JPH10183867A - 屋根瓦 - Google Patents

屋根瓦

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Publication number
JPH10183867A
JPH10183867A JP34501196A JP34501196A JPH10183867A JP H10183867 A JPH10183867 A JP H10183867A JP 34501196 A JP34501196 A JP 34501196A JP 34501196 A JP34501196 A JP 34501196A JP H10183867 A JPH10183867 A JP H10183867A
Authority
JP
Japan
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roof tile
plate
cement
roof
layer member
Prior art date
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Pending
Application number
JP34501196A
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English (en)
Inventor
Kuniaki Sato
国昭 佐藤
Yasuhisa Higashitsutsumi
泰久 東堤
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Filing date
Publication date
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Publication of JPH10183867A publication Critical patent/JPH10183867A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相决り部の形成工程の能率が比較的高い屋根
瓦を提供する、および、相决り部の形成後の状態におい
て特に相决り部と非相决り部の間での密度差が少ない、
或いは亀裂などの欠陥の少ない屋根瓦を提供する。 【解決手段】 板状体同士を複数枚、接着剤を介して一
体に積層して形成し、且つ、複数枚の板状体の内、最上
層部材30を、セメントを主材とし、且つ、養生硬化さ
せて形成して、最上層部材30に野地板100に対する
固定用の釘孔20,21を設け、その最上層部材に直接
的乃至は間接的に積層されるセメントを主材とする層部
材の、平面視において釘孔と重複する位置に切欠き23
を設けている屋根瓦とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建物などの屋根を葺
くために用いられる屋根瓦に関し、より具体的には、セ
メントを主材とし、且つ養生硬化させて形成した屋根瓦
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の屋根瓦として知られてい
るのは、セメントを主材とした一層の板状体を作成し
て、これを養生硬化させて得られたもので、最終製品の
形態としても前記一層のままの状態を呈した屋根瓦であ
る。上記の従来の構成の屋根瓦では、互いに隣接する屋
根瓦同士が、特に横方向で、互いの上面同士が連続した
一平面をなすように重なり合うための相决り部を各屋根
瓦に形成する手法として、全体が均一な厚みの板状体
をある程度まで養生して所定の強度を獲得させた上で、
前記横方向の縁部を刃物等で削り取った薄い部分を相决
りとする方法、または、全体が略均一な厚みで可塑性
を備えた板状体を、プレス型の、屋根瓦の横方向の縁部
に対応する部分を他より突出形成せしめたプレスによっ
てプレス成形することで相决り部を形成する方法のいず
れかを用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、上記の従
来の構成の屋根瓦では、全体が均一な厚みの板状体を
ある程度まで養生して強度を獲得させた上で前記横方向
の縁部を刃物等で削り取って厚みの小さい部分を得るこ
とによって相决り部を形成する方法を採用した場合に
は、刃物による被切削面を正確で滑らかな平面として仕
上げるためには、セメントを主材とした材料の養生硬化
が或る程度進行した後にこの切削加工を行わねばならな
いために、切削加工自体が困難で加工能率が低いという
欠点、および、用いる刃物の寿命が短く、結果として相
决り部の形成工程の能率が低いという欠点があり、一
方、全体が均一な厚みの可塑性を備えた板状体を、プ
レス型の一部が突出しているプレスによって加圧成形す
ることによって相决り部を形成する場合には、プレス加
工される前の材料の厚みは全体に均一であるに関わら
ず、仕上げられた成形体の厚みは相决り部と非相决り部
の間で大きく異なるので(一般に相决り部は非相决り部
の半分未満の厚み)、結果として、プレス加工後の屋根
瓦には、相决りと非相决り部の間で密度に顕著な相異が
生じたり、相决り部や相决り部に沿った亀裂が生じる可
能性が高まるという欠点があり(プレス加工される材料
の備えている可塑性は、一般に材料が加圧に際して空間
の狭い相决り部からより広い非相决り部へと自由に逃げ
ることを許すほど高くはない)、いずれの方法において
も改善の余地があった。
【0004】ここで、前記密度差の問題に更に議論を重
ねれば、プレス型の部分的に突出している部位で成型さ
れる箇所の材料が適切な圧密度と仕上がり密度を得るよ
うにプレス加工前の材料の厚みを設定すると、突出して
いない部位で成型される箇所の仕上がり厚さの大きい材
料は充分な仕上がり密度を得られない傾向をもたらすの
で不適当であり、逆に、突出していないプレス型の部位
で成型される箇所の材料が適切な圧密度と仕上がり密度
を得るようにプレス加工前の材料の厚みを設定すると、
仕上がり厚さの小さい相决り部において、圧密度が過剰
となって亀裂が発生したり、所定の厚みまで圧密できず
に寸法誤差が生じるなどの問題を生じ易いために不適当
である。
【0005】本発明の目的は、上に例示した従来の構成
の屋根瓦に見られる上記欠点に鑑み、相决り部の形成工
程の能率が比較的高い屋根瓦を提供すること、および、
相决り部の形成後の状態において特に相决り部と非相决
り部の間での密度差が少ない、或いは亀裂などの欠陥の
少ない屋根瓦を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1による屋根瓦は、セメントを主材
とし、且つ養生硬化させて形成した板状体同士を複数
枚、接着剤を介して一体に積層せしめたことを特徴構成
としている。
【0007】このように構成すると、板状体同士を複数
枚、接着剤を介して一体に積層せしめる際に、積層しな
い部分を選択的に設けることによって、積層した部位は
厚く、積層していない部位は薄いという具合に、一枚の
屋根瓦の内に厚みの異なる部位を比較的自由に、そして
容易に形成することができる。特に、屋根瓦の周囲、す
なわち辺付近に中央部分などよりも薄い部分を設けたい
場合には、前記板状体同士を所定長さだけ左右にずらし
た状態で積層せしめるだけで、前記薄い部分を形成する
ことができ、特に、この薄くした辺を屋根瓦の左右の辺
とすれば、これらを所謂相决り部として機能させること
ができる。しかも、相决り部の場合は、相决り部の幅は
基本的に左右で等しく作られる場合が多いので、互いに
等しい横幅を持った板状体同士を所定長さだけ左右にず
らした状態で積層せしめるだけで形成することができ、
特に、基本的には前記板状体同士を所定長さだけ「左右
にずらす」という一回の操作で、必要な左右一対の相决
り部が一度に形成されてしまう点は注目に値する。さら
に、前記積層せしめる前記複数の各板状体自体は各々別
々に極く単純な一枚の平板として形成されているので、
各々全体にわたって均一な密度を備えた板状体として形
成し易く、したがって、これらを互いに積層せしめた完
成した屋根瓦も、全体にわたって均一な密度を備えたも
のとし易く、結果として、特に相决り部と非相决り部の
間での密度差が少なく、或いは、相决り部や相决り部に
沿った部位に亀裂が生じ難い屋根瓦を提供し得る。
【0008】しかも、前記最上層部材に野地板に対する
固定用の釘孔を設け、その最上層部材に直接的乃至は間
接的に積層されるセメントを主材とする層部材の、平面
視において前記釘孔と重複する位置に切欠きを設けてい
るので、最上層部材に直接的乃至は間接的に積層される
セメントを主材とする層部材にも最上層部材に設けたと
同様の釘孔を設けた場合に比して、最上層部材と他の層
部材とを積層せしめる作業に関連して、複数の層に各々
設けられたいずれも細い釘孔同士の位置を一致させるた
めの寸法精度(釘孔の位置決め精度も含まれる)や積層
時の層同士の位置合わせ精度を要求されないという作用
が生じる(すなわち、複数の層に各々設けられたいずれ
も細い釘孔同士が略正確に一致していなければ、屋根瓦
を野地板に釘止めする際に、いずれかの層では釘孔から
ずれた位置で釘を貫通させねばならず、層が破損される
可能性が高い)。
【0009】前記積層せしめる板状体同士は、同じ方法
で成形した同様の性質の板状体としても良いが(例え
ば、乾式法で成形した板状体同士を積層、或いは湿式法
で成形した板状体同士を積層せしめる等)、請求項2に
記載の発明のように、前記複数枚の板状体の内の最上層
部材を、セメントを主材とする粉体材料に水を添加しな
がら成形する乾式法によって得た板状体で構成し、前記
最上層部材に積層せしめる他の板状部材の内の少なくと
も一層を、セメントを主材とする粉体材料と水とを予め
混合したスラリー状、またはペースト状の材料を成形す
る湿式法によって得た板状体で構成しても良い。
【0010】このように構成すれば、乾式法による板状
体と湿式法による板状体とを一枚の屋根瓦の中の適材適
所に配することで、全体として優れた特性を持った屋根
瓦を提供することができて都合が良い。すなわち、乾式
法による板状体は、弾性は比較的低いが気孔率が低く
て、耐凍害性や耐水性の高い特性を備えているので、こ
れを雨や外気に曝され易い屋根瓦の最上層部分に用いれ
ば、屋根瓦の全体としての耐凍害性や耐水性を確保する
ことに効果があり、他方、湿式法による板状体は、耐凍
害性や寸法精度は低いが弾性の高い特性を備えているの
で、これを前記最上層部材に積層せしめる他の板状部材
の内の少なくとも一層に、すなわち、比較的外気に曝さ
れ難い層に用いれば、屋根瓦の全体としての弾性を確保
することに役立ち、例えば踏み抜き等による屋根瓦の破
損を未然に防止し易い。
【0011】〔発明の効果〕本発明の内、請求項1によ
る発明では、相决り部などの厚みが他の部位と異なる部
位の形成能率が高くなるという効果が得られる。また、
相决り部と非相决り部の間での密度差が少なく、全体と
しても密度の均一な屋根瓦を提供し易い、また、相决り
部や相决り部に沿った部位に亀裂が生じ難い屋根瓦を提
供し易いという効果が得られる。さらに、最上層部材と
他の層部材とを積層せしめる作業に関連して、要求され
る成型上などの寸法精度や層同士の位置合わせ精度の高
さが余り高くないので、作業能率が高まるという効果が
得られる。
【0012】本発明の内、請求項2による発明では、乾
式法による板状体と湿式法による板状体との有効な組み
合わせによって、耐凍害性と上面部の寸法精度が高く、
しかも所定の弾性をも備えていることによって踏み抜き
による破壊抵抗も高い屋根瓦を提供するという効果が得
られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を用いて解説する。図1は屋根瓦2を表面側から
見た斜視図、図2は裏面側から見た斜視図である。屋根
瓦2は全体としては概して平板状を示しているが、詳細
には、図1と2から理解されるように基本的に平面視に
おける中央付近に配された厚手部と、基本的に平面視に
おける縁付近に配された薄手部とを組み合わせた形状と
なっている。さらに、図3は屋根瓦2の概略平面図、図
4は概略正面図である。前記概略平面図で、ハッチング
部は厚さが約6mmの薄手部、ブランク部は厚さが約1
2mmの厚手部、またクロスハッチング部は厚さが約
4.5mmの最薄手部となっている。屋根瓦2は、セメ
ントを主材とし、且つ養生硬化させて形成した厚さが基
本的に約6mmの二枚の板状体、すなわち、上層側板状
体30と下層側板状体40を、接着剤で上下方向から接
合することによって、一体に積層せしめて形成されたも
のであり、図5は、上層側板状体30と下層側板状体4
0の積層せしめる前の状態を表面側から見た斜視図であ
る。この図5が示すように、上層側板状体30と下層側
板状体40の個々の厚さは、下層側板状体40に形成さ
れたチャンネル状の最薄手部(約4.5mm)を除いて
約6mmで一定である。
【0014】〔屋根瓦の形状〕図1、2および3に示さ
れるように、屋根瓦2の全体的な形状は、平面視におい
て基本的に矩形を呈しており、この矩形は棟側の上辺3
a、軒側の下辺3b、右辺4a、および左辺4bの合計
4つの各々が概して直線的な辺からなる。図6は、複数
の屋根瓦2を軒側から棟側に、そして、左から右に並列
させて全体として平面状に葺かれた屋根の一部分を示す
平面図である。この、図6に示されるように、互いに左
右に並列された屋根瓦2M,2N,2P同士は、或る屋
根瓦2の右相决り部5と別の屋根瓦2の左相决り部6と
を重ね合わせることで、全体として厚さが約12mm前
後と一定で左右に長く延びた集合を形成している。すな
わち、右相决り部5とは、右辺4aに沿って棟側から軒
側に延びている厚さが概して約6mmの薄手部を指し、
左相决り部6とは、左辺4bに沿って棟側から軒側に延
びている厚さが約6mmの薄手部を指し、これらの左右
の相决り部5,6はいずれも、上層側板状体30と下層
側板状体40とを左右に約50mmずらせて積層し、貼
り合わせる操作によって簡単に、しかも左右同時に形成
される。図6に戻ると、中央の屋根瓦2Nの左相决り部
6は左側の屋根瓦2Mの右相决り部5上に重ね合わされ
ており、中央の屋根瓦2Nの右相决り部5の上には右側
の屋根瓦2Pの左相决り部6が重ね合わされている。こ
れらの重ね合わされた構造には屋根瓦2同士の間隙から
の水等の進入を防止する機能がある。
【0015】また、屋根瓦2の上層側板状体30の右相
决り部5(約51mmの幅を有する)の左側端部には、
上辺3aから50mmの領域に残された水登り防止段部
18aを除いて、幅が約9mmのチャンネル形成切欠き
18が設けられているので、この部分では薄手部が実質
的に右相决り部5の更に左側に9mmだけ余分に延び、
薄手部の幅は約60mmとなっている。因みに左相决り
部6の幅は約50mmである。すなわち、図6に示され
るように、屋根瓦5同士を左右の相决り部5,6を重ね
合わせながら左から右に並列する時、例えば屋根瓦2P
であれば、この左辺4b(または左相决り部6)は屋根
瓦2Nの、チャンネル形成切欠き18の端面ではなく、
水登り防止段部18aの右端に接当して位置決めされる
ので、細長いチャンネル形成切欠き18が棟側から軒側
に向かって直線状に延びてできたチャンネル状空間を形
成することになる。このチャンネル状空間は、屋根瓦2
の上面部同士の左右の境界を視覚的に明白に示すので、
葺き上げられた屋根全体に規則的な調子を付加する外観
上の効果を提供する。水登り防止段部18aは、葺き上
げられた屋根に形成される前記チャンネル状空間を伝っ
て雨水が棟側に逆流して屋根瓦の裏面に達することを阻
止する機能を兼ね備えている。さらに、右相决り部5の
略中央に設けられた厚みが約4.5mmの最薄手部は、
幅が約30mm、深さが約1.5mmで上辺3aから下
辺3bまで連続して形成されたウォーターチャンネル1
9である。ウォーターチャンネル19自体は上面側の開
いたチャンネル状であるが、これは、右相决り部5と左
相决り部6とが上下に重ね合わされた時に、上辺3aか
ら下辺3bまで連続したトンネル状の連通孔を形成し、
何らかの原因で右相决り部5と左相决り部6の間に一旦
進入した雨水が排水されるのを促す機能を持つ。
【0016】また、屋根瓦2には、屋根瓦2を屋根下地
上に並べて屋根を葺く際に屋根瓦2同士の位置決めの目
安となる幾つかの合わせマークが、屋根瓦2の平面視で
確認可能な位置に形成されている。すなわち、上辺3a
にはセンター合わせマーク12およびアンダーラップ合
わせマーク13が、下辺3bにはセンター合わせマーク
11が、右辺4aにはオーバーラップ合わせマーク16
が、上層側板状体30上の右相决り部5に隣接する縁部
にはアンダーラップ合わせマーク17が、そして、左辺
4bにはオーバーラップ合わせマーク14およびアンダ
ーラップ合わせマーク15が形成されている。具体的に
位置決めの一例を解説すると、屋根瓦2では基本的に軒
側から棟側に、そして、左側から右側に順番に重ね合わ
せて設置して行くので、例えば図6の中央の屋根瓦2J
の位置は、既に固定されている軒側寄りの屋根瓦2N,
2Pを基準に決めることができる。すなわち、屋根瓦2
Jの上下左右の位置は、屋根瓦2Jの軒側の長辺3bの
センター合わせマーク11を、屋根瓦2Pのアンダーラ
ップ合わせマーク15と一致させることで決められる。
そして、屋根瓦2Jの角度位置、すなわち、屋根瓦2N
や2Pとの平行性は、例えば屋根瓦2Jの右辺4aのオ
ーバーラップ合わせマーク16を、屋根瓦2Pの上辺3
aの縁またはアンダーラップ合わせマーク13と一致さ
せることで得られる。次に、図7は、図6のX−X’断
面を屋根の右側、すなわち、屋根瓦2の右辺4a側から
見た部分断面図であるが、この図7に示されるように、
軒側から棟側の向きの配列に関しては、屋根瓦2同士
は、薄手部ではなく厚さが約12mmの厚手部同士を重
ね合わせる形態で並列されている。
【0017】また、図7に示されるように、屋根瓦2の
軒側の端部すなわち下辺3bでは、下辺3bの内の厚手
部の全長(すなわち、相决り部は除く)にわたって、上
層側板状体30が下層側板状体40よりも5mmだけ軒
側に突出することによって、オーバーハング部7が形成
されている。このオーバーハング部7が設けられている
ために、例えば屋根瓦2Jの表面上を棟側から軒側に流
れ落ちる雨水等は、下辺3bに到達後はオーバーハング
部7を棟側に向かって登ることなく、上層側板状体30
の軒側の下縁から真下に落下する傾向を得て、落下すれ
ばそのまま屋根瓦2Pの表面に移ってそこを下向きに流
れ始める。ここで、雨水等が、オーバーハング部7を棟
側に向かって登らない理由は、オーバーハング部7は軒
側すなわち上向きの勾配を持っているためであり、しか
も、オーバーハング部7は露出部であって毛細管構造を
備えることもないので、雨水などは自然の状態ではこの
オーバーハング部7を軒側向きに登ることは当然に生じ
難い。仮に、オーバーハング部7が設けられておらず、
X−X’断面における下辺3bが上層側板状体30から
下層側板状体40まで一直線に延びた形状になっていれ
ば、例えば屋根瓦2Jの表面上を棟側から軒側に流れ落
ちる雨水などは下辺3bに到達後、屋根瓦2Jから離れ
ることなく、この一直線状の下辺を伝い、屋根瓦2Jと
屋根瓦2Pの境界面に沿って軒側から棟側に向かって毛
細管現象で登り、言い換えれば屋根瓦2Jの裏側を伝っ
て再び軒側に戻り、屋根瓦と屋根下地の間の空間、また
は、屋根瓦同士が重ね合わされた境界面に水または湿気
を呼び込む結果となり易い。さらに、図2と図3に最も
良く示されているように、屋根瓦2の上辺3a付近には
上辺3aの向きに開放された通風用切欠き部23,23
が設けられている。図8は、図6のY−Y’断面を屋根
の右側、すなわち、屋根瓦2の右辺4a側から見た部分
断面図である。この図8に示されるように、通風用切欠
き部23,23が設けられているために、屋根瓦2の上
辺3aは屋根下地に対してその全長で接することはな
く、通風用切欠き部23,23に相当する部位では、屋
根下地との間に間隙(これは、軒側から見た断面が横長
トンネル状の間隙である)が形成されることになる。前
記横長トンネル状の間隙は、屋根を葺いている全部の屋
根瓦2の裏面に形成されるので、例えば屋根が全面的に
葺かれた状態では、この横長トンネル状の間隙同士が互
いに連通することによって、全体として軒付近から棟付
近まで連通した、屋根下地の面に沿って格子状に延びる
トンネル状の通風路を形成するため、屋根下地全体にわ
たって空気の流通を得ることができ、屋根下地と屋根瓦
の間の防湿効果を図ることができる。また、この通風路
は一旦屋根瓦2と屋根下地の間に進入した雨水等が軒側
に排水されるのを促す通水路の機能も兼務する。
【0018】また、屋根瓦2の中央よりも棟側には一対
の釘孔20,21が上辺3aに沿って配置されている。
釘孔20,21は、屋根瓦2を野地板100に釘で固定
するために利用される。図6の線分Y−Y’は釘孔21
上を通過しているので、図8の屋根瓦2Jの断面には釘
孔21とそこに挿通され野地板100に貫入した釘が示
されている。この図8および図2、ならびに図3から判
るように、通風用切欠き部23,23は、釘孔20,2
1の位置を余裕をもって包含するだけの広い領域を持っ
ており、したがって釘の頭部が掛かるような細い釘孔と
しては上層側板状体30にのみ穿孔しておけば良いこと
になる。すなわち、仮に下層側板状体40にも釘孔2
0,21と同径の細い釘孔を設けておく場合には、上層
側板状体30と下層側板状体40とを貼り合わせる際
に、上層側板状体30側の釘孔と下層側板状体40側の
釘孔を正確に一致させる必要が生じて製造能率が低下す
る原因になりかねないが、通風用切欠き部23,23が
兼務する上記の機能によってこの難点が解消される。
【0019】〔屋根瓦の製法〕前述したように、屋根瓦
2は、基本的には、セメントを主材とし、且つ養生硬化
させて形成した厚さが概して約6mmの二枚の板状体、
すなわち、上層側板状体30と下層側板状体40を、接
着剤を介して上下に合わせ、一体に積層せしめて形成さ
れている。また、屋根瓦2では、上層側板状体30と下
層側板状体40の双方を、セメントを主材とする粉体材
料に水を添加しながら成形する乾式法によって得た板状
体で構成している。
【0020】〔乾式成形〕図9は、屋根瓦2の製法を示
す略図であり、ここには上層側板状体30と下層側板状
体40に採用されている乾式法の概略の工程図(セメン
トを主材とする粉体材料に水を添加しながら成形する乾
式法の一例)が含まれている。以下、屋根瓦2の製法に
ついて、上層側板状体30の製造工程を中心に解説す
る。先ず、骨材としての珪砂(51重量%)、セメント
(46重量%)、およびパルプ繊維(3重量%)を、各
原料ホッパー50a、50b、50cから自動秤量後、
ミキサー52にて均一に乾式混合して乾式セメント材料
80aを得る。ミキサー52から排出された乾式セメン
ト材料80aは、移動する無端コンベア51の端部に載
置される。乾式セメント材料80aは、上方から延びた
邪魔板53によって略一定厚みに均され、引き続き、回
動する第1加圧ローラ54によって加圧され、次に、散
水装置56によってセメント硬化用の水が(水分量が乾
式セメント材料80aと、後述する着色剤80bの全体
に対して10重量%となるように)散布された後、さら
に、回動する第2加圧ローラ58によって圧縮操作を加
えられる。次に、珪砂(49.5重量%)、セメント
(50重量%)、着色顔料(0.5重量%)を良く混合
して得られた着色剤80bが材料散布装置59によって
散布され、第3加圧ローラ60によって更に加圧操作と
模様付け操作が施される。このようにして成形された層
状体81は、カッター62によって適当な寸法の矩形板
状体82に切断され、数日間の自然養生が施される。
【0021】〔形状切断〕養生を終えた矩形板状体82
は、パンチプレス64等によって打ち抜かれ、上層側板
状体30として必要な寸法形状を持った板状体83が得
られる。板状体83の片面には、塗布用ローラ66等で
防水加工が施された後、ドライヤ68で乾燥され、上層
側板状体30となる。下層側板状体40についても、基
本的に上層側板状体30と同様の方法で形成すれば良
い。ただし、下層側板状体40では、釘孔が無い点、ウ
ォーターチャンネル19および通風用切欠き23,23
が有る点など上層側板状体30とは若干の形状的な相異
がある。
【0022】〔接合〕以上の工程で得られた上層側板状
体30の下面と下層側板状体40の上面にアクリル系エ
マルジョン85(接着剤の一例)を塗布して、加圧して
貼り合わせた後、さらに塗布用ロ−ラ71等でアクリル
系エマルジョンで下塗り塗装し、オートクレーブ73内
に納めて上層側板状体30と下層側板状体40に含まれ
るセメントの高温高圧蒸気養生を行う。このオートクレ
ーブ73による高温高圧蒸気養生によって、前記アクリ
ル系エマルジョンによる接着強度も充分なレベルに達す
る。さらに塗布用ローラ74等で上塗り塗装を施し、ド
ライヤ76によって乾燥を終了させれば、屋根瓦2が完
成する。尚、乾式セメント材料80aや着色剤80b用
のセメントとしては、普通ポルトランドセメントまたは
アルミナセメント等が使用できる。
【0023】〔別実施形態〕 〈1〉上記実施形態では、積層する板状体を乾式法で形
成しているが、前記乾式法に代えて、セメントを主材と
する粉体材料と水とを予め混合したスラリー状、または
ペースト状の材料を成形する湿式法で形成しても良い。
【0024】〈2〉上記実施形態では、上層側板状体3
0と下層側板状体40の双方を乾式法で成形したもので
構成しているが、最上層部材には上記実施形態と同じ
く、セメントを主材とする粉体材料に水を添加しながら
成形する乾式法によって得た板状体で構成し、最下層部
材としては、セメントを主材とする粉体材料と水とを予
め混合したスラリー状、またはペースト状の材料を成形
する湿式法で構成しても良い。このように構成すれば、
乾式法による板状体の長所と、湿式法による板状体の長
所を合わせ持つ、耐凍害性および耐水性が高く、弾性も
ある程度高い屋根瓦が得られる。尚、前記湿式法の例と
しては、透液性のベルトコンベア等でスラリーボックス
の下部から水平に引出した膜状の材料スラリーを、ベル
トコンベアの裏側から真空脱水することによって成形
し、養生硬化させるフローオン法や、薄いスラリーの液
面下から液面上に連続的に移動する網等で膜状の材料を
漉き上げてはメーキングロールに巻き取らせて成形し、
養生硬化させる抄造法が適用可能である。
【0025】〈3〉上記実施形態では、上層側板状体3
0と下層側板状体40の各一枚の合計二枚の板状体を積
層して屋根瓦としているが、合計三枚以上の板状体を接
着剤を介して一体に積層せしめても良い。
【0026】〈4〉セメントを主材とし、且つ養生硬化
させて形成した板状体同士を複数枚、接着剤を介して一
体に積層せしめる際に、前記板状体の表面や前記板状体
同士同士の間に、異材質層を介在せしめて前記板状体と
一体化しても良い。例えば、前記異材質層としてポリエ
チレンシート等の耐水性の樹脂膜を用いて、この樹脂膜
で屋根瓦の裏面を被覆したり、板状体同士の間にこの樹
脂膜を介在させれば、屋根瓦内への水の浸透を抑制する
ことによって屋根瓦全体の耐水性が向上する効果、およ
び、屋根瓦全体の機械的強度が向上して飛来物などに対
する耐破壊抵抗性の向上が期待できる。図10は、図1
の屋根瓦の上層側板状体30と下層側板状体40の境界
面および左右の相决り部5,6の表面、ならびに、下層
側板状体40の裏面全体に対してポリエチレンシート9
0,90を熱融着によって貼着した例であり、図10−
イは接着剤によって接合される前の上層側板状体30と
下層側板状体40、図10−ロは接合した後の状態を示
す。また、前記異材質層としてアルミラミネートシート
等を用いて、これで屋根瓦の裏面を被覆したり、板状体
同士の間に介在させれば、耐水性の他に、屋根瓦の赤外
線などに対する反射断熱性が向上し、特に夏期などにお
ける家屋の温度上昇を抑制する効果をも期待できて都合
が良い。
【0027】尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照
を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明
は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における屋根瓦の斜視図
【図2】図1の屋根瓦の別の斜視図
【図3】図1の屋根瓦の概略平面図
【図4】図1の屋根瓦の概略正面図
【図5】図1の屋根瓦の積層前の状態を示す斜視図
【図6】図1の屋根瓦によって葺いた屋根の一例を示す
概略平面図
【図7】図6の線分X−X’による部分断面図
【図8】図6の線分Y−Y’による部分断面図
【図9】図1の屋根瓦の製法を示す概略平面図
【図10】本発明の別の実施形態における屋根瓦の側面
【符号の説明】
2 屋根瓦 3a 上辺 3b 下辺 4a 右辺 4b 左辺 5 右相决り部 6 左相决り部 19 ウォーターチャンネル 20 釘孔 21 釘孔 23 通風用切欠き部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板状体同士を複数枚、接着剤を介して一
    体に積層して形成し、且つ、前記複数枚の板状体の内、
    最上層部材(30)を、セメントを主材とし、且つ、養
    生硬化させて形成して、 前記最上層部材(30)に野地板(100)に対する固
    定用の釘孔(20,21)を設け、その最上層部材に直
    接的乃至は間接的に積層されるセメントを主材とする層
    部材の、平面視において前記釘孔と重複する位置に切欠
    き(23)を設けている屋根瓦。
  2. 【請求項2】 前記最上層部材(30)を、前記セメン
    トを主材とする粉体材料(80a)に水を添加しながら
    成型する乾式法によって得た板状体で構成し、前記最上
    層部材(30)に積層される他の層部材の少なくとも一
    層を、前記セメントを主材とする粉体材料と水とを予め
    混合したスラリー状、乃至ペースト状の材料を成型する
    湿式法によって得た板状体で構成している請求項1に記
    載の屋根瓦。
JP34501196A 1996-12-25 1996-12-25 屋根瓦 Pending JPH10183867A (ja)

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