JPH10195236A - スチレン系樹脂の難燃剤 - Google Patents

スチレン系樹脂の難燃剤

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JPH10195236A
JPH10195236A JP35597A JP35597A JPH10195236A JP H10195236 A JPH10195236 A JP H10195236A JP 35597 A JP35597 A JP 35597A JP 35597 A JP35597 A JP 35597A JP H10195236 A JPH10195236 A JP H10195236A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間連続成形を行なってもモ−ルドディポ
ジットが発生しない、耐熱変色性、耐加水分解性、耐衝
撃性、耐熱性、及び流動性の優れた難燃性樹脂組成物を
可能にする、スチレン系樹脂の難燃剤及び樹脂組成物の
提供。 【解決手段】下記化1で示される難燃剤であって、上記
難燃剤がアルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、ア
ンチモンから選ばれる金属原子を1〜1000ppm含
有し、かつフェノール系化合物を1〜5000ppm含
有することを特徴とするスチレン系樹脂の難燃剤及びこ
の剤を含有するスチレン系樹脂組成物、とりわけ滴下型
難燃性スチレン系樹脂組成物。 【化1】 (式中、a、b,c,d,eは0から1であり、R1か
らR13は炭素数が1から10の炭化水素であり、nは
1〜3の整数を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスチレン系樹脂の難
燃剤に関する。更に詳しくは、卓越した難燃性、耐加水
分解性、耐熱変色性、及び長期間連続成形を行なっても
モ−ルドディポジットが発生しない、スチレン系樹脂の
難燃剤、及びこの剤を含有するスチレン系樹脂組成物に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、成形性に優れること
に加え、耐衝撃性に優れていることから、自動車部品、
家電部品、OA機器部品を始めとする多岐の分野で使用
されているが、スチレン系樹脂の易燃性のためにその用
途が制限されている。スチレン系樹脂の難燃化の方法と
しては、ハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤をスチレ
ン系樹脂に添加することが知られており、それによりあ
る程度難燃化が達成されている。しかしながら、ハロゲ
ン系難燃剤を用いた場合には、環境等の問題をも有し、
リン系、無機系難燃剤を用いた場合は、衝撃強度、成形
加工流動性及び耐熱性が必ずしも満足できるものではな
く、そして、成形時の揮発性有機リンによる金型汚染、
いわゆるモ−ルドディポジットが発生するために生産性
を低下させたり、または金型汚染物が成形品に転写しス
トレスクラックを引き起こすという問題があり、工業的
使用が狭められる。
【0003】揮発性を改良する技術として、ポリアミ
ド、ポリカーボネートとポリホスフェートからなる難燃
性樹脂組成物(特公平2ー18336号公報)、フェニ
レンビス(2,6ージアルキルフォスフェート)等の芳
香族ジホスフェートの製造方法と用途(特開平5ー10
79号公報)が開示されている。該公報の難燃剤及び樹
脂組成物は耐揮発性は優れているものの、特定量の金属
を含有していないために難燃性が劣る。
【0004】また、金属含有量を規定した有機リン化合
物を用いた樹脂組成物の従来技術として、特開平7ー1
1121号公報はポリフェニレンエーテル系樹脂または
それとスチレン系樹脂からなる樹脂に、マグネシウム含
有量が50ppm以下のリン酸エステル縮合体を配合す
ることにより成形時にガスの発生のない難燃性樹脂組成
物が製造可能であることを開示している。しかしなが
ら、上記公報の組成物は特定の構造のリン酸エステル縮
合体に対して特定の金属、フェノール系化合物が特定量
存在することにより卓越した難燃性、耐加水分解性、耐
熱変色性が発現することは開示されていないし、暗示さ
えされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち長期間連
続成形を行なってもモ−ルドディポジットが発生しない
(低揮発性)スチレン系樹脂の難燃剤及びその剤を用い
たスチレン系樹脂組成物の提供を目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐揮発性
を示す一つの指標であるモ−ルドディポジットの防止技
術を鋭意検討した結果、難燃剤として特定の構造と特定
の物質を特定量含有する芳香族リン酸エステル縮合体を
用いることにより、驚くべきことに、耐加水分解性、耐
熱変色性、モ−ルドディポジットを抑制しつつ、スチレ
ン系樹脂の難燃性を飛躍的に向上させることが可能にな
ることを見出し、本発明に到達した。
【0007】即ち、本発明は、下記 化2で示される難
燃剤であって、上記難燃剤がアルミニウム、マグネシウ
ム、ナトリウム、アンチモンから選ばれる金属原子を1
〜1000ppm含有し、かつフェノール系化合物を1
〜5000ppm含有することを特徴とするスチレン系
樹脂の難燃剤及びこの剤を含有するスチレン系樹脂組成
物、とりわけ滴下型難燃性スチレン系樹脂組成物を提供
するものである。
【0008】
【化2】
【0009】(式中、a、b,c,d,eは0から1で
あり、R1からR13は炭素数が1から10の炭化水素
であり、nは1〜3の整数を表す。) 以下、本発明を詳しく説明する。本発明のスチレン系樹
脂の難燃剤(A成分)は、特定の構造の芳香族リン酸エ
ステル縮合体でありかつ特定の金属及びフェノール化合
物を特定量を含有する。
【0010】上記A成分は、単量体でなく縮合体である
ことが重要である。縮合体であるために300℃以下の
加工温度では不揮発であり、加工時にモールドデポジッ
トの問題はない。また、化1の芳香族リン酸エステル縮
合体は、単官能フェノールとのリン酸エステル結合部分
と、二官能フェノールによって芳香族リン酸エステルが
縮合した結合部分とからなる。芳香族リン酸エステル縮
合体の縮合部分(二官能フェノール由来)は、置換また
は無置換のフェニレン基であることが必須である。ベン
ゼン環に二つのリン酸エステルが置換されることにより
結合エネルギーが低下し、400〜450℃の燃焼時に
容易に分解し難燃化を促進する。もしフェニレンの代わ
りにジフェニル基、イソプロピルジフェニル基の場合
は、エステル部分の結合が強いために燃焼時の分解性が
劣り、難燃性が低下する。そして、上記単官能フェノー
ルは、2,6位にアルキル基が置換されていることが必
要である。一般に縮合部分が置換または無置換のフェニ
レン基の場合、比較的耐加水分解性が低いが、2,6位
に炭化水素基、特にアルキル基が置換されることによ
り耐加水分解性が飛躍的に向上することを見出した。
【0011】次いで、上記難燃剤がアルミニウム、マグ
ネシウム、ナトリウム、アンチモンから選ばれる金属原
子を1〜1000ppm含有し、更にフェノ−ル系化合
物を1〜5000ppm含有することにより、耐加水分
解性、耐熱変色性を保持しつつ、卓越した難燃性が発現
することを見出し、本発明を完成するに至った。本発明
のスチレン系樹脂の難燃剤(A成分)を構成する芳香族
リン酸エステル縮合体は、化3で示される。
【0012】
【化3】
【0013】(式中、a、b,c,d,eは0から1で
あり、R1からR13は炭素数が1から10の炭化水素
であり、nは1〜3の整数を表す。) 本発明の芳香族リン酸エステル縮合体は、特開平5−1
079号公報等に開示された公知の方法により製造する
ことができる。例えば、2,6位に置換された単官能フ
ェノ−ルとオキシハロゲン化リンとルイス酸触媒の存在
下で反応させ、ジアリールホスホロハライドを得、次い
でこれと二官能フェノールをルイス酸触媒の存在下で反
応する方法がある。
【0014】ここで、本発明の要件の一つのアルミニウ
ム、マグネシウム、ナトリウム、アンチモンは、上記芳
香族リン酸エステル縮合体の製造において用いられる触
媒由来の金属原子であり、芳香族リン酸エステル単量体
中の総原子重量が1〜1000ppmである。また、本
発明のもう一つの要件のフェノール系化合物は上記製造
において用いられる未反応のフェノール系化合物であ
る。上記製造法により得られた未精製の芳香族リン酸エ
ステル縮合体は、水洗、蒸留または液体クロマトグラフ
ィーによる分取分別等により精製される。その際、精製
の程度を変更することにより上記金属の総原子重量、フ
ェノール系化合物量を制御することができる。
【0015】本発明のスチレン系樹脂の難燃剤はスチレ
ン系樹脂に配合することにより優れた難燃性を付与する
ことができる。上記スチレン系樹脂(B成分)は、ゴム
変性スチレン系樹脂及び/またはゴム非変性スチレン系
樹脂であり、A成分と相溶もしくは均一分散し得るもの
であれば特に制限はない。特にB成分として、ゴム変性
スチレン系樹脂単独またはゴム変性スチレン系樹脂とゴ
ム非変性スチレン系樹脂からなる組成物が好ましい。ま
た、ゴム変性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体
よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散
してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族
ビニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニ
ル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状
懸濁重合、溶液重合、または乳化重合することにより得
られる。
【0016】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。ここで、前記ゴム状重合
体は、ガラス転移温度(Tg)が−30℃以下であるこ
とが必要であり、−30℃を越えると耐衝撃性が低下す
る。
【0017】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0018】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン等であり、スチレンが最も好ま
しいが、スチレンを主体に上記他の芳香族ビニル単量体
を共重合してもよい。また、ゴム変性スチレン系樹脂の
成分として必要に応じて、芳香族ビニル単量体に共重合
可能な単量体成分を一種以上導入することができる。耐
油性を高める必要のある場合は、アクリロニトリル、メ
タクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体を用いるこ
とができる。
【0019】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に、樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合
は、α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重
合してもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香
族単量体と共重合可能なビニル単量体の含量は0〜40
重量%である。
【0020】ゴム変性スチレン系樹脂におけるゴム状重
合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ましくは1
0〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混合物は、
好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは90〜5
0重量%の範囲にある。この範囲内では、目的とする樹
脂組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが向上する。更に
は、スチレン系重合体のゴム粒子径は、0.1〜5.0
μmが好ましく、特に0.2〜3.0μmが好適であ
る。上記範囲内では特に耐衝撃性が向上する。
【0021】ゴム変性スチレン系樹脂の分子量の尺度で
ある樹脂部分の還元粘度ηsp/c(0.5g/dl、
30℃測定:マトリックス樹脂がポリスチレンの場合は
トルエン溶液、マトリックス樹脂が不飽和ニトリル−芳
香族ビニル共重合体の場合はメチルエチルケトン)は、
0.30〜0.80dl/gの範囲にあることが好まし
く、0.40〜0.60dl/gの範囲にあることがよ
り好ましい。ゴム変性スチレン系樹脂の還元粘度ηsp
/cに関する上記要件を満たすための手段としては、重
合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤量の調整等を挙げる
ことができる。
【0022】本発明において、スチレン系樹脂を主体に
他の熱可塑性樹脂を配合することができる。例えば、ポ
リフェニレンエーテル系、ポリアミド系、ポリエステル
系、ポリフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート
系、ポリメタクリレート系等の単独もしくは二種以上を
混合したものを使用することができる。ここで、特にポ
リフェニレンエーテル系、ポリカーボネート系の熱可塑
性樹脂が好ましい。
【0023】本発明において、スチレン系樹脂と共に配
合できる熱可塑性樹脂の一つのポリフェニレンエーテル
(C成分)は、下記式で示される結合単位からなる単独
重合体及び/又は共重合体である。
【0024】
【化4】
【0025】但し、R1、R2、R3、R4は、それぞれ水
素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から選
択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよ
い。このポリフェニレンエ−テルの具体的な例として
は、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエー
テル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−ト
リメチルフェノールとの共重合体等が好ましく、中でも
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテ
ル)が好ましい。かかるポリフェニレンエ−テルの製造
方法は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許
第3,306,874号明細書記載の方法による第一銅
塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば
2,6キシレノールを酸化重合することにより容易に製
造でき、そのほかにも米国特許第3,306,875号
明細書、米国特許第3,257,357号明細書、米国
特許3,257,358号明細書、及び特公昭52−1
7880号公報、特開昭50−51197号公報に記載
された方法で容易に製造できる。本発明にて用いる上記
ポリフェニレンエ−テルの還元粘度ηsp/c(0.5
g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.2
0〜0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、
0.30〜0.60dl/gの範囲にあることがより好
ましい。ポリフェニレンエ−テルの還元粘度ηsp/c
に関する上記要件を満たすための手段としては、前記ポ
リフェニレンエ−テルの製造の際の触媒量の調整などを
挙げることができる。
【0026】本発明のスチレン系樹脂の難燃剤を添加し
て樹脂組成物を製造する場合、組成物中に、スチレン系
樹脂100重量部に対して、上記剤を1〜100重量部
含有することが好ましく、更に好ましくは、1〜30重
量部であり、最も好ましくは、5〜20重量部である。
本発明におけるスチレン系樹脂を主体とした樹脂成分と
して、B成分とC成分の組み合わせが最も好ましく、樹
脂成分中の前記B成分/C成分の添加重量比は、それぞ
れ(1〜99)/(99〜1)が好ましく、より好まし
くは(50〜99)/(50〜1)、更に好ましくは、
(70〜97)/(30〜3)、最も好ましくは、(8
0〜95)/(20〜5)である。
【0027】本発明のスチレン系樹脂の難燃剤(A成
分)は、樹脂組成物によって、必要に応じて、A成分以
外の難燃剤(D成分)として、ハロゲン系難燃剤、A成
分以外の有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩、無
機系難燃剤等を配合することができる。D成分の量は、
スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜
40重量部、更に好ましくは、1〜20重量部、最も好
ましくは、5〜10重量部である。
【0028】上記D成分としてのハロゲン系難燃剤は、
ハロゲン化ビスフェノ−ル、芳香族ハロゲン化合物、ハ
ロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系
重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリ
フェニレンエーテル等が挙げられ、好ましくはデカブロ
モジフェニルオキサイド、テトラブロムビスフェノール
A、テトラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロ
ム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフ
ェノール系ポリカ−ボネ−ト、ブロム化ポリスチレン、
ブロム化架橋ポリスチレン、ブロム化ポリフェニレンオ
キサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デカブ
ロムジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物、含ハ
ロゲンリン酸エステル及びフッ素系樹脂等である。
【0029】前記D成分の中のリン系難燃剤としては、
有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸塩等が挙げられ
る。上記有機リン化合物の例としては、ホスフィン、ホ
スフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホ
スフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等で
ある。より具体的には、トリフェニルフォスフェート、
メチルネオベンチルフォスファイト、ヘンタエリスリト
ールジエチルジフォスファイト、メチルネオペンチルフ
ォスフォネート、フェニルネオペンチルフォスフェー
ト、ペンタエリスリトールジフェニルジフォスフェー
ト、ジシクロペンチルハイポジフォスフェート、ジネオ
ペンチルハイポフォスファイト、フェニルピロカテコー
ルフォスファイト、エチルピロカテコールフォスフェー
ト、ジピロカテコールハイポジフォスフェートである。
【0030】前記D成分において、リン系難燃剤の一つ
の赤リンは、一般の赤リンの他に、その表面をあらかじ
め、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化
亜鉛、水酸化チタンよりえらばれる金属水酸化物の被膜
で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金
属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる被膜で被覆処理さ
れたもの、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属水酸化物の
被膜の上に熱硬化性樹脂の被膜で二重に被覆処理された
ものなどである。
【0031】前記D成分において、リン系難燃剤の一つ
の無機系リン酸塩は、ポリリン酸アンモニウムが代表的
である。そして、前記D成分としての無機系難燃剤は、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイ
ト、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バ
リウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化ジルコニウ
ム、酸化スズの水和物等の無機金属化合物の水和物、ホ
ウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸
亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウ
ム等が挙げられる。これらは、1種でも2種以上を併用
してもよい。この中で特に、水酸化マグネシウム、水酸
化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタ
ルサイトからなる群から選ばれたものが難燃効果が良
く、経済的にも有利である。
【0032】本発明における前記D成分の添加量は,ス
チレン系樹脂100重量部に対して、1〜100重量部
であり、好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは、
3〜20重量部、最も好ましくは、5〜15重量部であ
る。本発明のスチレン系樹脂の難燃剤(A成分)は、樹
脂組成物によって、必要に応じて、飽和高級脂肪族のカ
ルボン酸またはそれらの金属塩、カルボン酸エステル系
ワックス、オルガノシロキサン系ワックス、ポリオレフ
ィンワックス、ポリカプロラクトンから選ばれる一種ま
たは二種以上の離型剤(E成分)を配合することができ
る。
【0033】上記E成分の中でも、飽和高級脂肪族のカ
ルボン酸またはそれらの金属塩から選ばれた1種または
2種以上の化合物が好ましい。飽和高級脂肪酸のカルボ
ン酸としては炭素数12〜42の直鎖飽和モノカルボン
酸が好ましい。例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等が
挙げられる。これらの金属塩の金属としては、リチウ
ム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウ
ム、アルミニウム、亜鉛等があり、特にステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸アルミニウムが特に好ましい。
【0034】E成分の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、更に好ま
しくは、0.1〜5重量部、最も好ましくは、0.3〜
1重量部である。本発明において、必要に応じてトリア
ジン骨格含有化合物、ノボラック樹脂、含金属化合物、
シリコ−ン樹脂、シリコ−ンオイル、シリカ、アラミド
繊維、フッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル繊維から選
ばれる一種以上の難燃助剤(F成分)を配合することが
できる。
【0035】F成分の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.001〜40重量部、更に
好ましくは、1〜20重量部、最も好ましくは、5〜1
0重量部である。F成分としてのトリアジン骨格含有化
合物は、リン系難燃剤の難燃助剤として一層の難燃性を
向上させるための成分である。その具体例としては、メ
ラミン、メラム化5、メレム化6、メロン(600°C
以上でメレム3分子から3分子の脱アンモニアによる生
成物)、メラミンシアヌレ−ト化7、リン酸メラミン化
8、サクシノグアナミン化9、アジポグアナミン、メチ
ルグルタログアナミン、メラミン樹脂化10、BTレジ
ン化11等を挙げることができるが、耐揮発性の観点か
ら特にメラミンシアヌレ−トが好ましい。
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】F成分としてのノボラック樹脂は、難燃助
剤であり、かつヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステ
ルと併用する場合には、流動性と耐熱性の向上剤でもあ
る。そして、その樹脂は、フェノ−ル類とアルデヒド類
を硫酸または塩酸のような酸触媒の存在下で縮合して得
られる熱可塑性樹脂であり、その製造方法は、「高分子
実験学5『重縮合と重付加』p.437〜455(共立
出版(株))」に記載されている。
【0044】ノボラック樹脂製造の一例を化12に示
す。
【0045】
【化12】
【0046】上記フェノ−ル類は、フェノ−ル、o−ク
レゾ−ル、m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、2,5−
ジメチル−、3,5−ジメチル−、2,3,5−トリメ
チル−、3,4,5−トリメチル−、p−t−ブチル
−、p−n−オクチル−、p−ステアリル−、p−フェ
ニル−、p−(2−フェニルエチル)−、o−イソプロ
ピル−、p−イソプロピル−、m−イソプロピル−、p
−メトキシ−、及びp−フェノキシフェノ−ル、ピロカ
テコ−ル、レゾルシノ−ル、ハイドロキノン、サリチル
アルデヒド、サルチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、メ
チル p−ヒドロキシベンゾエ−ト、p−シアノ−、及
びo−シアノフェノ−ル、p−ヒドロキシベンゼンスル
ホン酸、p−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、シク
ロヘキシルp−ヒドロキシベンゼンスルホネ−ト、4−
ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、メチル 4
−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィネ−ト、4−ヒ
ドロキシフェニルホスホン酸、エチル 4−ヒドロキシ
フェニルホスホネ−ト、ジフェニル 4−ヒドロキシフ
ェニルホスホネ−ト等である。
【0047】上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、
アセトアルデヒド、n−プロパナ−ル、n−ブタナ−
ル、イソプロパナ−ル、イソブチルアルデヒド、3−メ
チル−n−ブタナ−ル、ベンズアルデヒド、p−トリル
アルデヒド、2−フェニルアセトアルデヒド等である。
F成分としての含金属化合物は、金属酸化物及び/また
は金属粉である。上記金属酸化物は、酸化アルミニウ
ム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシ
ウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、
酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、
酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングス
テン等の単体または、それらの複合体(合金)であり、
上記金属粉は、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、
亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッ
ケル、銅、タングステン、スズ、アンチモン等の単体ま
たはそれらの複合体である。
【0048】F成分としてのシリコ−ン樹脂は、SiO
2 、RSiO3/2 、R2 SiO、R 3 SiO1/2 の構造
単位を組み合わせてできる三次元網状構造を有するシリ
コ−ン樹脂である。ここで、Rはメチル基、エチル基、
プロピル基等のアルキル基、あるいは、フェニル基、ベ
ンジル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を
含有した置換基を示す。ここで、特にビニル基を含有し
たシリコ−ン樹脂が好ましい。 このようなシリコ−ン
樹脂は、上記の構造単位に対応するオルガノハロシラン
を共加水分解して重合することにより得られる。
【0049】F成分としてのシリコーンオイルはポリジ
オルガノシロキサンであり、特に含ビニル基シリコ−ン
オイルが好ましく化13に示される化学結合単位からな
る。
【0050】
【化13】
【0051】上式中のRは、C1〜8のアルキル基、C
6〜13のアリ−ル基、化16、化17で示される含ビ
ニル基から選ばれる一種または二種以上の置換基であ
り、ここで、特に分子中ビニル基を含有する。
【0052】
【化14】
【0053】
【化15】
【0054】前記含ビニル基シリコ−ンオイルの粘度
は、600〜1000000センチストークス(25
℃)が好ましく、さらに好ましくは90000〜150
000センチストークス(25℃)である。F成分とし
てのシリカは、無定形の二酸化ケイ素であり、特にシリ
カ表面に炭化水素系化合物系のシランカップリング剤で
処理した炭化水素系化合物被覆シリカが好ましく、更に
はビニル基を含有した炭化水素系化合物被覆シリカが好
ましい。
【0055】上記シランカップリング剤は、p−スチリ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニ
ルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基含有
シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン等のエポキシシラン、及びN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等
のアミノシランである。ここで、特に熱可塑性樹脂と構
造が類似した単位を有するシランカップリング剤が好ま
しく、例えば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリ
ルトリメトキシシランが好適である。
【0056】シリカ表面へのシランカップリング剤の処
理は湿式法と乾式法に大別される。湿式法は、シリカを
シランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥させ
る方法であり、乾式法は、ヘンシェルミキサ−のような
高速撹はん可能な機器の中にシリカを仕込み、撹はんし
ながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、その
後熱処理する方法である。
【0057】F成分としてのアラミド繊維は、平均直径
が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜10mmであ
ることが好ましく、イソフタルアミド、またはポリパラ
フェニレンテレフタルアミドをアミド系極性溶媒または
硫酸に溶解し、湿式または乾式法で溶液紡糸することに
より製造することができる。F成分としてのフッ素系樹
脂は、難燃助剤であり、樹脂中にフッ素原子を含有する
樹脂である。その具体例としてポリモノフルオロエチレ
ン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチ
レン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を挙げるこ
とができる。また、必要に応じて上記含フッ素モノマ−
と共重合可能なモノマ−とを併用してもよい。
【0058】F成分としてのポリアクリロニトリル繊維
は平均直径が1〜500μmで平均繊維長が0.1〜1
0mmであることが好ましく、ジメチルホルムアミド等
の溶媒に重合体を溶解し、400°Cの空気流中に乾式
紡糸する乾式紡糸、または硝酸等の溶媒に重合体を溶解
し水中に湿式紡糸する湿式紡糸法により製造される。本
発明において、必要に応じて、芳香族ビニル単位とアク
リル酸エステル単位からなる共重合樹脂、脂肪族炭化水
素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミ
ド、高級脂肪族アルコ−ル、または金属石鹸から選ばれ
る一種または二種以上の流動性向上剤(G成分)を配合
することができる。
【0059】G成分の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、更に好ま
しくは、0.5〜10重量部、最も好ましくは、1〜5
重量部である。G成分としての共重合樹脂の芳香族ビニ
ル単位は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、パラ
メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチ
レン、2,4,5−トリブロモスチレン等であり、スチ
レンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記他の芳香
族ビニル単量体を共重合してもよい。そして、アクリル
酸エステル単位は、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチ
ル等の炭素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル酸
エステルである。ここで、共重合樹脂中のアクリル酸エ
ステル単位の含量は、3〜40重量%が好ましく、更に
は、5〜20重量%が好適である。また、上記共重合樹
脂の分子量の指標である溶液粘度(樹脂10重量%のM
EK溶液、測定温度25℃)が、2〜10cP(センチ
ポアズ)であることが好ましい。溶液粘度が2cP未満
では、衝撃強度が低下し、一方、10cPを越えると流
動性の向上効果が低下する。
【0060】G成分としての脂肪族炭化水素系加工助剤
は、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワック
ス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこ
れらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等であ
る。G成分としての高級脂肪酸は、離型剤(E成分)の
項で述べたもの以外の飽和脂肪酸、及びリシノ−ル酸、
リシンベライジン酸、9−オキシ12オクタデセン酸等
の不飽和脂肪酸等である。
【0061】G成分としての高級脂肪酸エステルは、フ
ェニルステアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチ
ル等の脂肪酸の1価アルコ−ルエステル、及びフタル酸
ジフェニルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基
酸の1価アルコ−ルエステルであり、さらに、ソルビタ
ンモノラウレ−ト、ソルビタンモノステアレ−ト、ソル
ビタンモノオレ−ト、ソルビタンセスキオレ−ト、ソル
ビタントリオレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノパル
ミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレ−ト等の
ソルビタンエステル、ステアリン酸モノグリセライド、
オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセラ
イド、ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量
体の脂肪酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エス
テル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセ
リンラウリン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンモノラウレ−ト、ポリオキ
シエチレンモノステアレ−ト、ポリオキシエチレンモノ
オレ−ト等のポリアルキレンエ−テルユニットを有する
脂肪酸エステル、及びネオペンチルポリオ−ルジステア
リン酸エステル等のネオペンチルポリオ−ル脂肪酸エス
テル等である。
【0062】G成分としての高級脂肪酸アミドはフェニ
ルステアリン酸アミド、メチロ−ルステアリン酸アミ
ド、メチロ−ルベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノア
ミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミド、ラウリン酸ジ
エタノ−ルアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノ−ルアミ
ド、オレイン酸ジエタノ−ルアミド等のN,N’−2置
換モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビ
スステアリン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス
(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の
飽和脂肪酸ビスアミド、及びm−キシリレンビス(12
−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族
系ビスアミドである。
【0063】G成分としての高級脂肪族アルコ−ルはス
テアリルアルコ−ルやセチルアルコ−ル等の1価のアル
コ−ル、ソルビト−ルやマンニト−ル等の多価アルコ−
ル、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオキ
シエチレンボクタデシルアミン等であり、さらに、ポリ
オキシエチレンアリル化エ−テル等のポリアルキレンエ
−テルユニットを有するアリル化エ−テル、及びポリオ
キシエチレンラウリルエ−テル、ポリオキシエチレント
リドデシルエ−テル、ポリオキシエチレンセチルエ−テ
ル、ポリオキシエチレンステアリルエ−テル、ポリオキ
シエチレンオレイルエ−テル等のポリオキシエチレンア
ルキルエ−テル、ポリオキシエチレンオクチルフェニル
エ−テル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエ−テル
等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエ−テル、ポ
リエピクロルヒドリンエ−テル、ポリオキシエチレンビ
スフェノ−ルAエ−テル、ポリオキシエチレンエチレン
グリコ−ル、ポリオキシプロピレンビスフェノ−ルAエ
−テル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリ
コ−ルエ−テル等のポリアルキレンエ−テルユニットを
有する2価アルコ−ルである。
【0064】G成分としての金属石鹸は、上記ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸のバリウム、カルシウム、亜鉛、ア
ルミニウム、マグネシウム等の金属塩である。本発明に
おいて、必要に応じて、熱可塑性エラストマ−(H成
分)を配合することができ、例えば、ポリスチレン系、
ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、
1,2−ポリブタジエン系、ポリ塩化ビニル系等であ
り、特にポリスチレン系熱可塑性エラストマ−が好まし
い。
【0065】H成分の量は、スチレン系樹脂100重量
部に対して、好ましくは0.5〜20重量部、更に好ま
しくは、1〜10重量部、最も好ましくは、2〜5重量
部である。上記ポリスチレン系熱可塑性エラストマ−
は、芳香族ビニル単位と共役ジエン単位からなるブロッ
ク共重合体、または上記共役ジエン単位部分が部分的に
水素添加されたブたブロック共重合体である。
【0066】上記ブロック共重合体を構成する芳香族ビ
ニル単量体は、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。また、上
記ブロック共重合体を構成する共役ジエン単量体は、
1,3−ブタジエン、イソプレン等を挙げることができ
る。
【0067】そして、ブロック共重合体のブロック構造
は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表
示し、共役ジエン及び/またはその部分的に水素添加さ
れた単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、
SB、S(BS)n(但し、nは1〜3の整数)、S
(BSB)n(但し、nは1〜2の整数)のリニア−ブ
ロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6の
整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化
合物等のカップリング剤残基)で表示されるB部分を結
合中心とする星状(スタ−)ブロック共重合体であるこ
とが好ましい。なかでもSBの2型、SBSの3型、S
BSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ましい。
【0068】本発明において、耐光性が要求される場合
には、必要に応じて紫外線吸収剤、ヒンダ−ドアミン系
光安定剤、酸化防止剤、ハロゲン捕捉剤、遮光剤、金属
不活性剤、または消光剤から選ばれる一種または二種以
上の耐光性改良剤(I成分)を配合することができる。
I成分の量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、
好ましくは0.05〜20重量部、更に好ましくは、
0.1〜10重量部、最も好ましくは、1〜5重量部で
ある。
【0069】本発明において、ポリフェニレンエーテル
(C成分)を用いる場合の樹脂組成物の製造方法として
は、スチレン系樹脂とC成分をまず溶融し、次いで、A
成分を添加し、同一押出機で溶融混練する方法、または
スチレン系樹脂、C成分、または必要に応じてA成分を
配合したマスタ−バッチを製造した後、上記マスタ−バ
ッチと、残りのスチレン系樹脂または残りのA成分を混
練する方法がある。
【0070】本発明において、難燃樹脂組成物の製造に
用いられる二軸押出機については、特にポリフェニレン
エーテルを含有する場合には、そのシリンダ−内径Dに
対するスクリュ−長さLの割合L/Dが20〜50であ
ることが好ましく、上記二軸押出機の先端部からの距離
を異にするメインフィ−ド開口部とサイドフィ−ド開口
部の2箇所以上の供給用開口部を有し、複数の上記供給
用開口部の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離
の供給用開口部との間にニ−ディング部分を有し、上記
ニ−ディング部分の長さが、それぞれ3D〜10Dであ
ることが好ましい。
【0071】本発明において、特にUL−94規定のV
ー2ランキングに相当する滴下型難燃樹脂組成物の好ま
しい組成の一例としては次のものを挙げることができ
る。樹脂部分の還元粘度ηsp/Cが0.4〜0.6で
あるゴム変性スチレン系樹脂とゴム非変性スチレン系樹
脂からなるスチレン系樹脂 80〜95重量%、還元粘
度ηsp/Cが0.3〜0.6であるポリフェニレンエ
−テル 20〜5重量%を含有する熱可塑性樹脂100
重量部に対して、化1で示される難燃剤5〜20重量
部、飽和高級脂肪族のカルボン酸及びそれらの金属塩か
ら選ばれる1種または2種以上の化合物 0.01〜5
重量部。
【0072】上記組み合わせと還元粘度の要件を満足す
ることにより、火種の滴下難燃性と衝撃強度のバランス
特性が向上する。上記組成の場合には、難燃性特に滴下
型難燃性、耐加水分解性、耐熱変色性、離型性、連続成
形性、成形加工性(流動性)、耐衝撃性及び耐熱性のバ
ランス特性が優れている。
【0073】このようにして得られた組成物を例えば、
射出成形機または押出成形機を用いて長期間連続成形す
ることが可能であり、そして得られた成形品は難燃性
(滴下型難燃性)、耐加水分解性、耐熱変色性、耐熱性
及び耐衝撃性が優れている。
【0074】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はそれにより何ら限定を
受けるものではない。尚、実施例、比較例においては、
以下の測定法もしくは測定機を用いて種々の測定を行な
った。
【0075】(1)難燃剤、樹脂組成物の分析 A)樹脂組成物5gを100mlのメチルエチルケトン
に溶解し、超遠心分離機を用いて分離する。(2000
0rpm、1時間)次いで、分離して得られた上澄み液
に2倍量のメタノールを添加して樹脂成分を析出させ、
溶液部分と樹脂部分を超遠心分離機を用いて分離した。
溶液部分については、GPC(ゲルパーミエーションク
ロマトグラフィー)〔日本国東ソー(株)製、装置本体
(RI屈折率検出器付き) HLC−8020;カラム
東ソ−(株)製、G1000HXL 2本;移動相
テトラヒドロフラン;流量 0.8ml/分;圧力60
kgf/cm2 ;温度 INLET 35℃,OVEN
40℃,RI 35℃;サンプルル−プ 100m
l;注入サンプル量 0.08g/20ml〕で分析
し、クロマトグラム上の各成分の面積比を各成分の重量
分率と仮定し、面積比からリン酸エステル、未反応フェ
ノール系化合物量を求めた。一方、上記の樹脂部分につ
いては、フーリエ変換核磁気共鳴装置(プロトン−FT
−NMR)を用いて、芳香族プロトンまたは脂肪族プロ
トンの積分値の比を求め、ゴム変性スチレン系樹脂及び
芳香族ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル等の
熱可塑性樹脂の量を求めた。
【0076】B)難燃剤中のアルミニウム、マグネシウ
ム、ナトリウム、アンチモンの残存量 「ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL
TECHNOLOGY」 Third Editio
n VOLUME 2 『Atomic Absorp
tion and Emission Spectro
scopy』 p.621〜623、591、155、
156(A WILEY−INTERSCIENCE
PUBLICATION John Wiley&So
ns New York 1978)記載の原子吸光ス
ペクトル法により分析した。
【0077】C)難燃剤の揮発性(熱重量天秤試験:T
GA法) 日本国島津製作所製の島津熱分析装置DT−40を用
い、窒素気流下、40℃/分で昇温し、300℃または
400℃での重量減少量を揮発性の尺度とした。 D)難燃剤の耐熱変色性 耐熱変色性は、難燃剤30gを50mlのバイアル瓶に
いれた後、300℃で1時間放置し、試験前後での色相
の変化率(%)を指標とした。尚、難燃剤の色相は
(社)日本油化学会制定の「基準油脂分析試験法」に準
拠したGARDNER法により測定した。GARDNE
R標準色の数値が小さい程、薄い色相を示す。
【0078】(2)ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェ
ニレンエ−テルの還元粘度ηsp/C ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振とうし、5℃、18000rpmで30分間遠心
分離する。上澄み液を取り出しメタノールで樹脂分を析
出させた後、乾燥した。
【0079】このようにして得られた樹脂0.1gを、
ゴム変性ポリスチレンの場合はトルエンに溶解し、ゴム
変性アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の場合はメ
チルエチルケトンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液
とし、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度
計に入れ、30℃でこの溶液落下時間T1(秒)を測定
した。一方、別に同じ粘度計で純トルエンまたは純メチ
ルエチルケトンの落下時間T0(秒)を測定し、以下の
数式により算出した。
【0080】ηsp/C=(T1/T0−1)/C C:ポリマー濃度(g/dl) 一方、ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηsp/Cに
ついては0.1gをクロロホルムに溶解し、濃度0.5
g/dlの溶液とし、上記と同様に測定した。 (3)Izod衝撃強度 ASTM−D256に準拠した方法で23℃で測定し
た。(Vノッチ、1/8インチ試験片) (4)Vicat軟化温度 ASTM−D1525に準拠した方法で測定し、耐熱性
の尺度とした。
【0081】(5)メルトフローレート(MFR) 溶融流動性の指標でASTM−D1238に準拠した方
法で測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で
10分間あたりの押出量(g/10分)から求めた。 (6)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した。(1/8インチ試験片) (7)耐加水分解性 成形体を80℃の恒温槽に10時間浸漬し、浸漬前後の
成形体について、ASTMーD523ー62Tに基づき
60度の入射角による表面光沢を求めた。次いで、浸漬
前後の表面光沢をそれぞれG0、G1とし、その差ΔG
を耐加水分解性の指標とした。
【0082】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。 (イ)スチレン系樹脂 ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}
を、以下の混合比で溶解し、均一な溶液とした。
【0083】 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% t−ブチルパーオキシイソプロピルカ−ボネ−ト 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液し、第1段は撹拌数190rpm、126°
C、第2段は50rpm、133°C、第3段は20r
pm、140°C、第4段は20rpm、155°Cで
重合を行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱
揮装置に導き、未反応単量体及び溶媒を除去、ゴム変性
芳香族ビニル樹脂を得た(HIPS−1と称する)。得
られたゴム変性芳香族ビニル樹脂を分析した結果、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.53dl/gであっ
た。
【0084】また重合開始剤量、重合温度、連鎖移動剤
量の調整により、還元粘度ηsp/cの異なったゴム変
性スチレン系樹脂を製造した。その結果を表2に記載し
た。実施例、比較例において、以下のHIPSを用い
た。(表2、3) HIPS−1:ポリブタジエンゴム、ゴム含量は12.
1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘
度ηsp/cは0.53dl/g。
【0085】HIPS−2:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.79dl/g。 HIPS−3:ポリブタジエンゴム、ゴム含量は12.
1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘
度ηsp/cは0.60dl/g。 HIPS−4:ポリブタジエンゴム、ゴム含量は12.
1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5μm、還元粘
度ηsp/cは0.58dl/g。
【0086】HIPS−5:ポリブタジエンゴム、ゴム
含量は12.1重量%、ゴムの重量平均粒子径は1.5
μm、還元粘度ηsp/cは0.40dl/g。 HIPS−6:ゴム含量は12.1重量%、ゴムの重量
平均粒子径は1.5μm、還元粘度ηsp/cは0.3
5dl/g。 ゴム非変性スチレン系樹脂(GPPS) 重量平均分子量20万のポリスチレン(旭化成工業
(株)製)を用いた(GPPSと称する)。
【0087】(ロ)ポリフェニレンエーテル(PPE)
の製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら90分間重
合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPEー1と称する)。還元粘度ηsp/Cは
0.41dl/gであった。
【0088】また、ポリフェニレンエ−テルの製造の際
の触媒量の調整または重合時間の制御により、還元粘度
ηsp/cの異なったポリフェニレンエ−テルを製造し
た。その結果を表3に示す。 (ハ)リン系難燃剤 トリフェニルホスフェート(TPP) 市販の芳香族リン酸エステル単量体〔大八化学工業
(株)製、商品名TPP(TPP称する)〕を用いた。
また、リン含有量は9.5重量%である。
【0089】本願芳香族リン酸エステル縮合体:1,
3ーフェニレンビス(2,6ージキシレニルホスフェー
ト)(FR−1)の製造 2,6ーキシレノール244重量部、キシレン20重量
部、塩化マグネシウム1.5重量部を反応器に添加し、
加熱混合した。反応液が120°Cに達した時点でオキ
シ塩化リン153重量部を2時間かけて滴下した。この
時発生した塩酸ガスは水スクラバーへ導いた。オキシ塩
化リンの添加終了後に、反応液の温度を徐々に180℃
まで2時間かけて上昇させて反応を完結させた。得られ
た中間体のジ(2,6ーキシレニル)ホスホロクロリド
の収率は99.7%であった。次いで、得られた中間体
45重量部、レゾルシン55重量部、塩化アルミニウム
1. 5重量部を反応器に添加し、加熱混合して、反応液
の温度を徐々に180℃まで2時間かけて上昇させて脱
塩酸反応を行った。そして、同温度にて2時間熟成後
、200mmHgの減圧下で更に2時間熟成を行い、
反応を完結した。このようにして得られた反応液にキシ
レン500重量部、10%塩酸水200重量部を添加
し、残存する触媒等を除去し、更に水洗を繰り返した。
この精製反応液を攪拌下、室温まで冷却して結晶化さ
せ、メタノールで洗浄後、100℃で減圧乾燥を行な
い、1,3ーフェニレンビス(2,6ージキシレニルホス
フェート)(FR−1と称する)(化16)を得た。F
Rー1の残存金属量、フェノール系化合物量は上記精製
回数を変化させることにより制御した。純度の異なるF
Rー1を表1に記載した。
【0090】
【化16】
【0091】芳香族リン酸エステル縮合体:ビスフェ
ノールA ビス(ジフェニルホスフェート)(fr−
1) 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル{大八化学工業(株)製、商品名 CR741(f
r−1と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮合リ
ン酸エステルは、GPC分析によると、下記化17で表
わされるTPP−A−ダイマー(n=1)とTPP−A
−オリゴマー(n≧2)とトリフェニルホスフェ−ト
(TPP)からなり、重量比でそれぞれ84.7/1
3.0/2.3であった。
【0092】
【化17】
【0093】芳香族リン酸エステル縮合体:1,3ー
フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)(fr−
2) 市販の、レゾルシン由来の芳香族縮合リン酸エステル
{大八化学工業(株)製、商品名 CR733S(fr
−2と称する)}を用いた。また、上記芳香族縮合リン
酸エステルは、GPC分析によると、下記化18で表わ
されるTPPダイマー(n=1)とTPPオリゴマー
(n≧2)とからなり、重量比でそれぞれ65/35で
あった。
【0094】
【化18】
【0095】
【実施例 1〜4 比較例 1〜8】表1記載の各種芳
香族リン酸エステルを測定法記載の欄の方法により測定
し、表1の難燃剤評価の欄及び図1に記載した。次い
で、HIPS−1/GPPS−1(70/30)からな
るスチレン系樹脂100重量部に対して、表1記載の芳
香族リン酸エステル 9重量部を機械的に混合し、東洋
精機製作所製ラボプラストミルを用いて、溶融温度22
0℃、回転数50rpmで5分間溶融した。このように
して得られた樹脂組成物から圧縮成形法により1/8イ
ンチ厚の試験片を作製し、難燃性、耐加水分解性の評価
を行なった。その結果を表1に示した。
【0096】表1及び図1によると、本発明の要件を満
足する芳香族リン酸エステルは300℃の重量減少がき
わめて小さいために、成形時の耐揮発性が優れているこ
とが分かる。一方、本願の芳香族リン酸エステルは、4
00℃の重量減少が20%以上と大きく、燃焼時に効率
的に揮発または分解するために難燃性が優れている。ま
た、特定量の金属残存量、フェノール系化合物量の時の
み、難燃性、耐熱変色性、耐加水分解性のバランス特性
が発現することが分かる。
【0097】
【表1】
【0098】
【実施例 5〜10 】表2記載の還元粘度ηsp/C
のHIPS100重量部に対して、FRー1を9重量部
配合して得られた組成物を実施例1と同様にして、試験
片を作製し、MFR、アイゾット衝撃強さ、ビカット軟
化温度、及び難燃性の評価を行なった。表2にその結果
を記載した。
【0099】表2によると、HIPSの分子量の指標で
ある還元粘度ηsp/Cが小さい方が滴下型の難燃性が
優れているが、特にηsp/Cが0.4〜0.6の範囲
にある場合は、流動性、衝撃強度、及び難燃性のバラン
ス特性が優れていることが分かる。
【0100】
【表2】
【0101】
【実施例 11〜20 】HIPS−1/GPPS/F
Rー1/表3記載のPPEを、表3記載量の重量比率で
混合し、サイドフィ−ド可能な二軸押出機(Werne
r Pfleiderer社製 ZSK−40mmΦ
)を用い、溶融押出しを行なった。即ち、押出機の前
段でPPE/GPPSを320°Cで溶融し、後段で残
りの樹脂成分とFRー1をサイドフィ−ドし、回転数2
95rpm、吐出量80kg/hで240°Cで溶融混
練した。
【0102】このようにして得られたペレットを射出成
形機(東芝機械(株)製 型式IS80A)でシリンダ
−温度230℃、金型温度60℃の条件で試験片を作製
し、MFR、アイゾット衝撃強さ、ビカット軟化温度及
び難燃性の評価を行なった。表3にその結果を記載し
た。
【0103】
【表3】
【0104】表3によると、PPEが存在すると、耐熱
性が向上するが、特にゴム変性スチレン系樹脂とPPE
からなる熱可塑性樹脂中に、PPEが3〜10重量%含
有し、還元粘度ηsp/Cが0.3〜0.6である場合
には流動性、耐熱性、衝撃強度及び難燃性のバランス特
性が著しく向上することが分かる。
【0105】
【発明の効果】本発明のスチレン系樹脂の難燃剤をスチ
レン系樹脂に添加することによって、長期間連続成形を
行なってもモ−ルドディポジットが著しく少なく、かつ
難燃性、耐熱変色性、耐加水分解性、耐衝撃性、耐熱
性、及び流動性の優れた樹脂組成物が得られる。
【0106】このスチレン系樹脂の難燃剤を用いて得ら
れる樹脂組成物は、VTR、分電盤、 テレビ、オ−デ
ィオプレ−ヤ−、コンデンサ、家庭用コンセント、ラジ
カセ、ビデオカセット、ビデオディスクプレイヤ−、エ
アコンディショナ−、加湿機、電気温風機械等の家電ハ
ウジング、シャ−シまたは部品、CD−ROMのメイン
フレ−ム(メカシャ−シ)、プリンタ−、ファックス、
PPC、CRT、ワ−プロ複写機、電子式金銭登録機、
オフィスコンピュ−タ−システム、フロッピ−ディスク
ドライブ、キ−ボ−ド、タイプ、ECR、電卓、トナ−
カ−トリッジ、電話等のOA機器ハウジング、シャ−シ
または部品、コネクタ、コイルボビン、スイッチ、リレ
−、リレ−ソケット、LED、バリコン、ACアダップ
タ−、FBT高圧ボビン、FBTケ−ス、IFTコイル
ボビン、ジャック、ボリュウムシャフト、モ−タ−部品
等の電子・電気材料、そして、インスツルメントパネ
ル、ラジエ−タ−グリル、クラスタ−、スピ−カ−グリ
ル、ル−バ−、コンソ−ルボックス、デフロスタ−ガ−
ニッシュ、オ−ナメント、ヒュ−ズボックス、リレ−ケ
−ス、コネクタシフトテ−プ等の自動車材料等に好適で
あり、これら産業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種芳香族リン酸エステルの重量減少を、熱天
秤試験(TGA法)で測定した結果を示している。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 71/12 C08L 71/12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化1で示される難燃剤であって、上
    記難燃剤がアルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、
    アンチモンから選ばれる金属原子を1〜1000ppm
    含有し、かつフェノール系化合物を1〜5000ppm
    含有することを特徴とするスチレン系樹脂の難燃剤。 【化1】 (式中、a、b,c,d,eは0から1であり、R1か
    らR13は炭素数が1から10の炭化水素であり、nは
    1〜3の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 化1のa,b,c,d,eが0である請
    求項1記載のスチレン系樹脂の難燃剤。
  3. 【請求項3】 化1において、1,3ーフェニレンビス
    (2,6ージキシレニルフォスフェート)及び/または
    1,4ーフェニレンビス(2,6ージキシレニルフォスフ
    ェート)である請求項1記載のスチレン系樹脂の難燃
    剤。
  4. 【請求項4】 スチレン系樹脂 100重量部に対し
    て、請求項1〜3のいずれかの難燃剤 1〜100重量
    部を含有するスチレン系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 樹脂部分の還元粘度ηsp/Cが0.4
    〜0.6であるゴム変性スチレン系樹脂 1〜99重量
    %、還元粘度ηsp/Cが0.3〜0.6であるポリフ
    ェニレンエ−テル 99〜1重量%からなる樹脂成分1
    00重量部に対して、請求項1〜3記載のいずれかの難
    燃剤 1〜100重量部を含有する請求項4の滴下型難
    燃性スチレン系樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999028382A1 (fr) * 1997-12-03 1999-06-10 Chisso Corporation Substance ignifuge pour resines de styrene et composition de resine de styrene ignifuge
JP2016053116A (ja) * 2014-09-03 2016-04-14 旭化成ケミカルズ株式会社 樹脂組成物及び成形体

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WO1999028382A1 (fr) * 1997-12-03 1999-06-10 Chisso Corporation Substance ignifuge pour resines de styrene et composition de resine de styrene ignifuge
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