JPH10195708A - ベンチレータを備えたヘルメット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、部品点数を少なく
し、部品の組み付け工程を少なくし、部品管理費等の費
用を省略して安価で快適なベンチレータを備えたヘルメ
ットを提供することにある。 【解決手段】 ベンチレータを備えたヘルメットＨ
は、外殻材の内側に間隙を形成して内殻材を配設してな
る帽体シェル１と、この帽体シェル１の前側下部に前方
に向けて庇４が設けられているヘルメットＨにおいて、
庇４と前記帽体シェル１の外殻材及び内殻材とは、ブロ
ー成形によって一体に形成され、庇４の下面に間隙に連
通し空気を導入するエアインレット１１が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は主として自動二輪車
の車両搭乗時に着用するヘルメットに係り、特に庇を有
するタイプのベンチレータを備えたヘルメットに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】自動二輪車に搭載する際にはヘルメット
の着用が義務付けられているが、一般に従来のヘルメッ
トにおいては、着用したときの頭部の保護のために、衝
撃緩衝材として、ヘルメットを構成している帽体シェル
の外殻材と内殻材との間に発泡樹脂材が配設されてい
る。この衝撃緩衝材としてのライナーは、安価で軽量且
つ性能が良好であるため、一般に発泡スチロールが用い
られている。

【０００３】上記衝撃緩衝材（いわゆるライナー）とし
て用いられている発泡スチロール等は、衝撃を緩衝する
他に断熱性に優れていることから、冬期に着用するとき
においては防寒効果を有し、夏期においては直接日光等
により加熱された外殻材からの熱伝達を効果的に遮断で
きるという利点がある。

【０００４】しかし上記のように断熱作用があるため、
夏期における使用時には、ヘルメット内部温度が、４５
℃以上に上昇するため、ヘルメット着用者は、この温度
上昇により、異常発汗、臭い等により、不快感を生じて
しまうという問題があった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このため、最近のヘル
メットでは、ベンチレーションシステムを備えたものが
上市されている。そしてこのベンチレーションシステム
は、ヘルメットの前面に空気を導入するエアインレット
を、空気を排出する後面にエアアウトレットをそれぞれ
形成し、走行中に前記エアインレットからヘルメット内
に流入する風（空気）を頭部へ流通させた後、エアアウ
トレットから排出させるようにしている。

【０００６】そして一般に、トップベンチレーションの
構造としては、図３で示すように、内部に内装材３１を
配した帽体シェル３１の前頭部にシャッター部材３２を
用いており、シャッター部材３２は、通風孔３３ａの形
成されたベース３３と、この通風孔３３ａを開閉するリ
ッド３４の二つの部品を用いている。またベース３３の
取付けとしては、ベース３３の裏面に突起したボス３５
を形成し、このボス３５を帽体シェル３１と超音波ウエ
ルダーなどで溶着して取り付けている。

【０００７】つまり、通常のエアーインテークは、帽体
シェル３１のエアインレット部分に、別部品としてイン
ジェクション成形のシャッター部材３２を取付けて、こ
のシャッター部材３２を開閉し、シャッター部材３２の
通風孔３３ａと内装材３１の通風孔３６ａを通して、空
気を取り入れている。

【０００８】しかしながら、上記のようなシャッター部
材３２を用いたトップベンチレーションの構造では、帽
体シェル３１にエアインレットのための穿孔を行う必要
があり、帽体シェル３１の強度が低下するという不都合
がある。

【０００９】また、二つの部品であるベース３３とリッ
ド３４を用いており、部品点数の問題、これらの部品の
組み付け工程、部品管理費等から費用がかかり、コスト
高となる。しかも、この部品により帽体シェル３１に凹
凸が生じ、空気抵抗が増すという不都合がある。

【００１０】さらに、図３のようなトップベンチレーシ
ョンの構造は、シャッター部材３２の通風孔３３ａと内
装材３６の通風孔３６ａとの孔が同一軸上に貫通した構
造となっており、走行中の着用時に異物が侵入し着用者
の額に直接到達する可能性があり、着用者に不快感を与
える不都合があった。

【００１１】また、風に舞った砂やほこりが直接ヘルメ
ット内に入り込みやすく、さらに降雨時の使用では雨水
が直接入り込みヘルメット内部が濡れてしまったりし
て、着用者に不快感を与える不都合があった。

【００１２】本発明の目的は、部品点数を少なくし、部
品の組み付け工程を少なくし、部品管理費等の費用を省
略して安価なベンチレータを備えたヘルメットを提供す
ることにある。

【００１３】また本発明の他の目的は、走行中の着用時
においても異物が直接侵入することのない、より快適性
の高いベンチレータを備えたヘルメットを提供すること
にある。

【００１４】さらに本発明の他の目的は、砂やほこりや
雨水が直接ヘルメット内部に侵入することなく、快適に
使用することが可能なベンチレータを備えたヘルメット
を提供することにある。

【００１５】さらに本発明の他の目的は、帽体シェルに
凹凸を生じさせることがなく、帽体シェルの強度を低下
させず、空気抵抗を押さえたベンチレータを備えたヘル
メットを提供することにある。

【００１６】

【課題を解決するための手段】本発明に係るベンチレー
タを備えたヘルメットは、外殻材の内側に間隙を形成し
て内殻材を配設してなる帽体シェルと、該帽体シェルの
前側下部に前方に向けて庇が設けられているヘルメット
において、前記庇と前記帽体シェルの外殻材及び内殻材
とは、ブロー成形によって一体に形成され、前記庇の下
面に前記間隙に連通し空気を導入するエアインレットが
形成されたことを特徴とする。

【００１７】

【発明の実施の形態】本例のヘルメットＨは、頭部を覆
う概略半球状の帽体シェル１と、着用時に頭部に接触す
る内装材７とから構成される。

【００１８】本例の帽体シェル１は、外殻材２と、内殻
材３と、これら外殻材２と内殻材３との間に形成された
間隙５と、庇４と、を主要構成要素としている。

【００１９】そして内殻材３に形成された凹部６には、
空気孔１２が形成されている。そして上記外殻材２と内
殻材３との間には、間隙５が形成されている。

【００２０】外殻材２の被着時前方には、外殻材２及び
内殻材３と共に一体にブロー成形されてなる庇４が形成
されている。

【００２１】庇４の下面４ａには、走行時に風（空気）
を入れるエアインレット１１が形成され、外殻材２と内
殻材３との間の間隙５と連通している。また外殻材２の
被着時後方側下部となる部分には、エアアウトレット１
３が外部と連通するように形成されている。

【００２２】上記構成からなる帽体シェル１は、例えば
次のようにして形成することができる。すなわち、スリ
ットダイを用いて、上記外殻材２となるシートと、内殻
材３となるシートとの２枚のシートを押し出してから所
定金型で形成するシートブロー成形によって、帽体シェ
ル１を成形し、内殻材３の所定箇所に空気孔１２を穿設
する。

【００２３】上記のようにして構成されたヘルメットＨ
は、外部からの衝撃力に対しては、硬質の外殻材２によ
り衝撃エネルギを効果的に分散し、次に内殻材３によ
り、衝撃エネルギを効果的に吸収し、さらに内装材７に
より頭部を保護して、外部から加わる衝撃から頭部を有
効に保護する。

【００２４】エアインレット１１から導入された風（空
気）は、連通する間隙５に流入して、内殻材３に設けた
空気孔１２及び内装材７の空気孔１４から吹き出し、頭
部と内装材７，内殻材３の後側に形成されている内殻材
の空気孔１２から間隙５を介してエアアウトレット１３
から排出され、ヘルメット内を効率よく換気する。

【００２５】エアインレット１１は、外殻材２及び内殻
材３と一体にブロー成形された庇４の下面４ａに、孔を
穿孔するのみで設けることができるので、特別な部品な
どを必要としない。

【００２６】また、従来のようにエアインレットのため
の孔を、外殻材２に穿孔すると外殻材２の強度が低下す
るおそれがあったが、本例では庇４の下面４ａに設けて
いるので、外殻材２の強度は低下しない。

【００２７】さらに、帽体シェル１の外殻材２によけい
な凹凸を形成する必要がなく、空気の流れを乱さないの
で、空気抵抗を小さくすることができる。

【００２８】また、庇４が雨を避けるので、エアインレ
ットに雨水が直接流入することがない。

【００２９】さらに、エアインレット１１が頭部まで直
接貫通しないので、異物が侵入しようとしても着用者の
頭部に直接到達することがない。

【００３０】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。なお、以下に説明する部材，配置等は本発明を
限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変
することができるものである。

【００３１】図１乃至図２は本発明に係るヘルメットの
一実施例を示すもので、図１は断面説明図、図２はエア
インレット部分の要部拡大断面図である。

【００３２】本例のヘルメットＨは、頭部を覆う概略半
球状の帽体シェル１と、着用時に頭部に接触する内装材
７とから構成される。

【００３３】本例の帽体シェル１は、図１に示すよう
に、外殻材２と、内殻材３と、これら外殻材２と内殻材
３との間に形成された間隙５と、庇４と、を主要構成要
素としている。

【００３４】本例における外殻材２および庇４は、ポリ
プロピレン（ＰＰ）、ＡＢＳ樹脂、ポリカーボネート
（ＰＣ）、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリアミド（ＰＡ）
等の硬質合成樹脂材からなり、板厚が３〜５ｍｍで一体
に形成されている。

【００３５】本例における内殻材３は、ポリプロピレン
（ＰＰ）、ポリエチレン（ＰＥ）ポリ塩化ビニル（ＰＶ
Ｃ）等の軟質合成樹脂又は半硬質あるいは外殻材２と同
材料からなり、板厚が１〜２ｍｍ程度で前記外殻材２及
び庇４と一体に成形されている。

【００３６】そして内殻材３に形成された凹部６には、
空気孔１２が形成されている。そして上記外殻材２と内
殻材３との間には、間隙５が形成されている。

【００３７】上記空気孔１２は、衝撃材となる内殻材３
に形成されているが、内殻材４の強度を低下させないよ
うに、適宜の数を形成して構成されている。

【００３８】外殻材２の被着時前方には、外殻材２及び
内殻材３と共に一体にブロー成形されてなる庇４が形成
されている。この庇４は、一般的に直射日光が着用者の
目に入るのを防止して眩しさを抑えると共に、降雨時に
帽体シェル１に付着した雨水が着用者の顔面に垂れるの
を防止するものである。

【００３９】本例における上記庇は、その寸法・形状は
任意であるが、少なくともその下面４ａにエアインレッ
ト１１を設けるだけの寸法・形状が必要である。

【００４０】本例の内装材７は、洗浄に耐えられる周知
・公知のパッド材から構成されており、空気孔１４が形
成されている。

【００４１】庇４の下面４ａには、走行時に風（空気）
を入れるエアインレット１１が形成され、外殻材２と内
殻材３との間の間隙５と連通している。

【００４２】エアインレット１１は、外殻材２及び内殻
材３と一体にブロー成形された庇４の下面４ａに、孔を
穿孔するのみで設けることができるので、特別な部品な
どを必要としない。また、従来のようにエアインレット
のための孔を、外殻材２に穿孔すると外殻材２の強度が
低下するおそれがあったが、本例では庇４の下面４ａに
設けているので、外殻材２の強度は低下しない。

【００４３】また外殻材２の被着時後方側下部となる部
分には、エアアウトレット１３が外部と連通するように
形成されている。本例のエアアウトレット１３は、外殻
材２に形成しているが、外殻材２と内殻材３の縁を接合
する端部側壁の後方側下部（符号１３ａで示す部分）に
形成すると、エアアウトレット１３を露見せず外観を良
好にすることができるとともに、外殻材２に直接エアア
ウトレットを形成する場合の外殻材２の強度低下を防止
することができる。

【００４４】上記構成からなる帽体シェル１は、例えば
次のようにして形成することができる。すなわち、スリ
ットダイを用いて、上記外殻材２となるシートと、内殻
材３となるシートとの２枚のシートを押し出してから所
定金型で形成するシートブロー成形によって、帽体シェ
ル１を成形し、内殻材３の所定箇所に空気孔１２を穿設
する。

【００４５】上記のようにして構成されたヘルメットＨ
は、外部からの衝撃力に対しては、硬質の外殻材２によ
り衝撃エネルギを効果的に分散し、次に内殻材３によ
り、衝撃エネルギを効果的に吸収し、さらに内装材７に
より頭部を保護して、外部から加わる衝撃から頭部を有
効に保護する。

【００４６】エアインレット１１から導入された風（空
気）は、連通する間隙５に流入して、内殻材３に設けた
空気孔１２及び内装材７の空気孔１４から吹き出し、頭
部と内装材７，内殻材３の後側に形成されている内殻材
の空気孔１２から間隙５を介してエアアウトレット１３
から排出され、ヘルメット内を効率よく換気する。

【００４７】エアインレット１１は、庇４の下面４ａに
設けられているので、帽体シェル１の外殻材２によけい
な凹凸を形成する必要がなく、強度が低下することがな
い。また、空気の流れを乱さないので、空気抵抗をあげ
ることがない。

【００４８】また、庇４が雨を避けるので、エアインレ
ットに雨水が直接流入することがない。

【００４９】さらに、エアインレット１１が頭部まで直
接貫通しないので、異物が侵入しようとしても着用者の
頭部に直接到達することがない。

【００５０】

【発明の効果】以上のように本発明のヘルメットによれ
ば、ヘルメット自体の強度を低下させることなく、異物
が侵入しようとしても着用者の頭部に直接到達しないの
で、着用者に不快感を与えることがない。

【００５１】そして部品点数を少なくし、部品の組み付
け工程を少なくし、部品管理費等の費用を省略して安価
で、且つ帽体シェルに凹凸を生じさせることがなく、空
気抵抗を押さえることもできる。

【００５２】また、砂やほこり、雨水などがヘルメット
内に直接多量に侵入する事がないので、着用者に不快感
を与えることがない。

【００５３】このように本発明によれば衝撃吸収性能と
安全性とを確保し、製造が簡略化できると共に通気性が
良好で着用時において快適なベンチレーションを備えた
ヘルメットが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るヘルメットの一実施例を示す側面
説明図である。

【図２】エアインレット部分の要部拡大断面図である。

【図３】従来例を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 帽体シェル ２ 外殻材 ３ 内殻材 ４ 庇 ５ 間隙 ６ 凹部 ７ 内装材 １１ エアインレット １２ 空気孔 １３ エアアウトレット Ｈ ヘルメット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外殻材の内側に間隙を形成して内殻材を
   配設してなる帽体シェルと、該帽体シェルの前側下部に
   前方に向けて庇が設けられているヘルメットにおいて、 前記庇と前記帽体シェルの外殻材及び内殻材とは、ブロ
   ー成形によって一体に形成され、前記庇の下面に前記間
   隙に連通し空気を導入するエアインレットが形成された
   ことを特徴とするベンチレータを備えたヘルメット。