JPH101897A - 抗菌紙 - Google Patents

抗菌紙

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Publication number
JPH101897A
JPH101897A JP7594897A JP7594897A JPH101897A JP H101897 A JPH101897 A JP H101897A JP 7594897 A JP7594897 A JP 7594897A JP 7594897 A JP7594897 A JP 7594897A JP H101897 A JPH101897 A JP H101897A
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JP
Japan
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paper
silver
antibacterial
layer
alkaline earth
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Pending
Application number
JP7594897A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Minami
裕幸 南
Kyoko Akimoto
恭子 秋本
Shoji Yoshimura
昌治 吉村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rengo Co Ltd
Original Assignee
Rengo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銀含有抗菌剤の使用量を増加させずに、抗菌
性阻害物質を有しても有効な抗菌・防かび作用を示す抗
菌紙を提供することである。 【解決手段】 抗菌性阻害物質を含有する紙に銀含有抗
菌剤及びアルカリ土類金属塩を配する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は抗菌紙に関し、詳
しくは、リグニン等の抗菌性阻害物質を含有するパルプ
からなる抗菌紙に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、紙や繊維製品等に適用できる抗菌
剤として、銀、銅、亜鉛等の抗菌・防かび性を有する抗
菌性金属が知られている。抗菌性金属は、金属イオンが
微生物細胞に吸収された際、呼吸や電子伝達系等の基礎
代謝を阻害し、又は細胞膜における物質移動を阻害して
抗菌・防かび性を発揮していると考えられている。
【0003】このような抗菌性金属のうち銀は、食器類
や義歯に使用されているように、金属の状態では人体に
吸収され難く安全性の高い金属であるが、硝酸銀水溶液
のような銀イオンの状態では、消毒剤としても有効な抗
菌・防かび効果を発揮する。
【0004】しかし、液状では取扱が不便であり用途も
限定されるので、銀を活性炭に担持させて抗菌剤とする
ものや、銀を無機イオン交換体であるゼオライト、溶解
性ガラスや粘土鉱物に担持させたものが知られている
(特開平4−73294号公報等参照)。
【0005】また、有機化合物に銀を担持させた抗菌剤
として、アクリル酸やメタクリル酸等のカルボキシル基
含有モノマーの重合体、又はこれらとポリスチレンとの
共重合体の銀塩等(特開昭53−109941号公報
等)が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の銀成分を含有する抗菌剤は、ろ紙、NBKP、LBK
P、DP等の漂白されたパルプからなる紙に用いる場合
には、有効に抗菌・防かび作用を示すものの、NUK
P、LUKP等の未漂白パルプを用いた紙や段ボールや
新聞紙等の古紙を用いた再生紙に用いる場合は、それら
に含有されるリグニンやヘミセルロース等と考えられる
抗菌性阻害物質により銀含有抗菌剤中の銀が取り込まれ
るため、有効な抗菌・防かび作用を示すことができな
い。有効な抗菌・防かび作用を示すには、銀含有抗菌剤
の使用量を増加させる必要があり効率的ではない。
【0007】そこで、この発明の課題は、銀含有抗菌剤
の使用量を増加させずに、抗菌性阻害物質を有しても有
効な抗菌・防かび作用を示す抗菌紙を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この抗菌紙の発明は、抗菌性阻害物質を含有する紙
に銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩を配してなる。
【0009】銀含有抗菌剤に含有される銀よりもリグニ
ン等の抗菌性阻害物質に取り込まれやすいアルカリ土類
金属を含有するアルカリ土類金属塩を抗菌剤と共に、上
記リグニン等の抗菌性阻害物質を含有する紙に配したの
で、リグニン等の抗菌性阻害物質に取り込まれる銀の量
を低く抑えることができ、抗菌・防かび効果を有効に発
揮させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を説明
する。
【0011】この発明に用いられる抗菌紙は、抗菌性阻
害物質を含有する紙に銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金
属塩を配してなる。
【0012】上記の抗菌性阻害物質を含有する紙は、所
定数の紙層からなる紙であり、上記抗菌性阻害物質は、
この紙全体、又はこの紙の所定の紙層に含有されてい
る。上記紙の例としては、単層紙、多層紙又は合紙をあ
げることができる。また、上記銀含有抗菌剤及びアルカ
リ土類金属塩は、上記の抗菌性阻害物質を含有する紙全
体、又は、この紙の少なくとも1つの紙層、紙層間、又
は接着層に銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩を配す
ることができる。
【0013】上記単層紙とは、1層抄きにより製造され
る、1層の紙層からなる紙である。また、上記多層紙と
は、多層抄きにより製造される、複数の紙層からなる紙
である。さらに、上記合紙とは、上記単層紙を1つの紙
層として複数の紙層が積層され、紙層間に接着層を配し
て接合された紙である。
【0014】上記各種紙の紙層が、ろ紙、NBKP、L
BKP、DP等の漂白されたパルプから形成される場合
は、リグニンやヘミセルロース等と考えられる抗菌剤の
効果を阻害する物質、いわゆる、抗菌性阻害物質の含有
量がほとんどないので、抗菌剤を用いても抗菌・防かび
効果が阻害されることはない。これに対し、上記各種紙
の紙層が、NUKP、LUKP等の未漂白パルプや、再
生紙パルプから形成される場合は、上記抗菌性阻害物質
を含むため、銀含有抗菌剤を用いた場合、抗菌・防かび
効果が阻害されることが生じる。
【0015】このとき、銀含有抗菌剤と共にアルカリ土
類金属を添加すると、上記阻害を抑止することができ
る。すなわち、上記抗菌性阻害物質を含む紙が上記単層
紙の場合は、銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩を抄
紙時に配することで、抗菌・防かび作用を発揮させるこ
とができる。
【0016】また、上記抗菌性阻害物質を含有する紙層
を少なくとも1つ含む上記多層紙の場合は、上記多層紙
の紙層全てに銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩を抄
紙時に配すると、抗菌・防かび作用を発揮させることが
できる。しかし、銀含有抗菌剤は所定の濃度を有してい
れば、抗菌・防かび作用を発揮し得るので、上記多層紙
のうち、上記抗菌性阻害物質を含有する紙層にのみに所
定濃度の銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩を配する
と、抗菌・防かび作用を発揮させることができる。この
場合、上記多層紙に含まれる銀含有抗菌剤の全体量を低
減させることができる。
【0017】上記銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩
を配する紙層は、上記抗菌性阻害物質を含有する紙層が
複数ある場合であっても、少なくとも1つの紙層に配す
ればよい。また、上記銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金
属塩を配する紙層の位置は、上記抗菌性阻害物質を含有
する紙層が複数の場合、外界と接触する表層に近いほう
が好ましい。
【0018】さらに、上記銀含有抗菌剤及びアルカリ土
類金属塩を配する紙層は、上記抗菌性阻害物質を含有す
る紙層に配しても、上記抗菌性阻害物質を含有する紙層
とは別の紙層に配してもよい。
【0019】ところで、上記多層紙の表層は、一般に上
記抗菌性阻害物質を含有しない紙層から形成される場合
が多く、表層から第2層目以降の各紙層は、一般に上記
抗菌性阻害物質を含有する紙層から形成される場合が多
い。上記抗菌性阻害物質を含有しない点、及び人体等と
接触する点等から、上記表層には、上記銀含有抗菌剤及
びアルカリ土類金属塩を配さないようにすることが好ま
しい。また、上記表層が上記抗菌性阻害物質を含有する
場合でも、人体等と接触するので、安全性の面から上記
銀含有抗菌剤を表層に配さない方が好ましい。
【0020】この場合、表層以外の表層に近い紙層に上
記銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩を配しても、抗
菌・防かび効果を発揮しやすく好ましい。特に、表層か
ら見て第2層目や第3層目の紙層、とりわけ第2層に配
することがより好ましい。
【0021】また、上記銀含有抗菌剤及びアルカリ土類
金属塩を、上記のように抄紙によって、所定の紙層に抄
き込む以外に、上記合紙の紙層間に介される接着層に含
有させてもよく、また、紙層の間に噴霧して配してもよ
い。
【0022】多層紙の紙層の間に噴霧する場合、上記銀
含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩は、全ての紙層の間
に噴霧して配してもよいが、上記の抄紙による場合と同
様に、任意の紙層の間に噴霧することができる。例え
ば、上記抗菌性阻害物質を含有する所定の紙層及びそれ
と接する紙層との間や、上記抗菌性阻害物質を含有する
所定の紙層より外側の紙層及びこれと接する紙層との間
に噴霧して配することができる。このとき、上記所定の
紙層は、上記の場合と同様に、表層以外の表層に近い紙
層が好ましく、表層から見て第2層目の紙層がより好ま
しい。また、その所定の紙層の上下の少なくとも一方に
噴霧してもよい。
【0023】合紙の場合、上記銀含有抗菌剤及びアルカ
リ土類金属塩は、上記接着層のいずれかに含有させても
よく、例えば、上記抗菌性阻害物質を含有する所定の紙
層と接する接着層や、上記抗菌性阻害物質を含有する所
定の紙層とは別の紙層と接する接着層に含有させてもよ
い。このとき、この接着層は、上記の場合と同様に、表
層に近い方が好ましく、表層から見て第1層目と第2層
目の紙層間に配することがより好ましい。
【0024】また、その所定の紙層と接する接着層が、
上記紙層の上下に2つある場合、少なくとも一方の層に
上記銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩を含有させれ
ばよい。
【0025】ところで、上記の銀含有抗菌剤及びアルカ
リ土類金属塩は、異なる紙層、層間、又は接着層に設け
てもよい。すなわち、上記アルカリ土類金属塩を上記銀
含有抗菌剤が設けられた紙層、層間、又は接着層より、
上記抗菌性阻害物質を有する紙層に近い紙層、層間、又
は接着層に設けることができる。このようにすることに
より、上記抗菌性阻害物質は、銀含有抗菌剤と接触する
前にアルカリ土類金属塩と接触して、上記抗菌性阻害物
質がアルカリ土類金属分を保持するので、銀分を保持す
ることを抑制し、抗菌作用の阻害が防止される。
【0026】この発明に用いられる上記抗菌剤は、抗菌
・防かび成分として銀を含有する銀含有抗菌剤であり、
そのような抗菌剤としては、無機系の銀含有抗菌剤や有
機系の銀含有抗菌剤がある。無機系の銀含有抗菌剤とし
ては、無機イオン交換体であるゼオライトに銀を担持さ
せたものや、溶解性ガラスや粘土鉱物に担持させたもの
があげられる。
【0027】また、有機系の銀含有抗菌剤としては、有
機化合物に銀を担持したものや有機化合物の銀塩等があ
げられ、具体的には、アクリル酸やメタクリル酸等のカ
ルボキシル基含有モノマーの重合体、又はこれらとポリ
スチレンとの共重合体等のカルボキシル基含有化合物の
銀塩や、繊維等に親和性のあるセルロース系高分子重合
体、例えば、カルボキシメチルセルロース(以下、CM
Cと称する。)の銀塩(以下、CMC−Agと称す
る。)があげられる。
【0028】上記CMC−Agは紙や繊維に対する親和
性に優れており、しかもその骨格構造が柔軟であるの
で、菌体との接触が容易であり、比較的少量の銀量で抗
菌・防かび効果を発揮する。銀量を少なくできるので、
可視光線、紫外線又は熱によって酸化されにくい。
【0029】また、上記CMC−Agは、所定のカルボ
キシル基の置換度条件で保持する銀の量を調節すること
により、銀の遊離を抑制し、安全性に優れかつ高い抗菌
・防かび作用とその持続性を発揮させることができる。
さらに、CMC−Ag等のCMC化合物に架橋構造を導
入したものは水に不溶性となって、水と接する用途に対
しても使用可能となる。
【0030】CMC−Ag等のCMC化合物に架橋構造
を形成させるには、CMC化合物に架橋剤を配合し、イ
ソプロピルアルコール、アセトン、エタノール、メタノ
ール等の反応溶媒中で架橋反応させることで行うことが
できる。上記架橋剤としては、ホルムアルデヒド、グル
タルアルデヒドやグリオキサールなどのアルデヒド類、
ジメチロール尿素、ジメチロールエチレン尿素やジメチ
ロールイミダゾリン等のN−メチロール化合物、シュウ
酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸やポリアクリル酸
等の高価カルボン酸、エチレングリコールジグリシジル
エーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテ
ルやジエポキシブタン等の高価エポキシ化合物、ジビニ
ルスルホンやメチレンビスアクリルアミド等のジビニル
化合物、ジクロロアセトン、ジクロロプロパノールやジ
クロロ酢酸等の高価ハロゲン化合物、エピクロロヒドリ
ン、エピブロモヒドリン等のハロヒドリン化合物等をあ
げることができる。
【0031】CMC化合物に架橋構造を形成させる他の
方法としては、セルロースを架橋した後、カルボキシメ
チル化してもよい。
【0032】このCMC−Agのカルボキシメチル化
度、すなわち、カルボキシメチル基の置換度(以下、D
Sと称する。)と銀含有量は、CMC−Agの銀の遊離
度を調整する点から、DSが0.4〜1.0が好まし
く、銀含有量は、0.01〜1重量%が好ましい。DS
が0.4未満の場合は、銀に対し余剰カルボキシル基が
少なくなって、銀がCMCから遊離しやすくなり好まし
くなく、また、1.0を越えると、CMCが親水性から
疎水性に移行して抗菌・防かび性を十分に発揮できなく
なる傾向があると考えられ、さらに製造工程でカルボキ
シメチル基を導入する工程が煩雑となって経済性及び実
用性が低くなる。また、銀含有量が0.01重量%未満
では、上記DSの値にかかわらず、有効な抗菌・防かび
性が得られず、1重量%を越えると、銀イオンが遊離し
やすくなり、抗菌・防かび性を持続させにくくなる。
【0033】この発明に用いられるアルカリ土類金属塩
は、アルカリ土類金属を有する無機化合物又は有機化合
物であり、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、
カルシウム、バリウム等をあげることができる。また、
無機化合物としては、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩をあげる
ことができ、有機化合物としてはカルボキシル基含有化
合物があげられ、具体的には、アクリル酸やメタクリル
酸の単独重合体や共重合体、又はCMCをあげることが
できる。これらの中でも、アルカリ土類金属の遊離を制
御する点で、カルボキシル基含有化合物が特に好まし
い。
【0034】このアルカリ土類金属塩の供給源として
は、特に限定されるものではなく、任意の供給源を採用
することができるが、アルカリ土類金属塩を含有する抄
紙白水を用いることもできる。
【0035】上記の中でもCMCを用いたものは、紙や
繊維に対する親和性に優れており、しかもその骨格構造
が柔軟であるので、紙や繊維に対する定着性の面から好
ましい。CMCを用いたアルカリ土類金属塩(以下、C
MC−アルカリ土類金属と称する。)の具体例として
は、CMCのマグネシウム塩(以下、CMC−Mgと称
する。)、CMCのカルシウム塩(以下、CMC−Ca
と称する。)、CMCのバリウム塩(以下、CMC−B
aと称する。)等があげられる。アルカリ土類金属を抗
菌性阻害物質に有効に取り込ませ、銀含有抗菌剤の抗菌
効果を有効に発揮させるCMC−アルカリ土類金属は、
CMC−Mgが最も効果的で、次いでCMC−Ca、C
MC−Baの順となる。
【0036】このCMC−アルカリ土類金属のDSは、
アルカリ土類金属の遊離度を調整する点から、0.4〜
1.0が好ましく、アルカリ土類金属含有量は、DSに
対する金属置換率5〜100%であることが好ましい。
【0037】また、カルボキシル基含有化合物の同一分
子中に複数のカルボキシル基を有している場合、同一分
子中に銀塩及びアルカリ土類金属塩の複合塩を有するカ
ルボキシル基含有化合物を用いると、その化合物1種
で、銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩の両方の効果
を発揮することができる。このような化合物の例とし
て、CMCの銀塩及びカルシウム塩等のアルカリ土類金
属塩の複合塩(以下、CMC−Ag・Caと称する。)
をあげることができる。
【0038】この場合、使用される上記複合塩の量は、
紙の坪量に見合う銀の添加量及び抗菌性阻害物質を抑制
することに見合うアルカリ土類金属の添加量を同時に満
たす複合塩の量を添加すればよい。このとき、必要な銀
量やアルカリ土類金属の量は、CMCの銀塩及びCMC
のアルカリ土類金属それぞれ別個の化合物を加える場合
の銀量やアルカリ土類金属の量と同等である。しかし、
CMCの銀塩及びカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩
の複合塩を用いた場合は、必要量の銀量やアルカリ土類
金属の量を使用しても、担体的な役割を有するCMCの
使用量を削減することができる。このため、一般的に、
20%程度の使用量の削減が可能となる。
【0039】なお、この複合塩を使用した場合は、アル
カリ土類金属が銀よりCMCから遊離しやすいので、銀
が抗菌性阻害物質にトラップされるのを防止でき、抗菌
・防かび作用を維持させることができる。
【0040】上記銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩
は、上記のように、紙層に入れる場合は、抄紙により添
加され、接着層に入れる場合は、接着層に混ぜることに
より添加される。また、紙層と紙層の間に配するとき
は、スプレー等により噴霧することによって添加され
る。
【0041】抄紙によって添加される銀含有抗菌剤の量
は、特に限定されるものではないが、銀含有抗菌剤が添
加される紙層1gにおいて、抗菌剤に含まれる銀量で
0.31〜1.2mg/gが好ましく、0.47〜0.
94mg/gがより好ましい。0.31mg/g未満で
は、抗菌剤として効力を十分に発揮することができな
い。また、1.2mg/gを越える量でも、抗菌剤とし
ての効力を十分に発揮するが、その能力は1.2mg/
gのときと大差ない。
【0042】さらに、銀含有抗菌剤を添加しない紙層に
大量のリグニン等の抗菌性阻害物質を有する場合、上記
条件下でも効果を発揮しない場合が生ずる。このため、
銀含有抗菌剤の量は、添加される多層紙全体1gにおい
て、抗菌剤に含まれる銀量で0.056〜0.21mg
/gが好ましく、0.084〜0.17mg/gがより
好ましい。0.056mg/g未満では、抗菌剤として
効力を十分に発揮することができない。また、0.21
mg/gを越える量でも、抗菌剤としての効力を十分に
発揮するが、その能力は0.21mg/gのときと大差
ない。
【0043】また、銀含有抗菌剤を接着層に混ぜたり、
紙層と紙層の間に噴霧する場合は、抄紙により添加する
場合に比べて銀含有抗菌剤を薄い層に集中して配するこ
とができるので、濃縮された状態となり、抄紙の場合よ
り少ない量で抗菌・防かび効果を発揮する。このときの
銀含有抗菌剤の量は、特に限定されるものではないが、
銀含有抗菌剤が添加される紙層1gにおいて、抗菌剤に
含まれる銀量で0.16〜0.78mg/gが好まし
く、0.31〜0.63mg/gがより好ましい。0.
16mg/g未満では、抗菌剤として効力を十分に発揮
することができない。また、0.78mg/gを越える
量でも、抗菌剤としての効力を十分に発揮するが、その
能力は0.78mg/gのときと大差ない。
【0044】さらに、銀含有抗菌剤を添加しない紙層に
大量のリグニン等の抗菌性阻害物質を有する場合、上記
条件下でも効果を発揮しない場合が生ずる。このため、
銀含有抗菌剤の量は、添加される多層紙全体1gにおい
て、抗菌剤に含まれる銀量で0.028〜0.14mg
/gが好ましく、0.056〜0.11mg/gがより
好ましい。0.028mg/g未満では、抗菌剤として
効力を十分に発揮することができない。また、0.14
mg/gを越える量でも、抗菌剤としての効力を十分に
発揮するが、その能力は0.14mg/gのときと大差
ない。
【0045】上記アルカリ土類金属塩の添加量は、紙に
含有されるリグニンやヘミセルロース等の抗菌性阻害物
質の量によって影響される。この添加量は、紙に含有さ
れる抗菌性阻害物質のうちリグニンを指標として求める
ことができる。すなわち、リグニンの量が多いと、それ
に比例して他の抗菌性阻害物質も多くなる傾向にあり、
抗菌性阻害物質に取り込まれる銀含有抗菌剤中の銀の量
が増加する。これを抑止するために、上記アルカリ土類
金属塩の添加量を増加させる必要がある。
【0046】具体的には、添加するアルカリ土類金属塩
中のアルカリ土類金属の量は、含有される抗菌性阻害物
質(指標としてリグニン)に対して、2μmole/g
〜200mmole/gが好ましく、20μmole/
g〜20mmole/gがより好ましい。アルカリ土類
金属塩中のアルカリ土類金属の量が抗菌性阻害物質(指
標としてリグニン)に対して2μmole/gより少な
いと、銀含有抗菌剤中の銀がほとんど抗菌性阻害物質に
取り込まれるため、抗菌・防かび作用が低下し好ましく
ない。また、200mmole/gより多いと、アルカ
リ土類金属自体がかび等の養分となるため、却ってかび
等の繁殖の原因となるおそれがある。
【0047】上記単層紙、多層紙又は合紙は、上記の銀
含有抗菌剤やアルカリ土類金属塩以外に、通常用いられ
る定着剤、紙力増強剤、内添サイズ剤、表面サイズ剤、
防滑剤、染料等を添加することができる。この中でも定
着剤は、上記抗菌剤又はアルカリ土類金属塩の定着量を
増加させて抗菌・防かび作用を維持するために有効であ
る。
【0048】このような定着剤としては、上記抗菌剤及
びアルカリ土類金属塩を抄紙により添加する場合は、こ
れらを定着させるため歩留り向上剤を用いることがで
き、また、噴霧により配する場合は、紙層間に噴霧する
ことから、剥離を防止する層間紙力剤を用いることがで
きる。さらに、接着層に添加する場合は、紙層と紙層を
接合させる接着剤を用いることができる。
【0049】上記歩留り向上剤としては、アクリルアミ
ドとカチオン性モノマーとの共重合体、カチオン変性で
んぷん、ポリエチレンイミン、カチオン変性ポリアクリ
ルアミド等のカチオン性定着剤があげられる。この中で
も、分子量が高く、カチオン度の低いものが高歩留り率
を示した。
【0050】この歩留り向上剤を用いる場合は、その添
加量は、紙1gに対して、0.1〜25mgが好まし
い。0.1mg未満の場合は、歩留り向上剤を使用する
利点が現れず、また、25mgを越えて用いると、地合
等に悪影響を与える場合がある。
【0051】上記層間紙力剤としては、コーンスター
チ、馬鈴薯でんぷん、変性でんぷん等のでんぷん類や、
変性ポリアクリルアミド類が用いられる。
【0052】また、上記接着剤としては、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−エチレン共重
合体、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、
ゴムラテックス、でんぷん、デキストリン、にかわ、カ
ゼイン等が用いられる。
【0053】この層間紙力剤及び接着剤を用いる場合
は、1.0〜15g/m2 が好ましい。1.0g/m2
未満の場合は、層間紙力剤及び接着剤を使用する利点が
現れず、また、15g/m2 を越えて用いることもでき
るが、効果は15g/m2 の場合と大差ない。特に、層
間紙力剤及び接着剤としてでんぷんを大量に用いた場合
は、かび等が繁殖しやすい傾向となる。
【0054】上記以外の添加剤としては、リン酸カルシ
ウムを用いることができる。このリン酸カルシウムは、
塩素分を吸着させることができるため、抄紙白水中の塩
素分を吸着させることができる。したがって、抄紙中の
単層紙や多層紙にリン酸カルシウムを含む懸濁液を噴霧
すると、抄紙白水から抄紙に移行した塩素分が吸着され
るので、その後に銀含有抗菌剤を噴霧すれば、抗菌・防
かび効果を発揮させることができる。なぜなら、抗菌剤
中の銀分と塩素より生成した塩化銀は、抄紙白水中に容
易に流出して紙層にとどまらないのに対して、塩素がリ
ン酸カルシウムに吸着された後では、抗菌剤中の銀分
は、そのまま紙層中にとどまるからである。
【0055】
【実施例】以下、この発明の実施例について示す。な
お、特に断らない限り、%は重量%を示す。
【0056】まず、実験で用いる銀含有抗菌剤及びアル
カリ土類金属塩を製造した。その製造例を下記に示す。
【0057】(製造例1)架橋型カルボキシメチルセル
ロ−スナトリウム(以下、架橋型CMC−Naと称す
る。)の合成 CMC−Na60.423g(DS=0.62、重合度
=約1200、水分率:7.95%、無水物56.62
g)をイソプロパノール208ml及び水114mlに
懸濁後、エピクロロヒドリン9.1g(7.7ml)を
加えた。次いで、4NNaOH24.5mlを滴下後、
反応混液を80℃に加温し3時間攪拌した。反応後、濾
過及び水洗して脱アルカリして中性とし、メタノールで
洗浄後、真空乾燥して架橋型CMC−Na53.239
4g(水分率3.84%、無水物51.195g)を得
た。なお、この時のイオン交換容量は2.576meq
/g、DSは0.53であった。また、同一のCMC−
Naを用い、反応条件(エピクロロヒドリン量等)を調
整して、架橋型CMC−Na(DS=0.54、0.5
5、0.56、0.58)をそれぞれ製造した。
【0058】(製造例2)架橋型CMC−Agの合成 製造例1で製造した架橋型CMC−Na31.198g
(DS=0.53、水分率:3.84%、無水物:30
g)を水200mlに懸濁後、硝酸銀140.57mg
を加えて遮光下に70時間攪拌した。沈殿物を濾取し、
50%メタノール、100%メタノールの順に洗浄し、
真空乾燥後、架橋型CMC−Ag30.948g(水分
率:3.29%、無水物:29.93g)を得た。銀含
有率を原子吸光分析法で測定すると、銀含有率は0.2
8%(無水物)、0.27%(含水物)であった。ま
た、製造例1に記載の架橋型CMC−Na(DS=0.
56、0.55、0.54、0.58、0.55)を用
い、反応条件(硝酸銀等)を調整して銀含有率がそれぞ
れ、0.29%、0.30%、0.44%、0.57
%、0.65%の架橋型CMC−Agを製造した。
【0059】(製造例3)架橋型CMC−Caの合成 製造例1に記載の架橋型CMC−Na7.0347g
(DS=0.54、水分率:9.20%、無水物:6.
3875g)を水200mlに懸濁後、硝酸カルシウム
・四水和物2.7788gを加えて70.6時間振盪し
た。反応後、水、メタノールで洗浄し、真空乾燥後、架
橋型CMC−Ca5.79g(水分率:3.04%、無
水物:5.614g)を得た。カルシウム含有率を原子
吸光分析法で測定すると、カルシウム含有率は4.76
%(含水物で4.61%)であった。また、製造例1に
記載の架橋型CMC−Na(DS=0.58)を用い、
反応条件(硝酸カルシウム等)を調整してカルシウム含
有率が4.84%の架橋型CMC−Caを製造した。
【0060】(製造例4)架橋型CMC−Mgの合成 製造例1に記載の架橋型CMC−Na4.0729g
(DS=0.55、水分率:1.74%、無水物:4.
003g)を水200mlに懸濁後、硝酸マグネシウム
・六水和物1.6629gを加えて86.9時間振盪し
た。反応後、水、メタノールで洗浄し、真空乾燥後、架
橋型CMC−Mg4.0659g(水分率:1.74
%、無水物:3.8703g)を得た。マグネシウム含
有率を原子吸光分析法で測定すると、マグネシウム含有
率は2.67%(含水物で2.62%)であった。
【0061】(製造例5)架橋型CMC−Ag・Caの
合成 製造例1に記載の架橋型CMC−Na22.7649g
(DS=0.55、水分率:4.91%、無水物:2
1.6571g)を水200mlに懸濁後、硝酸銀13
1.2g、硝酸カルシウム・四水和物2.637gを加
えて、163時間振盪した。反応後、水、メタノールで
洗浄し、真空乾燥後、架橋型CMC−Ag・Ca21.
7077g(水分率:2.65%、無水物:21.13
24g)を得た。銀及びカルシウム含有率を原子吸光分
析法で測定すると、銀含有率は0.33%(含水物で
0.32%)で、カルシウム含有率は1.89%(含水
物で1.84%)であった。また、製造例1に記載の架
橋型CMC−Na(DS=0.53)を用い、反応条件
(硝酸銀や硝酸カルシウム等)を調整して、銀含有率が
0.37%、カルシウム含有率が0.86%の架橋型C
MC−Ag・Caを製造した。さらに、製造例2に記載
の架橋型CMC−Ag(DS=0.56、銀含有率:
0.29%)を用い、反応条件(硝酸カルシウム等)を
調整して、水分率:2.54%、銀含有率が0.28
%、カルシウム含有率が1.32%の架橋型CMC−A
g・Caを製造した。
【0062】(実施例1〜9)抄紙時の添加による銀含
有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩の添加 古紙からなる5層抄きライナーを各層毎に剥離し、その
各層の離解物を用いて、各層の紙層を抄紙した。抄紙す
るとき、表層から第2層目の紙層(いわゆる、表下)に
ついては、次の条件に従って、銀含有抗菌剤及びアルカ
リ土類金属塩を添加した。上記第2層の紙層の坪量が6
4g/m2 になるように紙料を調製し、銀含有抗菌剤と
して、製造例2で製造した架橋型CMC−Ag(DS=
0.55、銀含有率:0.30%)、及びアルカリ土類
金属塩として製造例3に記載の架橋型CMC−Ca(D
S=0.54、カルシウム含有率:4.76%)を表1
及び表2に示す量添加して抄紙し、その後、各層を重ね
て圧縮乾燥して、5層ライナーを製造した。得られた5
層ライナーを下記の方法にしたがって防かび試験を行っ
た。14日経過後の結果を表1及び表2に示す。なお、
表中の「Ag/紙」は、紙(第2層の紙層又は多層紙全
体)1gに添加したCMC−Ag中のAgの量(mg)
を示し、「Ca/リグニン」は、紙(第2層の紙層又は
多層紙全体)中に含まれるリグニン1g当たり添加した
CMC−Ca中のCaの量(μmole)を示す。
【0063】ここで、上記紙層中のリグニンの量は、下
記の方法により測定した。
【0064】リグニンの測定 TAPPI standard T236 hm−8
「パルプのカッパー価」及び、TAPPI UM246
「ミクロカッパー価測定法」に準拠して、上記紙層中
のカッパー価(Kappa number)を測定す
る。この測定されたカッパー価に係数(0.15)を乗
じることによりリグニン量が求められる。測定の結果、
この実施例に用いた第2層及び5層抄きライナー全層の
リグニン含有率は、それぞれ7.81重量%、7.49
重量%であった。
【0065】また、上記防かび試験は、下記の方法によ
り試験を行った。防かび試験 TAPPI(アメリカ紙パルプ技術協会)が規定するT
APPI Standard T 487 pm−85
に基づいて防かび試験を行った。すなわち、試験菌の栄
養源としてデキストロースを0.5%添加した無機塩寒
天培地に50×50mmの試験片を置き、試験菌の胞子
懸濁液を試験片にふりかけた。培養は30℃で14日間
行い、7日目と14日目にかびの生育を観察した。用い
た試験菌株は、アスペルギルス・ニガー TUA234
(Aspergillus niger TUA234)及び、アスペルギルス・
フミガタス IFO 6344(Aspergillus fumigatu
s IFO 6344)である。表中に示す防かび性評価について
の記号は下記の意味を示す。 ○:防かび性有り (菌糸の発育が認められない。) △:防かび性中程度(菌糸の発育部分の面積は、全体の
1/3を越えない。) ×:防かび性無し (菌糸の発育部分の面積は、全体の
1/3を越える。)。
【0066】(比較例1〜3)抄紙時の添加による銀含
有抗菌剤の添加。 銀含有抗菌剤として製造例2で製造した架橋型CMC−
Ag(DS=0.53、銀含有率:0.28%)を表3
に記載の量添加し、アルカリ土類金属塩を添加しない点
以外は、実施例1と同様にして5層ライナーを抄紙し
た。得られた5層ライナーを実施例1に記載の方法にし
たがって防かび試験を行った。14日経過後の結果を表
3に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】(結果)実施例1〜9と比較例1〜3か
ら、CMC−Caを添加した場合、銀の含有量が0.5
8mg/gと少ない場合でも防かび効果を示し、逆に、
CMC−Caを添加しない場合は、銀の含有量が1.2
mg/gと多い場合でも防かび効果を示さなかった。
【0071】(実施例10〜13)抄紙時の添加による
銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩の添加、並びにそ
の添加位置 銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属塩を5層ライナーの
第3層(坪量78g/m2 )に添加した以外は、実施例
1と全く同様にして5層ライナーを製造した。得られた
5層ライナーを実施例1に記載の方法にしたがって防か
び試験を行った。14日経過後の結果を表4に示す。
【0072】
【表4】
【0073】(結果)第3層に銀含有抗菌剤及びアルカ
リ土類金属塩を含有させた場合でも、防かび効果を示す
ことが明らかとなった。
【0074】(実施例14)抄紙時の添加による銀及び
アルカリ土類金属含有抗菌剤の添加 実施例1に記載の方法に従って、5層ライナーを抄紙し
た。添加した抗菌剤として、製造例5で製造した架橋型
CMC−Ag・Ca(DS=0.56、銀含有率0.2
8%、カルシウム含有率1.32%)を表5に記載の量
添加した。得られた5層ライナーを実施例1に記載の方
法に従って、試験菌株としてアスペルギルス・ニガー
TUA234(Aspergillus niger TUA234)を用いて防か
び試験を行った。7日経過後及び14日経過後の結果を
表5に示す。
【0075】
【表5】
【0076】(結果)銀とカルシウムの両方を含有する
CMC−Ag・Caは、実施例1〜9と同様に防かび効
果に優れた。この場合、CMC−Ag・Caの添加量は
上記のCMC−Ag及びCMC−Caを個別に添加した
総量よりも少なくなる利点を持っている。例えば、同一
銀添加量の下では、実施例14のCMC−Ag・Caの
添加量は20.6g/m2 であるのに対して、実施例9
のCMC−Ag及びCMC−Caの添加総量は25.7
g/m2 となるので、添加率約20%もの削減となっ
た。
【0077】(実施例15〜21)噴霧法による銀含有
抗菌剤及びアルカリ土類金属塩の添加 古紙からなる5層抄きライナーを各層毎に剥離し、その
各層の離解物を用いて、各層の紙層を抄紙した。このと
き、表層から第2層目の紙層を抄紙した後、この紙層の
裏面に製造例2で製造した架橋型CMC−Ag(DS=
0.54、銀含有率:0.44%)及び製造例3で製造
した架橋型CMC−Ca(DS=0.58、カルシウム
含有率:4.84%)の懸濁液を表6に記載の量をスプ
レーで噴霧した。その後、各層を重ねて圧縮、乾燥して
5層抄きのライナーを製造した。得られた5層ライナー
を実施例1に記載の方法にしたがって、試験菌株として
アスペルギルス・ニガー TUA234(Aspergillus
niger TUA234)を用いて防かび試験を行った。7日経過
後及び14日経過後の結果を表6に示す。
【0078】(比較例4〜6)噴霧法による抗菌剤の添
加 実施例15に記載の方法に従って5層ライナーを抄紙し
た。噴霧した銀含有抗菌剤として、製造例2で製造した
架橋型CMC−Agを表7に記載の量を添加し、アルカ
リ土類金属塩は添加しなかった。得られた5層ライナー
を実施例1に記載の方法にしたがって、試験菌株として
アスペルギルス・ニガー TUA234(Aspergillus
niger TUA234)を用いて防かび試験を行った。7日経過
後及び14日経過後の結果を表7に示す。
【0079】
【表6】
【0080】
【表7】
【0081】(結果)実施例15〜21と比較例4〜6
から、CMC−Caを添加した場合、銀の含有量が0.
31mg/gと少ない場合でも防かび効果を示し、逆
に、CMC−Caを添加しない場合は、銀の含有量が
0.47mg/gと多い場合でも防かび効果が弱かっ
た。また、実施例1〜9と実施例15〜21を比較する
と、噴霧法により紙層と紙層の間に噴霧したほうが、銀
含有抗菌剤の添加量が少量ですむことがわかった。
【0082】(実施例22〜25)アルカリ土類金属塩
として架橋型CMC−Mg使用 実施例15に記載の方法に従って5層ライナーを抄紙し
た。噴霧した銀含有抗菌剤として、製造例2で製造した
架橋型CMC−Agを表8に記載の量を添加し、アルカ
リ土類金属塩として、製造例4で製造した架橋型CMC
−Mgを表8に記載の量添加した。なお、表中の「Mg
/紙」は、紙(第2層の紙層又は多層紙全体)中に含ま
れるリグニン1g当たり添加したCMC−Mg中のMg
の量(μmole)を示す。得られた5層ライナーを実
施例1に記載の方法にしたがって、試験菌株としてアス
ペルギルス・ニガー TUA234(Aspergillus nige
r TUA234)を用いて防かび試験を行った。7日経過後及
び14日経過後の結果を表8に示す。
【0083】
【表8】
【0084】(結果)アルカリ土類金属塩として架橋型
CMC−Mgを用いた場合でも、防かび効果を示すこと
が明らかとなった。
【0085】(実施例26〜27)噴霧法による銀及び
アルカリ土類金属含有抗菌剤の添加 実施例15に記載の方法に従って5層ライナーを抄紙し
た。噴霧した銀含有抗菌剤として、製造例5で製造した
架橋型CMC−Ag・Ca(DS=0.53、銀含有率
0.37%、カルシウム含有率0.86%、及び、DS
=0.55、銀含有率0.33%、カルシウム含有率
1.89%)を表9に記載の量を添加した。得られた5
層ライナーを実施例1に記載の方法に従って、試験菌株
としてアスペルギルス・ニガー TUA234(Asperg
illus niger TUA234)を用いて防かび試験を行った。7
日経過後及び14日経過後の結果を表9に示す。
【0086】
【表9】
【0087】(結果)実施例26及び27と比較例6か
ら、Caを添加する際に、CMC−Ag・Caを用いた
場合にも実施例15〜21と同様に防かび効果に優れ
た。この場合、CMC−AgとCMC−Caの両方を加
える場合に比べて、CMCとしての総添加量が少量で良
いという利点を持つ。
【0088】(実施例28)抄紙白水による防かび性阻
害の無効化 古紙からなる5層抄きライナーを各層毎に剥離し、その
各層を抄紙白水を用いて離解し、各層の紙層を抄紙し
た。このとき、表層から第2層目の紙層を抄紙した後、
この紙層の裏面に先ずリン酸カルシウムの懸濁液をスプ
レーで噴霧した後、製造例2で製造した架橋型CMC−
Ag(DS=0.55、銀含有率0.65%)の懸濁液
を表10に記載の量を噴霧した。その後、各層を重ねて
圧縮、乾燥して5層抄きのライナーを製造した。得られ
た5層ライナーを実施例1に記載の方法に従って、防か
び試験を行った。7日経過後及び14日経過後の結果を
表10に示す。
【0089】(比較例7)抄紙白水による防かび性阻害 古紙からなる5層抄きライナーを各層毎に剥離し、その
各層を抄紙白水を用いて離解し、各層の紙層を抄紙し
た。このとき、表層から第2層目の紙層を抄紙した後、
この紙層の裏面に製造例2で製造した架橋型CMC−A
g(DS=0.55、銀含有率0.65%)の懸濁液を
表10に記載の量を噴霧した。その後、各層を重ねて圧
縮、乾燥して5層抄きのライナーを製造した。得られた
5層ライナーを実施例1に記載の方法に従って、防かび
試験を行った。7日経過後及び14日経過後の結果を表
10に示す。
【0090】
【表10】
【0091】(結果)比較例6に対し、紙料離解時に抄
紙白水を用いた比較例7は防かび性に劣るという結果と
なった。これは、抄紙白水中に含まれる成分、特に塩素
イオンによりCMC−Ag中の銀イオンが塩化銀に変化
し、散逸したためであると考えられる。一方、実施例2
8では防かび性に優れる結果が得られた。
【0092】リン酸カルシウムはハロゲンイオンを吸着
することが知られており、本法に於いては紙層中におけ
るハロゲンイオンをリン酸カルシウムに吸着させること
により固定化し、ハロゲンイオンと銀イオンとの反応を
防ぎ、銀分が塩化銀となって抄紙白水中に流出するのを
防ぐものである。このとき、リン酸カルシウムが固体で
存在さえすればよい。また、リン酸カルシウムは若干の
溶解度を持ち、微量に溶解したカルシウムイオンが実施
例15〜21及び26〜27と同様の機能を発揮し、リ
グニン等の防かび性阻害物質をマスクする働きを付与す
るものと思われる。
【0093】(実施例29〜32)合紙における銀、又
は銀及びアルカリ土類含有抗菌剤の添加 接着剤として酢酸ビニルエマルジョン又は尿素リン酸エ
ステル化コーンスターチを使用し、製造例5記載の架橋
型CMC−Ag・Ca(DS=0.56、銀含有率0.
28%、カルシウム含有率1.32%)を表11に記載
の量を混合したものを、ライナーにコート厚125μm
となるように塗工した。これに、坪量70g/m2 又は
坪量50g/m2 のクラフト紙を貼り合わせた。得られ
た合紙ライナーを実施例1に記載の方法に従って、試験
菌株としてアスペルギルス・ニガー TUA234(As
pergillus niger TUA234)を用いて防かび試験を行っ
た。14日経過後の結果を表11に示す。
【0094】(比較例8〜11)合紙における架橋型C
MC−Naの添加 実施例29〜32に記載の方法に従って、製造例1に記
載の架橋型CMC−Na(DS=0.55%)又は製造
例2に記載の架橋型CMC−Ag(DS=0.56%、
銀含有率0.29%)を表11に記載の量を使用して、
合紙ライナーを作成した。得られた合紙ライナーを実施
例1に記載の方法に従って、試験菌株としてアスペルギ
ルス・ニガー TUA234(Aspergillus niger TUA2
34)を用いて防かび試験を行った。14日経過後の結果
を表11に示す。
【0095】
【表11】
【0096】(結果)比較例9、11では、銀イオンが
存在しても防かび性は中程度であるのに対し、実施例2
9〜32では同一銀添加量でカルシウムイオンの存在に
より、防かび性が向上した。また、接着剤の種類や合紙
するクラフト紙の坪量に係わらず良好な防かび性を発揮
した。
【0097】
【発明の効果】この発明によれば、銀含有抗菌剤に含有
される銀よりも抗菌性阻害物質に取り込まれやすいアル
カリ土類金属を含有するアルカリ土類金属塩を抗菌剤と
共に、上記のリグニン等の抗菌性阻害物質を含有する紙
に配したので、リグニン等の抗菌性阻害物質に取り込ま
れる銀含有抗菌剤の量を低く抑えることができ、抗菌・
防かび効果を有効に発揮させることができる。
【0098】また、食品等の輸送時の段ボールや中敷に
用いると、これらが濡れによりかび等が発生し、かび等
のにおいが上記食品等につくのを防止することができ
る。
【0099】さらに、食品以外の雑貨、薬品、洗剤、化
粧品、タバコ、衛生材料等の包装容器等にも有効に使用
することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗菌性阻害物質を含有する紙に銀含有抗
    菌剤及びアルカリ土類金属塩を配してなる抗菌紙。
  2. 【請求項2】 上記紙は、所定数の紙層からなる紙であ
    り、上記アルカリ土類金属塩と上記抗菌性阻害物質を含
    有する上記紙層中の抗菌性阻害物質の存在比が、アルカ
    リ土類金属/抗菌性阻害物質=2μmole/g〜20
    0mmole/gである請求項1に記載の抗菌紙。
  3. 【請求項3】 アルカリ土類金属塩が、カルボキシル基
    含有化合物のアルカリ土類金属塩である請求項1又は2
    に記載の抗菌紙。
  4. 【請求項4】 銀含有抗菌剤が、カルボキシル基含有化
    合物の銀塩である請求項1から3のいずれかに記載の抗
    菌紙。
  5. 【請求項5】 カルボキシル基含有化合物がカルボキシ
    メチルセルロースである請求項3又は4に記載の抗菌
    紙。
  6. 【請求項6】 上記銀含有抗菌剤及びアルカリ土類金属
    塩を配する紙層が多層紙の表層から第2層目の紙層であ
    る請求項2から5のいずれかに記載の抗菌紙。
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