JP4145844B2 - 気化器のオートチョーク装置 - Google Patents

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本発明は,エンジンに取り付けられるワックス式の感温部と,この感温部及び気化器のチョーク弁間を連結し,感温部の受熱作動に応じてチョーク弁を開くように作動する出力部とを備える,気化器のオートチョーク装置の改良に関する。
かゝる気化器のオートチョーク装置は,例えば特許文献1に開示されているように,既に知られている。
実開昭57−182241号公報
従来のかゝる気化器のオートチョーク装置では,ワックス式の感温部は,可動シリンダと,この可動シリンダに摺動可能に支承されて一端を可動シリンダ外に突出させるピストンと,可動シリンダ内に封入され,熱膨張すると可動シリンダ及びピストンを軸方向に相対移動させるワックスと,可動シリンダ及びピストンをワックスの圧縮方向に相互に付勢する戻しばねとを備えており,可動シリンダが,ワックスを高温部側に向けてエンジンに取り付けられ,ピストンが出力部に連結される。こうしたものにおけるワックスは,エンジンの高温部に常に曝されるため,エンジンからの受熱速度が一定であり,したがってエンジンの暖機運転の進行に伴なうチョーク弁の開弁速度も一定となる。
しかしながら,エンジンの暖機運転をより的確にするためには,チョーク弁の開弁速度をエンジンの暖機運転の進行に応じて遅くすることが要求される。
本発明は,そのようにチョーク弁の開弁速度を変化させることを可能にする,気化器のオートチョーク装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために,本発明は,エンジンに取り付けられるワックス式の感温部と,この感温部及び気化器のチョーク弁間を連結し,感温部の受熱作動に応じてチョーク弁を開くように作動する出力部とを備える,気化器のオートチョーク装置において,有底の可動シリンダと,この可動シリンダに摺動可能に支承されて一端を可動シリンダ外に突出させる固定ピストンと,可動シリンダ内に封入され,熱膨張すると可動シリンダ及び固定ピストンを軸方向に相対移動させるワックスと,可動シリンダ及び固定ピストンをワックスの圧縮方向に相互に付勢する戻しばねとを備え,エンジンに取り付けられる有底円筒状のハウジングに,その底部内面に固定ピストンの外端を当接させる状態で可動シリンダを摺動可能に収納して前記感温部を構成し,その可動シリンダに前記出力部を連結し,前記ハウジングを,可動シリンダが前記底部から離れる方向に移動するに従いワックスの受熱を減少させるように構成したことを第1の特徴とする。
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記ハウジングを,前記底部を有するカップ状で熱良導性の第1部分と,この第1部分の開放端に結合される円筒状で断熱性の第2部分とで構成し,ワックスの熱膨張に応じて可動シリンダが第1部分から第2部分側へ移動するようにしたことを第2の特徴とする。
本発明の第1の特徴によれば,エンジンの暖機運転の進行に伴ない可動シリンダは,その内部のワックスの熱膨張によりハウジングの底部から離れる方向に移動する。このように可動シリンダが移動すると,可動シリンダ内のワックスの受熱が減少していくので,チョーク弁の開弁速度を,エンジンの暖機運転直後に速く,暖機運転終了に近づくにつれて遅くすることができ,混合気の濃厚化を回避しつゝ,安定した暖機運転を行うができる。そして暖機運転終了後,即ちチョーク弁の全開後はワックスの受熱が更に少なくなるから,ワックスの過熱劣化を防ぐことができる。
また本発明の第2の特徴によれば,エンジンからハウジングの,熱良導性の第1部分への熱の伝達が効率的に行われるから,特に暖機運転開始直後,可動シリンダ内のワックスは前記第1部分から速やかに受熱して膨張を開始し,チョーク弁の開弁を早めて混合気の過濃化を効果的に抑えることができる。またエンジンの暖機運転の進行に伴ない可動シリンダがハウジングの第1部分から断熱性の第2部分側に移動するので,可動シリンダ内のワックスのハウジングからの受熱を,暖機運転の進行に伴い効果的に減少することができ,したがってチョーク弁の開弁速度を,暖機運転終了に近づくにつれて的確に遅くして,より安定した暖機運転を継続することができる。また暖機運転終了後はワックスの受熱が更に少なくなるから,ワックスの過熱劣化防止に一層寄与し得る。
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る汎用エンジンの一部を縦断した正面図,図2は図1の要部拡大図,図3は図2の3−3線断面図,図4は図2の4−4線断面図,図5は図2の5−5線断面図,図6は図2の6−6線断面図,図7は図6に対応した作用説明図,図8は図6に対応した別の作用説明図,図9は図6に対応した更に別の作用説明図,図10は図6中の感温部部分の拡大図,図11は図10に対応する作用説明図である。
先ず,図1〜図3において,符号Eは,各種作業機の動力源となる4サイクルエンジンを示す。このエンジンEは,鉛直方向に配置されるクランク軸1を支持するクランクケース2と,このクランクケース2から水平方向に突出した,シリンダボア3aを有するシリンダブロック3と,このシリンダブロック3の外端部に一体に形成されたシリンダヘッド4とを備えており,シリンダヘッド4には,吸気弁7i及び排気弁7eによりそれぞれ開閉される吸気ポート6i及び排気ポート6eと,吸気弁7i及び排気弁7eを作動する動弁機構8を収容する動弁室9とが設けられる。この動弁室9を閉鎖するヘッドカバー5がシリンダヘッド4の端面に接合される。
吸気ポート6i及び排気ポート6eの外端は,シリンダヘッド4の互いに反対方向を向いた一側面と他側面とにそれぞれ開口し,その一側面には,吸気ポート6iに連通する吸気道11を備えた気化器Cが板状の断熱部材10を挟んで複数の通しボルト12により接合される。断熱部材10は,断熱性に優れたフェノール樹脂等の熱硬化性合成樹脂製であり,これによってエンジンEから気化器Cへの熱伝導が抑えられる。シリンダヘッド4の他側面には,排気ポート6eに連通する排気マフラ14が取り付けられる。またエンジンEの上部には,燃料タンク17とリコイル式スタータ15とが配設される。尚,図1中,符号16は,シリンダヘッド5に螺着された点火プラグを示す。
図2及び図4に示すように,気化器Cには,その吸気道11の上流側に連なるエアクリーナ13が取り付けられる。気化器Cの吸気道11には,その上流側にチョーク弁19,下流側にスロットル弁20が設けられ,またこの両弁19,20間で開口する燃料ノズル(図示せず)が設けられる。チョーク弁19及びスロットル弁20は,何れも気化器Cに回転自在に支承される弁軸19a,20aにそれぞれ支持されるバタフライ型である。スロットル弁20は,エンジンEの始動前は全開位置を保ち,エンジンEが始動されると,図示しない公知のガバナ装置により所定のエンジン回転数を維持するように閉じ側に制御される。
図4において,チョーク弁19の弁軸19aは,吸気道11の中心線から一側にオフセットして配置され,チョーク弁19は,その全閉状態では,チョーク弁19の半径の大きい側が,その半径の小さい側より吸気道11の下流側に来るように吸気道11の中心軸線に対して傾斜するようになっている。上記弁軸19aの,気化器C外側に突出した外端部にはチョークレバー22が取り付けられ,このチョークレバー22は,弁軸19aに相対回転可能に嵌合される中空円筒状をなしており,その内部において,公知のリリーフばね(図示せず)を介して弁軸19aと連結される。チョーク弁19の全開及び全閉位置は,チョークレバー22が気化器Cの外側壁に設けられるストッパ(図示せず)に当接することで規定される。
而して,チョーク弁19の全閉若しくは小開度時,エンジンEの吸気負圧が所定値を超えると,チョーク弁19の半径の大きい側に作用する吸気負圧による回転モーメントと,チョーク弁19の半径の小さい側に作用する吸気負圧による回転モーメントとの差が上記リリーフばねによる回転モーメントとバランスするところまで,チョーク弁19を開くようになっている。
チョークレバー22には,これをチョーク弁19の閉じ側に付勢するチョーク戻しばね21が接続される。またチョークレバー22には,チョーク弁19の開度をエンジンEの温度変化応じて自動的に制御するオートチョーク装置Aが対置される。
このオートチョーク装置Aについて,図2〜図11を参照しながら説明する。
先ず図2〜図6において,オートチョーク装置Aは,エンジンEのシリンダヘッド4,特に吸気ポート6i周りから受熱する感温部25と,この感温部25及び前記チョークレバー22間を連結して感温部25の受熱作動をチョークレバー22に,チョーク弁19の開き方向の動きとして伝達する出力部26とから構成される。感温部25は,吸気ポート6iの周壁4aと,この周壁4aの上部から起立する囲壁4b(図2及び図3参照)とでシリンダヘッド4に形成される収容室27に配置される円筒状のハウジング30を有する。収容室27は,吸気ポート6iと同様に一端を入口としてシリンダヘッド4の一側面に開口し,シリンダヘッド4の中心に向かう反対側の端部は閉塞している。また収容室27の一側は,囲壁4bの成形性及び感温部25の組み付け性を考慮して適当に開放されている。
上記ハウジング30は,熱伝導性に優れた金属,例えばAl製で底部30a′を有するカップ状の第1部分30aと,断熱性に優れた合成樹脂,例えばフェノール樹脂製で第1部分30aの開放端に印籠嵌合してビス45(図2参照)により結合される円筒状の第2部分30bとで構成される。その第2部分30bは,シリンダヘッド4及び気化器C間に介装される前記断熱部材10に一体に連設され,したがって,ハウジング30は,専用の取り付け部材を設けることなくシリンダヘッド4に取り付けられることになる。
第1部分30aは,その底部30a′を収容室27の奥側即ちシリンダヘッド4の中心部(高温部)に向けると共に,その底部30a′及び周壁を収容室27の内面に接触若しくは微小間隙を存して対向させるように配置される。第2部分30bは収容室27の入口側,即ちシリンダヘッド4の中心から離れる側に配置される。
感温部25は,図10に示すように,熱伝導性に優れたAl等の金属製で有底の可動シリンダ31と,この可動シリンダ31の開放端にかしめ結合してガイド部材32と,このガイド部材32に摺動可能に支承されて,それを貫通する棒状の固定ピストン33と,可動シリンダ31内で固定ピストン33を覆いながら,開放端を可動シリンダ31及びガイド部材32間に液密に挟持される弾性袋34と,この弾性袋34を覆うようにして可動シリンダ31内に封入されるワックス35とを備えており,固定ピストン33の外端をハウジング30の第1部分30aの底部30a′内面に当接させた状態で,可動シリンダ31はハウジング30の第1部分30a内に摺動可能に嵌合される。
而して,ワックス35は,加熱されると膨張して弾性袋34を絞るように圧縮することで固定ピストン33をガイド部材32の外方に押し出そうとするが,第1部分30aの底部30a′内面に外端を当接した固定ピストン33は移動不能であるから,その反作用により,可動シリンダ31が第1部分30a内を,その底部30a′から離れる矢印F方向(図11参照)に前進することになる。
可動シリンダ31の外周面は,ガイド部材32と反対側の半部が小径になっており,この小径部31aにディスタンスカラー36が嵌合され,このディスタンスカラー36に当接するリテーナ37と,断熱部材10との間に,ディスタンスカラー36を介して可動シリンダ31を固定ピストン33の外端側に付勢するコイル状の戻しばね38が縮設される。したがって,リテーナ37は,ディスタンスカラー36と戻しばね38とで挟持される。
図5及び図6に示すように,前記出力部26は,断熱部材10を貫通して一端部43aを前記リテーナ37に連結するロッド43と,断熱部材10に一体に形成されたブラケット10aの両側面に共通の枢軸40を介して支持されて個別に回動し得る第1及び第2レバー42とを備え,第1レバー41にロッド43のL字状に屈曲した他端部43bが連結され,可動シリンダ31の前進Fに伴なうロッド43の軸方向移動により第1レバー41を図6で矢印R方向に回動させるようになっている。ロッド43のリテーナ37への連結は,ロッド43の一端の膨大端部43aをリテーナ37と可動シリンダ31の端面とで挟持することにより行われる。
第1及び第2レバー41,42は,両者の回動方向に沿って離間可能に当接する当接部41a,42aを有しており,これら当接部41a,42aは,第1レバー41が第2レバー42に対して矢印R方向に相対回動するとき,互いに離間するようになっている。また第1及び第2レバー41,42にはばね係止部41b,42bが設けられており,これらばね係止部41b,42bに,両レバー41,42を上記当接部41a,42aの当接方向に付勢する連結ばね44の両端が係止される。
第2レバー42には,前記チョークレバー22の受動ピン22aに作動的に対向する作動アーム42cが一体に形成されており,第2レバー42が矢印R方向に回動すると,作動アーム42cがチョークレバー22をチョーク弁19の開き方向に回動するようになっている。
次に,この実施例の作用について説明する。
エンジンEの低温,停止状態では,図10に示すように,感温部25のワックス35は収縮状態にあるので,可動シリンダ31は,戻しばね38の弾発力によりハウジング30の第1部分30aの底部30a′に近接した後退位置に保持されている。これに伴ない,図6に示すように,出力部26の第2レバー42の作動アーム42cはチョークレバー22から離れた位置に保持されるので,チョークレバー22は,チョーク戻しばね21の付勢力でチョーク弁19の閉じ位置に保持される。
したがって,エンジンEを始動すべく,リコイルスタータ15を作動して,クランク軸1をクランキングすれば,気化器Cにおいて,チョーク弁19より下流の吸気道11に大なる負圧が発生して,その箇所に開口する燃料ノズルから比較的多量の燃料が噴出し,エンジンEが吸入する混合気を濃厚にするので,エンジンEをスムーズに始動することができる。
エンジンEの始動後,吸気道11の下流に発生する吸気負圧が所定値を越えると,前述のように,チョーク弁19の半径の大きい側に作用する吸気負圧による回転モーメントと,チョーク弁19の半径の小さい側に作用する吸気負圧による回転モーメントとの差がチョークレバー22内のリリーフばねによる回転モーメントとバランスするところまで,チョーク弁19を開くので,吸気道11内の燃料ノズル上の負圧の過度の上昇を防ぎ,燃料ノズルからの過度の燃料噴出を抑えので,エンジンEが吸入する混合気の過濃化を防ぎ,良好な暖機運転状態を保証する。
エンジンEの暖機運転の進行に伴ない,シリンダヘッド4の温度が上昇してくると,吸気ポート6iに近接した収容室27内の感温部25は収容室27の内壁から加熱され,可動シリンダ31内のワックス35の熱膨張により,前述のように,弾性袋34が絞られて固定ピストン33を押し出そうとする反作用で可動シリンダ31が戻しばね38の弾発力に抗して矢印F方向に前進していき,この可動シリンダ31の前進は,ロッド43を介して第1レバー41を矢印R方向に回動する。この第1レバー41と第2レバー42は,当初,連結ばね44の付勢力により互いに当接部41a,42aを当接させた連結状態にあるので,図7に示すように,第2レバー42も第1レバー41と一体となって回動して,作動アーム42cがチョーク戻しばね21の付勢力に抗して受動ピン22a即ちチョークレバー22を,チョーク弁19の開き方向に回動するようになる。
したがって,チョーク弁19の開度は,収容室27の温度上昇に応じて増加しいくので,エンジンEの暖機運転の進行に応じて吸気道11内の燃料ノズル上の負圧を減少させ,それからの燃料噴出量を減少させ,エンジンEの吸入混合気の空燃比を適正に補正することができる。そして,エンジンEの暖機運転が終了する頃には,収容室27内の温度が充分に高まって,図8に示すように,チョーク弁19を全開状態に制御することになる。
その後,シリンダヘッド4の温度が更に上昇し,収容室27の温度も高まると,ワックス35の更なる熱膨張により,可動シリンダ31が過剰に前進して,ロッド43を介して第1レバー41を矢印R方向に更に回動するが,第2レバー42は,全開位置のチョークレバー22により,それ以上の回動を阻止されているから,図9に示すように,第1レバー41のみが連結ばね44を伸ばしながら矢印R方向に回動して,第1レバー41の当接部41aが第2レバー42の当接部42aから離間していく。したがって,感温部25の可動シリンダ31のオーバーストローク作動は,連結ばね44の伸びに吸収される。このことは,オートチョーク装置Aからチョーク弁19までの各部には,連結ばね44のセット荷重以上の荷重が作用しないことを意味し,これによって各部における過大応力の発生を回避し,各部の耐久性を確保し得る。しかも相互に回動し得る第1及び第2レバー41,42は,共通の枢軸40を介してブラケット10aに取り付けられるので,出力部26の部品点数を減らし,構造の簡素化を図ることができる。
その後,エンジンEの運転を停止した場合,エンジンEの高温状態が続いている限り,収容室27内も高温状態が続くので,感温部25は可動シリンダ31を前進させた状態を維持して,出力部26を介してチョーク弁19を開き状態に保持する。したがって,高温状態のエンジンEを再始動するときには,チョーク弁19の開き状態を確保して,混合気の過濃化を防ぎ,再始動性を良好にすることができる。
エンジンEが運転停止後,冷却した場合には,感温部25では,ワックス35の熱収縮と,戻しばね38の作用により可動シリンダ31が後退するので,出力部26は,チョーク戻しばね21による,チョーク弁19閉じ方向へのチョークレバー22の回動を許容する。
ところで,エンジンEの運転中,シリンダヘッド4の吸気ポート6iの周辺部は,常に吸気ポート6iを流れる吸気により冷却されるので,エンジンEの負荷変動に殆ど影響されることなく,暖機運転の進行に対応した温度特性を持つことができ,したがって吸気ポート6iに近接して配置された感温部25は,エンジンEの負荷変動に拘らず,暖機運転の進行に的確に対応した作動を生じて,チョーク弁19の開度を常に適正に制御することができ,エンジンEの燃費特性及びエミッション特性の向上に寄与し得る。
特に,感温部25が,吸気ポート6iの周壁4aと,この周壁4aの一側から起立する囲壁4bとでシリンダヘッド4に形成される収容室27に配置される場合には,囲壁4bの長さの選定により収容室27の感温部25との対向面積を適当に設定することにより,エンジンEの暖機運転の進行に対する感温部25の作動特性を調整することが可能となる。
また感温部25の有底のハウジング30においては,シリンダヘッド4の中心寄りの底部30a′のシリンダヘッド4からの受熱が最も多く,その底部30a′の内面に固定ピストン33を当接させ,ワックス35を封入した可動シリンダ31は,ワックス35の熱膨張に応じて前記底部30a′から離れるF方向にハウジング30内を前進するので,可動シリンダ31内のワックス35のハウジング30からの受熱は,エンジンEの暖機運転開始直後に多く,暖機運転の進行に伴い減少することになる。
特に,ハウジング30は,前記底部30a′を有する熱伝導性の高い金属製の第1部分30aと,前記底部30a′と反対側の断熱性の高い第2部分30bとで構成されるので,ワックス35の受熱特性の上記傾向を一層強めることができる。即ち,可動シリンダ31は,前進時,その一部を断熱性の高い第2部分30b側に移すことになり,ワックス35の受熱は一層減少する。その結果,エンジンEの暖機運転開始直後,可動シリンダ31内のワックス35は,ハウジング30の第1部分から速やかに受熱して膨張を開始し,チョーク弁19の開弁を早めて混合気の過濃化を効果的に抑えることができる。また暖機運転の進行に伴ない可動シリンダ31がハウジング30の第1部分30aから第2部分30b側に移行するので,可動シリンダ31内のワックス35のハウジング30からの受熱を,暖機運転の進行に伴い効果的に減少することができ,したがってチョーク弁19の開弁速度を,暖機運転終了に近づくにつれて的確に遅くして,より安定した暖機運転を継続することができる。また暖機運転終了後はワックス35の受熱が更に少なくなるから,ワックス35の過熱劣化防止に一層寄与し得る。
またハウジング30を,底部30a′を有する熱良導性の第1部分30aと,この第1部分の,前記底部30a′と反対側に結合される,断熱性の第2部分30bとで構成したことで,エンジンEの発生する熱は,主として第1部分30aを介して可動シリンダ31内のワックス35に伝達することになり,第1部分30aのみの形状及び配置の選定により,感温部25の特性を変えることができ,エンジンEの多機種への対応が容易である。
しかも断熱性の高い第2部分30bと,出力部26の第1レバー41を軸支するブラケット10aとは,シリンダヘッド4及び気化器C間に介裝される断熱部材10を利用して,それに一体に成形したので,専用の支持部材を用いることなく,感温部25のハウジング30及びブラケット10aをシリンダヘッド4に支持することができ,したがって部品点数の削減により簡単を簡素化し,オートチョーク装置Aのコスト低減に寄与し得る。
尚,本発明は前記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
本発明に係る汎用エンジンの一部を縦断した正面図。 図1の要部拡大図。 図2の3−3線断面図。 図2の4−4線断面図。 図2の5−5線断面図。 図2の6−6線断面図。 図6に対応した作用説明図。 図6に対応した別の作用説明図。 図6に対応した更に別の作用説明図。 図6中の感温部の拡大図。 図10に対応する作用説明図。
符号の説明
A・・・・・オートチョーク装置
C・・・・・気化器
E・・・・・エンジン
19・・・・チョーク弁
25・・・・感温部
26・・・・出力部
30・・・・ハウジング
30a・・・ハウジングの第1部分
30a′・・ハウジングの底部(第1部分の底部)
30b・・・ハウジングの第2部分
31・・・・可動シリンダ
33・・・・固定ピストン
35・・・・ワックス
38・・・・戻しばね

Claims (2)

  1. エンジン(E)に取り付けられるワックス式の感温部(25)と,この感温部(25)及び気化器(C)のチョーク弁(19)間を連結し,感温部(25)の受熱作動に応じてチョーク弁(19)を開くように作動する出力部(26)とを備える,気化器のオートチョーク装置において,
    有底の可動シリンダ(31)と,この可動シリンダ(31)に摺動可能に支承されて一端を可動シリンダ(31)外に突出させる固定ピストン(33)と,可動シリンダ(31)内に封入され,熱膨張すると可動シリンダ(31)及び固定ピストン(33)を軸方向に相対移動させるワックス(35)と,可動シリンダ(31)及び固定ピストン(33)をワックス(35)の圧縮方向に相互に付勢する戻しばね(38)とを備え,エンジン(E)に取り付けられる有底円筒状のハウジング(30)に,その底部(30a′)内面に固定ピストン(33)の外端を当接させる状態で可動シリンダ(31)を摺動可能に収納して前記感温部(25)を構成し,その可動シリンダ(31)に前記出力部(26)を連結し,前記ハウジング(30)を,可動シリンダ(31)が前記底部(30a′)から離れる方向(F)に移動するに従いワックス(35)の受熱を減少させるように構成したことを特徴とする,気化器のオートチョーク装置。
  2. 請求項1記載の気化器のオートチョーク装置において,
    前記ハウジング(30)を,前記底部(30a′)を有するカップ状で熱良導性の第1部分(30a)と,この第1部分(30a)の開放端に結合される円筒状で断熱性の第2部分(30b)とで構成し,ワックス(35)の熱膨張に応じて可動シリンダ(31)が第1部分(30a)から第2部分(30b)側へ移動するようにしたことを特徴とする,気化器のオートチョーク装置。
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