JP3263328B2 - 屋根瓦 - Google Patents

屋根瓦

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JP3263328B2
JP3263328B2 JP34500896A JP34500896A JP3263328B2 JP 3263328 B2 JP3263328 B2 JP 3263328B2 JP 34500896 A JP34500896 A JP 34500896A JP 34500896 A JP34500896 A JP 34500896A JP 3263328 B2 JP3263328 B2 JP 3263328B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建物などの屋根を葺
くために用いられる屋根瓦に関し、より具体的には、セ
メントを主材とし、且つ養生硬化させて形成した屋根瓦
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の屋根瓦として知られてい
るのは、セメントを主材とした一層の板状体を作成し
て、これを養生硬化させて得られたもので、最終製品の
形態としても前記一層のままの状態を呈した屋根瓦であ
る。上記の従来の構成の屋根瓦では、互いに隣接する屋
根瓦同士が、特に横方向で、互いの上面同士が連続した
一平面をなすように重なり合うための相决り部を各屋根
瓦に形成する手法として、全体が均一な厚みの板状体
をある程度まで養生して所定の強度を獲得させた上で、
前記横方向の縁部を刃物等で削り取った薄い部分を相决
り部とする方法、または、全体が略均一な厚みで可塑
性を備えた板状体を、プレス型の、屋根瓦の横方向の縁
部に対応する部分を他より突出形成せしめたプレスによ
ってプレス成形することで相决り部を形成する方法のい
ずれかを用いている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】したがって、上記の従
来の構成の屋根瓦では、全体が均一な厚みの板状体を
ある程度まで養生して強度を獲得させた上で前記横方向
の縁部を刃物等で削り取って厚みの小さい部分を得るこ
とによって相决り部を形成する方法を採用した場合に
は、刃物による被切削面を正確で滑らかな平面として仕
上げるためには、セメントを主材とした材料の養生硬化
が或る程度進行した後にこの切削加工を行わねばならな
いために、切削加工自体が困難で加工能率が低いという
欠点、および、用いる刃物の寿命が短く、結果として相
决り部の形成工程の能率が低いという欠点がある。
【0004】一方、全体が均一な厚みの可塑性を備え
た板状体を、一部が突出したプレス型で加圧成形するこ
とによって相决り部を形成する場合には、プレス加工さ
れる前の材料の厚みは全体に均一であるに関わらず、仕
上げられた成形体の厚みは相决り部と非相决り部の間で
大きく異なるので(一般に相决り部は非相决り部の半分
未満の厚み)、結果として、プレス加工後の屋根瓦に
は、相决りと非相决り部の間で密度に顕著な相異が生じ
たり、相决り部や相决り部に沿った部位に亀裂が生じる
可能性が高まるという欠点があり(プレス加工される材
料の備えている可塑性は、一般に材料が加圧に際して空
間の狭い相决り部からより広い非相决り部へと自由に逃
げることを許すほど高くはない)、いずれの方法におい
ても改善の余地があった。
【0005】ここで、前記密度差の問題に更に議論を重
ねれば、部分的に突出しているプレス型の部位で成型さ
れる箇所の材料が適切な圧密度を得るようにプレス加工
前の材料の厚みを設定すると、突出していない部位で成
型される箇所の仕上がり厚さの大きい材料は充分な仕上
がり密度を得られない傾向をもたらすので不適当であ
り、逆に、突出していないプレス型の部位で成型される
箇所の材料が適切な圧密度を得るようにプレス加工前の
材料の厚みを設定すると、仕上がり厚さの小さい相决り
部において、圧密度が過剰となって亀裂が発生したり、
所定の厚みまで圧密できずに寸法誤差が生じるなどの問
題を生じ易いために不適当である。
【0006】本発明の目的は、上に例示した従来の構成
の屋根瓦に見られる上記欠点に鑑み、相决り部の形成工
程の能率が比較的高い屋根瓦を提供すること、および、
相决り部の形成後の状態において特に相决り部と非相决
り部の間での密度差が少ない、或いは亀裂などの欠陥の
少ない屋根瓦を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の屋根瓦は、セメントを主材とする粉体材料
と水とを予め混合したスラリー状、又はペースト状の材
料を成形した後、養生硬化させる湿式法によって得られ
た板状体の上に、セメントを主材とする粉体材料に水を
添加しながら成形した後、養生硬化させる乾式法によっ
て得られた板状体を、接着剤を介して一体に積層してあ
ことを特徴構成としている。
【0008】このように構成すると、板状体同士を複数
枚、接着剤を介して一体に積層せしめる際に、積層しな
い部分を選択的に設けることによって、積層した部位は
厚く、積層していない部位は薄いという具合に、一枚の
屋根瓦の内に厚みの異なる部位を比較的自由に、そして
容易に形成することができる。特に、屋根瓦の周囲、す
なわち辺付近に中央部分などよりも薄い部分を設けたい
場合には、前記板状体同士を所定長さだけ左右にずらし
た状態で積層せしめるだけで、前記薄い部分を形成する
ことができ、特に、この薄くした辺を屋根瓦の左右の辺
とすれば、これらを所謂相决り部として機能させること
ができる。
【0009】しかも、相决り部の場合は、相决り部の幅
は基本的に左右で等しく作られる場合が多いので、互い
に等しい横幅を持った板状体同士を所定長さだけ左右に
ずらした状態で積層せしめるだけで形成することがで
き、特に、基本的には前記板状体同士を所定長さだけ
「左右にずらす」という一回の操作で、必要な左右一対
の相决り部が一度に形成されてしまう点は注目に値す
る。
【0010】さらに、前記積層せしめる前記複数の各板
状体自体は各々別々に極く単純な一枚の平板として形成
されているので、各々全体にわたって均一な密度を備え
た板状体として形成し易く、したがって、これらを互い
に積層せしめた完成した屋根瓦も、全体にわたって均一
な密度を備えたものとし易く、結果として、特に相决り
部と非相决り部の間での密度差が少なく、或いは、相决
り部や相决り部に沿った部位に亀裂が生じ難い屋根瓦を
提供し得る。
【0011】そして、積層せしめる板状体同士は、複数
枚の板状体の内の最上層部材を、セメントを主材とする
粉体材料に水を添加しながら成形した後、養生硬化させ
る乾式法によって得た板状体で構成し、最上層部材に積
層せしめる他の板状部材の内の少なくとも一層を、セメ
ントを主材とする粉体材料と水とを予め混合したスラリ
ー状、またはペースト状の材料を成形した後、養生硬化
させる湿式法によって得た板状体で構成されている。
【0012】このような構成によれば、乾式法による板
状体と湿式法による板状体とを一枚の屋根瓦の中の適材
適所に配することで、全体として優れた特性を持った屋
根瓦を提供することができて都合が良い。すなわち、乾
式法による板状体は、弾性は比較的低いが気孔率が低く
て、耐凍害性や耐水性の高い特性を備えているので、こ
れを雨や外気に曝され易い屋根瓦の最上層部分に用いれ
ば、屋根瓦の全体としての耐凍害性や耐水性を確保する
ことに効果がある。他方、湿式法による板状体は、耐凍
害性や寸法精度は低いが弾性の高い特性を備えているの
で、これを前記最上層部材に積層せしめる他の板状部材
の内の少なくとも一層に、すなわち、比較的外気に曝さ
れ難い層に用いれば、屋根瓦の全体としての弾性を確保
することに役立ち、例えば踏み抜き等による屋根瓦の破
損を未然に防止し易い。
【0013】〔発明の効果〕本発明による屋根瓦では、相决り部などの厚みが他の部
位と異なる部位の形成能率が高くなるという効果が得ら
れる。また、相决り部と非相决り部の間での密度差が少
なく、全体としても密度の均一な屋根瓦を提供し易い、
また、相决り部や相决り部に沿った部位に亀裂が生じ難
い屋根瓦を提供し易いという効果が得られる。加えて、
乾式法による養生硬化済みの板状体と、湿式法による養
生硬化済みの板状体との有効な組み合わせによって、耐
凍害性と上面部の寸法精度が高く、しかも所定の弾性を
も備えていることによって踏み抜きによる破壊抵抗も高
屋根瓦を提供するという効果が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て図面を用いて解説する。図1は屋根瓦2を表面側から
見た斜視図、図2は裏面側から見た斜視図である。屋根
瓦2は全体としては概して平板状を示しているが、詳細
には、図1と2から理解されるように基本的に平面視に
おける中央部付近に配された厚手部と、基本的に平面視
における縁部付近に配された薄手部とを組み合わせた形
状となっている。さらに、図3は屋根瓦2の概略平面
図、図4は概略正面図である。前記概略平面図で、ハッ
チング部は厚さが約6mmの薄手部、ブランク部は厚さ
が約12mmの厚手部、またクロスハッチング部は厚さ
が約4.5mmの最薄手部となっている。
【0015】屋根瓦2は、セメントを主材とし、且つ養
生硬化させて形成した厚さが基本的に約6mmの二枚の
板状体、すなわち、上層側板状体30と下層側板状体4
0を、接着剤で上下方向から接合することによって、一
体に積層せしめて形成されたものであり、図5は、上層
側板状体30と下層側板状体40の積層せしめる前の状
態を表面側から見た斜視図である。この図5が示すよう
に、上層側板状体30と下層側板状体40の個々の厚さ
は、下層側板状体40に形成されたチャンネル状の最薄
手部(約4.5mm)を除いて約6mmで一定である。
【0016】〔屋根瓦の形状〕 図1、2および3に示されるように、屋根瓦2の全体的
な形状は、平面視において基本的に矩形を呈しており、
この矩形は棟側の上辺3a、軒側の下辺3b、右辺4
a、および左辺4bの合計4つの概して直線的な辺から
なる。図6は、複数の屋根瓦2を軒側から棟側に、そし
て、左から右に並列させて全体として平面状に葺かれた
屋根の一部分を示す平面図である。この図6に示される
ように、互いに左右に並列された屋根瓦2M,2N,2
P同士は、任意の屋根瓦2の右相决り部5と、それとは
別の屋根瓦2の左相决り部6とを重ね合わせることで、
全体として厚さが約12mm前後と一定で左右に長く延
びた集合を形成している。
【0017】すなわち、右相决り部5とは、右辺4aに
沿って棟側から軒側に延びている厚さが概して約6mm
の薄手部を指し、左相决り部6とは、左辺4bに沿って
棟側から軒側に延びている厚さが約6mmの薄手部を指
し、これらの左右の相决り部5,6はいずれも、上層側
板状体30と下層側板状体40とを左右に約50mmず
らせて積層し、貼り合わせる操作によって簡単に、しか
も左右同時に形成される。図6に戻ると、中央付近に示
されている屋根瓦2Nの左相决り部6は左側の屋根瓦2
Mの右相决り部5上に重ね合わされており、屋根瓦2N
の右相决り部5の上には右側の屋根瓦2Pの左相决り部
6が重ね合わされている。これらの重ね合わされた構造
には屋根瓦2同士の間隙からの水等の進入を防止する機
能がある。
【0018】また、屋根瓦2の上層側板状体30の右相
决り部5(約51mmの幅を有する)の左側端部には、
上辺3aから50mmの領域に残された水登り防止段部
18aを除いて、幅が約9mmのチャンネル形成切欠き
18が設けられているので、この部分では薄手部が実質
的に右相决り部5の更に左側に9mmだけ余分に延び、
薄手部の幅は約60mmとなっている。因みに左相决り
部6の幅は約50mmである。
【0019】すなわち、図6に示されるように、屋根瓦
5同士を左右の相决り部5,6を重ね合わせながら左か
ら右に並列する時、例えば屋根瓦2Pであれば、この左
辺4b(または左相决り部6)は屋根瓦2Nの、チャン
ネル形成切欠き18の端面ではなく、水登り防止段部1
8aの右端に接当して位置決めされるので、細長いチャ
ンネル形成切欠き18が棟側から軒側に向かって直線状
に延びてできたチャンネル状空間を形成することにな
る。
【0020】このチャンネル状空間は、屋根瓦2の上面
部同士の左右の境界を視覚的に明白に示すので、葺き上
げられた屋根全体に規則的な調子を付加する外観上の効
果を提供する。水登り防止段部18aは、葺き上げられ
た屋根に形成される前記チャンネル状空間を伝って雨水
が棟側に逆流して屋根瓦の裏面に達することを阻止する
機能を兼ね備えている。
【0021】さらに、右相决り部5の略中央に設けられ
た厚みが約4.5mmの最薄手部は、幅が約30mm、
深さが約1.5mmで上辺3aから下辺3bまで連続し
て形成されたウォーターチャンネル19である。ウォー
ターチャンネル19自体は上面側の開いたチャンネル状
であるが、これは、右相决り部5と左相决り部6とが上
下に重ね合わされた時に、上辺3aから下辺3bまで連
続したトンネル状の連通孔を形成し、何らかの原因で右
相决り部5と左相决り部6の間に一旦進入した雨水が排
水されるのを促す機能を持つ。
【0022】また、屋根瓦2には、屋根瓦2を屋根下地
上に並べて屋根を葺く際に屋根瓦2同士の位置決めの目
安となる幾つかの合わせマークが、屋根瓦2の平面視で
確認可能な位置に形成されている。すなわち、上辺3a
にはセンター合わせマーク12およびアンダーラップ合
わせマーク13が、下辺3bにはセンター合わせマーク
11が、右辺4aにはオーバーラップ合わせマーク16
が、上層側板状体30上の右相决り部5に隣接する縁部
にはアンダーラップ合わせマーク17が、そして、左辺
4bにはオーバーラップ合わせマーク14およびアンダ
ーラップ合わせマーク15が形成されている。
【0023】具体的に位置決めの一例を解説すると、屋
根瓦2では基本的に軒側から棟側に、そして、左側から
右側に順番に重ね合わせて設置して行くので、例えば図
6の中央の屋根瓦2Jの位置は、既に固定されている軒
側寄りの屋根瓦2N,2Pを基準に決めることができ
る。すなわち、屋根瓦2Jの上下左右の位置は、屋根瓦
2Jの軒側の長辺3bのセンター合わせマーク11を、
屋根瓦2Pのアンダーラップ合わせマーク15と一致さ
せることで決められる。
【0024】そして、屋根瓦2Jの角度位置、すなわ
ち、屋根瓦2Nや2Pとの平行性は、例えば屋根瓦2J
の右辺4aのオーバーラップ合わせマーク16を、屋根
瓦2Pの上辺3aの縁またはアンダーラップ合わせマー
ク13と一致させることで得られる。次に、図7は、図
6のX−X’断面を屋根の右側、すなわち、屋根瓦2の
右辺4a側から見た部分断面図であるが、この図7に示
されるように、軒側から棟側の向きの配列に関しては、
屋根瓦2同士は、薄手部ではなく厚さが約12mmの厚
手部同士を重ね合わせた形態で並列されている。
【0025】また、図7に示されるように、屋根瓦2の
軒側の端部すなわち下辺3bでは、下辺3bの内の厚手
部の全長(すなわち、相决り部は除く)にわたって、上
層側板状体30が下層側板状体40よりも5mmだけ軒
側に突出することによって、オーバーハング部7が形成
されている。このオーバーハング部7が設けられている
ために、例えば屋根瓦2Jの表面上を棟側から軒側に流
れ落ちる雨水等は、下辺3bに到達後はオーバーハング
部7を棟側に向かって登ることなく、上層側板状体30
の軒側の下縁から真下に落下する傾向を得て、落下すれ
ばそのまま屋根瓦2Pの表面に移ってそこを流れ始め
る。
【0026】ここで、雨水等が、オーバーハング部7を
棟側に向かって登らない理由は、オーバーハング部7は
軒側すなわち上向きの勾配を持っているためであり、し
かも、オーバーハング部7は露出部であって毛細管構造
を備えることもないので、雨水などは自然の状態ではこ
のオーバーハング部7を軒側向きに登ることは当然に生
じ難い。仮に、オーバーハング部7が設けられておら
ず、X−X’断面における下辺3bが上層側板状体30
から下層側板状体40まで一直線に延びた形状になって
いれば、例えば屋根瓦2Jの表面上を棟側から軒側に流
れ落ちる雨水などは下辺3bに到達後、屋根瓦2Jから
離れることなく、この一直線状の下辺を伝い、屋根瓦2
Jと屋根瓦2Pの境界面に沿って軒側から棟側に向かっ
て毛細管現象で登り、言い換えれば屋根瓦2Jの裏側を
伝って再び軒側に戻り、屋根瓦と屋根下地の間の空間、
または、屋根瓦同士が重ね合わされた境界面に水または
湿気を呼び込む結果となり易い。
【0027】さらに、図2と図3に最も良く示されてい
るように、屋根瓦2の上辺3a付近には上辺3aの向き
に開放された通風用切欠き部23,23が設けられてい
る。図8は、図6のY−Y’断面を屋根の右側、すなわ
ち、屋根瓦2の右辺4a側から見た部分断面図である。
この図8に示されるように、通風用切欠き部23,23
が設けられているために、屋根瓦2の上辺3aは屋根下
地(即ち、野地板100上に防水シート110を載置し
たもの)に対してその全長で接することはなく、通風用
切欠き部23,23に相当する部位では、屋根下地との
間に間隙(これは、軒側から見た断面が横長トンネル状
の間隙である)が形成されることになる。
【0028】前記横長トンネル状の間隙は、屋根を葺い
ている全部の屋根瓦2の裏面に形成されるので、例えば
屋根が全面的に葺かれた状態では、この横長トンネル状
の間隙同士が互いに連通することによって、全体として
軒付近から棟付近まで連通した、屋根下地の面に沿って
格子状に延びるトンネル状の通風路を形成するため、屋
根下地の全体にわたって空気の流通を得ることができ、
屋根下地と屋根瓦の間の空間を防湿する効果を図ること
ができる。また、この通風路は一旦屋根瓦2と防水シー
ト110の間に進入した雨水等が軒側に排水されるのを
促す通水路の機能をも果たし得る。
【0029】また、屋根瓦2の中央よりも棟側には一対
の釘孔20,21が上辺3aに沿って配置されている。
釘孔20,21は、屋根瓦2を屋根下地100に釘で固
定するために利用される。図6の線分Y−Y’は釘孔2
1上を通過しているので、図8の屋根瓦2Jの断面には
釘孔21とそこに挿通され野地板100に貫入した釘が
示されている。
【0030】図8、図2、および図3から判るように、
通風用切欠き部23,23は、釘孔20,21の位置を
余裕をもって包含するだけの広い領域を持っており、し
たがって釘の頭部が掛かるような細い釘孔としては上層
側板状体30にのみ穿孔しておけば良いことになる。す
なわち、仮に下層側板状体40にも釘孔20,21と同
径の細い釘孔を設けておく場合には、上層側板状体30
と下層側板状体40とを貼り合わせる際に、上層側板状
体30側の釘孔と下層側板状体40側の釘孔を正確に一
致させる必要が生じて製造能率が低下する原因になりか
ねないが、通風用切欠き部23,23が兼務する上記の
機能によってこの難点が解消される。
【0031】〔屋根瓦の製法〕 前述したように、屋根瓦2は、基本的には、セメントを
主材とし、且つ養生硬化させて形成した厚さが概して約
6mmの二枚の板状体、すなわち、上層側板状体30と
下層側板状体40を、接着剤を介して上下に合わせ、一
体に積層せしめて形成されている。また、屋根瓦2で
は、上層側板状体30と下層側板状体40の双方を、セ
メントを主材とする粉体材料に水を添加しながら成形す
る乾式法によって得た板状体で構成している。
【0032】〔乾式成形〕 図9は、上層側板状体30に採用されている乾式法の概
略の工程図(セメントを主材とする粉体材料に水を添加
しながら成形する乾式法の一例)である。先ず、骨材と
しての珪砂(51重量%)、セメント(46重量%)、
およびパルプ繊維(3重量%)を、各原料ホッパー50
a、50b、50cから自動秤量後、ミキサー52にて
均一に乾式混合して乾式セメント材料80aを得る。ミ
キサー52から排出された乾式セメント材料80aは、
移動する無端コンベア51の端部に載置される。
【0033】乾式セメント材料80aは、上方から延び
た邪魔板53によって略一定厚みに均され、引き続き、
回動する第1加圧ローラ54によって加圧され、次に、
散水装置56によってセメント硬化用の水が(水分量が
乾式セメント材料80aと、後述する着色剤80bの全
体に対して10重量%となるように)散布された後、さ
らに、回動する第2加圧ローラ58によって圧縮操作を
加えられる。次に、珪砂(49.5重量%)、セメント
(50重量%)、着色顔料(0.5重量%)を良く混合
して得られた着色剤80bが材料散布装置59によって
散布され、第3加圧ローラ60によって更に加圧操作と
模様付け操作が施される。このようにして成形された層
状体81は、カッター62によって適当な寸法の矩形板
状体82に切断され、数日間の自然養生が施される。
【0034】〔形状切断〕 養生を終えた矩形板状体82は、パンチプレス64等に
よって打ち抜かれ、上層側板状体30として必要な寸法
形状を持った板状体83が得られる。板状体83の片面
には、塗布用ローラ66等で防水加工が施された後、ド
ライヤ68で乾燥され、上層側板状体30となる。下層
側板状体40についても、基本的に上層側板状体30と
同様の方法で形成すれば良い。ただし、下層側板状体4
0では、釘孔が無い点、ウォーターチャンネル19およ
び通風用切欠き23,23が有る点など上層側板状体3
0とは若干の形状的な相異がある。
【0035】〔接合〕 以上の工程で得られた上層側板状体30の下面と下層側
板状体40の上面にアクリル系エマルジョン85(接着
剤の一例)を塗布して、加圧して貼り合わせた後、さら
に塗布用ロ−ラ71等でアクリル系エマルジョンで下塗
り塗装し、オートクレーブ73内に納めて上層側板状体
30と下層側板状体40に含まれるセメントの高温高圧
蒸気養生を行う。このオートクレーブ73による高温高
圧蒸気養生によって、前記アクリル系エマルジョンによ
る接着強度も充分なレベルに達する。さらに塗布用ロー
ラ74等で上塗り塗装を施し、ドライヤ76によって乾
燥を終了させれば、屋根瓦2が完成する。尚、乾式セメ
ント材料80aや着色剤80b用のセメントとしては、
普通ポルトランドセメントまたはアルミナセメント等が
使用できる。
【0036】〔別実施形態〕 〈1〉上記実施形態では、積層する板状体を乾式法で形
成しているが、前記乾式法に代えて、セメントを主材と
する粉体材料と水とを予め混合したスラリー状、または
ペースト状の材料を成形する湿式法で形成しても良い。
【0037】〈2〉上記実施形態では、上層側板状体3
0と下層側板状体40の双方を乾式法で成形したもので
構成しているが、最上層部材には上記実施形態と同じ
く、セメントを主材とする粉体材料に水を添加しながら
成形する乾式法によって得た板状体で構成し、最下層部
材としては、セメントを主材とする粉体材料と水とを予
め混合したスラリー状、またはペースト状の材料を成形
する湿式法で構成しても良い。
【0038】このように構成すれば、乾式法による板状
体の長所と、湿式法による板状体の長所を合わせ持つ、
耐凍害性および耐水性が高く、弾性もある程度高い屋根
瓦が得られる。尚、前記湿式法の例としては、透液性の
ベルトコンベア等でスラリーボックスの下部から水平に
引出した膜状の材料スラリーを、ベルトコンベアの裏側
から真空脱水することによって成形し、養生硬化させる
フローオン法や、薄いスラリーの液面下から液面上に連
続的に移動する網等で膜状の材料を漉き上げてはメーキ
ングロールに巻き取らせて成形し、養生硬化させる抄造
法が適用可能である。
【0039】〈3〉上記実施形態では、上層側板状体3
0と下層側板状体40の各一枚の合計二枚の板状体を積
層して屋根瓦としているが、合計三枚以上の板状体を接
着剤を介して一体に積層せしめても良い。
【0040】〈4〉セメントを主材とし、且つ養生硬化
させて形成した板状体同士を複数枚、接着剤を介して一
体に積層せしめる際に、前記板状体の表面や前記板状体
同士同士の間に、異材質層を介在せしめて前記板状体と
一体化しても良い。例えば、前記異材質層としてポリエ
チレンシート等の耐水性の樹脂膜を用いて、この樹脂膜
で屋根瓦の裏面を被覆したり、板状体同士の間にこの樹
脂膜を介在させれば、屋根瓦内への水の浸透を抑制する
ことによって屋根瓦全体の耐水性が向上する効果、およ
び、屋根瓦全体の機械的強度が向上して飛来物などに対
する耐破壊抵抗性の向上が期待できる。
【0041】図11は、図1の屋根瓦の上層側板状体3
0と下層側板状体40同士を接合する前に、これら両部
材の境界面および左右の相决り部5,6の表面、ならび
に、下層側板状体40の裏面全体に対してポリエチレン
シート90,90を熱融着によって貼着した例を示す。
また、前記異材質層としてアルミラミネートシート等を
用いて、これで屋根瓦の裏面を被覆したり、板状体同士
の間に介在させれば、耐水性の他に、屋根瓦の赤外線な
どに対する反射断熱性が向上し、特に夏期などにおける
家屋の温度上昇を抑制する効果をも期待できて都合が良
い。
【0042】尚、特許請求の範囲の項に、図面との対照
を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明
は添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における屋根瓦の斜視図
【図2】本発明の一実施形態における屋根瓦の斜視図
【図3】図1の屋根瓦の概略平面図
【図4】図1の屋根瓦の概略正面図
【図5】図1の屋根瓦の積層前の状態を示す斜視図
【図6】図1の屋根瓦によって葺いた屋根の一例を示す
概略平面図
【図7】図6の線分X−X’による部分断面図
【図8】図6の線分Y−Y’による部分断面図
【図9】図1の屋根瓦の製法を示す概略側面図
【図10】本発明の別の実施形態における屋根瓦を正面
から見た略図
【符号の説明】
2 屋根瓦 3a 上辺 3b 下辺 4a 右辺 4b 左辺 5 右相决り部 6 左相决り部 19 ウォーターチャンネル 20 釘孔 21 釘孔 23 通風用切欠き部30 乾式法による板状体 40 湿式法による板状体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04D 1/00 - 1/34 E04D 3/00 - 3/40 E04F 13/00 - 13/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セメントを主材とする粉体材料と水とを
    予め混合したスラリー状、又はペースト状の材料を成形
    した後、養生硬化させる湿式法によって得られた板状体
    の上に、セメントを主材とする粉体材料に水を添加しな
    がら成形した後、養生硬化させる乾式法によって得られ
    た板状体を、接着剤を介して一体に積層してある屋根
    瓦。
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