JPH10190031A - 太陽電池およびその製造方法 - Google Patents

太陽電池およびその製造方法

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JPH10190031A
JPH10190031A JP8354938A JP35493896A JPH10190031A JP H10190031 A JPH10190031 A JP H10190031A JP 8354938 A JP8354938 A JP 8354938A JP 35493896 A JP35493896 A JP 35493896A JP H10190031 A JPH10190031 A JP H10190031A
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JP
Japan
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solar cell
film
antireflection film
main components
refractive index
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Withdrawn
Application number
JP8354938A
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English (en)
Inventor
Masatoshi Nakayama
正俊 中山
Atsuhiro Tsuyoshi
淳弘 津吉
Yasuhiro Matsuba
康浩 松場
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/546Polycrystalline silicon PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02E10/547Monocrystalline silicon PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
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    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 屋外での長期にわたる使用にも耐え、材料の
交換や混合比を変更する必要がなく、生産効率の高い反
射防止層を有する太陽電池およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 単結晶あるいは多結晶のp−n接合を有
するシリコン太陽電池素体上に、主成分が、下記式
(I)、(II)および(III )で表される反射防止膜を
バイアス印加CVD法を用いて製膜する太陽電池。 CHX (I) (上記式(I)において、Xは原子比を表し、X=0.
1〜0.3である。) SiCX1Y1 (II) (上記組成物(II)において、X1およびY1は原子比
を表し、それぞれ0<X1≦10、0.1≦Y1/(1
+X1)≦4である。) SiCX2Y2Z W (III ) (上記式(III )において、X2,Y2,ZおよびWは
原子比を表し、それぞれX2=0.5〜25、Y2=
0.5〜20、Z=0〜6、W=0〜6、Z+W>0で
ある。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入射した光エネル
ギーを電気エネルギーに変換する太陽電池に関し、詳し
くはp−n接合を有し、反射防止膜を有する太陽電池に
関する。
【0002】
【従来の技術】省資源、省エネルギー対策や、太陽エネ
ルギーの有効利用等を目的として光エネルギー/電気エ
ネルギー変換素子、すなわち太陽電池が利用されてい
る。現在太陽電池に使われている材料は大きくシリコン
系と化合物半導体系に分けられる。前者はさらに単結晶
系、多結晶系、アモルフォス系に分けられ、後者もGa
Asの単結晶系とCdS,CuInSe2 などの多結晶
系に分けられる。このように材料的には多くのものが開
発されているが、光電変換効率、製造エネルギー、コス
ト、資源、信頼性、環境適合(無公害)性の観点から全
てを満足するものはまだ無い。
【0003】この中では、プラズマCVDを用いて低温
プロセスで作製されるアモルフォスシリコン系太陽電池
は、製造エネルギーが少なくて済む他、製造工程数が少
ない、光吸収係数が大きいため厚さが1ミクロン以下で
よい、大面積化が容易という長所を有している。しかし
微弱光下での使用に問題はないが、太陽光曝光時の低耐
久性が課題となっている。このため、主に屋内で使用さ
れる計算機等の電子機器の電源や、補助電源として用い
られている。
【0004】一方、単結晶系、多結晶系シリコン太陽電
池は太陽光爆光下での耐久性を有するため、屋外に接地
される電力変換用の太陽電池として実用化されている。
【0005】この単結晶系、多結晶系シリコン太陽電池
の構成例を図1に示す。図1において、太陽電池10
は、反射防止膜1と、n型シリコン2と、p型シリコン
3と背面電極4と、表面電極5とを有し、前記表面電極
5と裏面電極4から取り出された電流が負荷6に供給さ
れるようになっている。
【0006】ところで、このような単結晶系、多結晶系
シリコン太陽電池はある程度の耐久性を有するものの、
動力用などに用いられるため、アモルファス系に比べ変
換効率は高いが、さらなる低損失化が重要な課題であ
る。太陽電池における損失の一因として、図1に示すよ
うに、入射光7が素子表面で反射し、反射光8として失
われる損失がある。これを低減するために反射防止膜1
を設ける等の処理が施されている。
【0007】下記の表1に従来の反射防止膜の材料と屈
折率を示す。反射防止層を形成する場合、どの材料を選
択するかは、形成すべき基板の屈折率(ns)と反射防
止膜の屈折率(n1)との関係できまり、これを式に表
すと、 最適n1=(ns・n2)1/2 (n2は反射防止膜の基
板と反対側の周囲の物質の屈折率である) となる。したがって、例えばSi基板上に1000nmの
波長の光の反射防止膜を設ける場合、周囲が空気であれ
ばn1=1.87、周囲がシリコンならばn1=2.2
0が最適n1となる。このような材料を表1中から選ぶ
と、前者ではAlO3 、後者ではTa2 5 と異なる材
料が必要である。
【0008】
【表1】
【0009】また、一般に反射防止膜には光の屈折率の
異なる膜を多層積層することにより、より反射防止効果
を得ることができるが、そのような場合には、材料を異
なったものに変えるか、あるいはSiO2 −TiO2
ように2系統の材料の混合比を変える必要がある。この
ため、連続的に製膜することが困難であり、製造時間や
製造コストの低減を図る上で障害となっていた。
【0010】さらに、このような電力変換用の太陽電池
は、主に屋外で使用されるため、0℃以下から80℃以
上の高温に至る、温度変化サイクルに耐えうるものでな
ければならない。しかし、従来の太陽電池は反射防止膜
との密着性が必ずしも良いとはいえず、しかも熱膨張係
数が太陽電池素体であるシリコン基板と異なるため、反
射防止膜の剥離が生じ、変換効率が低下し、寿命を短く
するという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、シリ
コン基板の熱膨張係数に近く、屋外での長期にわたる使
用にも耐え、材料の交換や混合比を変更する必要がな
く、生産効率の高い太陽電池の反射防止膜およびその製
造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の
(1)〜(7)の構成により達成される。 (1) 単結晶あるいは多結晶のp−n接合を有するシ
リコン太陽電池素体上に、炭素および水素を主成分と
し、この主成分が、下記式(I)で表される反射防止膜
を有する太陽電池。 CHX (I) (上記式(I)において、Xは原子比を表し、X=0.
1〜0.3である。) (2) 前記反射防止膜はシリコン、炭素および水素を
主成分とし、この主成分が、下記(II)で表される上記
(1)の太陽電池。 SiCX1Y1 (II) (上記組成物(II)において、X1およびY1は原子比
を表し、それぞれ 0<X1≦10、 0.1≦Y1/(1+X1)≦4、 である。) (3) 前記反射防止膜はシリコン、炭素、水素、窒素
および酸素を主成分とし、この主成分が、下記式(III
)で表される上記(1)の太陽電池。 SiCX2Y2Z W (III ) (上記式(III )において、X2,Y2,ZおよびWは
原子比を表し、それぞれ X2=0.5〜25、 Y2=0.5〜20、 Z=0〜6、 W=0〜6、 Z+W>0である。) (4) 前記反射防止膜は膜厚方向に組成が変化してい
る上記(1)〜(3)いずれかの太陽電池。 (5) 前記反射膜は2層以上であって、互いに異なる
組成を有する上記(1)〜(4)のいずれかの太陽電
池。 (6) バイアス印加を行い、プラズマCVD法を用い
て上記(1)〜(5)の反射防止膜を得る工程を有する
太陽電池の製造方法。 (7) 印加するバイアス電圧を変化させることにより
主成分の原子比を変化させるじょうき(6)の太陽電池
の製造方法。
【0013】
【作用】本発明の太陽電池は、反射防止膜に上記のよう
な成分を有することにより、バイアス印加CVD法を用
い、印加するDCバイアス電圧を変化させることによ
り、容易に密度や屈折率の異なる反射防止膜を連続的に
得ることができる。また、バイアス印加CVD法で所定
の組成比の化合物を任意に形成できるため、密着力に優
れるとともに、熱膨張係数が太陽電池素体のシリコンに
近く、熱サイクル条件の厳しい屋外での使用にも十分耐
えうる耐久性が得られる。さらに、膜厚の制御が容易
で、バラツキが少ないため、最適な膜厚の反射防止膜有
する太陽電池を効率よく生産することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の太陽電池の反射防止膜
は、単結晶あるいは多結晶のp−n接合を有するシリコ
ン太陽電池素子上にあって、炭素と水素を主成分とし、
この主成分が下記式(I)で表される。 CHX (I) 上記式(I)において、Xは原子比を表し、 X=0.1〜0.3、 好ましくはX=0.15〜0.3である。
【0015】Xが小さすぎると屈折率は大きくなり、膜
硬度も大きくなるため、内部応力が大きくなり問題が生
じる。 Xが大きすぎると屈折率が小さくなり、膜硬度
も小さくなる。このような反射防止膜は、通常DLC構
造を有し、その膜厚は好ましくは10〜100nm程度で
ある。
【0016】また、本発明の太陽電池の反射防止膜は、
シリコン、炭素および水素を主成分とし、この主成分は
下記式(II)で表される。 SiCX1Y1 (II) 上記式(II)において、X1およびY1は原子比を表
し、それぞれ 0<X1≦10、 0.1≦Y1/(1+X1)≦4、 であり、好ましくは 0.1≦X1≦4、 0.2≦Y1/(1+X1)≦2.5 である。X1が小さすぎると屈折率が高めとなって低く
することができなくなるため、屈折率の制御が困難とな
る。一方、X1が大きすぎると吸収係数が大きくなって
損失が増大してしまう。Y1/(1+X1)が小さすぎ
ると内部応力が大きくなりすぎ、膜界面での剥離が生じ
やすくなる。また、膜界面での損失が大きくなる。一
方、Y1/(1+X1)が大きすぎると屈折率が低めと
なって高くすることができなくなるため、屈折率の制御
が困難となる。
【0017】また、本発明の太陽電池の反射防止膜は、
シリコン、炭素および水素を主成分とし、この主成分は
下記式(III )で表される。 SiCX2Y2Z W (III ) (上記式(III )において、X2,Y2,ZおよびWは
原子比を表し、それぞれ X2=0.5〜25、 Y2=0.5〜20、 Z=0〜6、 W=0〜6である) であり、好ましくは X2=1〜15 Y2=1〜10 Z=0〜4、特に0〜2 W=0〜4、特に0〜2 である。このうち、特に好ましくは0<Z+W≦4、特
に0.01〜3である。
【0018】Xが0.5未満であると、屈折率は小さく
なり、膜硬度が弱く不十分であり、Xが25を超える
と、屈折率は大きくなり、膜の内部応力も大きくなるた
め密着力が弱くなる。Yが0.5未満であると、屈折率
は大きくなり、膜硬度が大きくなるが内部応力も大きく
なる。Yが20を超えると、屈折率は小さくなり、膜の
硬度が不足する。また、Zが6を超えると、屈折率は小
さくなり、膜の密度が不足し、Wが6を超えると、屈折
率は小さくなり、膜密度と耐磨耗性が低下する。
【0019】その他、上記主成分の他S、B、P等の元
素の少なくとも1種を全体の3wt%以下含んでいても
良い。反射防止膜の膜組成は、通常X線回折等により確
認される。
【0020】このような反射防止膜は、通常上記式
(I)のものはDLC構造をなし、それ以外のものはア
モルファス状態にあり、1層あるいは複数層積層しても
よく、その膜厚は単層または複数層の全体で10〜1,
000nm、特に50〜500nmが好ましい。膜厚が10
nm以下の場合には本発明の効果が低くなり、膜厚が1,
000nmを超えると逆に透過率が低下してくるからであ
る。通常、この反射防止膜のビッカース硬さはHv=5
00〜4000程度、波長700〜800nmでの屈折
率は複数積層中の1層当たり好ましくは1.3〜2.
3、特に1.8〜2.0の範囲が好ましい。また、単層
構造の場合には1.5〜2.2の範囲が好ましい。反射
防止膜は、好ましくは1〜10層、特に1〜4層の積層
範囲が好ましい。
【0021】さらに、反射防止膜は膜厚方向に連続グラ
ディエーション濃度分布を持っていてもよい。このよう
に連続グラディエーション濃度分布を有することによ
り、一定範囲の波長の光に対しそれぞれ最適な屈折率を
与えることができ、反射防止効果がより一層向上する。
このようなグラディエーション濃度分布は、後述するバ
イアスCVD法のバイアス電圧を連続的に変化させるこ
とにより容易に実現できる。
【0022】このような反射防止膜が形成される太陽電
池素体は、上記図1に示されるp−n接合構造を有す
る。またその結晶構造は単結晶でも多結晶でもよい。そ
の表面は破砕層除去後(エッチング処理後)のテクスチ
ャ表面〔微少な(2〜10μm)ピラミッドが多数集ま
ったような形状〕が反射率を低減する上で好ましい。ま
たは、表面をM.A.Green et al., "19th IEEE Photovola
tic Specialsts Conference",p.49(1987) 記載のスリッ
ト加工表面であってもよい。
【0023】このような太陽電池素体を得る方法として
は、クロルシラン工程、ジーメンス法、直接還元法、流
動床法等によって原料となるシリコン塊を得、これを溶
融して単結晶状態で固化を行うのであればリボン法(リ
ボン結晶)、CZ(チョクラルスキー)法等、特に大量
生産、低コストの点でリボン法が好ましく用いられ、多
結晶状態で固化を行うのであればキャスト法、MCZ
法、特に大量生産、低コストの点でキャスト法が好まし
く用いられる。
【0024】得られたシリコンインゴットをマルチワイ
ヤーソー、マルチブレードソー等を用いてスライスし、
シリコンウエハを得る。また、リボン結晶の場合には、
得られたシリコン板をそのまま所望の大きさに切断して
用いてもよい。
【0025】セル工程としては、単結晶、多結晶シリコ
ンウエハの表面破砕層を、酸エッチング、アルカリエッ
チング等の化学研磨することで除去し、清浄な表面を得
る。この研磨後のp型基板表面にリン(p型ウエハの場
合)を熱拡散法によって浸み込ませることでn型層を形
成し、p−n接合の構造とする。この場合、リン元素を
イオン化し、表面に打ち込むイオンプランテーション法
を用いてもよい。また裏面側にもn型層が形成される場
合はこれを除去する。このようにp−n接合の形成に
は、p型基板にn型を形成した構造のほかに、n型基板
にp型層(ホウ素等)形成する2種類の構造があるが、
どちらを用いてもよい。
【0026】得られたp−n接合シリコン素子の表面お
よび裏面に、スクリーン印刷法、メタルマスクやフォト
リソグラフィーと併用した真空蒸着法、メッキ法等によ
り電極を形成する。そして、最後に後述のCVD法によ
り反射防止膜を製膜し、太陽電池セルを得る。通常、こ
の太陽電池セルを複数個接続し、モジュール化して使用
する。
【0027】次に、反射防止膜の製膜方法を説明する。
【0028】本発明では、保護膜をプラズマCVD法に
より形成することが好ましい。プラズマCVD法につい
ては、例えば特開平4−41672号等に記載されてい
る。プラズマCVD法におけるプラズマは、直流、交流
のいずれであってもよいが、交流を用いることが好まし
い。交流としては数ヘルツからマイクロ波まで可能であ
る。また、ダイヤモンド薄膜技術(総合技術センター発
行)などに記載されているECRプラズマも使用可能で
ある。
【0029】本発明では、プラズマCVD法としてバイ
アス印加プラズマCVD法を用いる。バイアス印加プラ
ズマCVD法では、基板に負のバイアス電圧を印加す
る。この方法については、例えば M.Nakayama et al, J
ournal of the Ceramic Society of Japan Int. Editio
n Vol 98 607-609 (1990) 等に詳細に記載されている。
また、バイアス電圧を印加せずにセルフバイアスを利用
してもよい。交流電源であるプラズマ電源を装置の電極
に接続するとプラズマが発生する。このプラズマは電
子、イオン、ラジカルを含み、全体としては中性であ
る。しかし、プラズマ電源の周波数がオーディオ波(A
F)、高周波(RF)、マイクロ波(MW)になると、
イオンと電子の移動度に差が生じるため、印加した電極
側(通常、アースしない側)に負電圧状態を生じる。こ
れをセルフバイアス電圧という。上記のバイアス電圧
は、好ましくは0〜−1000Vであり、より好ましく
は0〜−700Vである。このように、バイアス電圧を
変化させることにより、イオンの引きつけ力が変化し、
製膜したときの組成(原子比)が変化する。このため、
密度や屈折率が変化し、バイアス電圧で反射防止膜の屈
折率を調節できることとなる。
【0030】保護膜をプラズマCVD法により形成する
ための原料ガスには、下記のグループに属する化合物を
使用することが好ましい。
【0031】C+H源として、CH4 、C2 4 、C2
6 、C3 8 、C6 6 等の炭化水素が挙げられる。
これらは単独で用いても、複数を併用してもよい。
【0032】Si、CおよびHを含む化合物としては、
メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、テ
トラメチルシラン、ジエチルシラン、テトラエチルシラ
ン、テトラブチルシラン、ジメチルジエチルシラン、テ
トラフェニルシラン、メチルトリフェニルシラン、ジメ
チルジフェニルシラン、トリメチルフェニルシラン、ト
リメチルシリル−トリメチルシラン、トリメチルシリル
メチル−トリメチルシラン等がある。これらは併用して
も良く、シラン系化合物と炭化水素を用いても良い。
【0033】Si+C+H+Oの組成を得る単独化合物
としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチ
ルシクロシロキサン、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘ
キサエトキシジシロキサン、トリエトキシビニルシラ
ン、ジメチルエトキシビニルシラン、トリメトキシビニ
ルシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメトキシメチ
ルクロロシラン、ジメトキシメチルシラン、トリメトキ
シシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメトキシシラ
ノール、ハイドロキシメチルトリメチルシラン、メトキ
シトリメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、エト
キシトリメトキシシラン等がある。これらは併用しても
良く、これに他の化合物を併用しても良い。
【0034】Si+C+H+Nの組成を得る単独化合物
としては、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラ
ン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、3−アリル
アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン等がある。
【0035】この他、O源として、O2 、O3 等、C+
O源として、CO、CO2 等、Si+H源として、Si
4 等、H源として、H2 等、H+O源として、H2
等、N源として、N2 N+H源として、NH3 等、N+O源として、NO、N
2 、N2 OなどNOx で表示できるNとOの化合物等
を用いても良い。
【0036】上記原料ガスの流量は原料ガスの種類に応
じて適宜決定すればよい。その流量は使用するガスの種
類や動作条件などにより異なるが、通常1〜100SCCM
程度である。CVD装置の動作圧力は、通常0.01〜
0.5Torr、投入電力は、通常10W〜5KW程度
が好ましい。
【0037】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0038】(実施例1)CおよびHを含む化合物の原
料ガスとしてCH4 を流量50SCCMにて導入した。プラ
ズマ発生用の交流電力としてRF75Wを加え、動作圧
力0.05Torrで、p−n接合多結晶シリコン太陽
電池素体上に、バイアス電圧−300Vにて97nm成膜
した。製膜後の膜組成をX線回折により調べたところ、
結晶構造はDLC構造で、組成はCH(0.26)であった。
また、波長750nmでの屈折率はn=1.93で、Ti
2 を1としたときのスクラッチ力は1.7あった。
【0039】このようにして得られたサンプル100個
についての変換効率とそのばらつきを測定した。また、
−10℃と100℃を1時間サイクルで繰り返した場合
に変換効率が10%低下する回数(熱サイクル数)を調
べた。結果を表2に示す。
【0040】(実施例2)(実施例1)において原料ガ
スをSi、CおよびH含をむものとした。すなわち、原
料ガスとして(CH3 )SiH3 を流量10SCCMにて導
入し、CH4 を流量2SCCMにて導入した。プラズマ発生
用の交流電力としてRF500Wを加え、動作圧力0.
25Torr、バイアス電圧−350Vにて、太陽電池
素体上に96nm成膜した。製膜後の膜組成をX線回折に
より調べたところ、結晶構造はアモルファス状で、組成
はSiC(1.6)(1.4 )であった。また、波長750nm
での屈折率はn=1.95で、TiO2 を1としたとき
のスクラッチ力は1.7であった。
【0041】実施例1と同様に変換効率とそのばらつ
き、および熱サイクル数を調べた。結果を表2に示す。
【0042】(実施例3)(実施例1)において原料ガ
スをSi、C、HおよびOを含むものとした。すなわ
ち、原料ガスとしてSi(OCH3 4 を流量2SCCMに
て導入した。プラズマ発生用の交流電力としてRF50
0Wを加え、動作圧力0.05Torr、バイアス電圧
−350Vにて、太陽電池素体上に97nm成膜した。製
膜後の膜組成をX線回折により調べたところ、結晶構造
はアモルファス状で、組成はSiC(5 .2 )(4.1 )
(1.6 )であった。また、波長750nmでの屈折率はn=
1.93で、TiO2 を1としたときのスクラッチ力は
1.9であった。
【0043】実施例1と同様に変換効率とそのばらつ
き、および熱サイクル数を調べた。結果を表2に示す。
【0044】(実施例4)(実施例1)において原料ガ
スをSi、C、H、OおよびNを含むものとした。すな
わち、原料ガスとしてSi(OCH3 4 を流量2SCCM
にて導入し、NH3 を流量5SCCMにて導入した。プラズ
マ発生用の交流電力としてRF500Wを加え、動作圧
力0.05Torr、バイアス電圧−380Vにて、太
陽電池素体上に96.5nm成膜した。製膜後の膜組成を
X線回折により調べたところ、結晶構造はアモルファス
状で、組成はSiC(5.2 )(4.1 )(1.6 )(1.3 )
あった。また、波長750nmでの屈折率はn=1.93
で、TiO2 を1としたときのスクラッチ力は1.9で
あった。
【0045】実施例1と同様に変換効率とそのばらつ
き、および熱サイクル数を調べた。結果を表2に示す。
【0046】(実施例5)(実施例2)において原料ガ
スはそのままで、バイアス電圧を2段階に変えて製膜
し、2層構造にした。すなわち、原料ガスとして(CH
3 )SiH3 を流量10SCCMにて導入し、CH4 を流量
2SCCMにて導入した。プラズマ発生用の交流電力として
RF50Wを加え、動作圧力0.25Torr、バイア
ス電圧−50Vにて、太陽電池素体上に第1層を膜厚1
39nmに成膜した。次いで、RF電力を500Wとし、
バイアス電圧を−500Vに変え、そのまま連続して第
2層を膜厚85nmに製膜した。
【0047】製膜後の膜組成をX線回折により調べたと
ころ、結晶構造はアモルファス状で、組成は第1層がS
iC(3.1 )(8.2 )であり、波長750nmでの屈折率は
n=1.35であった。また、第2層の組成はSiC
(1.1 )(0.8 )であり、波長750nmでの屈折率はn=
2.21で、スクラッチ力は1.9であった。
【0048】実施例1と同様に変換効率とそのばらつ
き、および熱サイクル数を調べた。結果を表2に示す。
なお、上記の2層構造を連続的に組成の変化する傾斜膜
としても同等の結果を得た。
【0049】(比較例1)チャンバー内を3×10−6
Torrにまで吸引後、Ti3O5を蒸着材として電子
ビームで加熱し、動作圧力0.05Torrで、O2
流量10SCCMにて導入し、p−n接合多結晶シリコン太
陽電池素体上に、83nm成膜した。製膜後の膜組成をX
線回折により調べたところ、TiO(2 )であった。ま
た、波長750nmでの屈折率はn=2.25であった。
【0050】このようにして得られたサンプル100個
についての変換効率とそのばらつきを測定した。また、
−10℃と100℃を1時間サイクルで繰り返した場合
に変換効率が10%低下する回数(熱サイクル数)を調
べた。結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】表2から明らかなように、本発明の太陽電
池の反射防止膜は、実施例1以外の膜はアモルファス状
であり、熱膨張係数がシリコンに近いことと、密着力に
優れる結果、−10〜100℃に変化する熱サイクルで
のダメージが少なく、剥離が生じにくくなっており、特
に実施例3,4および5では10%低下時の回数が5
0,000回を超え、長期間屋外に放置しても変換効率
の低下を生じない。また、表面が非常に平坦であるた
め、膜厚分布がなく変換効率のバラツキが少なく、バイ
アス印加条件で膜を形成するため密着力に優れ、スクラ
ッチ力が大きい。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、材料の交
換や混合比を変更する必要がなく、生産効率の高い反射
防止膜を有し、この反射防止膜を用いることで、主な動
作環境である屋外で、−10℃以下の低温から100℃
の高温に至る温度変化に繰り返し曝されても劣化の少な
い太陽電池となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】太陽電池の構造を示した概念図である。
【符号の説明】
1 反射防止膜 2 n型シリコン 3 p型シリコン 4 背面電極 5 表面電極 6 負荷 7 入射光 8 反射光

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶あるいは多結晶のp−n接合を有
    するシリコン太陽電池素体上に、 炭素および水素を主成分とし、この主成分が、下記式
    (I)で表される反射防止膜を有する太陽電池。 CHX (I) (上記式(I)において、Xは原子比を表し、X=0.
    1〜0.3である。)
  2. 【請求項2】 前記反射防止膜はシリコン、炭素および
    水素を主成分とし、この主成分が、下記(II)で表され
    る請求項1の太陽電池。 SiCX1Y1 (II) (上記組成物(II)において、X1およびY1は原子比
    を表し、それぞれ 0<X1≦10、 0.1≦Y1/(1+X1)≦4、 である。)
  3. 【請求項3】 前記反射防止膜はシリコン、炭素、水
    素、窒素および酸素を主成分とし、この主成分が、下記
    式(III )で表される請求項1の太陽電池。 SiCX2Y2Z W (III ) (上記式(III )において、X2,Y2,ZおよびWは
    原子比を表し、それぞれ X2=0.5〜25、 Y2=0.5〜20、 Z=0〜6、 W=0〜6、 Z+W>0である。)
  4. 【請求項4】 前記反射防止膜は膜厚方向に組成が変化
    している請求項1〜3いずれかの太陽電池。
  5. 【請求項5】 前記反射膜は2層以上であって、互いに
    異なる組成を有する請求項1〜4のいずれかの太陽電
    池。
  6. 【請求項6】 バイアス印加を行い、プラズマCVD法
    を用いて請求項1〜5の反射防止膜を得る工程を有する
    太陽電池の製造方法。
  7. 【請求項7】 印加するバイアス電圧を変化させること
    により主成分の原子比を変化させる請求項6の太陽電池
    の製造方法。
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