JP4190815B2 - 偏波保持ファイバカプラの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏波保持ファイバカプラの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
偏波保持ファイバカプラは、遅相軸が互いに平行となるようにして2つの偏波保持ファイバを並列に配置し、それらの一部を加熱しながら長手方向に延伸するとともにこの長手方向に沿って互いに融着させることによって製造される。したがって、偏波保持ファイバカプラは、互いに一体に成形された、延伸融着部と、延伸融着部以外の偏波保持ファイバの本体部分とからなる。
【0003】
偏波保持ファイバカプラは長手方向に伸びる2つの光路を有し、これらの光路は偏波保持ファイバの本体部分及び延伸融着部の内部を通って延びている。そして、延伸融着部においては、これら光路間の距離が短くなっているために、一方の光路を伝搬する光が他方の光路へ分岐若しくは結合される。
ところで、パンダ(PANDA:Porarization-maintaining and Absorption-reducing)ファイバに代表される偏波保持ファイバは、長手方向に延びるコアと、このコアを中心としてその両側に軸対称に配置された一対の応力付与部と、これらコア及び応力付与部を包むクラッドとからなる。応力付与部は、それらの中心間を結ぶ線と平行な方向の法線応力をコアに印加して、その方向に偏波保持ファイバの遅相軸の方向を一致させている。
【0004】
したがって、偏波保持ファイバを素材とする偏波保持ファイバカプラの各光路も、コア、一対の応力付与部、及びクラッドからなり、一対の応力付与部が各光路の遅相軸の方向を規定している。そして、偏波保持ファイバカプラの延伸融着部においては、一方の光路から他方の光路へ光が分岐される際に、その偏光状態が維持された状態で分岐されるように、2つの光路の遅相軸同士が互いに平行となっていることが望まれている。そのゆえ、偏波保持ファイバカプラの製造方法においては、上記した如く遅相軸が互いに平行となるように2つの偏波保持ファイバを並列に配置した後、延伸・融着が行なわれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2つの偏波保持ファイバをそれらの遅相軸が互いに平行となるよう配置して延伸・融着が行なわれたとしても、延伸融着部に含まれる2つの光路の遅相軸同士は互いに平行とはならない。
その理由は、延伸融着部となる箇所を加熱しながら延伸・融着して延伸融着部へと転化させる間に、長手方向と直交する断面内でみたときに応力付与部の位置が変化し、一対の応力付与部の配置がコアを中心として非軸対称となるからである。
【0006】
そして、このように、延伸融着部に含まれる2つの光路の遅相軸同士が互いに平行とならない場合、一方の光路を伝搬する直線偏光が他方の光路へ結合されたときには、他方の光路においてはもはや単一な直線偏光ではなく、それとは偏光面が直交する直線偏光も含んでしまい、良好な偏波クロス特性が得られないという問題がある。
【0007】
本発明は上記した問題を解決し、良好な偏波クロストーク特性を有する偏波保持ファイバカプラの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、互いに並列に配置され、コアとその両側に配置された一対の応力付与部とを含む2つの偏波保持ファイバの一部が延伸融着部になっている偏波保持ファイバカプラにおいて、前記偏波保持ファイバの長手方向に沿ってみたときに、前記延伸融着部では、そこに含まれる前記各コアを中心として、前記各コアの両側に配置された前記一対の応力付与部が軸対称に配置されているとともに、そこに含まれる一方の前記コアの両側に配置された前記一対の応力付与部の中心間を結ぶ直線と、他方の前記コアの両側に配置された前記一対の応力付与部の中心間を結ぶ直線とが互いに平行であり、かつ、前記延伸融着部以外の前記偏波保持ファイバの本体部分では前記一対の応力付与部がこれらに挟まれた前記コアを中心として非軸対称に配置されていることを特徴とする偏波保持ファイバカプラが提供される。
【0009】
また、本発明においては、互いに並列に配置され、コアとその両側に配置された一対の応力付与部とを含む2つの偏波保持ファイバの一部が延伸融着部になっている偏波保持ファイバカプラにおいて、前記延伸融着部は、前記2つの偏波保持ファイバの前記延伸融着部となる箇所にて前記コアを中心として前記一対の応力付与部が非軸対称に配置されるよう融着されたダミーファイバとの融着面を有することを特徴とする偏波保持ファイバカプラが提供される。
【0010】
そしてまた、本発明においては、上記発明に係る偏波保持ファイバカプラの製造方法が提供される。これら製造方法は、互いに並列に配置され、コアとその両側に配置された一対の応力付与部とを含む2つの偏波保持ファイバの一部が延伸融着部になっている偏波保持ファイバカプラの製造方法において、少なくとも前記延伸融着部となる箇所にて、長手方向に沿ってみたときにコアを中心として一対の応力付与部が非軸対称に配置された2つの偏波保持ファイバを用意して並列に配置する準備工程と、並列に配置された前記2つの偏波保持ファイバの前記延伸融着部となる箇所を加熱しながら前記長手方向に延伸するとともにこの長手方向に沿って互いに融着させて、前記長手方向に沿ってみたときに、そこに含まれる前記各コアを中心として前記一対の応力付与部が軸対称に配置されるとともにそこに含まれる一方の前記コアの両側に配置された前記一対の応力付与部の中心間を結ぶ直線と、他方の前記コアの両側に配置された前記一対の応力付与部の中心間を結ぶ直線とが互いに平行である前記延伸融着部を前記2つの偏波保持ファイバの一部に一体成形する延伸融着工程とを備えたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施形態例の偏波保持光ファイバカプラA(以下、カプラAという)を示している。
カプラAは、パンダファイバからなる2つの偏波保持ファイバ2,3を有している。これら偏波保持ファイバ2,3は、例えば使用される波長帯域が1550nmの偏波保持ファイバであって、互いに並列に配置されている。偏波保持ファイバ2は、両端に端面2a,2bを有し、偏波保持ファイバ3は、両端に端面3a,3bを有している。
【0012】
偏波保持ファイバ2,3の長手方向の略中央には、これら偏波保持ファイバ2,3に一体成形された延伸融着部4が介挿されている。延伸融着部4は、偏波保持ファイバ2,3を互いに並列に配置し、その一部を加熱しながら長手方向に所定長だけ延伸するとともにこの長手方向に沿って互いに融着させることによって形成されている。そのゆえ、延伸融着部4以外の偏波保持ファイバ2,3の本体部分(以下、偏波保持ファイバ本体といい、それぞれ符号2A,3Aを付す)の延伸融着部4側の外径は、それぞれ延伸融着部4に向けて次第に小さくなっている。
【0013】
各偏波保持ファイバ2,3は、図2に示したように、長手方向に延びるコア5,6をその中心に有している。端面2a,3aをみたときに、コア5,6の断面形状は、直径9μmの円形状である。
各コア5,6を挟んでその両側には一対の応力付与部8,9若しくは応力付与部10,11が配置され、端面2a,3aをみたときの各応力付与部8,9,10,11の断面形状は直径35μmの円形状である。これらコア5,6及び応力付与部8,9,10,11は、クラッド12によって包まれ、クラッド12の偏波保持ファイバ本体2A,3Aにおける外径、すなわち偏波保持ファイバ2,3の外径は125μmである。
【0014】
カプラAは、偏波保持ファイバ本体2A,3A及び延伸融着部4の内部を通って長手方向に延びている2つの光路を有し、一方の光路(以下、第1の光路という)は、コア5、応力付与部8,9、及びクラッド12からなり、他方の光路(以下、第2の光路という)は、コア6、応力付与部10,11、及びクラッド12からなる。
【0015】
偏波保持ファイバ本体2A,3A及び延伸融着部4の長手方向に垂直な断面内では、コア5に対しては応力付与部8,9の中心間を結ぶ線と平行な方向に、コア6に対しては応力付与部10,11の中心間を結ぶ線と平行な方向に、それぞれ法線応力が印加されている。これら法線応力は、2つの光路における遅相軸及び進相軸の方向を規定している。すなわち、応力付与部8,9の中心間を結ぶ線及び応力付与部10,11の中心間を結ぶ線は、各光路の遅相軸と一致している。
【0016】
各偏波保持ファイバ本体2A,3Aにおいては、コア5,6の両側に配置された一対の応力付与部8,9若しくは応力付与部10,11は、各コア5,6を中心とした軸対称ではなく、非軸対称に配置されている(図2参照)。
具体的には、コア5,6間を結ぶ線をX軸としたときに、偏波保持ファイバ本体2Aにおいて対をなす一方の応力付与部8が、偏波保持ファイバ本体3Aとは反対側へ向かって、軸対称な位置からX軸と平行にずれている。また、偏波保持ファイバ本体3Aにおいて対をなす一方の応力付与部10が、偏波保持ファイバ本体2Aとは反対側へ向かって、軸対称な位置からX軸と平行にずれている。
【0017】
したがって、端面2a,3aをみたときに、X軸に対して同一の側にある応力付与部8,10が軸対称な位置からずれている。そのため、各偏波保持ファイバ本体2A,3Aにおいては、各光路の遅相軸がX軸と直交していない。更に、偏波保持ファイバ本体2A,3A間においては、第1の光路及び第2の光路の遅相軸同士が互いに平行ではない。
【0018】
一方、延伸融着部4の断面を長手方向に沿ってみたときには、図3に示したように、各偏波保持ファイバ本体2A,3Aから延びるコア5,6と応力付与部8,9,10,11がクラッド12に含まれている。そして、延伸融着部4においては、コア5,6間の距離は偏波保持ファイバ本体2A,3Aの外径よりも短くなっている。このように、コア5,6間の距離、換言すれば2つの光路間の距離が短いことから、延伸融着部4においては、第1の光路を伝搬する光が第2の光路へ分岐若しくは結合される。
【0019】
この延伸融着部4の断面においては、コア5,6を挟んで両側に配置されている一対の応力付与部8,9若しくは応力付与部10,11は、これらが挟んでいる各コア5,6を中心として軸対称に配置されている。そして、一方のコア5の両側の応力付与部8,9の中心を通る線と、他方のコア6の両側の応力付与部10,11の中心を通る線とは、互いに平行となっている。したがって、延伸融着部4においては、第1の光路の遅相軸と、第2の光路の遅相軸とが互いに平行となっている。
【0020】
以下、偏波保持ファイバ本体2Aの端面2aに、X軸と直交する偏光面を有する直線偏光が入射した場合を例にして、カプラAの動作を説明する。
偏波保持ファイバ本体2Aの端面2aに入射した直線偏光は、偏波保持ファイバ本体2Aを伝搬して延伸融着部4へ達する。偏波保持ファイバ本体2Aにおける第1の光路の遅相軸はX軸とは直交しておらず、遅相軸と直線偏光の偏光面とは互いに若干ずれているが、そのずれは僅かである。したがって、端面2a側の偏波保持ファイバ本体2Aを伝搬する間、直線偏光の偏光状態はほとんど変化しない。
【0021】
延伸融着部4に達した直線偏光が延伸融着部4内を伝搬する間に、延伸融着部4においてはコア5,6間の間隔が短いことから、直線偏光の一部がコア5よりなる第1の光路から、コア6よりなる第2の光路へ分岐される。この直線偏光の分岐に際しては、延伸融着部4内にて第1の光路の遅相軸と第2の光路の遅相軸とが互いに平行であることから、直線偏光の偏光状態は維持される。したがって、第2の光路へ分岐された直線偏光の偏光面は、X軸と直交している。なお、第2の光路へ分岐される直線偏光の強度は、延伸融着部4の長さ及びコア5,6間の距離によって適宜調整することができる。
【0022】
上記したように延伸融着部4において所定の強度比に分岐された直線偏光は、他端面2b,3b側の偏波保持ファイバ本体2A,3Aを伝搬し、そして、他端面2b,3bから出射する。ここでも、他端面2b,3b側の偏波保持ファイバ本体2A,3Aにおける各光路の遅相軸とX軸とはほとんど直交していることから、他端面2b,3bからは、X軸と垂直な偏光面を有する直線偏光が出射する。
【0023】
このように、カプラAの延伸融着部4においては第1の光路の遅相軸と第2の光路の遅相軸とが互いに平行になっていることから、他端面3bから出射した直線偏光についてみれば、X軸と平行な成分に対するこれと直交する成分の比は小さく、カプラAは良好な偏波クロス特性を有する。
図4は、本発明の第2実施形態例の偏波保持光ファイバカプラB(以下、カプラBという)を示している。
【0024】
カプラBは、パンダファイバからなる2つの偏波保持ファイバ20,21と、コアレスファイバからなるダミーファイバ22,23とを有し、互いに並列に配置された偏波保持ファイバ20,21の両側にダミーファイバ22,23が配置されている。そして、偏波保持ファイバ20は、両端に端面20a,20bを有し、偏波保持ファイバ21は、両端に端面21a,21bを有している。
【0025】
偏波保持ファイバ20,21及びダミーファイバ22,23の長手方向の略中央には、これら偏波保持ファイバ20,21及びダミーファイバ22,23に一体成形された延伸融着部24が介挿されている。延伸融着部24は、ダミーファイバ22が融着した偏波保持ファイバ20と、ダミーファイバ23が融着した偏波保持ファイバ21とを互いに並列に配置し、その一部を加熱しながら長手方向に所定長だけ延伸するとともにこの長手方向に沿って互いに融着させることによって形成されている。そのゆえ、延伸融着部24以外の偏波保持ファイバ20,21の本体部分(以下、偏波保持ファイバ本体といい、符号20A,21Aを付す)の延伸融着部24側の外径は、それぞれ延伸融着部24に向けて次第に小さくなっている。
【0026】
各偏波保持ファイバ本体20A,21Aにおいては、コア25,26の両側に配置された一対の応力付与部27,28若しくは応力付与部29,30は、端面20a,21aをみたときに、各コア25,26を中心として軸対称に配置されている(図5参照)。そして、各偏波保持ファイバ本体20A,21Aにおいては、コア25、応力付与部27,28、及びクラッド31からなる第1の光路の遅相軸及び応力付与部27,28、及びクラッド31からなる第2の光路の遅相軸はともにX軸と直交している。更に、偏波保持ファイバ本体20A,21A間においては、これら2つの光路の遅相軸同士が互いに平行となっている。
【0027】
一方、延伸融着部24の断面においても、図6に示したように、コア25,26を挟んで両側に配置されている一対の応力付与部27,28若しくは応力付与部29,30は、これらが挟んでいる各コア25,26を中心として軸対称に配置されている。そして、延伸融着部24においても、第1の光路の遅相軸と、第2の光路の遅相軸とは互いに平行となっている。
【0028】
すなわち、端面20a,21aから端面20b,21bまでの長手方向全体に亘って、これら2つの光路の遅相軸は、それぞれX軸と直交しており、かつ、2つの光路間では遅相軸が互いに平行となっている。
以下、偏波保持ファイバ本体20Aの端面20aに、X軸と直交する偏光面を有する直線偏光が入射し、偏波保持ファイバ本体21Aの端面21aにX軸と平行な偏光面を有する直線偏光が入射した場合を例にして、カプラBの動作を説明する。
【0029】
端面20aに入射した直線偏光及び端面21aに入射した直線偏光は、端面20a,21a側の偏波保持ファイバ本体20A,21Aを伝搬して延伸融着部24へ達する。偏波保持ファイバ本体20A,21Aにおける各光路の遅相軸はX軸と直交しており、かつ、進相軸はX軸と平行であることから、端面20a,21a側の偏波保持ファイバ本体20A,21Aを伝搬する間、直線偏光の偏光状態は変化しない。
【0030】
延伸融着部24に達した直線偏光が延伸融着部24を伝搬する間に、第2の光路を伝搬する直線偏光の全部が、コア25からなる第1の光路へ分岐され、偏光面が直交する2つの直線偏光が第1の光路に結合される。
かくして延伸融着部24にて結合された光は、他端面20b側の偏波保持ファイバ本体20Aを伝搬し、そして、他端面20bから出射する。ここでも、他端面20b側の偏波保持ファイバ本体20Aにおける第1の光路の遅相軸とX軸とは直交し、かつ進相軸とX軸とは平行であることから、他端面20bからは、X軸と垂直な偏光面を有する直線偏光と、X軸と平行な偏光面を有する直線偏光とを含む光が出射する。
【0031】
カプラBにおいては、偏波保持ファイバ本体20A,21A及び延伸融着部24において、第1の光路の遅相軸と第2の光路の遅相軸とが互いに平行になっている。そのため、第2の光路から第1の光路へ直線偏光が分岐された際に、第1の光路においても、第2の光路を伝搬してきた直線偏光の偏光面と進相軸とが互いに一致する。したがって、偏波保持ファイバ本体20A,21Aの端面20a,21aから入射した互いに偏光面が直交する2つの直線偏光は、延伸融着部24にて結合し、偏波保持ファイバ本体20Aの他端面20bから入射時の偏光面を維持したまま出射する。
【0032】
以下、本発明の第3の実施形態例の偏波保持ファイバカプラの製造方法(以下、製造方法Cという)を、カプラAの製造を例に説明する。
まず、素材として、少なくとも延伸融着部4となる箇所にて、図2に示したように長手方向に沿ってみたときにコア5,6を中心として一対の応力付与部8,9及び応力付与部10,11が非軸対称に配置された2つの偏波保持ファイバ2,3を用意して、それらを互いに並列に配置する(準備工程)。
【0033】
実際には、長手方向全体に亘って図2で示した断面形状を有する偏波保持ファイバ2,3を用意する。そして、このような偏波保持ファイバ2,3においては、一対の応力付与部のうち一方の応力付与部8,10の中心が、コア5,6を中心として一対の応力付与部が軸対称となる位置から離隔している。換言すれば、偏波保持ファイバの本体部分2A,3Aにおいては、一対の応力付与部のうち一方の中心が、コアを中心として一対の応力付与部が軸対称となる位置から離隔している。
【0034】
次に、図7に示したように、並列に配置された2つの偏波保持ファイバ2,3の延伸融着部4となる箇所をマイクロトーチ33にて加熱しながら長手方向に延伸するとともにこの長手方向に沿って互いに融着させる。これによって、延伸融着部4と偏波保持ファイバ本体2A,3Aとが一体成形される(延伸融着工程)。
【0035】
製造方法Cによれば、素材として用いられる偏波保持ファイバ2,3は、その断面を長手方向に沿ってみたときに、マイクロトーチ33側の一方の応力付与部8,10が、延伸融着する際の変位量だけずれて配置されている。そのため、偏波保持ファイバ2,3に一体成形された延伸融着部4においては、そこに含まれる各コア5,6を中心として一対の応力付与部8,9及び応力付与部10,11が軸対称に配置される。そして、それに加えて、延伸融着部4においては、そこに含まれる一方のコア5の両側に配置された一対の応力付与部8,9の中心間を結ぶ直線と、他方のコア6の両側に配置された一対の応力付与部10,11の中心間を結ぶ直線とが互いに平行となる。
【0036】
上記したような、一方の応力付与部8,10が所定量だけずれて配置された偏波保持ファイバ2,3は以下のようにして製造することができる。
一般に、偏波保持ファイバは、クラッドとなる円柱形状のガラス製の母材に複数の貫通孔を形成し、それぞれにコア若しくは応力付与部となるガラス製の材料を挿入した後、この母材を伸線・切断することによって製造される。そこで、母材に貫通孔を形成する位置を適宜調整することによって、応力付与部8,10の位置をずらした偏波保持ファイバ2,3を形成することができる。
【0037】
この製造方法Cによって、10個のカプラAを製造し、それらの偏波クロス特性を測定した。その結果、9個のカプラAでは偏波クロス特性が15dBを超え、残る1個では13dBであった。これに対し、従来技術の製造方法によって製造された偏波保持ファイバカプラの場合、10個中5個しか偏波クロス特性が15dBを超えなかった。これより、カプラAの偏波クロス特性が従来の偏波保持ファイバカプラのそれに比べて優れていること、並びに、製造方法Cによれば良好な偏波クロス特性を有する偏波保持ファイバカプラを確実に製造できることがわかる。
【0038】
以下、本発明の第4の実施形態例の偏波保持ファイバカプラの製造方法(以下、製造方法Dという)を、カプラBの製造を例に説明する。
まず、素材として、長手方向全体に亘って、コア25,26を中心として一対の応力付与部27,28若しくは応力付与部29,30が軸対称に配置された偏波保持ファイバ20,21を用意する。
【0039】
次に、用意された偏波保持ファイバ21に対して、一つのダミーファイバ23を並列に配置する。
そして、図8に示したように、並列に配置された偏波保持ファイバ21及びダミーファイバ23の一部を、マイクロトーチ33にて加熱しながら長手方向に延伸するとともにこの長手方向に沿って互いに融着させる。
【0040】
これによって、図9に示したカプラBの中間製品35が得られる。この中間製品35において、偏波保持ファイバ21とダミーファイバ23とが融着した融着箇所36の断面を長手方向に沿ってみると、図10に示したように、マイクロトーチ33側に位置した応力付与部29が変位して、コア26を中心として一対の応力付与部29,30が非軸対称に配置され、また、偏波保持ファイバ21とダミーファイバ23とが融着面36aにて互いに融着している。
【0041】
また、偏波保持ファイバ20とダミーファイバ22とを用いて、中間製品35の場合と同様にして、図11に示した中間製品37を製造する。この中間製品37は、コア25を中心として一対の応力付与部27,28が非軸対称に配置され偏波保持ファイバ20とダミーファイバ22とが融着面にて互いに融着している。
【0042】
かくして得られた2つの中間製品35,37を、偏波保持ファイバ20,21が互いに接し、かつ、長手方向において融着箇所36,38の位置が揃うように並列に配置する(準備工程)。
そして、図12に示したように、中間製品35,37の融着箇所36,38をマイクロトーチ33にて加熱しながら長手方向に延伸するとともにこの長手方向に沿って互いに融着させる(延伸融着工程)。
【0043】
これによって、中間製品35,37は互いに融着し、偏波保持ファイバ20,21に延伸融着部24が一体成形されたカプラBが製造される。
なお、偏波保持ファイバとダミーファイバとを延伸・融着させるときの加熱温度は、少ない延伸量で応力付与部をずらすために、偏波保持ファイバ同士を延伸・融着させて延伸融着部を形成する場合よりも高く設定される。
【0044】
製造方法Dによれば、偏波保持ファイバカプラの材料である中間製品35,37の延伸融着部24となる箇所、すなわち、融着箇所36,38においては、その断面を長手方向に沿ってみたときに、マイクロトーチ33側に位置する一方の応力付与部27,29が、中間製品35,37を延伸融着する際の変位量だけずれて配置され、各コアを中心として一対の応力付与部27,28及び応力付与部29,30が軸対称に配置されている。そのため、偏波保持ファイバ20,21に一体成形された延伸融着部24においては、そこに含まれる各コア25,26を中心として一対の応力付与部27,28及び応力付与部29,30が軸対称に配置される。そして、それに加えて、延伸融着部24においては、そこに含まれる一方のコア25の両側に配置された一対の応力付与部27,28の中心間を結ぶ直線と、他方のコア6の両側に配置された一対の応力付与部29,30の中心間を結ぶ直線とが互いに平行となる。
【0045】
この製造方法Dによって10個のカプラBを製造し、それらの偏波クロス特性を測定した。その結果、8個のカプラAでは偏波クロス特性が15dBを超え、残る2個では、それぞれ11dBと13dBであった。これより、カプラBの偏波クロス特性が従来の偏波保持ファイバカプラのそれに比べて優れていること、並びに、製造方法Dによれば良好な偏波クロス特性を有する偏波保持ファイバカプラを確実に製造することができることがわかる。
【0046】
本発明は、上記した実施形態例に限定されることはなく、種々変形が可能であって、例えば、偏波保持ファイバ本体における応力付与部の寸法は格段限定されるものではない。
また、ダミーファイバの直径についても格段限定されることはなく、直径に応じて、温度その他の延伸融着条件を適宜調整することによって、良好な偏波クロス特性を実現することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の偏波保持ファイバカプラは、延伸融着部において2つの光路の遅相軸同士が互いに平行であることから、良好な偏波クロス特性を有している。
また、本発明の偏波保持ファイバカプラの製造方法によれば、2つの光路の遅相軸同士が互いに平行となっている延伸融着部を、偏波保持ファイバの一部に確実に一体成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態例の偏波保持ファイバカプラの斜視図である。
【図2】図1の偏波保持ファイバカプラの正面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態例の偏波保持ファイバカプラの斜視図である。
【図5】図4の偏波保持ファイバカプラの正面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態例の偏波保持ファイバカプラの製造方法の説明図である。
【図8】本発明の第4実施形態例の偏波保持ファイバカプラの製造方法における一工程の説明図である。
【図9】本発明の第4実施形態例の偏波保持ファイバカプラの製造方法において製造される中間製品の斜視図である。
【図10】図9のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図9の中間製品と対をなす中間製品の斜視図である。
【図12】本発明の第4実施形態例の偏波保持ファイバカプラの製造方法における他の工程の説明図である。
【符号の説明】
2,3 偏波保持ファイバ
4 延伸融着部
5,6 コア
8,9,10,11 応力付与部
Claims (3)
- 互いに並列に配置され、コアとその両側に配置された一対の応力付与部とを含む2つの偏波保持ファイバの一部が延伸融着部になっている偏波保持ファイバカプラの製造方法において、
少なくとも前記延伸融着部となる箇所にて、長手方向に沿ってみたときにコアを中心として一対の応力付与部が非軸対称に配置された2つの偏波保持ファイバを用意して並列に配置する準備工程と、
並列に配置された前記2つの偏波保持ファイバの前記延伸融着部となる箇所を加熱しながら前記長手方向に延伸するとともにこの長手方向に沿って互いに融着させて、前記長手方向に沿ってみたときに、そこに含まれる前記各コアを中心として前記一対の応力付与部が軸対称に配置されるとともにそこに含まれる一方の前記コアの両側に配置された前記一対の応力付与部の中心間を結ぶ直線と、他方の前記コアの両側に配置された前記一対の応力付与部の中心間を結ぶ直線とが互いに平行である前記延伸融着部を前記2つの偏波保持ファイバの一部に一体成形する延伸融着工程とを備えたことを特徴とする偏波保持ファイバカプラの製造方法。 - 前記準備工程にて用意される前記偏波保持ファイバにおいては、前記長手方向全体に亘って、前記コアを中心として前記一対の応力付与部が非軸対称に配置されている請求項1に記載の偏波保持ファイバカプラの製造方法。
- 前記準備工程は、
長手方向全体に亘って、コアを中心として一対の応力付与部が軸対称に配置された元偏波保持ファイバを用意し、
用意された前記元偏波保持ファイバに対して、ダミーファイバを並列に配置し、
並列に配置された前記元偏波保持ファイバ及びダミーファイバの一部を加熱しながら前記長手方向に延伸するとともにこの長手方向に沿って互いに融着させて、前記コアを中心として前記一対の応力付与部が非軸対称に配置された前記2つの偏波保持ファイバを形成する工程をさらに備えている請求項1に記載の偏波保持ファイバカプラの製造方法。
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