JPH10183171A - 固形洗浄剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クラフト点が０℃以下の界面活性剤を基剤と
して使用し、石鹸特有のつっぱり感がなく、泡立ち性に
優れ、また、ぬるつきが従来の脂肪酸石鹸程度に抑制さ
れ、しかも機械練り法で高い生産性で製造することがで
きる固形洗浄剤組成物を提供する。 【解決手段】 成分（Ａ）クラフト点が０℃以下の界面
活性剤 ５〜３０重量％；成分（Ｂ）高級脂肪酸塩 ５
〜３０重量％；成分（Ｃ）固体脂 ５〜３０重量％；成
分（Ｄ）水難溶性充填剤 ２０〜５５重量％；成分
（Ｅ）無機塩 １〜３重量％；及び成分（Ｆ）水 １〜
１５重量％から固形洗浄剤組成物を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、クラフト点が０℃
以下の界面活性剤を主剤として含有する固形洗浄剤組成
物に関する。

【０００２】

【従来の技術】固形洗浄剤としては、高級脂肪酸のアル
カリ金属塩である石鹸が従来より一般的に用いられてい
る。このような脂肪酸石鹸は、機械練り法により大量生
産が可能であり、生産性の点で優れている。しかし、脂
肪酸石鹸は泡立ち性が十分とはいえず、特に硬水中での
泡立ち性や油分の多い汚れが存在する場合の泡立ち性は
不十分であった。しかも使用後には皮膚の乾燥化を引き
起こし、つっぱり感が生ずるという問題を有している。

【０００３】ところで、優れた起泡性、洗浄力及び耐硬
水性を示し、しかも皮膚に対して低刺激である界面活性
剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフ
ェート、ベタイン類、ポリオキシエチレンアルキルスル
ホコハク酸塩等が知られており、これらは、シャンプー
や食器用洗浄剤などの液体洗浄剤の基剤として用いられ
ている。特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサ
ルフェートは、安価で入手できるために、その使用が年
々伸びている。しかし、これらは、いずれもクラフト点
が０℃以下であり、通常の手法により乾燥しても固化さ
せることのできないものである。また、工業的には水溶
液として供給されており、例えばポリオキシエチレンア
ルキルエーテルサルフェートの場合には２０〜７０％程
度の水溶液として、また、ベタイン類は３０〜５０％程
度の水溶液として供給されている。このように水分含量
の多い界面活性剤は、固形洗浄剤の基剤として使いにく
く、従って、クラフト点が０℃以下の界面活性剤は、固
形洗浄剤の基剤としていままで殆ど利用されていなかっ
た。

【０００４】ところが最近、前述したような石鹸の欠点
（不十分な泡立ち性、つっぱり感）を持たない固形洗浄
剤を得る目的で、クラフト点が０℃以下のポリオキシエ
チレンアルキルエーテルサルフェートなどの界面活性剤
を固形洗浄剤の主剤として使用することが試みられるよ
うになっている。例えば、特表平６−５０３１２２号公
報には、中和カルボン酸の細長い結晶の比較的硬質な三
次元噛み合わせメッシュである骨格構造中にポリオキシ
エチレンアルキルエーテルサルフェートを保持させるこ
とが開示されている。また、特開平８−７３８９１号公
報には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェ
ートをリン酸エステル系界面活性剤とともに固化させる
ことが開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特表平
６−５０３１２２号公報に開示された固形洗浄剤の場
合、含水量が非常に高く、しかも中和カルボン酸の細長
い結晶を生成させる必要があるために、枠練法によって
製造せざるを得ないという問題があった。これは、機械
練り法によって製造しようとすると、中和カルボン酸の
結晶が微細なものとなり、三次元噛み合わせメッシュ骨
格構造が形成できず、従って固形化できないためであ
る。

【０００６】また、特開平８−７３８９１号公報に開示
された固形洗浄剤の場合、機械練り法により製造するこ
とができるが、高価なリン酸エステル系界面活性剤を固
形化剤として用いているために、製造コストが高くなる
という問題があった。また、脂肪酸石鹸に比べて濯ぎ時
にぬるつくという欠点もあった。

【０００７】本発明は、以上のような従来技術の課題を
解決しようとするものであり、脂肪酸石鹸が有する欠点
である使用後のつっぱり感がなく、泡立ち性に優れ、し
かも脂肪酸石鹸と同等もしくはそれよりも程度の低いぬ
るつきしか示さない固形洗浄剤組成物であって、クラフ
ト点が０℃以下の界面活性剤を基剤とし、機械練り法で
高い生産性で製造することができる固形洗浄剤組成物を
提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、クラフト
点が０℃以下の界面活性剤に加えて、高級脂肪酸塩や固
体脂等を特定の割合で配合することにより上述の目的を
達成できることを見出し、本発明を完成させるに至っ
た。

【０００９】即ち、本発明は、下記成分（Ａ）〜
（Ｆ）： （Ａ）クラフト点が０℃以下の界面活性剤 ５〜３０重量％； （Ｂ）高級脂肪酸塩 ５〜３０重量％； （Ｃ）固体脂 ５〜３０重量％； （Ｄ）水難溶性充填剤 ２０〜５５重量％； （Ｅ）無機塩 １〜 ３重量％；及び （Ｆ）水 １〜１５重量％； を含有することを特徴とする固形洗浄剤組成物を提供す
る。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。

【００１１】本発明の固形洗浄剤組成物は、前述したよ
うに、成分（Ａ）〜（Ｆ）を特定の比率で必須成分とし
て含有する。このような特徴を有する本発明の固形洗浄
剤組成物は、クラフト点が０℃以下の界面活性剤を基剤
としているにもかかわらず、機械練り法且つ高い生産性
で固形化させることが可能となり、しかもつっぱり感が
なく、泡立ち性に優れ、ぬるつきもないものとなる。

【００１２】以下、本発明の固形洗浄剤組成物を構成す
る成分毎に説明する。

【００１３】本発明の固形洗浄剤組成物は、成分（Ａ）
として、クラフト点が０℃以下である界面活性剤を含有
する。このような界面活性剤は、優れた起泡力、洗浄力
及び耐硬水性を示し、しかも皮膚に対して低刺激である
界面活性剤であるが、実用的な固形物性を実現しつつ固
形化することが従来できなかったものである。

【００１４】このような界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテルサルフェート等のポリオキ
シ低級アルキレンアルキルエーテルサルフェート類（以
下、ＥＳ類と称する）、ベタイン類、ポリオキシエチレ
ンアルキルスルホコハク酸塩等を挙げることができる。

【００１５】このようなＥＳ類は、式（１）

【００１６】

【化２】 {Ｒ¹-(ＯＲ²)_a-ＯＳＯ₃ ^-}_nＭⁿ⁺ （１） （式中、Ｒ¹は炭素数８〜２０の飽和又は不飽和の炭化
水素基であり、Ｒ²は分岐してもよい低級アルキレンで
あり、ａは１〜１２の数であり、Ｍはアルカリ金属、マ
グネシウム、アンモニウム又は脂肪族アルカノールアン
モニウムであり、ｎはＭの価数である。）で表されるも
のを使用することができる。

【００１７】ここで、Ｒ¹は飽和又は不飽和の炭化水素
基であるが、その炭素数が８未満の場合には入手しにく
くなり、しかも洗浄力が低下し、２０を超える場合にも
入手しにくくなり、しかも起泡性が低下する。従って、
Ｒ¹の炭素数は８〜２０が好ましい。このような、炭素
数８〜２０の飽和又は不飽和の炭化水素基としては、直
鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基、例えば、オク
チル基、イソオクチル基、デシル基、ラウリル基、ミリ
スチリル基、パルミチル基、ステアリル基、イソステア
リル基、オレイル基などを挙げることができ、中でも好
ましいものとして炭素数１１〜１３の飽和アルキル基、
特にラウリル基を挙げることができる。

【００１８】また、Ｒ²の分岐してもよい低級アルキレ
ン基としては、エチレン基、プロピレン基、イソプロピ
レン基等を挙げることができる。

【００１９】Ｍのアルカリ金属としては、リチウム、ナ
トリウム、カリウムなどを挙げることができる。また、
Ｍの脂肪族アルカノールアンモニウムとしては、ヒドロ
キシエチル基、ヒドロキシプロピル基などの炭素数２〜
３のヒドロキシアルキル基を有するモノ、ジもしくはト
リアルカノールアンモニウムを挙げることができる。こ
れらの中で、好ましいＭとしては、アルカリ金属、特に
ナトリウムを挙げることができる。

【００２０】また、ａの範囲（低級アルキレンオキサイ
ド付加モル数）は、小さくなると洗浄力が低下する傾向
があり、大きくなると起泡性が低下するので、両者のバ
ランスを考慮すると２〜４が好ましい。

【００２１】以上のような式（１）のＥＳ類の中でも、
Ｒ²がエチレン基であるポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルサルフェート及びＲ²がイソプロピレン基である
ポリオキシプロピレンアルキルエーテルサルフェート
は、安価で入手でき、しかも弱酸性から中性領域で界面
活性を有し、低刺激性であるので、好ましく使用するこ
とができる。

【００２２】式（１）のＥＳ類の特に好ましい具体例と
しては、ポリオキシエチレン（２）ラウリルエーテル硫
酸ナトリウム、ポリオキシエチレン（３）ラウリルエー
テル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン（２）ミリス
チルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシプロピレン
（２）ラウリルエーテル硫酸ナトリウムを挙げることが
できる。

【００２３】式（１）のＥＳ類の含有量は、固形洗浄剤
組成物中に５〜３０重量％、好ましくは８〜２５重量
％、より好ましくは１１〜２１重量％である。その含有
量が５重量％を下回ると泡立ちが不十分となり、３０重
量％を超えるとふやけやすくなる。

【００２４】本発明において、ＥＳ類の供給原料として
は、市販の２０〜７０重量％水溶液を用いることができ
るが、固形洗浄剤組成物の生産性から６０〜７０重量％
水溶液を用いるのが好ましい。

【００２５】本発明の固形洗浄剤組成物は、成分（Ｂ）
として高級脂肪酸塩を含有する。この高級脂肪酸塩は界
面活性剤としても機能しているが、成分（Ａ）の界面活
性剤の固形化剤としても機能している。

【００２６】このような高級脂肪酸塩を構成する脂肪酸
残基の炭素数は、起泡性と固形性とのバランスから１０
〜２２が好ましく、中でも１２が好ましい。また、カル
ボキシル基の対イオンとしては、アルカリ金属イオン、
マグネシウムイオン、アンモニウムイオン又は脂肪族ア
ルカノールアンモニウムイオン等を挙げることができる
が、中でもアルカリ金属イオン、特にナトリウムイオン
が好ましい。

【００２７】高級脂肪酸塩の具体例としては、ラウリン
酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸
ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、アラキン酸ナト
リウム、ベヘニン酸ナトリウムなどの飽和又は不飽和脂
肪酸ナトリウムや、牛脂、羊脂等の動物性油脂もしくは
ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、オリーブ油、
綿実油等の植物性油脂の単独もしくはそれらの混合物か
ら誘導される脂肪酸塩を好ましく挙げることができる。
中でも、ラウリン酸ナトリウムが起泡性と固形性の点で
好ましい。

【００２８】成分（Ｂ）の高級脂肪酸塩の固形洗浄剤組
成物中の含有量は、以下に説明するように、成分（Ａ）
の界面活性剤の含有量と密接に関係している。即ち、Ｅ
Ｓ類などの成分（Ａ）の界面活性剤が成分（Ｂ）よりも
多すぎると固形化が困難となり、逆に少なすぎると刺激
感が増大する。従って、成分（Ｂ）の高級脂肪酸塩の含
有量の範囲を、成分（Ａ）の界面活性剤の含有量の範囲
と同一とする。即ち、固形洗浄剤組成物中に５〜３０重
量％、好ましくは８〜２５重量％、より好ましくは１１
〜２１重量％である。更に、この含有量範囲内において
成分（Ａ）の界面活性剤の含有量に対して成分（Ｂ）の
高級脂肪酸塩の含有量を１：１に調整することが好まし
い。

【００２９】本発明の固形洗浄剤組成物は、成分（Ｃ）
として固体脂を含有する。ここで、固体脂とは、常温で
の形態が固体状の油性成分をいう。このような固体脂
は、固形化剤である成分（Ｂ）の高級脂肪酸塩の機能を
補う固形化助剤として機能している。また、固形洗浄剤
組成物をふやけにくくする働きも有する。

【００３０】本発明において使用する固体脂としては、
融点が４５℃以上の天然又は合成ワックス（例えば、ミ
ツロウ、カルナバロウ、キャンデリアロウ等）、トリグ
リセライド（例えば、硬化牛脂、硬化ヤシ油、硬化ヒマ
シ油等）、高級エステル類（例えば、アルキレングリコ
ールの高級脂肪酸ジエステル等）、高級アルコール類
（例えば、セタノール、ステアリルアルコール等）、パ
ラフィン（例えば、セレシン、マイクロクリスタリンワ
ックス等）等を使用することができる。中でも、アルキ
レングリコールの高級脂肪酸ジエステルの一種であるエ
チレングリコールジステアレート（ＥＧＤＳ）は、固形
洗浄剤組成物を機械練り法で製造する際の混練時の温度
（通常７０〜８０℃）で迅速に溶融し、しかも室温に冷
却したときにも迅速に固化できる融点（６１〜６５℃）
を有し、そのために固形洗浄剤組成物の製造効率を向上
させることができるので、特に好ましく使用することが
できる。

【００３１】成分（Ｃ）の固体脂の固形洗浄剤組成物中
の含有量は、５〜３０重量％、好ましくは８〜２５重量
％、より好ましくは１０〜２０重量％である。その含有
量が５重量％を下回ると固形洗浄剤組成物の固形化が困
難となり、３０重量％を超えると固形洗浄剤組成物の起
泡性が不十分となる。

【００３２】以上の固体脂は単独で使用してもよいが、
２種以上を併用することもできる。例えば、ＥＧＤＳに
加えて固形化能力のより高い固形パラフィンを好ましく
併用することができる。この場合、固形洗浄剤組成物中
にＥＧＤＳを４〜１５重量％、固形パラフィンを２〜６
重量％とし、特にそれらの合計を１０〜２０重量％とす
ることが特に好ましい。

【００３３】本発明の固形洗浄剤組成物は、成分（Ｄ）
として水難溶性充填剤を含有する。水難溶性充填剤は、
成分（Ｃ）の固体脂と同様に固形化助剤として機能して
いる。ここで、水難溶性とは、水難溶性充填剤１重量部
に対し水９重量部を室温下で混合した場合に、透明で均
一な水溶液を形成しないことを意味する。

【００３４】このような水難溶性充填剤としては、タル
ク、粘土、炭酸カルシウム、デキストリンなどを使用す
ることができる。

【００３５】成分（Ｄ）の水難溶性充填剤の固形洗浄剤
組成物中の含有量は、２０〜５５重量％、好ましくは２
５〜４５重量％、より好ましくは３０〜４０重量％であ
る。その含有量が２０重量％を下回ると固形化が困難と
なり、５５重量％を超えるともろくなりすぎる。

【００３６】なお、水難溶性充填剤は単独で使用しても
よいが、２種以上を併用することもできる。

【００３７】また、本発明の固形洗浄剤組成物は、成分
（Ｅ）として無機塩を含有する。無機塩もまた成分
（Ｃ）の固体脂と同様に固形化助剤として機能してい
る。

【００３８】本発明において使用する無機塩としては、
ＮａＣｌ、ＫＣｌ等を挙げることができる。

【００３９】成分（Ｅ）の無機塩の固形洗浄剤組成物中
の含有量は、１〜３重量％、好ましくは１．５〜２．５
重量％である。その含有量が１重量％未満であると、固
形洗浄剤組成物の固形化が困難となり、３重量％を超え
るともろくなる。

【００４０】なお、無機塩は単独で使用してもよいが、
２種以上を併用することもできる。

【００４１】本発明において成分（Ｆ）として水を使用
する。水は、機械練り法で固形洗浄剤組成物を製造する
際に、各成分を均一に溶融混合する際の媒体として機能
する。

【００４２】水の固形洗浄剤組成物中の含有量は、１〜
１５重量％、好ましくは３〜１３重量％、より好ましく
は５〜１０重量％である。水の含有量が１重量％を下回
ると固形洗浄剤組成物の製造時の加熱の際に成分（Ａ）
〜（Ｆ）の混合物が硬過ぎて機械練り法を適用すること
ができず、１５重量％を超えた場合には機械練り法を適
用した際に混合物が過度に柔らかくなり、機械練り装置
から押出した際の保形性が不十分となる。

【００４３】本発明の固形洗浄剤組成物は、以上の成分
（Ａ）〜（Ｆ）に加えて、成分（Ｇ）として遊離脂肪酸
を含有することができる。この遊離脂肪酸は、固形洗浄
剤組成物のｐＨを調整して、その刺激性を低減させる機
能を有する。このような遊離脂肪酸としては、成分
（Ｂ）の高級脂肪酸塩を構成する高級脂肪酸を好ましく
使用することができる。

【００４４】成分（Ｇ）の遊離脂肪酸の固形洗浄剤組成
物中の含有量は、少なすぎると固形洗浄剤組成物のｐＨ
が成分（Ｂ）の高級脂肪酸塩によりアルカリ側に傾き、
従来の石鹸の皮膚刺激の度合いと同レベルとなってしま
い、多すぎると固形洗浄剤組成物の固形化が困難となる
ので好ましくは３〜８重量％、より好ましくは４〜７重
量％である。

【００４５】遊離脂肪酸は単独で使用してもよいが、２
種以上を併用することもできる。

【００４６】本発明の固形洗浄剤組成物には、前記成分
（Ａ）〜（Ｆ）、更に（Ｇ）に加え、本発明の効果を損
なわない範囲で、成分（Ａ）の界面活性剤に保持されて
いる水分が固形洗浄剤組成物中に遊離するのを防止する
ために、吸液性粉体を好ましくは１５重量％以下、より
好ましくは１〜１０重量％で配合することができる。こ
のような吸液性粉体としては、シリカ、ケイ酸カルシウ
ム、ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどを好ましく例
示することができる。

【００４７】また、本発明の固形洗浄剤組成物には、上
述の成分の他に通常の洗浄剤組成物に使用される各種添
加剤を配合することができ、クラフト点が０℃を超える
補助活性剤、例えば、アシルグリセリルサルフェート、
アシルイセチオネート、アルキルサルフェート、アルキ
ルグリセリルエーテルサルフェート、アルキルスルホス
クシネート、アルキルリン酸エステル、アルキルグルコ
シド、ポリオキシエチレンエーテルアセテート、ポリオ
キシエチレンアシルアミドエーテルアセテート、Ｎ−ア
シル−β−アラニレート、Ｎ−アシルサルコシネート、
アシルメチルタウレート、α−スルホ脂肪酸エステル、
Ｎ−アシルグルタメート等の陰イオン界面活性剤、イミ
ダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系両性界面活性剤
等の両性界面活性剤、アミンオキサイド類等の半極性界
面活性剤、エトキシル化脂肪アルコール、脂肪酸アルカ
ノールアミド、プルロニック型界面活性剤等の非イオン
界面活性剤等を配合することができる。

【００４８】また、感触向上剤、例えば、カチオン化セ
ルロース、カチオン化グアーガム、キチンキトサン誘導
体等のカチオン化高分子、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチル
セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンオキサ
イド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、カラギーナン、グアーガム、キサンタンガム、ポ
リビニルアルコール等の高分子化合物も配合することが
できる。

【００４９】更に、保湿剤、例えば、液体水溶性ポリオ
ール類、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビト
ール、メチルグルコースのエトキシル化／プロポキシル
化エーテル類、ラノリンアルコールのエトキシル化／プ
ロポキシル化エーテル類、皮膚角質層中の天然化合物
（例えばピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸等）、
加水分解タンパク質、コラーゲン誘導タンパク質、アロ
エベラゲル、アセトアミドモノエタノールアミド、シリ
コーン誘導体等；殺菌剤、例えば、ヘキサクロロフェ
ン、３，４，４´−トリクロルカルバニド、３，４´，
５−トリブロムサリチルアニリド、３−トリフルオロメ
チル−４，４´−ジクロルカルバニリド、テトラメチル
チウラムジスクフィド、２，４，４´−トリクロル−２
´−ヒドロキシジフェニルエーテル等；消炎剤、例え
ば、カミツレエキス、アラントイン、グアイアズレン、
グリチルリチン酸、サリチル酸メチル等；酸化防止剤、
例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジブチルヒドロ
キシトルエンなどを配合することができる。加えて、必
要に応じて、水、香料、色素、紫外線吸収剤等の添加剤
を適宜配合することができる。

【００５０】なお、必要に応じて添加される各種添加剤
の合計配合量は、本発明の固形洗浄剤組成物中の１０重
量％以下とすることが好ましい。

【００５１】本発明の固形洗浄剤組成物は、例えば以下
に示す方法に従って調製し、成型することができる。

【００５２】まず、成分（Ａ）〜（Ｆ）の成分と、必要
に応じて添加される他の成分とをニーダー中で加熱し、
均一に混合する。その後、ニーダーより混合物を取り出
し、チリングロール等で室温まで冷却する。これに香
料、色素等を配合した後、石鹸用プロッダーで混練し、
コーン部より押し出した後、型打ち機で成型することに
より本発明の固形洗浄剤組成物の成型物が得られる。

【００５３】本発明の固形洗浄剤組成物は、クラフト点
が０℃以下の界面活性剤と高級脂肪酸塩をはじめとする
特定の成分とを特定の割合で含有する。そのため、石鹸
特有のつっぱり感がなく、泡立ち性に優れている。ま
た、本発明の固形洗浄剤組成物は、ＥＳ類などのクラフ
ト点が０℃以下の界面活性剤を基剤としているにもかか
わらず、ぬるつきも従来の脂肪酸石鹸程度に抑制するこ
とができ、しかも機械練り法で高い生産性で製造するこ
とができる。

【００５４】

【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。

【００５５】実施例１〜７並びに比較例１〜６ 表１〜表２示す組成の成分に対して、下記に示すような
機械練り法を適用して固形洗浄剤組成物の成型物を製造
した。

【００５６】なお、表１〜表２中、使用したＰＯＥ（ポ
リオキシエチレン）（３）ラウリルエーテル硫酸ナトリ
ウムのクラフト点は０℃以下であり、ＰＯＥ（２）ラウ
リルエーテル硫酸ナトリウムのクラフト点も０℃以下で
あった。また、エチレングリコールジステアレートの融
点は６１〜６５℃であり、エチレングリコールジラウレ
ートの融点は５０℃であり、固形パラフィンの融点は６
８℃であった。

【００５７】（調製方法）各成分をニーダー中で攪拌混
合した後、ニーダーより取り出し、チリングロールで室
温まで冷却した。これを石鹸用プロッダーで２回混練し
た後、コーン部より押し出し、型打ちして実施例１〜７
及び比較例４（ラウリン酸ナトリウムの含有量が多い
例）の固形洗浄剤組成物の成型物を得た。

【００５８】なお、比較例１〜２の場合には、水分が多
すぎ且つ水難溶性充填剤を含有していないので、機械練
り法により成型物を得ることができなかった。また、比
較例３の場合には、クラフト点が０℃以下のＰＯＥ
（３）ラウリルエーテル硫酸ナトリウムの含有量が多す
ぎたので、やはり機械練り法により成型物を得ることが
できなかった。比較例５の場合には、無機塩を含有して
いないので、やはり機械練り法により成型物を得ること
ができなかった。比較例６の場合には、水難溶性充填剤
ではなく水溶性充填剤を使用したので、やはり機械練り
法により成型物を得ることができなかった。

【００５９】

【表１】 （重量％） 実施例 成分 １ ２ ３ ４ ５ ６ ７ POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 16.0 − 16.0 16.0 16.0 16.0 16.0 POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム − 16.0 − − − − − ラウリン酸ナトリウム 16.0 16.0 12.0 16.0 16.0 16.0 16.0 ミリスチン酸ナトリウム − − 4.0 − − − − ラウリン酸 6.0 6.0 4.5 6.0 6.0 6.0 − ミリスチン酸 − − 1.5 − − − −エチレンク゛リコールシ゛ステアレート 11.0 11.0 11.0 6.0 11.0 14.0 11.0エチレンク゛リコールシ゛ラウレート − − − 5.0 − − − 固形パラフィン 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 − 3.0 デキストリン 33.0 33.0 33.0 33.0 10.0 33.0 33.0 タルク − − − − 23.0 − 6.0 ＮａＣｌ 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 2.0 香料・含量 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 水 11.5 11.5 10.5 11.5 11.5 11.5 11.5 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

【００６０】

【表２】 （重量％） 比較例 成分 １ ２ ３ ４ ５ ６ POE(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 15.0 15.0 35.0 10.0 16.0 16.0 ラウリン酸ナトリウム 17.0 − 13.0 40.0 16.0 16.0 パルミチン酸ナトリウム − 17.0 − − − − ラウリン酸 6.0 − 4.0 4.0 6.0 6.0 パルミチン酸 − 7.0 − − − −エチレンク゛リコールシ゛ステアレート − − 10.0 10.0 11.0 11.0 プロピレングリコール 10.0 10.0 − − − − 固形パラフィン 6.5 6.5 2.5 2.0 3.0 3.0 デキストリン − − 25.0 25.0 35.0 − タルク 6.0 6.0 − − − − コーンスターチ − − − − − 33.0 ＮａＣｌ 2.0 2.0 2.0 2.0 − 2.0 香料・含量 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 1.5 水 35.0 35.0 7.0 5.5 11.5 11.5 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0

【００６１】（評価）機械練りにより固形洗浄剤組成物
の成型物が得られた実施例１〜７及び比較例４のそれぞ
れの成形物について、以下に示すように、手洗い時の
「泡立ち性」、手洗い時の「汚れ負荷泡立ち性」、すす
ぎ時の「ぬるつき」、及び使用後の「つっぱり感」を試
験し、評価した。得られた結果を表４に示す。

【００６２】手洗い時の「泡立ち性」 ３５〜３８℃の温度の水で清浄な両手を濡らし、その両
手で固形洗浄剤組成物の成形物（幅５ｃｍ×高２．５ｃ
ｍ×奥行７ｃｍ）を挟み込み、両手の中で５回回転させ
た。続いて両手の中に少量の水を添加し、両手を擦りな
がら泡立て操作を行った。それとは別に、対照品として
市販の脂肪酸石鹸（対照品）を使用して同様の泡立て操
作を行った。それぞれの泡立て操作により得られた泡量
を、以下の泡立ち評価基準に従って評価した。

【００６３】泡立ち評価基準 ランク 基準 ５： 対照品の場合に比べ泡立ちが優れている場合 ４： 対照品に場合に比べ泡立ちがやや優れている場合 ３： 対照品の場合と同程度の泡立ちの場合 ２： 対照品の場合に比べやや泡立ちが劣る場合 １： 対照品の場合に比べ泡立ちが劣る場合

【００６４】手洗い時の「汚れ負荷泡立ち性」 表３の組成の人工皮脂１ｇを塗布した両手を使用した以
外は、手洗い時の「泡立ち性」の場合と同様に泡立ち操
作を行い、同様の評価基準に従って評価した。

【００６５】

【表３】成分 組成(%） 綿実油 47.0 ミリスチン酸ミリスチル 24.0 スクワラン 9.0 パルミチン酸コレステリル 2.0 コレステロール 0.2 ラウリン酸 0.2 ミリスチン酸 2.5 パルミチン酸 6.0 ステアリン酸 0.9オレイン酸 6.4

【００６６】すすぎ時の「ぬるつき」及び使用後の「つ
っぱり感」 １０人のパネラーのそれぞれの一方の腕を、評価すべき
固形洗浄剤組成物の成形物を使用して洗浄し、流水で濯
ぎ、乾燥した。他方の腕を対照品（市販の脂肪酸石鹸）
を使用して洗浄し、同じく流水で濯ぎ、乾燥した。

【００６７】流水で濯いだ直後のぬるつきについて、以
下のぬるつき評価基準に従って評価した。また、乾燥し
た後のつっぱり感について、以下のつっぱり感評価基準
に従って評価した。

【００６８】ぬるつき評価基準 ランク 基準 ５： 対照品の場合に比べてほとんどぬるつかない場合 ４： 対照品に場合に比べてぬるつきが小さい場合 ３： 対照品の場合と同程度のぬるつきの場合 ２： 対照品の場合に比べてぬるつく場合 １： 対照品の場合に比べて非常にぬるつく場合

【００６９】 つっぱり感評価基準 ランク 基準 ５： 対照品の場合に比べてつっぱり感がほとんどない場合 ４： 対照品に場合に比べてつっぱり感が小さい場合 ３： 対照品の場合と同程度のつっぱり感である場合 ２： 対照品の場合に比べてつっぱり感がある場合 １： 対照品の場合に比べて非常につっぱり感がある場合

【００７０】

【表４】 _泡立ち性 汚れ負荷 _{ぬるつき つっぱり感} 泡立ち性 実施例１ 4.5 4.0 3.0 4.0 ２ 4.5 4.0 3.0 3.5 ３ 3.8 3.5 3.0 4.0 ４ 4.0 3.8 3.0 4.0 ５ 4.8 4.0 3.0 4.0 ６ 4.2 4.0 3.0 4.0 ７ 4.5 4.0 3.5 3.5比較例４ 4.0 4.0 3.0 2.0

【００７１】表４の結果から明らかなように、実施例１
〜７の固形洗浄剤組成物は、従来の脂肪酸石鹸に比べ、
泡立ち性、汚れ負荷時の泡立ち性に優れており、つっぱ
り感が抑制されたものとなっていた。しかも、クラフト
点が０℃以下の界面活性剤を主剤としているにもかかわ
らず、従来の脂肪酸石鹸と同レベルのぬるつきでとどま
っていた。

【００７２】一方、比較例のなかで、唯一、機械練り法
で製造することができた比較例４の固形洗浄剤組成物
は、泡立ち性、汚れ負荷時の泡立ち性及びぬるつきにつ
いては、十分なものであったが、高級脂肪酸塩の含有量
が過度に多いために、従来の石鹸組成物の場合に比べ、
つっぱり感が感じられるものであった。

【００７３】実施例８ ＰＯＥ（２）ラウリルエーテル硫酸ナトリウムに代え
て、クラフト点が０℃以下のポリオキシプロピレン
（２）ラウリルエーテル硫酸ナトリウムを使用する以外
は、実施例２と同様にして固形洗浄剤組成物を得た。得
られた固形洗浄剤組成物について、実施例２と同様に手
洗い時の「泡立ち性」、手洗い時の「汚れ負荷泡立ち
性」、すすぎ時の「ぬるつき」、及び使用後の「つっぱ
り感」を試験し、評価したところ、実施例２の固形洗浄
剤組成物と同様に、各評価項目について良好な結果が得
られた。

【００７４】

【発明の効果】本発明の固形洗浄剤組成物は、クラフト
点が０℃以下の界面活性剤と高級脂肪酸塩をはじめとす
る特定の成分とを特定の割合で含有しているために、石
鹸特有のつっぱり感がなく、泡立ち性に優れている。ま
た、本発明の固形洗浄剤組成物は、クラフト点が０℃以
下の界面活性剤を基剤としているにもかかわらず、ぬる
つきも従来の脂肪酸石鹸程度に抑制することができ、し
かも機械練り法で高い生産性で製造することができる。

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記成分（Ａ）〜（Ｆ）： （Ａ）クラフト点が０℃以下の界面活性剤 ５〜３０重量％； （Ｂ）高級脂肪酸塩 ５〜３０重量％； （Ｃ）固体脂 ５〜３０重量％； （Ｄ）水難溶性充填剤 ２０〜５５重量％； （Ｅ）無機塩 １〜 ３重量％；及び （Ｆ）水 １〜１５重量％； を含有することを特徴とする固形洗浄剤組成物。
2. 【請求項２】 成分（Ａ）の界面活性剤が、式（１） 【化１】 {Ｒ¹-(ＯＲ²)_a-ＯＳＯ₃ ^-}_nＭⁿ⁺ （１） （式中、Ｒ¹は炭素数８〜２０の飽和又は不飽和の炭化
   水素基であり、Ｒ²は、分岐してもよい低級アルキレン
   基であり、ａは１〜１２の数であり、Ｍはアルカリ金
   属、マグネシウム、アンモニウム又は脂肪族アルカノー
   ルアンモニウムであり、ｎはＭの価数である。）で表さ
   れるポリオキシ低級アルキレンアルキルエーテルサルフ
   ェートである請求項１記載の固形洗浄剤組成物。
3. 【請求項３】 式（１）におけるａが２〜４であり、Ｍ
   がナトリウムである請求項２記載の固形洗浄剤組成物。
4. 【請求項４】 成分（Ｂ）の高級脂肪酸塩が、炭素数１
   ０〜２２の飽和アルキル脂肪酸ナトリウムである請求項
   １記載の固形洗浄剤組成物。
5. 【請求項５】 炭素数１０〜２２の飽和アルキル脂肪酸
   ナトリウムがラウリン酸ナトリウムである請求項４記載
   の固形洗浄剤組成物。
6. 【請求項６】 成分（Ｃ）の固体脂が、アルキレングリ
   コールの高級脂肪酸ジエステルを含有する請求項１記載
   の固形洗浄剤組成物。
7. 【請求項７】 アルキレングリコールの高級脂肪酸ジエ
   ステルが、エチレングリコールジステアレートである請
   求項６記載の固形洗浄剤組成物。
8. 【請求項８】 成分（Ｃ）の固体脂が、更に固形パラフ
   ィンを含有する請求項６又は７に記載の固形洗浄剤組成
   物。
9. 【請求項９】 エチレングリコールジステアレートの含
   有量が４〜１５重量％であり、固形パラフィンの含有量
   が２〜６重量％である請求項８記載の固形洗浄剤組成
   物。
10. 【請求項１０】 更に、成分（Ｇ） （Ｇ） 遊離脂肪酸 ３〜８重量％ を含有する請求項１〜９のいずれかに記載の固形洗浄剤
    組成物。