JPH10196408A - 遠心式ガバナを備えたディーゼルエンジン - Google Patents

遠心式ガバナを備えたディーゼルエンジン

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JPH10196408A
JPH10196408A JP319997A JP319997A JPH10196408A JP H10196408 A JPH10196408 A JP H10196408A JP 319997 A JP319997 A JP 319997A JP 319997 A JP319997 A JP 319997A JP H10196408 A JPH10196408 A JP H10196408A
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俊一 萬羽
Keita Naito
慶太 内藤
Kozo Yoshida
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガバナのコストアップを抑えながら、エンジ
ン始動時での排気に混じる黒煙の量を減少させる。 【解決手段】 燃料噴射ポンプの燃料調量ラックに連結
したガバナ力入力レバーを、ガバナスプリングを介して
調速レバーに連結し、ガバナ軸(15)にガバナスリーブ(1
4)をスライド移動自在に外嵌する。ガバナスリーブ(14)
の一端面にガバナ力入力レバーを接当させる。冷時のエ
ンジン始動時には、燃料調量ラックが付勢されて始動増
量位置に位置する。暖時のエンジン始動時には、ウェイ
トホルダ(16)に設けたシリンダ(41)内のピストン(42)(4
3)の内部空間(45)に充填したワックス(46)が融解して膨
張することで、ガバナウェイト(17)を介してガバナスリ
ーブ(14)が燃料減量側へ押され、燃料調量ラックが始動
増量位置よりも燃料減量側へずれた始動増量規制位置へ
位置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディーゼルエンジ
ンに使用する遠心式ガバナに関しており、特に暖時での
エンジン始動時に、排気に黒煙が混じることを低減する
技術に関するものである。
【0002】
【発明の背景】本発明にかかる遠心式ガバナを備えたデ
ィーゼルエンジンの基本構造は、例えば図18に示すよ
うに、次のように構成してある。即ち、上記ガバナ(1)
は、燃料噴射ポンプ(2)の燃料調量ラック(3)のラック
ピン(4)に連結されたガバナレバーを、ガバナ力(F)
と、ガバナスプリング(5)の張力との釣り合い位置へ揺
動させることにより、上記調量ラック(3)を調量移動さ
せ、負荷変動にかかわらずエンジン回転数を一定に維持
するようになっている。
【0003】つまり、上記ガバナレバーは、スラストレ
バー(6)を介して上記ラックピン(4)に連結されたガバ
ナ力入力レバー(7)と、上記ガバナスプリング(5)の一
端を連結したスプリング力入力レバー(8)とからなり、
それらの入力レバー(7)(8)の下部を、ガバナ室(9)に
架設されたガバナレバー軸(10)によって揺動自在に枢支
してある。
【0004】また、上記ガバナ力入力レバー(7)の下端
の入力端部(13)を、ガバナスリーブ(14)の一端面(図1
8中では左側の面)に接当可能にしてある。なお、その
ガバナスリーブ(14)は、クランクギヤ(図示せず)で駆動
されるガバナ軸(15)にスライド移動自在に外嵌してあ
る。
【0005】さらに、ガバナ軸(15)にはウェイトホルダ
(16)を外嵌固定してある。そのウェイトホルダ(16)に
は、図19に示すように、3個のガバナウェイト(17)を
揺動自在に枢支してあり、それらのガバナウェイト(17)
の出力端部(18)を、上記ガバナスリーブ(14)の他端面
(図18中では右側の面)に接当可能にしてある。
【0006】そして、エンジンの運転に伴って上記ガバ
ナ軸(15)が回転駆動されると、ガバナウェイト(17)に遠
心力が発生する。すると、ガバナウェイト(17)が上記ウ
ェイトホルダ(16)の外側へ傾斜し、ガバナウェイト(17)
の出力端部(18)でガバナスリーブ(14)を図18中の左方
へ押すことで、いわゆるガバナ力(F)が発生する。その
ガバナ力(F)で上記ガバナ力入力レバー(7)の入力端部
(13)が図18中の左方へ付勢され、それに伴って上記調
量ラック(3)が、上記スラストレバー(6)を介して燃料
減量側(L)へ付勢される。
【0007】一方、上記スプリング力入力レバー(8)
は、上記ガバナスプリング(5)の張力で図18中の左方
へ付勢されており、上記ガバナ力入力レバー(7)は、ト
ルクアップ装置(19)を介して上記スプリング力入力レバ
ー(8)によって図18中の左方[燃料増量側(R)]へ付勢
される。
【0008】また、上記スラストレバー(6)にはスター
トスプリング(20)を連結してあり、そのスタートスプリ
ング(20)の張力で、エンジン始動時には上記調量ラック
(3)を、燃料噴射量が最大となる始動増量位置(St)へ位
置させるようになっている(図22の状態)。
【0009】一方、上記ガバナスプリング(5)の他端を
調速レバー(21)に連結してあり、その調速レバー(21)
を、上記ガバナ(1)の機壁(22)に揺動自在に枢支された
調速用軸(23)の内端部に固定してある。その調速用軸(2
3)の外端部には、図20に示すように、調速操作具(24)
と速度制限用アーム(25)とが固定されており、上記調速
操作具(24)を操作することで上記調速レバー(21)が揺動
して上記ガバナスプリング(5)の張力が変更される。
【0010】また、上記スラストレバー(6)には停止レ
バー受部(26)を設けてあり、図21に示すように、その
停止レバー受部(26)には、停止レバー(27)に設けた揺動
端部(28)が接当可能になっている。
【0011】上記停止レバー(27)は、上記機壁(22)に揺
動自在に枢支された停止用軸(30)の内端部に固定してあ
り、その停止用軸(30)の外端部には停止操作具(31)と回
転制限用アーム(32)とが固定してある。そして、上記停
止操作具(31)を操作することで上記停止レバー(27)が揺
動し、その停止レバー(27)の揺動端部(28)で上記スラス
トレバー(6)の停止レバー受部(26)が燃料減量側(L)へ
強制的に押して、上記調量ラック(3)を燃料無噴射位置
(Sp)[図22参照]まで移動させることにより燃料噴射が
停止する。
【0012】なお、上記速度制限用アーム(25)は、低速
制限ボルト(34)と高速制限ボルト(35)とで揺動可能範囲
を設定してあり、また、上記回転制限用アーム(32)は、
回転制限ボルト(36)で揺動可能範囲を設定してある。
【0013】
【従来の技術】通常、エンジン温度が高い暖時では、エ
ンジン始動に必要な燃料噴射量が冷時よりも少なくて済
む。このため、従来、上述のガバナにおいて、暖時での
上記調量ラック(3)の始動増量位置(St)を冷時よりも燃
料減量側(L)へ位置させて、エンジン始動時での排気に
混じる黒煙の量を減少させたものが知られている。
【0014】つまり、この種の従来技術としては、例え
ば特開平3−267535号公報に示すものがある。これは、
図23に示すように、エンジン温度を検出する温度セン
サ(130)と、調量ラック(3)の端部(131)に対向する機壁
(22)に配置したソレノイド(132)と、上記温度センサ(13
0)の検出結果に基づいて上記ソレノイド(132)の作動ロ
ッド(133)を進退させる制御部(134)とを設けてある。
【0015】そして、エンジン温度が高いときには、図
23の二点鎖線図に示すように、上記ソレノイド(132)
の作動ロッド(133)を進出させて上記調量ラック(3)の
燃料増量側(R)[図23中では左方向]への移動を規制す
ることによって、暖時での始動増量位置(St)が冷時より
も燃料減量側(L)へ位置するようにしてある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の従来
技術では、温度センサ(130)とソレノイド(132)と制御部
(134)とを設けることになるが、これらは比較的高価で
あるうえ、それらの間での配線に手間がかかり、ガバナ
のコストアップを招いてしまう。
【0017】本発明は、ガバナのコストアップを抑えな
がら、暖時のエンジン始動時での排気に混じる黒煙の量
を減少させることを目的とする。さらに、上記目的に加
え、上記ガバナの設計変更を抑えることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
[請求項1の発明]請求項1の発明は、上記の目的を達
成するために図18のような基本構造において、例えば
図1に示すように、次のように構成したものである。温
度によって変形する熱変形手段を設け、熱変形手段が所
定温度以上になっている暖時でのエンジン始動時には、
その暖時での形状の熱変形手段によって、燃料調量ラッ
ク(3)を始動用付勢手段(20)の付勢力に抗して始動増量
位置(St)よりも燃料減量側(L)へずれた始動増量規制位
置(SSt)へ位置させ、熱変形手段が上記所定温度より低
くなっている冷時でのエンジン始動時には、燃料調量ラ
ック(3)が、冷時での形状の熱変形手段で制限されるこ
となく始動用付勢手段(20)の付勢力で始動増量位置(St)
に位置するように構成したものである。
【0019】[請求項2の発明]請求項2の発明は、上
記の目的を達成するために上記請求項1の発明の構成に
おいて、例えば図1に示すように、次のように構成した
ものである。ガバナ軸(15)に固定したウェイトホルダ(1
6)に熱変形手段を配置し、暖時でのエンジン始動時に
は、その暖時での形状の熱変形手段によって、ウェイト
ホルダ(16)に配置したガバナウェイト(17)を始動用付勢
手段(20)の付勢力に抗して押すことにより、ガバナレバ
ーを燃料減量側(L)へ押して、燃料調量ラック(3)を始
動増量規制位置(SSt)へ位置させるように構成し、冷時
でのエンジン始動時には、ガバナウェイト(17)が冷時で
の形状の熱変形手段で押されないようにして、燃料調量
ラック(3)が始動用付勢手段(20)の付勢力で始動増量位
置(St)に位置するように構成したものである。
【0020】[請求項3の発明]請求項3の発明は、上
記の目的を達成するために図18のような基本構造にお
いて、例えば図4に示すように、次のように構成したも
のである。ガバナ軸(15)に固定したウェイトホルダ(16)
にシリンダ(54)を設け、シリンダ(54)内でピストン(55)
によって密封された作動室(54a)に、オイルポンプ(58)
からの潤滑油(60)を導入可能に構成し、ピストン(55)に
押圧部(55a)を設け、その押圧部(55a)でガバナウェイ
ト(17)を押圧可能に構成し、ピストン(55)をガバナウェ
イト(17)側へ付勢するピストン付勢手段(62)を設け、オ
イルポンプ(58)から上記作動室(54a)に導入される潤滑
油(60)の油圧が所定圧以下になっている暖時でのエンジ
ン始動時には、ピストン(55)が、ピストン付勢手段(62)
の付勢力で潤滑油(60)の油圧に抗して燃料減量側(L)へ
押されることにより、ピストン(55)の押圧部(55a)がガ
バナウェイト(17)を燃料減量側(L)へ押して、燃料調量
ラック(3)を始動増量位置(St)よりも燃料減量側(L)へ
ずれた始動増量規制位置(SSt)へ位置させ、潤滑油(60)
の油圧が上記所定圧を越える冷時でのエンジン始動時に
は、ピストン(55)が、潤滑油(60)の油圧でピストン付勢
手段(62)の付勢力に抗して燃料増量側(R)へ押されるこ
とにより、燃料調量ラック(3)が、ピストン(55)の押圧
部(55a)で制限されることなく始動用付勢手段(20)の付
勢力で始動増量位置(St)に位置するように構成したもの
である。
【0021】
【発明の作用及び効果】 [請求項1の発明]請求項1の発明は、次の作用効果を
奏する。 エンジンの壁などからの熱伝導やエンジン周囲の外
気の熱などによって、熱変形手段が所定温度以上になっ
ている暖時でのエンジン始動時には、その暖時での形状
の熱変形手段によって、燃料調量ラック(3)が始動用付
勢手段(20)の付勢力に抗して始動増量位置(St)よりも燃
料減量側(L)へずれた始動増量規制位置(SSt)で位置す
る。これにより、少ない燃料噴射量でもエンジン始動が
容易な暖時には、エンジン始動時の燃料噴射量が抑えら
れ、排気に混じる黒煙の量が減少する。
【0022】そして、熱変形手段自体の変形を利用して
燃料調量ラック(3)を始動増量規制位置(SSt)へ位置さ
せるので、上述した従来技術の温度センサやソレノイド
などを設ける必要がない。従って、上記従来技術では必
要だったソレノイドなどへの配線作業が省け、エンジン
製造のコストアップを抑えることができる。また、冷時
でのエンジン始動時には、燃料調量ラック(3)が、冷時
での形状の熱変形手段で制限されることなく始動用付勢
手段(20)の付勢力で始動増量位置(St)に位置するので、
確実なエンジン始動が担保される。
【0023】[請求項2の発明]請求項2の発明は、上
述の作用効果に加えて次の作用効果を奏する。 上述した従来技術では、上記ソレノイドを機壁(22)
に設置するため、ガバナ(1)の他の部品(例えばスター
トスプリング)などと、上記ソレノイドとの干渉を考慮
しながらガバナ(1)を設計する必要があるのに対し、熱
変形手段をウェイトホルダ(16)に配置したことにより、
ガバナ(1)の他の部品との干渉がなく、ガバナ設計の自
由度を増すことができるうえ、熱変形手段がガバナ外に
はみ出さず、ガバナ(1)がかさ張ることを防止できる。
【0024】[請求項3の発明]請求項3の発明は、次
の作用効果を奏する。 冷時には、潤滑油(60)の粘性が比較的高くなり、潤
滑油(60)がオイルポンプ(58)からエンジン各部へ流れに
くくなっているため、その冷時でのエンジン始動時に
は、ピストン(55)の作動室(54a)に導入される潤滑油(6
0)の油圧が高くなって、上記潤滑油(60)の油圧が所定圧
を越え、その潤滑油(60)の油圧で上記ピストン(55)がピ
ストン付勢手段(62)の付勢力に抗して燃料増量側(R)へ
押される。従って、冷時でのエンジン始動時には、燃料
調量ラック(3)が、ピストン(55)の押圧部(55a)で制限
されることなく始動用付勢手段(20)の付勢力で始動増量
位置(St)に位置でき、確実なエンジン始動が担保され
る。
【0025】一方、暖時には、エンジンの熱などで潤滑
油(60)が暖められていることで潤滑油(60)の粘性が低下
し、オイルポンプ(58)からエンジン各部へ潤滑油(60)が
スムーズに流れるようになり、この結果、上記作動室(5
4a)に導入される潤滑油(60)の油圧が低下する。このた
め、暖時でのエンジン始動時には、ピストン(55)が、ピ
ストン付勢手段(62)の付勢力で潤滑油(60)の油圧に抗し
て燃料減量側(L)へ押され、ピストン(55)の押圧部(55
a)がガバナウェイト(17)を燃料減量側(L)へ押し、燃
料調量ラック(3)を上述の始動増量規制位置(SSt)へ位
置させる。これにより、暖時のエンジン始動時には、燃
料噴射量が抑えられて、排気に混じる黒煙の量が低減す
る。
【0026】このように、エンジンの各部を潤滑する潤
滑油(60)を利用しても、暖時のエンジン始動時には、燃
料調量ラック(3)を始動増量規制位置(SSt)へ位置させ
ることができる。そして、熱変形手段をウェイトホルダ
(16)に配置したので、ガバナ(1)の他の部品との干渉が
なく、ガバナ設計の自由度を増すことができるうえ、熱
変形手段がガバナ外にはみ出さず、ガバナ(1)がかさ張
ることを防止できる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の遠心式ガバナを備
えたディーゼルエンジンの実施の第1形態について図1
と図2とを用いて説明する。図1は上記第1形態を示す
要部縦断面図、図2は上記第1形態の作用を説明するた
めの模式図である。なお、以下の各形態において、ガバ
ナ全体の構造は、上述した基本構造(図18)と同一であ
るため、上記基本構造と異なる点のみ説明する。
【0028】この第1形態では、ウェイトホルダ(16)に
熱変形手段を設けてあり、エンジン温度や周辺温度が比
較的高い暖時でのエンジン始動時には、上記熱変形手段
の変形によってガバナウェイト(17)の出力端部(18)を燃
料減量側(L)へ押圧するようになっている。
【0029】その熱変形手段は、図1に示すように、以
下のように構成してある。上記ガバナウェイト(17)の出
力端部(18)に対向して、ウェイトホルダ(16)にシリンダ
(41)を形成し、そのシリンダ(41)内に一対のピストン(4
2)(43)を配置してある。
【0030】上記第1ピストン(42)は、その一端部[図
1中では左側](42a)に押圧部(42b)を凸設してあると
ともに、他端部[図1中では右側]に凹入部(42d)を設け
てある。上記第2ピストン(43)は、その一端部[図1中
では左側]に嵌入部(43b)を凸設してあるとともに、他
端部[図1中では右側]にガイド部(43d)を凸設してあ
る。
【0031】そして、上記第1ピストン(42)の押圧部(4
2b)は、上記ウェイトホルダ(16)に形成した挿通孔(44)
を通ってウェイトホルダ(16)外へ突出可能になってお
り、その押圧部(42b)の突出によって、上記ガバナウェ
イト(17)の出力端部(18)が燃料減量側(L)へ押される。
【0032】また、上記第1ピストン(42)の凹入部(42
d)には、上記第2ピストン(43)の嵌入部(43b)を嵌入
してあり、それらの凹入部(42d)と嵌入部(43b)とで内
部空間(45)を密封形成してある。その内部空間(45)内に
は、ワックス(46)を充填してあり、そのワックス(46)
は、所定温度以上で融解して膨張(熱変形)するようにな
っている。なお、第1ピストン(42)にシール材(50)を設
けてあり、そのシール材(50)によって上記内部空間(45)
内のワックス(46)が漏れ出さないようにしてある。
【0033】上記第2ピストン(43)のガイド部(43d)
は、上記シリンダ(41)の図1中の右側に形成したガイド
用の凹入部(47)に嵌入してあり、これによって第2ピス
トン(43)の図1中の左右方向への移動がガイドされる。
【0034】また、第1スプリング(48)によって、第1
ピストン(42)を第2ピストン(43)側へ付勢するように構
成してあるとともに、第2スプリング(49)によって、第
2ピストン(43)を第1ピストン(42)側へ付勢するように
構成してある。なお、上記第1スプリング(48)のバネ定
数を、上記第2スプリング(49)のバネ定数よりも小さく
してある。
【0035】次いで、上記第1形態の作用について、図
1と図2とを用いて説明する。エンジンが冷えている冷
時でのエンジン始動時には、上記ワックス(46)は凝固し
て収縮している。このため、上記第1ピストン(42)は、
第1スプリング(48)の第2ピストン(43)側[図1中の右
側]への付勢によって、燃料増量側(R)で位置している
(図1中の実線図の状態)。このとき、燃料調量ラック
(3)は、図2中の二点鎖線図に示すように、始動増量位
置(St)に位置してあり、この始動増量位置(St)でエンジ
ンが始動される。
【0036】一方、エンジンが暖まっている暖時でのエ
ンジン始動時には、そのエンジンの熱やエンジン周囲の
暖められた外気の熱が、エンジンの壁などを介してウェ
イトホルダ(16)へ伝わって上記ワックス(46)が所定温度
以上になっており、これによってワックス(46)は融解し
て膨張している。
【0037】すると、そのワックス(46)の膨張力によっ
て、上記第1ピストン(42)が第1スプリング(48)の付勢
力に抗して燃料減量側(L)で位置する。つまり、第1ピ
ストン(42)の押圧部(42b)がウェイトホルダ(16)外へ突
出し(図1中の二点鎖線図の状態)、その押圧部(42b)に
よってガバナウェイト(17)の出力端部(18)が燃料減量側
(L)へ押される。
【0038】そして、そのガバナウェイト(17)の出力端
部(18)の燃料減量側(L)への押圧に伴い、ガバナスリー
ブ(14)を介してガバナ力入力レバー(7)の入力端部(13)
が、スタートスプリング(20)の張力に抗して燃料減量側
(L)へ押される。なお、上記第1ピストン(42)の一端部
(42a)が、シリンダ(41)の図1中の左側の端部(41a)に
当接することで、その第1ピストン(42)の押圧部(42b)
の突出量を規制している。
【0039】即ち、暖時でのエンジン始動時には、上記
第1ピストン(42)の押圧部(42b)によってガバナ力入力
レバー(7)の燃料増量側(R)への移動が規制され、上記
調量ラック(3)は、上記始動増量位置(St)よりも燃料減
量側(L)へずれた始動増量規制位置(SSt)へ位置する(図
2中の実線図参照)。
【0040】このように、少ない燃料噴射量でエンジン
始動可能な暖時のときには、上記調量ラック(3)が始動
増量規制位置(SSt)へ位置して燃料噴射量を減少させた
状態でエンジン始動が行われる。これにより、暖時での
エンジン始動時に排気に混ざる黒煙の量を減少できる。
【0041】なお、エンジンの長期間運転などによりエ
ンジンが高温となったときには、上記ワックス(46)がさ
らに膨張する。このとき、上述のように第1ピストン(4
2)の一端部(42a)は、シリンダ(41)の左側端部(41a)に
当接しており、これによって第2ピストン(43)が、上記
第2スプリング(49)の付勢力に抗して図1中の右側へ移
動し、上記ワックス(46)の膨張による応力がピストン(4
2)(43)に加わらないようになっている。
【0042】次に、本発明の遠心式ガバナを備えたディ
ーゼルエンジンの実施の第2形態について図3を用いて
説明する。図3は上記第2形態を示す図1相当図であ
る。この第2形態は、上述の第1形態とほぼ同様の構成
をなしており、異なる点は、上記シリンダ(41)やピスト
ン(42)(43)に代えてバイメタル(52)を配置した点であ
る。
【0043】つまり、上記バイメタル(52)は、温度上昇
とともに熱変形して湾曲の度合いを増すように構成して
ある。そして、その熱変形したバイメタル(52)によっ
て、ガバナウェイト(17)の出力端部(18)が、図3の二点
鎖線図に示すように、燃料減量側(L)へ押圧され、それ
に伴ってガバナ力入力レバー(7)が、燃料減量側(L)へ
押される。これにより、暖時でのエンジン始動時には、
上述の第1形態と同様に、上記調量ラック(3)は上記始
動増量規制位置(SSt)へ位置する。
【0044】なお、冷時でのエンジン始動時には、上記
バイメタル(52)が湾曲しておらず、ガバナウェイト(17)
の出力端部(18)が燃料増量側(R)で位置しており(図3
中の実線図の状態)、これによって上記調量ラック(3)
は上記始動増量位置(St)で位置する。
【0045】次に、本発明の遠心式ガバナを備えたディ
ーゼルエンジンの実施の第3形態について図4を用いて
説明する。図4は上記第3形態を示す図1相当図であ
る。この第3形態では、潤滑油の粘性の温度変化に伴う
油圧の変化を利用して上記ガバナウェイト(17)の出力端
部(18)を押圧するようにしてある。
【0046】つまり、上記ガバナウェイト(17)の出力端
部(18)に対向して、ウェイトホルダ(16)にシリンダ(54)
を形成し、そのシリンダ(54)内にピストン(55)を配置し
てある。そのピストン(55)で区切られたシリンダ(54)内
の空間のうち、上記ガバナウェイト(17)の出力端部(18)
側となる内部空間[作動室](54a)を潤滑油路(57)に接続
してある。その潤滑油路(57)は、オイルポンプ(58)に接
続してあり、そのオイルポンプ(58)は、オイルパン(59)
内の潤滑油(60)をエンジン各部に供給するようになって
いる。
【0047】また、上記ピストン(55)は、その一端部
[図4中では左側]に押圧部(55a)を凸設してあり、その
押圧部(55a)は、挿通孔(61)を通ってウェイトホルダ(1
6)外へ突出可能になっている。一方、上記シリンダ(54)
の他方の内部空間(54b)にはスプリング(62)を配置して
あり、そのスプリング(62)によって上記ピストン(55)を
燃料減量側(L)[図4中では左側]へ付勢している。な
お、上記ピストン(55)にシール材(63)を設けてあり、そ
のシール材(63)によって上記作動室(54a)内の潤滑油が
漏れ出さないようにしてある。なお、上記ピストン(55)
はゴムなどで構成されており、そのピストン(55)がシリ
ンダ(54)の内面と密着した状態で摺動できるようになっ
ている。
【0048】次いで、上記第3形態の作用について説明
する。冷時でのエンジン始動時には、潤滑油の粘性が比
較的高くなっている。このため、その潤滑油の粘性が、
オイルポンプ(58)からエンジン各部への潤滑油の流れの
抵抗となって、上記潤滑油路(57)内の油圧が高くなる。
【0049】すると、上記作動室(54a)内の油圧が高ま
り、ピストン(55)がスプリング(62)の付勢力に抗して図
4中の右側へ押される。これにより、ピストン(55)の押
圧部(55a)が燃料増量側(R)で位置する(図4中の実線
図の状態)。このとき、燃料調量ラック(3)は、始動増
量位置(St)に位置してあり、この始動増量位置(St)でエ
ンジンが始動される。
【0050】一方、暖時でのエンジン始動時には、エン
ジンの熱で上記潤滑油が暖まっており、その潤滑油の粘
性が低くなっている。このため、オイルポンプ(58)から
エンジン各部へ潤滑油がスムーズに流れるようになり、
上記潤滑油路(57)内の油圧が低下する。
【0051】すると、上記作動室(54a)内の油圧が低く
なり、ピストン(55)がスプリング(62)の付勢力で図4中
の左側へ押される。このため、ピストン(55)の押圧部(5
5a)がウェイトホルダ(16)外へ突出し(図4中の二点鎖
線図の状態)、その押圧部(55a)によってガバナウェイ
ト(17)の出力端部(18)が燃料減量側(L)へ押圧され、ガ
バナスリーブ(14)を介してガバナ力入力レバー(7)の入
力端部(13)が、燃料減量側(L)へ押される。これによ
り、暖時でのエンジン始動時には、上述の第1形態と同
様に、上記調量ラック(3)は上記始動増量規制位置(SS
t)へ位置する。
【0052】次に、本発明の遠心式ガバナを備えたディ
ーゼルエンジンの実施の第4形態について図5を用いて
説明する。図5は上記第4形態を示す要部縦断面図、図
6は上記第4形態の作用を説明するための模式図であ
る。
【0053】この第4形態では、ガバナスリーブ(14)に
熱変形手段を設けてある。つまり、図5に示すように、
ガバナスリーブ(14)を内外2つの筒部(66)(67)で構成し
てあり、それらの筒部(66)(67)によってガバナスリーブ
(14)内に内部空間(68)を密封形成してある。その内部空
間(68)内に、所定温度以上で融解して膨張(変形)するワ
ックス(69)を充填してある。
【0054】また、上記外側筒部(66)の端面(66a)は、
ガバナ力入力レバー(7)の下端の入力端部(13)に接当可
能になっており、上記内側筒部(67)の端面(67a)は、ガ
バナウェイト(17)の出力端部(18)に接当可能になってい
る。
【0055】そして、上記外側筒部(66)は、ワックス(6
9)が融解したときの膨張力によって上記内側筒部(67)の
周壁に沿って燃料減量側(L)[図5中の左方]へスライド
移動し(図5中の二点鎖線図の状態)、ガバナ力入力レバ
ー(7)の入力端部(13)を燃料減量側(L)へ押す。なお、
上記外側筒部(66)は、上記内側筒部(67)に設けたストッ
パー(70)に当接することにより、そのスライド移動が規
制される。
【0056】また、上記外側筒部(66)と上記内部筒部(6
7)との間にシール材(図示せず)を配設密封することで、
上記外側筒部(66)のスライド移動時などに、ワックス(6
9)がガバナスリーブ(14)外へ漏れないようにしてある。
【0057】続いて、上記第4形態の作用を説明する。
冷時でのエンジン始動時には、上記ワックス(69)は凝固
して収縮しており、これによって上記外側筒部(66)は燃
料増量側(R)へ位置する(図5中の実線図の状態)。この
とき、燃料調量ラック(3)は、図6中の実線図に示すよ
うに、始動増量位置(St)に位置してあり、この始動増量
位置(St)でエンジンが始動される。
【0058】一方、暖時でのエンジン始動時には、その
エンジンの熱やエンジン周囲の暖められた外気の熱が、
エンジンの壁などを介してガバナスリーブ(14)へ伝わっ
て上記ワックス(69)が所定温度以上になっており、これ
によってワックス(69)は融解して膨張している。
【0059】すると、そのワックス(69)の膨張によっ
て、上記外側筒部(66)が燃料減量側(L)へ位置しており
(図5中の二点鎖線図の状態)、その外側筒部(66)の端面
(66a)によって上記ガバナ力入力レバー(7)の入力端部
(13)が、スタートスプリング(20)の張力に抗して燃料減
量側(L)へ押圧される。
【0060】つまり、暖時でのエンジン始動時には、ガ
バナスリーブ(14)によってガバナ力入力レバー(7)の燃
料増量側(R)への移動が規制され、上記調量ラック(3)
は、始動増量規制位置(SSt)へ位置し、排気に混ざる黒
煙の量が減少する。
【0061】次に、本発明の遠心式ガバナを備えたディ
ーゼルエンジンの実施の第5形態について図7を用いて
説明する。図7(a)は上記第5形態を示す要部縦断面
図、図7(b)は上記第5形態にかかる座金をA方向から
見た図である。
【0062】この第5形態でもガバナスリーブ(14)に熱
変形手段を設けてある。つまり、ガバナスリーブ(14)の
一方の端面側[図7(a)中では左側]には、ドーナツ状に
それぞれ形成した座金(71)と受皿(72)とを配置してあ
り、それらの座金(71)と受皿(72)とは、上記受皿(72)内
に上記座金(71)を嵌め込んだ状態でガバナ軸(15)にスラ
イド移動自在に外嵌してある。
【0063】また、上記座金(71)は、ガバナ力入力レバ
ー(7)の入力端部(13)に接当可能にしてあるとともに、
上記受皿(72)での開口部[図7(a)中の左側]に設けた規
制部(74)によってガバナ軸(15)の軸方向への移動を規制
されている。なお、上記受皿(72)は、図7(a)中の右側
面を上記ガバナスリーブ(14)に接当させている。
【0064】また、上記座金(71)には、図7(b)に示す
ように、その周縁に沿って4つのバイメタル(73)を配置
してある。それらのバイメタル(73)は、温度上昇ととも
に熱変形して湾曲の度合いを増すように構成してある。
そして、その熱変形したバイメタル(73)によって、ガバ
ナ力入力レバー(7)が、上記座金(71)を介して燃料減量
側(L)へ押される。これにより、暖時でのエンジン始動
時に、上記調量ラック(3)は上記始動増量規制位置(SS
t)へ位置する。
【0065】次に、本発明の遠心式ガバナを備えたディ
ーゼルエンジンの実施の第6形態について図8とを用い
て説明する。図8は上記第6形態を示す要部縦断面図で
ある。
【0066】この第6形態は、上述の第5形態とほぼ同
様の構成をなしており、異なる点は、上記受皿(72)を省
略するとともに、上記バイメタル(73)に代えて板状の形
状記憶合金(75)を配置した点である。
【0067】つまり、冷時でのエンジン始動時には、ス
タートスプリング(20)の張力によって座金(71)がガバナ
力入力レバー(7)を介して図8中の右方向へ押されるこ
とで、上記形状記憶合金(75)が図8中の右側へ圧縮さ
れ、これによって上記座金(71)は図8中の実線図の状態
に位置する。なお、このとき、上記調量ラック(3)は上
記始動増量位置(St)している。
【0068】そして、上記座金(71)に所定温度以上の熱
が加わると、上記形状記憶合金(75)が熱変形して上記座
金(71)を図8の左方向へ押圧し、この座金(71)によって
ガバナ力入力レバー(7)が、スタートスプリング(20)の
張力に抗して燃料減量側(L)へ押される。つまり、暖時
でのエンジン始動時には、上記調量ラック(3)は上記始
動増量規制位置(SSt)へ位置する。
【0069】なお、上述の第5形態や第6形態では、上
記座金(71)をガバナスリーブ(14)の左端面側に配置した
が、上記座金(71)をガバナスリーブ(14)の右端面側に配
置してもよい。
【0070】以下、本発明の遠心式ガバナを備えたディ
ーゼルエンジンの実施の第7形態について図9を用いて
説明する。図9は上記実施の第7形態の要部を示す図で
ある。
【0071】上記第7形態では、燃料噴射ポンプ(2)の
外壁に熱変形手段としてのバイメタル(80)を配置してあ
る。そのバイメタル(80)は、燃料調量ラック(3)の燃料
増量側(R)の端部[図9中では左端]に対向している。そ
して、上記バイメタル(80)は、温度が低いときには湾曲
しており(図9の実線図の状態)、温度上昇とともに熱変
形して上記湾曲の度合いが小さくなるように構成してあ
る。
【0072】次いで、上記第7形態の作用について説明
する。冷時でのエンジン始動時には、図9中の実線図に
示すように、バイメタル(80)が湾曲しており、燃料調量
ラック(3)はスタートスプリング(20)の張力によって始
動増量位置(St)に位置し、この始動増量位置(St)でエン
ジンが始動される。
【0073】一方、暖時でのエンジン始動時には、バイ
メタル(80)が変形し、燃料調量ラック(3)がスタートス
プリング(20)の張力に抗して燃料減量側(L)へ押される
(図9中の二点鎖線図の状態)。これにより、暖時でのエ
ンジン始動時には、上記調量ラック(3)は上記始動増量
規制位置(SSt)へ位置する。
【0074】次に、本発明の遠心式ガバナを備えたディ
ーゼルエンジンの実施の第8形態について図10を用い
て説明する。図10は上記第8形態を示す要部縦断面図
である。
【0075】この第8形態では、熱変形手段を、燃料調
量ラック(3)の燃料増量側(R)の端部[図10中では左
端]に対向するガバナ(1)の機壁(22)に配置してあり、
暖時でのエンジン始動時には、上記熱変形手段の熱変形
力によって燃料調量ラック(3)を燃料減量側(L)へ押圧
するようになっている。
【0076】即ち、上記第8形態の熱変形手段は以下の
ように構成してある。上記熱変形手段は、シリンダ(81)
内にピストン(82)を配置してあるとともに、そのピスト
ン(82)で区切られたシリンダ(81)の内部空間(83)内にワ
ックス(84)を充填してある。そのワックス(84)は所定温
度以上で融解して膨張する。
【0077】また、上記ピストン(82)には、押圧部(82
a)を凸設してあり、その押圧部(82a)を、上記シリン
ダ(81)に設けた挿通孔(81a)を通してガバナ(1)内へ突
出してある。そして、その押圧部(82a)の先端部で上記
調量ラック(3)の燃料増量側(R)の端部を押圧可能にし
てある。さらに、上記シリンダ(81)内には、スプリング
(85)を配置してあり、そのスプリング(85)によってピス
トン(82)を燃料増量側(R)[図10中では左側]へ付勢し
てある。
【0078】なお、ピストン(82)にはシール材(図示せ
ず)を設けてあり、そのシール材によって上記内部空間
(83)内のワックス(84)が漏れ出さないようにしてある。
また、シリンダ(81)内にはストッパー(86)を設けてあ
り、そのストッパー(86)によってピストン(82)の燃料減
量側(L)への移動を規制してある。
【0079】次に、上記第8形態の作用について説明す
る。冷時でのエンジン始動時には、上記ワックス(84)が
凝固して収縮しており、上記ピストン(82)がスプリング
(85)の付勢力によって燃料増量側(R)で位置し、スター
トスプリング(20)の張力によって燃料調量ラック(3)
が、図10中の実線図に示す始動増量位置(St)に位置す
る。この始動増量位置(St)でエンジンが始動される。
【0080】一方、暖時でのエンジン始動時には、上記
ワックス(84)が、融解して膨張することにより、上記ピ
ストン(82)をスプリング(85)の付勢力に抗して燃料減量
側(L)へ押す。すると、そのピストン(82)の押圧部(82
a)によって、上記調量ラック(3)がスタートスプリン
グ(20)の張力に抗して燃料減量側(L)へ押される(図1
0中の二点鎖線図の状態)。これにより、上記調量ラッ
ク(3)が上述の始動増量規制位置(SSt)で位置する。
【0081】続いて、本発明の遠心式ガバナを備えたデ
ィーゼルエンジンの実施の第9形態について図11から
図13を用いて説明する。図11は上記第9形態にかか
る熱変形手段を示す図、図12は図11のXII−XII線矢
視断面図、図13は上記第9形態の作用を説明するため
の図である。
【0082】この第9形態では、熱変形手段の変形で停
止レバー(27)を燃料減量側(L)へ押し、停止レバー(27)
で燃料調量ラック(3)を受け止めさせることにより、暖
時でのエンジン始動時に、燃料調量ラック(3)が始動増
量規制位置(SSt)で位置するようにしてある。
【0083】つまり、この第9形態の熱変形手段は、図
12と図13とに示すように、以下のように構成してあ
る。この熱変形手段は、上述の第8形態の熱変形手段と
ほぼ同様の構成をなしている。即ち、この熱変形手段
は、停止レバー(27)に連結固定された回転制限用アーム
(32)に対向して配置しており、熱変形手段のシリンダ(9
0)の内部空間(92)内に充填したワックス(93)が所定温度
以上で融解して膨張することで、ピストン(91)の押圧部
(91a)の先端部が、スプリング(94)の付勢力に抗して回
転制限用アーム(32)を押圧するようになっている。な
お、上記シリンダ(90)は、アルミニウムなどの熱伝導性
の高い材質で形成される。
【0084】次に、上記第9形態の作用について、図1
1から図13を用いて説明する。冷時でのエンジン始動
時には、上記ワックス(93)が凝固して収縮しており、上
記ピストン(91)がスプリング(94)の付勢力によって後退
している(図11中では上側)。一方、回転制限用アーム
(32)は、付勢手段(図示せず)によって図11中の反時計
方向に付勢されており、上記ピストン(91)の後退に伴っ
て燃料増量側(R)へ位置する(図11中の実線図の位
置)。
【0085】このときの回転制限用アーム(32)の位置で
は、図13中の一点鎖線図に示すように、停止レバー(2
7)の揺動端部(28)が燃料増量側(R)へ後退しており、上
記冷時でのエンジン始動のときには、燃料調量ラック
(3)は、スタートスプリング(20)の張力で始動増量位置
(St)に位置する。この始動増量位置(St)でエンジンが始
動される。
【0086】一方、暖時では、上記ワックス(93)が融解
して膨張することにより、上記ピストン(91)がスプリン
グ(94)の付勢力に抗して前進している(図11中では下
側)。このため、回転制限用アーム(32)は、ピストン(9
1)の押圧部(91a)の先端部によって押圧されて、燃料減
量側(L)に位置する(図11中の二点鎖線図の位置)。
【0087】このときの回転制限用アーム(32)の位置で
は、図13中の二点鎖線図に示すように、停止レバー(2
7)は、冷時でのエンジン始動のときよりも燃料減量側
(L)に位置する。そして、上記暖時でのエンジン始動時
には、図13中の二点鎖線図の位置で停止レバー(27)の
揺動端部(28)がスラストレバー(6)の停止レバー受部(2
6)を受け止めることで、燃料調量ラック(3)は始動増量
規制位置(SSt)で位置する。
【0088】ところで、上述のように暖時でのエンジン
始動時での燃料噴射量を減少させることで排気に混ざる
黒煙の量を減少できるが、エンジン加速時での過剰な燃
料噴射を抑制することで排気に混ざる黒煙の量を減少さ
せることも可能である。
【0089】上記エンジン加速時での過剰な燃料噴射を
抑制する形態例について、図14と図15とを用いて説
明する。即ち、この形態例では、調速操作具(24)と停止
操作具(31)とを連結レバー(100)によって連結してあ
る。そして、急加速のために調速操作具(24)を急激に操
作した場合には、上記連結レバー(100)を介して停止操
作具(31)が揺動されることで、停止レバー(27)の揺動端
部(28)がスラストレバー(6)の停止レバー受部(26)
を受け止め(図14参照)、燃料調量ラック(3)の燃料
増量側(R)への過剰な移動を規制する。
【0090】つまり、上記連結レバー(100)の両端部に
は、長孔(101)(102)をそれぞれ設けてある。その連結レ
バー(100)の一方の長孔(101)には、調速操作具(24)に設
けたピン(103)を嵌合してあり、他方の長孔(102)には、
停止操作具(31)に取り付けたダンパー(104)のピストン
ピン(111a)を嵌合してある。なお、ダンパー(104)の詳
細な構成は後述する。
【0091】また、上記連結レバー(100)の中間部(106)
と、調速操作具(24)とをスプリング(107)で接続してあ
り、そのスプリング(107)によって上記連結レバー(100)
を調速操作具(24)側へ付勢してある。さらに、上記連結
レバー(100)の中間部(106)を、機壁(22)に設けたストッ
パー(108)に接当可能に構成してあり、そのストッパー
(108)によって連結レバー(100)の調速操作具(24)側への
移動を規制するようにしてある。
【0092】続いて、上記ダンパー(104)の詳細な構成
について図15を用いて説明する。上記ダンパー(104)
は、シリンダ(110)とピストン(111)とスプリング(112)
とを有しており、そのシリンダ(110)の外壁(110a)に雄
ねじ(113)を形成してある。そして、その雄ねじ(113)
を、停止操作具(31)に固定した雌ねじ(114)に螺着する
ことで、ダンパー(104)が停止操作具(31)に位置調節可
能に取り付けられる。
【0093】上記ピストン(111)の一端部には、上記ピ
ストンピン(111a)を凸設してあり、そのピストンピン
(111a)の先端部が、屈曲した状態で上記連結レバー(10
0)の他方の長孔(102)に嵌合している。また、上記シリ
ンダ(110)と上記ピストン(111)とによってシリンダ(11
0)内に内部空間(115)を形成してあり、その内部空間(11
5)に上記スプリング(112)を配置してある。そのスプリ
ング(112)によってピストン(111)が図15中の右方向へ
付勢される。
【0094】さらに、上記シリンダ(110)にオリフィス
絞り(116)を形成してあり、そのオリフィス絞り(116)を
介して上記内部空間(115)をダンパー(104)外に連通させ
ている。なお、上記ピストン(111)にはOリング(117)を
設けてあり、そのOリング(117)によって上記内部空間
(115)の密封性を向上させている。また、連結レバー(10
0)と調速操作具(24)とを接続するスプリング(107)のバ
ネ定数を、ダンパー(104)のスプリング(112)よりも大き
くしてある。
【0095】次いで、上記構成の作用について説明す
る。調速操作具(24)を低速位置(図14の位置)からゆっ
くりと高速側(図14中では左側)へ操作した場合には、
連結レバー(100)が調速操作具(24)に連動して、図14
中の左側へ移動する。すると、ダンパー(104)のピスト
ンピン(111a)が連結レバー(100)によって図14中の左
側へ押されるが、それに伴ってダンパー(104)のスプリ
ング(112)が収縮することで、停止操作具(31)は図14
の位置を維持する。
【0096】一方、調速操作具(24)を上記低速位置から
急激に上記高速側へ操作した場合には、連結レバー(10
0)が調速操作具(24)に連動して図14中の左側へ急激に
移動しようとする。この場合、上述と同様にダンパー(1
04)のスプリング(112)が収縮しようとするが、ダンパー
(104)のピストン(111)への押圧力の増加が急激なため、
ダンパー(104)の内部空間(115)内の空気が抵抗となって
スプリング(112)の収縮が妨げられる。このため、連結
レバー(100)の押圧力がダンパー(104)を介して停止操作
具(31)へ加わり、停止レバー(27)が燃料減量側(L)[図
14中の左側]へ揺動する。
【0097】この結果、停止レバー(27)の揺動端部(28)
が燃料減量側(L)へ移動し(図13参照)、スラストレバ
ー(6)の燃料増量側(R)への移動が規制される。これに
よって、急加速時に燃料噴射量が過剰となることが未然
に抑制される。
【0098】なお、連結レバー(100)の図14中の左側
への移動は、ストッパー(108)によって規制されてお
り、連結レバー(100)がストッパー(108)によって受け止
められた後は、調速操作具(24)のピン(103)が、連結レ
バー(100)の一方の長孔(101)内を移動し、調速操作具(2
4)のみが高速側へ移動する。これにより、調速操作具(2
4)を低速から高速まで大きく操作しても、停止レバー(2
7)の燃料減量側(L)への移動量が適度となり、停止レバ
ー(27)が燃料減量側(L)へ過度に移動して燃料調量ラッ
ク(3)が燃料減量側(L)へ押し返されることが防がれ
る。
【0099】一方、上述の急加速の操作後に調速操作具
(24)を一定位置で維持すると、ダンパー(104)の内部空
間(115)内の空気がオリフィス絞り(116)を通って次第に
排出されることにより、ダンパー(104)のスプリング(11
2)が収縮し、停止レバー(27)が燃料増量側(R)へ戻る。
【0100】なお、エンジン停止のために停止操作具(3
1)を図14中の左側へ揺動させた場合には、連結レバー
(100)が移動することなく、ダンパー(104)のピストンピ
ン(111a)の先端部のみが、連結レバー(100)の他方の長
孔(102)内を移動する。これにより、停止レバー(27)の
揺動端部(28)でスラストレバー(6)の停止レバー受部(2
6)が燃料減量側(L)へ強制的に押され、燃料調量ラック
(3)が燃料無噴射位置(Sp)まで移動する。
【0101】次に、エンジン加速時での過剰な燃料噴射
を抑制する他の形態例について、図16と図17とを用
いて説明する。この形態例では、スラストレバー(6)の
停止レバー受部(26)にダンパー(120)を設けてあり、停
止レバー(27)は、上記ダンパー(120)を介してスラスト
レバー(6)を押圧するようになっている。
【0102】なお、上記ダンパー(120)は、上述の図1
5のダンパー(104)とほぼ同様の構成をなしている。一
方、停止レバー(27)の先端部は、図16に示すように、
屈曲しており、上記ダンパー(120)のピストンピン(121
a)と接当容易になっている。また、回転制限用アーム
(32)は、停止レバー位置制限ボルト(122)で燃料増量側
(R)への揺動範囲[図17中では反時計方向]が調節可能
になっており、これによって停止レバー(27)の位置が調
節される。さらに、ダンパー(120)のスプリング(124)の
バネ定数を、スタートスプリング(20)よりも小さくして
ある。
【0103】次いで、上記構成の作用について説明す
る。エンジン始動のときには、スタートスプリング(20)
の張力によってスラストレバー(6)が燃料増量側(R)へ
押圧されており、ダンパー(120)のピストンピン(121a)
が停止レバー(27)で押される。このため、ダンパー(12
0)のピストン(121)がスプリング(124)の付勢力に抗して
ダンパー(120)内に押し込まれ、燃料調量ラック(3)が
始動増量位置(St)で位置する。
【0104】また、調速操作具(24)での急加速操作によ
って、スラストレバー(6)が燃料増量側(R)へ急激に移
動したときには、ダンパー(120)のピストンピン(121a)
が停止レバー(27)に接当し、ダンパー(120)のピストン
(121)がダンパー(120)内に急激に押し込まれようとす
る。ところが、ダンパー(120)の内部空間(123)内の空気
が抵抗となってスプリング(124)の収縮が妨げられ、ス
ラストレバー(6)の燃料増量側(R)への移動が規制され
る。従って、急加速時での過剰な燃料噴射量の増加が抑
制され、加速時での排気に混ざる黒煙の量が減少する。
【0105】なお、ゆっくりと加速した場合には、ダン
パー(120)のピストンピン(121a)が停止レバー(27)に接
当しても、ダンパー(120)の内部空間(123)内の空気がオ
リフィス絞り(125)を通って排出され、ダンパー(120)の
スプリング(124)が収縮するため、スラストレバー(6)
はさらに燃料増量側(R)へ移動できる。
【0106】上述の図14から図17までは、エンジン
加速時での過剰な燃料噴射を抑制する形態例を示してい
るが、例えば、これらの形態を上述のエンジン始動時で
の燃料噴射を抑制する実施の第1から第9までの形態の
いずれかと組み合わせることで、排気に混ざる黒煙の減
少をより促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遠心式ガバナを備えたディーゼルエン
ジンの実施の第1形態を示す要部縦断面図である。
【図2】上記第1形態の作用を説明するための模式図で
ある。
【図3】本発明の遠心式ガバナを備えたディーゼルエン
ジンの実施の第2形態を示す要部縦断面図である。
【図4】本発明の遠心式ガバナを備えたディーゼルエン
ジンの実施の第3形態を示す要部縦断面図である。
【図5】本発明の遠心式ガバナを備えたディーゼルエン
ジンの実施の第4形態を示す要部縦断面図である。
【図6】上記第4形態の作用を説明するための模式図で
ある。
【図7】本発明の遠心式ガバナを備えたディーゼルエン
ジンの実施の第5形態を示す図であり、図7(a)はその
第5形態を示す要部縦断面図、図7(b)は上記第5形態
にかかる座金を図7(a)中のA方向から見た図である。
【図8】本発明の遠心式ガバナを備えたディーゼルエン
ジンの実施の第6形態を示す図である。
【図9】本発明の遠心式ガバナを備えたディーゼルエン
ジンの実施の第7形態の要部を示す図である。
【図10】本発明の遠心式ガバナを備えたディーゼルエ
ンジンの実施の第8形態を示す要部縦断面図である。
【図11】本発明の遠心式ガバナを備えたディーゼルエ
ンジンの実施の第9形態にかかる熱変形手段の配置を示
す図である。
【図12】図13のXII−XII線矢視断面図である。
【図13】上記第9形態の作用を説明するための図であ
る。
【図14】エンジン加速時での過剰な燃料噴射抑制の形
態例を示す図である。
【図15】図14のXV−XV線矢視断面図である。
【図16】エンジン加速時での過剰な燃料噴射抑制の他
の形態例の要部を示す図である。
【図17】上記燃料噴射抑制の他の形態例にかかる停止
レバー位置制限ボルトを示す図である。
【図18】ガバナの基本構造を示す縦断面図である。
【図19】主にウェイトホルダに枢支されたガバナウェ
イトを示す図である。
【図20】主に調速操作具や停止操作具を示す図であ
る。
【図21】主に停止レバーとスラストレバーとの関係を
示す斜視図である。
【図22】燃料調量ラックが始動増量位置にある状態を
示す模式図である。
【図23】従来の課題を説明するための図である。
【符号の説明】
1…ガバナ、2…燃料噴射ポンプ、3…燃料調量ラッ
ク、5…ガバナスプリング、7…ガバナ力入力レバー、
8…スプリング力入力レバー、14…ガバナスリーブ、15
…ガバナ軸、16…ウェイトホルダ、17…ガバナウェイ
ト、20…スタートスプリング(始動用付勢手段)、21…調
速レバー、54…シリンダ、54a…作動室、55…ピスト
ン、55a…押圧部、58…オイルポンプ、60…潤滑油、62
…スプリング(ピストン付勢手段)、L…燃料減量側、St
…始動増量位置、SSt…始動増量規制位置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 35/00 310 F02D 35/00 310Q (72)発明者 萬羽 俊一 大阪府堺市石津北町64 株式会社クボタ堺 製造所内 (72)発明者 内藤 慶太 大阪府堺市石津北町64 株式会社クボタ堺 製造所内 (72)発明者 吉田 鉱三 大阪府堺市石津北町64 株式会社クボタ堺 製造所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 揺動自在のガバナレバーを、ガバナスプ
    リング(5)を介して調速レバー(21)に連結し、 ガバナ軸(15)にガバナスリーブ(14)をスライド移動自在
    に外嵌し、 そのガバナスリーブ(14)の一端面側に上記ガバナレバー
    を接当させるとともに、上記ガバナスリーブ(14)の他端
    面側にガバナウェイト(17)を接当させ、 燃料噴射ポンプ(2)の燃料調量ラック(3)を上記ガバナ
    レバーに連結し、 始動用の付勢手段(20)で上記調量ラック(3)を始動増量
    位置(St)に向けて付勢するように構成した遠心式ガバナ
    を備えたディーゼルエンジンにおいて、 温度によって変形する熱変形手段を設け、 上記熱変形手段が所定温度以上になっている暖時でのエ
    ンジン始動時には、その暖時での形状の熱変形手段によ
    って、上記調量ラック(3)を上記始動用付勢手段(20)の
    付勢力に抗して上記始動増量位置(St)よりも燃料減量側
    (L)へずれた始動増量規制位置(SSt)へ位置させ、 上記熱変形手段が上記所定温度より低くなっている冷時
    でのエンジン始動時には、上記調量ラック(3)が、上記
    冷時での形状の熱変形手段で制限されることなく上記始
    動用付勢手段(20)の付勢力で上記始動増量位置(St)に位
    置するように構成した、 ことを特徴とする遠心式ガバナを備えたディーゼルエン
    ジン。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の遠心式ガバナを備えた
    ディーゼルエンジンにおいて、 前記ガバナ軸(15)に固定したウェイトホルダ(16)に前記
    熱変形手段を配置し、 前記暖時でのエンジン始動時には、その暖時での形状の
    熱変形手段によって、上記ウェイトホルダ(16)に配置し
    たガバナウェイト(17)を前記始動用付勢手段(20)の付勢
    力に抗して押すことにより、前記ガバナレバーを燃料減
    量側(L)へ押圧して、前記調量ラック(3)を前記始動増
    量規制位置(SSt)へ位置させるように構成し、 前記冷時でのエンジン始動時には、上記ガバナウェイト
    (17)が上記冷時での形状の熱変形手段で押されないよう
    にして、上記調量ラック(3)が上記始動用付勢手段(20)
    の付勢力で前記始動増量位置(St)に位置するように構成
    した、 ことを特徴とする遠心式ガバナを備えたディーゼルエン
    ジン。
  3. 【請求項3】 揺動自在のガバナレバーを、ガバナスプ
    リング(5)を介して調速レバー(21)に連結し、 ガバナ軸(15)にガバナスリーブ(14)をスライド移動自在
    に外嵌し、 そのガバナスリーブ(14)の一端面側に上記ガバナレバー
    を接当させるとともに、上記ガバナスリーブ(14)の他端
    面側にガバナウェイト(17)を接当させ、 燃料噴射ポンプ(2)の燃料調量ラック(3)を上記ガバナ
    レバーに連結し、 始動用の付勢手段(20)で上記調量ラック(3)を始動増量
    位置(St)に向けて付勢するように構成した遠心式ガバナ
    を備えたディーゼルエンジンにおいて、 上記ガバナ軸(15)に固定したウェイトホルダ(16)にシリ
    ンダ(54)を設け、 そのシリンダ(54)内でピストン(55)によって密封された
    作動室(54a)に、オイルポンプ(58)からの潤滑油(60)を
    導入可能に構成し、 上記ピストン(55)に押圧部(55a)を設け、その押圧部(5
    5a)で上記ガバナウェイト(17)を押圧可能に構成し、 上記ピストン(55)を上記ガバナウェイト(17)側へ付勢す
    るピストン付勢手段(62)を設け、 上記オイルポンプ(58)から上記作動室(54a)に導入され
    る潤滑油(60)の油圧が所定圧以下になっている暖時での
    エンジン始動時には、上記ピストン(55)が、上記ピスト
    ン付勢手段(62)の付勢力で上記潤滑油(60)の油圧に抗し
    て燃料減量側(L)へ押されることにより、上記ピストン
    (55)の押圧部(55a)が上記ガバナウェイト(17)を燃料減
    量側(L)へ押して、上記調量ラック(3)を上記始動増量
    位置(St)よりも燃料減量側(L)へずれた始動増量規制位
    置(SSt)へ位置させ、 上記潤滑油(60)の油圧が上記所定圧を越える冷時でのエ
    ンジン始動時には、上記ピストン(55)が、上記潤滑油(6
    0)の油圧で上記ピストン付勢手段(62)の付勢力に抗して
    燃料増量側(R)へ押されることにより、上記調量ラック
    (3)が、上記ピストン(55)の押圧部(55a)で制限される
    ことなく上記始動用付勢手段(20)の付勢力で上記始動増
    量位置(St)に位置するように構成した、 ことを特徴とする遠心式ガバナを備えたディーゼルエン
    ジン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114673593A (zh) * 2022-04-22 2022-06-28 潍柴动力股份有限公司 一种冷启动辅助装置及发动机

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