JPH10186100A - 電子線照射装置の加速電圧制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 放電収束時等の高電圧発生回路の出力電圧の
跳上りを抑え、装置の安定した運転が確保できる電子線
照射装置の加速電圧制御装置を提供すること。 【解決手段】 加速器４に印加する加速電圧を形成する
高電圧発生回路３の検出値と設定器６の目標値との偏差
を演算処理する制御回路９とを備え、制御回路９の出力
の制御信号により高電圧発生回路３の出力電圧を制御し
てなる加速電圧制御装置であって、加速器４内の放電発
生及びこの放電を消滅させるファーストリカバリスイッ
チ７の開による高電圧発生回路３の出力電圧の検出値の
低下を制限するリミッタ１０を設け、放電発生時の制御
回路９の出力制御信号の大幅な変動を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、電子線照射装置の
加速電圧制御装置に関し、特に放電発生時の加速電圧制
御に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】電子線照射装置は、周知のように、フィ
ラメントで発生した熱電子を高電圧が印加された加速器
により加速して電子線として出力するようにされてい
る。このような電子線照射装置では、電子線量を安定化
する等のために加速器に印加する加速電圧を一定値に制
御するようにされている。図２はこのような制御を行う
加速電圧制御装置の構成を示す回路図である。

【０００３】図２において、１は電源、２は電圧調整回
路、３は昇圧整流回路等からなる高電圧発生回路、４は
加速器、５は制御回路、５ａは制御回路５の比較部、５
ｂは制御回路５の演算部、６は高電圧発生回路３の出力
電圧の目標値を設定する設定器、７はファーストリカバ
リスイッチ、８は高電圧発生回路３の出力電圧検出部
で、例えば商用電源１の電圧を電圧調整回路２で電圧調
整して高電圧発生回路３に送り、ここで直流高電圧にさ
れて加速電圧として加速器４に印加される。

【０００４】高電圧発生回路３の出力部に電圧検出器８
が設置され、制御回路５の比較部５ａで高電圧発生回路
３の出力電圧検出値と、設定器６で設定された目標値と
の偏差を求め、その偏差を、制御回路５の演算部５ｂで
比例、微分、積分等の適宜の演算を行い、その演算処理
後の出力制御信号を電圧調整回路２に入力し、この制御
信号に応じて電圧調整回路２で出力電圧が調整され、こ
れにより高電圧発生回路３の出力電圧が制御されてい
る。

【０００５】ところで、電子線照射装置では、加速器４
の内部で放電が発生する場合がある。このような場合、
上記のような加速電圧制御装置では、加速器４内の電子
線量が大幅に増加したものとして検出され高電圧発生回
路３の出力電圧が大幅に下げられる。また、装置全体を
停止することなく放電を消滅させるために、この放電を
検出してファーストリカバリスイッチ７を２０ｍｓ程度
駆動して電圧調整回路２への制御回路５の制御信号の入
力を遮断、すなわち電源をオフし、高電圧発生回路３の
出力電圧を大幅に下げて放電を消滅させるようにされて
いる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】この状態で放電が収束
し、また放電を消滅させてファーストリカバリスイッチ
７が復帰すると、制御信号は高電圧発生回路３の出力電
圧を大幅に上げる信号となり、この制御信号により高電
圧発生回路３の出力電圧が急上昇する。この出力電圧の
急上昇は、放電発生以前の電圧よりも高い電圧に一旦跳
上ることになり、この跳上り電圧で放電の再発を誘起
し、装置の安定運転を阻害する場合がある。

【０００７】本発明は、上記の実情に鑑みなされたもの
で、放電収束時等の高電圧発生回路の出力電圧の跳上り
を抑え、装置の安定した運転が確保できる電子線照射装
置の加速電圧制御装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の目的は、加速器
に印加する加速電圧を形成する高電圧発生回路と、前記
高電圧発生回路の出力電圧の目標値を設定する設定器
と、前記高電圧発生回路の出力電圧の検出値と前記設定
器の目標値との偏差を演算処理する制御回路とを備え、
前記制御回路の出力の制御信号により前記高電圧発生回
路の出力電圧を制御してなる電子線照射装置の加速電圧
制御装置において、前記高電圧発生回路の出力電圧の検
出値の低下を制限するリミッタを設けてなることを特徴
とする電子線照射装置の加速電圧制御装置とすることに
より達成される。

【０００９】本発明の特徴によれば、高電圧発生回路の
出力電圧の検出値に下限が設けられているので、高電圧
発生回路の出力電圧が大幅に低下しても検出値は所定の
値が維持され、放電発生時の高電圧発生回路の出力電圧
の低下による制御回路の出力制御信号の大幅な変動は抑
えられる。これにより放電収束時等の高電圧発生回路の
出力電圧の跳上りが抑えられる。したがって、高電圧発
生回路の出力電圧の跳上りによる放電の再発は防止さ
れ、安定した装置の運転を確保することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、図１を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図１は、本発明に係る電子
線照射装置の加速電圧制御装置の構成を示す回路図であ
る。なお、図１において図２と同一部分には同一の符号
を付している。重複する部分の説明は省略する。

【００１１】図１において、９は制御回路、９ａは制御
回路９の比較部、９ｂは制御回路９の演算部、９ｃは演
算増幅器、１０は下限値設定器（リミッタ）であり、制
御回路９は比較部９ａで求めた偏差を演算増幅器９ｃか
らなる演算部９ｂで適宜演算処理して制御信号を出力す
る。電圧検出器８で検出された高電圧発生回路３の検出
値と、設定器６で設定された目標値との偏差を制御回路
９の比較部９ａで偏差を求め、その偏差を、制御回路９
の演算部９ｂで適宜の演算を行い、その演算処理後の出
力制御信号をファーストリカバリスイッチ７を介して電
圧調整回路２に入力し、この制御信号に応じて電圧調整
回路２で出力電圧が調整され、これにより高電圧発生回
路３の出力電圧が制御される点は従来のものと同様であ
る。

【００１２】この実施の形態では、１５Ｖの電圧を抵抗
Ｒ１，Ｒ２で分圧して得る下限値設定器１０（リミッ
タ）を設け、下限値設定器１０で予め設定た設定値（検
出値及び設定器６の設定値の範囲０〜１０Ｖに対して
０．２Ｖ程度）を電圧検出器８で検出された高電圧発生
回路３の検出値に加算する。すなわちｄはダイオードで
高電圧発生回路３の検出値が下限値設定器１０で設定し
た下限値より低下しようとするとダイオードｄが導通
し、高電圧発生回路３の検出値がこの下限値に固定され
る。

【００１３】つまり、加速器４の内部で放電が発生する
と、高電圧発生回路３の検出値が大幅に下がるが、その
下げ幅は下限値により制限される。また、この放電を消
滅させるために、この放電を検出してファーストリカバ
リスイッチ７を駆動して電圧調整回路２への制御回路９
の制御信号の入力を遮断、すなわち電源をオフし、高電
圧発生回路３の出力電圧を大幅に下げて放電を消滅させ
るときも高電圧発生回路３の検出値も大幅に下げられる
が、その下げ幅は下限値により制限される。

【００１４】その結果、制御回路９の出力制御信号の大
幅な変動は抑えられる。これにより放電収束時やファー
ストリカバリスイッチ７の復帰時の高電圧発生回路の出
力電圧の跳上りが抑えられる。

【００１５】下限値の加算は、高電圧発生回路３の出力
電圧の通常の制御に影響するが、放電時の高電圧発生回
路３の出力電圧は５０％以上低下するのに対して、通常
時の変動は１０％程度と電圧発生回路３の出力電圧の低
下に大きく差があり、下限値による通常時の影響は小さ
い。

【００１６】

【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
放電収束時の制御回路の出力制御信号の大幅な変動は抑
えられる。これにより放電収束時等の高電圧発生回路の
出力電圧の跳上りが抑えられ、高電圧発生回路の出力電
圧の跳上りによる放電の再発は防止され、安定した装置
の運転、結果的に装置コンディショニング時間の短縮、
生産運転の継続性の向上が図れ、また、ファーストリカ
バリ時の電源停止による制御への影響も小さくでき、放
電発性に対するリカバリが安定して行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る電子線照射装置の加速電圧制御装
置の構成を示す回路図である。

【図２】従来の電子線照射装置の加速電圧制御装置の構
成を示す回路図である。

【符号の説明】

２ 電圧調整回路 ３ 高電圧発生回路 ４ 加速器 ６ 設定器 ７ ファーストリカバリスイッチ ８ 電圧検出部 ９ 制御回路 １０ 下限値設定器（リミッタ）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加速器に印加する加速電圧を形成する高
   電圧発生回路と、前記高電圧発生回路の出力電圧の目標
   値を設定する設定器と、前記高電圧発生回路の出力電圧
   の検出値と前記設定器の目標値との偏差を演算処理する
   制御回路とを備え、前記制御回路の出力の制御信号によ
   り前記高電圧発生回路の出力電圧を制御してなる電子線
   照射装置の加速電圧制御装置において、前記高電圧発生
   回路の出力電圧の検出値の低下を制限するリミッタを設
   けてなることを特徴とする電子線照射装置の加速電圧制
   御装置。