JP3308462B2 - 屋根瓦 - Google Patents

屋根瓦

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JP3308462B2
JP3308462B2 JP34500996A JP34500996A JP3308462B2 JP 3308462 B2 JP3308462 B2 JP 3308462B2 JP 34500996 A JP34500996 A JP 34500996A JP 34500996 A JP34500996 A JP 34500996A JP 3308462 B2 JP3308462 B2 JP 3308462B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軒側から棟側に架
けて、複数枚を軒側のものの棟側端部に、棟側のものの
軒側端部が重なるように夫々ずらして並べて敷設するた
めの屋根瓦に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、屋根瓦としては、図10に例示す
るように、その軒側端面95が屋根瓦50の上面または
裏面に対して略直角に、且つ、一直線状に延びたものが
知られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の構成の屋根
瓦で屋根を葺いた場合、降雨時には、例えば、或る任意
の屋根瓦(第1屋根瓦と仮称する)の上面を軒側に向か
って流れ落ちた雨水は、前記軒側端面に到達後は、その
軒側端面を伝って(すなわち、屋根瓦の厚み方向に移動
して)、軒側に隣接する第2屋根瓦との境界部まで下向
きに流れ落ちる傾向があった。そして、前記境界部に到
達した雨水の一部は、前記第2屋根瓦の上面を流れ始め
ることなく、第1屋根瓦の裏面と第2屋根瓦の上面の境
界面に沿って棟側に逆流する(水登り現象と呼ばれる)
場合があり、この逆流する水の量によっては、雨水が屋
根下地に達して雨漏りを生じさせる、屋根下地を腐食さ
せるなどの問題を引き起こすため、改善の余地があっ
た。
【0004】また、上記従来の屋根瓦によって葺かれた
屋根では、屋根を照らす光源(太陽など)が屋根の真上
付近や背後(例えば、北半球では、特に南中時前後の太
陽は北側の屋根の背後に位置する)に位置する場合、屋
根瓦の上面と軒側の縁の端面の間で受光量が明白に異な
り、軒側の縁の端面に明確な陰影が形成されるが、一
方、屋根を照らす光源(太陽など)が屋根の正面付近の
角度に位置する場合、屋根瓦の上面と軒側の縁の端面と
が類似の受光状態を示すために、軒側の縁の端面に陰影
が生じ難い傾向があった。その結果、屋根を葺いている
屋根瓦が、立体感や重厚感などと言った外観上有利な質
感を充分に持つことができず、改善の余地があった。本
発明の目的は、上に例示した従来構造を持った屋根瓦の
欠点に鑑み、降雨時などに水登り現象が生じ難く、ま
た、屋根を葺いている状態で充分な立体感や重厚感など
を呈し易い屋根瓦を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る屋根瓦では、軒側から棟側に架けて、
複数枚を軒側のものの棟側端部に、棟側のものの軒側端
部が重なるように夫々ずらして並べて敷設するための屋
根瓦において、板状体同士を複数枚、接着剤を介して一
体に積層して形成し、且つ、複数枚の板状体の内、最上
層部材を、セメントを主材とする粉体材料に水を添加し
ながら成型する乾式法によって得た板状体を養生硬化さ
せて構成し、最上層部材に積層される他の層部材の少な
くとも一層を、セメントを主材とする粉体材料と水とを
予め混合したスラリー状、乃至ペースト状の材料を成型
する湿式法によって得た 板状体で構成するとともに、複
数枚の板状体の最下層部材より上層の部材の少なくとも
一つを、最下層部材に比して軒側に向かって突出するよ
うに設けてあることを特徴構成としている。
【0006】上記のように構成することによって、本発
明に係る屋根瓦では、前記最下層部材に比して軒側に向
かって突出するように設けられた層の軒側端部に、棟側
に向かって上がりながら逆戻りする面(以降、この面を
オーバーハング面と仮称する)が形成されているため、
降雨時に、例えば、任意の屋根瓦の上面を軒側に向かっ
て流れ落ちて来た雨水は、前記軒側端面に到達後、その
軒側端面の途中位置まで伝い下りた時点で、軒側端面か
ら離れて空中落下して、軒側の第2屋根瓦の上面に落下
し易くなるため(これは、軒側端面とオーバーハング面
との接点、言い換えればオーバーハング面が開始される
地点を意味し、雨水はこの地点から重力に逆らってまで
オーバーハング面を伝って上向きには登り難いからであ
る)、前記軒側端面に到達した雨水の一部が、第1屋根
瓦の裏面と第2屋根瓦の上面の境界面に沿って棟側に逆
流する現象が生じ難く、雨漏りや、屋根下地の腐食が起
き難くなるという作用が得られた。ところで、もしも前
記オーバーハング面に対向するような別の部材が近接配
置されている場合には毛細管現象によって前記オーバー
ハング面を雨水が伝い上がる可能性があるが、本発明に
係る屋根瓦では前記オーバーハング面は外部に露出され
た面であるため上記の懸念は不要と考えられる。
【0007】また、上記のように構成することによっ
て、本発明に係る屋根瓦では、屋根を照らす光源(太陽
など)が屋根の正面付近の角度に位置しており、屋根瓦
の上面と軒側の縁の端面とが類似の受光状態を示す状況
下でも、前記オーバーハング面が一種の庇となって、同
じ前記第1屋根瓦の、オーバーハング面の下に位置する
層の軒側端部、および、軒側に隣接する第2屋根瓦の暴
露部の棟側に明確な陰影が生じ易いという作用が得られ
た。しかも、本発明に係る発明では、前記オーバーハン
グ面を形成するに当たって、可塑性の素材で軒側端面が
屋根瓦の上面または裏面に対して略直角に、且つ、一直
線状に延びた形状の被加工材料を作っておいて、この被
加工材料からオーバーハング面を削り出す方法や、オー
バーハング面を形成するための階段状部位を設けたプレ
スモールドで前記被加工材料をプレス成形する方法な
ど、煩雑な方法を採る必要がなく、板状体同士を複数
枚、接着剤を介して一体に積層して形成する際に、単
に、複数枚の板状体の最下層部材より上層の部材の少な
くとも一つを、前記最下層部材に比して軒側に向かって
突出するように「ずらせて」積層するだけで良いという
作用が得られた。また、積層しせめる複数枚の板状体の
各々についても、軒側端面が屋根瓦の上面または裏面に
対して略直角に、且つ、一直線状に延びた単純な形状を
形成すれば良いので、板状体の部位による厚さの相異を
プレス成形の際のモールドの形状で実現する結果として
生じ得る部位による密度の不均一性などを未然に防止で
き、全体として密度がより均一な屋根瓦が得られ易いと
いう作用が得られた。屋根瓦全体としての密度の均一性
が高まれば、屋根瓦の機械的強度も向上する。
【0008】そして、複数枚の板状体の内の最上層部材
を、セメントを主材とする粉体材料に水を添加しながら
成形する乾式法によって得た板状体を養生硬化させて構
成し、最上層部材に積層される他の層部材の少なくとも
一層を、セメントを主材とする粉体材料と水とを予め混
合したスラリー状、乃至ペースト状の材料を成形する湿
式法によって得た板状体で構成するという特徴構成を追
加してある。このように構成すれば、乾式法による板状
体と湿式法による板状体とを一枚の屋根瓦の中の適材適
所に配することで、全体として優れた特性を持った屋根
瓦を提供することができて都合が良い。すなわち、乾式
法による板状体は、弾性は比較的低いが気孔率が低く
て、耐凍害性や耐水性の高い特性を備えているので、こ
れを雨や外気に曝され易い屋根瓦の最上層部分に用いれ
ば、屋根瓦の全体としての耐凍害性や耐水性を確保する
ことに効果があり、他方、湿式法による板状体は、耐凍
害性や寸法精度は低いが弾性の高い特性を備えているの
で、これを前記最上層部材に積層せしめる他の板状部材
の内の少なくとも一層に、すなわち、比較的外気に曝さ
れ難い層に用いれば、屋根瓦の全体としての弾性を確保
することに役立ち、例えば踏み抜き等による屋根瓦の破
損を未然に防止し易い。
【0009】〔発明の効果〕その結果、本発明によれば 、水登り現象が抑制されるこ
とによって、屋根の雨漏りや、屋根下地(野地板に防水
シートを載置したもの)の腐食が起き難くなるという効
果、また、個々の屋根瓦の棟側端部に明確な陰影が形成
され易いために、葺いた屋根に適切な質感を与えること
が可能となる。また、複数枚の板状体同士を「ずらせ
て」積層するという簡単な手法で形成できるから、密度
がより均一で機械的強度のより高い屋根瓦が得られると
いう効果が得られる。そして、乾式法による板状体と湿
式法による板状体との有効な組み合わせによって、耐凍
害性と上面部の寸法精度が高く、しかも踏み抜きによる
破壊抵抗も高い屋根瓦を提供するという効果も得られ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を用いて解説する。図1は屋根瓦2を表面側から
見た斜視図、図2は裏面側から見た斜視図である。屋根
瓦2は全体としては概して平板状を示しているが、詳細
には、図1と2から理解されるように基本的に平面視に
おける中央付近に配された厚手部と、基本的に平面視に
おける縁付近に配された薄手部とを組み合わせた形状と
なっている。さらに、図3は屋根瓦2の概略平面図、図
4は概略正面図である。前記概略平面図で、ハッチング
部は厚さが約6mmの薄手部、ブランク部は厚さが約1
2mmの厚手部、またクロスハッチング部は厚さが約
4.5mmの最薄手部となっている。屋根瓦2は、セメ
ントを主材とし、且つ養生硬化させて形成した厚さが基
本的に約6mmの二枚の板状体、すなわち、上層側板状
体30と下層側板状体40を、接着剤で上下方向から接
合することによって、一体に積層せしめて形成されたも
のであり、図5は、上層側板状体30と下層側板状体4
0の積層せしめる前の状態を表面側から見た斜視図であ
る。この図5が示すように、上層側板状体30と下層側
板状体40の個々の厚さは、下層側板状体40に形成さ
れたチャンネル状の最薄手部(約4.5mm)を除いて
約6mmで一定である。
【0011】〔屋根瓦の形状〕 図1、2および3に示されるように、屋根瓦2の全体的
な形状は、平面視において基本的に矩形を呈しており、
この矩形は、屋根を葺く際において軒側となる別の屋根
瓦の上に重ねる軒側の下辺3b、及び棟側となる別の屋
根瓦の下に敷かれる棟側の上辺3aを有するとともに、
右辺4a、および左辺4bの合計4つの各々が概して直
線的な辺からなる。図6は、複数の屋根瓦2を軒側から
棟側に、そして、左から右に並列させて全体として平面
状に葺かれた屋根の一部分を示す平面図である。図6に
示されるように、互いに左右に並列された屋根瓦2M,
2N,2P同士は、任意の屋根瓦2の右相决り部5と、
これとは別の屋根瓦2の左相决り部6とを重ね合わせる
ことで、全体として厚さが約12mm前後と一定で左右
に長く延びた集合を形成している。すなわち、右相决り
部5とは、右辺4aに沿って棟側から軒側に延びている
厚さが概して約6mmの薄手部を指し、左相决り部6と
は、左辺4bに沿って棟側から軒側に延びている厚さが
約6mmの薄手部を指し、これらの左右の相决り部5,
6はいずれも、上層側板状体30と下層側板状体40と
を左右に約50mmずらせて積層し、貼り合わせる操作
によって簡単に、しかも左右同時に形成される。図6に
戻ると、中央付近に示された屋根瓦2Nの左相决り部6
は左側の屋根瓦2Mの右相决り部5上に重ね合わされて
おり、中央の屋根瓦2Nの右相决り部5の上には右側の
屋根瓦2Pの左相决り部6が重ね合わされている。これ
らの重ね合わされた構造には屋根瓦2同士の間隙からの
水等の進入を防止する機能がある。
【0012】また、屋根瓦2の上層側板状体30の右相
决り部5(約51mmの幅を有する)の左側端部には、
上辺3aから50mmの領域に残された水登り防止段部
18aを除いて、幅が約9mmのチャンネル形成切欠き
18が設けられているので、この部分では薄手部が実質
的に右相决り部5の更に左側に9mmだけ余分に延び、
薄手部の幅は約60mmとなっている。因みに左相决り
部6の幅は約50mmである。すなわち、図6に示され
るように、屋根瓦5同士を左右の相决り部5,6を重ね
合わせながら左から右に並列する時、例えば屋根瓦2P
であれば、この左辺4b(または左相决り部6)は屋根
瓦2Nの、チャンネル形成切欠き18の端面ではなく、
水登り防止段部18aの右端に接当して位置決めされる
ので、細長いチャンネル形成切欠き18が棟側から軒側
に向かって直線状に延びてできたチャンネル状空間を形
成することになる。このチャンネル状空間は、屋根瓦2
の上面部同士の左右の境界を視覚的に明白に示すので、
葺き上げられた屋根全体に規則的な調子を付加する外観
上の効果を提供する。水登り防止段部18aは、葺き上
げられた屋根に形成される前記チャンネル状空間を伝っ
て雨水が棟側に逆流して屋根瓦の裏面に達することを阻
止する機能を兼ね備えている。さらに、右相决り部5の
略中央に設けられた厚みが約4.5mmの最薄手部は、
幅が約30mm、深さが約1.5mmで上辺3aから下
辺3bまで連続して形成されたウォーターチャンネル1
9である。ウォーターチャンネル19自体は上面側の開
いたチャンネル状であるが、これは、右相决り部5と左
相决り部6とが上下に重ね合わされた時に、上辺3aか
ら下辺3bまで連続したトンネル状の連通孔を形成し、
何らかの原因で右相决り部5と左相决り部6の間に一旦
進入した雨水が排水されるのを促す機能を持つ。
【0013】また、屋根瓦2には、屋根瓦2を屋根下地
(図7に例示された野地板100に防水シート110を
載置したもの)上に並べて屋根を葺く際に屋根瓦2同士
の位置決めの目安となる幾つかの合わせマークが、屋根
瓦2の平面視で確認可能な位置に形成されている。すな
わち、上辺3aにはセンター合わせマーク12およびア
ンダーラップ合わせマーク13が、下辺3bにはセンタ
ー合わせマーク11が、右辺4aにはオーバーラップ合
わせマーク16が、上層側板状体30上の右相决り部5
に隣接する縁部にはアンダーラップ合わせマーク17
が、そして、左辺4bにはオーバーラップ合わせマーク
14およびアンダーラップ合わせマーク15が形成され
ている。具体的に位置決めの一例を解説すると、屋根瓦
2では基本的に軒側から棟側に、そして、左側から右側
に順番に重ね合わせて設置して行くので、例えば図6の
中央の屋根瓦2Jの位置は、既に固定されている軒側寄
りの屋根瓦2N,2Pを基準に決めることができる。す
なわち、屋根瓦2Jの上下左右の位置は、屋根瓦2Jの
軒側の長辺3bのセンター合わせマーク11を、屋根瓦
2Pのアンダーラップ合わせマーク15と一致させるこ
とで決められる。そして、屋根瓦2Jの角度位置、すな
わち、屋根瓦2Nや2Pとの平行性は、例えば屋根瓦2
Jの右辺4aのオーバーラップ合わせマーク16を、屋
根瓦2Pの上辺3aの縁またはアンダーラップ合わせマ
ーク13と一致させることで得られる。次に、図7は、
図6のX−X’断面を屋根の右側、すなわち、屋根瓦2
の右辺4a側から見た部分断面図であるが、この図7に
示されるように、軒側から棟側の向きの配列に関して
は、屋根瓦2同士は、薄手部ではなく厚さが約12mm
の厚手部同士を重ね合わせる形態で並列されている。つ
まり、軒側から棟側に架けて、複数枚を軒側の屋根瓦2
の上辺(棟側端部の一例)3aに、棟側の屋根瓦2の下
辺(軒側端部の一例)3bが重なるように夫々ずらして
並べて敷設してある。
【0014】また、図7に最も明確に示されるように、
屋根瓦2の軒側の端部すなわち下辺3bでは、下辺3b
の内の厚手部の全長(すなわち、相决り部は除く)にわ
たって、上層側板状体30が下層側板状体40よりも5
mmだけ軒側に突出することによって、オーバーハング
部7が形成されている。このオーバーハング部7が設け
られているために、例えば屋根瓦2Jの表面上を棟側か
ら軒側に流れ落ちる雨水等は、下辺3bに到達後はオー
バーハング部7を棟側に向かって登ることなく、上層側
板状体30の軒側の下縁から真下に落下する傾向を得
て、落下すればそのまま屋根瓦2Pの表面に移ってそこ
を流れ始める。ここで、雨水等が、オーバーハング部7
を棟側に向かって登らない理由は、オーバーハング部7
は軒側すなわち上向きの勾配を持っているためであり、
しかも、オーバーハング部7は露出部であって毛細管構
造を備えることもないので、雨水などは自然の状態では
このオーバーハング部7を軒側向きに登ることは当然に
生じ難い。仮に、オーバーハング部7が設けられておら
ず、X−X’断面における下辺3bが上層側板状体30
から下層側板状体40まで一直線に延びた形状になって
いれば、例えば屋根瓦2Jの表面上を棟側から軒側に流
れ落ちる雨水などは下辺3bに到達後、屋根瓦2Jから
離れることなく、この一直線状の下辺を伝い、屋根瓦2
Jと屋根瓦2Pの境界面に沿って軒側から棟側に向かっ
て毛細管現象で登り、言い換えれば屋根瓦2Jの裏側を
伝って再び軒側に戻り、屋根瓦と屋根下地の間の空間、
または、屋根瓦同士が重ね合わされた境界面に水または
湿気を呼び込む結果となり易い。さらに、上述したよう
に、屋根瓦2の軒側端面にオーバーハング面7が設けら
れているために、たとえ屋根面を照らす光源(太陽な
ど)が屋根の正面付近の角度に位置していて、屋根瓦の
上面と軒側の縁の端面とが類似の受光状態を持つ状況下
でも、オーバーハング面7が一種の光を遮る庇の役目を
果たして、同じ前記第1屋根瓦の、オーバーハング面の
下に位置する層の軒側端部、および、軒側に隣接する第
2屋根瓦の暴露部の棟側端部に明確な陰影が生じ易くな
るので、結果的に、葺いた屋根に適切な質感を与えるこ
とが可能となる。
【0015】加えて、図2と図3に最も良く示されてい
るように、屋根瓦2の上辺3a付近には上辺3aの向き
に開放された通風用切欠き部23,23が設けられてい
る。通風用切欠き部23,23が設けられているため
に、屋根瓦2の上辺3aは屋根下地に対してその全長で
接することはなく、通風用切欠き部23,23に相当す
る部位では、屋根下地との間に間隙(これは、軒側から
見た断面が横長トンネル状の間隙である)が形成される
ことになる。前記横長トンネル状の間隙は、屋根を葺い
ている全部の屋根瓦2の裏面に形成されるので、例えば
屋根が全面的に葺かれた状態では、この横長トンネル状
の間隙同士が互いに連通することによって、全体として
軒付近から棟付近まで連通し、屋根下地の面に沿って格
子状に延びるトンネル状の通風路を形成するため、屋根
下地の全体にわたって空気の流通を得ることができ、屋
根下地と屋根瓦の間の防湿効果を図ることができる。ま
た、このようにして形成された通風路は一旦屋根瓦2と
屋根下地の間に進入した雨水等が軒側に排水されるのを
促す通水路の機能も兼務する。
【0016】また、屋根瓦2の中央よりも棟側には一対
の釘孔20,21が上辺3aに沿って配置されている。
釘孔20,21は、屋根瓦2を野地板100に釘で固定
するために利用される。図2および図3から判るよう
に、通風用切欠き部23,23は、釘孔20,21の位
置を余裕をもって包含するだけの広い領域を持ってお
り、したがって釘の頭部が掛かるような細い釘孔として
は上層側板状体30にのみ穿孔しておけば良いことにな
る。すなわち、仮に下層側板状体40にも釘孔20,2
1と同径の細い釘孔を設けておく場合には、上層側板状
体30と下層側板状体40とを貼り合わせる際に、上層
側板状体30側の釘孔と下層側板状体40側の釘孔を正
確に一致させる必要が生じて製造能率が低下する原因に
なりかねないが、通風用切欠き部23,23が兼務する
上記の機能によってこの難点が解消される。
【0017】〔屋根瓦の製法〕 前述したように、屋根瓦2は、基本的には、セメントを
主材とし、且つ養生硬化させて形成した厚さが概して約
6mmの二枚の板状体、すなわち、上層側板状体30と
下層側板状体40を、接着剤を介して上下に合わせ、一
体に積層せしめて形成されている。また、屋根瓦2で
は、上層側板状体30と下層側板状体40の双方を、セ
メントを主材とする粉体材料に水を添加しながら成形す
る乾式法によって得た板状体で構成している。
【0018】〔乾式成形〕 図8は、屋根瓦2の製法の略図であり、上層側板状体3
0と下層側板状体40に採用されている乾式法の概略の
工程図(セメントを主材とする粉体材料に水を添加しな
がら成形する乾式法の一例)が上層側板状体30を中心
に示されている。先ず、骨材としての珪砂(51重量
%)、セメント(46重量%)、およびパルプ繊維(3
重量%)を、各原料ホッパー50a、50b、50cか
ら自動秤量後、ミキサー52にて均一に乾式混合して乾
式セメント材料80a(粉体材料の一例)を得る。ミキ
サー52から排出された乾式セメント材料80aは、移
動する無端コンベア51の端部に載置される。乾式セメ
ント材料80aは、上方から延びた邪魔板53によって
略一定厚みに均され、引き続き、回動する第1加圧ロー
ラ54によって加圧され、次に、散水装置56によって
セメント硬化用の水が(水分量が乾式セメント材料80
aと、後述する着色剤80bの全体に対して10重量%
となるように)散布された後、さらに、回動する第2加
圧ローラ58によって圧縮操作を加えられる。次に、珪
砂(49.5重量%)、セメント(50重量%)、着色
顔料(0.5重量%)を良く混合して得られた着色剤8
0bが材料散布装置59によって散布され、第3加圧ロ
ーラ60によって更に加圧操作と模様付け操作が施され
る。このようにして成形された層状体81は、カッター
62によって適当な寸法の矩形板状体82に切断され、
数日間の自然養生が施される。
【0019】〔形状切断〕 養生を終えた矩形板状体82は、パンチプレス64等に
よって打ち抜かれ、上層側板状体30として必要な寸法
形状を持った板状体83が得られる。板状体83の片面
には、塗布用ローラ66等で防水加工が施された後、ド
ライヤ68で乾燥され、上層側板状体30となる。下層
側板状体40についても、基本的に上層側板状体30と
同様の方法で形成すれば良い。ただし、下層側板状体4
0では、釘孔が無い点、ウォーターチャンネル19およ
び通風用切欠き23,23が有る点など上層側板状体3
0とは若干の形状的な相異がある。
【0020】〔接合〕 以上の工程で得られた上層側板状体30の下面と下層側
板状体40の上面にアクリル系エマルジョン85(接着
剤の一例)を塗布して、加圧して貼り合わせた後、さら
に塗布用ロ−ラ71等でアクリル系エマルジョンで下塗
り塗装し、オートクレーブ73内に納めて上層側板状体
30と下層側板状体40に含まれるセメントの高温高圧
蒸気養生を行う。このオートクレーブ73による高温高
圧蒸気養生によって、前記アクリル系エマルジョンによ
る接着強度も充分なレベルに達する。さらに塗布用ロー
ラ74等で上塗り塗装を施し、ドライヤ76によって乾
燥を終了させれば、屋根瓦2が完成する。尚、乾式セメ
ント材料80aや着色剤80b用のセメントとしては、
普通ポルトランドセメントまたはアルミナセメント等が
使用できる。
【0021】〔別実施形態〕 〈1〉雨水などの水登りを抑制し、軒側端部付近に太陽
光などによる明確な陰影を生じさせるためのオーバーハ
ング面7の形状としては、上記実施形態で記載した形状
の他に、種々の変形が考えられる。前記変形の一例を示
した図9−イによる実施形態では、上層側板状体30を
下層側板状体40よりも軒側に突出させた上に、オーバ
ーハング面91の角度を上記の第1実施形態のものより
も更に水が棟側に逆流し難い急勾配とするために、上層
側板状体30の内の下層側板状体40よりも軒側に突出
した部分の下面側に楔形状の切り込み91aが設けられ
ており、より高い水登り抑制効果が期待できる。また、
図9−ロによる実施形態では、垂直面を上回るオーバー
ハング面92を軒側端部付近に形成するために、断面が
コの字状の切り込み92aが設けられており、やはり高
い水登り抑制効果が期待できる。ただし、横殴り状態の
降雨時における水の浸透をも防止し得るためには、図9
−ロの例ではコの字状の切り込み92aが水の棟側向き
の逆流を促す毛細管として働かないように、切り込み9
2aの水平方向の幅dを5mm以上とることが望まし
い。 〈2〉上記実施形態では、積層する板状体を乾式法で形
成しているが、前記乾式法に代えて、セメントを主材と
する粉体材料と水とを予め混合したスラリー状、または
ペースト状の材料を成形する湿式法で形成しても良い。 〈3〉上記実施形態では、上層側板状体30と下層側板
状体40の双方を乾式法で成形したもので構成している
が、最上層部材には上記実施形態と同じく、セメントを
主材とする粉体材料に水を添加しながら成形する乾式法
によって得た板状体で構成し、最下層部材としては、セ
メントを主材とする粉体材料と水とを予め混合したスラ
リー状、またはペースト状の材料を成形する湿式法で構
成しても良い。このように構成すれば、乾式法による板
状体の長所と、湿式法による板状体の長所を合わせ持
つ、耐凍害性および耐水性が高く、弾性もある程度高い
屋根瓦が得られる。尚、前記湿式法の例としては、透液
性のベルトコンベア等でスラリーボックスの下部から水
平に引出した膜状の材料スラリーを、ベルトコンベアの
裏側から真空脱水することによって成形し、養生硬化さ
せるフローオン法や、薄いスラリーの液面下から液面上
に連続的に移動する網等で膜状の材料を漉き上げてはメ
ーキングロールに巻き取らせて成形し、養生硬化させる
抄造法が適用可能である。
【0022】〈4〉上記実施形態では、上層側板状体3
0と下層側板状体40の各一枚の合計二枚の板状体を積
層して屋根瓦としているが、合計三枚以上の板状体を接
着剤を介して一体に積層せしめても良い。
【0023】尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照
を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明
は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における屋根瓦の斜視図
【図2】本発明の一実施形態における屋根瓦の斜視図
【図3】図1の屋根瓦の概略平面図
【図4】図1の屋根瓦の概略正面図
【図5】図1の屋根瓦の積層前の状態を示す斜視図
【図6】図1の屋根瓦によって葺いた屋根の一例を示す
概略平面図
【図7】図6の線分X−X’による部分断面図
【図8】図1の屋根瓦の製法を示す概略側面図
【図9】本発明の別実施形態における屋根瓦の断面図
【図10】従来構造の屋根瓦の断面図
【符号の説明】
2 屋根瓦 3a 棟側端部 3b 軒側端部 7 オーバーハング部 30 上層側板状体 40 下層側板状体 100 野地板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−200715(JP,A) 実開 平4−127317(JP,U) 実開 昭49−47416(JP,U) 実開 平2−1318(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軒側から棟側に架けて、複数枚を軒側の
    ものの棟側端部(3a)に、棟側のものの軒側端部(3
    b)が重なるように夫々ずらして並べて敷設するための
    屋根瓦であって、 板状体同士を複数枚、接着剤を介して一体に積層して形
    成し、且つ、前記複数枚の板状体の内、最上層部材(3
    0)を、セメントを主材とする粉体材料に水を添加しな
    がら成型する乾式法によって得た板状体を養生硬化させ
    て構成し、前記最上層部材(30)に積層される他の層
    部材の少なくとも一層を、セメントを主材とする粉体材
    料と水とを予め混合したスラリー状、乃至ペースト状の
    材料を成型する湿式法によって得た板状体で構成すると
    ともに、前記複数枚の板状体の最下層部材(40)より
    上層の部材の少なくとも一つ(30)を、前記最下層部
    材(40)に比して軒側に向かって突出するように設け
    てある屋根瓦。
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