JP3015071B2 - 水解性シートおよび水解性包装体 - Google Patents

水解性シートおよび水解性包装体

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JP3015071B2 JP2164775A JP16477590A JP3015071B2 JP 3015071 B2 JP3015071 B2 JP 3015071B2 JP 2164775 A JP2164775 A JP 2164775A JP 16477590 A JP16477590 A JP 16477590A JP 3015071 B2 JP3015071 B2 JP 3015071B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、水解性シートおよび水解性包装体に関す
る。
従来の技術 水溶性ないし水解性包装体は、水に溶解ないし分散さ
れて使用される薬剤等の包装体や、内容物を取り出した
のちに水中に投棄しうる包装体として用いられており、
具体的には、衣料用洗剤のワンパック包装、農園芸用の
除草剤、殺虫剤、殺菌剤等を含有する水和剤の包装体
が、肥料の包装体、種苗の包装体、染料の包装体、衛生
生理用品の個装包装体等に広く用いられている。
従来より、水溶性ないし水解性包装体としては、カル
ボキシメチルセルロース系のシートから作製したもの
や、ポリビニルアルコールなどの水溶性フィルムから作
成したものが用いられている。
繊維状カルボキシメチルセルロースまたはカルボキシ
エチルセルロースを基材として用い水溶性ないし水解性
シートとすることは、特公昭40−968号公報、同42−292
5号公報、同43−1214号公報、同48−27605号公報、特開
昭60−139389号公報、同60−139899号公報、米国特許第
3,431,166号明細書等に報告されている。例えば特開昭4
8−27605号公報では、エーテル化度0.1〜1.0のカルボキ
シメチルセルロース(CMC)等を含む抄紙原料を抄造し
て湿紙とし、フェルト上でこの湿紙にアルカリ金属化合
物を添加して水溶性化し、乾燥して水溶性シートを得て
いる。
しかしながら、このような従来のCMC系水溶性ないし
水解性シートは、以下のような問題点があった。
製造に際して、抄紙が困難である。
得られたシートの強度が十分でなく、吸放湿性が大
きいため、加工しにくい。
溶解性、特に冷水に対する溶解性が十分でない。
製造工程の関係で少量のアルカリ分が水解性シート
中に残留することが避けられないため、シートの保存
中、特に夏期高温・高湿期の保存、輸送中などに変色し
たり、粘着性を示す。
保存により、水溶性が劣化する。
これらの問題を解決すべく、本発明者らは先に、強度
を改善し抄紙工程を容易にするために、カルボキシメチ
ルセルロースまたはカルボキシエチルセルロース基材中
に、水不溶性ないし水難溶性無機粉体を内添した水解性
シート状体を提案した(特願平1−226188号)。
さらに本発明者らは、このシート状体が湿潤時に紙力
が弱くなることから、湿潤強度を向上させるために水分
散性製紙用繊維を混抄することを提案した(特願平1−
318447号)。
しかし、上記の水解性シート状体は、ヒートシール性
が無いため包装体の製造や内容物の封入時の作業性が悪
く、また、包装体としての強度の点で問題があった。
一方、水溶性フィルムとしては、プルラン、ポリビニ
ルアルコール系樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、ポ
リビニルエーテル、ポリビニルピロリドン等の天然およ
び合成樹脂からなるものが知られており、中でも、ポリ
ビニルアルコール系の水溶性シートが最も広く用いられ
ている。これは、ケン化度80〜95モル%のポリビニルア
ルコールをシート状にしたものであるが、長期保存など
により硬化し、冷水に対する速やかな溶解性が失なわれ
るという問題があった。また、その伸度により、包装材
料などとして用いた場合に作業性が悪く、生産効率に悪
影響を与えるという問題もある。
発明が解決しようとする課題 本発明は、冷水に対しても速やかに溶解ないし分散
し、引張強度、作業性等に優れた水解性シートおよび水
解性包装体を提供するものである。
発明の構成 本発明の水解性シートは、(b)カルボキシメチルセ
ルロースまたはカルボキシエチルセルロース基材中に、
(a)水不溶性ないし水難溶性無機粉体を重量比で
(a)/(b)=90/10〜20/80の範囲で抄紙性改良剤と
して内添した水解性シート状基体上に、ヒートシール性
の水溶性高分子層を形成したことを特徴とする。
本発明の水解性包装体は、この水解性シートを重ね合
わせ、ヒートシール性の水溶性高分子層をホットメルト
接着して封着し、水解性シートを容器状に成形したこと
を特徴とする。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
第1図は、本発明の水解性シート11の構成例を示す断
面図であり、水解性シート状基体13の片面上に、ヒート
シール性の水溶性高分子層15が形成されている。
ここで、本発明で、水解性シート状基体、水溶性高分
子層のように、「水解性」「水溶性」の2つの表現を使
用しているが、これは水中に溶解、分散していくという
意味で本質的に変わりはない。ただ、水解性シート状基
体は、必須成分として水に溶解しない水不溶性ないし水
難溶性無機粉体を含有しているため、「水解性」なる表
現を用いているだけである。なお、このことは、水溶性
高分子層への水不溶性ないし水難溶性物質の添加を排除
することを意味しない。
水解性シート状基体13は、カルボキシメチルセルロー
ス(以下、CMCと呼ぶ)またはカルボキシエチルセルロ
ース(以下CECと呼ぶ)基材中に、水不溶性ないし水難
溶性無機粉体が内添されて形成されている。
水解性シート状基体13において用いられるCMCまたはC
ECは、セルロースの水酸基の一部をカルボキシメチル基
またはカルボキシエチル基で置換した構造をとるもので
あり、本発明に適した置換度(以下、DSと略し、グルコ
ース単位当たりの置換度で示す)は、0.1〜1.5の範囲で
ある。DSが0.1未満の場合、得られたシート状体は十分
な水解性を示さない。一方、DSが1.5を超えても、高DS
化のために製造コストが高くつく割には、性能が向上し
ない。好ましくはDSが0.2〜1.0の範囲である。
水解性シート状基体13において用いられる水不溶性な
いし水難溶性無機粉体としては、非金属無機物、金属、
水不(難)溶性塩などが用いられる。これらの具体例と
しては、酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化
物;炭化ケイ素、炭化ホウ素等の炭化物;四窒化三ケイ
素、窒化ホウ素などの窒化物;水酸化アルミニウム、水
酸化マグネシウムなどの金属水酸化物;雲母、長石族、
シリカ鉱物族、粘土鉱物、合成ゼオライト、天然ゼオラ
イト等の珪酸塩鉱物;チタン酸カリウム、チタン酸バリ
ウム等のチタン酸塩化合物;炭酸カルシウム、炭酸バリ
ウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩化合物;
硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム等
の硫酸塩化合物;珪酸亜鉛、珪酸マグネシウム、珪酸カ
ルシウム、珪酸バリウムなどの珪酸塩化合物;リン酸亜
鉛などのリン酸塩化合物等が挙げられ、単独で、あるい
は2種以上併用して用いられる。
上記無機粉体の中でも、特に好ましくはゼオライト、
カオリン、タルク、活性白土、酸性白土、炭酸カルシウ
ムである。ゼオライトとしては、A型、X型、Y型など
が用いられる。
水不溶性ないし水難溶性無機粉体の粒径は、30μm以
下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜10μmの範囲で
ある。粒径が大きすぎるとCMCまたはCECとの分散性が十
分でなく、また、粒径が小さすぎると無機粉体の歩留り
が十分でなく抄紙時の水性が悪くなり、いずれの場合
も十分なシートを抄紙することができない。
無機粉体は、(a)無機粉体と(b)CMCまたはCEC基
材との重量比が、好ましくは(a)/(b)=90/10〜2
0/80となるように混抄される。この比率が90/10を超え
無機粉体が多くなると、抄紙は困難になり、強度が弱く
シート状体として使用することとが難しくなる。一方、
上記の重量比が20/80未満となると、無機粉体の添加効
果が十分に発揮されず、抄紙時にワイヤーとの剥離が困
難となり、また、得られるシート状体が若干固くなる。
さらに、水解性シート状基体13には、CMCまたはCECと
水不溶性ないし水難溶性無機粉体とに加え、水分散性製
紙用繊維を混抄することができ、これにより、水解性シ
ート状基体13の湿潤強度を向上させることができる。
水分散性製紙用繊維としては、本質的に水への分散性
能を有する繊維素材であれば良く、特に限定されない。
具体的には、木材パルプ繊維、非木材系植物繊維、レー
ヨン繊維等を挙げることができる。水解性シートあるい
は包装体の用途に応じて、例えば製紙用のクラフトパル
プまたはサルファイトパルプ、化繊用の溶解パルプなど
が好適に使用されるが、ワラパルプ、麻パルプ、綿パル
プなどの如き植物繊維、ポリアミド、ポリエステルなど
の如き合成繊維、さらにはガラス繊維、石綿、ロックウ
ール、スラグウール、シリカウール、シリカアルミナウ
ールなどの如き無機質繊維も使用できる。
水分散性製紙用繊維の繊維長は、一般には約40mm以
下、好ましくは約30mm以下であり、特に20mm以下の繊維
長が最適である。繊維長が約40mmより長いものがシート
状体にかなりの量で存在していると、繊維は水中で分散
してバラバラになるが、その長さによって繊維の“な
わ”を形成する傾向があり、流動性を悪くする。一方、
繊維長が1mmより短いと、得られたシート状基体の湿潤
強度改善効果が低下する。
水分散性製紙用繊維の混抄量は、無機粉体とCMCまた
はCECとの合計量の50重量%以下とすることが好まし
い。これは、50重量%を超えると水中での繊維の結束が
生じやすくなるからである。一方、繊維の使用量が少な
すぎると湿潤強度の改善効果が十分に得られない。無機
粉体とCMCまたはCECとの混合物100重量部に対して、水
分散性製紙用繊維を、5〜50重量部添加することが好ま
しく、特に20重量部以下が最適である。
本発明の水解性シート状基体は、例えば、水不溶性な
いし水難溶性状態の繊維状CMCまたはCECと無機粉体、あ
るいは更に水分散性製紙用繊維を均一に混合して抄紙原
料とし、これを抄紙してシート状の湿紙とし、次に必要
に応じて湿紙を脱水した後、湿紙を可溶化処理すること
により製造される。なお、製造方法自体は特に限定され
ず、例えば、無機粉体を抄紙原料中に混合し、混抄して
シート状に抄紙する以外は、前述の特公昭48−27605の
方法をそのまま適用することもできる。
また、CMCまたはCECと無機粉体との混合に際して、凝
集剤を共存せしめることにより、抄紙性をよりいっそう
向上させることができる。
凝集剤としては、ポリアクリルアマイド類、ポリアク
リル酸ソーダ、ポリエチレングリコール類等の高分子系
凝集剤、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第
2鉄、硫酸第2鉄などの無機系凝集剤、カチオン変性デ
ンプン、酸化デンプン、ジアルデヒドデンプン等のデン
プン誘導体等の天然系凝集剤などが用いられる。凝集剤
が固型分に対して用いられる量は、凝集剤の種類や抄紙
条件により決定されるが、0.01〜10重量%程度が好適で
ある。
水不(難)溶性状態のCMCまたはCECとしては、遊離酸
の状態のCMC−H、CEC−H、その他種々の塩、例えば、
カルシウム塩(CMC−Ca,CEC−Ca)、アルミニウム塩(C
MC−Al,CEC−Al)、バリウム塩(CMC−Ba,CEC−Ba)、
亜鉛塩(CMC−Zn,CEC−Zn)、スズ塩(CMC−Sn,CEC−S
n)、マンガン塩(CMC−Mn,CEC−Mn)などを用いること
ができ、これらは単独で、あるいは2種以上併用して用
いられる。
CMC−H等の水不溶性状態の繊維状CMCまたはCECと無
機粉体、および必要に応じて凝集剤、あるいはその他の
添加剤を水中に分散させて抄紙原料とする。
この抄紙原料(紙料)を長網抄紙機、円網抄紙機等の
抄紙機のワイヤパート(長網部、円網部)に供給して湿
紙を形成する。この湿紙は、ついで、プレスパート(圧
搾部)、ドライパート(乾燥部)に順次移送されて、脱
水、乾燥され、シート状基体とされる。
但し、上記湿紙をそのままシート状基体に成形したの
では、得られたシート状基体は十分な水解性を示さな
い。そこで、湿紙に適当な段階で、噴霧、塗工等により
アルカリ剤を添加するなどして、水溶性化する。
アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム等の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリ
ウム等の炭酸塩、硼砂等の硼酸塩、第二燐酸ナトリウム
等のリン酸塩、珪酸ナトリウム等の珪酸塩、およびこれ
らの混合物などが用いられる。これらのアルカリ剤は、
湿紙の損壊を防ぐために、メタノール、アセトン等の有
機溶媒を含む水溶液の形で添加されることが好ましい
が、添加方法、アルカリ剤の種類によっては、単に水溶
液の形で添加してもよい。
アルカリ剤の添加量は、湿紙がCMC−HまたはCEC−H
を主体として構成されている場合には、湿紙中に含有さ
れているCMC−HまたはCEC−Hの中和当量以上、好まし
くは、水解性シート状基体の経時変化による劣化を考慮
して中和当量の1〜2倍量が適当である。また、CMC−A
l等の金属塩を主体として構成されている場合には、湿
紙を乾燥した後の紙のpHが7〜12、好ましくは7.5〜9.5
の範囲になるように調節することが望ましい。アルカリ
処理の後乾燥することにより、湿紙がCMC−HまたはCEC
−Hを主体として構成されている場合はCMC−HまたはC
MC−Hがアルカリ塩に変化し、CMC−Al等の金属塩を主
体として構成されている場合は、アルカリ剤が表面およ
び繊維間に付着して、水解性を示すシート状基体が得ら
れる。
このようなシート状基体は、大多量の水中で、水に溶
解ないし分散する。
水溶性高分子層15は、ヒートシール性を有する水溶性
高分子、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレン
オキサイド樹脂、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロ
リドンなどから形成される。
水溶性高分子層15は、ヒートシール性の水溶性高分子
を、キャスト法、溶融成形法等でフィルム状に成形し、
これをドライラミネーション法あるいはエクストルージ
ョンラミネーション法等で、水解性シート状基体13上に
積層一体化してもよく、また、水溶液流延法等により、
水解性シート状基体13上でフィルム化し積層一体化して
もよい。さらに、水溶性高分子を溶融状態で、あるいは
適当な溶媒に溶解して水解性シート状基体13上に塗布ま
たは噴霧してもよい。このように、水溶性高分子層15
は、フィルム状の連続層であることは必ずしも必要でな
く、水解性シート11にヒートシール性を付与するに足る
量で水溶性高分子が付着して形成されていればよい。な
お、水溶性高分子層15をフィルム状の連続層とすること
により、水解性シートの引張強度を改善することができ
る。
また、水溶性高分子層15は多層構造とすることもで
き、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムとポリエ
チレンオキサイド樹脂フィルムを積層させた水溶性多層
フィルムから形成してもよい。
水溶性高分子のうち、ポリビニルアルコールとして
は、平均重合度100〜3000、好ましくは200〜2000、ケン
化度80〜95モル%のものが好適である。ポリビニルアル
コールは、ケン化度が高くなりすぎると冷水不溶性とな
る性質を有している。一方、ケン化度が低下すると、疎
水性が強くなって曇点が低下して温水不溶性となり、さ
らにケン化度が下がると水不溶性となる。また、ポリビ
ニルアルコールに各種変性基を導入して改質することも
でき、例えば、カルボン酸基等を導入したアニオン変性
ポリビニルアルコール、オレフィン等で変性したノニオ
ン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニル
アルコール等の変性ポリビニルアルコールが用いられ
る。
また、ポリエチレンオキサイド樹脂は、通常の製法で
製造されるエチレンオキサイドの付加重合物であり、重
量平均分子量10,000以上のものが好適である。
本発明で用いられる水溶性高分子中には、可塑剤、充
填剤、補強材、着色剤等の添加剤を配合することができ
る。例えば用途によって水解性シートに柔軟性が強く要
望される場合は、グリセリン、エチレングリコールまた
はその重合体などを添加することが適当であり、防湿性
が必要な場合にはペンタエリスリトール等の多価アルコ
ール等を配合すればよい。また、無機粉体であるクレ
ー、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム等の顔料や、
色素、界面活性剤、スリーブ性付与剤を配合することも
できる。
水解性高分子の付着量は、(A)水解性シート状基体
13と(B)水溶性高分子層15との重量比で(A)/
(B)=99.5/0.5〜10/90が好適であり、より好ましく
は99/1〜50/50、さらに好ましくは、90/10〜60/40であ
る。
本発明の水解性シート11の厚さは、特に限定されず、
目的や用途によって自由に変えることができるが、一般
に80〜300μm程度が適当であり、好ましくは90〜200μ
m、さらに好ましくは100〜150μmである。また、水溶
性高分子層15として高分子フィルムを積層する場合は、
5〜150μm程度が適当であり、好ましくは7〜60μm
である。高分子フィルムには、エンボス加工、プラズマ
処理、密着防止加工等の表面処理を施すこともできる。
第2図は本発明の水解性包装体の構成例を示す斜視
図、第3図はその線A−Aに沿った一部省略断面図であ
る。
水溶性高分子層15が内側にくるように2枚の水解性シ
ート11を重ね、内容物23を収納、充填したのち、周縁部
をヒートシールして、パック状の水解性包装体21を構成
している。水溶性高分子層15が内側に位置し、直接大気
に曝されることがないので、ポリビニルアルコールのよ
うに長期保存により、硬化し、冷水に対する溶解性が低
下しやすい素材を用いても、この低下が防止される。ま
た、伸び等の機械的性質は外側の水解性シート状基体13
により規制されるので、ポリビニルアルコールのように
伸度が大きい材料を用いても、包装作業性が悪くなるこ
ともない。
また、上記の構成例では、1枚の水解性シートを折り
重ねて袋状の包装体を形成する場合を示したが、2枚の
水解性シートを重ね3辺をヒートシールして袋状の包装
体としてもよく、さらには本発明の水解性シートと他の
シート等とを重ね合わせてもよい。また、包装体の形状
も袋状に限定されず、いずれでもよい。
発明の効果 本発明によれば、CMCまたはCECを基材として水不溶性
ないし水難溶性無機粉体が内添された水解性シート状基
体上に、ヒートシール性を有する水溶性高分子層を形成
することより、冷水に対しても速やかに溶解ないし分散
し、引張強度等にも優れ、しかも、ヒートシール処理が
可能なので包装材料として優れた水解性シートを得るこ
とができる。
また、この水解性シートを用いた水解性包装体は、丈
夫で、冷水に対して速やかに溶解する。
よって本発明の水解性シートおよび包装体は、水溶性
が要求される幅広い分野に応用でき、例えば、衣料用洗
剤、漂白剤,ポリアクリル酸ナトリウム等を包装して使
用に供する個装包装体;肥料の個装包装体;殺虫剤、殺
菌剤、除草剤等の農薬の個装包装体;浴剤、パイプ洗浄
剤等の個装包装体;染料の個装包装体;衛生生理用品の
個装包装体などに利用できる。
以下実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する
が、これに先立って実施例で採用した評価方法を説明す
る。
(1)水溶性 内容物を封入した包装体を10℃の水道水40中に入
れ、内容物が水中に分散し始める時間を測定した。な
お、実施例5の生理用ナプキンについては、包装体のみ
を水中に入れて測定した。
(2)長期安定性 内容物を封入した包装体を、50℃の室内、あるいは40
℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽に30日間放置した後、上
記(1)の方法により水溶性を評価した。
(3)引張強度 得られた水解性シートを20℃×65%RHに48時間保存
後、幅25mmの試験片とし、つかみ幅150mm、引張速度300
mm/分で引き裂く時の破断速度を引張速度の値とした。
(4)ヒートシール性(作業性) ヒートシーラーにより、140℃で1秒間接着させ、接
着状態を確認した。
実施例1 繊維状CMC−H(エーテル化度DS=0.65、ニチリン化
学製)60重量部とゼオライト(A型、Na2O・2SiO2・Al2
O3・4.5H2O、平均粒径5μ、水沢化学製)40重量部とか
らなる混合抄紙原料を水に分散してスラリー溶液とし、
シートマシンにより手抄きシート(坪量約70g/m2)を作
成した。
得られたシートを120℃のロール回転乾燥機でシート
状物に乾燥させた後、3重量%の水酸化ナトリウムを含
有する50%メチルアルコール溶液を含浸させた後、110
℃で乾燥し、水解性シート状基体を作成した。
さらに、この水解性シート状基体に、平均重合度55
0、ケン化度88.2モル%のポリビニルアルコール系水溶
性フィルムを水溶液流延法により積層して14μmの水溶
性高分子層を形成し、厚さ125μmの水解性シートを得
た。
この水解性シートを16×11cmに切断し、衣料用高嵩密
度洗剤を充填し、ヒートシールして第2図に示した水解
性包装体を作成した。
これら水解性シートおよび包装体の評価結果は、以下
の各実施例および比較例とともに、後記表−1にまとめ
て示した。
実施例2〜4 実施例1のゼオライトの代りに、下記の無機粉体を用
いる他は実施例1と同様にして、水解性シートおよび包
装体を作成した。
実施例2:タルク(MgO・SiO2,日本ミストロン製) 実施例3:活性白土(ガレオンアース,水沢化学製) 実施例4:カオリン(HI−WHITE,二成共益製) 実施例5 繊維状CMC−H(エーテル化度DS=0.65,ニチリン化学
製)80重量部、ゼオライト(A型 Na2O・2SiO2・Al2O3
・4.5H2O,平均粒径5μ,水沢化学製)20重量部および
繊維長3〜20mmのNBKPパルプ(針葉樹晒クラフトパル
プ)20重量部より成る混合抄紙原料より坪量50g/m2の手
抄きシートを作成した。
ついで、実施例1と同様に処理して水解性シート状基
体とし、さらに実施例1と同様に水溶性高分子層を形成
して厚さ114μmの水解性シートを得た。
この水解性シートを6×13cmに切断し、生理用ナプキ
(エルディー,ライオン製)を1個入れてヒートシール
して水解性包装体を作成した。
実施例6 実施例1と同じく水解性シート状基体を作成した。
さらに、上記水解性シート状基体に、ポリビニルアル
コール(平均重合度550、ケン化度88.2モル%)とポリ
エチレンオキサイド樹脂(重量平均分子量約50万)の2
層フィルムを積層し、厚さ135μの水解性シートを得
た。
この水解性シートを16×11cmに切断し、衣料用濃縮洗
剤を33g充填し、ヒートシールして水解性包装体を作成
した。
実施例7 実施例1と同様に水解性シート状基体を作成した。
この水解性シート状基体に、1m2当り、ポリビニルア
ルコール(平均重合度550、ケン化度80モル%)20gを含
有する水溶液を均一に塗布、含浸して水解性シートを得
た。
この水解性シートを16×11cmに切断し、衣料用高嵩密
度洗剤を充填し、ヒートシールして水解性包装体を作成
した。
比較例1 水溶性フィルムとして、厚さ20μmのポリビニルアル
コール(平均重合度500、ケン化度90モル%)シートを
用い、これを16×11cmに切断し、衣料用濃縮洗剤を33g
充填し、ヒートシールして水解性包装体を作成した。
以上の詳細および評価結果を以下の表−1にまとめ
た。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の水解性シートの構成例を示す断面図
である。 第2図は本発明の水解性包装体の構成例を示す斜視図、
第3図はその線A−Aに沿った一部省略断面図である。 11……水解性シート 13……水解性シート状基体 15……水溶性高分子層 21……水解性包装体 23……内容物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 D21H 1/00 - 27/42

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(b)カルボキシメチルセルロースまたは
    カルボキシエチルセルロース基材中に、(a)水不溶性
    ないし水難溶性無機粉体を重量比で(a)/(b)=90
    /10〜20/80の範囲で抄紙性改良剤として内添した水解性
    シート状基体上に、ヒートシール性の水溶性高分子層を
    形成したことを特徴とする水解性シート。
  2. 【請求項2】前記水解性シート状基体が、水不溶性ない
    し水難溶性状態のカルボキシメチルセルロースまたはカ
    ルボキシエチルセルロースと、水不溶性ないし水難溶性
    無機粉体とを混抄した後、アルカリ剤を添加して上記カ
    ルボキシメチルセルロースまたはカルボキシエチルセル
    ロースを水溶性化したものである請求項1に記載の水解
    性シート。
  3. 【請求項3】前記水解性シート状基体が、カルボキシメ
    チルセルロースまたはカルボキシエチルセルロースと水
    不溶性ないし水難溶性無機粉体との合計重量の50%以下
    の重量で、水分散性製紙用繊維を含む請求項1記載の水
    解性シート。
  4. 【請求項4】前記水解性シート状基体が、水不溶性ない
    し水難溶性状態のカルボキシメチルセルロースまたはカ
    ルボキシエチルセルロースと、水不溶性ないし水難溶性
    無機粉体および水分散性製紙用繊維とを混抄した後、ア
    ルカリ剤を添加して上記カルボキシメチルセルロースま
    たはカルボキシエチルセルロースを水溶性化したもので
    ある請求項3に記載の水解性シート。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか一項に記載の水解
    性シートを重ね合わせ、ヒートシール性の水溶性高分子
    層をホットメルト接着して封着し、水解性シートを容器
    状に成形したことを特徴とする水解性包装体。
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