JPH10183609A - 鋼管柱列土留壁工法におけるソイルセメント柱の造成 方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼管柱列土留壁工法における掘削土とセメン
トミルクとの混合攪拌性を向上させる。 【解決手段】 スタビライザー４付きのオーガスクリュ
ーＡを用いて、既設の鋼管杭Ｂをガイドとして、鋼管杭
の建込み孔10を掘削する。そのオーガースクリューＡに
設けられたスタビライザー４の方に多数の固定突出体７
を設けるとともに、オーガスクリューＡの回転軸１の方
に、固定突出体７，７間に対向して多数の可動突出体８
を設け、それら突出体７，８により、揚げられてくる掘
削土塊を破砕するとともに、注入したセメントミルクと
掘削土とを混合攪拌し、ソイルセメント柱を造成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋼管柱列土留壁工法に
おいて行われる、鋼管土留杭を建て込むソイルセメント
柱を造成する方法およびこれに使用する掘削攪拌装置に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】鋼管柱列土留壁の施工は、従来一般に、
オーガスクリューにより、その先端からセメントミルク
を吐出しながら地盤を掘削し、掘削孔にソイルセメント
柱を造成した後、その中に鋼管杭を建て込む、という作
業を行っている。この場合、鋼管杭を正しく埋設するた
めに、掘削孔の位置や鉛直性等の精度をよくすることが
必要であり、従来は、単軸のオーガスクリューにスタビ
ライザーを設けて、これを先に埋設した鋼管杭に外接、
係合し、それをガイドとして掘削を進めるようにしてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、 上記のような
鋼管杭の埋設孔を掘削する単軸のオーガスクリューで
は、 先端の掘削ヘッド以外は軸の全長にわたりスクリュ
ーを設けたもので、特に地盤の攪拌を促すための対策は
採られていないため、粘性土などの攪拌性の悪い地盤で
はスクリューに土塊が付着し、セメントミルクと掘削土
との混合攪拌ができなかったり、混合攪拌に要する時間
が多くかかるという問題がある。また、混合攪拌が不十
分であると、掘削孔に形成されるソイルセメント柱の強
度が低く、必然的に鋼管柱列土留壁の止水性が十分得ら
れないことになる。

【０００４】本発明は、上記従来の問題点を解決するた
めになされたもので、単軸スクリューのオーガーを使用
した鋼管柱列土留壁工法においても、土塊の付着を軽減
させるとともに、掘削抵抗を少なくして混合攪拌を行う
ことができ、ソイルセメント柱の強度を向上することが
できる、ソイルセメント柱の造成方法およびこれに使用
する装置を提供しようとするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の構成について、実施例に対応する図面を参
照して説明すると、請求項１の方法は、鋼管柱列土留壁
の施工において、既設の鋼管杭Ｂをガイドとして、スタ
ビライザー４付きオーガスクリューＡにより建込み孔を
掘削するにあたり、スタビライザー４のオーガスクリュ
ーＡへの上下取付部６，６の間に、上下方向に間隔をお
き、多数の固定突出体７を設けるとともに、オーガスク
リューＡの方には、その回転軸１に、上記各固定突出体
７，７間に遊通可能とした可動突出体８，８を設けて、
揚動される掘削土塊を破砕しながら、注入したセメント
ミルクと掘削土を混合攪拌させ、建込み孔にソイルセメ
ント柱を造成することを特徴とするものである。

【０００６】また、請求項２の装置は先端に掘削ヘッド
３を設けたオーガスクリューＡの回転軸１に、既設の鋼
管杭Ｂに係接するスタビライザー４を、軸受体６を介し
て取付け、該スタビライザー４の上下取付け部６，６間
に、上下に間隔をおいて、回転軸１の方に延びる多数の
固定突出体７，７を設け、また、オーガスクリューＡの
回転軸１の方には、上記取付部６，６間の螺旋翼を欠除
して、その螺旋翼に代り、上記各固定突出体７，７間に
対向する位置に、先端部が固定突出体７，７間に遊通可
能とした、多数の可動突出体８，８を設けたことを特徴
とするものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図１は本発明方法の実施態
様を示した側断面図、図２，図３はそれぞれ本発明方法
において使用する装置の要部を示した平断面図である。

【０００８】まず、本発明において使用する掘削攪拌装
置について説明する。図１〜図３において、Ａは鋼管杭
Ｂの建込み孔10を掘削するオーガスクリューで、螺旋翼
２を備えた回転軸１の先端に掘削ヘッド３が設けられて
いるとともに、回転軸１に支持されてスタビライザー４
が設けられている。

【０００９】スタビライザー4 は、従来公知のように、
先に建込まれた鋼管杭Ｂに接続されるもので、鋼管杭Ｂ
の本管11の外側長手方向に沿って設けられた、継手材12
の外側に係合する溝形部４ａと、これに続いて本管11の
外側面に接合する当て板部４ｂ，４ｂを延出させ、回転
軸１と平行に長く形成されている。そして、スタビライ
ザー４は、その上部と下部より水平方向に突出させた支
持アーム５，５の先端を、回転軸１に設けた軸受体６，
６に結合して設けられており、上記支持アーム５，５の
間には、上下に間隔をおいて、回転軸１に向けて延長す
る複数の固定突出体７，７が設けられている。

【００１０】他方、オーガスクリューＡの方には、回転
軸１に設けられた上下の転受体６，６間は螺旋翼２が欠
除されており、その螺旋翼に代り、上記固定突出体７，
７のそれぞれの間と対向する個所に、先端部が固定突出
体７，７間に遊通可能であるとともに、先端が掘削され
た建込み孔10の周壁にほぼ至る長さの可動突出体８の複
数本が放射状に配設されている。また、それら可動突出
体８の先端にはＶ字状等の切欠部９が設けられている。

【００１１】本発明の方法は、上記のオーガスクリュー
Ａを使用して行われる。まず、最初の建込み孔10を、オ
ーガスクリューＡにより、その先端からセメントミルク
を噴出しながら掘削して、ソイルセメント柱を造成し、
この中に最初の鋼管杭Ｂ₁ を基準杭として建込む。次
に、その鋼管杭Ｂ₁ をガイドとしてオーガスクリューＡ
を回転、降下させて建込孔10の形成とソイルセメント柱
の造成を行ない、次の鋼管杭Ｂ₂ を互いに継手材12，12
どうしの嵌め合せで連結して建込みを行う。上記の作業
を繰返してＢ₁ 〜Ｂ_n の連結した建込みがなされる。

【００１２】オーガスクリューＡによる建込み孔10の掘
削は、スタビライザー４が継手材12と本管11とに係接
し、オーガスクリューＡを回転させながら押し下げると
同時に、オーガスクリューＡの先端からセメントミルク
を注入して行われる。その際、掘削刃３によって掘削さ
れた土塊は、その上部の螺旋翼２により、上下の軸受体
６，６間へと押し揚げられて行く。その土塊は軸受体
６，６間において、上方へ移動しながら、多数設けられ
た固定突出体７，７および回転軸１とともに回転する多
数の可動突出体８，８に衝当するとともに、可動突出体
８の回転と各固突出体７，７間への可動突出体８，８の
通り抜け作用で細かく破砕されるとともに、オーガスク
リューＡの先端部から注入されるセメントミルクとよく
混合攪拌されることになる。また、可動突出体８に切欠
部９が設けられておれば、可動突出体８を通過する、掘
削土とセメントミルクとの混合によるソイルセメント
は、掘削された建込孔10の孔壁に押しつけられ孔壁崩壊
を抑制することになる。

【００１３】このようにして、掘削土とセメントミルク
との混合が均一的に行われることにより、良質のソイル
セメント柱が造成されるとともに、螺旋翼２への土塊の
付着が軽減され、掘削抵抗が小さくなり、しかも、掘削
された孔壁部の強度も向上されることになる。なお、上
記の実施例において、可動突出体８は、一つの取付個所
において４方向に突出して設けられているが、これは、
２方向だけでもよく、或は４方向以上多方向に突設して
もよい。

【００１４】また、可動突出体８は、例えば図４に示す
ように、回転軸１の軸線に対し、掘削土の揚動を助ける
ような方向に傾斜して設けることもできる。さらに、図
５に示すように、上下位置にある可動突出体８，８どう
しを回転方向に互いに位相をずらして設けることもでき
る。

【００１５】図６、図７は、可動突出体８のさらに他の
実施例を示したもので、図６のものは、可動突出体８
に、それより上下方向に延びる複数の突片13，13が設け
られている。この実施例の可動突出体８によれば、土塊
の破砕および掘削土とセメントミルクとの混合攪拌がよ
り良好に行われる。また、上記の可動突出体８は、図６
の鎖線で示すように、回転軸１の軸線に対し、図４の例
と同様に傾斜して設けることができる。また、図７の実
施例は、各可動突出体８を杆体14に翼板15の複数を間隔
をおいて串刺し状に設けて形成したもので、翼板15は回
転軸１の軸線に対して傾斜するとともに掘削土を外方に
押しやることのできる方向に杆体14の軸線に対しても傾
斜して設けられている。かくすれば、掘削土塊の破砕と
混合攪拌をしながら、それを孔壁に押し付けつつ揚動さ
せるという作用、効果が生ずることになる。

【００１６】図８は、図６の実施例の可動突出体８に加
え、スタビライザー４の固定突出体７の方にも、可動突
出体８の突片13，13を遊通できる突片16，16を設けた実
施例である。このようにすれば、掘削土塊の破砕と混合
攪拌作用がさらに向上されることになる。この場合も、
鎖線で示すように、可動突出体８を傾斜して設けること
が可能である。

【００１７】図９は、可動突出体８のさらに他の実施例
を示したものである。可動突出体８は図示のように箱状
に形成されている。すなわち、上下２枚の突出板17，17
が間隔をおいて平行に配置され、それら両板17，17間に
複数の仕切板18，18が、突出板1 7 の長手方向に間隔を
おき、かつ、突出板18の長手方向に対して傾斜して設け
られ、それらの間には通路19，19が形成されている。そ
して、この可動突出体８は、回転軸１の軸線に対して、
掘削土が揚動する方向に傾斜して回転軸１の径方向に突
出して設けられている。したがって、可動突出体８は回
転しながら、矢印のように、混合攪拌したソイルセメン
トを上方へそして外方へと移動させるようになり、揚動
効率がより良好となる。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の方法によ
れば、オーガスクリューに取り付けられたスタビライザ
ーに多数の固定突出体を設けるとともに、オーガスクリ
ューの回転軸の方に多数の回転突出体を設けて、揚げら
れてくる掘削土塊の破砕と攪拌を行うようにしたので、
掘削土とセメントミルクとの混合攪拌が良好に行われ、
優れた強度を有するソイルセメント柱が造成できること
になり、鋼管柱列土留壁の止水性が向上される。また、
土塊が破砕できるので螺旋翼への土塊の付着が少なくな
り、掘削抵抗の軽減と施工能率の向上が図れる。

【００１９】また、本発明の装置によれば、固定突出体
と可動突出体は、オーガスクリューの螺旋翼を欠除して
設けられるので、コスト高にならないとともに、使用も
容易である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施態様を示す側断面図である。

【図２】図１のイーイ線拡大断面図である。

【図３】同ローロ線拡大断面図である。

【図４】本発明装置における可動突出体取付け部の他の
実施例の要部を示す側面図である。

【図５】同さらに他の実施例の要部を示した斜視図であ
る。

【図６】同さらに他の実施例の要部を示した側面図であ
る。

【図７】同さらに他の実施例の要部を示した側面図であ
る。

【図８】本発明装置の他の実施例の要部を示した側面図
である。

【図９】可動突出体のさらに他の実施例の要部を示した
側面図である。

【符号の説明】

Ａ オーガスクリュー Ｂ 鋼管杭 １ 回転軸 ２ 螺旋翼 ３ 掘削ヘッド ４ スタビライザー ５ 支持アーム ６ 軸受体 ７ 固定突出体 ８ 可動突出体 ９ 切欠部 10 建込み孔 11 本管 12 継手材

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鋼管柱列土留壁の施工において、既設の
   鋼管杭をガイドとして、スタビライザー付きオーガスク
   リューにより建込み孔を掘削するにあたり、スタビライ
   ザーのオーガスクリューへの上下取付部の間に、上下方
   向に間隔をおき、多数の固定突出体を設けるとともに、
   オーガスクリューの方には、その回転軸に、上記各固定
   突出体間に遊通可能とした可動突出体を設けて、揚動さ
   れる掘削土塊を破砕しながら、注入したセメントミルク
   と掘削土を混合攪拌させ、建込み孔にソイルセメント柱
   を造成することを特徴とする、鋼管柱列土留壁工法にお
   けるソイルセメント柱の造成方法。
2. 【請求項２】 先端に掘削ヘッドを設けたオーガスクリ
   ューの回転軸に、既設の鋼管杭に係接するスタビライザ
   ーを、軸受体を介して取付け、該スタビライザーの上下
   取付け部間に、上下に間隔をおいて、回転軸の方に延び
   る多数の固定突出体を設け、また、オーガスクリューの
   回転軸の方には、上記取付部間の螺旋翼を欠除して、そ
   の螺旋翼に代り、上記各固定突出体間に対向する位置
   に、先端部が固定突出体間に遊通可能とした、多数の可
   動突出体を設けたことを特徴とする、鋼管柱列土留壁施
   工用の掘削攪拌装置。