JPH10186150A - 光合分波器または光分岐結合器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】容易に製作でき、かつ不良品が少ない光合分波
器または光分岐結合器を提供する。 【解決手段】光導波路基板１は、基板表面１１に露出し
て曲率を持った光導波路コア部３が形成されている。同
様に、光導波路基板２にも基板表面２１に露出して光導
波路コア部４が形成されている。その光導波路基板１と
光導波路基板２を基板表面１１及び２１どうしを重ね合
わせて、光導波路コア部３と光導波路コア部４とが中心
部で互いに重なり合わせ、結合領域５を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、光通信分野におい
て用いられる光モジュールに関するものであり、特に光
合分波器や光分岐結合器として使用する光回路の構成に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の光合分波器または光分岐結合器の
構成は、図６に示すような２本の光ファイバ６，７を平
行に並列させ、加熱し、融着及び延伸させて作製する光
ファイバカプラが良く用いられている。光ファイバ６，
７を加熱、延伸する手段としては、マイクロバーナを用
いて火炎により加熱する方法や、電気ヒータを用いて加
熱する方法が一般的に用いられている。融着延伸部８に
おいては、２本の光ファイバ６，７のコア部６２，７２
のコア径は延伸前のコア径より小さくなっており且つ非
常に近い距離で隣接して並列している。

【０００３】これにより、光ファイバ６の入力ポート６
１から入射した光は、融着延伸部８において分布結合を
生じ、光がコア６２の中を進行するに従い、光のパワー
の一部が、徐々に光ファイバ７のコア７２に移行してい
く現象を起こし、光ファイバ６の出力ポ−ト６３及び光
ファイバ７の出力ポート７３から所望の光出力の分岐比
に従い出力される。

【０００４】また、ガラス基板上に微細加工技術を用い
て作製した二本の平行な光導波路を近接して並列させ、
二本の導波路間で分布結合を生じさせた光導波路型の光
合分波器または光分岐結合器もあった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図６に
示すような従来の光ファイバカプラを作製する場合、バ
ーナの火炎を常に定常の条件に保つのが難しく、特性が
同一の製品を安定して製造するのが難しいという問題が
あった。また、一度融着延伸してしまった光ファイバカ
プラの分岐比特性を修正しようとした場合、更に延伸を
して最適条件を見つけださなければならず、製品長が長
くなってしまうために、修正せずに不良品として無駄に
していた。

【０００６】また、従来の光導波路型の光合分波器また
は光分岐結合器の場合は、製作される製品の均一性や、
再現性という面では非常に優れており、量産に適してい
るが、種々の分岐比特性を要求された場合、各特性仕様
に合わせて、微細加工用のマスク設計から行わなければ
ならず、少量多品種の製品を低コストで製作する事には
不向きであった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題に鑑
みてなされたものであり、２本の光導波路を結合させて
なる光合分波器または光分岐結合器において、表面また
は表面付近に少なくとも一部が曲率を有する光導波路を
形成した光導波路基板どうしを重ね合わせ、光導波路の
曲率部分が結合領域となるようにした光合分波器または
光分岐結合器である。あるいは、表面または表面付近に
一直線の光導波路を形成した光導波路基板と、表面また
は表面付近に少なくとも一部が曲率を有する光導波路を
形成した光導波路基板どうしを重ね合わせ、光導波路の
直線部分と曲率部分とが結合領域となるようにした光合
分波器または光分岐結合器である。

【０００８】さらには、光導波路の結合領域となる部分
のコア径を、他のコア径よりも大きく、あるいは光導波
路間または光導波路結合領域内に、波長分離機能、全反
射機能、あるいは半透過機能を有する素子を挿入した光
合分波器または光分岐結合器としたものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を用
いて説明する。図１は、本発明による光合分波器または
光分岐結合器であり、（ａ）は斜視図、（ｂ）は平面図
を示す。この光合分波器または光分岐結合器は、２つの
光導波路基板１及び２から構成されている。光導波路基
板１には、基板表面１１に露出して、曲率を持った光導
波路コア部３が形成されている。光導波路コア部３の屈
折率は、光導波路基板１の屈折率よりも高くなってお
り、入射ポート３１から入射した光は、光導波路コア部
３の中を漏洩することなく伝搬していく。同様に、光導
波路基板２にも基板表面２１に露出して光導波路コア部
４が形成されている。

【００１０】光導波路基板１と光導波路基板２は、基板
表面１１と基板表面２１を重ね合わせて、光導波路コア
部３と光導波路コア部４とが中心部で互いに重なり合わ
せ、結合領域５を形成させている。この結合領域５によ
り、光導波路１のポート３１から入射し光導波路コア部
３を伝搬してきた光は、結合領域５において、重なり合
った光導波路コア部４に光のパワーの一部が移行し、入
力光のパワーは分岐される。分岐された光は光導波路コ
ア部４を伝搬し、光導波路基板２のポート４２から出力
される。また、移行せずに残った光は、光導波路コア部
３を伝搬していき、光導波路基板１のポート３２から出
力される。ポート３２とポート４２から出力される光の
分岐比は、結合領域５の相互作用領域の長さで決まる。
その制御は、光導波路コア部３，４のコア径が一定の場
合、光軸方向か又は光軸直角方向方向に光導波路基板２
を光導波路基板１に対して相対的にずらし、結合領域５
の大きさを調整することで行えばよい。

【００１１】本発明による光合分波器または光分岐結合
器を製作するには、基板表面に曲率を持った光導波路が
形成されている２つの光導波路基板を用意する。光導波
路基板の構造は全く同じものでもかまわない。その２つ
の光導波路基板どうしを光導波路を有する面が互いに当
接するように重ね合わせる。そして、所望の分岐比が得
られるように結合領域、すなわち基板どうしの重ね合わ
せの割合を制御して、その後接着剤等を用いて固定す
る。

【００１２】本実施例の製作方法によれば、一方の光導
波路基板をスライドさせるだけで重ね合わせの割合の調
整が自由にかつ簡易に実施でき、例えば実際に光導波路
に光を入射し、出射する光のパワーをモニターしながら
重ね合わせの割合を調整する製作方法をとることがで
き、最適分岐比を得るための微調整を容易に行うことが
でき製品の歩留まりを向上させることが出来る。又、製
作した後、所望の分岐比が得られなかった場合、分解し
て再度組み立てる事も可能である。

【００１３】なお、本実施例では、曲率を持った光導波
路コア部３，４を設けた光導波路基板１，２の場合を説
明している。しかし、一方が曲率を持った光導波路コア
部を設けた光導波路基板と、他方が一直線の光導波路コ
ア部を設けた光導波路基板との場合でも同様に結合領域
を形成することができる。

【００１４】このような構成により、結合領域５、すな
わち重ね合わせの割合の調整をするだけで、容易に種々
の分岐比の光合分波器または光分岐結合器を製作する事
が可能となる。また、分岐比の制御が光導波路基板をス
ライドさせるだけで容易に実現できる事から、光導波路
基板どうしを接続固定せずに光導波路をスライドさせる
稼働機構を設け、分岐比可変の装置を容易に構成するこ
とが可能となる。光導波路基板をスライドさせる方向
は、任意な方向が可能であるが、微妙な分岐比の制御を
実施するためには、基板長手方向、つまり導波路の進行
方向に沿った方向が結合領域の変化が移動量に対して少
ないため好ましい。また、２つの光導波路基板の長さや
大きさを変えることにより、一方の光導波路基板上を他
方の光導波路基板が所定量移動しても必ず端からはみ出
さないようにすることができる。

【００１５】光導波路基板１の構造は、図１で説明した
実施例では、図２（ａ）の側面図に示すように、基板表
面１１に光導波路コア部３が露出している構造の光導波
路基板を用いたが、図２（ｂ）の側面図に示すように、
埋込型光導波路を基板表面近傍に形成した構造の光導波
路基板を重ね合わせて分布結合領域を設けても、同様の
機能を持つ光合分波器または光分岐結合器を製作するこ
とが出来る。

【００１６】また、図３に示すように結合領域５の光導
波路コア部３，４のコア径を入力ポート３１，４１や出
力ポート３２，４２付近のコア径よりも拡大させても良
い。コア径を拡大させることにより、結合領域５が大き
くなり、より精密な分岐比制御が可能となる。

【００１７】図４の平面図は、本発明による他の実施例
を示す。光合分波器または光分岐結合器の各ポートには
実際には光ファイバが接続される場合が多い。その接続
部においては、接続損失が小さくかつ容易に実装出来る
のが好ましい。そのために、光導波路３の入力ポート３
１、出力ポート３２が光導波路基板１の端面に対して直
交に配置されている構造とした方が、より簡易な光合分
波器または光分岐結合器の製作が可能となる。そのため
に、入力ポート３１、出力ポート３２付近の光導波路コ
ア部３を直線とし、結合領域付近の光導波路コア部３を
曲率を持たせた。

【００１８】図５（ａ）および図５（ｂ）の斜視図は、
本発明による他の実施例を示し、重ね合わせる二つの光
導波路基板１，２の間、あるいは光導波路基板表面１
１，２１に対して垂直もしくは角度を持たせて波長分離
や反射などの種々の機能をもった素子９を挿入した構造
とし、新たな機能を付加させた光合分波器または光分岐
結合器を製作することも容易に出来る。素子９が持つ機
能としては、波長分離機能、全反射機能、あるいは半透
過機能などが考えられる。この素子９の挿入方法は、光
導波路基板１，２に直接膜形成する方法や、予め製作し
た素子９を挿入する方法のいずれでも可能であり、素子
９の形状や機能に合わせて選択すれば良い。

【００１９】

【発明の効果】以上、本発明によれば、表面または表面
付近に少なくとも一部が曲率を有する光導波路を形成し
た光導波路基板どうしを重ね合わせ、あるいは表面また
は表面付近に一直線の光導波路を形成した光導波路基板
と、表面または表面付近に少なくとも一部が曲率を有す
る光導波路を形成した光導波路基板どうしを重ね合わ
せ、光導波路の曲率部分が結合領域となるようにするこ
とにより、一方の光導波路基板を移動するだけで結合領
域を自由に変更することができるために、容易に製作で
き、かつ不良品が少ない光合分波器または光分岐結合器
を提供することができる。

【００２０】また、結合領域となる部分のコア径を、他
の部分のコア径よりも大きくすることにより、結合領域
を大きくでき、より精密な分岐比制御ができる光合分波
器または光分岐結合器を提供することができる。

【００２１】さらには、光導波路間または結合領域内
に、波長分離機能、全反射機能、あるいは半透過機能を
有する素子を挿入することにより、新たな機能を付加さ
せた光合分波器または光分岐結合器を提供することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）は本発明の光合分波器または光分岐結合
器を示す斜視図であり、（ｂ）は平面図である。

【図２】（ａ）は本発明の光合分波器または光分岐結合
器を示す側面図であり、（ｂ）は他の実施例を示す側面
図である。

【図３】本発明の他の実施例を示す平面図である。

【図４】本発明の他の実施例を示す平面図である。

【図５】本発明の他の実施例を示す斜視図である。

【図６】従来の光合分波器または光分岐結合器を示す構
成図である。

【符号の説明】

１、２、１１、２１：光導波路基板 ３、４：光導波路コア部 ５：結合領域 ３１、３２、４１、４２：光導波路入出力ポート ６、７：光ファイバ ６２、７２：光ファイバコア ８：光ファイバ延伸領域 ６１、６３、７１、７３：光ファイバ入出力ポート ９：素子

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】２つの光導波路を結合させてなる光合分波
   器または光分岐結合器において、表面または表面付近に
   少なくとも一部が曲率を有する光導波路を形成した光導
   波路基板どうしを重ね合わせ、前記光導波路の曲率部分
   が結合領域となるようにしたことを特徴とする光合分波
   器または光分岐結合器。
2. 【請求項２】２つの光導波路を結合させてなる光合分波
   器または光分岐結合器において、表面または表面付近に
   一直線の光導波路を形成した光導波路基板と、表面また
   は表面付近に少なくとも一部が曲率を有する光導波路を
   形成した光導波路基板どうしを重ね合わせ、前記光導波
   路の直線部分と曲率部分とが結合領域となるようにした
   ことを特徴とする光合分波器または光分岐結合器。
3. 【請求項３】前記結合領域となる部分のコア径を、他の
   部分のコア径よりも大きくしたことを特徴とする請求項
   １または請求項２に記載の光合分波器または光分岐結合
   器。
4. 【請求項４】前記光導波路間または結合領域内に、波長
   分離機能、全反射機能、あるいは半透過機能を有する素
   子を挿入したことを特徴とする請求項１または２に記載
   の光合分波器または光分岐結合器。