴射時期を制御し
ている。
【0017】このように、図1に示されたフェイスカム
圧送式の分配型燃料噴射ポンプ1のための噴射時期制御
装置(タイマ装置)28は、タイマシリンダ20とタイ
マピストン21、及びタイマピストン21に連動するロ
ーラリング10、タイマピストン21の位置を制御する
油圧制御弁27等からなっている。なお、理解を容易に
するために、図1においてはドライブシャフト2とタイ
マピストン21が平行に描かれているが、前述のような
作動をさせるために、図2に示すように後者は前者に対
して直角の方向に交差している。同様に、フィードポン
プ8の軸もドライブシャフト2の同一軸線上の延長部分
であるが、ドライブシャフト2に対して90°回転させ
て描かれている。
【0018】前述の回転数センサ4は、ローラリング1
0の外周面10a上に担持されており、その出力信号が
電子式制御装置5に入力されているが、電子式制御装置
5にはその他にも図1に示すように機関からTDC信号
として示す上死点信号や、機関の負荷の大きさを示すア
クセル開度信号、冷却水温を検出する水温センサからの
出力信号等が入力される。
【0019】次に本発明の特徴である油圧制御弁27の
第1の実施形態について図2を用いて説明する。図2
は、図1に示す燃料噴射ポンプの一部分を別の角度から
見た断面図である。油圧制御弁27はフランジ30とボ
ルト31によってポンプハウジング17に固定されてい
る。バルブボデー40の中心には弁ニードル43が摺動
し得るバルブシリンダ44が形成されており、その側面
に環状に開口する流路60と、左端に弁座37として開
口する流路61が形成されている。バルブボデー40と
ポンプハウジング17は嵌合されており、流路60は流
路32と流路41を介してタイマ高圧室22に、また流
路61は流路33と流路42を介してタイマ低圧室24
にそれぞれ連通している。
【0020】図3は油圧制御弁27の中心軸に沿った拡
大断面図である。バルブボデー40の中心のバルブシリ
ンダ44内には、左右方向に移動可能な弁ニードル43
が配設されて摺動自在となっている。弁ニードル43の
図3中右側にはアーマチャ52が圧入によって固定され
ており、アーマチャ52はステータ29と間隔(エアギ
ャップ)をもって対向している。また、ステータ29の
内部には、スプリング室62が設けられ、スプリング5
7を設けている。アーマチャ52はスプリング57の弾
力により常時図3中左方向に付勢されている。
【0021】従って、コイル54に通電を行っていない
時は、弁ニードル43の先端が弁座37に密着して図3
に示すように油圧制御弁27は閉弁しており、タイマ高
圧室22とタイマ低圧室24の間の連通を遮断してい
る。コイル54に通電を行うと、アーマチャ52はステ
ータ29に吸引されてスプリング57のバネ力に抗して
図3中右方向に動き、アーマチャ52と一体となってい
る弁ニードル43の先端は弁座37から離れて、油圧制
御弁27は開弁状態となり、タイマ高圧室22とタイマ
低圧室24は連通する。
【0022】ここで、コイル54が破損した場合は、燃
料噴射時期が最も進角した方が、最も遅角するよりも良
いため、前述のように、油圧制御弁27はノーマリクロ
ーズ(常閉)となるように構成されている。コイル54
は、コイルボビン49に巻かれており、ケーシング39
内に収納されている。ケーシング39の図3中左端は、
かしめ加工によってバルブボデー40を固定して一体化
しており、図3中右端もかしめ加工によってステータ2
9等を固定している。
【0023】図4は本発明の特徴である油圧制御弁27
の第1の実施形態についての弁ニードル43の先端部付
近の構造を示す中心軸方向に沿った要部断面図である。
図4を用いて弁ニードル43の先端部の構造について説
明する。なお、図4は開弁状態を示す図であり、図3は
閉弁時を示す図である。バルブボデー40の内部には、
弁ニードル43を取り囲むように流路60が形成されて
いると共に、弁ニードル43の下流側には流路61が設
けられており、流路60と61の間は弁座37と弁ニー
ドル43により連通または遮断される。弁ニードル43
は弁径 d1 が5.0mm、弁ニードル先端の円錐面3
4の傾斜角θ1 =93°としてあり、流路側の弁座37
の円錐面は、右端径d2 が5.1mm、傾斜角θ2 が9
0°としてある。
【0024】弁ニードル43の先端部の構造は以上のよ
うになっているため、閉弁時には円錐面34のシールエ
ッジ35が弁座37の面に密着して流路60、61間が
遮断される。そのため、閉弁時には流路60、すなわち
タイマ高圧室22の圧力によって図4中左右方向の力を
弁ニードル43は受けることは無く、安定した作動が得
られる。
【0025】なお、本実施形態では、シールエッジ35
の直径が弁ニードル43の直径と等しくしてあるが、弁
ニードル43の直径より作動不良が起きない程度に僅か
に小さくしても良い。図5は横軸に時間をとった、各時
刻における図1の分配型燃料噴射ポンプの各部の作動状
態を示すタイムチャートである。
【0026】図1、図2、図5を用いて全体の作動を説
明する。電子式制御装置5によって電磁スピル弁18の
コイルへの通電が開始されると、電磁スピル弁18は閉
弁する。ドライブシャフト2の回転に伴ってプランジャ
6基端のフェイスカム7がローラ11に乗り上げて、プ
ランジャ6が前進作動して燃料を圧縮し、圧力室13の
圧力は高くなり、燃料噴射弁16に燃料が圧送されて、
図示しない気筒内への燃料噴射が開始される。燃料の圧
送中は圧力室13の圧力は高く、その間、プランジャ6
からローラ11、ローラリング10、スライドピン1
9、タイマピストン21へとトルク反力が働き、タイマ
高圧室22の圧力も高圧になる。
【0027】タイマ高圧室22の圧力が高圧になると、
逆止弁53は閉弁して、タイマ高圧室22から燃料室1
5に燃料が逆流するのを防止する。また、タイマ高圧室
22の圧力が高くなると、それと連通している流路4
1、32、60の圧力も高くなるが、前述のように、弁
ニードル43が閉弁しているときには、弁ニードル43
には流路60の圧力によって図2中左右方向の力を受け
ない構成になっているため、弁ニードル43の安定した
動作が得られる。
【0028】一方、ポンプハウジング17とバルブボデ
ー40の嵌合部から高圧の燃料がわずかに漏れるため、
ハウジング室79の圧力は高くなる。本実施例の場合、
ポンプハウジング17とバルブボデー40の嵌合部の隙
間は約10μmであり、その場合、ハウジング室79の
ピーク圧力はタイマ高圧室22のピーク圧力の約3分の
1となる。そのため、油圧制御弁27は圧送のたびに図
2中右方向に力を受ける。その力は、近年の排気ガス規
制強化に伴う高噴射圧化のため、ますます大きくなって
いる。
【0029】そのため、圧送のたびごとにケーシング3
9とフランジ30とが剥離するように力が作用する。そ
こで、本発明では図3に示すようにフランジ30とケー
シング39を図3中の左側(図2のポンプハウジング1
7側)からレーザー溶接することにより問題点を解決す
る。
【0030】ケーシング39は軟質磁性材料である電磁
ステンレス鋼が用いられフランジ30は電磁ステンレス
鋼、またはオーステナイト系ステンレス鋼が用いられて
おり、同じ材質あるいは似た材質とすることでレーザー
溶接時における熱膨張による歪みを少なくしている。図
6はフランジ30の溶接の位置と図6中矢印方向にケー
シング39に力をかけた場合の破壊のし方を示した説明
図であり、(A)はフランジ30とケーシング39とを
図2中のコネクタ75側からレーザー溶接した場合の溶
接金属78の状態を示す断面図、(B)は図6中矢印方
向に力をかけた場合の破断の状態を示す断面図、(C)
はフランジ30とケーシング39とを図2中のポンプハ
ウジング17側からレーザー溶接した場合の溶接金属7
7の状態を示す断面図、(D)は図6中矢印方向に力を
かけた場合の破断の状態を示す断面図を各々示す。
【0031】また図7は、図6(A)に示すようにフラ
ンジ30とケーシング39とを図2中のコネクタ75側
からレーザー溶接した場合のフランジ30の静的な抜け
荷重と、図6(C)に示すようにフランジ30とケーシ
ング39とを図2中のポンプハウジング17側からレー
ザー溶接した場合のフランジ30の静的な抜け荷重とを
比較したグラフである。
【0032】ここで、図6、図7を用いて図3中左側か
らレーザー溶接する利点について説明する。図6(A)
のフランジ30とケーシング39を図3中右側(コネク
タ75側)からレーザー溶接した図において、フランジ
30とケーシング39との間にはレーザー溶接によっ
て、溶接金属78が形成され、溶接金属78によって、
フランジ30とケーシング39は一体になる。溶接金属
78とフランジ30の境界、及び溶接金属78とケーシ
ング39の境界が最も強度的に弱い。油圧制御弁27が
図2中右側に力を受けた場合、ケーシング39は図6
中、矢印に示す方向に力を受ける。そのため、図6
(B)に示すように、強度の弱いフランジ30と溶接金
属78の境界が破断する。レーザー溶接の条件を200
W、4.4Jで行った時のフランジ30の静的な抜け荷
重の実験値は、図7に示すように実験サンプル数n=5
において、450〜480kgfであった。動的な(繰
り返し)抜け荷重は、静的な抜け荷重より小さい。その
ため、繰り返し荷重(200kgf)により、万一、フ
ランジ30とケーシング39との溶接が破断した場合に
は、燃料漏れが起きる。
【0033】そこで、本発明では図6(C)に示すよう
に、図3中左側(図2中のポンプハウジング17側)を
レーザー溶接する。その場合、フランジ30と溶接金属
77との剥離、及びケーシング39と溶接金属77との
剥離が発生しただけでは、ケーシング39が図中右方向
に動くことは出来ないため、図2中で油圧制御弁27が
ポンプハウジング17からはずれることは無い。図6
(D)に示すように溶接金属77が切断されるかたちで
のみフランジ30がケーシング39から剥がれるため、
静的な抜け荷重の実験値は図7に示すように1905〜
1975kgfとなり、油圧制御弁27がポンプハウジ
ング17からはずれて燃料漏れを起こすようなことは無
い。
【0034】すなわち、本発明では溶接金属77が、従
来技術の段差85(図9)に相当する役割をしている。
また、本発明においては、図6(C)に示すように、溶
接時の位置決めが容易になるように、ケーシング39の
外径を図6(C)中右側(コネクタ側)を拡径するかた
ちの段差70を、ケーシング39に設けるのが望まし
い。
【0035】次に、第1の実施形態の作用を図1及び図
2を用いて説明する。電子式制御装置5によってコイル
54への通電が行われると、弁ニードル43は開弁位置
へ移動し、油圧制御弁27が開弁する。それによってタ
イマ高圧室22の油(燃料)がタイマ低圧室24に流れ
るので、タイマ高圧室22の圧力は低下し、スプリング
25によってタイマピストン21は図2中上方へ移動
し、噴射時期は遅角方向に変化する。電子式制御装置5
によってコイル54への通電が停止されると、スプリン
グ57の付勢力により弁ニードル43は閉弁位置へ移動
し、油圧制御弁27は閉弁して、タイマ高圧室22とタ
イマ低圧室24との間の連通は遮断される。その結果、
タイマ高圧室22の油圧が燃料室15の圧力まで上昇し
て、タイマピストン21は図2において下行し、噴射時
期は進角方向に変化する。
【0036】図8は本発明を適用した油圧制御弁27を
用いた噴射時期制御装置の第2の実施形態を示す断面図
である。油圧制御弁27の弁ニードル43とバルブボデ
ー40間に、燃料中のごみや、燃料中の氷結した水分等
の異物がかみ込み、作動不良を起こすのを防止するため
に、流路60より上流側にフィルター63を設けたもの
である。
【0037】また、図2に示した第1の実施形態では流
路32と流路41との位置合わせ、流路33と流路42
との位置合わせが必要であったが、図8に示す第2の実
施形態では流路32の外側に環状にフィルター63が設
けられているので、位置合わせが必要無い。また、フィ
ルター63はバルブボデー40を取り囲むように配設し
てあり、異物が流路32、流路60に侵入するのを防
ぐ。
【0038】このようにフィルター63を配設した場
合、ハウジング室64はタイマ高圧室22からタイマ低
圧室24に至る流路の一部であり、流路65を介してタ
イマ高圧室22に連通しているため、ハウジング室64
の圧力は、タイマ高圧室22の圧力と同じである。その
ため、圧送のたびにハウジング室64の圧力は大きくな
るが、図2に示した第1の実施形態のハウジング室79
よりもハウジング室64の圧力は、はるかに大きく、油
圧制御弁27が図8中右方向に受ける力も大きい。その
ため、本発明は図8に示すような第2の実施形態のよう
に、油圧制御弁27にフィルター63を設けた場合は、
第1の実施形態の場合よりも更に有効である。
【0039】なお、第1および第2の実施形態において
は、フランジ30とケーシング39はレーザー溶接する
のが望ましいが、それ以外の溶接、例えばアーク溶接で
もよい。また、本発明はタイマ高圧室22の圧力を油圧
制御弁27で制御するタイマ高圧室制御方式の分配型燃
料噴射ポンプだけでなく、タイマ低圧室24の圧力を油
圧制御弁27で制御するタイマ低圧室制御方式の分配型
燃料噴射ポンプにも適用できる。
【0040】また、本発明はフェイスカム圧送式分配型
燃料噴射ポンプに適用することができるばかりでなく、
それ自体は周知のインナーカム圧送式の分配型燃料噴射
ポンプにも適用することができる。更に、サーボ式のタ
イマ装置を用いた分配型燃料噴射ポンプにも適用するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の油圧制御弁に特徴を有する第1の実施
形態の噴射時期制御装置を用いた分配型燃料噴射ポンプ
の断面構造図である。
【図2】本発明の油圧制御弁に特徴を有する第1の実施
形態の噴射時期制御装置の要部を示す断面構造図であ
る。
【図3】第1の実施形態の噴射時期制御装置に用いられ
る油圧制御弁27の中心軸に沿った拡大断面図である。
【図4】本発明の特徴である油圧制御弁27の第1の実
施形態についての弁ニードル43の先端部付近の構造を
示す中心軸方向に沿った要部断面図である。
【図5】横軸に時間をとった、各時刻における図1の分
配型燃料噴射ポンプの各部の作動状態を示すタイムチャ
ートである。
【図6】フランジ30の溶接の位置と図6中矢印方向に
ケーシング39に力をかけた場合の破壊のし方を示した
説明図であり、(A)はフランジ30とケーシング39
とを図2中のコネクタ75側からレーザー溶接した場合
の溶接金属78の状態を示す断面図、(B)は図6中矢
印方向に力をかけた場合の破断の状態を示す断面図、
(C)はフランジ30とケーシング39とを図2中のポ
ンプハウジング17側からレーザー溶接した場合の溶接
金属77の状態を示す断面図、(D)は図6中矢印方向
に力をかけた場合の破断の状態を示す断面図を各々示
す。
【図7】図6(A)に示すようにフランジ30とケーシ
ング39とを図2中のコネクタ75側からレーザー溶接
した場合のフランジ30の静的な抜け荷重と、図6
(C)に示すようにフランジ30とケーシング39とを
図2中のポンプハウジング17側からレーザー溶接した
場合のフランジ30の静的な抜け荷重とを比較したグラ
フである。
【図8】本発明を適用した油圧制御弁27を用いた噴射
時期制御装置の第2の実施形態を示す断面図である。
【図9】従来から使用されている油圧制御弁80を用い
た噴射時期制御装置である。
【図10】生産量が多いガソリンエンジンにおいて吸気
管に燃料を噴射するために使用される燃料噴射弁100
の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射ポンプ 5 電子式制御装置 6 プランジャ 17 ポンプハウジング 20 タイマシリンダ 21 タイマピストン 22 タイマ高圧室 24 タイマ低圧室 27 油圧制御弁 28 噴射時期制御装置 30 フランジ 34 円錐面 35 シールエッジ 37 弁座 39 ケーシング 40 バルブボデー 43 弁ニードル 44 バルブシリンダ 63 フィルター

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プランジャの往復運動によって燃料を燃
    料噴射弁へ圧送して噴射させる内燃機関用の燃料噴射ポ
    ンプに付設され、タイマシリンダと、該タイマシリンダ
    の両端に形成されたタイマ高圧室及びタイマ低圧室と、
    前記タイマシリンダ内に摺動自在に挿入されてタイマ高
    圧室及びタイマ低圧室の差圧に応じて移動して燃料の噴
    射時期を調整するタイマピストンと、前記タイマ高圧室
    及び前記タイマ低圧室の少なくとも一方の圧力を変化さ
    せるための油圧制御弁とを備えている噴射時期制御装置
    において、前記油圧制御弁をポンプハウジングに取り付
    けるためのフランジとケーシングとを前記ポンプハウジ
    ングに近接する側から溶接した前記油圧制御弁を用いた
    ことを特徴とする燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置。
  2. 【請求項2】 前記溶接をレーザー溶接としたことを特
    徴とする請求項1に記載の燃料噴射ポンプの噴射時期制
    御装置。
  3. 【請求項3】 前記油圧制御弁がバルブボデーと、該バ
    ルブボデー内に形成されて一端側に実質的に円錐形の弁
    座を備えているバルブシリンダと、該バルブシリンダ内
    に摺動自在に挿入されて電子式制御装置によって移動さ
    せられると共に、少なくとも一部に円錐形の前記弁座を
    開閉する円錐面を形成された弁ニードルとを備えてお
    り、しかも、閉弁時に前記弁ニードルの前記円錐面と円
    錐形の前記弁座とが接触する円形の線であるシールエッ
    ジの直径が、前記弁ニードルの直径と実質的に等しくな
    るように設定されていることを特徴とする請求項1また
    は請求項2のいずれかに記載の燃料噴射ポンプの噴射時
    期制御装置。
  4. 【請求項4】 前記バルブボデーの周辺にフィルターを
    設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいず
    れかに記載の燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置。
JP250297A 1997-01-10 1997-01-10 燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置 Pending JPH10196483A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP250297A JPH10196483A (ja) 1997-01-10 1997-01-10 燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP250297A JPH10196483A (ja) 1997-01-10 1997-01-10 燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10196483A true JPH10196483A (ja) 1998-07-28

Family

ID=11531145

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP250297A Pending JPH10196483A (ja) 1997-01-10 1997-01-10 燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10196483A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH07107380B2 (ja) 燃料インジェクタ
JP4173821B2 (ja) 内燃機関用の燃料噴射装置
JP2003172228A (ja) 内燃機関用の燃料噴射装置
WO2021054006A1 (ja) 電磁吸入弁及び高圧燃料供給ポンプ
JP3296529B2 (ja) 燃料噴射装置
JP2003172229A (ja) 内燃機関に用いられる燃料噴射装置
JP4861958B2 (ja) 高圧燃料ポンプ
JP2007205263A (ja) 燃料噴射装置用電磁式アクチュエータ
US5655502A (en) Injection timing control device for fuel injection pump
WO2021049247A1 (ja) 燃料ポンプ
JPH10196483A (ja) 燃料噴射ポンプの噴射時期制御装置
JP2000018119A (ja) 燃料噴射装置
JP2006510847A (ja) 高圧液体システム、特に内燃機関のための燃料噴射装置の高圧液体システム内に設けられた接続部を制御するための弁
JP2017145731A (ja) 高圧燃料供給ポンプ
EP1696118A1 (en) Electromagnetic controlled fuel injection apparatus
JPH1077931A (ja) 燃料噴射ポンプの取り付け構造
JP3693463B2 (ja) 可変吐出量高圧ポンプ
JP2003269286A (ja) 燃料噴射装置
US20040099246A1 (en) Fuel injector with multiple control valves
JP2001090634A (ja) 内燃機関用噴射弁
WO2024084567A1 (ja) 燃料ポンプ
JP3334525B2 (ja) 可変吐出量高圧ポンプおよびそれを用いた燃料噴射装置
JP2008163772A (ja) 燃料制御弁
JP2021148043A (ja) 燃料ポンプ
JPH08261089A (ja) 燃料噴射ポンプの電磁弁

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20020205